説明

信号処理システム及び信号処理方法

【課題】圧縮された信号を、より低い負荷で復元する。
【解決手段】入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータとを生成し、パラメータに基づいて、ランダム測定行列を生成し、ランダム測定行列を用いて、複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力し、パラメータに基づいて、ランダム復元行列を生成し、複数の圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の圧縮データのうち復元していない圧縮データを、疑似逆行列の行列演算により復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を圧縮、復元する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信元機器から通信先機器に信号(データ系列)を送信する際、信号を圧縮して送信することにより、ネットワークの帯域を有効活用することができることが知られている。例えば、通信元機器において信号をAD変換し、圧縮し、ネットワークを介して通信先機器に送信し、通信先機器において復元する。ここでは、信号をAD変換し、圧縮し、復元する技術を、圧縮センシング技術と称する。圧縮センシング技術では、例えば、通信元機器において、入力データ信号に対し、ランダム測定行列を乗じて、圧縮データを生成する。この際のランダム測定行列は、ランダム変数から構成されるもので、入力データ数(信号)に対し、出力データ数(圧縮データ)が小さくなるような行数により構成されている。通信先機器は、通信元機器から圧縮データを受信し、例えばL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムに基づいて信号を復元する。
【0003】
このような圧縮センシングの概念を図34に示す(例えば、非特許文献1、2参照)。この図では、信号が周波数的に、もしくは時間的に疎であることを想定している。ここでは、入力信号X1からX300の300個の信号を、100個単位の信号毎に圧縮する場合を考える。通信元機器において、例えば図35に示すように、X1からX100までの100個の入力信号を、40×100で構成されるランダム測定行列により変換し、T1からT40までの40個の圧縮データを算出する。通信元機器は、算出した圧縮データを通信先機器に順次送信する。通信先機器は、通信元機器から送信された圧縮データを、復元アルゴリズムに基づいて順次復元する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】E. Candes et al., "An Introduction to Compressive Sampling," IEEE Signal Processing Magazine, pp. 21-30, March, 2008.
【非特許文献2】E. Candes et al., "Near-Optimal Signal Recovery from Random Projections: Universal Encoding Strategies?" IEEE Transaction on Information Theory, pp. 5406-5425, December, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の圧縮センシング技術では、複数単位の信号の全ての復元処理を、ランダム測定行列を用いた復元アルゴリズムによって行うため、復元処理の負荷が高くなり、復元処理時間が長くなる問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、より低い負荷で復元処理を行う信号処理システム及び信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムであって、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成する制御部と、パラメータに基づいて、ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成部と、ランダム測定行列を用いて、AD変換部から出力される複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力する圧縮センシング部と、パラメータに基づいて、ランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、圧縮センシング部から出力された複数の圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の圧縮データのうち復元していない圧縮データを、疑似逆行列の行列演算により復元する信号復元部と、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムであって、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、AD変換部から出力されたデジタル信号を平均化して出力する平均部と、平均化ランダム測定行列と、平均化ランダム復元行列と、非平均化ランダム測定行列と、非平均化ランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成し、平均化されたデジタル信号の電力に基づいてデジタル信号の有無を検出し、非平均区間を算出する制御部と、平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて平均化ランダム測定行列を生成する平均化ランダム測定行列生成部と、平均化ランダム測定行列を用いて、平均部から出力されるデジタル信号を圧縮する平均化圧縮センシング部と、非平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて、非平均化ランダム測定行列を生成する非平均化ランダム測定行列生成部と、AD変換部から出力されるデジタル信号のうち、非平均区間の信号を入力し、非平均化ランダム測定行列を用いて信号の圧縮を行う非平均化圧縮センシング部と、平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、平均化ランダム復元行列を生成する平均化ランダム復元行列生成部と、平均化圧縮センシング部によって圧縮されたデジタル信号を、平均化ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果を出力する平均化復元部と、非平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、非平均化ランダム復元行列を生成する非平均化ランダム復元行列生成部と、平均化復元部の復元結果を用いて、非平均化復元行列のうち予め設定した閾値を超える値に相当する列のみを取り出して非平均化逆行列演算用の復元行列を生成し、復元行列の疑似逆行列を計算し、疑似逆行列によって非平均区間の信号の復元を行い、復元結果を出力する非平均化復元部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号を圧縮するリモート局と、圧縮された信号を復元する中央局とを備えた信号処理システムであって、リモート局は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成する制御部と、パラメータに基づいて、ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成部と、ランダム測定行列を用いて、AD変換部から出力される複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力する圧縮センシング部と、中央局と通信する中央通信部とを具備し、中央局は、パラメータに基づいて、ランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、圧縮センシング部から出力された複数の圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の圧縮データのうち復元していない圧縮データを、疑似逆行列の行列演算により復元する信号復元部と、リモート局と通信するリモート通信部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号を圧縮するリモート局と、圧縮された信号を復元する中央局とを備えた信号処理システムであって、リモート局は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、AD変換部から出力されたデジタル信号を平均化して出力する平均部と、平均化ランダム測定行列と、平均化ランダム復元行列と、非平均化ランダム測定行列と、非平均化ランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成し、平均化されたデジタル信号の電力に基づいてデジタル信号の有無を検出し、非平均区間を算出する制御部と、平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて平均化ランダム測定行列を生成する平均化ランダム測定行列生成部と、平均化ランダム測定行列を用いて、平均部から出力されるデジタル信号を圧縮する平均化圧縮センシング部と、非平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて、非平均化ランダム測定行列を生成する非平均化ランダム測定行列生成部と、AD変換部から出力されるデジタル信号のうち、非平均区間の信号を入力し、非平均化ランダム測定行列を用いて信号の圧縮を行う非平均化圧縮センシング部と、中央局と通信する中央通信部とを具備し、中央局は、平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、平均化ランダム復元行列を生成する平均化ランダム復元行列生成部と、平均化圧縮センシング部によって圧縮されたデジタル信号を、平均化ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果を出力する平均化復元部と、非平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、非平均化ランダム復元行列を生成する非平均化ランダム復元行列生成部と、平均化復元部の復元結果を用いて、非平均化復元行列のうち予め設定した閾値を超える値に相当する列のみを取り出して非平均化逆行列演算用の復元行列を生成し、復元行列の疑似逆行列を計算し、疑似逆行列によって非平均区間の信号の復元を行い、復元結果を出力する非平均化復元部と、リモート局と通信するリモート通信部と、を具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した信号処理システムであって、AD変換部から出力されたデジタル信号のFFT変換後の絶対値計算結果の信号を出力するFFT絶対値計算部をさらに具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムの信号処理方法であって、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換ステップと、ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成する制御ステップと、パラメータに基づいて、ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成ステップと、ランダム測定行列を用いて、AD変換ステップにおいて出力される複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力する圧縮センシングステップと、パラメータに基づいて、ランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、圧縮センシングステップにおいて出力された複数の圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の圧縮データのうち復元していない圧縮データを、疑似逆行列の行列演算により復元する信号復元ステップと、を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムの信号処理方法であって、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換ステップと、AD変換ステップにおいて出力されたデジタル信号を平均化して出力する平均ステップと、平均化ランダム測定行列と、平均化ランダム復元行列と、非平均化ランダム測定行列と、非平均化ランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成し、平均化されたデジタル信号の電力に基づいてデジタル信号の有無を検出し、非平均区間を算出する制御ステップと、平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて平均化ランダム測定行列を生成する平均化ランダム測定行列生成ステップと、平均化ランダム測定行列を用いて、平均ステップにおいて出力されるデジタル信号を圧縮する平均化圧縮センシングステップと、非平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて、非平均化ランダム測定行列を生成する非平均化ランダム測定行列生成ステップと、AD変換ステップにおいて出力されるデジタル信号のうち、非平均区間の信号を入力し、非平均化ランダム測定行列を用いて信号の圧縮を行う非平均化圧縮センシングステップと、平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、平均化ランダム復元行列を生成する平均化ランダム復元行列生成ステップと、平均化圧縮センシングステップにおいて圧縮されたデジタル信号を、平均化ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果を出力する平均化復元ステップと、非平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、非平均化ランダム復元行列を生成する非平均化ランダム復元行列生成ステップと、平均化復元ステップにおける復元結果を用いて、非平均化復元行列のうち予め設定した閾値を超える値に相当する列のみを取り出して非平均化逆行列演算用の復元行列を生成し、復元行列の疑似逆行列を計算し、疑似逆行列によって非平均区間の信号の復元を行い、復元結果を出力する非平均化復元ステップと、を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述の信号処理方法であって、AD変換ステップにおいて出力されたデジタル信号のFFT変換後の絶対値計算結果の信号を出力するFFT絶対値計算ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、ランダム変数からなるランダム測定行列の生成に必要な第1のパラメータと、ランダム変数からなるランダム復元行列の生成に必要な第2のパラメータとを生成し、第1のパラメータに基づいて、ランダム測定行列を生成し、ランダム測定行列を用いて、複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力し、第2のパラメータに基づいて、ランダム復元行列を生成し、複数の圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の圧縮データのうち復元していない圧縮データを、疑似逆行列の行列演算により復元するようにしたので、より低い負荷で復元処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の信号処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の信号復元部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による信号処理の例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成方法を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における疑似逆行行列の生成例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるデータ圧縮、復元を行う動作を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における信号復元部の動作を説明する図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による信号処理システムの構成図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるデータ平均、データ圧縮、復元を行う動作例を説明する図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるAD変換部の動作を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における平均部の動作を説明する図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における平均化圧縮センシング部と平均化ランダム測定行列生成部との動作を説明する図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における平均化復元部と平均化ランダム復元行列生成部との動作を説明する図である。
【図14】本発明の第2の実施形態における非平均化ランダム測定行列生成部と、非平均化ランダム圧縮センシング部との動作を説明する図である。
【図15】本発明の第2の実施形態における信号処理システムにおいて、非平均化復元部と平均化ランダム復元行列生成部の動作を説明する図である。
【図16】非平均化ランダム測定行列の行数が40、列数が100の場合の非平均化ランダム復元行列生成の例を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施形態における制御部の動作を説明する図である。
【図18】1つ以上のリモート局と中央局から構成される通信システムの構成図である。
【図19】本発明の第3の実施形態におけるリモート局と中央局との構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第4の実施形態における構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第5の実施形態における平均化圧縮センシング方法について説明すする図である。
【図22】本発明の第5の実施形態における信号処理システムの構成を説明する図である。
【図23】本発明の第5の実施形態におけるデータ平均、データ圧縮、復元を行う動作を説明する図である。
【図24】本発明の第5の実施形態におけるAD変換部の動作を説明する図である。
【図25】本発明の第6の実施形態におけるリモート局と中央局の構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の第7の実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。
【図27】本発明の第8の実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。
【図28】本発明の第9の実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。
【図29】本発明の第10の実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。
【図30】本発明の第10の実施形態における実数疑似逆行用の復元行列と虚数疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。
【図31】本発明の第10の実施形態における実数疑似逆行の生成例を示す図である。
【図32】本発明の第10の実施形態における虚数疑似逆行の生成例を示す図である。
【図33】本発明の第10の実施形態における信号復元方法の例を示す図である。
【図34】従来の圧縮センシングを行うシステムにおける復元処理を示す図である。
【図35】従来の圧縮センシングの概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態による信号処理システムを説明する。図1は、本実施形態による信号処理システムの構成を示すブロック図である。信号処理システムは、AD変換部1002と、圧縮センシング部1004と、信号復元部1006と、ランダム測定行列生成部1008と、ランダム復元行列生成部1010とを備えている。
AD変換部1002は、順次入力される入力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換結果を圧縮センシング部1004に順次出力する。
【0018】
ランダム測定行列生成部1008は、ランダム変数からなるランダム測定行列を生成する。
圧縮センシング部1004は、AD変換部1002から順次出力されたデジタル信号を、ランダム測定行列生成部1008によって生成されたランダム測定行列に基づいて圧縮し、圧縮データを信号復元部1006に順次出力する。ここで、圧縮センシング部1004は、順次入力される複数個のデジタル信号を、定められた個数の単位毎に圧縮する。
ランダム復元行列生成部1010は、ランダム測定行列生成部1008によって生成されたランダム測定行列にIFFT行列を掛け算して、ランダム復元行列を生成する。
信号復元部1006は、圧縮センシング部1004から出力された圧縮データと、ランダム復元行列生成部1010によって生成されたランダム復元行列とに基づいて、L1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムにより信号を復元し、復元した信号を出力する。
【0019】
図2は、信号復元部1006の構成を詳細に示すブロック図である。信号復元部1006は、信号復元部1006は、圧縮センシング復元部10061と、擬似逆行列生成部10062と、擬似逆行列復元部10063とを備えている。
圧縮センシング復元部10061は、圧縮センシング部1004から順次出力された複数の圧縮データの内、最初の圧縮データを復元アルゴリズムによって復元し、復元結果(復元行列)を疑似逆行列生成10062と外部とに出力する。また、圧縮センシング復元部10061は、単位毎に出力される2回目以降の圧縮データを、復元アルゴリズムによる復元を行わずに疑似行列復元部10063に入力する。
【0020】
疑似逆行列生成部10062は、 圧縮センシング復元部10061から出力された復元結果の内、あらかじめ設定した閾値を超える信号を検出し、復元行列の内、検出した信号に相当する列だけを取り出し、復元行列としての疑似逆行列を生成する。 また、擬似逆行列生成部10062は、生成した疑似逆行列を、疑似行列復元部10063に出力する。
擬似逆行列復元部10063は、 疑似逆行列生成部10062から出力された疑似逆行列を用いて、圧縮センシング復元部10061から入力された2回目以降の圧縮データの復元を行い、復元結果を外部に出力する。
【0021】
図3は、本実施形態による信号処理の例を説明する図である。圧縮センシング部1004は、入力信号X1からX300の信号を100個の信号毎に圧縮し、圧縮後の信号T1からT120を信号復元部1006の圧縮センシング復元部10061に入力する。圧縮センシング復元部10061は、最初の圧縮データ(T1からT40)を復元アルゴリズムにより復元する。疑似逆行列生成部10062は、復元されたデータを用いて、疑似逆行列を生成する。次に、 疑似逆行列復元部10063は、 疑似逆行列生成部10062が生成した疑似逆行列を用いて、2回目の圧縮データ(T41からT80とT81からT120)の復元を行う。ここでは、単位毎に出力される最初の圧縮データを復元アルゴリズムにより復元し、2回目以降の圧縮データを擬似逆行列により復元する例を示すが、例えば、複数回の圧縮データに基づいて擬似逆行列を生成し、以降の圧縮データについて擬似逆行列による復元を行うこともできる。例えば、1回目から3回目までの圧縮データに基づいて擬似逆行列を生成し、4回目以降の圧縮データについて擬似逆行列による復元を行うこともできる。
【0022】
図4は、本実施形態における疑似逆行列の生成方法を説明する図である。擬似逆行列生成部10062は、圧縮センシング部10061によって復元された復元結果(X)の内、予め設定した閾値を超える信号を検出する。そして、擬似逆行列生成部10062は、検出した信号に相当する復元行列(A)の列だけを取り出して疑似逆行列用の復元行列(B)を生成する。疑似逆行列用の復元行列(B)を用いて疑似逆行列(B+)を算出する。図5は、本実施形態における疑似逆行行列の生成例を示す図である。図に示すように、疑似逆行列(B+)を、以下式
=(BB)−1
により算出する。
【0023】
次に、図6を参照して、図2に示す信号処理システムにおいて、データ圧縮、復元を行う動作を説明する。図6は、図2に示す信号処理システムにおいて、データ圧縮、復元を行う動作を示すフローチャートである。まず、AD変換部1002は、入力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換した全てのデータは圧縮センシング部1004に出力する(ステップS1)。圧縮センシング部1004は、ランダム測定行列を用いてAD変換部1002から出力されるデジタル信号の圧縮を行う(ステップS2)。信号復元部1006は、圧縮センシング部1004から出力されるデータをランダム復元行列で復元処理を行い(ステップS3)、復元された信号を出力する(ステップS4)。
【0024】
次に、図7を参照して、図6に示す信号処理システムにおいて、信号復元部1006の動作を説明する。図7は、図6に示す信号処理システムにおいて、 信号復元部1006の動作を示すフローチャートである。まず、入力される最初の圧縮データを、ランダム復元行列を用いて復元アルゴリズムにより復元し、疑似逆行列生成部10063と外部とに復元データを出力する(ステップS10)。次に、復元データを用いて、疑似逆行列を生成する(ステップS11)。 次に、疑似逆行列復元部10063は、疑似逆行列生成部10062が生成した疑似逆行列を用いて、2回目以降の圧縮データの復元を行う(ステップS12)。復元処理結果を外部に出力する(ステップS13)。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、L1−minimization復元アルゴリズム等の復元処理結果を用いて逆行列を生成し、その後の復元処理は逆行列を用いて行列演算による復元処理を行うことで、復元処理負荷を低下させることができる。また、圧縮センシングにおいて信号復元に必要な処理量と処理時間を減らしつつ、復元した信号の品質を保つことができる。これにより、圧縮効率向上と処理負荷の軽減ができるという効果が得られる。
【0026】
<第2の実施形態>
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。図8は、本実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態の信号処理システムは、AD変換部102と、平均部104と、平均用圧縮センシング部106と、平均用復元部108と、平均用ランダム測定行列生成部110と、平均用ランダム復元行列生成部112と、制御部114と、非平均用ランダム測定行列生成部116と、非平均用ランダム復元行列生成部118と、非平均用圧縮センシング部120と、非平均用復元部122とを備えている。
【0027】
AD変換部102は、受信した信号を入力とし、アナログデジタル変換を行ってデジタルデータを平均部104に出力する。併せて、制御部114から受けた非平均化区間の信号は非平均化圧縮センシング部120に出力する。なお、後述するように、平均化区間/非平均化区間のいずれとするかについては、ある周波数成分の絶対値が閾値を超えるか否かによって判断する。すなわち、平均化された信号の電力により信号の有無を判断する。
【0028】
平均部104は、制御部114から出力される自己相関計算処理の「有無」のパラメータを受けて、自己相関計算処理が「無」の場合は、平均化区間の信号を平均化圧縮センシングフレーム毎に平均し、平均結果を出力する。ここで、自己相関計算処理を行うのは、平均化の対象となるそれぞれの信号(サンプル値)が正負の値を持っている場合に、平均化されると互いに打ち消しあって、信号が検出されにくくなる場合があることを回避するためである。換言すると、自己相関計算処理を平均化処理の前に行うことで、受信側において信号のある区間を検出することが容易になる。一方、自己相関検出処理を行わなければ演算量が小さくなるとともに回路規模が小さくなる。自己相関計算処理が「有」の場合は、平均区間の信号を平均化圧縮センシングフレーム毎に自己相関計算処理をしてから平均し、自己相関の平均結果を出力する。
【0029】
平均化ランダム測定行列生成部110は、制御部114から平均化ランダム測定行列生成に必要なパラメータを受けて、平均化ランダム測定行列の生成を行う。
平均化圧縮センシング部106は、平均部104から入力されたデジタル信号を110によって生成された平均化ランダム測定行列を利用してデジタルデータの圧縮を行ない、圧縮データを出力する。
【0030】
平均化ランダム復元行列生成部112は制御部114から平均化ランダム復元行列生成に必要なパラメータを受けて、平均化ランダム復元行列の生成を行う。
平均化復元部108は、平均化圧縮センシング部106が出力した圧縮データを入力とし、平均化ランダム復元行列生成部112で生成された平均化ランダム復元行列を利用して信号の復元を行ない、復元されたデータを出力する。この時、L1−minimizationなどの復元アルゴリズムによって復元する。併せて平均化復元データを、既知情報として、制御部114に出力する。
【0031】
非平均化ランダム測定行列生成部116は、制御部114から非平均化ランダム測定行列生成に必要なパラメータを受けて、非平均化ランダム測定行列の生成を行う。
非平均化圧縮センシング部120は、AD変換部102から入力された非平均区間のデジタル信号を116で生成された非平均化ランダム測定行列を利用してデジタルデータの圧縮を行ない、圧縮データの出力を行なう。
【0032】
非平均用ランダム復元行列生成部118は、制御部114から非平均化ランダム復元行列生成部に必要なパラメータと平均用復元部108の復元結果を受けて、非平均化復行列の内、平均用復元部108の復元結果であらかじめ設定した閾値を超える値に相当する列だけ取り出して生成した、非平均化逆行列演算用復元行列の非平均化疑似逆行列を生成計算し、 非平均化復元部122に入力する。非平均化疑似逆行列の生成方法は、図4を参照し説明した疑似逆行列の生成方法と同様である。
【0033】
非平均化復元部122は、非平均化圧縮センシング部120が出力した圧縮データを入力とし、非平均用ランダム復元行列生成部118によって生成された非平均化疑似逆行列を利用して信号の復元を行ない、復元されたデータを出力する。併せて非平均化復元データは既知情報として、制御部114に出力する。
【0034】
なお、平均化ランダム測定行列と非平均化ランダム測定行列とは本質的に同じ行列であっても構わない。ただし、それぞれを別の系統とすることによって、たとえば、信号を検出した際に非平均区間のデジタル信号について、たとえば周波数領域上または時間領域上でスパースな信号の場合には、その密な部分の周波数帯または時間帯に大きくなる重み付けを行うような行列演算によって圧縮処理をすることも可能となる。このとき、平均化ランダム測定行列には、周波数領域、時間領域に偏りのない行列を用いることができる。
【0035】
平均部104は、制御部114が出力する自己相関計算処理の有無のパラメータと、平均化圧縮センシングフレームと、平均期間を参照し、自己相関無の場合は、AD変換部102から入力されるデータを、平均期間毎に分けて、さらに平均期間内のデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて平均して、圧縮センシングフレーム分のデータを出力する。自己相関有りの場合は、AD変換部102から入力されるデータを、平均期間毎に分けて、さらに平均期間内のデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて自己相関処理を行ってから各自己相関処理の結果を平均して、圧縮センシングフレーム分のデータを出力する。
【0036】
次に、図9を参照して、図8に示す信号処理システムにおいて、データ平均、データ圧縮、復元を行う動作を説明する。図9は、図8に示す信号処理システムにおいて、データ平均、データ圧縮、復元を行う動作を示すフローチャートである。まず、AD変換部102は、入力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換した全てのデータは平均部104に出力する。同時に、非平均区間のデータは非平均化圧縮センシング120に出力する(ステップS20)。平均部104は、自己相関無しの場合は、AD変換部102から入力されるデータを、平均期間毎に分けて、さらに平均期間内のデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて平均化して、圧縮センシングフレーム分のデータを出力する。自己相関有りの場合は、AD変換部102から入力されるデータを、平均期間毎に分けて、さらに平均期間内のデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて自己相関処理を行ってから各自己相関処理の結果を平均して、圧縮センシングフレーム分のデータを出力する(ステップS21)。
【0037】
平均化圧縮センシング部106は、平均化ランダム測定行列を用いて平均部104から出力されるデジタル信号の圧縮を行う(ステップS22)。平均化復元部108は、平均化圧縮センシング部106から出力されるデータを平均化ランダム復元行列で復元処理を行い(ステップS23)、復元された信号を出力する(ステップS24)。
【0038】
一方、非平均化圧縮センシング部120は、AD変換部から出力される非平均区間のデータを、非平均化ランダム測定行列を用いて圧縮を行う(ステップS25)。非平均化復元部122は、非平均化圧縮センシング部120から出力されるデータを非平均化ランダム復元行列生成部118が生成した非平均化疑似逆行列を用いて復元処理を行い(ステップS26)、復元された信号を出力する(ステップS27)。
【0039】
次に、図10を参照して、図8に示す信号処理システムにおける、AD変換部102の動作を説明する。図10は、図8に示す信号処理システムにおけるAD変換部102の動作を示すフローチャートである。まず、入力されたアナログ信号をデジタル信号にサンプリングする(ステップS30)。サンプリングされた全てのデータを平均化圧縮センシング部106に入力する(ステップS32)。そして、制御部114から入力される非平均圧縮処理の有無を参照し(ステップS31)、有りの場合は非平均区間のデータを非平均化圧縮センシング部120に入力する(ステップS33)。
【0040】
次に、図11を参照して、図8に示す信号処理システムにおける平均部104の動作を説明する。図11は、図8に示す信号処理システムにおける平均部104の動作を示すフローチャートである。まず、制御部114から入力される自己相関処理の有無のパラメータを参照し、自己相関処理の有無を設定する(ステップS40)。自己相関処理有りの場合は、平均化圧縮センシングフレーム毎に、平均化圧縮センシングフレーム内のデータの自己相関を計算してその結果を出力する(ステップS41)。そして、ステップS41の自己相関処理の結果を平均化圧縮センシングフレーム毎に平均化する。自己相関無しの場合は、AD変換部102から入力されるデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に平均化する(ステップS42)。そして、その結果を平均化圧縮センシング部106に出力する(ステップS43)。
【0041】
図12は、図8に示す信号処理システムにおける平均化圧縮センシング部106と平均化ランダム測定行列生成部110の動作を説明する図である。平均化ランダム測定行列生成部110は、制御部114から入力される平均化ランダム測定行列生成パラメータである、平均化ランダム測定行列の行数と列の数を参照し、参照した平均化ランダム測定行列の行数と列数のサイズを持つランダム行列を生成する(ステップS50)。平均化ランダム測定行列の各成分はランダム数生成機により生成される。平均化ランダム測定行列の列数は前記平均化圧縮センシングフレームと同じ値である。平均化圧縮センシング部106は入力されるデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて、平均化ランダム測定行列生成部110が生成した平均化ランダム測定行列に掛け算する(ステップS51)。平均化圧縮センシングフレーム毎の掛け算の結果で得られる平均化ランダム測定行列の行数分のデータを出力する(ステップS52)。
【0042】
図13は、図8に示す信号処理システムにおける平均化復元部108と平均化ランダム復元行列生成部112の動作を説明する図である。平均化ランダム復元行列生成部112は、平均化ランダム測定行列生成部110が生成した平均化ランダム測定行列に平均化ランダム測定の列数を行と列の大きさとするIFFT行列を掛け算して平均化ランダム復元行列を生成する(ステップS60)。平均化ランダム測定行列は、例えば図35において示したランダム測定行列と同様の構成であり、行数が40、列数が100の行列である。平均化復元部108は、平均化ランダム復元行列生成部112が生成した平均化ランダム復元行列を用いて、L1−minimization等の復元アルゴリズムを利用し信号復元処理を行う(ステップS61)。そして、復元された信号を制御部114と外部に出力する(ステップS62)。
【0043】
図14は、図8に示す信号処理システムにおける非平均化ランダム測定行列生成部116と、非平均化ランダム圧縮センシング部120の動作を説明する図である。非平均化ランダム測定行列生成部116は制御部114から入力される非平均化ランダム測定行列生成パラメータである非平均化ランダム測定行列の行数と列の数を参照し、非平均化ランダム測定行列の行数と非平均化ランダム測定行列の列数のサイズを持つランダム行列を生成する(ステップS70)。非平均化ランダム測定行列の各成分はランダム数生成機により生成される。非平均化ランダム測定行列の列数は前記非平均化圧縮センシングフレームと同じ値である。非平均化圧縮センシング部120は入力されるデータを非平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて、非平均化ランダム測定行列生成部116が生成した非平均化ランダム測定行列に掛け算する(ステップS71)。非平均化圧縮センシングフレーム毎の掛け算の結果で得られる非平均化ランダム測定行列の行数分のデータを出力する(ステップS72)。
【0044】
図15は、図8に示す信号処理システムにおける非平均化復元部122と平均化ランダム復元行列生成部118の動作を説明する図である。非平均化ランダム復元行列生成部118は、非平均化ランダム測定行列生成部116が生成した非平均化ランダム測定行列に非平均化ランダム測定の列数を行と列の大きさとするIFFT行列を掛け算して非平均化ランダム復元行列を生成する(ステップS80)。図16は、非平均化ランダム測定行列の行数が40、列数が100の場合の非平均化ランダム復元行列生成の例を示す図である。次に、非平均化ランダム復元行列の列の内、平均用復元部108の復元結果であらかじめ設定した閾値を超える値に相当する列だけ取り出して生成した、非平均化逆行列演算用復元行列を生成する(ステップS81)。次に、非平均化逆行列演算用復元行列の疑似逆行列を計算し、非平均化疑似逆行列を生成し非平均化復元部122に入力する(ステップS82)。該非平均化疑似逆行列の生成方法は、図4を参照し記述した疑似逆行列の生成方法と同様である。非平均化復元部122は、非平均化ランダム復元行列生成部118が生成した非平均化疑似逆行列を用いて、信号復元処理を行う(ステップS83)。そして、復元された信号を制御部114と外部に出力する(ステップS84)。
【0045】
図17は、図8に示す信号処理システムにおける制御部114の動作を説明する図である。制御部114は平均区間と平均化圧縮センシングフレームのサイズを平均部104に出力する(ステップS91)。また、制御部114は平均化ランダム測定行列の行数と列の数及び平均化圧縮センシングフレームのサイズを平均化ランダム測定行列生成部110と平均化ランダム復元行列生成部112に出力する(ステップS92)。そして、平均化復元部108から入力される信号の周波数成分の絶対値を平均区間毎に分析し(ステップS93)、非平均処理対象の信号の有無を判断する(ステップS94)。この信号の有無の判断は、周波数成分の絶対値が予め設定した閾値を超えるか否かで判断する。
【0046】
非平均処理対象の信号がある場合、その信号が検出された平均区間の情報をAD変換部102に出力する(ステップS95)。続いて、非平均化ランダム測定行列の行数と列の数及び非平均化圧縮センシングフレームのサイズを非平均化ランダム測定行列生成部116と非平均化ランダム復元行列生成部118に出力する(ステップS96)。そして、非平均化復元部122から入力される信号の周波数成分の絶対値を分析し(ステップS97)、非平均処理対象の信号の有無を判断する(ステップS94)。この信号の有無の判断は、周波数成分の絶対値があらかじめ設定した閾値を超えるか否かで判断する。
【0047】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。図18は、1つ以上のリモート局1〜Nと中央局10から構成され、リモート局1〜Nと中央局10は伝送路で接続されている通信システムの構成を示す図である。本実施形態では、図18に示す通信システムに本発明の信号処理システムを適用した例を説明する。
【0048】
図19は、図18に示すリモート局1と中央局10の構成を示すブロック図である。ここで、リモート局1と中央局10とが備える各部は、図1において示した信号処理システムの各部と同様の構成である。すなわち、本実施形態におけるAD変換部2002と、圧縮センシング部2004と、ランダム測定行列生成部2008と、ランダム復元行列生成部2010とは、それぞれ第1の実施形態におけるAD変換部1002、圧縮センシング部1004、信号復元部1006、ランダム測定行列生成部1008、ランダム復元行列生成部1010と同様である。また、制御部2012は、第2の実施形態の制御部114と同様である。
【0049】
AD変換部2002は、受信した信号を入力とし、アナログデジタル変換を行ってデジタルデータを圧縮センシング部2004に出力する。
ランダム復元行列生成部2010は、制御部2012から、伝送路を介してリモート局1から受信したランダム測定行列生成に必要なパラメータを参照し、ランダム測定行列の生成を行う。
【0050】
圧縮センシング部2004は、AD変換部2002から入力されたデジタル信号をランダム測定行列生成部2008によって生成されたランダム測定行列を利用してデジタルデータの圧縮を行ない、圧縮データの出力を行なう。圧縮センシング部2004の出力は伝送路を介して中央局10に伝送される。
【0051】
信号復元部2006は、伝送路を介して受信した圧縮データを入力とし、ランダム復元行列生成部2010で生成されたランダム復元行列を利用して信号の復元を行ない、復元されたデータを制御部2012と外部に出力する。この時、信号復元部2006の動作は前記信号復元部1006の動作と同様である。
【0052】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。本実施形態の信号処理システムは、図18に示したように、1つ以上のリモート局1〜Nと中央局10から構成され、リモート局1〜Nと中央局10は伝送路で接続された通信システムである。本実施形態では、図20を参照して、このような通信システムに本発明の信号処理システムを適用した例を説明する。
【0053】
図20は、リモート局1と中央局10の構成を示すブロック図である。ここで、リモート局1と中央局10とが備える各部は、図8において示した信号処理システムの各部と同様の構成である。すなわち、本実施形態におけるAD変換部202と、平均部204と、平均化圧縮センシング部206と、平均化復元部208と、平均化ランダム測定行列生成部210と、平均化ランダム復元行列生成部212と、制御部214と、非平均化ランダム測定行列生成部216処理動作とは、それぞれ第2の実施形態のAD変換部102と、平均部104と、平均化圧縮センシング部106と、平均化復元部108と、平均化ランダム測定行列生成部110と、制御部114と、非平均化ランダム測定行列生成部116と同様である。
【0054】
AD変換部202は、受信した信号を入力とし、アナログデジタル変換を行ってデジタルデータを平均部204に出力する。併せて、制御部214から伝送路を介して受けた非平均区間の信号は非平均化圧縮センシング部220に出力する。
平均部204は、制御部214から伝送路を介して受信した自己相関計算処理の有無のパラメータを参照し、自己相関計算処理が無しの場合は、平均区間の信号を平均化圧縮センシングフレーム毎に平均化し、平均結果を出力する。自己相関計算処理が有りの場合は、平均区間の信号を平均化圧縮センシングフレーム毎に自己相関計算処理をしてから平均化し、自己相関の平均結果を出力する。
【0055】
平均化ランダム測定行列生成部210は、制御部214から伝送路を介して受信した平均化ランダム測定行列生成部に必要なパラメータを参照し、平均化ランダム測定行列の生成を行う。
平均化圧縮センシング部206は、平均部204から入力されたデジタル信号を210によって生成された平均化ランダム測定行列を利用してデジタルデータの圧縮を行ない、圧縮データを出力する。
平均化ランダム復元行列生成部212は、制御部214から、伝送路を介して受信した平均化ランダム復元行列生成に必要なパラメータを参照し、平均化ランダム復元行列の生成を行う。平均化圧縮センシング部206の出力は伝送路を介して中央局10に伝送される。
【0056】
平均化復元部208は、平均化圧縮センシング部206から伝送路を介して受信した圧縮データを入力とし、平均化ランダム復元行列生成部212によって生成された平均化ランダム復元行列を利用して、復元アルゴリズムによる信号の復元を行ない、復元されたデータを出力する。併せて平均化復元データを既知情報として、制御部214に出力する。
非平均化ランダム測定行列生成部216は、制御部214から伝送路を介した受信した非平均化ランダム測定行列生成部に必要なパラメータを参照し、非平均化ランダム測定行列の生成を行う。
【0057】
非平均化圧縮センシング部220は、AD変換部202から入力された非平均区間のデジタル信号を216で生成された非平均化ランダム測定行列を利用してデジタルデータの圧縮を行ない、圧縮データの出力を行なう。非平均化圧縮センシング部220からの出力は伝送路を介して中央局10に伝送される。
【0058】
非平均用ランダム復元行列生成部218は、制御部214から非平均化ランダム復元行列生成部に必要なパラメータと平均用復元部208の復元結果を受けて、非平均化復行列の内、平均用復元部208の復元結果であらかじめ設定した閾値を超える値に相当する列だけ取り出して生成した、非平均化逆行列演算用復元行列の非平均化疑似逆行列を生成し、 非平均化復元部222に入力する。非平均化疑似逆行列の生成方法は、図4を参照して説明した疑似逆行列の生成方法と同様である。
【0059】
非平均化復元部222は、非平均化圧縮センシング部220が伝送路を介して受信した圧縮データを入力とし、 非平均化ランダム復元行列生成部218によって生成された非平均化疑似逆行列を利用して信号の復元を行ない、復元されたデータを出力する。併せて非平均化復元データは既知情報として、制御部214に出力する。
【0060】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態による信号処理システムを説明する。図21は、本実施形態の平均化圧縮センシング方法について説明する図である。周波数領域、もしくは時間領域で疎である信号に対して、FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)変換を行い、その結果の絶対値を計算し、その計算結果を平均してから平均化ランダム測定行列を乗算することで、入力データの圧縮を行なう。図21においては、10000個のデータが100個毎に平均化されたものを平均化ランダム測定行列で処理することによって、40個に圧縮されている。平均化ランダム測定行列はランダム変数で生成されるランダム測定行列から生成される。平均化処理を行う前に信号をFFT変換することにより、周波数領域に疎な信号に対しても平均化による圧縮効果を得ることができる。
【0061】
図22は、本実施形態による信号処理システムの構成を説明する図である。図22は本実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、他の実施形態のシステムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。この図に示すシステムが他の実施形態と異なる点は、FFT絶対値計算部103が設けられている点である。
【0062】
図22において、AD変換部102は受信した信号を入力とし、アナログデジタル変換を行ってデジタルデータをFFT絶対値計算部103に出力する。FFT絶対値計算部103は入力されたデジタルデータのFFT変換を行いその係数の絶対値を計算し、平均部104に出力する。併せて、制御部114から受けた非平均化区間の信号は非平均化圧縮センシング部120に出力する。なお、後述するように、平均化区間/非平均化区間のいずれとするかについては、ある周波数成分の絶対値が閾値を超えるか否かによって判断される。すなわち、平均化された信号の電力により信号の有無を判断する。
【0063】
FFT絶対値計算部103は、制御部114から出力される平均化圧縮センシングフレームを受けて、平均化圧縮センシングフレーム毎にFFT変換を行う。そして、FFT変換後の係数の絶対値を計算し、平均部104に出力する。平均部104は、平均化区間の信号を平均化圧縮センシングフレーム毎に平均し、平均結果を出力する。
【0064】
図23は、図22に示す信号処理システムにおいて、データ平均、データ圧縮、復元を行う動作を説明する図である。図23は、図22に示す信号処理システムが、データ平均、データ圧縮、復元を行う動作を示すフローチャートである。
【0065】
まず、AD変換部102は、入力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換した全てのデータはFFT絶対値計算部103に出力する。同時に、非平均区間のデータは非平均化圧縮センシング120に出力する(ステップS100)。FFT絶対値計算部103はAD変換部102から入力されるデータを、平均化圧縮センシングフレーム毎にFFT変換し、その結果の絶対値を計算し、平均部104に出力する(ステップS101)。平均部104は、FFT絶対値計算部103から入力されるデータを、平均期間毎に分けて、さらに平均期間内のデータを平均化圧縮センシングフレーム毎に分けて平均化して、圧縮センシングフレーム分のデータを出力する(ステップS102)。以降、ステップS103からステップS108の処理は、図9において説明したステップS22からステップS27までの処理と同様である。
【0066】
図24は、図22に示す信号処理システムにおけるAD変換部102の動作を説明する図である。図24は、図22に示す信号処理システムにおいて、AD変換部102の動作を示すフローチャートである。
【0067】
まず、入力されたアナログ信号をデジタル信号にサンプリングする(ステップS110)。サンプリングされた全てのデータをFFT絶対値計算部103に入力する(ステップS111)。そして、制御部114から入力される非平均圧縮処理の有無を参照し(ステップS112)、有りの場合は非平均区間のデータを非平均用圧縮センシング部120に入力する(ステップS113)。
【0068】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。本実施形態では、図18に示す通信システムに本実施形態の信号処理システムを適用した例を説明する。図25は、リモート局1と中央局10の構成を示すブロック図である。この図において、他の実施形態のシステムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。この図に示すシステムが他の実施形態と異なる点は、FFT絶対値計算部203が設けられている点である。AD変換部202は受信した信号を入力とし、アナログデジタル変換行ってデジタルデータをFFT絶対値計算部203に出力する。併せて、制御部214から伝送路を介して受けた非平均区間の信号は非平均化圧縮センシング部220に出力する。FFT絶対値計算部203は、AD変換部202から入力されたデジタルデータを、制御部214から伝送路を介して受信した平均化圧縮センシングフレーム毎に分けてFFT変換処理を行い、その結果の絶対値を計算し平均部204に出力する。平均部204は、平均区間の信号を平均化圧縮センシングフレーム毎に平均化し、平均結果を出力する。
【0069】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。第7の実施形態では、信号がブロック的に疎である性質を利用する。図4に示す疑似逆行列用の復元行列生成方法を図26のようにブロック毎の信号検出に変えた方法である。図26は、本実施形態の疑似逆行列用の復元行列生成方法を説明する図である。復元アルゴリズムの復元結果をあらかじめ設定したブロック毎に分けて、ブロック内にあらかじめ設定した閾値を超える信号が検出された場合、そのブロックに相当する復元行列の列のブロックを取り出し、疑似逆行列用の復元行列を生成する。
【0070】
<第8の実施形態>
次に、本発明の第8の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。本実施形態では、時間領域の信号は周波数領域で対称的になる性質を利用する。図27は、本実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。復元アルゴリズムの復元結果から、予め設定した閾値を超えた信号が検出された場合、その信号の周波数領域と対称的に存在する信号も、閾値を超えたかに関係なく信号が検出されたとみなし、復元行列の列を対称的に取り出して疑似逆行列用の復元行列(B)を生成する。
【0071】
<第9の実施形態>
次に、本発明の第9の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。本実施形態では、時間領域の信号は周波数領域で対称的になる性質を利用し、さらに信号がブロック的に疎である性質も利用する。図28は、本実施形態における疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。復元アルゴリズムの復元結果から予め設定した閾値を超えた信号が検出された場合、その信号があるブロックとその周波数領域の対称的に存在するブロックの信号も、閾値を超えたかに関係なく信号が検出されたとみなし、復元行列の列のブロックを対象的に取り出して疑似逆行列用の復元行列(B) を生成する。
【0072】
<第10の実施形態>
次に、本発明の第10の実施形態による信号処理システムの構成を説明する。本実施形態では、図29は、第9の実施形態による疑似逆行列用の復元行列(B)の生成方法と、検出された信号だけで構成される検出信号行列(x’)の生成方法の例を示す図である。図29の例では、復元アルゴリズムの復元結果から予め設定した閾値を超えて検出された信号はa+bi、c+diとその対称的な場所にあるa−bi、c−diである。そして、復元行列(A)の列の内、a+bi、c+di、c−di、a−biに相当する列はM1、M2、N2、N1であり、疑似逆行列用の復元行列(B)は 列M1、M2、N2、N1により構成される。圧縮後の信号はH+Gi(T)である。そして、入力信号の中で、検出された信号a+bi、c+di、c−di、a−biだけで検出信号行列(x’)が生成される。圧縮後の信号(T)、疑似逆行列用の復元行列(B)、検出信号行列(x’)はT=B*x’になる。つまり、本実施形態の復元処理は、圧縮後の信号(T)と疑似逆行列用の復元行列(B)を用いて、検出信号行列(x’)を復元する処理である。
【0073】
図30は、本実施形態における実数疑似逆行用の復元行列と虚数疑似逆行用の復元行列の生成例を示す図である。ここでは、検出信号行列(x’)の対称性を用いて、圧縮後の信号(T)、疑似逆行列用の復元行列(B)、及び検出信号行列(x’)を再構成し、圧縮後の信号の実数成分(Real−T)、圧縮後の信号の虚数成分(Imag−T)、実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)、虚数復元用疑似逆行列用の復元行列(Imag−B)、検出信号の実数成分行列(Real−x’)、及び検出信号の虚数成分行列(Imag−x’)を生成する。 圧縮後の信号の実数成分(Real−T)と圧縮後の信号の虚数成分(Imag−Tはそれぞれ圧縮後の信号(T)の実数と虚数成分である。
【0074】
実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)は疑似逆行列用の復元行列(B)の列を対象的に足し算して構成される。例えば、疑似逆行列用の復元行列(B)が4列の場合、実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)の1列と2列はそれぞれ疑似逆行列用の復元行列(B)の1列と4列を足し算した結果と、2列と3列を足し算した結果である。結果的に、実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)の列数は疑似逆行列用の復元行列(B)の列数の半分になる。虚数復元用疑似逆行列用の復元行列(Imag−B)は疑似逆行列用の復元行列(B)の列を対象的に引き算して構成される。例えば、疑似逆行列用の復元行列(B)が4列の場合、虚数復元用疑似逆行列用の復元行列(Imag−B)の1列と2列はそれぞれ疑似逆行列用の復元行列(B)の1列に4列を引き算、2列に3列を引き算した結果である。結果的に、虚数復元用疑似逆行列用の復元行列(Imag−B)の列数は疑似逆行列用の復元行列(B)の列数の半分になる。
【0075】
検出信号の実数成分行列(Real−x’)と検出信号の虚数成分行列(Imag−x’)はそれぞれ、検出信号行列(x’)の半分の行の成分の実数成分と虚数成分で構成される列である。結果的に、検出信号の実数成分行列(Real−x’)と検出信号の虚数成分行列(Imag−x’)の行数は、検出信号行列(x’)の行数の半分になる。例えば、図30の例のように 検出信号行列(x’)の1行から4行までの成分がそれぞれ、a+bi、c+di、c-di、a−biの場合、検出信号の実数成分行列(Real−x’)の1行と2行の成分は、それぞれaとcになる。同じく、検出信号の虚数成分行列(Imag−x’)の1行と2行の成分は、それぞれbとdになる。
【0076】
上記のように構成された、圧縮後の信号の実数成分(Real−T)、実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)、検出信号の実数成分行列(Real−x’)の関係は、(Real−T)=(Real−B)*(Real−x’)になる。同じく、圧縮後の信号の虚数成分(Imag−T)、虚数復元用疑似逆行列用の復元行列(Imag−B)、 検出信号の虚数成分行列(Imag−x’)の関係は、(Imag−T)=(Imag−B)*(Imag−x’)になる。
【0077】
図31は、本実施形態における実数疑似逆行の生成例を示す図である。図に示すように、実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)を用いて、実数復元用疑似逆行列(Real−B+)を計算する。実数復元用疑似逆行列(Real−B+)と実数復元用疑似逆行列用の復元行列(Real−B)の関係式は、(Real−B+)=((Real−B)*×(Real−B))-1×(Real−B)*である。ここで、*と−1は、それぞれtranspose行列と逆行列を示す。
図32は、本実施形態における虚数疑似逆行の生成例を示す図である。図に示すように、虚数復元用疑似逆行列用の復元行列(Imag−B)を用いて、虚数復元用疑似逆行列(Imag−B+)を計算する。虚数復元用疑似逆行列(Imag−B+)と虚数復元用疑似逆行列用の復元行列( Imag−B)の関係式は、(Imag−B+)=((Imag−B)*×(Imag−B))-1×(Imag−B)*である。ここで、*と−1は、それぞれtranspose行列と逆行列を示す。
【0078】
図33は、本実施形態における信号復元方法の例を示す図である。図に示すように、実数復元用疑似逆行列(Real− B+)、虚数復元用疑似逆行列(Imag−B+)、圧縮後の信号の実数成分(Real−T)及び圧縮後の信号の虚数成分(Imag−T)を用いる信号復元方法を示す。実数復元用疑似逆行列(Real−B+)と圧縮後の信号の実数成分(Real−T)の行列掛け算結果と、虚数復元用疑似逆行列(Imag−B+)と圧縮後の信号の虚数成分(Imag−T)の行列掛け算を、信号が検出された場所に配置することで周波数領域の信号の復元ができる。時間領域の信号は、周波数領域の信号のIFFT処理の結果で得られる。
【0079】
以上説明したように、ランダム圧縮技術において送信データ量を削減するために、信号をAD変換後、L1−minimization復元アルゴリズム等の復元処理結果を用いて逆行列を生成し、その後の復元処理は逆行列を用いて、行列演算で復元処理を行うことで信号復元に必要な処理量と処理時間を減らしつつ、復元した信号の品質を保つことが実現できる。
また、本発明は、信号をAD変換、圧縮、復元する圧縮センシングにおいて、圧縮後の信号復元処理を行うことが不可欠な信号処理の用途に適用できる。
【0080】
なお、各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより信号処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0081】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
102 AD変換部
103 FFT絶対値計算部
104 平均部
106 平均用圧縮センシング部
108 平均用復元部
110 平均用ランダム測定行列生成部
112 平均用ランダム復元行列生成部
114 制御部
116 非平均用ランダム測定行列生成部
118 非平均用ランダム復元行列生成部
120 非平均用圧縮センシング部
122 非平均用復元部
1002 AD変換部
1004 圧縮センシング部
1006 信号復元部
1008 ランダム測定行列生成部
1010 ランダム復元行列生成部
10061 圧縮センシング復元部
10062 擬似逆行列生成部
10063 擬似逆行列復元部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムであって、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、
ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成する制御部と、
前記パラメータに基づいて、前記ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成部と、
前記ランダム測定行列を用いて、前記AD変換部から出力される複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力する圧縮センシング部と、
前記パラメータに基づいて、前記ランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、
前記圧縮センシング部から出力された複数の前記圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、前記ランダム復元行列を用いて復元し、当該復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の前記圧縮データのうち復元していない前記圧縮データを、前記疑似逆行列の行列演算により復元する信号復元部と、
を具備することを特徴とする信号処理システム。
【請求項2】
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムであって、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、
前記AD変換部から出力されたデジタル信号を平均化して出力する平均部と、
平均化ランダム測定行列と、平均化ランダム復元行列と、非平均化ランダム測定行列と、非平均化ランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成し、平均化された前記デジタル信号の電力に基づいてデジタル信号の有無を検出し、非平均区間を算出する制御部と、
前記平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて前記平均化ランダム測定行列を生成する平均化ランダム測定行列生成部と、
前記平均化ランダム測定行列を用いて、前記平均部から出力される前記デジタル信号を圧縮する平均化圧縮センシング部と、
前記非平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて、前記非平均化ランダム測定行列を生成する非平均化ランダム測定行列生成部と、
前記AD変換部から出力される前記デジタル信号のうち、非平均区間の信号を入力し、前記非平均化ランダム測定行列を用いて信号の圧縮を行う非平均化圧縮センシング部と、
前記平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、前記平均化ランダム復元行列を生成する平均化ランダム復元行列生成部と、
前記平均化圧縮センシング部によって圧縮された前記デジタル信号を、前記平均化ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果を出力する平均化復元部と、
前記非平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、前記非平均化ランダム復元行列を生成する非平均化ランダム復元行列生成部と、
前記平均化復元部の復元結果を用いて、前記非平均化復元行列のうち予め設定した閾値を超える値に相当する列のみを取り出して前記非平均化逆行列演算用の復元行列を生成し、当該復元行列の疑似逆行列を計算し、当該疑似逆行列によって非平均区間の信号の復元を行い、復元結果を出力する非平均化復元部と、
を具備することを特徴とする信号処理システム。
【請求項3】
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号を圧縮するリモート局と、当該圧縮された信号を復元する中央局とを備えた信号処理システムであって、
前記リモート局は、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、
ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成する制御部と、
前記パラメータに基づいて、前記ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成部と、
前記ランダム測定行列を用いて、前記AD変換部から出力される複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力する圧縮センシング部と、
前記中央局と通信する中央通信部とを具備し、
前記中央局は、
前記パラメータに基づいて、前記ランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、
前記圧縮センシング部から出力された複数の前記圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、前記ランダム復元行列を用いて復元し、当該復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の前記圧縮データのうち復元していない前記圧縮データを、前記疑似逆行列の行列演算により復元する信号復元部と、
前記リモート局と通信するリモート通信部と、
を具備することを特徴とする信号処理システム。
【請求項4】
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号を圧縮するリモート局と、当該圧縮された信号を復元する中央局とを備えた信号処理システムであって、
前記リモート局は、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換部と、
前記AD変換部から出力されたデジタル信号を平均化して出力する平均部と、
平均化ランダム測定行列と、平均化ランダム復元行列と、非平均化ランダム測定行列と、非平均化ランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成し、平均化された前記デジタル信号の電力に基づいてデジタル信号の有無を検出し、非平均区間を算出する制御部と、
前記平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて前記平均化ランダム測定行列を生成する平均化ランダム測定行列生成部と、
前記平均化ランダム測定行列を用いて、前記平均部から出力される前記デジタル信号を圧縮する平均化圧縮センシング部と、
前記非平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて、前記非平均化ランダム測定行列を生成する非平均化ランダム測定行列生成部と、
前記AD変換部から出力される前記デジタル信号のうち、非平均区間の信号を入力し、前記非平均化ランダム測定行列を用いて信号の圧縮を行う非平均化圧縮センシング部と、
前記中央局と通信する中央通信部とを具備し、
前記中央局は、
前記平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、前記平均化ランダム復元行列を生成する平均化ランダム復元行列生成部と、
前記平均化圧縮センシング部によって圧縮された前記デジタル信号を、前記平均化ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果を出力する平均化復元部と、
前記非平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、前記非平均化ランダム復元行列を生成する非平均化ランダム復元行列生成部と、
前記平均化復元部の復元結果を用いて、前記非平均化復元行列のうち予め設定した閾値を超える値に相当する列のみを取り出して前記非平均化逆行列演算用の復元行列を生成し、当該復元行列の疑似逆行列を計算し、当該疑似逆行列によって非平均区間の信号の復元を行い、復元結果を出力する非平均化復元部と、
前記リモート局と通信するリモート通信部と、
を具備することを特徴とする信号処理システム。
【請求項5】
前記AD変換部から出力された前記デジタル信号のFFT変換後の絶対値計算結果の信号を出力するFFT絶対値計算部をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の信号処理システム。
【請求項6】
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムの信号処理方法であって、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換ステップと、
ランダム変数からなるランダム測定行列とランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成する制御ステップと、
前記パラメータに基づいて、前記ランダム測定行列を生成するランダム測定行列生成ステップと、
前記ランダム測定行列を用いて、前記AD変換ステップにおいて出力される複数のデジタル信号を、定められた単位毎に圧縮し、複数の圧縮データを出力する圧縮センシングステップと、
前記パラメータに基づいて、前記ランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、
前記圧縮センシングステップにおいて出力された複数の前記圧縮データのうち少なくとも1単位の圧縮データを、前記ランダム復元行列を用いて復元し、当該復元結果に基づいて疑似逆行列を生成し、複数の前記圧縮データのうち復元していない前記圧縮データを、前記疑似逆行列の行列演算により復元する信号復元ステップと、
を具備することを特徴とする信号処理方法。
【請求項7】
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムの信号処理方法であって、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するAD変換ステップと、
前記AD変換ステップにおいて出力されたデジタル信号を平均化して出力する平均ステップと、
平均化ランダム測定行列と、平均化ランダム復元行列と、非平均化ランダム測定行列と、非平均化ランダム復元行列との生成に必要なパラメータを生成し、平均化された前記デジタル信号の電力に基づいてデジタル信号の有無を検出し、非平均区間を算出する制御ステップと、
前記平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて前記平均化ランダム測定行列を生成する平均化ランダム測定行列生成ステップと、
前記平均化ランダム測定行列を用いて、前記平均ステップにおいて出力される前記デジタル信号を圧縮する平均化圧縮センシングステップと、
前記非平均化ランダム測定行列生成のパラメータに基づいて、前記非平均化ランダム測定行列を生成する非平均化ランダム測定行列生成ステップと、
前記AD変換ステップにおいて出力される前記デジタル信号のうち、非平均区間の信号を入力し、前記非平均化ランダム測定行列を用いて信号の圧縮を行う非平均化圧縮センシングステップと、
前記平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、前記平均化ランダム復元行列を生成する平均化ランダム復元行列生成ステップと、
前記平均化圧縮センシングステップにおいて圧縮された前記デジタル信号を、前記平均化ランダム復元行列を用いて復元し、復元結果を出力する平均化復元ステップと、
前記非平均化ランダム復元行列生成のパラメータに基づいて、前記非平均化ランダム復元行列を生成する非平均化ランダム復元行列生成ステップと、
前記平均化復元ステップにおける復元結果を用いて、前記非平均化復元行列のうち予め設定した閾値を超える値に相当する列のみを取り出して前記非平均化逆行列演算用の復元行列を生成し、当該復元行列の疑似逆行列を計算し、当該疑似逆行列によって非平均区間の信号の復元を行い、復元結果を出力する非平均化復元ステップと、
を具備することを特徴とする信号処理方法。
【請求項8】
AD変換ステップにおいて出力された前記デジタル信号のFFT変換後の絶対値計算結果の信号を出力するFFT絶対値計算ステップを有する
ことを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の信号処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate


【公開番号】特開2013−93707(P2013−93707A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233984(P2011−233984)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】