説明

保護粒子を含有した経口的に溶解可能/分解可能な凍結乾燥剤形

【解決手段】 本発明は、粒子及び/若しくは有効薬学的成分(active pharmaceutical ingredient:API)の形状及び/若しくは特性を保護する凍結乾燥溶液保護性コーティングで被覆した粒子を含むAPI、およびマトリックスを含み、直接経口投与に適合した、口腔内で可溶性の/分解可能な、凍結乾燥した、剤形を提供する。本発明に従った口腔内で可溶性の/分解可能な凍結乾燥した剤形の作製方法および、本発明に従った剤形による患者の治療方法もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
凍結乾燥剤形は既知である。Lafonによる米国特許第4,616,047号、Nguyenらによる米国特許第5,843,347号及びBlondeらによる米国特許第3,855,712号を参照のこと。これらの凍結乾燥剤形は、’047特許に記載されたような凍結乾燥乳剤に基づくものであり、これらの処方には、ショ糖、グルコース、キシロース、ソルビトール、サッカリン及びサッカリン化物質(saccharinates)(特にナトリウム、カリウム及びカルシウムサッカリン)、サイクラミン酸(特にナトリウム、カリウム及びカルシウムサイクラミン酸)、アスパルテーム、及び特にクエン酸、アスコルビン酸及び酒石酸などに含まれる味覚修飾剤(特にサッカリン及びサイクラミン酸タイプの合成甘味料の苦い後味を隠す目的で使用)及びアロマなどの天然或いは合成甘味料が含まれる。’347特許には、他の事と共に、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸エステルエチル/ビニル酢酸コポリマー、ポリメチルシロキサン、ポリアクリルアミド、PVP及びポリビニル酢酸、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそれらのコポリマー、ポリウレタン、ポリペプチド及びその他のものを含む、たくさんの化合物でコーティングされる凍結乾燥マイクロビーズが記載されている。1実施形態において、前記コーティングは、含有物質が溶解するのを可能にする微小孔性半透過性膜を産生し、ここにおいて有効成分を含有する水溶液を排出する浸透圧が生じる。これらの処方は、様々な希釈剤、甘味料及び人工甘味料、更には天然或いは合成香料及びそれらの混合物を含むことができる。米国特許第4,490,407号及び第3,939,260号を参照のこと。
【0002】
非凍結乾燥処方において、味覚マスキングのために様々なコーティング物質を使用することが知られている。米国特許第5,178,878号、第5,223,264号、第6,024,981号及び第6,740,341号を参照のこと。これら全てはEden Prairie(ミネソタ)のCIMA LABS INC.が権利を有している。
【0003】
しかしながら、凍結乾燥剤形の調合において味覚マスキングコーティング技術を用いる場合、問題も存在する。凍結乾燥剤形に含有される成分はしばしば、例えば水、短鎖直鎖状アルコール、及びそれらと同等物を含む凍結乾燥溶媒に懸濁、分散或いは溶解される。溶媒曝露が延長されるので、その凍結乾燥工程が何時間も延長される。時々、これらの成分はそのような溶媒曝露、特に延長曝露によって有害な影響を受ける。実は、物質は意図せず溶解し、それによっていくつかの望ましい性状を破壊してしまう。例えば、溶解された顆粒はもはや顆粒ではない。同様に、味覚マスキング剤形では、前記味覚マスキングコーティングは損なわれ、従って味覚マスキングも同様に損なわれる。従って、剤形を産生する技術における改善に対する重要なニーズが未だ残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1実施形態において、剤形及び/若しくは粒子及び/或いはAPIの性状を保護する凍結乾燥溶媒保護コーティングでコーティングされた粒子を含む有効薬学的成分(「API(active pharmaceutical ingredient)」)を含む、経口的に溶解可能/分解可能な、凍結乾燥された剤形を提供する。「剤形及び/若しくは性状を保護する」という用語は、粒子及び/若しくはAPIを、粒子が凍結乾燥溶媒でコーティングされる前有している望ましい形態或いは構造で変化させず保存するということを意味している。これには、限定されることなく、保存粒子サイズ、結晶性或いは非結晶性形態、溶媒和或いは水和の程度、構造、色或いは芳香、及びそれらと同等のものを保護することを含む。本発明の剤形は、それらは固形として口の中に置かれ、口の中で溶解/分解され、その後結果生じた溶液、分散液、懸濁液或いはスラリーが飲み込まれるであろうことを意味する、直接経口投薬用を意図している。
【0005】
1実施形態において、味覚マスキングは、API粒子を凍結乾燥溶媒から保護し、味覚マスキングを提供する単一味覚マスキング層の使用を介して達成され得る。別の実施形態において、その保護は、溶媒保護を与える第二のコーティング物質で味覚マスキングコーティング粒子を重ねてコーティングすることによって得られる。従って、「形態及び/若しくは性状を保護する」という用語はさらに、そのコーティングの完全性、構造及び/若しくは機能を保護するための保護コーティング粒子を含むことも意味する。別の実施例に対して、腸溶コーティング粒子などの徐放性コーティング粒子は、前記凍結乾燥溶媒に曝露された場合、損なわれ得る。従って、APIは、口或いは胃において早まって放出されるであろう。同様に、持続放出性コーティングにコーティングされた粒子は、ゼロオーダー放出、例えば12時間以上に亘る一定放出などを提供するために設計される。しかしながら、前記溶媒は、前記コーティングのいくらかを損ない、それによって予期せぬ初期バーストが掛かり、残存APIの放出は12時間以下で生じる。本発明は、いくつかの実施形態において、API及びコーティングは溶媒曝露によって影響を受けないため、これらの問題の影響を受けない保護粒子を提供することを意図している。
【0006】
本発明はさらに、直接経口投薬に適した経口的に溶解可能/分解可能な凍結乾燥剤形を提供する。これらの剤形は、マトリックスとなる剤形のバランスを持つ少なくとも1つの凍結乾燥溶媒保護性(「LSP」)コーティングでコーティングされた粒子を有する。味覚マスキングコーティング粒子、若しくは徐放性或いは持続放出性を有する粒子を使用する本発明の凍結乾燥剤形は特に好ましい。
【0007】
1実施形態において、前記剤形は、LPSコーティングでコーティングされた少なくとも1つの有効薬学的成分(「API」)の粒子を有する。これはさらに本明細書において「保護粒子」としても言及される。前記有効成分は前記LSPコーティングによって実質的に保護されるであろうものが選択されることが好ましい。より好ましくは、前記LSPコーティングは、選択された凍結乾燥溶媒において実質的に不溶性である有効成分との組み合わせで使用されるように選択されるものである。前記保護粒子はさらに本明細書で記載されたように、他のコーティング物質、固形支持体、顆粒化結合剤、pH調節物質或いは緩衝剤、及び他の賦形剤も含む。
【0008】
剤形はさらに、1若しくはそれ以上の結合剤、注入剤、糖、コーティング、香料、ポリマー、第二の有効成分、pH調節物質、着色料、潤滑剤、発泡性崩壊剤、非発泡性崩壊剤、粘度修飾剤、界面活性剤及び緩衝剤を有するマトリックスも含む。このマトリックスは通常、しばしば保護粒子と共に、同様に凍結乾燥される。
【0009】
本発明の剤形において、少なくとも1つのLSPコーティングでコーティングされた前記粒子は一般的に、マトリックスとなるバランスで、治療上有効な量のAPOを提供するのに十分な量で存在する。一般的にAPIの量は、剤形の重量で約0.01mg〜約2gである。1つの特に好ましい実施形態において、前記剤形は、APIとしてのモダフィニル、ファモチジン、フェニレフリン或いはフェンタニル及び/若しくはそれらの塩類を有する。
【0010】
本発明の剤形を製造する工程は、有効成分の封入、及び今まで不可能であると考えられてきた凍結乾燥剤形の実現と同様に以前では不可能であった有効成分の形態を可能にするものである。これらの工程はさらに、本発明の一部であるとも考えられる。従って、本発明の別の実施形態において、経口的に溶解可能/分解可能な凍結乾燥溶剤形を製造する方法を提供し、この方法は、少なくとも1つのAPI若しくはAPIを含む粒子或いはコーティング粒子を提供する工程、LPSコーティング(或いは複数のLSPコーティング)と同様にコーティングする工程、結果生じた保護粒子をマトリックスと混合する工程、及び剤形を形成するのと同様に凍結乾燥させる工程を有するものである。
【0011】
本発明の更なる別の実施形態において、本明細書に記載されたあらゆる経口的に溶解可能/分解可能な凍結乾燥溶剤形を用いて患者を治療する方法を提供し、この方法は、治療を必要とする患者の口の中に前記剤形を置く工程、前記剤形、特に前記保護粒子を溶液、懸濁液或いはスラリーとして飲み込むことを可能にするように前記剤形が十分に溶解/分解するのを可能にする工程、及び前記患者が少なくとも部分的に溶解/分解した剤形を飲み込むのを可能にする工程を有するものである。この方法は、飲み込むことができない或いはできなくなる患者、老人患者、精神患者、及び子どもに対して特に有用である。
【0012】
1実施形態において、凍結乾燥溶媒に接触した場合、前記粒子の形態及び/若しくは性状を保護する凍結乾燥溶媒保護コーティングでコーティングされた有効薬学的成分を有する少なくとも1つの粒子、及びマトリックスを有する剤形を提供し、前記剤形は凍結乾燥された、患者の口の中への直接経口投薬に適応した経口的に溶解可能/分解可能剤形である。1実施形態において、別のコーティングは、前記粒子及び前記凍結乾燥溶媒保護コーティングの間に配置されるものである。
【0013】
本発明はさらに、粒子を含有する少なくとも1つの有効薬学的成分、或いは粒子を含有するコーティング有効薬学的成分を提供する工程、少なくとも1つの凍結乾燥溶媒保護コーティングと同様にコーティングする工程、前記凍結乾燥溶媒保護コーティングを溶解しない凍結乾燥溶媒との前記凍結乾燥溶媒保護コーティング粒子の混合物を形成する工程、及び前記混合物を凍結乾燥し剤形を形成する工程を有する、剤形を製造する方法にも関するものである。1実施形態において、前記混合物はさらにマトリックスも含む。別の実施形態において、前記方法はさらに、凍結乾燥の前に一部の容器へ前記混合物を置く工程、及び凍結乾燥後に前記剤形へと前記混合物を密封する工程も含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、10x拡大率で、精製水におけるフェニレフリン持続放出(「PEER」)ビーズを図示したものである。
【図2】図2は、10x拡大率で、混合1時間後の精製水におけるPEERビーズを図示したものである。
【図3】図3は、50mlの精製水に分解した2つの凍結乾燥された経口分解錠剤(LYOC(商標))を図示したものである。
【図4】図4は、凍結乾燥し分解したPEERビーズを図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の「直接経口投薬に適応した剤形」或いはより簡単に「剤形」とは、口の中で素早く溶解/分解するように適応された錠剤、カプセル、キャプレッツ、ウエハース、フィルム及びそれらと同等物などの固形として定義される。最も好ましいのは錠剤、キャプレッツ及びウエハースである。前記剤形が口の中で溶解及び/若しくは分解した後、結果生じる溶液、スラリー或いは懸濁液(保護粒子を含む)は、有効成分が口の下流である消化管を通過できるように飲み込まれる。次に前記有効成分は、例えば胃及び/若しくは腸を介して血流へ入る。これらの剤形は一般的に、保護粒子を含有するAPI及びマトリックスを有する。
【0016】
「経口的に溶解(可能)/分解(可能)」とは、前記剤形内の水溶性成分が、とりわけ保護粒子の溶液、懸濁液或いはスラリーとして摂取されるのを可能にするのに十分なほど溶解及び/若しくは分解することを意味している。最も好ましくは、前記溶液、懸濁液或いはスラリーは、一般的にザラザラしないものと考えられ、本分野の当業者による味覚テストによって粘度及び口の感覚の観点から心地良いものであろう。
【0017】
本発明に従った剤形が「溶解可能」或いは「分解可能」であると考えられるかどうか、若しくはその両者は、少なくとも、剤形の性質、有効成分の負荷、有効成分の溶解性、剤形及び使用された物質のサイズに依存するということは理解されるべきである。本発明に従った「溶解させる工程」とは、ある人の口の中で溶ける工程と同様な工程であり、多数の因子、最も重要なものとしては問題になっている成分の水溶性の程度、及び前記剤形がどのくらいの高度に水溶性な成分から構成されているかに依存している。これは、前記物質の性質(25℃の水(グラス中)或いは37℃の水(口の中)へのその特有の溶解性)、さらには粒子サイズ、平均粒子サイズ、多孔度、形態(結晶、非結晶、固形溶液)及びそれらと同等物のような要因に関与するものである。しかしながら、本来水溶性でない物質は、例えば単にその平均粒子サイズを減少することによっていきなり水溶性になることはないと理解されるであろう。「分解」及び同等な用語は、前記剤形がより小さな粒子及び/若しくは凝集体へと崩壊することを意味している。本発明に従った剤形が口の中に及びは好ましくは舌の上に置かれた場合に理解されるように、前記剤形の一部は分解され、その他は口の中に置かれた時から飲み込まれるまでの期間において溶解し始めるであろう。実は、いくつかの物質は、崩壊し溶解し始めるであろう。文脈で他の意味を指示しない限り、「溶解」或いは「分解」の使用は片方或いは両方の工程の可能性を示唆することを意味している。
【0018】
本発明の剤形は好ましくは、例えば120秒以内、好ましくは60秒以内、より好ましくは40秒以内、さらに好ましくは30秒以内に口の中で十分に急速に溶解及び/若しくは分解し、前記保護粒子を含有する溶液、懸濁液或いはスラリーとしてそれらを飲み込むことを可能にするであろう。いくつかの実施形態において、溶解/分解は、約10秒以内に生じる。好ましくは、前記剤形はさらに好ましい感覚受容性も提供する。一般的に、前記剤形がUSP分解テストに従って60秒以内に溶解する場合、本明細書に記載された口腔溶解/分解標準を満たすようである。29/24USP/NF2671を参照のこと。このテストは、特定の条件下で液体媒体中に置かれた時、剤形が処方された時間内で分解するかどうかを決定するために使用される。
【0019】
本発明に従った「溶媒不溶性」とは、前記保護粒子及び/若しくは前記剤形内の不溶性成分が、凍結乾燥溶媒と接触した場合、1〜6時間、より好ましくは2〜4時間の期間で容易に溶解或いは分解しないことを意味するものである。これは、前記溶液から前記粒子を分離するためにその分散液を遠心分離に供し、その後溶液濃度を測定することによって測定可能である。LSPコーティング及び有効成分がそれらの溶媒不溶性に基づいて選択される一方、そのような選択は、限定されるものではないが有効成分の味覚、有効成分及び/若しくはLSPコーティングの量、LSPコーティングに対する有効成分の比率、マトリックスによって前記剤形へ与えられた味覚マスキングの程度、或いはLSPコーティングへ添加された他の成分、前記剤形へ添加された他のコーティングなどを含む多数の因子に依存するものであると理解されるであろう。従って、前記有効成分、及び/若しくは前記剤形内の他の成分は、溶媒不溶性、部分的に溶媒不溶性、或いは溶媒溶解性であるということは本発明によって考慮される。さらに、より厚いLSPコーティングは、凍結乾燥溶媒に接触させた場合、より長い不溶性を与えるであろうことは注意すべきである。加えて、前記凍結乾燥溶媒は、限定されるものではないが、前記凍結乾燥溶媒のpHレベル及びイオン強度を調節し、漏出或いは変化を防止するのを助けることによって、前記LSPコーティング、有効成分、及び/若しくは前記剤形の溶解性を減少するように選択されるであろうことも本発明によって考慮される。
【0020】
本発明に従った「徐放」とは、前記剤形が患者の口に置かれてからの特定の望ましい時点での前記保護粒子からの有効薬学的成分(「API」)の放出を意味するものである。一般的に、それは遅延放出若しくは他の完全放出に関連する。望ましい指定された時間での胃における突然の総放出、若しくは腸溶コーティングの使用を介してなどの腸における放出は、胃に到達する数時間のうちに前記APIが消化、及び場合により吸収工程(粗い粉末APIを飲み込んだ時に生じる)に曝され始める受動放出剤形とは対照的に、両者とも徐方と考えられる。徐放は、放出が予定時間で或いは消化管内の予定場所で起こることが必要とされる。これは、例えば正常錠剤を飲み込む時に見られるような受動的で非制御工程を意味するものではない。
【0021】
「持続放出」剤形は一般的に、その放出を開始し、延長した時間に亘ってその放出を持続する剤形(或いは粒子)である。放出は、ほとんどすぐ開始する、若しくは持続放出剤形がさらに上述されたような徐放性剤形でもある場合遅延され得る。放出は、一定である、長時間増加或いは減少する、パルス状である、連続的或いは間欠的である、及びそれらと同等の状態である。しかしながら一般的に、持続放出剤形からの前記APIの放出は、正常の受動的放出錠剤として摂取された薬剤の放出時間を上回るであろう。従って、例えば非コーティングアスピリン錠剤の全APIが例えば4時間以内で放出されるべきである一方、持続放出剤形は、6時間、12時間或いはそれ以上の期間に亘り少量のアスピリンを放出することができる。本発明に従った持続放出は一般的に、6時間以上及びより好ましくは12時間以上の期間、放出が生じることを意味している。
【0022】
本明細書における「粒子」とは、あらゆる形態のあらゆるAPIを含むために使用される。これには、限定されるものではないが、粒子、微粒子、結晶、顆粒(湿潤あるいは乾燥顆粒)、微粒剤、凝集体、ペレット、ミニ錠剤、ビーズ、固形支持体、微結晶及び粉末、更には前述のあらゆるコーティング変形を含むことができる。例えば、粒子は特定のAPIの結晶であり得る。粒子はさらに、それと同様なAPIの経腸的にコーティングされた結晶でもあり得る。更なる他の実施形態において、前記粒子は、湿潤した場合ゲル化し持続放出を提供する膨張剤などの賦形剤と混合されたAPIであり得る。同様に、粒子はその表面上をAPI或いはAPI含有層でコーティングされた糖球であり得る。本発明の目的に対して、前記粒子のサイズは一般的に問題ではない。
【0023】
本発明に従った「凍結乾燥溶媒保護コーティング」或いは「LSPコーティング」とは、(既にコーティングされていようがなかろうが)凍結乾燥溶媒からそれの保護を提供する、上で定義されたような粒子へ適用したコーティングを意味する。このLSPコーティングは、前記粒子及び/若しくはコーティングの形態及び/若しくは性状を維持すること若しくは、少なくとも放出及び/若しくはそのようなAPI粒子の変化或いは分解の程度を遅らせることを意図されている。特に、これは前記剤形及び/若しくは前記粒子からの前記APIの意図的ではなく望ましくない漏出を停止することを意味している。最も好ましい観点において、しかし本発明の機能に必要ではないこととして、前記LSPコーティングは前記API、前記粒子及び/若しくはそのコーティングの構造整合性、機能及び/若しくは物理的性状の少なくとも1つは凍結乾燥工程及びその後も保存すべきである。これらのLSPコーティングはさらに、それ自身が味覚マスキングも提供する、徐放性或いは持続放出を提供する、若しくは付加的な利点を与えるものである。しかしながら、最も重要なこととしては、前記LSPコーティングは凍結乾燥の間前記粒子に対して保護を提供するが、同様物を含有する剤形(或いは保護粒子)が患者の口から消えた時、前記APIの意図された放出(即効性、徐放性或いは持続性)に対して「意図していない変化」をほとんど与えない若しくは全く与えないものであろう。
【0024】
一般的に剤形の「漏出」を決定するために使用される2つのテストが存在する。第一に、粒子を評価するために顕微鏡が使用される。前記剤形或いは必要に応じて前記粒子は、一般的に2〜4時間という時間の長さで溶液へ放置され、次に前記溶液から除去し、顕微鏡下で検査される。このテストは膨張及び前記剤形の外部への一般的な変化を示す一方、これは漏出の正確な検出ではなく、従って推奨されるテストではない。第二の定量化テストは、前記剤形或いは必要に応じて前記粒子を一般的に2〜4時間の時間の長さで溶液へ放置する工程、前記上清を除去する工程、及び放出された有効成分の量を定量的に測定する工程を必要とする。第二のテストは、前記有効成分のあらゆる放出を含む、前記剤形に対するあらゆる変化を決定することにおいてより正確である。従って、本発明に対して、第二の定量化テストは、漏出を決定するのに好ましい方法である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、前記定量化テストによって測定されたような漏出の量は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下であり、これは前記有効成分の溶解度及びLSPコーティングの量に依存するものである。本発明に従うと、前記有効成分が溶媒不溶性である場合、漏出は10%以下及びより好ましくは5%以下であることが好ましい。さらに、溶媒溶解性有効成分が使用された場合、LSPコーティングの量における増加、及び/若しくはpHの調節及び/若しくは前記溶媒のイオン強度は、漏出及び意図していない変化を減少するように操作されるということも、本発明によって考慮される。
【0026】
前記LSPコーティング粒子が更なる味覚マスキングを提供できる腸管保護物質で重ねてコーティングされた場合、次に前記LSPコーティングが凍結乾燥の完了後の機能を未変化で維持するためのニーズは存在しない。従って、そのようなコーティングは、前記保護粒子が口の中に存在する場合でさえ溶解し始めるであろう。いったん前記保護粒子が腸へ到達すると、前記腸管コーティングの結果生じる機能に対してあらゆる障害を提供すべきではない。LSPコーティングでコーティングされた本明細書に定義されたあらゆる粒子は、本明細書に従った「保護粒子」である。保護粒子の文脈において、例えば徐放、制御放出、味覚マスキング粒子は、LSPコーティングで「コーティング」されていることに注意すること。従って、持続放出、制御放出或いは味覚マスキング物質は、「前記LSPコーティング下」に配置される。しかしながら、この文脈において、「コーティング」は、粒子を製造するために混合される、顆粒化される、凝集化される或いは前記有効成分でコーティングされるあらゆる物質を含むように広く解釈されるべきである。例えば、いくつかの持続放出剤形は、湿潤した場合膨張する物質を使用し、これによって前記有効成分の素早い放出を阻止している。これらの物質は、前記有効成分上へコーティングされる、若しくはそれと共に混合される。いずれにしても、それらはLSPコーティングの「下」に配置される。便宜上、これら持続放出、制御放出及び味覚マスキング物質は、LSPコーティングの下に配置された「コーティング」として一般的に言及される。
【0027】
「好ましい感覚受容性」とは、いくつかの実施形態の経口剤形は、比較的ザラザラする感覚を提供せず、粘度に関して口当たりが良い感覚を有し、心地よく好ましい満足を得て摂取できるように十分な味覚マスキングを提供することを意味するように、本明細書で使用される。
【0028】
「溶液、スラリー或いは懸濁液」とは、前記剤形が十分な量の液体(水/唾液)と混合され、前記剤形は懸濁された固形、特に容易に飲み込める保護粒子を含有する溶液或いは液体を作るように十分に溶解/分解していることを意味するものである。
【0029】
「発泡性」とは、水や唾液を含む液体と混合された場合、前記剤形がガスを発生することを意味している。好ましい発泡剤(或いは発泡性カップル)は、水及び/若しくは口の中の唾液への発泡性分解剤の曝露で生じる化学反応の手段によってガスを発生する。この反応は、可溶性酸源及びアルカリモノ炭酸或いは炭酸源の反応でしばしば生じる結果である。これら2つの一般的な化合物の反応は、水或いは唾液との接触で二酸化炭素ガスを産生する。そのような水−活性化物質は一般的に、水への曝露によって時期尚早に前記錠剤を分解するので、無水で吸収湿気は少量若しくは存在しない状態、若しくは安定水和形態で維持されるべきである。もちろん、発泡性カップル(或いは個々の酸及び塩基別々に)は、LSPコーティングでコーティングされ、時期尚早な反応を阻止することができる。そのようなカップルはさらに、本明細書に記載されたように、LSPコーティングで前もってコーティングされた凍結乾燥粒子とも混合され得る。
【0030】
本発明の剤形には、LSPコーティングでコーティングされた粒子及びマトリックスが含まれる。前記粒子は、他のAPI或いは他の薬学的賦形剤も同様に含むことができるが、少なくとも1つの第一のAPIを有する。これらは、固形支持体、ビーズ、結合剤、崩壊剤、pH調節物質、緩衝剤及びそれらと同等物を含むことができる。前記粒子は好ましくは、治療上有効な量の前記少なくとも1つのAPIを提供するのに十分な量の1若しくはそれ以上の剤形で存在する。
【0031】
「治療上有効な量」とは、必要とされた或いは望ましい治療反応を誘発するのに十分な薬剤或いはAPIの量或いは含量、言い換えれば、患者へ投与された場合、相当の生物学的反応を誘発するのに十分な量である。その用量は至適である必要はなく、治癒或いは症状の軽減を提供するものでもない。ビタミン或いはミネラルを言及する際に使用されたように、「有効な量」という用語は、患者に対する特定成分のうち米国1日当たりの推奨摂取量(RDA)の少なくとも約10%を意味している。例えば、意図した成分がビタミンCである場合、ビタミンCの有効な量はRDAの10%或いはそれ以上を提供するのに十分なビタミンCの量を含むものである。
【0032】
本発明に従って、「薬剤」或いは「有効成分」としても本明細書で言及されるAPIは、凍結乾燥されることができる、若しくは本発明において他に有用な物質を含む。そのようなAPIは、薬学的成分、ビタミン、ミネラル及び食事性サプリメントを含む。前述のもののあらゆる組み合わせ或いは混合物も本発明によって考えられる。薬学的成分は、限定されるものではないが、制酸薬、鎮痛薬、抗炎症剤、抗生物質、利尿剤、食欲抑制薬、抗ヒスタミン剤、抗喘息薬、抗利尿剤、整腸剤、抗片頭痛剤、鎮痙剤、鎮静剤、抗機能亢進剤、降圧剤、精神安定剤、うっ血除去薬、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫薬、抗真菌薬、制吐剤、抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬、血管作動性薬、骨格筋弛緩剤、パーキンソン病に対する薬剤、抗精神病薬、造血細胞増殖因子、抗高脂血症剤、抗凝固剤、線維素溶解薬、抗血栓薬、ホルモン、治療用タンパク質及びペプチド、抗不整脈薬、抗狭心症薬、ベータ遮断薬及びそれらの組み合わせを含む。本発明に従った1実施形態において、前記APIはフェンタニル、フェニレフリン或いはモダフェニル、若しくはそれらの塩類である。
【0033】
本明細書において用いられたように、「ビタミン」という用語は、食事で必要とされる微量有機物質を意味するものである。本発明の目的に対して、ビタミンには、限定されるものではないが、チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、葉酸、ビタミンB12、リポ酸、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKが含まれる。さらに、それらの補酵素もビタミンという用語の範囲内に含まれる。補酵素は、ビタミンの特異的化学形態である。本発明に有用な補酵素には、チアミンピロリン酸(TPP)、フラビンモノヌクレオチド(FMM)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(AND)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、補酵素A(CoA)、ピリドキサールリン酸、ビオサイチン、テトラヒドロ葉酸、補酵素B12、リポイルリシン、11−シス−レチナール、及び1,25−ジヒドロキシコレカルシフェロールが含まれる。ビタミンという用語にはさらに、コリン、カルニチン、及びアルファ、ベータ及びガンマカロテンも含まれる。
【0034】
本明細書において用いられたように、「ミネラル」という用語は、ヒト食事において必要とされる無機物質、金属及びそれらと同等物を意味するものである。従って、本明細書で用いられるように「ミネラル」という用語は、限定されるものではないが、カルシウム、鉄、亜鉛、セレン、銅、ヨウ素、マグネシウム、リン、クロミウム及びそれらと同等物、及びそれらの混合物を含む。
【0035】
本明細書で用いられたような「食事性サプリメント」という用語は、少量で投与された場合、相当な栄養効果を有している物質を意味するものである。食事性サプリメントには、限定されるものではないが、蜂花粉、ブラン、小麦胚芽、昆布、肝油、朝鮮人参、及び魚油、アミノ酸、タンパク質、及びそれらの混合物が含まれる。以上から分かるように、食事性サプリメントは、ビタミン及びミネラルを含む。
【0036】
少なくとも1つのAPIが望ましい一方、複数のAPIもさらに、単一或いは複数の粒子において使用され見出される(例えば、2つのAPIは一緒に或いは別々の粒子に顆粒化される)。従って、前記剤形にも凍結乾燥API及び非凍結乾燥APIが含まれる。例えば、凍結乾燥物質或いは錠剤は非凍結乾燥物質と混合され、両者は単一のゼラチンカプセルへ収容される、若しくは凍結乾燥剤形はAPIを含む物質でコーティングされ得る。
【0037】
使用されたAPIの量は、大きく変えることができ、特に、前記APIのタイプ及び特性、治療されることが意図されているものの状態、患者のサイズとタイプ、剤形のサイズ、性質及び数、1つ以上のAPIが剤形から送達されるかどうか、及びいくつの剤形が各用量を送達するために使用されるかに依存している。一般的に、あらゆる個々の剤形に対するAPIの総量は、治療上有効な量であり、特定の実施形態において、重量で約0.01mg〜約2.0gの量であり、より好ましくは約0.05mg〜約1gであり、最も好ましくは約1mg〜約800mgの量である。これはAPIの量のみに基づいており、例えばLSPコーティングの量、及び/若しくは最終粒子における他のコーティング或いは賦形剤の計数に基づいたものではない。APIである前記保護粒子の比率に関して、前記APIは、前記保護粒子の重量で約0.1%〜約99.9%の範囲であり、より好ましくはそれらの重量で約50%〜約98%の量であり、最も好ましくはそれらの重量で約80%〜約95%の量である。そのバランスは、あらゆるコーティング、LSPコーティング及び賦形剤でとられるであろう。
【0038】
本発明に従った粒子を凍結乾燥溶媒との接触の間溶解或いは分解から保護するために使用されるLSPコーティングはしばしば、前記保護粒子の重量パーセンテージのバランスを構成する。他の実施例において、そのバランスには他のコーティング及び/若しくは結合剤及びそれと同等物などの賦形剤が含まれる。
【0039】
LSPコーティングは一般的に、pH依存性物質である、アクリルポリマー、修飾セルロース及びそれらと同等物を含む、あらゆる天然或いは合成ポリマーから製造される。1実施形態において、前記コーティング物質は一般的に酸性(pH7或いはそれ以下)で可溶化し、別の実施形態においては、前記コーティング物質は一般的に塩基性(pH7或いはそれ以上)のpHで可溶化するであろう。第三の実施形態において、前記物質は一般的に中性pH(pH6〜8)で可溶化する。限定されるものではないが、操作及び加工の容易性、コスト、厚さ、前記LSPコーティング及び/若しくはAPIの意図した溶解の部位、及び使用される凍結乾燥溶媒のタイプ及びpHを含む、与えられた状況において前記物質がLSPコーティングとして使用されるかを決定するたくさんの因子が存在する。
【0040】
1つの好ましい実施形態において、前記LSPコーティングは、約6.5或いはそれ以下のpHで可溶化する物質から製造される。別の実施形態において、前記コーティングは約6.0〜約6.5の間のpHで可溶化する。これらのポリマー及びコポリマーは、薬理学的に許容可能で、適切な放出を提供でき、加工が便利であるものが好ましい。これらには、例えばアクリルポリマー、修飾セルロース、例えばメチルメタクリル酸、ブチルメタクリル酸及びジメチルアミノエチルメタクリル酸のコポリマーなどのアミノアルキルアクリル酸コポリマーが含まれる。European Pharmacopoeia 4.4(04/2003:1975)の3385を参照のこと。1つの特に好ましい実施形態において、前記コポリマーは、約150,000の相対的分子量を有し、ジメチルアミノエチルメタクリル酸群:ブチルメタクリル酸群:メチルメタクリル酸群の比は2:1:1であり、ジメチルアミノエチル群の含有量は乾燥物質存在量に基づいて約20.8%〜25.5%である。
【0041】
薬学的に好ましい物質は、正常形態で或いは微粒子化EUDRAGIT(登録商標)E−100で及びそれらの混合物で使用され得る、商標EUDRAGIT(登録商標)E−100下で得られる。EUDRAGIT(登録商標)は、一群のアクリルポリマーであって、Rohm GmbH、Chemische fabrik、Kirschenallee、D−64293、Darmstadt、Germanyの商標である。
【0042】
これらの物質は一般的に室温で固形である。しかしながら、それらは、溶媒或いは溶媒系に溶解される、懸濁される、乳化される、分散される或いはそれらと同等のことによって適用される。本発明に従った好ましい溶媒には、水、正常C−Cアルコール、分岐C−Cアルコール、変性C−Cアルコール、及びアセトン及びMEKなどの低分子ケトンなど、EUDRAGIT(登録商標)E−100に実質的に溶解する或いは分散することができるものが含まれる。(SDA−3A)及び変性エタノールを含むエタノールは最も好ましい。
【0043】
1実施形態において、前記粒子上のLSPコーティングの総量は、コーティング粒子の重量で約0.1%〜約500%の範囲である。(これらの実施例において、「粒子」は、API及びあらゆる他の味覚マスキング、制御放出或いは持続放出コーティング及びあらゆる賦形剤の重量を含み、粒子の有限サンプルに基づいて重量増減パーセントとして測定されるものである)前記粒子の重量で約1%〜約200%の量はより好ましい。重量で約1%〜約100%の量は最も好ましい。もちろん、これは重量増減パーセントとして測定され、使用されたAPIの種類、使用されたコーティングの種類或いはタイプ、前記用量で送達されるAPIの量などに依存するものである。
【0044】
本発明に従った1実施形態において、これらの粒子は、LSPコーティングで「完全に」コーティングされる。「完全な」コーティングの使用は、前記粒子の実質的に全てを完全にコーティングすることを確実にするのに十分なコーティングの量を意味する。これは、ほぼ完全な味覚マスキング及び/若しくは前記コーティング粒子からのあらゆる溶解或いは前記コーティング粒子における変化がほぼ完全に存在しないことを提供する。従って、「完全な」コーティングに対して、LSPコーティング物質の量は、前記粒子の重量が少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約10%及び最も好ましくは少なくとも約20%増加するのに十分な量である。
【0045】
本発明の剤形はさらに、前記剤形のバランスを作るマトリックスも含む。前記マトリックスは、1若しくはそれ以上の結合剤、凍結乾燥結合剤、注入剤、糖、人工甘味料、ポリマー、香料、味覚マスキング物質、有効成分、着色料、湿潤剤、懸濁剤、潤滑剤、発泡性崩壊剤、非発泡性崩壊剤、粘度修飾剤、界面活性剤及び緩衝剤を有する。あらゆる従来の物質は、口の中での溶解可能性/分解可能性を含む、本発明の全体の目的を満たしている限り、本発明に従ったマトリックスを提供するために使用される。1若しくはそれ以上のこれらの成分の量は、APIの量、保護粒子サイズ、及びコーティングの程度、剤形の形、溶解/分解の速度、優れた味覚マスキングに対するニーズ、いくつの成分が使用されるか、どの成分が使用されるかなどで変わるであろう。量のあらゆる組み合わせは、本発明に従った可溶性で貯蔵可能な剤形、特に好ましい感覚受容性を示す剤形の製造を十分に可能にするものが考えられる。
【0046】
結合剤は、結合剤として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用ないくつかの結合剤には、アカシア、トラガント、ゼラチン、スターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギニン酸及びそれらの塩類などのセルロース物質、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコール、ガウアゴム、多糖酸、ベントナイト、糖、転化糖、キサンタンゴム、デキストラン20、40、70、ポビドン、コポビドン、シクロデキストリン及び誘導体、及びそれらと同等物が含まれる。結合剤は、従来の量で、好ましくは総剤形の約0.2重量%〜約20重量%、より好ましくは約2重量%〜約10重量%の量で使用され得る。
【0047】
凍結乾燥結合剤は、凍結乾燥結合剤として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用ないくつかの凍結乾燥結合剤には、デキストラン70、ポビドン及びメチルセルロースが含まれる。凍結乾燥結合剤は、従来の量で、好ましくは約2%〜約10%、及びより好ましくは約4%〜約8%の量で使用され得る。
【0048】
注入剤は、注入剤として使用されると知られているあらゆるものであり得る。本発明に有用ないくつかの注入剤には、マンニトール、ブドウ糖、ソルビトール、ラクトース、スクロース及び炭酸カルシウムが含まれる。注入剤は、従来の量で、好ましくは約0.5%〜約99%の量で、より好ましくは約5%〜約50%の量で使用され得る。
【0049】
使用される特に好ましいタイプの注入剤は、糖である。本発明に使用される糖には、糖、糖アルコール、ケトース、サッカライド、多糖、オリゴサッカライド及びそれらと同等物、さらにセルロール及び修飾セルロースが含まれる。
【0050】
糖はさらに、限定されるものではないが、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、ラクトース及びスクロースを含む、直接圧縮及び/若しくは間接圧縮糖も含む。もちろん、これらの糖は一般的に、直接圧縮糖、すなわちその圧縮率及び/若しくは流動を増加するように修飾された糖として、若しくは、十分な流動性及び/若しくは圧縮率を持たず、限定されるものではないが流動を増加する流動促進剤、流動及び/若しくは圧縮率を増加する顆粒剤、及びそれらと同等物などの何らかの増加なしにその高速加工及び複数錠剤加工が可能となった間接圧縮糖、として存在する。もちろん、顆粒化のような技術はさらに、間接圧縮糖へと加工される前に直接圧縮糖と考えられる十分な流動及び圧縮率を最初から持つものを変換するためにも使用され得る。これは、糖からのみ製造される錠剤を直接的に圧縮する工程、及び加工前後の両方で前記流動及び圧縮率を比較する工程によって測定され得る。加工後に流動及び/若しくは圧縮率が減少していた場合、その物質は間接圧縮糖になった可能性が高い。しかしながら、その特性の減少が、その糖を商業工程で使用する前に増強或いはさらなる加工を必要するのに十分なものであるかどうかは、使用する量、使用する加工装置のタイプ、及び全体の処方を含む多数の因子に依存するものであろう。しかしながら一般的に、いくつかのさらなる加工或いは増強は必要とされる。決定的ではないが、しばしば間接圧縮糖は、その粒子の少なくとも約90%が約200ミクロン以下、より好ましくは80%が約150ミクロン以下である。
【0051】
全ての糖の量は、約0.5%〜約95%の範囲である。より好ましくは、糖の量は約5%〜約50%、さらにより好ましくは約5%〜25%の間の範囲である。
【0052】
人工甘味料は、人工甘味料として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。限定されるものではないが、本発明において有用ないくつかの人工甘味料には、サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム及びカリウムアセサルファームが含まれる。人工甘味料は、従来の量で、好ましくは約0.1%〜約10%の範囲の量で使用される。
【0053】
ポリマーは、アクリルポリマー、修飾セルロース及びそれらと同等物を含む天然或いは合成ポリマーを含む。1実施形態において、前記コーティング物質は、例えば、限定されるものではないが、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルナトリウムセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポロキサマー及び/若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの修飾セルロールであるEUDRAGIT(登録商標)E100を含む、一群のアクリルポリマーである、Rohn&GmbH,Chemische−Fabrik,Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,GermanyからのEUDRAGIT(登録商標)のような、pH6.0〜6.5或いはそれ以下で可溶性となるpH依存性物質である。ポリマーは従来の量で、好ましくは約0%〜約15%までの範囲の量で使用される。
【0054】
香料は、香料として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用な香料には、合成香味油及び香味芳香族及び/若しくは天然油、植物、葉、花、果物及びその他からの抽出物、及びそれらの組み合わせが含まれる。これらは、シナモンオイル、冬緑油、ペパーミントオイル、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、シーダー葉油、ナツメグ油、セージ油、苦扁桃油及び桂皮油が含まれる。さらに、バニラ、レモン、オレンジ、バナナ、ブドウ、ライム及びグレープフルーツを含む柑橘油、及び、リンゴ、ナシ、桃、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット及びその他を含む果実エッセンスも香料として有用である。
【0055】
香料は、従来の量で、好ましくは前記剤形の重量で約0%〜約20%の範囲の量で、より好ましくは前記剤形の重量で約1%〜約10%で、及び最も好ましくは前記剤形の重量で約3%〜約8%の範囲の量で使用される。
【0056】
着色料は、着色料として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用な着色料には、二酸化チタン、及び、F.D.&C.色素及びブドウ皮抽出物、レッドビート粉末、ベータカロチン、アナトー、ターメリック、パプリカなどの天然着色量として知られているものなどの食品に適した色素が含まれる。着色料は、従来の量で、好ましくは前記剤形の重量で約0%〜約5%の範囲の量で使用される。
【0057】
本発明において有用な湿潤剤には、限定されるものではないが、PEG 400及びKOLLIDON(登録商標)VA 64が含まれる。KOLLIDON(登録商標)VA 64は特に好ましい。湿潤剤は、従来の量で、好ましくは前記剤形の重量で約0%〜約5%の範囲の量で使用される。
【0058】
懸濁剤は、懸濁液の質を改善し、いくつかの実施例において注入工程の間ビーズの沈降を阻止することが見出された。他の実施形態において、in situ作成層或いは領域が望ましい場合など、それらの使用は必要とされない。本発明において有用な懸濁剤には、限定されるものではないが、キサンタンゴム及びマンニトールが含まれる。懸濁剤は、従来の量で、好ましくは前記剤形の重量で約0%〜約60%の範囲の量で使用される。
【0059】
潤滑剤は、潤滑剤として使用することが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用な潤滑剤には、内因性或いは外因性潤滑剤が含まれる。内因性潤滑剤には、マグネシウム、カルシウム、ステアリン酸の亜鉛塩、水素化及び部分的に水素化された植物油、動物性脂肪、ポリエチレングリコール、ポリエチレンモノステアリン酸、タルク、軽油、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム及びそれらと同等物が含まれる。潤滑剤は、従来の量で、好ましくは前記剤形の重量で約0%〜約5%の量で使用される。
【0060】
本発明において有用な崩壊剤は、発泡性或いは非発泡性である。本発明において有用な発泡性崩壊剤は、Wehling et al.,米国特許第5,178,878号、5−7カラム目に記載されたような(これはこの参照によって本明細書に組み込まれるものである)、発泡性崩壊剤として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。発泡剤に対する酸性源或いは酸は、ヒト消費に対して安全なものであり、一般的に食物酸、酸無水物及び酸性塩を含む。食物酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸及びコハク酸などが含まれる。これらの酸は直接摂取されるため、水へのそれらの完全溶解性は、もし本発明の発泡性錠剤処方が一杯の水に溶解するならば、あまり重要ではない。酸無水物及び上述した酸も使用される。酸性塩には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素二ナトリウム、酸クエン酸塩及び亜硫酸ナトリウム酸が含まれる。
【0061】
炭酸源には、乾燥固形炭酸、及び炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸カリウム、炭酸マグネシウム及びセスキ炭酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、L−リシン炭酸塩、炭酸アルギニン及び無定形炭酸カルシウムなどの炭酸水素塩が含まれる。
【0062】
本発明の発泡性崩壊剤は、二酸化炭素を形成する反応に必ずしも依存するとは限らない。小児科的に安全な酸素或いは他のガスに発展する反応物も本発明の観点内であると考えられる。発泡剤が酸性源及び炭酸源などの2つの相互反応性成分を含む場合、両者の成分は完全に反応することが好ましい。従って、同等な当量物を与える成分の当量比が好ましい。例えば、使用された酸が二酸である場合、2倍のモノ(1)−反応性炭酸塩基、若しくはジ(2)−反応性塩基の当量は、実現される完全な中和に対して使用されるべきである。しかしながら、本発明の他の実施形態において、酸或いは炭酸源の量は他の成分の量を超過する。これは、過剰な両成分を含有する錠剤の味覚及び/若しくは実行を増強するのに有用である。この場合において、両成分の付加的量は反応せずに残ることは許容可能である。
【0063】
一般的に、本発明に従った剤形の形成に有用な本発明の発泡性崩壊剤の量は、最終組成物の約0%〜約10%の範囲であるべきである。
【0064】
非発泡性崩壊剤は、非発泡性崩壊剤として使用されることが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用ないくつかの非発泡性崩壊剤には、微結晶性セルロース(AVICEL(登録商標)PH 200、AVICEL(登録商標)PH 113、AVICEL(登録商標)PH 101)、AC−Di−Sol(クロスカルメロースナトリウム)及びPVP−XL(架橋ポリビニルピロリドン);デンプングリコール酸ナトリウムなどのデンプングリコール酸;デンプン及び修飾デンプン;ポリマー;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース;さらにはカルボポル(carbopol)などの化合物;甘味料;ベントナイトなどの粘土;アルギン酸;寒天、アラビア、キサンタン、ガウア、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン及びトラガントなどのゴムが含まれる。非発泡性崩壊剤は、従来の量で、好ましくは前記剤形の重量で約0%〜約15%の量で使用される。
【0065】
粘度修飾因子は、粘度修飾因子として使用することが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用ないくつかの粘度修飾因子には、限定されるものではないが、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、コンニャク粉、カラギーナン、キサンタンゴム、他の親水性ポリマー、或いはそれらの混合物が含まれる。粘度修飾因子は、従来の量で、好ましくは約0%〜約5%の量で、より好ましくは外顆粒マトリックスの重量で約0.05%〜約0.5%の量で使用され得る。
【0066】
界面活性剤は、界面活性剤として使用されることが知られているあらゆるものであり:アニオン性、カチオン性、両性、スクロエステル7−11−15などの非イオン性界面活性剤;ポリソルベート20−60−80;ポロキサマー188−407;ソルビタンステアリン酸などである。本発明において有用ないくつかの界面活性剤には、限定されるものではないが、様々なグレードの以下の商品:Arlacel(登録商標)、Tween(登録商標)、Capmul(登録商標)、Centrophase(登録商標)、Cremophor(登録商標)、Labrafac(登録商標)、Lacrafil(登録商標)、Labrasol(登録商標)、Myverol(登録商標)、Target(登録商標)、及びあらゆる非毒性短鎖及び中鎖アルコールが含まれる。界面活性剤は、従来の量で、好ましくは約0%〜約10%の量で、より好ましくは外顆粒マトリックスの重量で約0.5%〜約5%の量で使用され得る。
【0067】
緩衝剤は、緩衝剤として使用することが知られているあらゆるものであり得る。本発明において有用ないくつかの緩衝剤には、あらゆる弱酸或いは弱塩基、若しくは好ましくは胃腸粘膜に対して有害でないあらゆる緩衝系が含まれる。これらには、限定されるものではないが、発泡性成分、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、及び等価カリウム塩として以前言及したあらゆる酸或いは塩が含まれる。緩衝剤は、従来の量で、好ましくは約0.1%〜約5%の量で、より好ましくは前記マトリックスの重量で約0.2%〜約2%の量で使用され得る。
【0068】
結果生じた剤形が本発明の完全な目的を満たし、少なくとも1つのAPIの治療上有効な量を含む限り、マトリックスの量は決定的ではない。前記マトリックス及びそのマトリックスを構成する成分の量は変えられると考えられる。
【0069】
しかしながら一般的に、あらゆる個々の剤形に対して凍結乾燥の間それらを保護するためにコーティングされた粒子を含むAPIの総量は、好ましくは0.1%〜約90%であり、より好ましくは前記剤形の重量で1%〜約80%である。
【0070】
一般的に、本発明に従った剤形は、LSPコーティングでAPI含有粒子をコーティングする工程、前記マトリックスと結果生じた保護粒子とを混合する工程、及び、錠剤、ウェーハ、カプレットなどを含む望ましい形態へ凍結乾燥させる工程によって製造され得る。コーティングは、あらゆる既知の方法で達成される。コーティングは、例えば、コーティング物質が反応器の底から入るWurster流動層を用いて達成され得る。さらに、米国特許第6,024,981号、第4,949,588号、第5,178,878号及び第5,055,306号に記載された技術も参照のこと。さらに、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Form:Tablets Vol.1(2d.ed.1989)NY,732−36も参照のこと。本発明によって考えられる他のコーティング技術には、スプレー乾燥、スプレー冷却、スプレー凝固、流動層における或いは押出を介した熱溶解コーティング、流動層トップスプレーモード、流動層ボトムスプレーモード、流動層接線スプレーモード、従来のパンコーティング、穿孔パンコーティング、コアセルベーション或いは他の形態の層分離を介したマイクロカプセル化、界面ポリマー化、超臨界的液体コーティング、スピンディスクコーティング、及び他の遠心分離コーティング技術が含まれる。
【0071】
いくつかの実施形態において、前記粒子及び前記マトリックスは、凍結乾燥前に凍結乾燥溶媒と混合される。本発明において有用な凍結乾燥溶媒には、限定されるものではないが、水、イソプロピルアルコール、エチルアルコール及びターシャルブチルアルコール、若しくはそれらの組み合わせが含まれる。前記溶媒はさらに、香料、甘味料、ポリマー、結合剤、着色料、緩衝剤、及び界面活性剤などの他の成分も含む。前記LSPコーティングは、前記溶媒に溶解しないものを選択されるべきである、若しくは凍結乾燥溶媒に曝される間、完全な保護ではないにしろ十分ゆっくりと溶解すべきである。本発明の一観点において、いくらかの量の溶媒が結果生じる剤形に検出されるが、前記剤形はあらゆる残留溶媒がほとんど含まれないことが好ましいと考えられる。
【0072】
マトリックス物質、保護粒子及び溶媒の混合は、あらゆる期間で、あらゆる条件下で、あらゆる種類の従来の混合装置を用いて混合され、本発明に従った混合物を形成する。一般的に混合する工程は、前記コーティング粒子或いはマトリックス物質の望ましい特性を変えない、例えば限定されるものではないが、粒子サイズ分布を根本的に変えないなどの条件下で行われる。特に内容物均一性が問題である場合前記混合物は均一であることが一般的には望ましい一方、ランダム或いはパターン分布が考慮される場合がある。従って、混合する工程は、あらゆる混合操作としてより広く考えられるものである。
【0073】
前記混合物は次に鋳型へ注ぐ、若しくは患者への投与用へ様々な形態へ成形され、凍結乾燥される。凍結乾燥は、Lafonによる米国特許第4,616,047号、Nguyenらによる米国特許第5,843,347号及びBlondeらによる米国特許第3,855,712号に記載されたように実行し、これらの全てはこの参照によって本明細書に組み込まれるものである。一般的に言えば、前記保護粒子を含む全ての未加工物質の重さを計測し、次に様々な可溶性成分の溶液を調合する。前記保護粒子及び他の不溶性物質の懸濁液は、場合により均質化を伴って、ミキサー或いは撹拌器を用いて達成され、次にその懸濁液を前もって作られたブリスターへ注ぐ。これらは次に凍結乾燥器に積み込み、ここで前記物質はまず凍結され、次に凍結乾燥される。最終的に、前記ブリスターは密閉される。
【0074】
本発明に従った工程の図示のために以下の混合物を考える。
【0075】
【表1】

【0076】
一般的なガイドとして表1の処方を用いて、キサンタンゴム及びリン酸水素二ナトリウム(無水NaHPO)を水へ添加し、均一な溶液が得られるまで室温でかき混ぜた。前記保護粒子、スクロース、デキストラン70、ラクトース及び香料は真空システムを装備したミキサーへ導入し、最大約15分間大気圧で混合し、次に約同時間低圧力(200〜400Hpa)下で混合することによって粉末混合物を製造した。次にキサンタンゴム及びリン酸水素二ナトリウムの溶液は低圧力(約200Hpa)でミキサーへ導入し、混合する工程を数分間続けた。湿潤懸濁液は約1時間大気圧及び室温で混合され、均一懸濁液が産生される時間が経過した後、任意で交互に低圧力及び室温及びが圧力で混合される。前記均一懸濁液は、例えばPVC、アルミニウム及び/或いはACLAR(登録商標)ブリスターなどの前もって作られたブリスターへ分配される。ユニット重量及びブリスター重量は注入の間モニタリングされる。前記懸濁液で満たされたブリスターは、凍結乾燥器へ導入され、−25℃以下の温度で少なくとも30分間凍結され、次に4時間以上凍結乾燥される。ほとんどの凍結乾燥操作の間の最大温度は60℃である。凍結乾燥産物で満たされたブリスターは次に、40%相対湿度以下で約18〜22℃の温度に調節された部屋において、例えばアルミニウムホイルで密閉される。
【0077】
硬度、分解時間及び残留湿度はモニタリングされる。限定されることなく、望ましい産物は約10ニュートン以上、より好ましくは15ニュートン以上の硬度、標準粉砕器における50回転後で約5%以下の粉砕性、及び標準USP分解装置における60秒以下の(6個の錠剤の平均に基づいた)分解時間を有するであろう。前記溶媒内容物は望ましくは2%以下である。
【0078】
一度凍結乾燥されると、前記剤形はさらにブリスターに密閉される前に、刻印、塗布、コーティング、印刷などもされることが考慮される。これらの剤形は、大量に、ブリスターパックに、従来の開閉式で再び密閉できる複数錠剤ボトルに、或いは他の同様なパッケージングに貯蔵される。
【0079】
本発明は、あらゆるAPIを投与するために使用されることが考慮される送達媒体である。これは、飲み込みが困難な人、老人、子ども、障害を持った人などに特に有用である。前記剤形は口の中に置かれ、これによって患者の唾液によって容易に飲み込める感覚受容的に好ましいスラリー/溶液/懸濁液へ前記剤形を分解/溶解することが可能となる。
【0080】
投薬の頻度は、前記剤形中に存在するAPIの量、前記剤形のサイズ、患者の体重、患者の症状、前記APIの副作用などを含む様々な因子に依存する。複数の剤形で多数頻度の投薬による投与は、上述の因子、さらに患者の症状の持続時間、前記有効成分がどの位患者のシステムに残るかなどに依存することが考慮される。さらに、本発明に従った少なくとも1つの剤形は、少なくとも1ヶ月に1回の期間で患者へ投与されるであろうことも考慮される。そのような投与は、上述した因子、さらに患者の症状、患者の年齢及びサイズ、前記有効成分が患者のシステムに残る時間、副作用のタイプと種類なども含む。
【実施例1】
【0081】
ファモチジン保護粒子
【表2】

【0082】
ウルスター・インサートを含む流動層中で流動化した60/80糖球上へ、目標ポテンシーが49.8%となるように、ファモチジンおよびヒプロメロース 2910(5.9:1)の17.5% w/w水分散液を噴霧した。ファモチジンをロードしたビーズをさらに、ウルスター・インサートを含む流動層中で流動化し、そこへ目標ポテンシーが37.3%となるように、ユードラジット(登録商標) Eおよびステアリン酸マグネシウム(2:1)の25% w/wアルコール分散液を噴霧した。
【実施例2】
【0083】
以下に示すマトリックス材の混合物を凍結乾燥して、20mgおよび40mgのファモチジン錠剤を作製した。主として、マンニトールおよび乳糖は充填剤として用い、デキストラン 70およびPVP K30は結合剤として用いた。スクラロースは甘味剤として用いた。
【0084】
一旦混合した後、マトリックスおよび実施例1の保護粒子を−40℃で凍結した。4時間にわたって、温度を−40℃〜+40℃へ上昇させ、その間に昇華を生じさせた。最適化していないパラメータであるが、凍結乾燥のサイクルは約7時間とした。
【0085】
【表3】


【実施例3】
【0086】
層状フェニレフリン徐放(PEER)ビーズ
【表4】

【0087】
層状ビーズは以下のように作製する:ウルスター・インサートを含む流動層中で流動化した45/60篩過糖球上へ、シュアリース(登録商標) フェニレフリン、ステアリン酸マグネシウムをそれぞれ9:13.5:1.6の比率とした24.1% w/w水分散液を、標的ポテンシーが34.5%フェニレフリンとなるように噴霧した。
【実施例4】
【0088】
被覆PEERビーズ
【表5】

【0089】
実施例3のPEERビーズを以下のようにコーティングした:実施例3で調製した層状ビーズは、ウルスター・インサートを含む流動層中で流動化し、そこへ標的ポテンシーが22.4%フェニレフリンとなるように、エチルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムを2:1の比率とした15% w/wアルコール分散液を噴霧した。以下の実施例中の全てのLYOC(商標)製剤は、LB 3560−34のバッチに基づいたものである。
【0090】
実施例4の被覆PEERビーズの粒子サイズは40と60メッシュとの間であり、40メッシュの篩上に86.9%、50メッシュの篩上に12.5%、60メッシュの篩上に0.6%が残留する。30メッシュより大きな被覆ビーズは、錠剤への混和に先立って廃棄した。実施例4の被覆PEERビーズのポテンシーは21.1%であった。
【実施例5】
【0091】
実施例4の被覆PEERビーズ、バッチ番号LB3560−34、の溶出速度を決定する試験を行った。被覆ビーズの溶出は、最終濃度約0.03mg/mlとなるように秤量し、さらに、使用前に摂氏37±0.5度に平衡させてある900mlの0.1N HClを入れた容器へ加えた。Distek dissolution testing system Model 2100 A、およびtemperature controller model TCS−0200を用いて、パドル速度50rpmでUSP apparatus 2 methodに従って、試験を実施した。
結果は以下の通りである。
【0092】
【表6】

【実施例6】
【0093】
以下に示すマトリックス材の混合物を凍結乾燥して、30mgのフェニレフリン徐放(Phenylephrine Extended Release:PEER)凍結乾燥口腔内崩壊錠(本願明細書ではLYOC(商標)錠剤と言及)を作製する。主として、マンニトールは充填剤として用い、ポリエチレングリコール400およびコリドン(登録商標)VA64は湿潤剤として用い、キサンタンゴムは懸濁剤として用い、デキストラン70は結合剤として用い、スクラロースは甘味剤として用い、純水は中間溶媒として用いた。
【0094】
【表7】


【0095】
デキストラン70、PEG 400、コリドン(登録商標)VA64、キサンタンゴム、スクラロース、およびマンニトールを純水に添加し、室温中で300〜350rpmの速度で均一な溶液が得られるまで攪拌した。
【0096】
50%ロードしたPEERビーズ(ロットLB3560−34の35%被覆ビーズに基づく)、すなわち、CIMA LABS社(ミネソタ州Eden Prairie)から入手した、LYOC(商標)錠剤の約50%によって示される重量35%被覆を有するビーズを懸濁液へ添加して、30分間攪拌する。均一な懸濁液はさらに、Eppendorf Multipette Plus distributorを用いて、あらかじめ作成した5.5×6mmのPVCブリスターへ分注した。ブリスターを満たす間、ユニット重量およびブリスター重量を測定した。
【0097】
懸濁液で満たしたブリスターは、さらにSMH 90凍結乾燥機へ導入した。生成物は少なくとも15分間−30℃の温度で凍結し、そして500μbarまでの圧力下で300分間まで凍結乾燥した。この工程に続いて、最高温度40℃で300分間まで2度目の乾燥を行った。
【0098】
凍結乾燥した生成物の、質量の均一性、硬度、崩壊時間、および含水量を測定した。質量の均一性は、それぞれのバッチにつき10ユニットの平均値に基づいて算定した。硬度は、Shleuniger 6D tablet hardness testerを用いて、10ユニットの平均値に基づいて決定した。崩壊時間は、室温で50mlの純水を入れたビーカー中でLYOC(商標)1錠が分解する時間の測定によって決定した。含水量は、Mettler−Toledo balance HR73中で、粉末化したLYOC(商標)少なくとも1gの乾燥後の質量損失の決定によって算出した。
結果は以下の通りである。
【0099】
【表8】


【0100】
バッチ番号457−06からのPEERビーズはまた、純水溶液への導入後、およびその溶液の1時間の攪拌後に、光学顕微鏡下(倍率10×)で写真撮影した。それらの画像はそれぞれ図1および2として示した。
【0101】
バッチ番号021−07/1のLYOC(商標)2錠の、50mlの純水中での分解の様子もまた、写真撮影した。その画像は図3として示した。
【0102】
バッチ番号021−07/1からのLYOC(商標)錠剤の凍結乾燥および分解に続いて、そのLYOC(商標)錠剤のPEERビーズを、光学顕微鏡下(倍率10×)で写真撮影した。その画像は図4として示した。
【実施例7】
【0103】
以下に示すマトリックス材の混合物を凍結乾燥して30mgのPEER LYOC(商標)を作製した。主として、マンニトールは充填剤として用い、コリドン(登録商標)VA64は湿潤剤として用い、デキストラン70は結合剤として用い、スクラロースは甘味剤として用い、純水は中間溶媒として用いた。
【0104】
【表9】

【0105】
デキストラン70、コリドン(登録商標)VA64、スクラロース、およびマンニトールを純水へ添加して、均一な溶液が得られるまで室温で攪拌した。
【0106】
CIMA LABS(ミネソタ州Eden Prairie)から入手した、35%ロード、および35%コーティングしたPEERビーズを懸濁液へ添加して、30分間攪拌した。均一な懸濁液をさらに、Eppendorf Multipette Plus distributorを用いて、あらかじめ作成した5.5×6mmのPVCブリスターへ分注した。ブリスターを満たす間、ユニット重量およびブリスター重量を測定した。
【0107】
懸濁液で満たしたブリスターは、さらにSMH 90凍結乾燥機へ導入した。生成物は少なくとも15分間−30℃の温度で凍結し、そして500μbarまでの圧力下で300分間まで凍結乾燥した。この工程に続いて、最高温度40℃で300分間まで2度目の乾燥を行った。
【0108】
凍結乾燥した生成物の、質量の均一性、硬度、および崩壊時間を測定した。質量の均一性は、それぞれのバッチにつき10ユニットの平均値に基づいて算定した。硬度は、Shleuniger 6D tablet hardness testerを用いて、10ユニットの平均値に基づいて決定した。崩壊時間は、室温で50mlの純水を入れたビーカー中でLYOC(商標)1錠が分解する時間の測定によって決定した。
結果は以下の通りである。
【0109】
【表10】

【実施例8】
【0110】
実施例7のLYOC(商標)錠剤、バッチ番号22−07/1、の溶出試験を行った。溶出試験は以下のように実施した:使用前に37±0.5℃に平衡させてある900mlのN HClを含む容器から、各時点で5mlの分割量を採取した。Distek dissolution testing system Model 2100 A、およびtemperature controller model TCS−0200を用いて、パドル速度50rpmでUSP apparatus 2 methodに従って、試験を実施した。
結果は以下の通りである。
【0111】
【表11】

【実施例9】
【0112】
実施例8に記述したのと同様の工程を用いて、実施例6のLYOC(商標)錠剤、バッチ番号22−07/2、の溶出試験を行った。結果は以下の表に要約した。
【0113】
【表12】

【0114】
本願明細書の発明は特定の実施形態への参照と共に記述してあるが、それらの実施形態は、本発明の応用および原理を説明するためだけのものであることを理解されたい。従って、説明のための実施形態への様々な変更をすることができ、添付した請求項によって定義するところの本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の修正を考案することができることを、理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剤形であって、凍結乾燥溶媒保護性コーティングでコーティングされた有効薬学的成分とマトリックスとを有する少なくとも1つの保護粒子を有し、
この剤形は、患者の口の中における直接経口投薬に適応された、凍結乾燥された経口的に溶解可能/分解可能な剤形である、剤形。
【請求項2】
請求項1記載の剤形において、この剤型は、さらに、
前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングの下に配置されたコーティングを有するものである。
【請求項3】
請求項2記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングの下に配置された前記コーティングは、前記粒子に対して味覚マスキングを、若しくは前記粒子の前記有効薬学的成分の調節放出或いは持続放出を提供するものである。
【請求項4】
請求項1記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、前記粒子に対して味覚マスキングを、若しくは前記粒子の前記有効薬学的成分の調節放出或いは持続放出を提供するものである。
【請求項5】
請求項1記載の剤形において、前記粒子は、粒、微粒子、結晶、顆粒、微粒剤、凝集体、ペレット、ミニ錠剤、ビーズ、微結晶、或いは粉末である。
【請求項6】
請求項5記載の剤形において、前記粒子は、さらに、少なくとも1つの賦形剤を有するものである。
【請求項7】
請求項6記載の剤形において、前記賦形剤は、結合剤、pH調節物質、注入剤、崩壊剤、固体支持体、或いは緩衝剤である。
【請求項8】
請求項1記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、塩基性pHで溶解するものである。
【請求項9】
請求項1記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、中性pHで溶解するものである。
【請求項10】
請求項1記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、酸性pHで溶解するものである。
【請求項11】
請求項10記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、約6.5以下のpHで溶解するものである。
【請求項12】
請求項1記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、前記粒子の重量増加に基づいて約0.1%〜約500%の量で提供されるものである。
【請求項13】
請求項12記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、前記粒子の重量増加に基づいて約1%〜約200%の量で提供されるものである。
【請求項14】
請求項12記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、前記粒子の重量増加に基づいて約1%〜約100%の量で提供されるものである。
【請求項15】
請求項1記載の剤形において、前記マトリックスは、少なくとも1つの結合剤、凍結乾燥結合剤、注入剤、糖、人工甘味料、ポリマー、香料、味覚マスキング物質、有効成分、着色料、湿潤剤、懸濁剤、潤滑剤、発泡性崩壊剤、非発泡性崩壊剤、粘度修飾因子、界面活性剤、及び緩衝剤を有するものである。
【請求項16】
請求項15記載の剤形において、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、前記粒子に対して味覚マスキングを、若しくは前記粒子の前記有効薬学的成分の調節放出或いは持続放出を提供するものであり、前記粒子は、粒、微粒子、結晶、顆粒、微粒剤、凝集体、ペレット、ミニ錠剤、ビーズ、微結晶或いは粉末であり、前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングは、約6.5以下のpHで溶解するものである。
【請求項17】
請求項1記載の剤形において、前記有効薬学的成分は、モダフィニル、ファモチジン、フェニレフリン、或いはフェンタニル、及び/若しくはそれらの塩である。
【請求項18】
請求項1記載の剤形において、前記有効薬学的成分は、溶媒不溶性である。
【請求項19】
剤形を製造する方法であって、
粒子を含有する少なくとも1つの有効薬学的成分を提供する工程と、
少なくとも1つの凍結乾燥保護性コーティングで前記粒子をコーティングする工程と、
前記凍結乾燥溶媒保護性コーティングに溶解しない凍結乾燥溶媒によってコーディングされた前記凍結乾燥溶媒保護性コーティング粒子と、マトリックスとの混合物を形成する工程と、
前記混合物を凍結乾燥して剤形を形成する、前記凍結乾燥する工程と
を有する、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、この方法は、さらに、
凍結乾燥の前に、容器の一部に前記混合物を置く工程と、
凍結乾燥後、前記混合物を前記剤形の中に密閉する工程と
を有するものである。
【請求項21】
患者を治療する方法であって、
治療を必要とする患者の口の中に請求項1記載の経口的に溶解可能/分解可能な凍結乾燥剤形を置く工程と、
前記凍結乾燥溶媒保護性コーティング粒子が溶液、懸濁液、或いはスラリーとして飲み込められるように、前記剤形が十分に分解/溶解するのを可能にする工程と、
少なくとも部分的に分解/溶解した剤形を飲み込む工程と
を有する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−544707(P2009−544707A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521810(P2009−521810)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/016690
【国際公開番号】WO2008/013833
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(509025614)シマ ラブス インク. (6)
【出願人】(508093838)セファロン フランス (2)
【氏名又は名称原語表記】CEPHALON FRANCE
【Fターム(参考)】