説明

保護体及びこれを備えた刈払機

【課題】全体の軽量化を達成しながら、さらに、交換の際の経済的な負担を軽減することのできる保護体、及びこれを備えた刈払機を提供する。
【解決手段】本発明の保護体Aを、刈払機Bの駆動軸2が挿通された状態で駆動軸2と共に一体回転するように装着される押え金具3と、駆動軸2の下端部を収容するように形成した合成樹脂製の保護部5と、押え金具3および保護部5を着脱自在に結合させる結合構造とを備え、押え金具3を保護部5に結合させた状態で、保護部5を駆動軸2と一体に回転させることを特徴としたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機の駆動軸に装着して用いる保護体に関する。
【背景技術】
【0002】
刈払機の駆動軸に装着する保護体として、刈払機の駆動軸と一体回転するように装着される押え金具と、合成樹脂製の保護部とを、一体に成形したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような保護体によれば、押え金具は高強度部材としたうえで、保護部を樹脂製として全体の軽量化を達成することができる。
【0003】
しかし、上記のように、押え金具と合成樹脂製の保護部とを一体化させた場合、押え金具の交換時期と、保護部の交換時期との間に、使用にともなって大きな差が生じるという問題がある。つまり、合成樹脂製である保護部が磨耗等して交換時期に至れば、高強度の押え金具自体が交換時期に至っていなくとも、その保護体全体を新しいものに交換する必要があり、不経済であるという問題である。
【0004】
また、状況に応じて多様な保護体を使い分けようとする場合にも、それぞれ専用の保護体を用意して丸ごと交換する必要があり、その点においてもやはり不経済であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−295465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題を解決すべく発明されたものであって、全体の軽量化を達成しながら、交換の際の経済的な負担を軽減することのできる保護体を提供することを、課題とする。さらに、この保護体を備えた刈払機を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の保護体Aを、刈払機Bの駆動軸2が挿通された状態で駆動軸2と共に一体回転するように装着される押え金具3と、駆動軸2の下端部を収容するように形成した合成樹脂製の保護部5と、押え金具3および保護部5を着脱自在に結合させる結合構造とを備え、押え金具3および保護部5を結合させた状態で、保護部5を駆動軸2と一体に回転させるように設けたものとする。
【0008】
このようにすることで、押え金具3と保護部5の一方が先に交換時期に至れば、押え金具3と保護部5を分離してその一方を新品に交換したうえで再度結合させ、使用することができる。また、状況に応じて保護部5を適宜のものに交換して使用することもできる。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明の保護体Aを、刈払機Bの駆動軸2が挿通された状態で駆動軸2と一体回転するように装着される押え金具3と、インサート成形により押え金具3と一体に成形した合成樹脂製の金具保持体30と、駆動軸2の下端部を収容するように形成した合成樹脂製の保護部5と、金具保持体30および保護部5を着脱自在に結合させる結合構造とを備え、金具保持体30および保護部5を結合させた状態で、保護部5を駆動軸2と一体に回転させるように設けたものとしてもよい。
【0010】
このようにすることで、金具保持体30(押え金具3)と保護部5の一方が先に交換時期に至れば、金具保持体30と保護部5を分離してその一方を新品に交換したうえで再度結合させ、使用することができる。また、状況に応じて保護部5を適宜のものに交換して使用することもできる。また、押え金具3側に結合構造を設けなくてよいから、金属製である押え金具3自体は極力コンパクトにして、保護体A全体のさらなる軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0011】
本発明の保護体Aにおいて、押え金具3は、刈払機Bが有する受け金具10との間で回転刃1を挟持し、駆動軸2と一体に回転刃1を回転させるものであることが好ましい。これによれば、高強度の金具3,10同士で確実に挟持した回転刃1によって、草刈り作業を行うことができる。
【0012】
また、本発明の保護体Aにおいて、保護部5は、ロープカッター7を一体回転させるものであることも好ましい。これによれば、保護部5と共に一体回転するロープカッター7を用いて、コンクリート壁のような障害物近くにおいても、安全に草刈り作業を行うことができる。
【0013】
また、本発明の保護体Aにおいて、保護部5は、地表面Eに摺接するものであることも好ましい。これによれば、樹脂製であって軽量の保護部5を接地体として利用し、安定した姿勢を長時間にわたって維持することができるので、草刈り作業の負荷が大幅に軽減される。
【0014】
そして、上記課題を解決するため、本発明の刈払機Bを、上記構成から成る保護体Aを備えたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、刈払機の駆動軸に装着する保護体の軽量化を達成しながら、さらに、交換の際の経済的な負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における第1例の保護体を取り付けた状態の刈払機を示す要部側断面図である。
【図2】同上の保護体の押え金具を取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】同上の刈払機の斜視図である。
【図4】同上の保護体に用いる別形態の保護部を示す斜視図である。
【図5】同上の押え金具の着脱構造の変形例を示す斜視図である。
【図6】同上の押え金具の着脱構造の他の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における第2例の保護体を取り付けた状態の刈払機を示す要部側断面図である。
【図8】同上の保護体の金具保持体を取り外した状態を示す斜視図である。
【図9】同上の金具保持体に配する押え金具を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、本発明の実施形態における第1例の保護体Aおよびこれを備えた刈払機Bについて説明する。図1には、第1例の保護体Aを刈払機Bに取り付けた状態を示している。図2は保護体Aの斜視図であり、図3は刈払機Bの斜視図である。
【0019】
刈払機Bは、中空の主軸14の内部に回転軸32を挿通させたものであり、回転軸32の先端部には水平回転伝導部を構成している。水平回転伝導部からは駆動軸2(図1参照)を垂下しており、該駆動軸2に対して、下方からの締め手段によってチップソー等の回転刃1を取替え可能に取付けている。
【0020】
刈払機Bの主軸14の途中には、ハンドル13を設けている。また主軸14の基端側にはエンジン15を搭載しており、エンジン15の駆動によって回転軸32、水平回転伝導部、駆動軸2を介して回転刃1が回転駆動される。主軸14には、さらに安全カバー16と肩紐12を取り付けており、肩紐12を肩に掛けたうえでハンドル13を持ち、刈払機Bを左右に揺動させながら草刈りを行う。
【0021】
第1例の保護体Aは、回転刃1を刈払機Bに取り付け、且つ、駆動軸2や回転刃1と共に回転して地表面Eに摺接するものである。保護体Aは、刈払機Bの駆動軸2を挿通させて取り付ける円筒状の押え金具3と、押え金具3に挿通された駆動軸2の下端部(後述の雄ネジ部19)を収容する凹所4を内部に有する保護部5とで、形成される。
【0022】
保護部5は、軽量であるとともに十分な強度を有する合成樹脂製の部材であり、上下に貫通する筒状部40と、該筒状部40の下端部分から外周方向に延設される椀状部41とから成る。この合成樹脂製の保護部5に、押え金具3を着脱自在に結合させている。
【0023】
保護部5の底部は、筒状部40の下端部分と椀状部41の基端部分とから成る部分であり、この部分が、他の厚みよりも厚く形成した耐磨耗部11となっている。耐磨耗部11の上部(椀状部41の基端部分の上部)には、寿命確認用の凹所33を、周方向に間隔をあけて複数形成している。耐磨耗部11はその底面を地表面Eと摺接させる部分であるから、この耐磨耗部11が底側から一定以上磨耗すると、凹所33が耐磨耗部11の底側に露出するようになり、これを目視にて確認することで、保護部5が交換時期にあることを使用者が知ることになる。
【0024】
保護部5と押え金具3は、ネジ式の着脱構造によって一体化される。保護部5の上下に貫通した筒状部40の内周面は、凹所4を囲む下部内周面42とこれより大径の上部内周面43とを、段差44を介して上下に連続させたものであり、上部内周面43に雌ネジを形成している。円筒状をなす押え金具3の外周面45には、この雌ネジと螺合する寸法形状の雄ネジを形成している。保護部5の筒状部40の上部開口内に押え金具3を嵌め込んで下方に螺進させてゆくと、押え金具3は、段差44に当接する所定位置にて保護部5に隙間なく装着され、一体化される。
【0025】
刈払機Bの駆動軸2の下端部には雄ネジ部19を形成しており、該雄ネジ部19の上側には、スプライン軸部18を形成している。駆動軸2のスプライン軸部18には、刈払機B側に備品として備えてある受け金具10の、中央のスプライン孔20を嵌合させている。
【0026】
保護体Aを用いて回転刃1を取り付けるに際しては、まず、受け金具10の下面に設けてある受け面27に、回転刃1の上面を当接させる。このとき、受け金具10の下面中央部から突設したボス22は、回転刃1が中央に有する円形の挿通孔21に嵌合させる。受け金具10のボス22よりも外周側の部分が、回転刃1を取り付けるための受け面27となる。
【0027】
そして、保護体Aの押え金具3が中央に有する挿通孔23内に、駆動軸2を挿通させる。駆動軸2の雄ネジ部19は、押え金具3の挿通孔23を通じて凹所4内にまで突出するので、凹所4内にて、駆動軸2の雄ネジ部19に対してナット24を下方からねじ込むことができる。
【0028】
ナット24の上方へのねじ込みによって、押え金具3(ひいては保護体Aの全体)に上方への押圧力が加えられる。該押圧力によって、回転刃1は、受け金具10の受け面27と、押え金具3の上面である回転刃取付面8との間で、挟持固定される。
【0029】
上記構成から成る第1例の保護体Aによれば、その上端部分に位置する押え金具3によって、同じく金属製である受け金具10との間で回転刃1を強固に挟持固定することができる。
【0030】
しかも、駆動軸2の下端部を収容する保護部5は合成樹脂製の部材であり、十分な強度を保持しながらも金属に比較して非常に軽量なものとして成形されているので、使用者にとっては、軽量の保護部5を接地部として利用し(つまり、保護体Aを接地体として利用し)、これを地表面Eに摺接させながら草刈り作業を楽に行うことができる。
【0031】
ところで、第1例では、保護部5を形成する筒状部40の下側部分と、椀状部41の先端部分とに、それぞれ通孔6を形成し、各通孔6内に、合成樹脂製である柔軟な紐状のロープカッター7を挿通させている。ロープカッター7の端部には、かしめ等にて大径部25を形成しており、この大径部25を筒状部40の下部内周面42に係止させることで、ロープカッター7の抜止めを図っている。
【0032】
ロープカッター7を保護部5から外すときには、下方に開口する凹所4側から手を挿し入れ、大径部25を持ってロープカッター7を通孔6から抜き出せばよい。また、ロープカッター7を通孔6に挿通する作業も、凹所4側から行うことができる。上記のように、本例では保護部5の凹所4側からロープカッター7の交換を行えるように設計してあるが、ロープカッター7を取り替え可能とする構成としては、種々の設計が採用可能である。
【0033】
上記保護体Aによれば、回転刃1とロープカッター7とを併用することができる。併用に際して、ロープカッター7の回転軌跡を回転刃1の回転軌跡よりも大きくし、ロープカッター7の先端部が回転刃1よりも外側を通過するように設けている。したがって、回転刃1をコンクリート壁のような壁際や石塊等の障害物に接触させることなく、柔軟なロープカッター7によって障害物の近くの草を安全に刈り取ることができる。このとき、地表面Eに摺接する保護体Aが、ロープカッター7と回転刃1をそれぞれ地表面Eから所定の高さに維持する。
【0034】
また、上記保護体Aによれば、回転刃1を取り外してロープカッター7のみで草を刈り取ることもできる。押え金具3の回転刃取付面8より内周側には、回転刃1を外したときに保護体Aが取り付けられる保護体取付面9を、段差を介して回転刃取付面8より下方に形成している。刈払機B側の受け金具10に形成してあるボス22の下面が、受け面27よりも一段低い保護体受け面28となっている。
【0035】
図1に示すように、回転刃1を取り付けたとき、受け金具10の保護体受け面28と押え金具3の保護体取付面9との間には、ギャップGが形成される。このギャップGは、回転刃1の厚みよりも薄くなるように設けている。したがって、回転刃1を外して保護体Aを取り付けたとき、押え金具3はギャップG分だけ保護体A側に近づき、押え金具3の保護体取付面9が受け金具10の保護体受け面28に当接する。この状態で保護体Aを取り付ければ、ロープカッター7のみの草刈りが可能となる。また、回転刃1だけでの草刈りも可能であることは、勿論である。
【0036】
そして、上記保護体Aでは、刈払機Bの駆動軸2が挿通された状態で刈払機Bに装着される押え金具3と、駆動軸2の下端部を収容するように形成した合成樹脂製の保護部5とを、ネジ式で着脱自在に設けてあるので、合成樹脂製である保護部5が地表面Eとの摺接により磨耗し、凹所33が底面側に貫通して交換時期にあることを知ったときには、保護部5だけを新しいものに交換することができる。つまり、いまだ交換時期に至っていない押え金具3側は交換する必要がないため、コストを抑制することができる。押え金具3側が交換時期に至れば、今度は保護部5側をそのまま残し、押え金具3だけを交換すればよい。
【0037】
さらに、上記保護体Aによれば、状況に応じて保護部5を使い分けることもできる。この場合、例えば保護部5として、寸法形状や材質の違うものを用意し、適宜使い分けることができる。
【0038】
図4には、別形態の保護部5を示している。この保護部5では、椀状部41の外周縁部分41aを立ち上げるように形成し、この外周縁部分41aの全周にわたって、径方向外側に開口する凹溝46を形成している。椀状部41側の通孔6は、凹溝46の底面に開口させている。また、椀状部41の上面には、椀状部41の外周縁部41aとこれの内側に位置にする筒状部40とをつなぐ挿通路47を、一対形成している。上記挿通路47は、筒状部40側と椀状部41側の通孔6を1対1で連通させる通路である。この保護部5では、挿通路47によってロープカッター7を挿通する際の案内を行い、使用者がより簡単にロープカッター7の交換作業を行えるようにしている。
【0039】
また、保護部5として、ロープカッター7を装着する構造を有さない回転刃1専用のものと、ロープカッター7専用のものを用意し、適宜使い分けることもできる。ロープカッター7専用のものとしては、ロープカッター7が内部に巻装してあり、使用によってロープカッター7の先端が磨り減ったときには、底面中央のクラッチ部で地表面Eを叩いてロープカッター7を伸ばすことのできる周知構造のものを用いることも好適である。
【0040】
図5、図6には、押え金具3と保護部5を着脱自在に結合させる結合構造の変形例を示している。この変形例では、上記ネジ式でなく嵌合式の結合構造を採用している。ここでは、通孔6や凹所33を備えないタイプの保護部5を示している。
【0041】
図5の結合構造においては、円筒状の押え金具3の外周面45に、周方向に間隔をあけて複数の凹所50を形成しており、保護部5を形成する筒状部40の上部内周面43には、押え金具3側の凹所50が1対1で嵌合する箇所にそれぞれ凸部51を形成している。つまり、凹所50と凸部51の嵌合により押え金具3と保護部5は着脱自在に一体化されるのだが、押え金具3側が凸、保護部5側が凹となって嵌合する構造であってもよい。
【0042】
図6の結合構造においては、円筒状の押え金具3に、径方向に貫通する係合孔55を、周方向に間隔をあけて複数形成してある。保護部5を形成する筒状部40の外周面からは、先端が外側に広がるように弾性片56を一体に延出している。弾性片56は、その先端部が押え金具3側の係合孔55に内側から嵌入するように、周方向に間隔をあけて配置されている。つまり、合成樹脂製である弾性片56の先端部が係合孔55内に嵌合することで、押え金具3と保護部5は着脱自在に一体化される。なお、これらに限らず他の結合構造を採用してもよいことは勿論である。
【0043】
次に、本発明の実施形態における第2例の保護体Aおよびこれを備えた刈払機Bについて説明する。図7には、第2例の保護体Aを刈払機Bに取り付けた状態を示している。図8には保護体Aを示し、図9には保護体Aに備えた押え金具3を示している。以下においては、第1例と同様の構成についての詳しい説明を省略し、第1例とは相違する特徴的な構成についてのみ詳述する。
【0044】
第2例の保護体Aでは、駆動軸2を挿通した状態で刈払機Bに装着される押え金具3を、インサート成形により、合成樹脂製である円筒状の金具保持体30と一体に成形している。この金具保持体30と保護部5は、ネジ式の着脱構造によって一体化される。
【0045】
ここでのネジ式の着脱構造は、第1例にて押え金具3と保護部5を一体化させたネジ式の着脱構造と同様の構造である。つまり、保護部5を形成する筒状部40の上部内周面43に雌ネジを形成し、円筒状をなす金具保持体30の外周面31には、この雌ネジと螺合する寸法形状の雄ネジを形成している。保護部5を形成する筒状部40の上部開口内に金具保持体30を嵌め込んで下方に螺進させると、金具保持体30は、筒状部40の段差44に当接する所定位置にて保護部5に隙間なく装着され、一体化される。
【0046】
上記構成から成る第2例の保護体Aによれば、その上端部分に露出する押え金具3によって、刈払機B側に備えてある受け金具10との間で、回転刃1を強固に挟持固定することができ、また、回転刃1とロープカッター7とを併用することもできる。
【0047】
第2例の押え金具3には、段付きの貫通孔17を、周方向に間隔を隔てて複数個形成している(図9参照)。各貫通孔17内には、インサート成形時に金具保持体30の合成樹脂部分35(図7参照)が充填される。これにより、押え金具3と金具保持部30との接続強度は十分なものとなる。
【0048】
以下においては、押え金具3と金具保持体30の構成について、さらに詳述する。
【0049】
図9に示すように、第2例の押え金具3は、プレス成型によって段差を形成した皿状の金属製部材である。押え金具3の一段高く設けた外周上縁部には、他よりも高い環状部34を形成している。該環状部34の上面が、回転刃1を取り付けるための回転刃取付面8となる。
【0050】
環状部34の内径Fは、刈払機B側の備品である受け金具10のボス22の外径と等しく設けており、環状部34の内周面がボス22の外周面に全周にわたって当接することで、保護体Aの芯出しを行う。
【0051】
押え金具3の貫通孔17内に導入した合成樹脂部分35の上面は、環状部34の回転刃取付面8と略面一となるように成形する。また、貫通孔17の孔縁と、環状部34の上部外縁には、面取りによってテーパー38を形成している。このテーパー38に合成樹脂が回り込むことで、押え金具3と保護部5との結合強度がさらに高められる。
【0052】
環状を成す回転刃取付面8の径方向中間部には、隣接する貫通孔17同士を周方向につなぐように、当接リブ36を隆起させている。当接リブ36の高さは0.02mm程度であるが、適宜に変更可能である。
【0053】
つまり、隣接する当接リブ36、36間には、回転刃取付面8と略面一であって当接リブ36の高さ分だけ低くなった合成樹脂部分35の頂面が存在することになる。当接リブ36は、貫通孔17(合成樹脂部分35)によって周方向に分断されて弧状を成すが、当接リブ36全体としては環状に形成される。
【0054】
したがって、仮にプレス成型時や貫通孔17の打ち抜き加工時において押え金具3に歪が生じ、回転刃取付面8に歪が発生していたとしても、回転刃取付面8よりも一段高く且つ環状に成形された当接リブ36は、回転刃1に対して安定的に当接する。当接リブ36の回転刃1下面に対する当接が安定することで、回転刃1の取り付けが良好に行われる。
【0055】
図7に示すように、回転刃1を取り付けたとき、受け金具10の保護体受け面28と押え金具3の保護体取付面9との間にはギャップGが形成され、回転刃1を外して保護体Aを取り付けたときには、押え金具3の回転刃取付面8より一段低い保護体取付面9が、受け金具10の保護体受け面28に当接する。回転刃1を外した状態で保護体Aを取り付ければ、第1例の場合と同様に、ロープカッター7のみの草刈りが可能となる。
【0056】
そして、第2例の保護体Aでは、押え金具3をインサート成形した合成樹脂製の金具保持体30と、駆動軸2の下端部を収容するように形成した同じく合成樹脂製の保護部5とを、ネジ式で着脱自在に設けてあるので、保護部5が磨耗して凹所33が底側から露出する段階になったときには、押え金具3と一体になった金具保持体30だけを交換すればよく、コストが抑制される。
【0057】
また、押え金具3側に結合構造を設けなくてよいから、押え金具3自体は極力小型化することができ、押え金具3側に結合構造を設けた第1例と比較しても、保護体A全体のさらなる軽量化および低コスト化が達成される。
【0058】
さらに、第2例の保護体Aによれば、状況に応じて保護部5を使い分けることもできる。この保護部5の使い分けも第1例の場合と同様であり、寸法形状、材質が違うものや、回転刃1専用のものや、ロープカッター7専用のものを用意して、適宜使い分けることが好ましい。
【0059】
また、金具保持体30と保護部5を着脱自在に結合させる結合構造についても、ネジ式に限らず、第1例の図5、図6に示したものと同様の嵌合式の結合構造を採用してもよいし、さらに他の結合構造を採用してもよい。
【0060】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 回転刃
2 駆動軸
3 押え金具
5 保護部
7 ロープカッター
10 受け金具
30 金具保持体
A 保護体
B 刈払機
E 地表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機の駆動軸が挿通された状態で駆動軸と共に一体回転するように装着される押え金具と、駆動軸の下端部を収容するように形成した合成樹脂製の保護部と、押え金具および保護部を着脱自在に結合させる結合構造とを備え、押え金具および保護部を結合させた状態で、保護部を駆動軸と一体に回転させるように設けたことを特徴とする保護体。
【請求項2】
刈払機の駆動軸が挿通された状態で駆動軸と共に一体回転するように装着される押え金具と、インサート成形により押え金具と一体に成形した合成樹脂製の金具保持体と、駆動軸の下端部を収容するように形成した合成樹脂製の保護部と、金具保持体および保護部を着脱自在に結合させる結合構造とを備え、金具保持体および保護部を結合させた状態で、保護部を駆動軸と一体に回転させるように設けたことを特徴とする保護体。
【請求項3】
押え金具は、刈払機が有する受け金具との間で回転刃を挟持し、駆動軸と一体に回転刃を回転させるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の保護体。
【請求項4】
保護部は、ロープカッターを一体回転させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の保護体。
【請求項5】
保護部は、地表面に摺接させるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の保護体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載の保護体を備えていることを特徴とする刈払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−167075(P2011−167075A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30849(P2010−30849)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(300014462)株式会社北村製作所 (9)
【Fターム(参考)】