説明

保護帽

【課題】 長時間にわたり熱中症を予防でき、頭部を長時間冷却できる保護帽を提供する。
【解決手段】 保護帽1は、頭部を覆う本体部10と、本体部10の内部に着脱自在に配設され、本体部10を被る頭部に装着される装着体12と、本体部10の内部に配設され、頭部を冷却する冷却ジェル16と、冷却ジェル16を本体部10の内部に配設するために冷却ジェル16と共に本体部10の内周面10cと装着体12との間に着脱自在に配設され、冷却ジェル16が取り付けられている網目状の冷却ジェル取り付け用ネット18と、 を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場などの安全対策に用いられる保護帽であって、例えば熱中症等から頭部を保護するために冷却ジェルを備える保護帽に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば屋外の工事現場等では、作業者は外部からの衝撃から頭部を保護するためにヘルメットを被る必要がある。ヘルメットを被る作業が夏場の炎天下において長時間行われると、ヘルメット内の温度が上昇し、ヘルメット内が蒸れてしまい、頭部の体温が上昇してしまう。これによりヘルメットを被る作業者は、熱中症等に至る虞が生じる。そのため、作業者は、水などで濡らしたタオルを頭部に巻いて頭部を冷やし、その上でヘルメットを被ることで、熱中症等を予防している。
【0003】
例えば特許文献1には、ヘルメットや帽子の内側に入れて頭部を冷やす頭部冷却用の冷却材と、この冷却材の収容部を有するヘルメットと帽子が開示されている。
【0004】
また例えば特許文献2には、ヘルメットの保護機能を何ら損なうことなくヘルメットを被った作業者の頭部を効果的に冷やすことができるヘルメット用冷却帽が開示されている。
【0005】
また例えば特許文献3には、安全ヘルメットの着用を、義務付けられた場所で、暑さに依る意識の衰えを冷却具装着に依り防ぎ、頭脳を冷静に保つための安全ヘルメット冷却具が開示されている。
【0006】
また例えば特許文献4には、内部を冷却することにより、夏場の暑い場所でも着用者のコンディションを最適に維持することができるヘルメットが開示されている。
【特許文献1】特開2005−273119号公報
【特許文献2】特開平10−298815号公報
【特許文献3】特開平10−130933号公報
【特許文献4】登録実用新案第3048903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、夏場の炎天下の屋外の工事現場等において、作業者は水に濡れたタオルを頭部に巻き、ヘルメットを被ると、タオルは直ぐに乾いてしまう。そのため長時間にわたって熱中症を予防することは困難を極め、熱中症を一時的にしか予防できない虞が生じる。また夏場の炎天下では、タオルは直ぐに乾いてしまうため、頭部を冷却する効果も長時間維持できない虞が生じる。
【0008】
そのため本発明は、上記事情に鑑み、長時間にわたり熱中症を予防でき、頭部を長時間冷却できる保護帽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は目的を達成するために、頭部を覆う本体部と、前記本体部の内部に着脱自在に配設され、前記本体部を被る前記頭部に装着される装着体と、前記本体部の内部に配設され、前記頭部を冷却する冷却ジェルと、前記冷却ジェルを前記本体部の内部に配設するために前記冷却ジェルと共に前記本体部の内周面と前記装着体との間に着脱自在に配設され、前記冷却ジェルが取り付けられている網目状の冷却ジェル取り付け用ネットと、を具備することを特徴とする保護帽を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長時間にわたり熱中症を予防でき、頭部を長時間冷却できる保護帽を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態における保護帽の概略構成図である。図2は、冷却ジェルが取り付けられているネットを広げた際の図である。
【0012】
保護帽1は、例えば工事現場で働く作業者の図示しない頭部を例えば外部からの衝撃や熱中症等から保護する保護用のヘルメットである。
【0013】
保護帽1は、図1に示すように、頭部を覆う本体部10と、本体部10の内部に着脱自在に配設され、本体部10を被る(本体部10によって覆われる)頭部に装着される網目状の装着体12と、本体部10の頂部10aから本体部10の前方10bにかけて配設され、頭部に加わる外部からの衝撃から頭部を保護するために衝撃を吸収する衝撃吸収ライナー14と、本体部10の内部に配設され、熱中症等から頭部を保護するために頭部を冷却する冷却ジェル16と、冷却ジェル16を本体部10の内部に配設するために冷却ジェル16と共に本体部10の内周面10cと装着体12との間に着脱自在に配設され、冷却ジェル16が取り付けられている網目状の冷却ジェル取り付け用ネット(以下、ネット)18と、を有している。
【0014】
装着体12は、頂部12aにて内周面10cに対して着脱自在である。
【0015】
衝撃吸収ライナー14は、主に頭部の前方や上方からの衝撃を吸収し、頭部を保護する。衝撃吸収ライナー14は、保護帽1(本体部10)の例えば樹脂製の外周面でもある。
【0016】
冷却ジェル16は、頭部の頭頂部と額部と側面と後頭部とを装着体12を介して冷却する。冷却ジェル16は、頭部の頭頂部を冷却する冷却ジェル160と、額部と側面と後頭部とを冷却する冷却ジェル162とにより構成されている。冷却ジェル160と冷却ジェル162とは、図2に示すようにネット18によって取り付けられている。
【0017】
冷却ジェル160は楕円形状を有し、冷却ジェル162は中空の楕円形状を有している。つまり冷却ジェル162は、頭部の周縁である額部と側面と後頭部とを冷却するために、リング形状を有している。
【0018】
冷却ジェル16は、ネット18に着脱自在に取り付けられるため、ネット18に固定されている。ネット18が内周面10cと装着体12との間に配設されると、冷却ジェル16はネット18に取り付けられているためネット18と共に内周面10cと装着体12との間に配設される。このとき冷却ジェル16は、内周面10cと装着体12との間に固定される。
【0019】
ネット18は、内周面10cと装着体12とに挟まれて配設されることとなる。またネット18は、内周面10cと装着体12との間に配設された際、装着体12を覆うように配設される。ネット18は、通気性を確保するため、冷却ジェル16をネット18に着脱自在に取り付けるため、及び内周面10cと装着体12との間に容易に配設されるために、網目形状を有している。
【0020】
ネット18には、冷却ジェル160,162が例えば縫い付けによって取り付けられている。ネット18は、図2に示すように冷却ジェル160と冷却ジェル162とを連結するために冷却ジェル160の周縁160aと冷却ジェル162の内周縁162aとの間に取り付けられている。またネット18は、装着体12を覆うために、冷却ジェル162の外周縁162bにも取り付けられている。
【0021】
なおネット18は、内周面10cと装着体12との間に配設されているが、装着体12を覆うことができ、冷却ジェル16が頭部を冷却できれば、これに限定する必要はない。
【0022】
またネット18は、冷却ジェル160,162と縫い付けによって取り付いているがこれに限定する必要はなく、冷却ジェル160,162と例えば面ファスナー等によって取り付けられていても良い。
【0023】
次に本実施形態におけるネット18の保護帽1への配設方法について説明する。
装着体12が取り外されている状態の本体部10において、内周面10cには、冷却ジェル16が取り付けられているネット18が載置される。このときネット18は、衝撃吸収ライナー14の頂部に載置されると好適である。
【0024】
つぎにネット18の内周面側には、装着体12が取り付けられる。このとき装着体12は、頂部12aにて内周面10cに取り付けられる。これによりネット18は、内周面10cと装着体12との間に配設され、固定される。またこのときネット18は、装着体12を覆うこととなる。同時に冷却ジェル16も内周面10cと装着体12との間に配設され、固定される。
【0025】
これにより例えば工事現場で作業を行う作業者が保護帽1を被った時に、頭部には装着体12が装着され、頭部の頂部には冷却ジェル160が装着体12を通じて当接し、額部と側面と後頭部とには装着体12を通じて冷却ジェル162が当接する。そして冷却ジェル16は、頭部全体を長時間冷却する。よって保護帽1内の温度上昇が防止され、保護帽1内の蒸れが防止され、頭部の体温の上昇が防止され、熱中症が長時間にわたり予防される。
【0026】
このように本実施形態では、冷却ジェル16によって長時間にわたり熱中症を予防することができ、頭部を長時間冷却することができる。
【0027】
また本実施形態では、冷却ジェル16によって頭部を冷却できるために、例えば夏場の炎天下で保護帽1を被って作業をしても、快適に作業を行うことができる。また本実施形態では、冷却ジェル16によって保護帽1内の温度上昇を防止でき、保護帽1内の蒸れを防止でき、頭部の体温の上昇を防止することができる。
【0028】
また本実施形態では、冷却ジェル16を取り付けられたネット18を、内周面10cと装着体12との間に挟みこんで配設するのみでよい。そのため本実施形態では、冷却ジェル16とネット18とを本体部10に対して容易に着脱自在にすることができる。
【0029】
また本実施形態では、内周面10cと装着体12との間に挟みこんで配設するのみでよく、ネット18を本体部10に取り付けるための取り付け部材を不要としている。よって本実施形態では、取り付け部材を不要としているため、冷却ジェル16を取り付けても保護帽1を軽量化することができる。
【0030】
また本実施形態では、冷却ジェル160,162によって頭部全体を冷却できるために、より一層の冷却効果を得ることができる。
【0031】
また本実施形態では、冷却ジェル16を頭部に直接当接させず、装着体12を通じて冷却している。そのため冷却ジェル16が頭部などに直接当接すると、冷却ジェル16は、作業者が保護帽1を被った当初において、作業者に対して違和感を与える虞が生じる。しかしながら本実施形態では、冷却ジェル16は、装着体12を通じて頭部を冷却するために、作業者に違和感を与えることなく頭部を冷却することができ、保護帽1を快適に使用させることができる。
【0032】
また本実施形態では、ネット18を網目状としているために、通気性を確保でき、冷却ジェル16をネット18に着脱自在に取り付けることができ、ネット18を内周面10cと装着体12との間に容易に配設することができる。
【0033】
また本実施形態では、装着体12を網目状とすることで、冷却ジェル16による冷却効果を頭部に無駄なく伝えることができる。
【0034】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本実施形態における保護帽の概略構成図である。
【図2】図2は、冷却ジェルが取り付けられているネットを広げた際の図である。
【符号の説明】
【0036】
1…保護帽、10…本体部、10c…内周面、12…装着体、12a…頂部、14…衝撃吸収ライナー、16,160,162…冷却ジェル、18…冷却ジェル取り付け用ネット、160a…周縁、162a…内周縁、162b…外周縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を覆う本体部と、
前記本体部の内部に着脱自在に配設され、前記本体部を被る前記頭部に装着される装着体と、
前記本体部の内部に配設され、前記頭部を冷却する冷却ジェルと、
前記冷却ジェルを前記本体部の内部に配設するために前記冷却ジェルと共に前記本体部の内周面と前記装着体との間に着脱自在に配設され、前記冷却ジェルが取り付けられている網目状の冷却ジェル取り付け用ネットと、
を具備することを特徴とする保護帽。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−77556(P2010−77556A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246121(P2008−246121)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】