説明

保護ヘルメット

【課題】顎保護具に接近して配置されるヘルメットの内側のパッドを、効果的かつ簡単に一時的に連結できる、顎保護具の衝撃吸収層のための支持マスクを有する保護ヘルメットを提供する。
【解決手段】顎保護具102およびバイザーのための開口部103を有するシェル101と、シェルおよび顎保護具に内側で連結される1つ以上の衝撃吸収層104、107、10と、1つ以上の前記衝撃吸収層の内側に配置されている1つ以上のパッド105、106と、顎保護具の衝撃吸収層のための少なくとも1つの支持マスク1とを備え、少なくとも1つの前記支持マスクは、顎保護具の衝撃吸収層の保持手段と、顎保護具および/またはシェルに対する係合手段とを含み、さらに、少なくとも1つの支持マスクは、少なくとも1つのパッドの一時的連結手段を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顎保護具とそれに対応するバイザーのための開口部とを有するシェルと、前記シェルおよび対応する前記顎保護具の内側に連結される1つ以上の衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層の内側に配置されている1つ以上のパッドと、前記顎保護具の衝撃吸収層のための少なくとも1つの支持マスクとを備え、内側の前記支持マスクが、前記顎保護具の衝撃吸収層のための保持手段と、前記顎保護具に対する機械的係合手段とを有するタイプであって、特に、オートバイ等に乗る人のための保護ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリスチレンフォーム(EPS)から形成される保護ヘルメットの衝撃吸収層として、強制的な拘束(縮小)、接着により、または、機械的な支持クランプ手段もしくはベルクロ(登録商標)の細片を用いて、ヘルメットのシェルの内面に直接取り付けることが知られている。
【0003】
先行技術では、衝撃に対してユーザの頭蓋領域を保護するのに適した、第1の半球状に形成される層と、横からの衝撃に対して、ユーザの顔の側部領域(頬)を保護するための2つの対向する層と、ユーザの顎を保護するための適宜の衝撃吸収層とからなり、シェルの内側に並置される種々の衝撃吸収層を有する保護ヘルメットがしばしば作製されている。これらの異なる衝撃吸収層は、通常、強制的な拘束(すなわち、強制的な幾何学的嵌め合い)により、ヘルメットの外側のシェルに取り外せないように拘束止着される。
【0004】
また、これらの衝撃吸収層の内側には、過度の機械的作用によって損傷することを回避するため、通常、例えば、織物で被覆され、ユーザの顔に当接し、使用時に必要とされる快適性を確保するパッドが配置されている。
【0005】
一般に顎保護具と言われる顎を保護する部分を備えるシェルの場合、ユーザの顎を保護するのに適した衝撃吸収層は、通常、他の衝撃吸収層のいずれかから分離されているだけでなく、ユーザの呼吸を妨げ、ヘルメットのグリップおよび把持の邪魔になる外側のパッドを有していない。
【0006】
顎保護具に関して、前記衝撃吸収層、特に、ユーザの顎に面する部分を、例えば、合成皮革(すなわち、ポリウレタンPUまたはポリアミドPAを層状に形成した織物)、または、ポリウレタン(PU)フォームからなり、ユーザのさわり心地が良く、前記衝撃吸収層の偶発的な損傷の危険性を回避するか、または、減少させることのできる表面カバーで被覆することが知られている。
【0007】
衝撃吸収層がEPSで製造される一般的な場合において、顎保護具の衝撃吸収層のための表面カバーは、ポリウレタンフォームのような適切な被覆材料により、前記衝撃吸収層を重ね刷り(例えば、低圧射出成形)することにより形成される。表面カバーは、ヘルメットの他の部材との連結を許容する部品の最終形状を定め、また、適切な様式上の要求を担保するため、例えば、厚さが最小2mmの層が設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この技術には、避けられない欠点がある。
【0009】
第1に、表面カバー層は、顎保護具のEPSからなる衝撃吸収層の製造工程に加えて、重ね刷り工程の本質的な技術上の制約から、最終的なユニットの重量が過大になってしまう。
【0010】
第2に、重ね刷り、およびその後のばり除去工程に長時間を要するため、この技術は、生産性が相当に悪い。
【0011】
最後に、通常、EPSからなる衝撃を吸収するのに適した重ね刷りの材料からなるこのような表面カバーを得るため、相当なコストが掛かるということを挙げることができる。
【0012】
これらの欠点を克服するため、主として、引き上げる顎保護具を有するヘルメットでは、ユーザの顔と前記衝撃吸収層との間に挟まれる支持マスク、および顎保護具の衝撃吸収層の表面カバーが、前記顎保護具に機械的に拘束され、そのため、衝撃吸収層が前記支持マスクと顎保護具の内壁との間に配置されて係止させる技術が知られている。
【0013】
この支持マスクは、ヘルメットの外部から内部への気流の案内通路となるダクトに対して、適切に形成され、かつ嵌め合わせることができるものであり、通常、射出成形されるプラスチック材料(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性のポリウレタン(TPU)等)から形成されるプレート状の部材である。支持マスクは、例えば、ビス、ボルトまたは弾性的連結手段により構成される顎保護具との係合手段と、例えば、一部分が、前記衝撃吸収層を機械的に拘束するように設計されたストライカ、弾性タブ、または、その他の構成要素から形成されている顎保護具の衝撃吸収層の保持手段との両方を含んでいる。
【0014】
衝撃吸収層のためのこの支持マスクを用いることにより、通常、PUフォームのような被覆材料の薄い層を有するESPでは、前記衝撃吸収層をもはや重ね刷りする必要はない。
【0015】
しかしながら、上述したような支持マスクの障害物は、許容された取付方法で共に形成され、かつ拘束されなければならず、また、支持マスクの筐体を修正しなければならないため、ヘルメットのシェルの内装部品の設計を慎重に行う必要がある。
【0016】
特に、顎保護具の近くに配置される衝撃吸収層にパッドを固定する手段の配置および構造、すなわち、支持マスクの配置および構造は、注意深く検討されなければならない。
【0017】
加えて、最近製造されている保護ヘルメットにおいて、頭およびユーザの顔と衝撃吸収層(EPS)との間に挟まれるパッドは、通常、前記パッドの掃除や交換のため、どのパッドも衝撃吸収層からユーザがいつでも容易に着脱することができる一時的な連結手段により、この最後の層に拘束されることを言及しておく。
【0018】
より具体的には、パッドのこれらの一時的または可逆的な連結手段は、通常、パッドの対応する部分に形成される相補的なボタン、またはフックのためのストライカを有する衝撃吸収層に接着された固定プレートを備えている。
【0019】
当業者にとって明らかなように、通常、ポリスチレンフォームからなる衝撃吸収層に接着される固定プレートと、一時的な連結手段として、パッドに装着される対応するスナップボタン(クリップ)または他の連結のタイプとの使用は、処理、パッケージ、または、衝撃吸収層または快適パッドのいずれか一方に対する種々の部品の組み付けが、依然として要求される。これらは、通常、非常に高価なことが分かっており、また、超過時間を確保した単純な組立作業による実用的な精度が要求される。
【0020】
本発明の目的は、上述した先行技術の問題の少なくとも一部を解決した、上述のタイプの保護ヘルメットを提供することにある。
【0021】
従って、本発明の目的は、顎保護具に接近して配置されるヘルメットの内側のパッドの少なくとも一部を、効果的かつ簡単に一時的に(可逆的に)連結することのできる、顎保護具の衝撃吸収層のための支持マスクを有する保護ヘルメットを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、より少ない部品で足り、顎保護具の内側の仕上がりおよび形状の選択の幅が広く、経済的で短時間に製造することができる顎保護具を備える保護ヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらおよびそれ以外の目的は、請求項1およびその従属請求項に係る保護ヘルメットによって達成される。
【0024】
すなわち、本発明に係る保護ヘルメットは、顎保護具およびバイザーのための開口部を有するシェルと、前記シェルおよび前記顎保護具の内側に連結される1つ以上の衝撃吸収層と、前記衝撃吸収層の内側の1つ以上のパッドと、前記顎保護具の前記衝撃吸収層のための少なくとも1つの支持マスクとを備えている。また、この支持マスクは、前記顎保護具の前記衝撃吸収層の保持手段と、前記顎保護具に対する係合手段とを備えている。
【0025】
また、支持マスクは、少なくとも1つのパッドの一時的連結手段を備えていると有利である。
【0026】
前記顎保護具の前記衝撃吸収層の支持マスクにおいて、前記パッドの一時的連結手段の統合、特に、ユーザの頬に当接するこれらの組は、前記顎保護具に近接して配置される前記パッドのヘルメットに対する拘束の設計を簡単なものとし、使用に際して非常に有効かつ安定した前記一時的連結手段を提供する。なぜなら、これらの連結手段を前記シェルに接着する操作を必要としないからである。また、部品点数および製造時の組み立て工数は減少する。
【0027】
本発明の好適な局面として、前記パッドの一時的連結手段を、相補部品を弾性連結するタイプ、または、前記支持マスクの一部の部品同士を幾何学的に嵌め合わせるタイプとすることができる。
【0028】
例えば、前記一時的連結手段を、それぞれが1つのパッドと前記支持マスクとに統合される、少なくとも1つのフックおよび対応するストライカとで構成することができる。
【0029】
前記顎保護具の衝撃吸収層の前記支持マスクに対する少なくとも1つのパッドの一時的連結手段は、これらの間の緩い連結結合(すなわち、ユーザにより容易に解除できる拘束)の場合、または、従来の固定方法(例えば、パッドおよび対応する衝撃吸収層に対するベルクロ(登録商標)の細片による固定方法)による結合の場合であっても、これらの部材間の安定した機械的固定(すなわち、ユーザにより容易に解除できない拘束)を行う必要はなく、対象となる前記パッドを一層容易かつ安価に組み付けることができ、また、このような固定に必要とされる部品点数を、有効に削減できることとなることに留意すべきである。
【0030】
さらに、本発明の他の観点によれば、前記支持マスクは、気流の通路のためのダクト、および/または、例えば、上部の気流のための下部ウインドスクリーンまたはディフューザのような、ヘルメットの付加的な外部付属品のための保持手段を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
添付図面を参照して、本発明の限定されない好適な一実施形態について説明する。
【0032】
【図1A】顎保護具の衝撃吸収層のための支持マスクを備える本発明の特有の構成の保護ヘルメットの概略側部断面図である。
【図1B】頭の頭蓋領域の側面の快適パッドを取り外した図1Aのヘルメットの部分断面図である。
【図2】前記衝撃吸収層を有する本発明の特有の構成の図1のヘルメットの顎保護具の衝撃吸収層のための支持マスクの正面図である。
【図3】顎保護具の衝撃吸収層がない図1の支持マスクの正面図である。
【図4】顎保護具に組み付けられた図1および図2の支持マスクの背面図である。
【図5】支持マスクの詳細な拡大背面図である。
【図6】衝撃吸収層を有する本発明の特有の構成の図1におけるヘルメットの顎保護具の衝撃吸収層のための支持マスクの領域の横断面図である。
【図7】中心線と平行な平面における図1のヘルメットの顎保護具の衝撃吸収層のための顎保護具を支持する領域の断面図であり、外部取入口を通過して顎保護具の内部ダクトを通り、バイザーの内側の面に風を通した後、ヘルメットの中を流れる気流を示す。
【図8】本発明の特有の構成の顎保護具の衝撃吸収層の支持マスクに対して、ユーザの頬(頬パッド)の裏地となるようにした側部パッドの一時的な連結手段を示す上述した各図の保護ヘルメットの縦断側面図であり、前記側部パッドが関連する支持マスクに連結されていない状態を示す。
【図9】図8におけるユーザの頬のパッドの側面図であり、上述した支持マスクに対する一時的連結手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、本発明に係るヘルメット100は、バイザーのための開口部103を規定するように形成され、例えば、ポリカーボネート(PC)から射出成形された公知の外側のシェル101と、開口部103の下に配置され、シェル101の他の部分に対して、一体または取り外し可能に、もしくは、取り外せない状態で固定されている、一般に顎保護具102と称される顎の保護部分とを備えている。
【0034】
ヘルメット100は、シェル101および顎保護具102の内側に固定され、ポリスチレンフォーム(EPS)のように、可能性のある衝撃を吸収するのに適した材料からなる1つ以上の層10、104、107を備えている。層10、104、107は、例えば、接着する部品または溝と、シェル101の内側に結合され、ユーザの頭と1つ以上の衝撃吸収層104、107との間に挟まれて配置されている1つ以上のパッド105、106との間に、強制的に拘束縮小されて固定される。具体的には、ヘルメット100は、製造上の理由から、ユーザの頭蓋骨を保護することを目的とするシェル101の部分の下に配置されている少なくとも1つの第1の均質な衝撃吸収層104と、ユーザの頬の領域に面する少なくとも2つの側部の衝撃吸収層107と、第1の衝撃吸収層104および2つの側部の衝撃吸収層107から離間し、顎保護具102の部分に対応して配置されている少なくとも1つの付加的な衝撃吸収層10とを備えている。
【0035】
顎保護具102の内面に接着可能な顎保護具102の衝撃吸収層10は、衝撃吸収層10を保持し、同じ顎保護具102またはシェル101の他の部分に容易に拘束されるように形成された適切な支持マスク1により、本発明に係る顎保護具102の内側に支持される。
【0036】
より詳細には、本発明の特有の観点によれば、衝撃吸収層10の支持マスク1は、特に図2〜図4を参照して、関連する衝撃吸収層10を収容して支持する領域を提供するように形成された前面5と、衝撃吸収層10のガイドとして機能する上部フレーム4および下部領域3と、相対的な弾性変形に従って部品を重畳させることにより、衝撃吸収層10を機械的に保持しうるタブ2a、2bとを備えている。
【0037】
前面5の特定の形状に加えて、タブ2a、2b、上部フレーム4および下部領域3は、顎保護具102の衝撃吸収層10の適切な保持手段を構成している。
【0038】
図7に示すように、支持マスク1の上部フレーム4は、適切な空気取入口を介して、ヘルメット100の外部からヘルメット100の内部に向かい、気流を直接取り入れる通路のためのダクトを一体的に有していてもよい。
【0039】
同時に、支持マスク1の下部領域3は、一体に形成されるか、または、シェル101の下縁部109と連結され、オートバイまたは完全に囲まれた枠を持たない移動手段で使用される際に、ウインドスクリーンのタブ、空力的流れのデフレクタ、ヘルメット100の通常使用時において発生する渦による騒音を減少させるための付属品のような、ヘルメット100の下部領域に任意に取り付けられる付属品を受入れることができる座部を有していてもよい。図4および図5に示すように、支持マスク1は、顎保護具102の内側に配置される適切な相補領域91a、91bに支持マスク1を係合するか、または、拘束する手段を構成する横の突出部9a、9bを備えている。相補領域91a、91bは、突出部9a、9bを幾何学的な嵌め合い連結により保持するように構成されている。顎保護具102の内面に対する支持マスク1の突出部9a、9bおよび相補領域91a、91b(係合手段)は、公知の拘束タイプ、並置/束縛タイプ、相補部品を弾性連結するタイプ、ねじ部分で螺合するタイプから選択することができる。
【0040】
なお、ここでは示されていない他の実施形態として、これらの係合手段を、支持マスク1を顎保護具102またはシェル101の他の部分に直接接着結合する1つ以上の層、または、衝撃吸収層10を挟み込むことによって構成することもできる。
【0041】
また、既に説明したように、支持マスク1に対して、さらなる外部付属品、例えば、突出部9a、9bを顎保護具102に係合する仕様に類似して、適切な機械的保持手段により支持マスク1に保持され、ヘルメット100の内側に向かう気流を拡散させる1つ以上のディフューザを取り付けてもよい。
【0042】
より詳細には、図7に示すように、シェル101の顎保護具102の部分における下縁部109の充填材と、支持マスク1の下部領域3との間の空洞部は、例えば、空力的付加物、ウインドスクリーンフラップ、または、ヘルメット100の下部領域3に囲まれるいかなる他の付属品を容易に固定できる成形加工されたタブを挿入する座部として機能させるようにしてもよい。
【0043】
さらに、図4、図5、図8、図9に具体的に示すように、支持マスク1は、内壁7に対応して、すなわち、ユーザの顎に面する壁に対応して、上述したパッド105、106の少なくとも1つを一時的または可逆的に固定することを目的とする手段6a、8a、61a、6b、8b、61bを備えている。
【0044】
ここで説明する実施形態における一時的に連結するこの手段は、中央部にヘルメット100の内側に向かって突出するフランジ6a、6bのある挿入スロット61a、61bと、少なくとも1つの対応するパッド106に形成される相補的なフックまたはフォーク108a(図8および図9)に係合するピンまたはストライカ8a、8bとから構成されている。
【0045】
図8および図9において、支持マスク1の対応する端部への側部のパッド106(頬パッド)の連結と、その側部のパッド106とをそれぞれ詳細に示すように、フォーク108aは、パッド106の前部に固定されるプラスチックのタブからなり、係合のために挿入スロット61aの中に挿入され、対応するピン8aとの安定した機械的締結または緩い連結を達成する。
【0046】
各フォーク108aと、対応するピン8a(8b)との係合は、パッド106と支持マスク1との直接的な機械的固定を容易にするため、例えば、弾性的なタイプとすることができ、また、例えば、フォーク108aを所定方向に引き抜くことができるフックのような緩いタイプとすることができる。
【0047】
後者の場合、既に説明したように、パッド106をヘルメット100のシェル101に固定するため、クリップまたはベロクロ(登録商標)の細片のように、公知のパッド106の締結手段を、対応する衝撃吸収層107に配置する必要がある。
【0048】
なお、パッド106と支持マスク1との連結は、たとえ緩くても、パッド106自体を保護するのに必要な部品点数を有効に減らし、かつパッド106を容易に組み付けることができるものであることに留意すべきである。
【0049】
本発明の実施形態では示していないが、他の実施形態として、少なくとも1つのパッド106のための一時的または可逆的な連結手段は、スナップボタン、クリップ等のような相補的な部品の弾性連結タイプ、または、ボタンとボタン孔のような対になる係合タイプ、または、支持マスク1とパッド106の対応する部分にそれぞれ配置されている雌雄のベロクロ(登録商標)の細片を備えるタイプとすることができる。
【0050】
また、これらの連結手段は、ガイドおよびガイド内の係合スライド、または、緩い連結の他の公知のタイプ、すなわち、ここでは論じていないが、少なくともある程度の自由度を有するタイプをもって構成することができる。
【0051】
本発明の特有の観点によれば、ヘルメット100は、少なくとも1つのパッド106または1対のパッド106が、顎保護具102、より具体的には、衝撃吸収層10のための対応する支持マスク1が当接するまでヘルメット100を装着したときに、実質的にユーザの頬に当接して、バイザーのための開口部103の側部の少なくとも一部を覆うように、互いに接する複数のパッド105、106を備えていてもよい。
【0052】
この場合、顎保護具102の衝撃吸収層10を支持する支持マスク1の一時的な連結手段6a、8a、61a、6b、8b、61bは、ユーザの頬に当接するのに適した側部のパッド106を保持するように設計される。
【0053】
最後に、公知の技術により、支持マスク1を、射出成形により、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、または、ポリウレタン(TPU)から形成することができる。
【0054】
ここで説明する本発明の特有の実施形態によれば、ユーザの頭蓋領域の内側の衝撃吸収層104を、外側のシェル101の中に挿入した後、先ず、衝撃吸収層10が、保持手段(下部領域3、上部フレーム4)により支持マスク1の上に支持され、特に、タブ2a、2bにより、衝撃吸収層10の対応する部分が保持され、顎保護具102の衝撃吸収層10のための支持マスク1の組立体が得られる。この結果、衝撃吸収層10を有する支持マスク1は、上述した顎保護具102の内側の相補領域91a、91bと連結する突出部9a、9bにより、顎保護具102に係合される。
【0055】
最後に、シェル101の内側の形状と同様に、シェル101の内側に対する後部支持面と、支持マスク1に対する前面との間で、力の適合連結(強制的な拘束)が達成されることにより、ユーザの頬を保護する衝撃吸収層107は、支持マスク1と衝撃吸収層104との間に挿入され、その結果、ヘルメット100の内側に衝撃吸収層107が最終的に固定され、ヘルメット100の組立体が得られる。
【0056】
この時点で、シェル101の頭蓋領域のパッド105を、対応する衝撃吸収層104、107に拘束させることができる。引き続き、側部のパッド106を、一時的な連結手段6a、8a、61a、6b、8b、61b、108aにより、同じ支持マスク1に位置決めして係合させることができる。このようにして、ヘルメット100の内部部分は完全に組み立てられる。
【0057】
以上のことから明らかなように、緩い一時的な連結手段の場合、すなわち、側部のパッド106のシェル101に対する完全な機械的締結が規定されない場合、このような方法は、いかなる場合においても、パッド106の取り付けを容易とし、衝撃吸収層107とパッド106の内壁との間の弾性クリップまたはベロクロ(登録商標)の細片のような固定要素の数は減少させられる。
【0058】
なお、パッド106を支持マスク1に直接係合させることにより、パッド106は支持マスク1に機械的に固定される。この場合、弾性連結により、シェル101の内壁にパッド106を直接係合する手段は不要となり、これにより、ヘルメット100を安価に製造することができ、また、構成および組み立てが簡単になる。
【符号の説明】
【0059】
1 支持マスク
2a、2b タブ
3 下部領域
4 上部フレーム
5 前面
6a、8a、61a、6b、8b、61b 手段
8a、8b ピン(ストライカ)
7 内壁
9a、9b 突出部
61a、61b 挿入スロット
10、104、107 衝撃吸収層
91a、91b 相補領域
100 ヘルメット
101 シェル
102 顎保護具
103 開口部
105、106 パッド
108a フック(フォーク)
109 下縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顎保護具(102)およびバイザーのための開口部(103)を有するシェル(101)と、
前記シェル(101)および前記顎保護具(102)の内側に設けられた1つ以上の衝撃吸収層(104、107、10)と、
1つ以上の前記衝撃吸収層(104、107、10)の内側に配置された1つ以上のパッド(105、106)と、
前記顎保護具(102)の衝撃吸収層(10)のための少なくとも1つの支持マスク(1)とを備え、
少なくとも1つの前記支持マスク(1)は、
前記顎保護具(102)の衝撃吸収層(10)の保持手段(3、4、5、2a、2b)と、
前記顎保護具(102)および/または前記シェル(101)に対する係合手段(9a、9b)とを含み、
少なくとも1つの前記支持マスク(1)は、さらに、前記パッド(105、106)の中の少なくとも1つのパッド(106)のための一時的連結手段(6a、8a、61a、6b、8b、61b、108a)を含むことを特徴とする保護ヘルメット(100)。
【請求項2】
前記一時的連結手段(6a、8a、61a、6b、8b、61b、108a)は、緩いタイプであることを特徴とする請求項1に記載の保護ヘルメット。
【請求項3】
前記一時的連結手段(6a、8a、61a、6b、8b、61b、108a)は、少なくとも1つの前記支持マスク(1)に対して、1つ以上の前記パッド(105、106)を機械的に締結するものであることを特徴とする請求項1に記載の保護ヘルメット。
【請求項4】
前記一時的連結手段(6a、8a、61a、6b、8b、61b、108a)は、相補的な部品の弾性連結タイプ、対になる係合タイプ、または、雌雄のベロクロ(登録商標)の細片を備えるタイプであることを特徴とする請求項3に記載の保護ヘルメット。
【請求項5】
前記一時的連結手段(6a、8a、61a、6b、8b、61b)は、1つ以上の前記パッド(105、106)に統合される相補的係合手段(108a)と係合する1つ以上のストライカ(8a、8b)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれ1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項6】
少なくとも1つの前記支持マスク(1)に一時的に固定される1つ以上の前記パッド(106)は、ユーザの頬に当接する前記開口部(103)の側部に配置されているパッドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項7】
少なくとも1つの前記支持マスク(1)の前記顎保護具に対する係合手段(9a、9b)は、一体に形成され、および/または、前記シェル(101)および/または前記顎保護具(102)の内側に統合される拘束タイプ、並置タイプ、または、相補部分(91a、91b)の弾性連結を備えるタイプであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項8】
前記顎保護具(102)の衝撃吸収層(10)を保持するための保持手段(3、4、5、2a、2b)は、
前記顎保護具(102)の衝撃吸収層(10)のための1つ以上の形成された支持領域(3、4、5)と、
前記顎保護具(102)の衝撃吸収層(10)の対応する部分による1つ以上の保持要素(2a、2b)とを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項9】
少なくとも1つの前記支持マスク(1)は、気流の通路のためのダクト(4)を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項10】
少なくとも1つの支持マスク(1)は、ヘルメット(100)の付加的な外部付属品のための保持手段を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項11】
少なくとも1つの支持マスク(1)は、射出成形されるプラスチック材料(PE、PPまたはTPU)から形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。
【請求項12】
前記顎保護具(102)は、前記シェル(101)と一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の保護ヘルメット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−72540(P2012−72540A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−210601(P2011−210601)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(502336829)オプティコス エス・アール・エル (7)
【Fターム(参考)】