説明

信号処理装置及び方法、並びにプログラム

【課題】 DPマッチングにおける経路構築を効率よく高速に行うことが可能な信号処理装置及びその方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】 評価値計算部10は、各対応点における評価値を計算し、経路選択部11は、各対応点における経路を選択する。選択された経路は、経路列生成部12に順次格納され、経路列毎に纏められる。経路列生成部12は、経路列を経路列記憶部14に格納し、経路構築部16は、格納された経路列に基づいて、2系列の要素の対応関係を表す経路を探索する。ここで、経路列記憶部14では、各経路列の位置に応じて当該経路列が格納されるアドレスが決定されていると共に、各経路列上での位置に応じて当該経路列に含まれる各経路のインデクスが決定されており、経路構築部16は、各対応点における経路に基づいて、次に読み出すべき経路が格納されたアドレス及びインデクスを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DP(Dynamic Programming)マッチング(動的計画法)を用いた演算を行う信号処理装置及びその方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2枚の画像からの仮想視点画像や距離画像の作成、或いは音声認識等の分野において、DP(Dynamic Programming)マッチング(動的計画法)が広く用いられており、ソフトウェアでは実装されているものもある(特許文献1等を参照)。
【0003】
一例として、第1の画像と第2の画像との画素パターンを対応付ける場合について、図14を参照しながら説明する。
【0004】
先ず、第1の画像のあるスキャンライン(水平ライン)上の各要素を水平軸、第2の画像の対応するスキャンライン上の各要素を垂直軸として並べ、要素同士の全ての対応点における評価値を求める。ここで用いるスキャンラインは、エピポーラ拘束等を用いて予め算出しておいたものである。例えば要素nと要素nとの対応点(図中四角で示す)における評価値を求める場合、それらの要素の画素値に加えて、要素nと要素(n−1)との対応点、要素(n−1)と要素nとの対応点、及び要素(n−1)と要素(n−1)との対応点(何れも、図中丸で示す)における評価値のそれぞれを用いて3種類の評価値を計算し、これらの3種類の評価値のうちの最小値を当該対応点における評価値として記憶する。この際、その最小の評価値をもたらした経路(左,下,左下の何れか)を併せて記憶する。この計算を左下隅の対応点から始めて右上隅の対応点へと至るまでの全ての対応点について行い、且つ、全ての経路を記憶する。
【0005】
なお、評価値の計算方法は解決しようとする問題によって種々存在するが、例えばステレオ法を用いて距離画像を作成する場合の評価値の計算方法は、非特許文献1等に記載されている。
【0006】
その後、右上隅の対応点から始めて、記憶された経路を逆に辿って左下隅の対応点へと至る経路を構築すると、その経路上に存在する対応点がスキャンライン上の要素同士の対応関係を表すことになる。
【0007】
このように、DPマッチングでは、各要素の組合せという小さい単位の計算を繰り返して解くことによって、それと同じタイプの大きな単位の問題を解決する。
【0008】
【特許文献1】特開平2−53187号公報
【非特許文献1】J. Cox, et al.,“A Maximum Likelihood Stereo Algorithm”, COMPUTER VISION AND IMAGE UNDERSTANDING, Vol.63, No.3, May, pp.542-567, 1996
【特許文献2】特開昭50−23533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図14から分かるように、ある対応点における評価値を計算するためには、当該対応点の左,下,左下の対応点における評価値が事前に計算されている必要があり、また、その計算を行う時点までそれらの評価値を記憶しておかなければならない。このため、単純に逐次処理を行うと、要素数がN倍になればその計算量及び計算に要する時間はN倍となり、また、その計算を行う時点まで記憶しておかなければならない評価値の数も飛躍的に増大していく。したがって、実時間処理を行うためにハードウェア化を試みたとしても、リソース量やメモリ量、或いは動作速度の観点からその実現は困難であった。
【0010】
そこで、従来、左下隅の対応点と右上隅の対応点とを結ぶ対角線の軌跡に沿って複数の対応点における評価値を並列に計算するようにハードウェアを構成することにより、評価値の計算に要する時間を削減する技術が提案されている(特許文献2を参照)。この特許文献2記載の技術によれば、DPマッチングにおける評価値の計算を高速に行うことができると共に、並列計算した各対応点において最小の評価値を与える経路を記憶することができる。
【0011】
しかしながら、特許文献2記載の技術を含む従来の技術では、各対応点における経路を単純に記憶するのみであったため、右上隅の対応点から始めて、記憶された経路を逆に辿って左下隅の対応点へと至る経路を構築する際に、各対応点における経路を効率的に読み出すことができず、経路構築に比較的長い時間を要してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、DPマッチングにおける経路構築を効率よく高速に行うことが可能な信号処理装置及びその方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明に係る信号処理装置は、第1の要素列と第2の要素列との要素同士の対応関係を動的計画法を用いて求める信号処理装置であって、上記第1の要素列を第1の軸、上記第2の要素列を上記第1の軸と垂直な第2の軸として、要素同士が対応する各対応点における評価値を計算する評価値計算手段と、上記各対応点における評価値に基づいて各対応点における経路を選択する経路選択手段と、上記第1,第2の要素列の最後の要素同士を結ぶ対角線に平行な各列上の対応点における経路である経路列が格納される経路列記憶手段と、上記第1の要素列と上記第2の要素列とのうち、対応する要素同士の対応点における経路を上記経路列記憶手段から順次読み出し、上記第1の要素列と上記第2の要素列との要素同士の対応関係を表す経路を構築する経路構築手段とを備え、上記経路列記憶手段では、各経路列の位置に応じて当該経路列が格納されるアドレスが決定されていると共に、各経路列上での位置に応じて当該経路列に含まれる各経路のインデクスが決定されており、上記経路構築手段は、各対応点における経路に基づいて、次に読み出すべき経路が格納されたアドレス及びインデクスを特定することを特徴とする。
【0014】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る信号処理方法は、第1の要素列と第2の要素列との要素同士の対応関係を動的計画法を用いて求める信号処理方法であって、上記第1の要素列を第1の軸、上記第2の要素列を上記第1の軸と垂直な第2の軸として、要素同士が対応する各対応点における評価値を計算する評価値計算工程と、上記各対応点における評価値に基づいて各対応点における経路を選択する経路選択工程と、上記第1,第2の要素列の最後の要素同士を結ぶ対角線に平行な各列上の対応点における経路である経路列を経路列記憶手段に格納する経路列記憶工程と、上記第1の要素列と上記第2の要素列とのうち、対応する要素同士の対応点における経路を上記経路列記憶手段から順次読み出し、上記第1の要素列と上記第2の要素列との要素同士の対応関係を表す経路を構築する経路構築工程とを有し、上記経路列記憶手段では、各経路列の位置に応じて当該経路列が格納されるアドレスが決定されていると共に、各経路列上での位置に応じて当該経路列に含まれる各経路のインデクスが決定されており、上記経路構築工程では、各対応点における経路に基づいて、次に読み出すべき経路が格納されたアドレス及びインデクスを特定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、上述した信号処理をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る信号処理装置及びその方法、並びにプログラムによれば、DPマッチングにおける経路構築を効率よく高速に行うことが可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
先ず、本実施の形態における信号処理装置の概略構成を図1に示す。図1に示すように、本実施の形態における信号処理装置1は、入力された各対応点における要素値に基づいて、各対応点について3種類の評価値を計算する評価値計算部10と、各対応点について3種類の評価値のうち最小の評価値を与える経路(左,下,左下の何れか)を選択する経路選択部11と、それぞれ1つの経路を格納する記憶子が複数並んだ構造を有し、各対応点について選択された経路を各記憶子に順次格納して後述する経路列を生成する経路列生成部12と、経路列生成部12に対して1列分の経路列の格納が終了したか否かを判定する経路列格納終了判定部13と、経路列生成部12で生成された経路列が格納される経路列記憶部14と、全ての対応点について評価値が計算され、経路列が経路列記憶部14に格納されたか否かを判定する計算終了判定部15と、経路列記憶部14に格納された経路列に基づいて、2系列の要素の対応関係を表す経路を構築する経路構築部16とから構成されている。
【0019】
ここで、上述した経路列とは、図2の楕円で示すように、左上隅の対応点と右下隅の対応点とを結ぶ対角線に平行な直線(以下、「列」という。)上の対応点における経路を表したものである。なお、評価値計算部10においては、各列上の対応点の評価値を並列に計算するようにしてもよい。
【0020】
この信号処理装置1の処理手順について、図3のフローチャートを用いて説明する。先ずステップS1において、評価値計算部10は、各対応点における要素値を入力して3種類の評価値を計算し、ステップS2において、経路選択部11は、各対応点について3種類の評価値のうち最小の評価値を与える経路(左,下,左下の何れか)を選択する。選択された経路は、経路列生成部12内の各記憶子に順次格納され、経路列毎に並べて纏められる。なお、経路列記憶部12内の記憶子は、2系列の要素のうち、多い方の要素数分用意すればよい。
【0021】
次にステップS3において、経路列格納終了判定部13は、経路列生成部12に対する1列分の経路列の格納が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS1に戻って計算を繰り返す。一方、1列分の経路列の格納が終了していれば、ステップS4に進む。
【0022】
続いてステップS4において、経路列生成部12は、生成された経路列を経路列記憶部14に格納する。ここで、経路列は、図4の模式図に示すようにして経路列記憶部14に格納される。すなわち、経路列は左下隅の対応点と右上隅の対応点とを結ぶ対角線で2つの部分経路列に分割され、右下の部分経路列はそのまま第1の部分経路列記憶部20に格納され、左上の部分経路列はその並び順を反転して第2の部分経路列記憶部21に格納される。この際、各部分経路列は、第1,第2の部分経路列記憶部20,21内の1つのアドレスに格納される。
【0023】
続いてステップS5において、計算終了判定部15は、全ての経路列の経路列記憶部14への格納が終了したか否かを判定し、終了していなければステップS1に戻って計算を繰り返し、終了していればステップS6に進む。
【0024】
続いてステップS6において、経路構築部16は、経路列記憶部14に格納された経路列に基づいて、2系列の要素の対応関係を表す経路を構築する。
【0025】
ここで、経路列の経路列記憶部14への格納と、経路列記憶部14に格納された経路列に基づく経路構築について、さらに詳細に説明する。
【0026】
上述したように、各部分経路列は、第1,第2の部分経路列記憶部20,21内の1つのアドレスに格納されるが、この際、部分経路列上での位置に応じて、例えば図5に示すようにインデクスが付与される。すなわち、左下隅の対応点と右上隅の対応点とを結ぶ対角線上の対応点についてはインデクス0が付与され、対角線よりも右の対応点についてはそれぞれの経路列に沿って対角線に近い対応点からインデクス1,2,3・・・が付与され、対角線よりも左の対応点についてはそれぞれの経路列に沿って対角線に近い対応点からインデクス−1,−2,−3・・・が付与される。そして、右上隅の対応点における経路を含む経路列は第1,第2の部分経路列記憶部20,21内のアドレス0に格納され、以下、左下隅の対応点における経路を含む経路列に至るまで、アドレス1,2,3・・・に格納される。なお、各部分経路列は、例えば図6のような配列で第1,第2の部分経路列記憶部20,21内の各アドレスに格納される。
【0027】
上述した経路構築部16は、アドレス及びインデクスを増減させながら、経路列記憶部14から経路を読み出し、2系列の要素の対応関係を表す経路を構築する。この経路列記憶部14からの経路の読み出しは、図7のフローチャートのようにして行われる。先ずステップS10において、現在の対応点における経路を判別し、経路が「左」であれば、ステップS11において現在のアドレスが奇数であるか偶数であるかを判別する。そして、現在のアドレスが奇数であればステップS13においてアドレスを+1、インデクスを±0してステップS18に進み、偶数であればステップS14においてアドレスを+1、インデクスを−1してステップS18に進む。また、ステップS10において、経路が「下」であれば、ステップS12において現在のアドレスが奇数であるか偶数であるかを判別する。そして、現在のアドレスが偶数であればステップS15においてアドレスを+1、インデクスを±0してステップS18に進み、奇数であればステップS16においてアドレスを+1、インデクスを+1してステップS18に進む。また、ステップS10において、経路が「左下」であれば、ステップS17においてアドレスを+2、インデクスを±0してステップS18に進む。
【0028】
次にステップS18において、増減後のアドレスから経路列を読み出し、ステップS19において、その経路列のうち、増減後のインデクスで示される経路を選択する。そしてステップS20において経路を構築し、ステップS10に戻る。
【0029】
ここで、例えば図8の太線で示すような経路が構築される場合のアドレス及びインデクスの増減方法について説明する。経路の構築は右上隅の対応点から始められる。この対応点における経路は、第1の部分経路列記憶部20のアドレス0のインデクス0に格納されている。これが「左下」を示しているので、左下へと進む。この場合、次の経路は、アドレスを+2、インデクスを±0した場所、つまりアドレス2のインデクス0に格納されている。これが「下」を示しているので下へと進む。この場合、次の経路は、アドレスを+1、インデクスを±0した場所、つまりアドレス3のインデクス0に格納されている。このような処理を繰り返すことにより、図中太線で示すような経路が構築される。
【0030】
以上のように、本実施の形態における信号処理装置1によれば、部分経路列上での位置に応じてインデクスを付与することにより、例えば図7のフローチャートのような簡単な論理の処理で経路を構築することができ、また、各経路列を1つのアドレスに格納することにより、1回の読み出し処理で1つの対応点における経路が構築できるため、DPマッチングにおける経路構築を効率よく行うことが可能となる。
【0031】
したがって、この信号処理装置1を用いることにより、例えばDPマッチングを用いた仮想視点画像や距離画像の生成、ビュー・インターポレーション(View Interpolation)等の画像処理や、或いは音声認識処理等が実時間で行えるようなシステムを構築することができる。
【0032】
例えばステレオ法を用いた距離画像生成にこの信号処理装置1を用いた場合、奇数アドレスのインデクスを+0.5すれば、このインデクスをそのまま距離情報のインデクスとすることができる。なお、+0.5を実現するには、インデクスを1ビット拡張し、アドレスの最下位ビットを付加すればよい。
【0033】
また、同じくステレオ法を用いた距離画像生成にこの信号処理装置1を用いた場合、2台のカメラの光軸が交差しない範囲という拘束条件を設ければ、左下隅の対応点と右上隅の対応点とを結ぶ対角線よりも右の対応点についてのみ部分経路列を求めればよく、第2の部分経路列記憶部21を省略することができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0035】
例えば、上述した実施の形態では、図5に示したように、左下隅の対応点と右上隅の対応点とを結ぶ対角線上の対応点についてはインデクス0を付与し、対角線よりも右の対応点についてはそれぞれの経路列に沿って対角線に近い対応点からインデクス1,2,3・・・を付与し、対角線よりも左の対応点についてはそれぞれの経路列に沿って対角線に近い対応点からインデクス−1,−2,−3・・・を付与するものとして説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、以下の第1〜第3の変形例に示すように、種々の変更が可能である。
【0036】
先ず、第1の変形例は、図8に示すように、左下隅の対応点と右上隅の対応点とを結ぶ対角線上の対応点についてはインデクス0を付与し、対角線よりも右の対応点については垂直軸に沿って対角線に近い対応点からインデクス1,2,3・・・を付与し、対角線よりも左の対応点については垂直軸に沿って対角線に近い対応点からインデクス−1,−2,−3・・・を付与するものである。この場合、部分経路列が2列分ずつ第1,第2の部分経路列記憶部20,21に格納される。なお、負のインデクスが付与された対応点における経路を格納する際に、インデクス0が付与された対応点における経路を含めるようにしても構わない。
【0037】
第1の変形例における経路列記憶部14からの経路の読み出しは、図9のフローチャートのようにして行われる。先ずステップS30において、現在の対応点における経路を判別し、経路が「左」であれば、ステップS31においてアドレスを±0、インデクスを−1してステップS34に進む。また、ステップS30において、経路が「左下」であれば、ステップS32においてアドレスを+1、インデクスを±0してステップS34に進む。また、ステップS30において、経路が「下」であれば、ステップS33においてアドレスを±0、インデクスを+1してステップS34に進む。
【0038】
次にステップS34において、増減後のアドレスから経路列を読み出し、ステップS35において、その経路列のうち、増減後のインデクスで示される経路を選択する。そしてステップS36において経路を構築し、ステップS30に戻る。
【0039】
なお、この第1の変形例の場合においても、ステレオ法を用いた距離画像生成に用いた場合に、2台のカメラの光軸が交差しない範囲という拘束条件を設ければ、第2の部分経路列記憶部21を省略することができる。
【0040】
次に、第2の変形例は、図10に示すように、右上隅の対応点を含む水平軸上の対応点についてはインデクス0を付与し、以下、左下隅の対応点を含む水平軸に至るまで、インデクス1,2,3・・・を付与するものである。この場合、部分経路列には分割されず、各経路列が経路列記憶部14の1つのアドレスに記憶される。
【0041】
第2の変形例における経路列記憶部14からの経路の読み出しは、図11のフローチャートのようにして行われる。先ずステップS40において、現在の対応点における経路を判別し、経路が「左」であれば、ステップS41においてアドレスを+1、インデクスを±0してステップS44に進む。また、ステップS40において、経路が「左下」であれば、ステップS42においてアドレスを+2、インデクスを+1してステップS44に進む。また、ステップS40において、経路が「下」であれば、ステップS43においてアドレスを+1、インデクスを+1してステップS44に進む。
【0042】
次にステップS44において、増減後のアドレスから経路列を読み出し、ステップS45において、その経路列のうち、増減後のインデクスで示される経路を選択する。そしてステップS46において経路を構築し、ステップS40に戻る。
【0043】
続いて第3の変形例は、図12に示すように、右上隅の対応点を含む垂直軸上の対応点についてはインデクス0を付与し、以下、左下隅の対応点を含む垂直軸に至るまで、インデクス1,2,3・・・を付与するものである。この場合、部分経路列には分割されず、各経路列が経路列記憶部14の1つのアドレスに記憶される。
【0044】
第3の変形例における経路列記憶部14からの経路の読み出しは、図13のフローチャートのようにして行われる。先ずステップS50において、現在の対応点における経路を判別し、経路が「左」であれば、ステップS51においてアドレスを+1、インデクスを+1してステップS54に進む。また、ステップS50において、経路が「左下」であれば、ステップS52においてアドレスを+2、インデクスを+1してステップS54に進む。また、ステップS50において、経路が「下」であれば、ステップS53においてアドレスを+1、インデクスを±0してステップS54に進む。
【0045】
次にステップS54において、増減後のアドレスから経路列を読み出し、ステップS55において、その経路列のうち、増減後のインデクスで示される経路を選択する。そしてステップS56において経路を構築し、ステップS50に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施の形態における信号処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における経路列を示す図である。
【図3】同信号処理装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図4】経路列の経路列記憶部への格納を模式的に示す図である。
【図5】各対応点に付加されるインデクスと部分経路列が格納されるアドレスとを示す図である。
【図6】第1,第2の経路列記憶部に格納される際の部分経路列の配列を示す図である。
【図7】図5の場合における経路列記憶部からの経路の読み出しを説明するフローチャートである。
【図8】各対応点に付加されるインデクスと経路列が格納されるアドレスとを示す図である。
【図9】図8の場合における経路列記憶部からの経路の読み出しを説明するフローチャートである。
【図10】各対応点に付加されるインデクスと経路列が格納されるアドレスとを示す図である。
【図11】図10の場合における経路列記憶部からの経路の読み出しを説明するフローチャートである。
【図12】各対応点に付加されるインデクスと経路列が格納されるアドレスとを示す図である。
【図13】図12の場合における経路列記憶部からの経路の読み出しを説明するフローチャートである。
【図14】DPマッチングを用いて第1の画像と第2の画像との画素パターンを対応付ける場合について説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
1 信号処理装置、10 評価値計算部、11 経路選択部、12 経路列生成部、13 経路列格納終了判定部、14 経路列記憶部、15 計算終了判定部、16 経路構築部、20 第1の部分経路列記憶部、21 第2の部分経路列記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の要素列と第2の要素列との要素同士の対応関係を動的計画法を用いて求める信号処理装置であって、
上記第1の要素列を第1の軸、上記第2の要素列を上記第1の軸と垂直な第2の軸として、要素同士が対応する各対応点における評価値を計算する評価値計算手段と、
上記各対応点における評価値に基づいて各対応点における経路を選択する経路選択手段と、
上記第1,第2の要素列の最後の要素同士を結ぶ対角線に平行な各列上の対応点における経路である経路列が格納される経路列記憶手段と、
上記第1の要素列と上記第2の要素列とのうち、対応する要素同士の対応点における経路を上記経路列記憶手段から順次読み出し、上記第1の要素列と上記第2の要素列との要素同士の対応関係を表す経路を構築する経路構築手段とを備え、
上記経路列記憶手段では、各経路列の位置に応じて当該経路列が格納されるアドレスが決定されていると共に、各経路列上での位置に応じて当該経路列に含まれる各経路のインデクスが決定されており、
上記経路構築手段は、各対応点における経路に基づいて、次に読み出すべき経路が格納されたアドレス及びインデクスを特定する
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
上記経路列記憶手段は、上記第1,第2の要素列の最後の要素同士の対応点と、上記第1,第2の要素列の最初の要素同士の対応点とを結ぶ対角線で各経路列を分割して2つの部分経路列としたときの一方の部分経路列が格納される第1の部分経路列記憶手段と、他方の部分経路列が格納される第2の部分経路列記憶手段とを有することを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
第1の要素列と第2の要素列との要素同士の対応関係を動的計画法を用いて求める信号処理方法であって、
上記第1の要素列を第1の軸、上記第2の要素列を上記第1の軸と垂直な第2の軸として、要素同士が対応する各対応点における評価値を計算する評価値計算工程と、
上記各対応点における評価値に基づいて各対応点における経路を選択する経路選択工程と、
上記第1,第2の要素列の最後の要素同士を結ぶ対角線に平行な各列上の対応点における経路である経路列を経路列記憶手段に格納する経路列記憶工程と、
上記第1の要素列と上記第2の要素列とのうち、対応する要素同士の対応点における経路を上記経路列記憶手段から順次読み出し、上記第1の要素列と上記第2の要素列との要素同士の対応関係を表す経路を構築する経路構築工程とを有し、
上記経路列記憶手段では、各経路列の位置に応じて当該経路列が格納されるアドレスが決定されていると共に、各経路列上での位置に応じて当該経路列に含まれる各経路のインデクスが決定されており、
上記経路構築工程では、各対応点における経路に基づいて、次に読み出すべき経路が格納されたアドレス及びインデクスを特定する
ことを特徴とする信号処理方法。
【請求項4】
第1の要素列と第2の要素列との要素同士の対応関係を動的計画法を用いて求める処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
上記第1の要素列を第1の軸、上記第2の要素列を上記第1の軸と垂直な第2の軸として、要素同士が対応する各対応点における評価値を計算する評価値計算工程と、
上記各対応点における評価値に基づいて各対応点における経路を選択する経路選択工程と、
上記第1,第2の要素列の最後の要素同士を結ぶ対角線に平行な各列上の対応点における経路である経路列を経路列記憶手段に格納する経路列記憶工程と、
上記第1の要素列と上記第2の要素列とのうち、対応する要素同士の対応点における経路を上記経路列記憶手段から順次読み出し、上記第1の要素列と上記第2の要素列との要素同士の対応関係を表す経路を構築する経路構築工程とを有し、
上記経路列記憶手段では、各経路列の位置に応じて当該経路列が格納されるアドレスが決定されていると共に、各経路列上での位置に応じて当該経路列に含まれる各経路のインデクスが決定されており、
上記経路構築工程では、各対応点における経路に基づいて、次に読み出すべき経路が格納されたアドレス及びインデクスを特定する
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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