説明

保護フィルム用粘着シート

【課題】携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末のパネル保護フィルム用、特にガラス製パネルに貼付する飛散防止用として好適な、高い鉛筆硬度を有すると共に、パネルの形状追従性に優れる保護フィルム用粘着シートを提供する。
【解決手段】ハードコート層、厚み25〜70μmの透明基材フィルム、接着剤層、厚み5〜25μmのポリエステル系フィルム、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されてなる保護フィルム用粘着シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面側にハードコート層を有する保護フィルム用粘着シートに関し、さらに詳しくは、携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末のパネル保護フィルム用、特にガラス製パネルに貼付する飛散防止用として好適な、高い鉛筆硬度を有すると共に、パネルの形状追従性に優れる保護フィルム用粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル機器、携帯電話などの携帯端末機器は、近年の薄型化傾向により、ディスプレイ材料としてガラス製のパネルが使用されるが、ガラス製のパネルを使用する場合は飛散防止のための保護フィルムが必ず使用されている。またタッチパネル機器、携帯電話などの携帯端末機器は、デザイン性が重視され、ガラス製のパネルの形状が平面のみではなくなっており、パネルから飛散防止のための保護フィルム用粘着シートが剥がれることや、日常的に指やペン、その他の物体が接触するために、表面の傷などが付くことが問題となっている。近年では、保護フィルム用粘着シートに対して、ガラス製のパネルの形状に追従するために柔軟性を有し、かつ高い鉛筆硬度が要求されている。
【0003】
しかしながら、該保護フィルムの鉛筆硬度を向上させるためには、表面側に設けられるハードコート層を厚くする必要があり、その結果ハードコート層と基材フィルムとの収縮率の差により、カールが発生してしまうなど加工が困難となる。さらに、ガラス製パネルの形状が平面以外では、ハードコート層が設けられる基材が厚いと、パネルへの追従性が低下するため、結果として要求事項を満たさない。
また、ハードコート層が積層された基材フィルム(以下、ハードコートフィルムということがある)の鉛筆硬度がH以上のハードコートフィルムに通常の粘着剤層を積層すると、粘着シートにおけるハードコート面の鉛筆硬度がFより低くなり、要求される基準を満たさなくなる。
【0004】
タッチパネル、携帯電話などの携帯端末機器におけるガラス製パネル飛散防止用光学フィルムとして、特許文献1には、光透過性基材フィルムの一方の表面に、光透過性ハードコート層が設けられ、該光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層が設けられている光学フィルムであって、光透過性ハードコート層の膜厚(μm)と光透過性基材フィルムの内部ヘイズ(%)を掛け合わせた値が4以上であり、かつ、該光透過性ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下であることを特徴とする光学フィルムが開示されている。
一方、特許文献2には、建築物の窓ガラスなどに貼付される飛散防止用フィルムとして、基材フィルムの一方の面にハードコート層を有し、他方の面に粘着剤層及び剥離シートが順に積層されてなる飛散防止用フィルムであって、上記ハードコート層表面の全面に、エネルギー硬化型材料からなる複数の独立した凸部が一定のピッチで存在することを特徴とする飛散防止用フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−216913号公報
【特許文献2】特開2009−255351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の光学フィルムは、単に基材フィルムの表面側にハードコート層、裏面側に粘着剤層が設けられた層構成を有し、携帯端末機器におけるガラス製パネル飛散防止用として有用ではあるが、パネルの形状追従性についてはなんら言及されていない。
一方、前記特許文献2に記載の飛散防止用フィルムは、建築物の窓ガラスなどに地震対策として貼付されるものであって、携帯端末機器におけるガラス製パネル飛散防止用ではなく、層構成も、上記特許文献1に記載の光学フィルムと同様に、単に基材フィルムの表面側にハードコート層、裏面側に粘着剤層が設けられた構成であり、また、ハードコート層の硬度については、なんら言及されていない。
本発明は、このような状況下になされたもので、携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末のパネル保護フィルム用、特にガラス製パネルに貼付する飛散防止用として好適であり、粘着剤層が積層されていても高い鉛筆硬度を有すると共に、パネルの形状追従性に優れる保護フィルム用粘着シートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
保護フィルム用粘着シートの構成を、ハードコート層、透明基材フィルム、接着剤層、ポリエステル系フィルム、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されてなる構成とし、かつ、前記透明基材フィルムの厚み及び前記ポリエステル系フィルムの厚みを特定の範囲とすることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)ハードコート層、厚み25〜70μmの透明基材フィルム、接着剤層、厚み5〜25μmのポリエステル系フィルム、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されてなる保護フィルム用粘着シート、
(2)ハードコート層の厚みが1〜15μmである上記(1)項に記載の保護フィルム用粘着シート、
(3)接着剤層及び粘着剤層の厚みが、それぞれ独立に2〜13μmである上記(1)又は(2)項に記載の保護フィルム用粘着シート、
(4)接着剤層及び粘着剤層の温度23℃における貯蔵弾性率が、それぞれ独立に0.05〜0.25MPaである上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の保護フィルム用粘着シート、
(5)ハードコート層面側の鉛筆硬度がF以上である上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の保護フィルム用粘着シート、
(6)被着体が板状体であり、曲面もしくは貼着面が同一の面とはならない複数の面にまたがって貼着する上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の保護フィルム用粘着シート、及び
(7)被着体がガラス板である上記(6)項に記載の保護フィルム用粘着シート、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末のパネル保護フィルム用、特にガラス製パネルに貼付する飛散防止用として好適な、高い鉛筆硬度を有すると共に、パネルの形状追従性に優れる保護フィルム用粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の保護フィルム用粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の保護フィルム用粘着シートが曲面に貼着された場合の説明図である。
【図3】本発明の保護フィルム用粘着シートが、貼着面が同一の面とはならない複数の面にまたがって貼着された場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の保護フィルム用粘着シートは、ハードコート層、厚み25〜70μmの透明基材フィルム、接着剤層、厚み5〜25μmのポリエステル系フィルム、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されてなることを特徴とする。
[透明基材フィルム]
本発明の保護フィルム用粘着シートにおける透明基材フィルムとしては、JIS K 7361−1に準拠して測定される全光線透過率が85%以上であることが好ましいが、特に制限されず、従来光学用ハードコートフィルムの基材フィルムとして用いられている公知のフィルムの中から適宜選択して使用することができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
これらの透明基材フィルムの中で、十分なガラス製パネルの飛散防止性能と光学特性を併せもつ観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
【0012】
これらの透明基材フィルムは、無延伸のものであってもよいし、一軸延伸処理又は二軸延伸処理したものであってもよい。
本発明の保護フィルム用粘着シートにおいては、当該透明基材フィルムの厚みは、被着体であるパネルの形状追従性や、当該基材フィルム表面に設けられるハードコート層の硬度、及びカール抑制などの観点から、25〜70μmであることを要し、好ましくは30〜60μm、より好ましくは35〜55μmである。
また、当該透明基材フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー層を設けることもできる。
なお、当該透明基材フィルムにおいて、ハードコート層が設けられる側を表面側、その反対側を裏面側という。
【0013】
[ハードコート層]
本発明の保護フィルム用粘着シートにおいては、前記透明基材フィルムの表面側にハードコート層が設けられる。このハードコート層の形成材料に特に制限はなく、従来光学用ハードコートフィルムのハードコート層の形成に用いられている材料の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。
(ハードコート層形成材料)
本発明においては、ハードコート層形成材料として、エネルギー硬化型材料を好ましく用いることができる。このエネルギー硬化型材料は、熱エネルギーの印加又は活性エネルギー線の照射により、架橋する材料を指す。ここで、活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などである。
本発明で用いるエネルギー硬化型材料は、活性エネルギー線硬化型材料と熱硬化型材料に分けることができる。
【0014】
<活性エネルギー線硬化型材料>
活性エネルギー線硬化型材料としては、活性エネルギー線硬化型化合物と所望により光重合開始剤を含む材料などを挙げることができる。
本発明においては、活性エネルギー線硬化型化合物として、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーが用いられる。
前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
一方、前記(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0016】
上記プレポリマーの重量平均分子量は、GPC法で測定した標準ポリスチレン換算の値で、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜70,000さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲で選定される。
このプレポリマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を指し、他の類似用語も同様である。
本発明においては、活性エネルギー線硬化型化合物として、多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと、(メタ)アクリレート系プレポリマーを併用する場合、その量比については特に制限はないが、得られる保護フィルム用粘着シートにおけるハードコート層表面の硬度と、パネル形状追従性のバランスの面から、適宜選定することが望ましい。
【0017】
活性エネルギー線としては、通常紫外線又は電子線が照射されるが、紫外線を照射する際には、当該ハードコート層形成材料には所望により光重合開始剤を含有させることができる。
《光重合開始剤》
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどが挙げられる。
これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は、全活性エネルギー線硬化型化合物100質量部に対して、通常0.2〜10質量部の範囲で選ばれる。
【0018】
<熱硬化型材料>
一方、熱硬化型材料としては、前述した活性エネルギー線硬化型材料において、光重合開始剤の代わりに、所望により熱重合開始剤を含有させた材料を使用することができる。
《熱重合開始剤》
この熱重合開始剤としては、有機過酸化物やアゾ系化合物が用いられる。有機過酸化物としては、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類等が挙げられる。
【0019】
また、アゾ系化合物としては、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、使用するエネルギー硬化型化合物100質量部に対し、通常0.1〜10質量部である。
【0020】
<ハードコート層形成材料の調製>
本発明におけるハードコート層形成材料には、活性エネルギー線硬化型材料を含むハードコート層形成材料I、及び熱硬化型材料を含むハードコート層形成材料IIの2つの態様がある。
《ハードコート層形成材料I》
適当な溶媒中に、前述した活性エネルギー線硬化型化合物と、所望により光重合開始剤、さらには各種添加剤、例えば光増感剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを適宜加えて均一溶液を調製することにより、活性エネルギー線硬化型材料を含むハードコート層形成材料Iが得られる。
《ハードコート層形成材料II》
また、同様に、適当な溶媒中に、前述したエネルギー硬化型化合物と、所望により熱重合開始剤、さらには各種添加剤、例えば重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを加えて均一溶液を調製することにより、熱硬化型材料を含むハードコート層形成材料IIが得られる。
【0021】
ハードコート層形成材料I及びIIの調製に用いる溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
このようにして調製されたハードコート層形成材料I及びIIの固形分濃度は、塗工性などの観点から20〜60質量%の範囲が好ましく、30〜50質量%の範囲がより好ましい。
【0022】
(ハードコート層の形成)
本発明の保護フィルム用粘着シートにおいては、前述した透明基材フィルムの表面側に、前記ハードコート層形成材料I又はIIを、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これにエネルギーを印加して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層が形成される。
【0023】
エネルギーの印加による塗膜の硬化に、エネルギーとして活性エネルギー線を用いる場合には、ハードコート層形成材料として前述のハードコート層形成材料Iが用いられ、そして活性エネルギー線としては、通常紫外線又は電子線が用いられる。紫外線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、キセノンランプなどで得られ、一方、電子線は電子線加速器などによって得られる。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。この活性エネルギー線の照射量としては、適宜選択されるが、例えば紫外線の場合には、光量で100〜500mJ/cm2が好ましく、電子線の場合には、10〜1,000krad程度が好ましい。
一方、エネルギーとして熱エネルギーを印加する場合には、ハードコート層形成材料として前述のハードコート層形成材料IIが用いられ、そして100〜140℃程度の温度で1〜5分間程度加熱処理する。
このようにして形成したハードコート層の厚みは1〜15μmが好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。1μm未満の場合は得られる保護フィルム用粘着シートの鉛筆硬度が低下し、15μmを超えるとカールが発生するなどの加工上の問題が生じる。
本発明の保護フィルム用粘着シートにおいては、前記透明基材フィルムの裏面側に、接着剤層、ポリエステル系フィルム、粘着剤層及び剥離シートが順に積層される。
[接着剤層]
本発明の保護フィルム用粘着シートにおける接着剤層を構成する接着剤としては、透明基材フィルムの裏面側に、後述のポリエステル系フィルムを密着性よく接着し得るものであればよく、特に制限されず、感圧接着剤(粘着剤)や、感熱接着剤などを用いることができるが、作業性やパネル形状追従性などの観点から、粘着剤が好適である。この粘着剤としては、後述の粘着剤を用いることができる。
接着剤層の厚みは2〜13μmが好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。2μm未満の場合は十分な接着力が得られず、13μmを超えると加工性と得られる保護フィルム用粘着シートの鉛筆硬度が低下する。
また、接着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、0.05〜0.25MPaが好ましく、0.06〜0.2MPaがさらに好ましい。0.05MPa未満の場合が、加工性と得られる保護フィルム用粘着シートの鉛筆硬度が低下し、0.25MPaを超えると十分な接着力が得られない。
【0024】
[ポリエステル系フィルム]
本発明の保護フィルム用粘着シートにおけるポリエステル系フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム及びそれらの変性体フィルムなどを挙げることができるが、これらの中でポリエチレンテレフタレートフィルムが性能及び経済性などの観点から好適である。
また、当該ポリエステル系フィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はポリエステル系フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー層を設けることもできる。
このポリエステル系フィルムの厚みは5〜25μmが必須であり、5〜15μmが好ましい。5μm未満の場合は十分な鉛筆硬度が得られず、25μmを超えると曲面・凹凸面貼付性が低下する。
【0025】
[粘着剤層]
本発明の保護フィルム用粘着シートにおける粘着剤層を構成する粘着剤としては特に制限はなく、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤及びポリエステル系粘着剤などを用いることができる。これらの粘着剤は、エマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれであってもよい。粘着剤層の厚みは、通常2〜13μm、好ましくは3〜10μm程度である。
粘着剤層の厚みが2μm未満の場合は十分な粘着力が得られず、13μmを超えると加工性と得られる保護フィルム用粘着シートの鉛筆硬度が低下する。
前記各種の粘着剤の中では、耐候性などの面から、アクリル系粘着剤が好ましい。
当該粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は0.05〜0.25MPaが好ましく、0.06〜0.2MPaがさらに好ましい。0.06MPa未満の場合は加工性と得られる保護フィルム用粘着シートの鉛筆硬度が低下し、0.25MPaを超えると十分な粘着力が得られない。
【0026】
(アクリル系粘着剤)
このアクリル系粘着剤を用いて形成された粘着剤層は、重量平均分子量50万〜200万程度、好ましくは70万〜170万のアクリル系樹脂を含み、かつ架橋処理されたアクリル系粘着剤からなる層であることが好適である。重量平均分子量が上記範囲にあれば、粘着力及び保持力のバランスがとれた保護フィルム用粘着シートが得られる。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が用いられる。この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
【0027】
ここで、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
一方、活性水素をもつ官能基を有する単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸等が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
また、所望により用いられる他の単量体の例としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該アクリル系粘着剤において、樹脂成分として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0030】
本発明においては、この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該アクリル系粘着剤層としては、架橋処理されたものが好ましく、この架橋処理に用いられる架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物が好ましく用いられる。
本発明においては、この架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲で選定される。
また、このアクリル系粘着剤には、所望により粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤などを添加することができる。
【0031】
[剥離シート]
本発明の保護フィルム用粘着シートにおいて、前記粘着剤層に貼付される剥離シートとしては、例えばグラシン紙、コート紙、上質紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムに、剥離剤を塗布したものなどが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などを用いることができるが、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。該剥離シートの厚みについては特に制限はないが、通常20〜250μm程度である。
【0032】
[保護フィルム用粘着シートの作製方法]
次に、添付図面に従って、本発明の保護フィルム用粘着シートの作製方法の一例について説明する。
図1は、本発明の保護フィルム用粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。
まず、透明基材フィルム1の表面側に、前述したハードコート層形成材料I又はIIを、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、乾燥後の厚みが所定の値になるようにコーティングして塗膜を形成させたのち、乾燥させる。次いで、ハードコート層形成材料Iを用いる場合には、活性エネルギー線として、通常紫外線又は電子線、好ましくは紫外線を該塗膜に照射して硬化させ、ハードコート層2を形成させる。活性エネルギー線の照射量としては、適宜選択されるが、例えば紫外線の場合には、光量で100〜500mJ/cm2が好ましく、電子線の場合には、10〜1,000krad程度が好ましい。
一方、ハードコート層形成材料IIを用いる場合には、100〜140℃程度の温度で1〜5分間程度加熱処理して、該塗膜を硬化させ、ハードコート層2を形成させる。
【0033】
次いで、軽剥離型剥離シートの剥離処理面に、前述した接着剤を含有する塗工液をバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、乾燥後の厚みが所定の値になるようにコーティングして塗膜を形成させ、加熱乾燥処理後、これをポリエステル系フィルム3の一方の面に貼合して接着剤層4を有する軽剥離型剥離シート付き接着シートを作製する。さらに、重剥離型剥離シート6の剥離処理面に、前述した粘着剤を含有する塗工液を、前記と同様な方法を用いて、乾燥後の厚みが所定の値になるようにコーティングして塗膜を形成させ、加熱乾燥処理後、これを前記ポリエステル系フィルム3の他方の面に貼合して、一方の面に接着剤層4を有し、他方の面に粘着剤層5を有する、剥離シート付き接着・粘着シートを作製する。
次に、前記の剥離シート付き接着・粘着シートの軽剥離型剥離シートを剥離して、接着剤層4を露出させ、これを透明基材フィルム1の裏面側に貼合することにより、図1に示す構成の本発明の保護フィルム用粘着シート10が得られる。
【0034】
このようにして作製された本発明の保護フィルム用粘着シートは、ハードコート層側の鉛筆硬度をF以上とすることができ、携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末のパネル保護フィルム用、特にガラス製パネルに貼付する飛散防止用として好適であり、またパネルの形状追従性にも優れることから、被着体が板状体であり、図2に示すように曲面に貼付される場合や、図3に示すように貼着面が同一の面とはならない複数の面にまたがって貼着する場合に特に有用である。
なお、図2は、本発明の保護フィルム用粘着シートが曲面に貼着された場合の説明図であり、図3は、本発明の保護フィルム用粘着シートが、貼着面が同一の面とはならない複数の面にまたがって貼着された場合の説明図である。
【実施例】
【0035】
次に、本発明の実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法により求めた。
【0036】
(1)ハードコートフィルムの鉛筆硬度
ハードコート層と透明基材フィルムからなるハードコートフィルムをガラス板上に固定して、ハードコートフィルムのハードコート面側の鉛筆硬度を荷重200gにて、荷重以外をJIS K 5600−5−4に準じて測定した。
(2)保護フィルム用粘着シートの鉛筆硬度
保護フィルム用粘着シートを、剥離フィルムを剥がしてガラス板に貼り付け、該粘着シートのハードコート面側の鉛筆硬度を荷重200gにて、荷重以外をJIS K 5600−5−4に準じて測定した。
(3)ハードコート層、接着剤層及び粘着剤層の厚み
JIS K 7130に準じて、定圧厚さ測定器[テクロック社製、製品名「PG−02」]で測定した。
(4)保護フィルム用粘着シートの貼付適正(曲面)
直径20mmのアクリル樹脂製の丸棒に、保護フィルム用粘着シートのサンプル(14mm×25mm)を貼付して、7日後の該サンプルの剥がれ量を定規にて計測し、両端の剥がれの和が6mm以上を×、6mm未満を○とした。
(5)接着剤層及び粘着剤層の23℃貯蔵弾性率
各例における接着剤層及び粘着剤層は、同一の粘着剤含有塗工液を用いて形成されているので、各例における剥離フィルム付き接着シートを用いて、下記のようにして、23℃貯蔵弾性率を測定し、接着剤層及び粘着剤層の貯蔵弾性率とした。
剥離フィルム付き接着シートを用い、厚みが約3mmになるように積層し、直径8mmの円柱に裁断して、測定用サンプルを作製した。次いで、動的粘弾性測定装置[レオメトリック社製、機種名「DYNAMIC ANALYZER RDA−II」]を使用して、温度23℃における貯蔵弾性率を測定した。
【0037】
調製例1 ハードコート層用コート剤の調製
紫外線硬化型化合物含有組成物[荒川化学工業社製、製品名「ビームセット575CB」濃度:100%、光重合開始剤入り]100質量部に、レベリング剤[ビックケミージャパン社製、製品名「BYK−300」濃度:52質量%]0.1質量部を加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して40質量%濃度のハードコート層用コート剤を調製した。
【0038】
調製例2 接着剤層・粘着剤層用コート剤の調製
ブチルアクリレート98質量%、アクリル酸1.5質量%、ヒドロキシエチルアクリレート0.5質量%を共重合して得たアクリル酸エステル共重合体(重量平均分子量:80万、濃度40質量%)100質量部に、粘着性付与剤[荒川化学工業社製、製品名「パインクリスタルKE−359」]30質量部、トルエン及びトリレンジイソシアネート系3官能性アダクト体[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」濃度75質量%]を0.5質量部添加し、撹拌して、接着剤層・粘着剤層用コート剤を調製した。
【0039】
実施例1
全光線透過率85%以上の透明基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡社製、製品名「PET50A4300」膜厚:50μm]の一方の面に、マイヤーバー#8を用いて乾燥後の膜厚が3μmになるようにハードコート層用コート剤を塗布、乾燥し、次いで、紫外線を照射(照度:230mW/cm2、光量:200mJ/cm2)して硬化させ、ハードコートフィルムを得た。次いで、軽剥離型剥離フィルム[リンテック社製、製品名「SP−PET381031」厚み38μm]の剥離処理面に、ダイコーターを用いて乾燥後の膜厚が4.5μmになるように接着剤層・粘着剤層用コート剤を塗布し、120℃で1分間乾燥後、ポリエステル系フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム[三菱化学ポリエステルフィルム社製、製品名「PET 6K−200−6E」厚み:6μm]と貼合して剥離フィルム付き接着シートを作製した。さらに、重剥離型剥離フィルム[リンテック社製、製品名「SP−PET7511」厚み75μm]の剥離処理面に、ダイコーターを用いて乾燥後の厚みが4.5μmになるように接着剤層・粘着剤層用コート剤を塗布し、120℃で1分間乾燥後、前記接着シートのポリエチレンテレフタレート面と貼合して、一方の面に接着剤層を有し、他方の面に粘着剤層を有する剥離フィルム付き接着・粘着シートを得た。この接着・粘着シートの接着剤層側の剥離フィルムを剥離した後、ハードコートフィルムの非コート面と貼合して保護フィルム用粘着シートを得た。この保護フィルム用粘着シートは、接着剤層と粘着剤層が共に、接着剤層・粘着剤層用コート剤からなる。
この保護フィルム用粘着シートにおける諸特性を第1表に示す。
【0040】
実施例2
実施例1における厚み6μmのポリエステル系フィルムの代わりに、厚み12μmのポリエステル系フィルム[東レ社製、製品名「ルミラー T70A」、厚み:12μm]を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護フィルム用粘着シートを得た。
この保護フィルム用粘着シートの諸特性を第1表に示す。
【0041】
比較例1
実施例1における厚み6μmのポリエステル系フィルムの代わりに、厚み2μmのポリエステル系フィルム[東レ社製、製品名「ルミラー C61」、厚み:2μm]を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護フィルム用粘着シートを得た。
この保護フィルム用粘着シートの諸特性を第1表に示す。
【0042】
比較例2
実施例1と同様にして、透明基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(前出)の一方の面にハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。次いで、剥離フィルム[リンテック社製、製品名「SP−PET381031」厚み38μm]の剥離処理面に、ダイコーターを用いて乾燥後の膜厚が15μmになるように接着剤層・粘着剤層用コート剤を塗布し、120℃で1分間乾燥後、これを前記ハードコートフィルムの非コート面と貼合して、厚み15μmの接着剤層を設け、剥離フィルム付き保護フィルム用粘着シートを得た。
この保護フィルム用粘着シートの諸特性を第1表に示す。
【0043】
比較例3
実施例1における厚み6μmのポリエステル系フィルムの代わりに、厚み50μmのポリエステル系フィルム[東洋紡績社製、製品名「コスモシャイン A4300」、厚み:50μm]を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法にて保護フィルム用粘着シートを得た。
この保護フィルム用粘着シートの諸特性を第1表に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
第1表から分かるように、請求項1の要件を満たす実施例1及び実施例2は、いずれも曲面貼付性及び鉛筆硬度の両方共合格である。
これに対して、請求項1における要件のいずれか一つを満たさない比較例1〜3は、曲面貼付性及び鉛筆硬度のいずれかが不合格である。また比較例1及び2は鉛筆硬度を測定する際に、荷重により鉛筆の芯先が沈んでしまい測定不可であった。このような挙動を示す粘着シートは、保護フィルム用として適さない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の保護フィルム用粘着シートは、ハードコート層側の鉛筆硬度をF以上とすることができ、携帯電話やタッチパネルなどの携帯情報端末のパネル保護フィルム用、特にガラス製パネルに貼付する飛散防止用として好適であり、またパネルの形状追従性にも優れることから、被着体が板状体であり、かつ粘着シート貼付面の角が120°以上の鈍角をもつ形状を有するものに有用であり、特に曲面を有する被着体に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)
4 接着剤層
5 粘着剤層
6 重剥離型剥離シート
10 本発明の保護フィルム用粘着シート
11 曲面を有する板状体
12 貼着面が同一の面とはならない複数の面を有する板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードコート層、厚み25〜70μmの透明基材フィルム、接着剤層、厚み5〜25μmのポリエステル系フィルム、粘着剤層及び剥離シートが順に積層されてなる保護フィルム用粘着シート。
【請求項2】
ハードコート層の厚みが1〜15μmである請求項1に記載の保護フィルム用粘着シート。
【請求項3】
接着剤層及び粘着剤層の厚みが、それぞれ独立に2〜13μmである請求項1又は2に記載の保護フィルム用粘着シート。
【請求項4】
接着剤層及び粘着剤層の温度23℃における貯蔵弾性率が、それぞれ独立に0.05〜0.25MPaである請求項1〜3のいずれかに記載の保護フィルム用粘着シート。
【請求項5】
ハードコート層面側の鉛筆硬度がF以上である請求項1〜4のいずれかに記載の保護フィルム用粘着シート。
【請求項6】
被着体が板状体であり、曲面もしくは貼着面が同一の面とはならない複数の面にまたがって貼着する請求項1〜5のいずれかに記載の保護フィルム用粘着シート。
【請求項7】
被着体がガラス板である請求項6に記載の保護フィルム用粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−35431(P2012−35431A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175166(P2010−175166)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】