説明

保護フィルム

【課題】機械を用いることなく被着体に貼着した場合であっても、皺や歪みを生じることなく容易に貼着できるともに、繰り返し貼り直しが可能な保護フィルムを提供する。
【解決手段】ポレオレフィンからなる支持基材1の一方の面に、第一の粘着性樹脂層2および第二の粘着性樹脂層3が設けられてなる保護フィルムであって、前記第一の粘着性樹脂層は、前記支持基材の表面全体に設けられており、前記第二の粘着性樹脂層は、前記第一の粘着性樹脂層の表面全体に、パターン状に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムに関し、より詳細には、被着体表面への傷や塵埃の付着を防止する保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品や部材を保護するために、物品や部材の表面に保護フィルムが仮着されることがある。この保護フィルムは、例えば、アクリル板やポリカーボネート板等の合成樹脂板、アルミ板やステンレス板等の金属板、塗装鋼板、アルミサッシ、自動車車体、ディスプレイパネル等の光学部材などの様々な被着体において、加工時や運搬、保管時に被着体に傷や塵埃が付着するのを防止するのに用いられている。
【0003】
保護フィルムは、一般的に、被着体が使用されるまで貼着されるが、被着体が使用される際には剥離され、その後に廃棄されるものであり、安価な材料でかつ簡易に製造できるものであることが要求される。
【0004】
このような保護フィルムとして、支持基材の一方の面に溶剤系粘着剤塗工層を設けたものや、支持基材フィルムと粘着性樹脂層とを共押出し法により積層したものなど、単一の粘着層を設けた保護フィルムが提案されている(例えば特開昭56−055252号公報:特許文献1や特開平7−233354号公報:特許文献2等)。
【0005】
【特許文献1】特開昭56−055252号公報
【特許文献2】特開平7−233354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の保護フィルムは、初期接着力が十分であり、剥離した際に被着体に糊残りが生じ難いといった保護フィルムに求められる基本性能を備え、かつ安定的に製造されるものであるが、被着体への貼着を機械により行うことを前提としたものであるため、人の手により被着体に保護フィルムを貼着しようとすると、初期接着力が高すぎて貼り直しが困難であったり、平滑な被着体に人の手で保護フィルムを貼着しようとすると、いわゆるエア抱きを生じてしまい、それに伴う皺の発生が頻発していた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械を用いずに被着体に貼着した場合であっても、皺や歪みを生じることなく容易に貼着できるともに、繰り返し貼り直しが可能な保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による保護フィルムは、ポレオレフィンからなる支持基材の一方の面に、第一の粘着性樹脂層および第二の粘着性樹脂層が設けられてなる保護フィルムであって、
前記第一の粘着性樹脂層は、前記支持基材の表面全体に設けられており、
前記第二の粘着性樹脂層は、前記第一の粘着性樹脂層の表面全体に、パターン状に設けられている、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の態様によれば、前記粘着性樹脂層の、前記第一の粘着性樹脂層に対する面積割合が、1〜50%であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の態様によれば、前記第一の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度が、前記第二の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度よりも高いことが好ましい。
【0011】
また、本発明の態様によれば、前記第一の粘着性樹脂層が熱可塑性樹脂からなり、前記支持基材とともに、共押出し加工により成形されるものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の態様によれば、前記第二の粘着性樹脂層が、塗布法によりパターニングして形成されたものであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の態様によれば、前記第二の粘着性樹脂層のパターンは、線幅0.1〜10mmの線形状であり、線形状のパターンは、平行線または交差線により構成されるものであることが好ましい。
【0014】
あるいは、本発明の別の態様によれば、前記第二の粘着性樹脂層のパターンは、1〜10mmの大きさのドット状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の保護フィルムは、支持基材の一方の前面に第一の粘着性樹脂層が設けられ、その粘着性樹脂層の表面全体にパターン状に第二の粘着性樹脂層が設けられている。そのため、被着体に保護フィルムを貼着する際は、まず第二の粘着性樹脂層が被着体に一次接着する。この一次接着した第二の粘着性樹脂層はパターン状に設けられているため、粘着性が弱く、貼着時に皺や歪みが発生した場合に容易に貼り直すことができる。そして、被着体への貼り合わせが完了した段階で保護フィルムを被着体に押圧することにより、第一の粘着性樹脂層の粘着面が被着体に貼着され、綺麗にかつしっかりと保護フィルムを被着体に貼着できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明による保護フィルムの概略断面図を示したものである。本発明による保護フィルムは、支持基材1の一方の面の表面全体に、第一の粘着性樹脂層2が設けられ、そして、この第一の粘着性樹脂層2の表面全体に、パターン状に第二の粘着性樹脂層3が設けられた構造を有している。
【0017】
この第二の粘着性樹脂層3はパターン状に形成されている。すなわち、第二の粘着性樹脂層が存在する部分と存在しない部分とにより構成される。第二の粘着性樹脂層3の存在する部分の割合は、第一の粘着性樹脂層2の表面全体に対して、面積割合で1〜50%、好ましくは3〜20%である。1%未満であると、被着体に第一の粘着性樹脂層2が直接貼着してしまい、貼着時に皺や歪みが発生した場合に容易に貼り直すことが困難となる。一方、50%を超えると、被着体への保護フィルムの粘着強度が弱くなり、保護フィルムが使用中に剥がれたりする場合がある。
【0018】
第二の粘着性樹脂層のパターン形状は、図2に示すように、線形状により構成してもよく、また図3に示すように、ドット形状により構成してもよい。線形上とする場合、線幅は0.1〜10mmとすることが好ましく、1.0〜5.0mmとすることがより好ましい。この範囲の線幅によりパターン形状を構成することにより、保護フィルムの一次接着の粘着強度がより適当なものとなる。線形上によりパターン形成する場合は、図2に示すように交差線としてもよいし、また平行線となるようにしてもよい。
【0019】
第二の粘着性樹脂層のパターン形状をドット形状により構成する場合、ドット形状としては、図3に示すような円状のドットパターンに限られるものではなく、矩形状、多角形状、任意の不規則形状等、いずれの形状としてもよい。ドットパターンとする場合、ドットの大きさは、その最大長を0.1〜10mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mmとすることがより好ましい。なお、ドットの最大長とは、例えば、円形状ドットパターンの場合にはその直径を、矩形状または多角形状パターンの場合はその対角線の最大長さを、任意の不規則形状パターンの場合は、最も長い部分の長さを意味するものとする。
【0020】
第一の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度は、第二の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度よりも高いことが好ましい。このように、第一の粘着性樹脂層の粘着強度を第二の粘着性樹脂層よりも高くすることにより、一次接着時の粘着力を弱め、保護フィルムの貼り直しをより容易なものとすることができる。その結果、機械を用いずに人の手より保護フィルムを被着体に貼着する場合であっても、正確にかつ綺麗に保護フィルムを被着体に貼着することができる。
第一の粘着性樹脂層の粘着強度は、被着体の種類にもよるが、概ね0.5〜5.0N/mmであり、第二の粘着性樹脂層の粘着強度は、概ね0.05〜2.0N/mmである。なお、粘着強度の測定方法はJIS Z−0237に準拠した方法により測定した値をいうものとする。
【0021】
本発明による保護フィルムに用いられる支持基材はポリオレフィン樹脂からなるものである。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどを好適に使用することができる。また、ポリオレフィン樹脂は、上記したものを単体として用いても、あるいは、二種以上を複合したものを用いてもよく、複合物としては、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとのブレンド物や、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとのブレンド物などが挙げられる。
【0022】
また、支持基材としては、上記のポリオレフィン樹脂からなるフィルムないしシートを好適に使用できる。未延伸フィルムないしシートを用いてもよく、また強度等の観点から延伸フィルムなしいシートを用いてもよい。
【0023】
支持基材の厚みは、30μm〜100μmが好ましい。支持基材の厚みが30μm未満ではプロテクトフィルムとしての効果(防キズ、緩衝効果)が不十分であり、一方、厚みが100μmを超える支持基材を用いると、製造コストが増加するだけでなく、保護フィルムは使用後に廃棄されることを前提とするものであるため、環境にも悪影響を与え、好ましくない。
【0024】
本発明による保護フィルムに用いられる第一の粘着性樹脂層は、支持基材の一方の面の前面に設けられるものである。この第一の粘着性樹脂層は、後記する第二の粘着性樹脂層が被着体に一次接着した後に、被着体の全面に貼着される。
第一の粘着性樹脂層は、通常の保護フィルムに使用される粘着性樹脂を使用することができるが、本発明においては、第一の粘着性樹脂層の被着体に対する粘着強度が、後記する第二の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度よりも高くなるように、両者の粘着性樹脂を選択することが好ましい。したがって、第一の粘着性樹脂層の粘着強度は比較的高いことが好ましく、概ね0.5〜5.0N/mm程度であることが好ましい。
【0025】
このような粘着性樹脂としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性粘着剤を好適に使用することができ、例えば、スチレンゴム系粘着剤、PP系粘着剤、EVA系粘着剤、アクリル系粘着剤等を好適に使用できる。スチレンゴム系粘着剤としては、スチレン含率5〜20重量%のSEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン)樹脂、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)樹脂、SIBS(スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン)樹脂、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)樹脂などが挙げられる。PP系粘着剤としては、ポリプロピレン樹脂ベースにエチレン・ブテンコポリマーを共重合化したもの等が挙げられる。EVA系粘着剤としては、ビニルアルコール含率15〜35重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体などを主成分とする樹脂が挙げられる。また、これら粘着性樹脂には、必要に応じてテルペン系樹脂を2〜20重量%添加することができる。
【0026】
第一の粘着性樹脂層は、通常用いられる塗工型粘着剤を支持基材上に塗布することによっても形成できるが、本発明においては、第一の粘着性樹脂層が支持基材の表面上に直接設けられているため、支持基材と粘着性樹脂層とを共押出し製膜法により積層シートとして製造することにより、支持基材上に第一の粘着性樹脂層を設けることができる。共押出製膜法を用いることにより、支持基材の製膜と粘着性樹脂層の形成とを一工程で実施できるため、製造コストを低減することができる。
【0027】
共押出製膜法としては、インフレーション、Tダイ法等が挙げられる。なお、塗工型粘着剤を用いる場合には、グラビアコーター等により支持基材上に塗工型粘着剤塗布することにより、第一の粘着性樹脂層を形成することができる。
【0028】
また、本発明においては、第一の粘着性樹脂層上に設ける第二の粘着性樹脂層との密着性を向上させるため、第一の粘着性樹脂層の表面が処理されていることが好ましい。特に、第一の粘着性樹脂層を非極性材料により形成した場合には、その表面に極性基を導入するような表面処理を必要とする。極性基導入のための表面処理方法としてはコロナ放電処理等が好適に使用できる。また、非極性材料を用いて第一の粘着性樹脂層を形成した場合、第二の粘着性樹脂層との密着性を考慮して、42mN/m以上の表面張力となるように表面処理を施すことが好ましい。
【0029】
第一の粘着性樹脂層の厚みは、5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。第一の粘着性樹脂層の厚みが5μm未満では、共押出製膜時の安定性が欠けるとともに、粘着性が不十分となる場合があり、一方、厚みが50μmを超えるとオーバースペックとなってしまい製造コストが増加するだけでなく、環境にも悪影響を与える。
【0030】
本発明による保護フィルムに用いられる第二の粘着性樹脂層は、上記の第一の粘着性樹脂層の表面全体に、パターン状に設けられるものである。パターン状に粘着性樹脂層を設けるためには、塗工型粘着剤を用いて形成されることが好ましい。塗工型粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤が挙げられる。アクリル系粘着剤としては、アクリルポリマー((メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体などを主成分とする)をベースとした有機溶剤希釈型アクリル系粘着剤を好適に使用できる。ゴム系粘着剤としては、ポリブチレン系粘着などの塗工系粘着剤を好適に使用できる。ウレタン系粘着剤としては、ポリブチレン系粘着などの塗工系粘着剤を好適に使用できる。
【0031】
第二の粘着性樹脂層は、従来公知の方法により形成することができ、例えばグラビア塗工方式等により、所望のパターン形状とすることができる。
本発明においては、上記のように所定のパターン状に形成された第二の粘着性樹脂層の面積割合が、第一の粘着性樹脂層の表面全体に対して、1〜50%、好ましくは3〜20%になるように、第二の粘着性樹脂層のパターニングを行う。第二の粘着性樹脂層の面積割合は、パターニングの線幅やドット形状の大きさを変更することにより、調整することができる。
【0032】
第二の粘着性樹脂層の厚みは、1〜20μmが好ましく、2.0〜10μmがより好ましい。第二の粘着性樹脂層の厚みが1μm未満では、被着体への粘着性が不十分となり、一次接着が不完全になる場合がある。一方、厚みが20μmを超えるとオーバースペックとなり製造コストの増加や環境に悪影響を与えるだけでなく、第一の粘着性樹脂層の粘着性を阻害することとなり、綺麗にかつしっかりと保護フィルムを被着体に貼着できなくなることがある。
【実施例1】
【0033】
支持基材用の樹脂として、低密度ポリエチレン(密度=0.924g/cm、MFR=3.8g/10分、融点=110℃、引張弾性率=115MPa)を準備した。また、第一の粘着性樹脂層用の粘着性樹脂として、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(JSR(株)製ダイナロン1320P:PS含率=10%、密度=0.890g/cm3、MFR=3.5g/10分)90重量部と、テルペン樹脂10重量部とを十分に混錬したものを準備した。
【0034】
三層のインフレーション共押出製膜機に、上記の支持基材用の樹脂100重量部と粘着性樹脂100重量部とを投入し、総厚60μmの二層フィルムを製造した。支持基材の厚みは40μmであり、第一の粘着性樹脂層の厚みは20μmであった。
【0035】
得られた二層フィルムの第一の粘着性樹脂層側表面に、コロナ放電処理(450mN/m)を施した後、その表面に、アクリル系粘着剤である東洋インキ製造株式会社製オリバイン「BPS3180−3A」と硬化剤「BPS3180B」とを固形分20重量%となるように溶剤希釈した塗工型粘着剤を、塗工厚み3μmとなるように調整した線状のグラビア版から十字型(網目状)に塗工することにより、第二の粘着性樹脂層を形成した。塗工部の面積比率は4%とした。
【0036】
第一の粘着性樹脂層の粘着力は、アクリル鏡面板に対して2.5N/25mmの強度を有しており、第二の粘着性樹脂層を全面塗工した場合の粘着力は、アクリル鏡面板に対して0.6N/25mmの強度を有していた。なお、粘着強度の測定方法はJIS Z−0237に準拠した方法により測定した。
【0037】
得られた保護フィルムを被着体であるマット調の樹脂版に張り合わせたところ、エア抱きやシワの不良が無く、綺麗にかつスムーズに貼り合せることができた。
【実施例2】
【0038】
支持基材用の樹脂として、低密度ポリエチレン(密度=0.924g/cm、MFR=3.8g/10分、融点=110℃、引張弾性率=115MPa)を準備した。また、第一の粘着性樹脂層用の粘着性樹脂として、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(JSR(株)製ダイナロン1320P:PS含率=10%、密度=0.890g/cm3、MFR=3.5g/10分)90重量部と、テルペン樹脂10重量部とを十分に混錬したものを準備した。
【0039】
三層のインフレーション共押出製膜機に、上記の支持基材用の樹脂100重量部と粘着性樹脂100重量部とを投入し、総厚60μmの二層フィルムを製造した。支持基材の厚みは40μmであり、第一の粘着性樹脂層の厚みは20μmであった。
【0040】
得られた二層フィルムの第一の粘着性樹脂層側表面に、コロナ放電処理(450mN/m)を施した後、その表面に、アクリル系粘着剤である東洋インキ製造株式会社製オリバイン「BPS3180−3A」と硬化剤「BPS3180B」とを固形分20重量%となるように溶剤希釈した塗工型粘着剤を、塗工厚み3μmとなるように調整した丸形状のドットパターンのグラビア版から水玉状に塗工することにより、第二の粘着性樹脂層を形成した。塗工部の面積比率は4%とした。
【0041】
得られた保護フィルムを被着体であるマット調の樹脂版に張り合わせたところ、エア抱きやシワの不良が無く、綺麗にかつスムーズに貼り合せることができた。
【実施例3】
【0042】
支持基材用の樹脂として、低密度ポリエチレン(密度=0.922g/cm3、MFR=1.5g/10分、融点=109℃、引張弾性率=140MPa)50重量部と、ポリプロピレン(ランダムPP:密度=0.900g/cm、MFR=1.2g/10分、引張弾性率=1120MPa)50重量部とを混練したものを準備した。また、第一の粘着性樹脂層用の粘着性樹脂として、プロピレン−ブテン系ゴムへ15重量%のランダムPPをブレンドした住友化学(株)製タフセレンT3712(MI=3g/10分、融点=135℃)を100重量部と、テルペン樹脂10重量部とを十分に混錬したものを準備した。
【0043】
三層のインフレーション共押出製膜機に、上記の支持基材用の樹脂100重量部と粘着性樹脂100重量部とを投入し、総厚60μmの二層フィルムを製造した。支持基材の厚みは40μmであり、第一の粘着性樹脂層の厚みは20μmであった。
【0044】
得られた二層フィルムの第一の粘着性樹脂層側表面に、コロナ放電処理(450mN/m)を施した後、その表面に、アクリル系粘着剤である東洋インキ製造株式会社製オリバイン「BPS3180−3A」と硬化剤「BPS3180B」とを固形分20重量%となるように溶剤希釈した塗工型粘着剤を、塗工厚み3μmとなるように調整した線状のグラビア版から十字型(網目状)に塗工することにより、第二の粘着性樹脂層を形成した。塗工部の面積比率は4%とした。
【0045】
第一の粘着性樹脂層の粘着力は、アクリル鏡面板に対して2.2N/25mmの強度を有しており、第二の粘着性樹脂層を全面塗工した場合の粘着力は、アクリル鏡面板に対して0.6N/25mmの強度を有していた。なお、粘着強度の測定方法はJIS Z−0237に準拠した方法により測定した。
【0046】
得られた保護フィルムを被着体であるマット調の樹脂版に張り合わせたところ、エア抱きやシワの不良が無く、綺麗にかつスムーズに貼り合せることができた。
【実施例4】
【0047】
支持基材用の樹脂として、低密度ポリエチレン(密度=0.922g/cm3、MFR=1.5g/10分、融点=109℃、引張弾性率=140MPa)50重量部と、ポリプロピレン(ランダムPP:密度=0.900g/cm、MFR=1.2g/10分、引張弾性率=1120MPa)50重量部とを混練したものを準備した。また、第一の粘着性樹脂層用の粘着性樹脂として、プロピレン−ブテン系ゴムへ15重量%のランダムPPをブレンドした住友化学(株)製タフセレンT3712(MI=3g/10分、融点=135℃)を100重量部と、テルペン樹脂10重量部とを十分に混錬したものを準備した。
【0048】
三層のインフレーション共押出製膜機に、上記の支持基材用の樹脂100重量部と粘着性樹脂100重量部とを投入し、総厚60μmの二層フィルムを製造した。支持基材の厚みは40μmであり、第一の粘着性樹脂層の厚みは20μmであった。
【0049】
得られた二層フィルムの第一の粘着性樹脂層側表面に、コロナ放電処理(450mN/m)を施した後、その表面に、アクリル系粘着剤である東洋インキ製造株式会社製オリバイン「BPS3180−3A」と硬化剤「BPS3180B」とを固形分20重量%となるように溶剤希釈した塗工型粘着剤を、塗工厚み3μmとなるように調整した丸形状のドットパターンのグラビア版から水玉状に塗工することにより、第二の粘着性樹脂層を形成した。塗工部の面積比率は4%とした。
【0050】
得られた保護フィルムを被着体であるマット調の樹脂版に張り合わせたところ、エア抱きやシワの不良が無く、綺麗にかつスムーズに貼り合せることができた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による保護フィルムの概略断面図を示したものである。
【図2】第二の粘着性樹脂層のパターン形状の一実施態様を示したものである。
【図3】第二の粘着性樹脂層のパターン形状の他の実施態様を示したものである。
【符合の説明】
【0052】
1 支持基材
2 第一の粘着性樹脂層
3 第二の粘着性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポレオレフィンからなる支持基材の一方の面に、第一の粘着性樹脂層および第二の粘着性樹脂層が設けられてなる保護フィルムであって、
前記第一の粘着性樹脂層は、前記支持基材の表面全体に設けられており、
前記第二の粘着性樹脂層は、前記第一の粘着性樹脂層の表面全体に、パターン状に設けられている、ことを特徴とする、保護フィルム。
【請求項2】
前記第二の粘着性樹脂層の、前記第一の粘着性樹脂層に対する面積割合が、1〜50%である、請求項1に記載の保護フィルム。
【請求項3】
前記第一の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度が、前記第二の粘着性樹脂層の被着体への粘着強度よりも高い、請求項1または2に記載の保護フィルム。
【請求項4】
前記第一の粘着性樹脂層が熱可塑性樹脂からなり、前記支持基材とともに、共押出し加工により成形されるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の保護フィルム。
【請求項5】
前記第二の粘着性樹脂層が、塗布法によりパターニングして形成されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の保護フィルム。
【請求項6】
前記第二の粘着性樹脂層のパターンが、線幅0.1〜10mmの線形状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の保護フィルム。
【請求項7】
前記線形状のパターンが、平行線または交差線により構成されるものである、請求項6に記載の保護フィルム。
【請求項8】
前記第二の粘着性樹脂層のパターンが、1〜10mmの大きさのドット状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の保護フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−76178(P2010−76178A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245474(P2008−245474)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】