説明

修理箇所特定支援シート

【課題】回路基板の修理作業において、担当者が回路図を読むのが得意でない場合もあり、不具合等の原因特定に手間がかかることが多い。このため、回路図を見ずに回路基板上の部品を容易に特定することができるようにする。
【解決手段】電子機器の基板を保護する修理箇所特定支援シートであって、前記基板に取り付けられた部品を露出させる露出孔31,32と、前記露出孔31,32ごとに、露出させる部品を特定する部品情報の表示部34と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修理箇所特定支援シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路の動作を確認するために、集積回路のデバッグ用の端子(TAP:Test Access Port)を用いてテスト信号の入出力を測定するバウンダリスキャンテストに用いるテスト方法で用いる治具がある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−30787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、製品の品質管理においては、製品の開発者とは異なる担当者が担当する場合等、担当者が回路図を読むのが得意でない場合もあり、不具合等の原因特定に手間がかかることが多い。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、回路図を見ずに部品を容易に特定することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係る修理箇所特定支援シートは、電子機器の基板を保護する修理箇所特定支援シートであって、前記基板に取り付けられた部品を露出させる露出孔と、前記露出孔ごとに、露出させる部品を特定する部品情報の表示部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】品質管理方法のフローチャート。
【図2】集積回路部品の一部分についての斜視図。
【図3】導電部材を示す図。
【図4】支持部材を示す図。
【図5】治具を取り付けられた集積回路部品の斜視図。
【図6】治具を取り付けられた集積回路部品の正面図。
【図7】治具の別実施例の斜視図。
【図8】マスク部材が取り付けられた基板の斜視図。
【図9】品質管理システムの概略構成図。
【図10】症状情報テーブルの構成図。
【図11】ブリッジ情報テーブルの構成図。
【図12】マスク情報テーブルの構成図。
【図13】ブリッジ情報提供装置のハードウェア構成図。
【図14】マスク部材を示す図。
【図15】症状登録処理の処理フロー図。
【図16】原因検索処理の処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施形態が適用された治具である回路検査用治具、修理箇所特定支援シートおよび電子機器検査装置を用いた品質管理方法について、図1〜16を参照して説明する。なお、図1〜16は、当該品質管理方法の全ての構成を示すものではなく、理解容易のため、適宜、構成の一部を省略して描いている。
【0009】
まず、図1〜図8において、品質管理の方法と品質管理に用いる治具について説明し、図9〜図16において、品質管理に用いる装置を説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る治具を用いた品質管理方法を実施する手順を説明するフローチャートである。図1は、品質管理の方法のうち、とくに、端子間のブリッジに起因して発生する電気的な短絡により発症する症状を、登録システムに登録する手順についてのフローチャートを示す。
【0011】
まず、症状を登録する利用者は、正常に動作する品質管理対象の製品を分解し、端子間のブリッジの対象となる基板上の部品の端子間に、後述する治具を設置して、ブリッジを誘発させる(ステップS001)。
【0012】
次に、利用者は、ステップS001にて治具を設置した製品を完成品として組み立てる。その際、利用者は、ステップS001で設置した治具を設置した状態のまま、基板が属する装置を組み立てる(ステップS002)。
【0013】
次に、利用者は、ステップS002にて組み立てた装置を動作させる(ステップS003)。具体的には、利用者は装置に電力等を供給して、装置を通常の稼働状態とする。
【0014】
次に、利用者は、ステップS003にて動作させた装置の出力等を確認して、装置の動作に現れる症状を取得する(ステップS004)。具体的には、利用者は、装置の動作、すなわち画面の表示や音声の出力、あるいはその他装置の機能を実行した結果を確認して、症状を説明する文章を作成する。必要に応じて、利用者は、症状が発症した状態で記録されたログ情報、または症状が発症した状態を記録した画像や、症状が発生した状態の装置の出力情報等を取得する。
【0015】
次に、利用者は、ステップS004で取得した症状を説明する文章や、症状により記録されたログ情報、あるいは症状が現れた状態を記録した画像や、症状が発生した状態の装置の出力情報等を用いて、症状を登録システムに登録する(ステップS005)。
【0016】
このようにして、利用者は、ブリッジさせる端子の組み合わせの回数だけ、図1のフローに従った処理を繰り返して、各症状を登録システムに登録する。
【0017】
図2は、ブリッジさせる対象となる集積回路部品1の一部分についての斜視図である。
【0018】
集積回路部品1は、集積回路筐体部2と、外部接続端子3と、を含む。
【0019】
集積回路筐体部2は、トランジスタや抵抗、コンデンサ等が集積された素子を覆う集積回路の筐体である。
【0020】
外部接続端子3は、集積回路部品1を取り付ける回路基板と電気的に接続するための複数の端子のうちの一つである。外部接続端子3は、導電性を有する金属等により形成され、複数の外部接続端子3は、所定の間隔で所定の方向に整列されて集積回路筐体部2に取り付けられ、集積回路筐体部2に収められた集積回路に接続されている。
【0021】
図3は、集積回路部品1にブリッジを発生させるための治具のうち、導電部材10を示す図である。図3(a)は、導電部材10の斜視図であり、図3(b)は、導電部材10の上面図であり、図3(c)は導電部材10の正面図である。
【0022】
図4は、集積回路部品1にブリッジを発生させるための治具のうち、導電部材10を取り付けるために、導電部材10を支持する支持部材20を示す図である。図4(a)は、支持部材20の斜視図であり、図4(b)は、支持部材20の正面図である。なお、支持部材20は、導電性を有しない樹脂等により形成される。
【0023】
導電部材10は、支持部材20に取り外し可能に取り付けられることで、支持される。導電部材10は、図3(a)に示すように、差込部11と、先端部12と、を有する。また、図3(b)に示すように、差込部11と先端部12とは固着されており、差込部11は、先端部12と固着された部分から突出する4本の肢を有する。導電部材10は、当該4本の肢によって、支持部材20に取り付け位置の変更を可能としつつ取り付けられる。なお、以下において、「上」、「下」、「右」及び「左」は、導電部材10を図3(c)のように正面から見たときを基準とする。
【0024】
先端部12は、図3(c)に示すように、上部より下部になるほど幅が狭くなるいわゆる楔形をしている。また、先端部12の先端部分は、差込部11の下端よりも下方に突出している。また、先端部12は、導電性のある素材、例えばはんだなどで構成されている。なお、先端部12の大きさは、集積回路部品1の外部接続端子3同士の間隔の長さに対応する。例えば、外部接続端子3同士の間隔の長さが0.5mmであれば、先端部12の左右の幅は上部の最も太い部分で1mm以上、たとえば1mmとなるのが望ましい。
【0025】
支持部材20は、箱型をしており、平らな上面21と、上面21に平行な下面24を有し、正面側面22には、開口を有する長方形の複数の孔23を有する。なお、孔23は、正面側面22に所定の間隔、例えば1mm間隔で設けられる。それぞれの孔23の幅は、差込部11が有する4本の肢の幅とほぼ等しい。したがって、差込部11の4本の上下の肢は、支持部材20のいずれかの孔23に差込まれることで、支持される。
【0026】
また、図4(b)に示すように、孔23は、孔23の所定の深度において、上側孔23Uと下側孔23Lとに分かれており、差込部11の4本の上下の肢のうち、上側の左右2本の肢は上側孔23Uに、下側の左右2本の肢は下側孔23Lに、それぞれ差し込まれる。
【0027】
図5は、集積回路部品1にブリッジを発生させるための治具を取り付けた状態を示す斜視図である。集積回路部品1の集積回路筐体部2の上面には、例えば両面テープ等一時的な接着を可能とする粘性の有る素材を介して、支持部材20の下面24が接するように支持部材20が取り付けられる。また、支持部材20の孔23には導電部材10の差込部11が差し込まれる。これにより、導電部材10の先端部12の先端部分と、集積回路部品1の隣り合う二つの外部接続端子3とが接触し、ブリッジが発生する。
【0028】
なお、導電部材10の先端部12は、差込部11の肢の上下方向の長さが、孔23の上下方向の長さよりも短いことから、若干の上下動が可能である。そのため、集積回路部品1の形状に応じて先端部12の位置を上下に稼働させることができ、異なる形状、大きさを備える集積回路部品1の外部接続端子3との接触を確保できる。
【0029】
図6は、集積回路部品1にブリッジを発生させるための治具を取り付けた状態を示す正面図である。図6においては、楔形をした導電部材10の先端部12の最先端部分と、集積回路部品1の隣り合う二つの外部接続端子3とが接触する。これにより、先端部12と接触する二つの外部接続端子3は、互いに電気的に接続され、短絡される。
【0030】
また、支持部材20の孔23に取り付ける導電部材10の位置を左右に移動させることで、導電部材10が取り付けられる位置が変更され、導電部材10が接触する外部接続端子3が変更される。
【0031】
図7は、ブリッジを発生させるための治具の、別の実施例を示す図である。図7では、導電部材13の先端部12は楔形ではなく、略球形をしている。これにより、治具は、基板上に設置されたチップコンデンサ4の片側の端子5と、隣り合う別のチップコンデンサの片側の端子6と、の間を短絡させることができる。
【0032】
なお、当該変形例においても、導電部材13を支持する支持部材は、図4に示した支持部材20を想定しているが、これに限らず、例えば、導電部材13に若干の上下動を可能とさせる程度の支持力をそなえ、導電性のない部材であれば、例えば粘土等の素材であっても良い。
【0033】
図8は、集積回路部品1にブリッジを発生させるための治具を取り付ける際に、他の部品を傷つけないように保護するためのマスク部材30が基板40に取り付けられた状態を示す斜視図である。マスク部材30は、集積回路部品1を露出させるための切り抜き穴31、32を有し、それぞれの切り抜き穴31、32には、対応する部品の部品番号34が刻印されている。
【0034】
例えば、切り抜き穴31により露出する集積回路部品1の部品番号が「BHNIC9865」であれば、部品番号34には「BHNIC9865」との刻印がなされている。なお、部品番号34は、刻印ではなく印刷等による印字であってもよい。
【0035】
マスク部材30がこのような刻印を有することで、利用者は、治具を取り付ける際に取り付け位置を誤ってしまうことを回避可能である。
【0036】
次に、症状登録手順のステップS005において症状を登録する品質管理システム100について、図9〜図16を用いて説明する。
【0037】
図9は、品質管理システム100の概略構成を示す図である。品質管理システム100は、ブリッジ情報提供装置110と、端末装置160と、ブリッジ情報提供装置110と端末装置160とが通信可能なネットワーク150と、を有する。
【0038】
ブリッジ情報提供装置110は、電子機器のブリッジ箇所に応じて発症する症状等の登録を端末装置160から受け付ける。また、ブリッジ情報提供装置110は、端末装置160からの要求に応じて、症状等からブリッジした可能性がある箇所の候補を提示する。
【0039】
ブリッジ情報提供装置110は、記憶部120と、制御部130と、通信部140と、を有する。記憶部120には、症状情報記憶領域121と、ブリッジ情報記憶領域122と、マスク情報記憶領域123と、が含まれる。制御部130には、入力受付部131と、出力処理部132と、ブリッジ情報登録部133と、原因検索部134と、が含まれる。通信部140は、ネットワーク150を介して接続された他の装置、例えば端末装置160と通信を行う。
【0040】
症状情報記憶領域121には、図10に示す症状情報テーブル200が格納される。症状情報テーブル200には、症状ID201と、説明202と、画像203と、ログ204と、が含まれる。
【0041】
症状ID201は、発生した症状を識別する識別子であり、例えば他の症状と重複しない番号等である。
【0042】
説明202は、文章等の文字情報により症状を具体的に特定するための情報である。例えば、「特定の表示が表示されない」等の症状を説明する文章である。
【0043】
画像203は、画像等の視覚情報により症状を具体的に特定するための情報である。例えば、症状が発生した状態で出力される出力情報を撮影した写真データ等またはそのファイル名であるが、これに限られない。すなわち、症状が発生した状態で製品のディスプレイやスピーカ等に出力されるデータそのものを記録したファイル等でもよい。
【0044】
ログ204は、症状が発生した装置が出力するエラーログ等の情報により症状を具体的に特定するための情報である。例えば、エラーログを記録したファイルのファイル名や、ファイルに記録された情報そのもの等である。
【0045】
ブリッジ情報記憶領域122には、図11に示すブリッジ情報テーブル300が格納される。ブリッジ情報テーブル300は、基板ごとに、ブリッジする可能性のある搭載部品の組み合わせのパターンを格納する。また、ブリッジ情報テーブル300は、ブリッジする可能性のある搭載部品の組み合わせのパターンごとに、ブリッジする可能性のある搭載部品の端子の組み合わせに応じた症状を格納する。
【0046】
具体的には、ブリッジ情報テーブル300は、基板ID301に応じて、部品組合せパターン310を格納する。部品組合せパターン310は、縦軸の部品番号311と、横軸の部品番号312とにより構成され、縦軸の部品番号311と横軸の部品番号312とが交差する交点ごとに、部品組合せパターンを格納する。
【0047】
また、ブリッジ情報テーブル300は、各部品組合せパターンに対応する部品間の、部品の端子の組合せをさらに細かく特定する端子組合せパターン320を格納する。端子組合せパターン320は、縦軸の端子番号321と、横軸の端子番号322とにより構成され、縦軸の端子番号321と横軸の端子番号322とが交差する交点ごとに、症状を特定する情報である症状IDを格納する。
【0048】
マスク情報記憶領域123には、図12に示すマスク情報テーブル400が格納される。マスク情報テーブル400は、ブリッジ情報テーブル300の部品組合せパターンと対応するパターン401ごとに、ブリッジの発生が疑われる端子を有する部品の組み合わせであるブリッジ疑惑端子部品402と、当該部品を修理するのに使用するマスク部材30を識別する情報である使用マスク405と、を格納する。
【0049】
ブリッジ疑惑端子部品402は、さらに、ブリッジ対象となっている第一の部品と、第二の部品と、を識別する情報である第一部品403と、第二部品404と、により構成される。
【0050】
使用マスク405には、当該症状を再現/修理する対象となる部品以外の部品を保護するために製品の基板を覆うための治具であるマスク部材30を識別するための情報が格納される。なお、マスク情報テーブル400には、マスク部材30の製造時等に、必要な情報が予め記憶されるものとする。
【0051】
図9に戻って説明する。制御部130の入力受付部131は、通信部140を介して、端末装置160の利用者からの指示入力を受け付け、これを各処理部に受け渡す。
【0052】
出力処理部132は、出力する画面を構成し、通信部140を介して端末装置160の表示装置に表示させる。
【0053】
より具体的には、出力処理部132は、端末装置160への表示を要求される画面データと表示候補とを受け取り、指定された描画方式で、画像やメッセージ情報などを描画するように画面描画コマンドを生成する。そして、生成したコマンドを、端末装置160に送信する。
【0054】
ブリッジ情報登録部133は、症状登録手順のステップS005で入力された症状の登録を受け付ける。
【0055】
原因探索部134は、不具合症状が発生した場合に原因を特定するために、症状等から発生した可能性のある原因を特定する。
【0056】
図13は、本実施形態のブリッジ情報提供装置110のハードウェア構成を示す図である。本実施形態においては、ブリッジ情報提供装置110は、例えば、クライアントPC(パーソナルコンピュータ)や、ワークステーション、サーバ装置、各種携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの計算機で構成される。
【0057】
ブリッジ情報提供装置110は、通信装置113と、演算装置114と、主記憶装置115と、外部記憶装置116と、それぞれの装置を互いに接続するバス117と、を有する。
【0058】
通信装置113は、有線または無線でネットワーク150を介して他の装置と通信を行う通信装置である。
【0059】
演算装置114は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置である。
【0060】
主記憶装置115は、例えばRAM(Random Access Memory)などのメモリ装置である。
【0061】
外部記憶装置116は、例えばハードディスク装置やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
【0062】
ブリッジ情報提供装置110の入力受付部131と、出力処理部132と、ブリッジ情報登録部133と、原因探索部134と、は、ブリッジ情報提供装置110の演算装置114が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、主記憶装置115および外部記憶装置116には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0063】
なお、上記した各構成要素は、ブリッジ情報提供装置110の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ブリッジ情報提供装置110の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0064】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0065】
また、ブリッジ情報提供装置110の記憶部120は、ブリッジ情報提供装置110の主記憶装置115または外部記憶装置116により実現される。
【0066】
ブリッジ情報提供装置110の通信部140は、ブリッジ情報提供装置110の通信装置113によって実現される。
【0067】
ネットワーク150は、例えばLAN(Local Area Network)やインターネットなどの規格に従った通信網であり、例えば私設のLAN等であるが、これに限られない。すなわち、私設網であるか、公衆網であるかを問わない。
【0068】
端末装置160は、ブリッジ情報提供装置110から送信した出力情報を受信して表示し、利用者からキーボードやマウス等を介して受け付け、受け付けた情報をネットワーク150を介してブリッジ情報提供装置に送信する。例えば、端末装置160は、クライアントPC(パーソナルコンピュータ)や、ワークステーション、サーバ装置、各種携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)などの計算機である。
【0069】
図14は、基板を覆って基板上の部品を保護するためのマスク部材30を示す図である。
【0070】
マスク部材30は、取り付ける製品の基板の種類に応じて作成される。マスク部材30は、前述したとおり、取り付ける製品の基板に応じて、基板に搭載された修理等の対象となる部品に応じて設けられた切抜き穴31、32と、基板の形状に応じた切り抜き33と、を有する。また、マスク部材30は、取り付けられる基板に搭載された修理等の対象となる部品を識別するための部品番号34の記載(例えば、印字、あるいは刻印)を有する。
【0071】
マスク部材30は、基板上の電源部材を保護するために、絶縁可能な素材で構成される。作業性の観点から、望ましくは、マスク部材30は、基板を透過できるような素材であるほうがよい。例えば、マスク部材30は、透明な樹脂製のシートで構成される。また、望ましくは、マスク部材30は、軟質のプラスチック素材で構成されている。
【0072】
図15は、ブリッジ情報提供装置110が実施する症状登録処理の処理フローを示す図である。症状登録処理は、端末160からの要求に応じて開始される。
【0073】
まず、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジさせた両端子が搭載された基板を識別する情報の入力を受け付ける(ステップS101)。
【0074】
具体的には、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジさせた両端子が搭載された基板の基板IDを受け付け、ブリッジ情報テーブル300の基板ID301に追加する。なお、基板ID301に既に登録された基板IDであれば、重複する追加を行うことは無い。
【0075】
次に、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジさせた両端子の部品の組合せを受け付ける(ステップS102)。
【0076】
具体的には、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジさせた両端子の部品を識別する情報である部品番号の入力を二つ受け付け、いずれか片方をブリッジ情報テーブル300の部品組合せパターン310の縦軸311として追加し、もう片方を横軸312として追加し、交点部分に部品組合せパターンを追加する。なお、同様に、ブリッジ情報登録部133は、受け付けた二つの部品番号の順を入れ替えて、交点に同一の部品組合せパターンを追加する。
【0077】
次に、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジさせた両端子の組合せを受け付ける(ステップS103)。
【0078】
具体的には、ブリッジさせた両端子を識別する情報である端子番号の入力を二つ受け付け、いずれか片方をブリッジ情報テーブル300の端子組合せパターン320の縦軸321に追加し、もう片方を横軸322に追加し、交点を特定する。なお、ブリッジ情報登録部133は、受け付けた二つの端子番号の順を入れ替えて、二つ目の交点も特定し、合計で二つの交点を特定する。
【0079】
次に、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジにより発生したショートの結果発生した症状を受け付ける(ステップS104)。
【0080】
具体的には、ブリッジ情報登録部133は、ブリッジにより発生したショートの結果発生した症状の説明、画像、ログ等を受け付けて、症状IDを新たに付与して症状情報テーブル200に登録する。その際、あわせて、ブリッジ情報登録部133は、ステップS103で特定した二つの交点に症状IDを格納する。
【0081】
以上が、症状登録処理の処理フローである。
【0082】
症状登録処理により、ブリッジ情報提供装置110に、ブリッジ情報が蓄積されるため、後述する原因探索処理により症状から原因を検索することができるようになる。
【0083】
図16は、ブリッジ情報提供装置110が実施する原因検索処理の処理フローを示す図である。原因検索処理は、端末160からの要求に応じて開始される。
【0084】
まず、原因検索部134は、発生している症状と基板を特定する情報とを受け付ける(ステップS201)。
【0085】
具体的には、原因検索部134は、発生している症状を特定する情報として、所定のキーワードや、所定のログファイル、あるいは所定の画像情報の入力を受け付ける。また、原因検索部134は、基板を特定する情報として、基板IDの入力を受け付ける。
【0086】
次に、原因検索部134は、ステップS201で受け付けた症状に該当する可能性のある症状の症状IDを抽出する(ステップS202)。
【0087】
具体的には、原因検索部134は、ステップS201で受け付けた症状を特定する情報と適合する可能性の高い症状を、症状情報テーブル200から(一または複数)特定し、特定した症状の症状ID201を取得する。
【0088】
なお、この処理において、原因検索部134は、症状の説明202と、入力された症状を表すキーワードとの一致の度合いが高いものを適合する可能性の高い症状として取得する。
【0089】
また、その他、原因探索部134は、入力された画像と画像203との類似の度合いを判断して、類似の度合いが高いものを適合する可能性の高い症状として取得しても良い。もちろん、原因探索部134は、ログ204と、入力されたログ情報とを比較して、一致する行が所定数以上存在する場合に、適合する可能性の高い症状として取得しても良い。
【0090】
次に、原因検索部134は、ステップS202で抽出した症状IDが発生しうる部品と、その部品の端子の組合せパターンを全て抽出する(ステップS203)。
【0091】
具体的には、原因検索部134は、ステップS202で抽出した症状IDが含まれる端子組合せパターン320をブリッジ情報テーブル300から取得し、その端子と、端子を有する部品と、の組合せ(すなわち、端子の組合せと、部品の組合せパターン)を全て特定する。そしてさらに、原因検索部134は、特定した組合せのうち、ステップS201で受け付けた基板IDに関するパターンを取得する。
【0092】
次に、原因検索部134は、ステップS203で抽出した部品組合せパターンにより特定される部品を露出させることのできるマスクを抽出する(ステップS204)。
【0093】
具体的には原因検索部134は、マスク情報テーブル400のブリッジ疑惑端子部品402の第一部品403と第二部品404の組合せのうち、ステップS203で抽出した部品組合せパターンと合致するレコードを特定し、使用マスク405を抽出する。
【0094】
次に、原因探索部134は、マスクIDと部品及び端子の組合せを端末装置160に表示させる(ステップS205)。
【0095】
具体的には、原因探索部134は、ステップS204で抽出した使用マスクと、部品組合せパターンにより特定される部品の組と、その端子組合せパターンにより特定される端子の組と、を対応付けて、出力処理部132に出力画面を構成させる。そして、出力処理部132は、出力画面を構成し、構成した画面を通信部140に依頼して端末160へ送信する。そして、端末160は、受信した出力画面を表示させる。
【0096】
以上が、原因検索処理の処理フローである。
【0097】
このように、原因検索処理により、ブリッジ情報提供装置110に蓄積されたブリッジ情報を、症状等から検索して原因の候補を表示することができるため、利用者は原因の究明を容易に行うことが可能となる。また、使用すべきマスク部材30を特定するマスクIDが提示されるため、利用者は、提示されたマスクIDに対応するマスク部材30を基板にかぶせることで、マスク部材30に記載された部品番号34から、複雑な回路であっても迅速かつ正確に部品の同定を行うことが可能となる。
【0098】
以上、本発明の一実施形態が適用された治具を用いた品質管理方法について説明した。
【0099】
上記実施形態によれば、組立て製品において、部品にダメージを与えることなく、端子間のブリッジにより生ずる症状を蓄積することが可能となり、またその蓄積した情報を元に品質管理を容易かつ正確、迅速に行うことができる。
【0100】
また本願発明は、上記実施形態に限られない。
【0101】
例えば、上記実施形態においては、マスク部材30の切り抜き穴31、32は、部品単位で設けられているが、これに限られない。例えば、複数の部品間の接点をブリッジさせるために、複数の部品についてまとめて切り抜き穴31、32が設けられるようにされていてもよい。このようにすることで、複数の部品間の接点のブリッジにより発生する短絡についても対応しやすくなる。
【0102】
また例えば、上記実施形態においては、支持部材20は、支持部材20の底面を集積回路部品1の天面に固着されるものであるが、これに限らず、導電部材10を二つの外部接続端子3の間に接点を設けることができるように支持可能であればよい。すなわち、集積回路部品1の側面と支持部材20の底面が固着されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0103】
1・・・集積回路部品、2・・・集積回路筐体部、3・・・外部接続端子、4・・・チップコンデンサ、5・・・チップコンデンサの片側の端子、6・・・別のチップコンデンサの片側の端子、10・・・導電部材、11・・・差込部、12・・・先端部、13・・・導電部材、20・・・支持部材、21・・・上面、22・・・正面側面、23・・・孔、23U・・・上側孔、23L・・・下側孔、24・・・下面、30・・・マスク部材、31、32・・・切り抜き穴、34・・・部品番号、40・・・基板、100・・・品質管理システム、110・・・ブリッジ情報提供装置、120・・・記憶部、130・・・制御部、131・・・入力受付部、132・・・出力処理部、133・・・ブリッジ情報登録部、134・・・原因探索部、140・・・通信部、160・・・端末装置、150・・・ネットワーク150、200・・・症状情報テーブル、300・・・ブリッジ情報テーブル、400・・・マスク情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の基板を保護する修理箇所特定支援シートであって、
前記基板に取り付けられた部品を露出させる露出孔と、
前記露出孔ごとに、露出させる部品を特定する部品情報の表示部と、
を有することを特徴とする修理箇所特定支援シート。
【請求項2】
請求項1に記載された修理箇所特定支援シートであって、
絶縁性のある素材から成る、
ことを特徴とする修理箇所特定支援シート。
【請求項3】
請求項2に記載された修理箇所特定支援シートであって、
前記絶縁性のある素材は、軟質プラスチックである、
ことを特徴とする修理箇所特定支援シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載された修理箇所特定支援シートであって、
前記基板の形状に沿った形状を有する、
ことを特徴とする修理箇所特定支援シート。
【請求項5】
請求項4に記載された修理箇所特定支援シートであって、
前記基板を透視可能である、
ことを特徴とする修理箇所特定支援シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−71314(P2011−71314A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221072(P2009−221072)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】