信号処理装置
【課題】ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことを可能とする信号処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置100は、複数の画素のいずれかである対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う輪郭強調処理部132と、複数の画素のうち、対象画素の周辺に設けられた周辺画素の色相と、対象画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する設定部131とを備える。色相成分強調処理部は、設定部によって設定された色相範囲内において、色相成分の輪郭強調処理を行う。
【解決手段】処理装置100は、複数の画素のいずれかである対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う輪郭強調処理部132と、複数の画素のうち、対象画素の周辺に設けられた周辺画素の色相と、対象画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する設定部131とを備える。色相成分強調処理部は、設定部によって設定された色相範囲内において、色相成分の輪郭強調処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素によって構成される画像の輪郭強調を行う信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像の画質を調整する技術として、輪郭強調技術が知られている。輪郭強調技術では、例えば、ラプラシアンフィルタなどの輪郭強調フィルタを用いて、彩度成分、明度成分、輝度成分の輪郭強調処理が行われる。なお、輪郭強調処理は、画像の鮮やかさを上昇する強調処理及び画像の鮮やかさを低下する弛緩処理の双方を含む。
【0003】
第1技術として、特定色相を有する特定色に特定色相とは異なる色相を有する加算色を加算する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、特定色に加算色を加算するゲート回路が設けられている。
【0004】
第2技術として、RGB信号をHSV信号に変換した上で、彩度成分及び明度成分の輪郭強調処理を行う技術が提案されている(例えば、特許文献2)。RGB信号は、赤成分信号、緑成分信号及び青成分信号を含む。HSV信号は、色相成分信号、彩度成分信号及び明度成分信号を含む。
【特許文献1】特開平10−276444号公報
【特許文献2】特開平5−174142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人間の目は、色の変化よりも明るさの変化に敏感である。従って、MPEGなどの画像圧縮において、色相成分信号に割り当てられるビット数は、輝度成分信号に割り当てられるビット数よりも少ない。
【0006】
一方で、近年では、画像の高画質化に伴って、色相成分信号に割り当てられるビット数が増加している。従って、彩度成分、明度成分及び輝度成分の輪郭強調処理だけではなくて、色相成分の輪郭強調処理が有用であると考えられる。
【0007】
しかしながら、第1技術では、特定色について着目しているに過ぎず、様々な色相成分の輪郭強調処理について考慮されていない。同様に、第2技術では、彩度成分及び明度成分について着目しているに過ぎず、色相成分の輪郭強調処理について考慮されていない。
【0008】
一方で、色相成分について単純に輪郭強調処理を行うと、輪郭強調処理後の色相が輪郭強調処理前の色相からずれて、ユーザに違和感を与える可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことを可能とする信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の特徴に係る信号処理装置は、複数の画素によって構成される画像の輪郭強調処理を行う。信号処理装置は、前記複数の画素のいずれかである対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う色相成分強調処理部(輪郭強調処理部132)と、前記複数の画素のうち、前記対象画素の周辺に設けられた周辺画素の色相と、前記対象画素の色相とに基づいて、前記対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する設定部(設定部131)とを備える。前記色相成分強調処理部は、前記設定部によって設定された前記色相範囲内において、前記色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0011】
かかる特徴によれば、設定部は、周辺画素の色相と対象画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する。色相成分強調処理部は、色相範囲内において色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、輪郭強調処理後の色相が輪郭強調処理前の色相からずれて、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことができる。
【0012】
第1の特徴において、前記設定部は、前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第1色相を特定する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第2色相を特定する。前記設定部は、前記第1色相と前記第2色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定する。
【0013】
第1の特徴において、前記設定部は、前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間に含まれる色相の平均値である第1平均色相を特定する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間に含まれる色相の平均値である第2平均色相を特定する。前記設定部は、前記第1平均色相と前記第2平均色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定する。
【0014】
第1の特徴において、信号処理装置は、前記対象画素と前記周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関を取得する相関取得部(輪郭強調係数算出部133)をさらに備える。前記色相成分強調処理部は、前記相関取得部によって取得された相関に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0015】
第1の特徴において、信号処理装置は、前記複数の画素について、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの分布を取得する分布取得部(輪郭強調係数算出部134)をさらに備える。前記色相成分強調処理部は、前記分布取得部によって取得された分布に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0016】
第1の特徴において、信号処理装置は、前記対象画素の彩度成分、明度成分及び輝度成分の少なくとも1つの成分を強調する他成分の輪郭強調処理を行う他成分強調処理部(明度処理部160及び彩度処理部170)をさらに備える。前記色相成分強調処理部及び前記他成分強調処理部は、前記対象画素の総輪郭強調量が上限閾値を超えない範囲で、前記色相成分の輪郭強調処理及び前記他成分の輪郭強調処理を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことを可能とする信号処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
[第1実施形態]
(信号処理装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る信号処理装置100を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、処理装置100は、信号入力部110と、色空間変換部120と、色相処理部130と、色空間逆変換部140と、信号出力部150とを有する。
【0022】
信号入力部110は、RGB信号を受け付ける。RGB信号は、映像入力信号であり、赤入力信号、緑入力信号及び青入力信号を含む。信号入力部110は、DVDやTVチューナなどの外部機器からRGB信号を取得する。
【0023】
なお、RGB信号は、複数の画素によって構成される画像(フレーム)を構成する。映像は、連続する複数の画像(フレーム)によって構成される。各画素は、赤の値、緑の値及び青の値を有しており、各値は、例えば、256階調で表現される。
【0024】
色空間変換部120は、各画素の色相成分を独立して制御可能な信号にRGB信号を変換する。例えば、色空間変換部120は、RGB信号をHSV信号又はYUV信号に変換する。
【0025】
なお、HSV信号は、色相成分(H;Hue)、彩度成分(S;Saturation)、明度成分(V;Value)を含む。HSV信号では、色相成分(H)によって色相成分を独立して制御可能である。
【0026】
YUV信号は、輝度成分(Y)、輝度成分と青成分との青色差成分(U)、輝度成分と赤成分との赤色差成分(V)を含む。YUV信号では、青色差成分(U)及び赤色差成分(V)によって色相成分を独立して制御可能である。以下においては、HSV信号とYUV信号との混同を避けるために、YUV信号については、輝度成分(L)、色差成分(Cb)、色差成分(Cr)で表現する。
【0027】
なお、RGB信号は、以下に示す式によって、YUV信号に変換することができる。
【0028】
L(Y)=0.29891×R+0.58661×G+0.11448×B
Cb(U)=−0.16874×R−0.33126×G+0.50000×B
Cr(V)=0.50000×R−0.41869×G−0.08131×B
なお、色差成分(Cb)及び色差成分(Cr)は、以下に示す式によって、彩度成分(S)及び色相成分(H)で表現することができる。
【0029】
S=(Cb(U)^2+Cr(V)^2)^(1/2)
H=arctan(Cb(V)/Cr(U))
以下においては、色空間変換部120がRGB信号をHSV信号に変換するケースについて主として説明する。
【0030】
色相処理部130は、対象画素の色相成分を強調する色相成分強調処理部を行う。対象画素は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素のいずれかである。なお、色相成分強調処理部は、色相の差分を大きくする強調処理及び色相の差分を小さくする弛緩処理の双方を含む。
【0031】
具体的には、色相処理部130は、図2に示すように、設定部131と、輪郭強調処理部132とを有する。
【0032】
設定部131は、対象画素の色相と周辺画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する。周辺画素は、対象画素の周辺に設けられた画素である。
【0033】
例えば、図3に示すように、対象画素の座標がP0(x,y)で表されるケースについて説明する。第1実施形態では、周辺画素は、垂直方向及び水平方向において対象画素に隣接する画素である。周辺画素の座標は、P1(x,y−1)、P2(x−1,y)、P3(x,y+1)、P4(x+1,y)で表される。
【0034】
以下において、色相範囲の設定方法について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4及び図5は、各画素の色を2軸(x軸及びy軸)で表現する色度図である。図4及び図5では、色度図の外周が色相を示している。なお、色相の値は、指数化されており、0〜1の範囲である。また、色相は、色度図の外周の1周で表されるため、“0”の色相は、“1”の色相と同じである。
【0035】
(設定方法1)
設定方法1では、図4に示すように、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも小さいケースについて説明する。なお、対象画素P0の色相は“0.15”である。周辺画素P1の色相は“0.3”であり、周辺画素P2の色相は“0.1”であり、周辺画素P3の色相は“0.2”であり、周辺画素P4の色相は“0”である。
【0036】
第1に、設定部131は、対象画素の色相に対する補色色相を特定する。ここでは、補色色相Xは“0.7”である。
【0037】
第2に、設定部131は、対象画素の色相と補色色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。ここでは、第1色相空間S1は、“0”〜“0.3”及び“0.7”〜“1”である。第2色相空間S2は、“0.3”〜“0.7”である。
【0038】
第3に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第1色相空間において対象画素の色相から最も離れた第1色相を特定する。ここでは、第1色相は、第1色相空間S1においてP0の色相から最も離れたP4の色相“0”である。
【0039】
第4に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第2色相空間において対象画素の色相から最も離れた第2色相を特定する。ここでは、第2色相は、第2色相空間S2においてP0の色相から最も離れたP1の色相“0.3”である。
【0040】
第5に、設定部131は、第1色相と第2色相とによって挟まれた範囲を色相範囲として設定する。ここでは、色相範囲は、P4の色相とP1の色相とによって挟まれた範囲であり、“0〜0.3”である。
【0041】
(設定方法2)
設定方法2では、図5に示すように、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも大きいケースについて説明する。なお、対象画素P0の色相は“0.15”である。周辺画素P1の色相は“0.3”であり、周辺画素P2の色相は“0.8”であり、周辺画素P3の色相は“0.5”であり、周辺画素P4の色相は“0”である。
【0042】
第1に、設定部131は、対象画素の色相に対する補色色相を特定する。ここでは、補色色相Xは“0.7”である。
【0043】
第2に、設定部131は、対象画素の色相と補色色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。ここでは、第1色相空間S1は、“0”〜“0.3”及び“0.7”〜“1”である。第2色相空間S2は、“0.3”〜“0.7”である。
【0044】
第3に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第1色相空間に含まれる色相の平均値である第1平均色相を特定する。ここでは、第1平均色相は、第1色相空間S1に含まれるP4の色相“1(0)”及びP2の色相“0.8”の平均値“0.9”である。
【0045】
第4に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第2色相空間に含まれる色相の平均値である第2平均色相を特定する。ここでは、第2平均色相は、第2色相空間S2に含まれるP1の色相“0.3”及びP3の色相“0.5”の平均値“0.4”である。
【0046】
第5に、設定部131は、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれた範囲を色相範囲として設定する。ここでは、色相範囲は、P4の色相及びP2の色相の平均値とP1の色相及びP3の色相の平均値とによって挟まれた範囲であり、“0.9〜1”及び“0〜0.4”である。
【0047】
設定方法1及び設定方法2に示したように、色相範囲は、第1色相と第2色相とによって挟まれる範囲であってもよく、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれる範囲であってもよい。
【0048】
また、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも小さい場合に、第1色相と第2色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されることが好ましい。対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも大きい場合に、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されることが好ましい。
【0049】
但し、設定方法はこれに限定されるものではない。すなわち、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも小さい場合に、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されてもよい。対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも大きい場合に、第1色相と第2色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されてもよい。
【0050】
図2に戻って、輪郭強調処理部132は、設定部131によって設定された色相範囲内において色相成分の輪郭強調処理を行う。すなわち、輪郭強調処理部132は、色相成分の輪郭強調処理後において、対象画素の色相が色相範囲を超えないように色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0051】
例えば、輪郭強調処理部132は、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、色相成分の輪郭強調処理を行う。4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果(g(x,y))は、例えば、以下の式に従って算出される。すなわち、g(x,y)は、対象画素(P0(x,y))に係る出力結果である。
【数1】
【0052】
続いて、輪郭強調処理部132は、出力結果(g(x,y))を用いて、対象画素の色相の値を算出する。対象画素の色相の値は、例えば、以下の式に従って算出される。
【数2】
【0053】
第1実施形態では、“k”の値は一定である。すなわち、“k”は定数である。なお、以下において、“k×g(x,y)”を輪郭強調量と称する。
【0054】
色相処理部130は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素を順に対象画素としてセットして、色相成分の輪郭強調処理を対象画素毎に行う。
【0055】
色空間逆変換部140は、各画素の色相成分を独立して制御可能な信号をRGB信号に変換する。例えば、色空間変換部120は、HSV信号又はYUV信号をRGB信号に変換する。すなわち、色空間逆変換部140は、色相成分の輪郭強調処理が施された信号をRGB信号に変換する。
【0056】
信号出力部150は、色空間逆変換部140から取得するRGB信号を出力する。
【0057】
(作用及び効果)
第1実施形態では、設定部131は、周辺画素の色相と対象画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する。輪郭強調処理部132は、色相範囲内において色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、輪郭強調処理後の色相が輪郭強調処理前の色相からずれて、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことができる。
【0058】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0059】
具体的には、第1実施形態では、色相成分の輪郭強調処理のみを行うケースについて説明した。第2実施形態では、色相成分の輪郭強調処理に加えて、他成分の輪郭強調処理を行うケースについて説明する。第2実施形態では、他成分の輪郭強調処理は、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理である。
【0060】
(信号処理装置の構成)
以下において、第2実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。図6では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。
【0061】
図6に示すように、処理装置100は、明度処理部160と、彩度処理部170とをさらに有する。ここでは、色空間変換部120は、RGB信号をHSV信号に変換する。色空間逆変換部140は、HSV信号をRGB信号に変換する。
【0062】
色相処理部130は、上述したように、対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う。色相処理部130は、例えば、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0063】
以下において、対象画素P0(x,y)の色相成分の値を“HUE(x,y)で表す。対象画素P0(x,y)に係る4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果を“h(x,y)”で表す。色相成分の輪郭強調係数を“γ”で表す。対象画素P0(x,y)に係る色相成分の輪郭強調量を“γ×h(x,y)”で表す。色相成分の輪郭強調処理後における対象画素P0(x,y)の色相成分の値を“SEP_HUE(x,y)で表す。
【0064】
明度処理部160は、対象画素の明度成分を強調する明度成分の輪郭強調処理を行う。明度処理部160は、例えば、色相処理部130と同様に、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、明度成分の輪郭強調処理を行う。
【0065】
以下において、対象画素P0(x,y)の明度成分の値を“VAL(x,y)”で表す。対象画素P0(x,y)に係る4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果を“v(x,y)”で表す。明度成分の輪郭強調係数を“α”で表す。対象画素P0(x,y)に係る明度成分の輪郭強調量を“α×v(x,y)”で表す。明度成分の輪郭強調処理後における対象画素P0(x,y)の明度成分の値を“SEP_VAL(x,y)で表す。
【0066】
彩度処理部170は、対象画素の彩度成分を強調する彩度成分の輪郭強調処理を行う。彩度処理部170は、例えば、色相処理部130と同様に、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、彩度成分の輪郭強調処理を行う。
【0067】
以下において、対象画素P0(x,y)の彩度成分の値を“SAT(x,y)で表す。対象画素P0(x,y)に係る4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果を“s(x,y)”で表す。彩度成分の輪郭強調係数を“β”で表す。対象画素P0(x,y)に係る彩度成分の輪郭強調量を“β×s(x,y)”で表す。彩度成分の輪郭強調処理後における対象画素P0(x,y)の彩度成分の値を“SEP_SAT(x,y)で表す。
【0068】
ここで、色相処理部130、明度処理部160及び彩度処理部170は、対象画素の総強調量が上限閾値を超えないように、色相成分の輪郭強調処理、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理を行う。
【0069】
具体的には、図7に示すように、α×v(x,y)+β×s(x,y)+γ×h(x,y)≦THを満たすように、各輪郭強調処理が行われる。なお、THは、総強調量の上限閾値である。
【0070】
(例1)
例1では、α×v(x,y)+β×s(x,y)+γ×h(x,y)≦THが満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分、彩度成分及び色相成分の輪郭強調量の合計が上限閾値を超えないケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数3】
【0071】
(例2)
例2では、α×v(x,y)+β×s(x,y)≦TH<α×v(x,y)+β×s(x,y)+γ×h(x,y)が満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分、彩度成分及び色相成分の輪郭強調量の合計が上限閾値を超えるケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数4】
【0072】
(例3)
例3では、α×v(x,y)≦TH<α×v(x,y)+β×s(x,y)が満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分及び彩度成分の輪郭強調量の合計が上限閾値を超えるケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数5】
【0073】
(例4)
例4では、TH<α×v(x,y)が満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分の輪郭強調量が単独で上限閾値を超えるケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数6】
【0074】
ここでは、明度成分の輪郭強調処理、彩度成分の輪郭強調処理、色相成分の輪郭強調処理の順に優先順位が高い。これは、明度成分、彩度成分、色相成分の順に人間の目が敏感であるためである。
【0075】
(作用及び効果)
第2実施形態では、色相処理部130、明度処理部160及び彩度処理部170は、対象画素の総強調量が上限閾値を超えないように、色相成分の輪郭強調処理、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理を行う。従って、輪郭強調量が大きくなりすぎて、ユーザに違和感を与えることを抑制することができる。
【0076】
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0077】
具体的には、第1実施形態では、対象画素の色相の値は、f(x,y)=f(x,y)−k×g(x,y)によって算出される。輪郭強調係数“k”の値は一定である。
【0078】
これに対して、第3実施形態では、輪郭強調係数“k”の値は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて算出される。対象画素と周辺画素との相関は、明度成分、彩度成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関である。
【0079】
(色相関処理部の構成)
以下において、第3実施形態に係る色相関処理部について、図面を参照しながら説明する。図8は、第3実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。図8では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。図8に示すように、色相処理部130は、輪郭強調係数算出部133をさらに有する。
【0080】
輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関を取得する。続いて、輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて、輪郭強調係数を算出する。
【0081】
第3実施形態では、輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分、彩度成分及び輝度成分の相関を取得する。明度成分の相関は、対象画素の明度成分と周辺画素の明度成分との差分の最大値又は差分の平均値である。彩度成分の相関は、対象画素の彩度成分と周辺画素の彩度成分との差分の最大値又は差分の平均値である。色相成分の相関は、対象画素の色相成分と周辺画素の色相成分との差分の最大値又は差分の平均値である。輝度成分の相関は、対象画素の輝度成分と周辺画素の輝度成分との差分の最大値又は差分の平均値である。
【0082】
続いて、輪郭強調係数算出部133は、明度成分の相関に基づいて、明度パラメータ“V”を算出する。同様に、輪郭強調係数算出部133は、彩度成分、色相成分及び輝度成分の相関に基づいて、彩度パラメータ“S”、色相パラメータ“H”及び輝度パラメータ“L”を算出する。
【0083】
ここで、明度パラメータ“V”は、0〜1の範囲の値である。明度成分の差分の最大値又は明度成分の差分の平均値が大きいほど、明度パラメータ“V”の値は小さくなる。すなわち、明度成分の差分の最大値又は明度成分の差分の平均値が小さいほど、明度パラメータ“V”の値は大きくなる。
【0084】
彩度パラメータ“S”は、0〜1の範囲の値である。彩度成分の差分の最大値又は彩度成分の差分の平均値が大きいほど、彩度パラメータ“S”の値は小さくなる。すなわち、彩度成分の差分の最大値又は彩度成分の差分の平均値が小さいほど、彩度パラメータ“S”の値は大きくなる。
【0085】
色相パラメータ“H”は、0〜1の範囲の値である。色相成分の差分の最大値又は色相成分の差分の平均値が大きいほど、色相パラメータ“H”の値は小さくなる。すなわち、色相成分の差分の最大値又は色相成分の差分の平均値が小さいほど、色相パラメータ“H”の値は大きくなる。
【0086】
輝度パラメータ“L”は、0〜1の範囲の値である。輝度成分の差分の最大値又は輝度成分の差分の平均値が大きいほど、輝度パラメータ“L”の値は小さくなる。すなわち、輝度成分の差分の最大値又は輝度成分の差分の平均値が小さいほど、輝度パラメータ“L”の値は大きくなる。
【0087】
輪郭強調係数算出部133は、明度パラメータ“V”、彩度パラメータ“S”及び輝度パラメータ“L”に基づいて、色相成分の輪郭強調係数“k”を算出する。輪郭強調係数“k”は、例えば、以下に示す式によって算出される。
【数7】
【0088】
上述したように、対象画素と周辺画素との相関が高いほど、すなわち、差分の最大値又は差分の平均値が小さいほど、“V”、“S”、“H”及び“L”の値が大きくなる。一方で、対象画素と周辺画素との相関が低いほど、すなわち、差分の最大値又は差分の平均値が大きいほど、“V”、“S”、“H”及び“L”の値が小さくなる。
【0089】
従って、対象画素と周辺画素との相関が高いほど、“k”の値は大きくなる。一方で、対象画素と周辺画素との相関が低いほど、“k”の値は小さくなる。
【0090】
なお、第3実施形態において、色相成分の輪郭強調係数“k”を算出に輝度成分の相関(輝度パラメータ“L”)を用いるケースでは、上述した色空間変換部120は、RGB信号をHSV信号及びYUV信号に変換することに留意すべきである。
【0091】
(作用及び効果)
第3実施形態では、輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて、輪郭強調係数を算出する。すなわち、色相処理部130(輪郭強調処理部132)は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、対象画素と周辺画素とのバランスを崩すことなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことができる。
【0092】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0093】
具体的には、第1実施形態では、対象画素の色相の値は、f(x,y)=f(x,y)−k×g(x,y)によって算出される。輪郭強調係数“k”の値は一定である。
【0094】
これに対して、第4実施形態では、輪郭強調係数“k”の値は、画像を構成する複数の画素の値の分布に基づいて算出される。具体的には、輪郭強調係数“k”の値は、彩度成分の値、明度成分の値及び色相成分の値の分布に基づいて算出される。
【0095】
(信号処理装置の構成)
以下において、第4実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、第4実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。図9では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。
【0096】
図9に示すように、処理装置100は、明度ヒストグラム取得部181と、彩度ヒストグラム取得部182と、色相ヒストグラム取得部183とをさらに有する。
【0097】
明度ヒストグラム取得部181は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、明度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、明度ヒストグラム取得部181は、明度成分の最大値と明度成分の最小値との差分(以下、明度成分の差分)を、明度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。又は、明度ヒストグラム取得部181は、明度成分の分散値を、明度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0098】
彩度ヒストグラム取得部182は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、彩度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、彩度ヒストグラム取得部182は、彩度成分の最大値と彩度成分の最小値との差分(以下、彩度成分の差分)を、彩度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。又は、彩度ヒストグラム取得部182は、彩度成分の分散値を、彩度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0099】
色相ヒストグラム取得部183は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、色相成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、色相ヒストグラム取得部183は、色相成分の最大値と色相成分の最小値との差分(以下、色相成分の差分)を、色相成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。又は、色相ヒストグラム取得部183は、色相成分の分散値を、色相成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0100】
(色相関処理部の構成)
以下において、第4実施形態に係る色相関処理部について、図面を参照しながら説明する。図10は、第4実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。図10では、図2と同様の構成について同様の符号を付している。図10に示すように、色相処理部130は、輪郭強調係数算出部134をさらに有する。
【0101】
輪郭強調係数算出部134は、明度ヒストグラム取得部181、彩度ヒストグラム取得部182及び色相ヒストグラム取得部183の少なくともいずれかから取得した値に基づいて、輪郭強調係数を算出する。
【0102】
例えば、輪郭強調係数算出部134は、明度成分の差分又は明度成分の分散値を明度ヒストグラム取得部181から取得する。輪郭強調係数算出部134は、彩度成分の差分又は彩度成分の分散値を彩度ヒストグラム取得部182から取得する。輪郭強調係数算出部134は、色相成分の差分又は色相成分の分散値を色相ヒストグラム取得部183から取得する。
【0103】
輪郭強調係数算出部134は、明度成分の差分、彩度成分の差分又は色相成分の差分が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を大きくする。一方で、輪郭強調係数算出部134は、明度成分の差分、彩度成分の差分又は色相成分の差分が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を小さくする。
【0104】
ここで、明度成分の差分、彩度成分の差分及び色相成分の差分のうち、輪郭強調係数“k”の算出に用いる差分は任意である。輪郭強調係数“k”の算出に用いる差分は、明度成分の差分、彩度成分の差分及び色相成分の差分のうち、いずれか1つであってもよく、いずれか2つであってもよく、全てであってもよい。
【0105】
輪郭強調係数算出部134は、明度成分の分散値、彩度成分の分散値又は色相成分の分散値が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を大きくする。一方で、輪郭強調係数算出部134は、明度成分の分散値、彩度成分の分散値又は色相成分の分散値が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を小さくする。
【0106】
ここで、明度成分の分散値、彩度成分の分散値及び色相成分の分散値のうち、輪郭強調係数“k”の算出に用いる分散値は任意である。輪郭強調係数“k”の算出に用いる分散値は、明度成分の分散値、彩度成分の分散値及び色相成分の分散値のうち、いずれか1つであってもよく、いずれか2つであってもよく、全てであってもよい。
【0107】
(作用及び効果)
第4実施形態では、輪郭強調係数算出部134は、画像(フレーム)全体における画素の値の分布に基づいて、輪郭強調係数“k”の値を算出する。すなわち、色相処理部130(輪郭強調処理部132)は、明度成分の値、彩度成分の値及び色相成分の値の分布に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、画像(フレーム)全体として、色相成分の輪郭強調処理を適切に行うことができる。
【0108】
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第5実施形態との相違点について主として説明する。但し、第5実施形態では、第2実施形態及び第4実施形態を適宜参照する。
【0109】
具体的には、第1実施形態では、色相成分の輪郭強調処理のみを行うケースについて説明した。第5実施形態では、色相成分の輪郭強調処理に加えて、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理を行うケースについて説明する。
【0110】
(信号処理装置の構成)
以下において、第5実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第5実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。図11では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。
【0111】
図11に示すように、処理装置100は、明度処理部160と、彩度処理部170と、明度ヒストグラム取得部181と、彩度ヒストグラム取得部182と、色相ヒストグラム取得部183とを有する。
【0112】
明度ヒストグラム取得部181は、第4実施形態で示すように、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、明度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、明度ヒストグラム取得部181は、明度成分の平均値又は分散値を明度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0113】
彩度ヒストグラム取得部182は、第4実施形態で示すように、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、彩度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、彩度ヒストグラム取得部182は、彩度成分の平均値又は分散値を彩度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0114】
色相ヒストグラム取得部183は、第4実施形態で示すように、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、色相成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、色相ヒストグラム取得部183は、色相成分の平均値又は分散値を色相成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0115】
色相処理部130は、第2実施形態で示したように、対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う。色相処理部130は、以下の式に従って、対象画素の色相成分の値を算出する。各記号は、第2実施形態と同様である。
【数8】
【0116】
ここで、色相処理部130は、色相成分の輪郭強調係数“γ”を、色相成分の平均値又は分散値に基づいて算出する。具体的には、色相処理部130は、色相ヒストグラム取得部183から色相成分の平均値を取得する場合には、図12(a)に示す曲線に従って、色相成分の輪郭強調係数“γ”を算出する。一方で、色相処理部130は、色相ヒストグラム取得部183から色相成分の分散値を取得する場合には、図12(b)に示す曲線に従って、色相成分の輪郭強調係数“γ”を算出する。
【0117】
明度処理部160は、第2実施形態で示したように、対象画素の明度成分を強調する明度成分の輪郭強調処理を行う。明度処理部160は、以下の式に従って、対象画素の明度成分の値を算出する。各記号は、第2実施形態と同様である。
【数9】
【0118】
ここで、明度処理部160は、明度成分の輪郭強調係数“α”を、明度成分の平均値又は分散値に基づいて算出する。具体的には、明度処理部160は、明度ヒストグラム取得部181から明度成分の平均値を取得する場合には、図12(a)に示す曲線に従って、明度成分の輪郭強調係数“α”を算出する。一方で、明度処理部160は、明度ヒストグラム取得部181から明度成分の分散値を取得する場合には、図12(b)に示す曲線に従って、明度成分の輪郭強調係数“α”を算出する。
【0119】
彩度処理部170は、第2実施形態で示したように、対象画素の彩度成分を強調する彩度成分の輪郭強調処理を行う。彩度処理部170は、以下の式に従って、対象画素の彩度成分の値を算出する。各記号は、第2実施形態と同様である。
【数10】
【0120】
ここで、彩度処理部170は、彩度成分の輪郭強調係数“β”を、彩度成分の平均値又は分散値に基づいて算出する。具体的には、明度処理部160は、彩度ヒストグラム取得部182から彩度成分の平均値を取得する場合には、図12(a)に示す曲線に従って、彩度成分の輪郭強調係数“β”を算出する。一方で、彩度処理部170は、彩度ヒストグラム取得部182から彩度成分の分散値を取得する場合には、図12(b)に示す曲線に従って、彩度成分の輪郭強調係数“β”を算出する。
【0121】
なお、図12(a)に示すように、各成分の平均値が用いられるケースでは、各成分の平均値が所定値THaveよりも小さい場合には、各成分の平均値が小さいほど、各成分の輪郭強調係数の値が小さくなる。一方で、各成分の平均値が所定値THaveよりも大きい場合には、各成分の平均値が大きいほど、各成分の輪郭強調係数の値が小さくなる。
【0122】
ここでは、各成分の平均値を用いて算出された輪郭強調係数を、それぞれ、“αave”、“βave”、“γave”と称する。“αave”は、明度成分の輪郭強調係数であり、“βave”は、彩度成分の輪郭強調係数であり、“γave”は、色相成分の輪郭強調係数である。
【0123】
各成分の輪郭強調係数を算出するための曲線は、成分毎に異なっていてもよい。すなわち、図12(a)に示す曲線として、色成分毎に異なる曲線が準備されていてもよい。
【0124】
図12(b)に示すように、各成分の分散値がTHvarよりも小さい場合には、各成分の輪郭強調係数の値は一定である。各成分の分散値がTHvarよりも大きい場合には、各成分の平均値が大きいほど、各成分の輪郭強調係数の値が小さくなる。
【0125】
ここでは、各成分の分散値を用いて算出された輪郭強調係数を、それぞれ、“αvar”、“βvar”、“γvar”と称する。“αvar”は、明度成分の輪郭強調係数であり、“βvar”は、彩度成分の輪郭強調係数であり、“γvar”は、色相成分の輪郭強調係数である。
【0126】
各成分の輪郭強調係数を算出するための曲線は、成分毎に異なっていてもよい。すなわち、図12(b)に示す曲線として、色成分毎に異なる曲線が準備されていてもよい。
【0127】
なお、輪郭強調係数は、各成分の平均値を用いて算出された輪郭強調係数及び各成分の分散値を用いて算出された輪郭強調係数の双方を組み合わせて算出されてもよい。具体的に示すように、輪郭強調係数は、以下に示す式に従って算出される。
【数11】
【0128】
又は、輪郭強調係数は、以下に示す式に従って算出されてもよい。
【数12】
【0129】
又は、輪郭強調係数は、以下に示す式に従って修正されてもよい。ここでは、修正後の輪郭強調係数を“α’”、“β’”及び“γ’”で表している。
【数13】
【0130】
(作用及び効果)
第5実施形態では、色相処理部130は、画像(フレーム)全体における色相成分の値の分布に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。明度処理部160は、画像(フレーム)全体における明度成分の値の分布に基づいて、明度成分の輪郭強調処理を行う。彩度処理部170は、画像(フレーム)全体における彩度成分の値の分布に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、画像(フレーム)全体として、各成分の輪郭強調処理を適切に行うことができる。
【0131】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0132】
例えば、上述した実施形態では、RGB信号をHSV信号に変換するケースについて主として説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、RGB信号をYUV信号に変換してもよい。
【0133】
上述した実施形態では、周辺画素は、水平方向及び垂直方向において対象画素に隣接する画素であるが、周辺画素はこれに限定されるものではない。周辺画素は、斜め方向において対象画素に隣接する画素であってもよい。また、周辺画素は、対象画素から2画素以上離れた範囲の画素を含んでもよい。
【0134】
上述した第3実施形態と第5実施形態とを組み合わせてもよい。具体的には、第5実施形態で算出された値“α”、“β”、“γ”を用いて、第3実施形態で算出されたパラメータ“V”、“S”、“H”が修正されてもよい。例えば、パラメータ“V”、“S”、“H”は、以下に示す式に従って修正される。
【数14】
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】第1実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る対象画素及び周辺画素の座標を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る画素の色を2軸(x軸及びy軸)で表現する色度図である。
【図5】第1実施形態に係る画素の色を2軸(x軸及びy軸)で表現する色度図である。
【図6】第2実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る輪郭強調量について説明するための図である。
【図8】第3実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。
【図9】第4実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図10】第4実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図11】第5実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図12】第5実施形態に係る輪郭強調係数の算出例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0136】
100・・・処理装置、110・・・信号入力部、120・・・色空間変換部、130・・・色相処理部、131・・・設定部、132・・・輪郭強調処理部、133・・・輪郭強調係数算出部、134・・・輪郭強調係数算出部、140・・・色空間逆変換部、150・・・信号出力部、160・・・明度処理部、170・・・彩度処理部、181・・・明度ヒストグラム取得部、182・・・彩度ヒストグラム取得部、183・・・色相ヒストグラム取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画素によって構成される画像の輪郭強調を行う信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像の画質を調整する技術として、輪郭強調技術が知られている。輪郭強調技術では、例えば、ラプラシアンフィルタなどの輪郭強調フィルタを用いて、彩度成分、明度成分、輝度成分の輪郭強調処理が行われる。なお、輪郭強調処理は、画像の鮮やかさを上昇する強調処理及び画像の鮮やかさを低下する弛緩処理の双方を含む。
【0003】
第1技術として、特定色相を有する特定色に特定色相とは異なる色相を有する加算色を加算する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、特定色に加算色を加算するゲート回路が設けられている。
【0004】
第2技術として、RGB信号をHSV信号に変換した上で、彩度成分及び明度成分の輪郭強調処理を行う技術が提案されている(例えば、特許文献2)。RGB信号は、赤成分信号、緑成分信号及び青成分信号を含む。HSV信号は、色相成分信号、彩度成分信号及び明度成分信号を含む。
【特許文献1】特開平10−276444号公報
【特許文献2】特開平5−174142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人間の目は、色の変化よりも明るさの変化に敏感である。従って、MPEGなどの画像圧縮において、色相成分信号に割り当てられるビット数は、輝度成分信号に割り当てられるビット数よりも少ない。
【0006】
一方で、近年では、画像の高画質化に伴って、色相成分信号に割り当てられるビット数が増加している。従って、彩度成分、明度成分及び輝度成分の輪郭強調処理だけではなくて、色相成分の輪郭強調処理が有用であると考えられる。
【0007】
しかしながら、第1技術では、特定色について着目しているに過ぎず、様々な色相成分の輪郭強調処理について考慮されていない。同様に、第2技術では、彩度成分及び明度成分について着目しているに過ぎず、色相成分の輪郭強調処理について考慮されていない。
【0008】
一方で、色相成分について単純に輪郭強調処理を行うと、輪郭強調処理後の色相が輪郭強調処理前の色相からずれて、ユーザに違和感を与える可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことを可能とする信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の特徴に係る信号処理装置は、複数の画素によって構成される画像の輪郭強調処理を行う。信号処理装置は、前記複数の画素のいずれかである対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う色相成分強調処理部(輪郭強調処理部132)と、前記複数の画素のうち、前記対象画素の周辺に設けられた周辺画素の色相と、前記対象画素の色相とに基づいて、前記対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する設定部(設定部131)とを備える。前記色相成分強調処理部は、前記設定部によって設定された前記色相範囲内において、前記色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0011】
かかる特徴によれば、設定部は、周辺画素の色相と対象画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する。色相成分強調処理部は、色相範囲内において色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、輪郭強調処理後の色相が輪郭強調処理前の色相からずれて、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことができる。
【0012】
第1の特徴において、前記設定部は、前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第1色相を特定する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第2色相を特定する。前記設定部は、前記第1色相と前記第2色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定する。
【0013】
第1の特徴において、前記設定部は、前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間に含まれる色相の平均値である第1平均色相を特定する。前記設定部は、前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間に含まれる色相の平均値である第2平均色相を特定する。前記設定部は、前記第1平均色相と前記第2平均色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定する。
【0014】
第1の特徴において、信号処理装置は、前記対象画素と前記周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関を取得する相関取得部(輪郭強調係数算出部133)をさらに備える。前記色相成分強調処理部は、前記相関取得部によって取得された相関に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0015】
第1の特徴において、信号処理装置は、前記複数の画素について、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの分布を取得する分布取得部(輪郭強調係数算出部134)をさらに備える。前記色相成分強調処理部は、前記分布取得部によって取得された分布に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0016】
第1の特徴において、信号処理装置は、前記対象画素の彩度成分、明度成分及び輝度成分の少なくとも1つの成分を強調する他成分の輪郭強調処理を行う他成分強調処理部(明度処理部160及び彩度処理部170)をさらに備える。前記色相成分強調処理部及び前記他成分強調処理部は、前記対象画素の総輪郭強調量が上限閾値を超えない範囲で、前記色相成分の輪郭強調処理及び前記他成分の輪郭強調処理を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことを可能とする信号処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において、本発明の実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
[第1実施形態]
(信号処理装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る信号処理装置100を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、処理装置100は、信号入力部110と、色空間変換部120と、色相処理部130と、色空間逆変換部140と、信号出力部150とを有する。
【0022】
信号入力部110は、RGB信号を受け付ける。RGB信号は、映像入力信号であり、赤入力信号、緑入力信号及び青入力信号を含む。信号入力部110は、DVDやTVチューナなどの外部機器からRGB信号を取得する。
【0023】
なお、RGB信号は、複数の画素によって構成される画像(フレーム)を構成する。映像は、連続する複数の画像(フレーム)によって構成される。各画素は、赤の値、緑の値及び青の値を有しており、各値は、例えば、256階調で表現される。
【0024】
色空間変換部120は、各画素の色相成分を独立して制御可能な信号にRGB信号を変換する。例えば、色空間変換部120は、RGB信号をHSV信号又はYUV信号に変換する。
【0025】
なお、HSV信号は、色相成分(H;Hue)、彩度成分(S;Saturation)、明度成分(V;Value)を含む。HSV信号では、色相成分(H)によって色相成分を独立して制御可能である。
【0026】
YUV信号は、輝度成分(Y)、輝度成分と青成分との青色差成分(U)、輝度成分と赤成分との赤色差成分(V)を含む。YUV信号では、青色差成分(U)及び赤色差成分(V)によって色相成分を独立して制御可能である。以下においては、HSV信号とYUV信号との混同を避けるために、YUV信号については、輝度成分(L)、色差成分(Cb)、色差成分(Cr)で表現する。
【0027】
なお、RGB信号は、以下に示す式によって、YUV信号に変換することができる。
【0028】
L(Y)=0.29891×R+0.58661×G+0.11448×B
Cb(U)=−0.16874×R−0.33126×G+0.50000×B
Cr(V)=0.50000×R−0.41869×G−0.08131×B
なお、色差成分(Cb)及び色差成分(Cr)は、以下に示す式によって、彩度成分(S)及び色相成分(H)で表現することができる。
【0029】
S=(Cb(U)^2+Cr(V)^2)^(1/2)
H=arctan(Cb(V)/Cr(U))
以下においては、色空間変換部120がRGB信号をHSV信号に変換するケースについて主として説明する。
【0030】
色相処理部130は、対象画素の色相成分を強調する色相成分強調処理部を行う。対象画素は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素のいずれかである。なお、色相成分強調処理部は、色相の差分を大きくする強調処理及び色相の差分を小さくする弛緩処理の双方を含む。
【0031】
具体的には、色相処理部130は、図2に示すように、設定部131と、輪郭強調処理部132とを有する。
【0032】
設定部131は、対象画素の色相と周辺画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する。周辺画素は、対象画素の周辺に設けられた画素である。
【0033】
例えば、図3に示すように、対象画素の座標がP0(x,y)で表されるケースについて説明する。第1実施形態では、周辺画素は、垂直方向及び水平方向において対象画素に隣接する画素である。周辺画素の座標は、P1(x,y−1)、P2(x−1,y)、P3(x,y+1)、P4(x+1,y)で表される。
【0034】
以下において、色相範囲の設定方法について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4及び図5は、各画素の色を2軸(x軸及びy軸)で表現する色度図である。図4及び図5では、色度図の外周が色相を示している。なお、色相の値は、指数化されており、0〜1の範囲である。また、色相は、色度図の外周の1周で表されるため、“0”の色相は、“1”の色相と同じである。
【0035】
(設定方法1)
設定方法1では、図4に示すように、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも小さいケースについて説明する。なお、対象画素P0の色相は“0.15”である。周辺画素P1の色相は“0.3”であり、周辺画素P2の色相は“0.1”であり、周辺画素P3の色相は“0.2”であり、周辺画素P4の色相は“0”である。
【0036】
第1に、設定部131は、対象画素の色相に対する補色色相を特定する。ここでは、補色色相Xは“0.7”である。
【0037】
第2に、設定部131は、対象画素の色相と補色色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。ここでは、第1色相空間S1は、“0”〜“0.3”及び“0.7”〜“1”である。第2色相空間S2は、“0.3”〜“0.7”である。
【0038】
第3に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第1色相空間において対象画素の色相から最も離れた第1色相を特定する。ここでは、第1色相は、第1色相空間S1においてP0の色相から最も離れたP4の色相“0”である。
【0039】
第4に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第2色相空間において対象画素の色相から最も離れた第2色相を特定する。ここでは、第2色相は、第2色相空間S2においてP0の色相から最も離れたP1の色相“0.3”である。
【0040】
第5に、設定部131は、第1色相と第2色相とによって挟まれた範囲を色相範囲として設定する。ここでは、色相範囲は、P4の色相とP1の色相とによって挟まれた範囲であり、“0〜0.3”である。
【0041】
(設定方法2)
設定方法2では、図5に示すように、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも大きいケースについて説明する。なお、対象画素P0の色相は“0.15”である。周辺画素P1の色相は“0.3”であり、周辺画素P2の色相は“0.8”であり、周辺画素P3の色相は“0.5”であり、周辺画素P4の色相は“0”である。
【0042】
第1に、設定部131は、対象画素の色相に対する補色色相を特定する。ここでは、補色色相Xは“0.7”である。
【0043】
第2に、設定部131は、対象画素の色相と補色色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類する。ここでは、第1色相空間S1は、“0”〜“0.3”及び“0.7”〜“1”である。第2色相空間S2は、“0.3”〜“0.7”である。
【0044】
第3に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第1色相空間に含まれる色相の平均値である第1平均色相を特定する。ここでは、第1平均色相は、第1色相空間S1に含まれるP4の色相“1(0)”及びP2の色相“0.8”の平均値“0.9”である。
【0045】
第4に、設定部131は、対象画素の色相及び周辺画素の色相のうち、第2色相空間に含まれる色相の平均値である第2平均色相を特定する。ここでは、第2平均色相は、第2色相空間S2に含まれるP1の色相“0.3”及びP3の色相“0.5”の平均値“0.4”である。
【0046】
第5に、設定部131は、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれた範囲を色相範囲として設定する。ここでは、色相範囲は、P4の色相及びP2の色相の平均値とP1の色相及びP3の色相の平均値とによって挟まれた範囲であり、“0.9〜1”及び“0〜0.4”である。
【0047】
設定方法1及び設定方法2に示したように、色相範囲は、第1色相と第2色相とによって挟まれる範囲であってもよく、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれる範囲であってもよい。
【0048】
また、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも小さい場合に、第1色相と第2色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されることが好ましい。対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも大きい場合に、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されることが好ましい。
【0049】
但し、設定方法はこれに限定されるものではない。すなわち、対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも小さい場合に、第1平均色相と第2平均色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されてもよい。対象画素の色相及び周辺画素の色相の分散値が所定分散値よりも大きい場合に、第1色相と第2色相とによって挟まれる範囲が色相範囲として設定されてもよい。
【0050】
図2に戻って、輪郭強調処理部132は、設定部131によって設定された色相範囲内において色相成分の輪郭強調処理を行う。すなわち、輪郭強調処理部132は、色相成分の輪郭強調処理後において、対象画素の色相が色相範囲を超えないように色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0051】
例えば、輪郭強調処理部132は、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、色相成分の輪郭強調処理を行う。4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果(g(x,y))は、例えば、以下の式に従って算出される。すなわち、g(x,y)は、対象画素(P0(x,y))に係る出力結果である。
【数1】
【0052】
続いて、輪郭強調処理部132は、出力結果(g(x,y))を用いて、対象画素の色相の値を算出する。対象画素の色相の値は、例えば、以下の式に従って算出される。
【数2】
【0053】
第1実施形態では、“k”の値は一定である。すなわち、“k”は定数である。なお、以下において、“k×g(x,y)”を輪郭強調量と称する。
【0054】
色相処理部130は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素を順に対象画素としてセットして、色相成分の輪郭強調処理を対象画素毎に行う。
【0055】
色空間逆変換部140は、各画素の色相成分を独立して制御可能な信号をRGB信号に変換する。例えば、色空間変換部120は、HSV信号又はYUV信号をRGB信号に変換する。すなわち、色空間逆変換部140は、色相成分の輪郭強調処理が施された信号をRGB信号に変換する。
【0056】
信号出力部150は、色空間逆変換部140から取得するRGB信号を出力する。
【0057】
(作用及び効果)
第1実施形態では、設定部131は、周辺画素の色相と対象画素の色相とに基づいて、対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する。輪郭強調処理部132は、色相範囲内において色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、輪郭強調処理後の色相が輪郭強調処理前の色相からずれて、ユーザに違和感を与えることなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことができる。
【0058】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0059】
具体的には、第1実施形態では、色相成分の輪郭強調処理のみを行うケースについて説明した。第2実施形態では、色相成分の輪郭強調処理に加えて、他成分の輪郭強調処理を行うケースについて説明する。第2実施形態では、他成分の輪郭強調処理は、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理である。
【0060】
(信号処理装置の構成)
以下において、第2実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。図6では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。
【0061】
図6に示すように、処理装置100は、明度処理部160と、彩度処理部170とをさらに有する。ここでは、色空間変換部120は、RGB信号をHSV信号に変換する。色空間逆変換部140は、HSV信号をRGB信号に変換する。
【0062】
色相処理部130は、上述したように、対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う。色相処理部130は、例えば、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、色相成分の輪郭強調処理を行う。
【0063】
以下において、対象画素P0(x,y)の色相成分の値を“HUE(x,y)で表す。対象画素P0(x,y)に係る4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果を“h(x,y)”で表す。色相成分の輪郭強調係数を“γ”で表す。対象画素P0(x,y)に係る色相成分の輪郭強調量を“γ×h(x,y)”で表す。色相成分の輪郭強調処理後における対象画素P0(x,y)の色相成分の値を“SEP_HUE(x,y)で表す。
【0064】
明度処理部160は、対象画素の明度成分を強調する明度成分の輪郭強調処理を行う。明度処理部160は、例えば、色相処理部130と同様に、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、明度成分の輪郭強調処理を行う。
【0065】
以下において、対象画素P0(x,y)の明度成分の値を“VAL(x,y)”で表す。対象画素P0(x,y)に係る4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果を“v(x,y)”で表す。明度成分の輪郭強調係数を“α”で表す。対象画素P0(x,y)に係る明度成分の輪郭強調量を“α×v(x,y)”で表す。明度成分の輪郭強調処理後における対象画素P0(x,y)の明度成分の値を“SEP_VAL(x,y)で表す。
【0066】
彩度処理部170は、対象画素の彩度成分を強調する彩度成分の輪郭強調処理を行う。彩度処理部170は、例えば、色相処理部130と同様に、4近傍ラプラシアンフィルタを用いて、彩度成分の輪郭強調処理を行う。
【0067】
以下において、対象画素P0(x,y)の彩度成分の値を“SAT(x,y)で表す。対象画素P0(x,y)に係る4近傍ラプラシアンフィルタの出力結果を“s(x,y)”で表す。彩度成分の輪郭強調係数を“β”で表す。対象画素P0(x,y)に係る彩度成分の輪郭強調量を“β×s(x,y)”で表す。彩度成分の輪郭強調処理後における対象画素P0(x,y)の彩度成分の値を“SEP_SAT(x,y)で表す。
【0068】
ここで、色相処理部130、明度処理部160及び彩度処理部170は、対象画素の総強調量が上限閾値を超えないように、色相成分の輪郭強調処理、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理を行う。
【0069】
具体的には、図7に示すように、α×v(x,y)+β×s(x,y)+γ×h(x,y)≦THを満たすように、各輪郭強調処理が行われる。なお、THは、総強調量の上限閾値である。
【0070】
(例1)
例1では、α×v(x,y)+β×s(x,y)+γ×h(x,y)≦THが満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分、彩度成分及び色相成分の輪郭強調量の合計が上限閾値を超えないケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数3】
【0071】
(例2)
例2では、α×v(x,y)+β×s(x,y)≦TH<α×v(x,y)+β×s(x,y)+γ×h(x,y)が満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分、彩度成分及び色相成分の輪郭強調量の合計が上限閾値を超えるケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数4】
【0072】
(例3)
例3では、α×v(x,y)≦TH<α×v(x,y)+β×s(x,y)が満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分及び彩度成分の輪郭強調量の合計が上限閾値を超えるケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数5】
【0073】
(例4)
例4では、TH<α×v(x,y)が満たされるケースについて説明する。すなわち、明度成分の輪郭強調量が単独で上限閾値を超えるケースについて説明する。各輪郭強調処理後における各成分の値は、以下に示す式によって表される。
【数6】
【0074】
ここでは、明度成分の輪郭強調処理、彩度成分の輪郭強調処理、色相成分の輪郭強調処理の順に優先順位が高い。これは、明度成分、彩度成分、色相成分の順に人間の目が敏感であるためである。
【0075】
(作用及び効果)
第2実施形態では、色相処理部130、明度処理部160及び彩度処理部170は、対象画素の総強調量が上限閾値を超えないように、色相成分の輪郭強調処理、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理を行う。従って、輪郭強調量が大きくなりすぎて、ユーザに違和感を与えることを抑制することができる。
【0076】
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0077】
具体的には、第1実施形態では、対象画素の色相の値は、f(x,y)=f(x,y)−k×g(x,y)によって算出される。輪郭強調係数“k”の値は一定である。
【0078】
これに対して、第3実施形態では、輪郭強調係数“k”の値は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて算出される。対象画素と周辺画素との相関は、明度成分、彩度成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関である。
【0079】
(色相関処理部の構成)
以下において、第3実施形態に係る色相関処理部について、図面を参照しながら説明する。図8は、第3実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。図8では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。図8に示すように、色相処理部130は、輪郭強調係数算出部133をさらに有する。
【0080】
輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関を取得する。続いて、輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて、輪郭強調係数を算出する。
【0081】
第3実施形態では、輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分、彩度成分及び輝度成分の相関を取得する。明度成分の相関は、対象画素の明度成分と周辺画素の明度成分との差分の最大値又は差分の平均値である。彩度成分の相関は、対象画素の彩度成分と周辺画素の彩度成分との差分の最大値又は差分の平均値である。色相成分の相関は、対象画素の色相成分と周辺画素の色相成分との差分の最大値又は差分の平均値である。輝度成分の相関は、対象画素の輝度成分と周辺画素の輝度成分との差分の最大値又は差分の平均値である。
【0082】
続いて、輪郭強調係数算出部133は、明度成分の相関に基づいて、明度パラメータ“V”を算出する。同様に、輪郭強調係数算出部133は、彩度成分、色相成分及び輝度成分の相関に基づいて、彩度パラメータ“S”、色相パラメータ“H”及び輝度パラメータ“L”を算出する。
【0083】
ここで、明度パラメータ“V”は、0〜1の範囲の値である。明度成分の差分の最大値又は明度成分の差分の平均値が大きいほど、明度パラメータ“V”の値は小さくなる。すなわち、明度成分の差分の最大値又は明度成分の差分の平均値が小さいほど、明度パラメータ“V”の値は大きくなる。
【0084】
彩度パラメータ“S”は、0〜1の範囲の値である。彩度成分の差分の最大値又は彩度成分の差分の平均値が大きいほど、彩度パラメータ“S”の値は小さくなる。すなわち、彩度成分の差分の最大値又は彩度成分の差分の平均値が小さいほど、彩度パラメータ“S”の値は大きくなる。
【0085】
色相パラメータ“H”は、0〜1の範囲の値である。色相成分の差分の最大値又は色相成分の差分の平均値が大きいほど、色相パラメータ“H”の値は小さくなる。すなわち、色相成分の差分の最大値又は色相成分の差分の平均値が小さいほど、色相パラメータ“H”の値は大きくなる。
【0086】
輝度パラメータ“L”は、0〜1の範囲の値である。輝度成分の差分の最大値又は輝度成分の差分の平均値が大きいほど、輝度パラメータ“L”の値は小さくなる。すなわち、輝度成分の差分の最大値又は輝度成分の差分の平均値が小さいほど、輝度パラメータ“L”の値は大きくなる。
【0087】
輪郭強調係数算出部133は、明度パラメータ“V”、彩度パラメータ“S”及び輝度パラメータ“L”に基づいて、色相成分の輪郭強調係数“k”を算出する。輪郭強調係数“k”は、例えば、以下に示す式によって算出される。
【数7】
【0088】
上述したように、対象画素と周辺画素との相関が高いほど、すなわち、差分の最大値又は差分の平均値が小さいほど、“V”、“S”、“H”及び“L”の値が大きくなる。一方で、対象画素と周辺画素との相関が低いほど、すなわち、差分の最大値又は差分の平均値が大きいほど、“V”、“S”、“H”及び“L”の値が小さくなる。
【0089】
従って、対象画素と周辺画素との相関が高いほど、“k”の値は大きくなる。一方で、対象画素と周辺画素との相関が低いほど、“k”の値は小さくなる。
【0090】
なお、第3実施形態において、色相成分の輪郭強調係数“k”を算出に輝度成分の相関(輝度パラメータ“L”)を用いるケースでは、上述した色空間変換部120は、RGB信号をHSV信号及びYUV信号に変換することに留意すべきである。
【0091】
(作用及び効果)
第3実施形態では、輪郭強調係数算出部133は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて、輪郭強調係数を算出する。すなわち、色相処理部130(輪郭強調処理部132)は、対象画素と周辺画素との相関に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、対象画素と周辺画素とのバランスを崩すことなく、色相成分の輪郭強調処理を行うことができる。
【0092】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0093】
具体的には、第1実施形態では、対象画素の色相の値は、f(x,y)=f(x,y)−k×g(x,y)によって算出される。輪郭強調係数“k”の値は一定である。
【0094】
これに対して、第4実施形態では、輪郭強調係数“k”の値は、画像を構成する複数の画素の値の分布に基づいて算出される。具体的には、輪郭強調係数“k”の値は、彩度成分の値、明度成分の値及び色相成分の値の分布に基づいて算出される。
【0095】
(信号処理装置の構成)
以下において、第4実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、第4実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。図9では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。
【0096】
図9に示すように、処理装置100は、明度ヒストグラム取得部181と、彩度ヒストグラム取得部182と、色相ヒストグラム取得部183とをさらに有する。
【0097】
明度ヒストグラム取得部181は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、明度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、明度ヒストグラム取得部181は、明度成分の最大値と明度成分の最小値との差分(以下、明度成分の差分)を、明度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。又は、明度ヒストグラム取得部181は、明度成分の分散値を、明度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0098】
彩度ヒストグラム取得部182は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、彩度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、彩度ヒストグラム取得部182は、彩度成分の最大値と彩度成分の最小値との差分(以下、彩度成分の差分)を、彩度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。又は、彩度ヒストグラム取得部182は、彩度成分の分散値を、彩度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0099】
色相ヒストグラム取得部183は、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、色相成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、色相ヒストグラム取得部183は、色相成分の最大値と色相成分の最小値との差分(以下、色相成分の差分)を、色相成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。又は、色相ヒストグラム取得部183は、色相成分の分散値を、色相成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0100】
(色相関処理部の構成)
以下において、第4実施形態に係る色相関処理部について、図面を参照しながら説明する。図10は、第4実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。図10では、図2と同様の構成について同様の符号を付している。図10に示すように、色相処理部130は、輪郭強調係数算出部134をさらに有する。
【0101】
輪郭強調係数算出部134は、明度ヒストグラム取得部181、彩度ヒストグラム取得部182及び色相ヒストグラム取得部183の少なくともいずれかから取得した値に基づいて、輪郭強調係数を算出する。
【0102】
例えば、輪郭強調係数算出部134は、明度成分の差分又は明度成分の分散値を明度ヒストグラム取得部181から取得する。輪郭強調係数算出部134は、彩度成分の差分又は彩度成分の分散値を彩度ヒストグラム取得部182から取得する。輪郭強調係数算出部134は、色相成分の差分又は色相成分の分散値を色相ヒストグラム取得部183から取得する。
【0103】
輪郭強調係数算出部134は、明度成分の差分、彩度成分の差分又は色相成分の差分が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を大きくする。一方で、輪郭強調係数算出部134は、明度成分の差分、彩度成分の差分又は色相成分の差分が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を小さくする。
【0104】
ここで、明度成分の差分、彩度成分の差分及び色相成分の差分のうち、輪郭強調係数“k”の算出に用いる差分は任意である。輪郭強調係数“k”の算出に用いる差分は、明度成分の差分、彩度成分の差分及び色相成分の差分のうち、いずれか1つであってもよく、いずれか2つであってもよく、全てであってもよい。
【0105】
輪郭強調係数算出部134は、明度成分の分散値、彩度成分の分散値又は色相成分の分散値が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を大きくする。一方で、輪郭強調係数算出部134は、明度成分の分散値、彩度成分の分散値又は色相成分の分散値が小さいほど、輪郭強調係数“k”の値を小さくする。
【0106】
ここで、明度成分の分散値、彩度成分の分散値及び色相成分の分散値のうち、輪郭強調係数“k”の算出に用いる分散値は任意である。輪郭強調係数“k”の算出に用いる分散値は、明度成分の分散値、彩度成分の分散値及び色相成分の分散値のうち、いずれか1つであってもよく、いずれか2つであってもよく、全てであってもよい。
【0107】
(作用及び効果)
第4実施形態では、輪郭強調係数算出部134は、画像(フレーム)全体における画素の値の分布に基づいて、輪郭強調係数“k”の値を算出する。すなわち、色相処理部130(輪郭強調処理部132)は、明度成分の値、彩度成分の値及び色相成分の値の分布に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、画像(フレーム)全体として、色相成分の輪郭強調処理を適切に行うことができる。
【0108】
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第5実施形態との相違点について主として説明する。但し、第5実施形態では、第2実施形態及び第4実施形態を適宜参照する。
【0109】
具体的には、第1実施形態では、色相成分の輪郭強調処理のみを行うケースについて説明した。第5実施形態では、色相成分の輪郭強調処理に加えて、明度成分の輪郭強調処理及び彩度成分の輪郭強調処理を行うケースについて説明する。
【0110】
(信号処理装置の構成)
以下において、第5実施形態に係る信号処理装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第5実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。図11では、図1と同様の構成について同様の符号を付している。
【0111】
図11に示すように、処理装置100は、明度処理部160と、彩度処理部170と、明度ヒストグラム取得部181と、彩度ヒストグラム取得部182と、色相ヒストグラム取得部183とを有する。
【0112】
明度ヒストグラム取得部181は、第4実施形態で示すように、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、明度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、明度ヒストグラム取得部181は、明度成分の平均値又は分散値を明度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0113】
彩度ヒストグラム取得部182は、第4実施形態で示すように、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、彩度成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、彩度ヒストグラム取得部182は、彩度成分の平均値又は分散値を彩度成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0114】
色相ヒストグラム取得部183は、第4実施形態で示すように、画像(フレーム)全体を構成する複数の画素について、色相成分の値のヒストグラムを取得する。続いて、色相ヒストグラム取得部183は、色相成分の平均値又は分散値を色相成分の値のヒストグラムに基づいて取得する。
【0115】
色相処理部130は、第2実施形態で示したように、対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う。色相処理部130は、以下の式に従って、対象画素の色相成分の値を算出する。各記号は、第2実施形態と同様である。
【数8】
【0116】
ここで、色相処理部130は、色相成分の輪郭強調係数“γ”を、色相成分の平均値又は分散値に基づいて算出する。具体的には、色相処理部130は、色相ヒストグラム取得部183から色相成分の平均値を取得する場合には、図12(a)に示す曲線に従って、色相成分の輪郭強調係数“γ”を算出する。一方で、色相処理部130は、色相ヒストグラム取得部183から色相成分の分散値を取得する場合には、図12(b)に示す曲線に従って、色相成分の輪郭強調係数“γ”を算出する。
【0117】
明度処理部160は、第2実施形態で示したように、対象画素の明度成分を強調する明度成分の輪郭強調処理を行う。明度処理部160は、以下の式に従って、対象画素の明度成分の値を算出する。各記号は、第2実施形態と同様である。
【数9】
【0118】
ここで、明度処理部160は、明度成分の輪郭強調係数“α”を、明度成分の平均値又は分散値に基づいて算出する。具体的には、明度処理部160は、明度ヒストグラム取得部181から明度成分の平均値を取得する場合には、図12(a)に示す曲線に従って、明度成分の輪郭強調係数“α”を算出する。一方で、明度処理部160は、明度ヒストグラム取得部181から明度成分の分散値を取得する場合には、図12(b)に示す曲線に従って、明度成分の輪郭強調係数“α”を算出する。
【0119】
彩度処理部170は、第2実施形態で示したように、対象画素の彩度成分を強調する彩度成分の輪郭強調処理を行う。彩度処理部170は、以下の式に従って、対象画素の彩度成分の値を算出する。各記号は、第2実施形態と同様である。
【数10】
【0120】
ここで、彩度処理部170は、彩度成分の輪郭強調係数“β”を、彩度成分の平均値又は分散値に基づいて算出する。具体的には、明度処理部160は、彩度ヒストグラム取得部182から彩度成分の平均値を取得する場合には、図12(a)に示す曲線に従って、彩度成分の輪郭強調係数“β”を算出する。一方で、彩度処理部170は、彩度ヒストグラム取得部182から彩度成分の分散値を取得する場合には、図12(b)に示す曲線に従って、彩度成分の輪郭強調係数“β”を算出する。
【0121】
なお、図12(a)に示すように、各成分の平均値が用いられるケースでは、各成分の平均値が所定値THaveよりも小さい場合には、各成分の平均値が小さいほど、各成分の輪郭強調係数の値が小さくなる。一方で、各成分の平均値が所定値THaveよりも大きい場合には、各成分の平均値が大きいほど、各成分の輪郭強調係数の値が小さくなる。
【0122】
ここでは、各成分の平均値を用いて算出された輪郭強調係数を、それぞれ、“αave”、“βave”、“γave”と称する。“αave”は、明度成分の輪郭強調係数であり、“βave”は、彩度成分の輪郭強調係数であり、“γave”は、色相成分の輪郭強調係数である。
【0123】
各成分の輪郭強調係数を算出するための曲線は、成分毎に異なっていてもよい。すなわち、図12(a)に示す曲線として、色成分毎に異なる曲線が準備されていてもよい。
【0124】
図12(b)に示すように、各成分の分散値がTHvarよりも小さい場合には、各成分の輪郭強調係数の値は一定である。各成分の分散値がTHvarよりも大きい場合には、各成分の平均値が大きいほど、各成分の輪郭強調係数の値が小さくなる。
【0125】
ここでは、各成分の分散値を用いて算出された輪郭強調係数を、それぞれ、“αvar”、“βvar”、“γvar”と称する。“αvar”は、明度成分の輪郭強調係数であり、“βvar”は、彩度成分の輪郭強調係数であり、“γvar”は、色相成分の輪郭強調係数である。
【0126】
各成分の輪郭強調係数を算出するための曲線は、成分毎に異なっていてもよい。すなわち、図12(b)に示す曲線として、色成分毎に異なる曲線が準備されていてもよい。
【0127】
なお、輪郭強調係数は、各成分の平均値を用いて算出された輪郭強調係数及び各成分の分散値を用いて算出された輪郭強調係数の双方を組み合わせて算出されてもよい。具体的に示すように、輪郭強調係数は、以下に示す式に従って算出される。
【数11】
【0128】
又は、輪郭強調係数は、以下に示す式に従って算出されてもよい。
【数12】
【0129】
又は、輪郭強調係数は、以下に示す式に従って修正されてもよい。ここでは、修正後の輪郭強調係数を“α’”、“β’”及び“γ’”で表している。
【数13】
【0130】
(作用及び効果)
第5実施形態では、色相処理部130は、画像(フレーム)全体における色相成分の値の分布に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。明度処理部160は、画像(フレーム)全体における明度成分の値の分布に基づいて、明度成分の輪郭強調処理を行う。彩度処理部170は、画像(フレーム)全体における彩度成分の値の分布に基づいて、色相成分の輪郭強調処理を行う。従って、画像(フレーム)全体として、各成分の輪郭強調処理を適切に行うことができる。
【0131】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0132】
例えば、上述した実施形態では、RGB信号をHSV信号に変換するケースについて主として説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、RGB信号をYUV信号に変換してもよい。
【0133】
上述した実施形態では、周辺画素は、水平方向及び垂直方向において対象画素に隣接する画素であるが、周辺画素はこれに限定されるものではない。周辺画素は、斜め方向において対象画素に隣接する画素であってもよい。また、周辺画素は、対象画素から2画素以上離れた範囲の画素を含んでもよい。
【0134】
上述した第3実施形態と第5実施形態とを組み合わせてもよい。具体的には、第5実施形態で算出された値“α”、“β”、“γ”を用いて、第3実施形態で算出されたパラメータ“V”、“S”、“H”が修正されてもよい。例えば、パラメータ“V”、“S”、“H”は、以下に示す式に従って修正される。
【数14】
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】第1実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る対象画素及び周辺画素の座標を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る画素の色を2軸(x軸及びy軸)で表現する色度図である。
【図5】第1実施形態に係る画素の色を2軸(x軸及びy軸)で表現する色度図である。
【図6】第2実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る輪郭強調量について説明するための図である。
【図8】第3実施形態に係る色相処理部130を示すブロック図である。
【図9】第4実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図10】第4実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図11】第5実施形態に係る処理装置100を示すブロック図である。
【図12】第5実施形態に係る輪郭強調係数の算出例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0136】
100・・・処理装置、110・・・信号入力部、120・・・色空間変換部、130・・・色相処理部、131・・・設定部、132・・・輪郭強調処理部、133・・・輪郭強調係数算出部、134・・・輪郭強調係数算出部、140・・・色空間逆変換部、150・・・信号出力部、160・・・明度処理部、170・・・彩度処理部、181・・・明度ヒストグラム取得部、182・・・彩度ヒストグラム取得部、183・・・色相ヒストグラム取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素によって構成される画像の輪郭強調処理を行う信号処理装置であって、
前記複数の画素のいずれかである対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う色相成分強調処理部と、
前記複数の画素のうち、前記対象画素の周辺に設けられた周辺画素の色相と、前記対象画素の色相とに基づいて、前記対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する設定部とを備え、
前記色相成分強調処理部は、前記設定部によって設定された前記色相範囲内において、前記色相成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第1色相を特定し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第2色相を特定し、
前記第1色相と前記第2色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間に含まれる色相の平均値である第1平均色相を特定し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間に含まれる色相の平均値である第2平均色相を特定し、
前記第1平均色相と前記第2平均色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記対象画素と前記周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関を取得する相関取得部をさらに備え、
前記色相成分強調処理部は、前記相関取得部によって取得された相関に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記複数の画素について、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの分布を取得する分布取得部をさらに備え、
前記色相成分強調処理部は、前記分布取得部によって取得された分布に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記対象画素の彩度成分、明度成分及び輝度成分の少なくとも1つの成分を強調する他成分の輪郭強調処理を行う他成分強調処理部をさらに備え、
前記色相成分強調処理部及び前記他成分強調処理部は、前記対象画素の総輪郭強調量が上限閾値を超えない範囲で、前記色相成分の輪郭強調処理及び前記他成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項1】
複数の画素によって構成される画像の輪郭強調処理を行う信号処理装置であって、
前記複数の画素のいずれかである対象画素の色相成分を強調する色相成分の輪郭強調処理を行う色相成分強調処理部と、
前記複数の画素のうち、前記対象画素の周辺に設けられた周辺画素の色相と、前記対象画素の色相とに基づいて、前記対象画素の色相を少なくとも含む色相範囲を設定する設定部とを備え、
前記色相成分強調処理部は、前記設定部によって設定された前記色相範囲内において、前記色相成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第1色相を特定し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間において前記対象画素の色相から最も離れた第2色相を特定し、
前記第1色相と前記第2色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記対象画素の色相に対する補色色相と前記対象画素の色相とによって、色相空間を第1色相空間及び第2色相空間に分類し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第1色相空間に含まれる色相の平均値である第1平均色相を特定し、
前記対象画素の色相及び前記周辺画素の色相のうち、前記第2色相空間に含まれる色相の平均値である第2平均色相を特定し、
前記第1平均色相と前記第2平均色相とによって挟まれた範囲を前記色相範囲として設定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記対象画素と前記周辺画素との相関として、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの相関を取得する相関取得部をさらに備え、
前記色相成分強調処理部は、前記相関取得部によって取得された相関に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記複数の画素について、明度成分、彩度成分、色相成分及び輝度成分の少なくとも1つの分布を取得する分布取得部をさらに備え、
前記色相成分強調処理部は、前記分布取得部によって取得された分布に基づいて、前記色相成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記対象画素の彩度成分、明度成分及び輝度成分の少なくとも1つの成分を強調する他成分の輪郭強調処理を行う他成分強調処理部をさらに備え、
前記色相成分強調処理部及び前記他成分強調処理部は、前記対象画素の総輪郭強調量が上限閾値を超えない範囲で、前記色相成分の輪郭強調処理及び前記他成分の輪郭強調処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−11069(P2010−11069A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167821(P2008−167821)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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