説明

保護キャップ

【課題】チューブ先端部を覆い、その内部には塵や埃等の侵入することのないようにした保護キャップをプラスチック材を用いて形成する。
【解決手段】平面視において、略楕円形状の形態からなる平板状のベース5と、ベース5を基礎にして、ベース5の中央部のところに上方に垂直状に設けられるものであって空洞状の形態からなるキャップ部2と、キャップ部2の両側面部に、当該側面部に沿うように設けられるものであって、その先端部には他の部材への係合に寄与する係合爪11を有する係合部1と、からなる。上記ベース5の上記キャップ部2の設けられる側とは反対の側(裏面側)には、キャップ部2の中心線を基準にして左右対称形を成すように2つの脚部3、3が略直立状に設けられるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブまたはパイプ等の先端部に装着されるものであって、上記チューブまたはパイプ等の搬送時等における、その先端部の保護を図るために設けられる保護キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両には各種配管が設けられるようになっており、これらを車両に取付けるまでの間において部品として保管あるいは搬送する際に、その先端部を保護するために、先端部にはプラスチック製の保護具あるいは保護具の役目を果たすキャップ等が装着されるようになっている。そして、これら保護具またはキャップは、ポリアセタール等のプラスチック材にて一体的に成形されるものであって、上記チューブ等の先端部に装着され、先端部全体を保護するようになっているものである。なお、このような保護具あるいはキャップに関するものとしては、例えば特開平9−10303号公報記載のもの等が挙げられる。
【特許文献1】特開平9−10303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の保護キャップとしては、例えば図6に示すようなものが挙げられる。このようなチューブ20の先端部等に被せられる保護キャップ10は、その取付時に、円筒部110の外径部側150のところがチューブ先端部220にて微視的に見て一部削り取られることが懸念される。その結果、上記削り取られたプラスチック材、すなわち、削りカスがチューブ20内に溜り、チューブ20内を汚染すると言う問題点がある。このような問題点を解決するために、チューブ先端部に設けられたフランジ部と係合するものであって、上記フランジ部を外側から挟み込むように形成された係合爪を有するとともに、当該係合爪をもって上記チューブの先端部のところに係合させるようにし、これによって上記チューブ内へは上記削りカス等が入り込まないようにした保護キャップを提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、ブレーキチューブを含むチューブ類であって自動車等の車体に取付けられる前の状態にあるものの、その端末部に装着される保護キャップに関して、平面状の形態からなるベースと、当該ベースの中央部のところに略垂直状に設けられるものであって空洞状の形態からなるキャップ部と、当該キャップ部の両側面部に、当該側面部に沿うように設けられるものであって、その先端部には他の部材への係合に寄与する係合爪を有する係合部と、からなり、これらが所定の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に成形されるようにした構成を採ることとした。
【0005】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明においては、請求項1記載の保護キャップに関して、上記ベースを基準にして上記キャップ部が設けられる面側とは反対の面側に垂直状に突出するように設けられるものであって、上記係合部とは、その平面視において90°位相の異なる方向に対称形を成すように形成される2つの脚部を有するようにした構成を採ることとした。
【0006】
次に、請求項3記載の発明である第三の発明においては、請求項1または請求項2記載の保護キャップに関して、上記各部をポリプロピレン樹脂(PP)またはポリアミド樹脂(PA)を用いてインジェクション成形手段にて一体的に形成させるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0007】
第一の発明によれば、本保護キャップがチューブ先端部に装着される場合、本保護キャップの固定部(係合部)は、チューブの内径部とは直接接触することの無いような構造となっていることより、本保護キャップの装着によってチューブ内へ削りカス等が入り込むようなことが無い。すなわち、本発明のものにおいては、本保護キャップのチューブ先端部への装着は本保護キャップを形成するキャップ部の外側に設けられた係合爪をもって上記チューブ先端部付近に設けられたフランジ部のところに係合させることによって行なわれるようになっている。これによって、上記チューブの先端部周りは、上記キャップ部によって全体が覆われることとなり、上記チューブ内へは、塵・埃等が侵入するようなことが無くなる。また、装着時において、削りカス等が入り込むようなことも無い。
【0008】
また、第二の発明によれば、本保護キャップを形成するベースの裏面側には、キャップ部の中心線を基点にして左右に対称形をなすように2つの脚部が設けられるようになっている。そして、この2つの脚部は、上記チューブ先端部に設けられたフランジ部に形成された係合穴に、それぞれ嵌り込むようになり、これによって、本保護キャップは、上記チューブ先端部のフランジ部のところに確実に取付けられることとなる。また、このように、本発明のものにおいては、チューブ先端部を外側から包み込むように覆うようになっていることより、チューブ内へは塵や埃等が侵入するようなことも無い。また、その装着も上記係合爪によって確実に行なわれることとなる。
【0009】
また、第三の発明によれば、本保護キャップは、全体がポリプロピレン樹脂(PP)またはポリアミド樹脂(PA)等の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に成形されるようになっていることより、全体が適度の剛性と弾力性とを有した状態で効率良く製造されることとなる。そして、このようにして一体成形された本保護キャップは、上記係合爪を有する係合部のところが適度の弾性を有するようになっており、上記係合爪を有する係合部は本保護キャップ装着者の手指にて簡単に開放操作等が行なわれるようになっている。従って、本保護キャップのチューブ先端部への装着作業は円滑に行なうことができるようになる。また、一旦装着されたものをチューブ先端部から取り外す場合、その操作も簡単に行なうことができるようになっている。そして、このようにして取り外されたものは再使用をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図5を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、チューブまたはパイプの先端部に装着されるものであって、上記チューブまたはパイプ等の搬送時等における、その先端部の保護を図るために設けられる保護キャップの構造に関するものである。その具体的構成は、例えば、図1または図2に示す如く、平面視において、略楕円形状の形態からなる平板状のベース5と、当該ベース5を基礎にして、当該ベース5の中央部のところに上方に垂直状に設けられるものであって空洞状の形態からなるキャップ部2と、当該キャップ部2の両側面部に、当該側面部に沿うように設けられるものであって、その先端部には他の部材への係合に寄与する係合爪11を有する係合部1と、からなるものである。
【0011】
なお、このような構成からなるものにおいて、上記ベース5の上記キャップ部2の設けられる側とは反対の側(裏面側)には、上記キャップ部2の中心線を基準にして左右対称形を成すように2つの脚部3、3が略垂直状に設けられるようになっている。また、上記ベース5の周辺部にはフランジ55が設けられるようになっている。これによってベース5全体の剛性向上が図られるようになっている。そして、これら各部が、ポリプロピレン(PP)またはポリアミド(PA)等の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に形成されるようになっているものである。すなわち、射出成形手段等を介して一体成形されるようになっているものである。これによって、本保護キャップは、その全体が適度の剛性と弾性とを有するようになり、チューブ先端部への装着作業が円滑に行なわれるようになるとともに、一旦装着された状態においては、その装着状態が確実に保持されるようになる。また、本実施の形態のものにおいては、上記キャップ部2は比較的大き目に形成されており、サイズの異なるチューブ先端部を有するものに対しても装着可能なようになっている。
【0012】
このような基本構成からなるものにおいて、上記キャップ部2の側面部に設けられる係合部1は、図1または図4に示す如く、キャップ部2の側壁部22に沿うように設けられるものであって、その中間部のところが上記キャップ部2の側壁部22に連結部12を介して一体的に連結されるようになっているものである。そして、この連結部12を支点にして上記係合部1は、例えば図5に示すようにレバー運動をすることができるようになっているものである。このような係合部1のレバー運動によって本保護キャップのチューブ20の先端部220への装着作業が円滑に行なわれるようになる。また、上記側壁部22は、上記係合部1のレバー運動時におけるストッパの役目を果たすようになっているものである。これによって、連結部12の過度の動きを規制して係合部1の疲労破損等を防止するようにしているものである。
【0013】
また、このような構成からなる上記ベース5とキャップ部2との間には、例えば図2または図3に示す如く、リブ4が設けられるようになっている。これによって、本保護キャップ全体の剛性アップが図られるようになり、チューブ20の先端部220に装着された状態において、その装着状態が確実に保持されることとなる。また、このような構成からなるベース5の裏面側に設けられる脚部3、3は、先端部に係合爪11を有する2つの係合部1、1とは、本保護キャップの平面視において90°位相の異なる方向に対称形を成すように設けられるようになっているものである。そして、この脚部3、3は、装着相手方であるチューブ先端部のフランジ部210のところに設けられた係合穴のところに、それぞれ挿入されるようになっているものである。また、この脚部3、3は基本的には筒状の形態からなり、これらが、その長手方向に短冊状に分割された形態からなるものである。これによって、本脚部3、3は、その径方向に弾性変形をすることが可能となり、フランジ部210に設けられた係合穴への装着(挿入)が円滑に行なわれるようになるとともに、一旦装着された後は、そこに確実に保持されることとなる。このような脚部3、3は、上記ベース5の裏面側に射出成形手段等を介して一体的に設けられるようになっているものである。なお、この脚部3、3の先端部33、33は、係合爪11、11よりも下方に長く延びるように形成されている。すなわち、図3に示す如く、Eの値だけ下方の位置に来るように設定されている。これによって、本保護キャップのチューブ先端部220への装着時において、係合部1が相手方チューブ20の先端部220に接する前に両者間の相対的な位置決めが行なわれるようになり、保護キャップ装着作業が円滑に行なわれることとなる。
【0014】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての、上記チューブ先端部への装着手順について、図5を基に説明する。まず、図5の(イ)に示す如く、キャップ部2の側面部に設けられるものであってレバーとしての機能を有する係合部1の上端部に形成された摘み部15のところを装着者等が手指で摘んで持つとともに、当該手指に力を加える。これによって、レバー状の係合部1は上記連結部12を支点にしてレバー運動をし、図5の(イ)に示す如く、ハ字状に開いた状態となる。このような状態のものをチューブ20の先端部のところに持って行き、チューブ20の先端部に設けられたフランジ部210の外周部のところに、上記係合部1に設けられた係合爪11のところを係合させるようにする。このような状態において、装着者は指の力を抜くことによって、係合部1は自身の弾発力によって元の状態へと戻るように作動する。これによって、係合部1の先端部に形成された係合爪11のところが、図5の(ロ)に示す如く、フランジ部210のところに係合するようになる。
【0015】
このようにして、キャップ部2がチューブ20の先端部220のところを覆うようになり、これによって、チューブ20の先端部220のところが保護されるようになる。また、これとは逆に、一旦装着された保護キャップを取り外すに際しては、上記係合部1の上端部に設けられた摘み部15のところを手指で摘んで係合部1の先端部に設けられた係合爪11のところを開かせる。このようにして係合爪11のフランジ部210への係合を解除させるようにする。そして、このように係合状態の解除されたものを上方へと摘み上げることによって、本保護キャップの取り外し作業が行なわれることとなる。
【0016】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての、その効果等について説明する。まず、本実施の形態のものにおいては、本保護キャップのチューブ先端部220への装着は本保護キャップを形成するキャップ部2の外側に設けられた係合爪11をもって上記チューブ先端部220付近に設けられたフランジ部210のところに係合させることによって行なわれるようになっている。このようにして、上記チューブ20の先端部周りは、上記キャップ部2によって全体が覆われるようになり、上記チューブ20内へは、塵・埃等が侵入するようなことが無くなる。また、装着時において、削りカス等が入り込むようなことも無い。また、本実施の形態のものにおいては、本保護キャップを形成するベース5の裏面側には、キャップ部2の中心線を基点にして左右に対称形をなすように2つの脚部3、3が設けられるようになっており、この2つの脚部3、3は、上記チューブ先端部220に設けられたフランジ部210に形成された係合穴に、それぞれ嵌り込むようになっており、これによって、本保護キャップは、上記チューブ先端部220のフランジ部210のところに確実に取付けられるようになる。
【0017】
また、本保護キャップは、チューブ先端部220を外側から包み込んだ状態で覆うようになっていることより、チューブ20内へは塵や埃等が侵入するようなことが無くなる。そして、このような本保護キャップは、上記係合爪11によって上記フランジ部210のところに確実に装着されるようになっている。また、本実施の形態のものにおいては、本保護キャップは、全体がポリプロピレン樹脂(PP)またはポリアミド樹脂(PA)等の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に成形されるようになっていることより、全体が適度の剛性と弾力性とを有した状態で効率良く製造されることとなる。そして、このようにして一体成形された本保護キャップは、上記係合爪11を有する係合部1のところが適度の弾性を有するようになっており、上記係合爪11を有する係合部1は本保護キャップ装着者の手指にて簡単に開放操作等が行なわれるようになっている。従って、本保護キャップのチューブ先端部220への装着作業は円滑に行なわれるようになる。また、一旦装着されたものをチューブ先端部220から取り外す場合、その操作も簡単に行なうことができるようになっている。従って、このようにして取り外されたものは再度使用をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の基本的構成を示す縦断面図である。
【図4】本発明の主要部を成す係合部周りの構成を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる保護キャップのチューブ先端部への装着手順を示す説明図である。
【図6】従来のものの構造等を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 係合部
11 係合爪
12 連結部
15 摘み部
2 キャップ部
22 側壁部
3 脚部
33 先端部
4 リブ
5 ベース
55 フランジ
20 チューブ
210 フランジ部
220 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキチューブを含むチューブ類であって自動車等の車体に取付けられる前の状態にあるものの、その端末部に装着される保護キャップにおいて、平面状の形態からなるベースと、当該ベースの中央部のところに略垂直状に設けられるものであって空洞状の形態からなるキャップ部と、当該キャップ部の両側面部に、当該側面部に沿うように設けられるものであって、その先端部には他の部材への係合に寄与する係合爪を有する係合部と、からなり、これらが所定の熱可塑性合成樹脂材にて一体的に成形されるようにした構成からなることを特徴とする保護キャップ。
【請求項2】
請求項1記載の保護キャップにおいて、上記ベースを基準にして上記キャップ部が設けられる面側とは反対の面側に垂直状に突出するように設けられるものであって、上記係合部とは、その平面視において90°位相の異なる方向に対称形を成すように形成される2つの脚部を有するようにした構成からなることを特徴とする保護キャップ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の保護キャップにおいて、上記各部をポリプロピレン樹脂(PP)またはポリアミド樹脂(PA)を用いてインジェクション成形手段にて一体的に形成させるようにしたことを特徴とする保護キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173657(P2010−173657A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15299(P2009−15299)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000228981)日本スタッドウェルディング株式会社 (31)
【Fターム(参考)】