説明

個人認証媒体

【課題】偽造改竄防止性能に優れ、真偽判定が容易な画像を有する個人認証媒体を得る。
【解決手段】少なくとも基材と、第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、回折格子を設けたセルを複数配置して構成され、第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部と、接着層と保護層とを有し、前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択されることを特徴とする個人認証媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスポートや査証などの冊子または、カード等の個人認証媒体上に個人特定の要である顔画像や指紋を印刷・印字・描画する画像形成体に係わるものであり、特に、正当な所有者の顔や指紋の画像といった個人識別情報を、回折格子または回折格子状に凹凸を設けたセルを組み合わせることにより、偽造および改竄を困難にして、かつ個人認証を実施する審査官が識別しやすくすることを目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
パスポートや査証用ステッカー、あるいはカード類といった個人認証に係わる情報記録媒体においては、従来、色々なセキュリティ手法が提案されてきている。例えば、パスポートにおいては、現在使用されているパスポートはいわゆるICAOの規定によれば、目視および光学文字識別方式の両方で読めなければならないとされている(ICAOは、International Civil Aviation Organizationの略)。ICAOの規定によれば、パスポートに使用する材質やセキュリティに関しては各国の自由裁量であり、セキュリティ機能として一般に使われているのは、有機溶剤等で反応する化学反応体、虹彩色のパールチップ、ファイバー(絹もしくは合成繊維、可視もしくは不可視、蛍光もしくは非蛍光)、ホログラムやマイクロ文字の印刷されたフィルムのセキュリティ糸、透かし模様等を盛り込んだ用紙や退色性インキ、蛍光インキ、感熱インキ、光学的に変化するインキ(いわゆるOVIなど)等の各種インキ、細線印刷、レインボー印刷、凹版印刷、ピクセル印刷等の様々な技法を組み込んでセキュリティと美観の同時向上を図っている。
【0003】
また、パスポートの目視確認情報としての顔写真は、従来写真を貼り合わせたものであったが、近年では写真情報をデジタル化し、これをパスポートに再現する傾向にある。パスポートへの画像再現方法としては、昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法などが検討されている。
【0004】
パスポートへの画像再現方法としては、上記方式以外に、インクジェットプリンターによる記録法や(例えば、特許文献1参照)、COもしくはYAGレーザーおよび感熱発色剤を使用したレーザー印字記録法(例えば、特許文献2参照)、さらには基材中に存在する炭素を利用して基材の深さ方向にも印字記録するレーザーエングレービング印字記録法(例えば、特許文献3参照)などがある。
【0005】
査証用ステッカーにおいても、ステッカー自体を剥がそうとしても綺麗に剥がすことが困難な様に切り込みを一定パターン状に設けたものを使用するなどの工夫がされているものもある。
【0006】
さらに、この種の個人認識データの入った画像表示体としては、画像データに基づいて形成された画像パターンをポリ塩化ビニル等のカード基材上に備えたもの、あるいは上記画像パターンに加えてホログラムや回折格子あるいは多層干渉を用いた光学的薄膜(光学設計によりカラーシフト等の効果を得られる)を用いることによる画像に代表されるいわゆるOVD画像を具備するもの等が知られている(OVDは、Optical Variable Deviceの略)。
【0007】
これらホログラムや回折格子のOVD技術は、高度な製造技術を要し、複製の難しいことから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、IDカード、プリペイドカード等のカード類に利用されてきた。さらには、その装飾性の高さから、包装材、書籍、パンフレット、POP等への利用も少なくない。これらOVDを物品に貼着するための手段として従来から転写箔を用いて転写形成するといった方法が採られている。この種の転写は、支持体上に剥離層、ホログラムや回折格子の画像パターンを形成されているレリーフ層と、公知の薄膜形成手段により形成される反射層、接着層を順次積層してなる構成のものが知られている。これら、転写箔に刻まれたOVDパターン(ホログラムおよび回折格子パターン)は、微少な凹凸パターンをニッケル性のプレス版に複製し、レリーフ層に加熱押圧するという周知の方法により大量複製が行われている。
【0008】
また、上記反射層は屈折率の異なる透明な物質を真空蒸着法等の公知の薄膜形成手段により形成することで(以下透明薄膜層と呼ぶ)、透明ホログラムや透明回折格子形成体となることは、公知の技術である。この場合、レリーフ層と透明薄膜層との間の屈折率差が大きい程、反射率も大きくなることは、光学的見地からも明らかである。但し、ここで一般的には、
(レリーフ層の屈折率)<(透明薄膜層の屈折率)
の関係がある。
【0009】
この様にして得られたホログラムまたは回折格子構造物は、偽造防止手段としてクレジットカード、キャッシュカード、会員証カード、社員証カード、プリペイドカード、運転免許証等の各種カード類、商品券、ギフト券、株券等の各種紙券類や申込用紙、領収書、複写伝票等の各種帳票類や、パスポート、通帳、年金手帳等の各種冊子類の他、本や手帳などの表紙やパネル等のディスプレイ用途等の一部または全体に貼着して使用されている。尚、本発明で述べている全体とは、概念的な意味であり、柄、パターン等を問わず、スポット状、ストライプ状、格子上に貼着されたものや、定型、不定形の網点状のドットで貼着されたものも含まれる。
【0010】
このようなOVD転写箔は偽造防止効果としては、充分な機能を果たすが、パスポートの様に顔写真などの画像形成後に該画像上にOVD転写層を熱的に転写して形成しているため、偽造技術の発達した現在では何らかの手法により転写層をいったん取り去り、画像データ等の改竄を行った後に改めてOVD転写箔を載せるといったことが行われる可能性もでてきた。
【0011】
また、顔写真などの画像情報を形成するする手段としての昇華転写方式、熱溶融性の転写リボン方式あるいは電子写真方式などのプリンタは、昨今では一般に広く普及している状況を考慮すると、画像形成部を取り除いた後の領域に新たに画像を形成することは、必ずしも困難とは、言いきれなくなりつつある。
【0012】
上記のような問題を解決すべく、顔写真の他に個人を特定する情報を複数個入れる方法が考えられている。顔写真の中に電子透かし情報を入れ、その情報を同一媒体中のICチップに記憶して、電子透かし情報とICチップの情報を照合することで認証する方法がある(例えば、特許文献4参照)。また、顔写真情報の特徴点を数値化して、その値を2次元コード化し、同一媒体中に印字する。2次元コードのデータと顔写真の特徴点を照合することで認証する方法がある(例えば、特許文献5参照)。
【0013】
しかしながら、上記の方式では顔写真やICチップや2次元コードを読み取るための専用のデコーダーが必要であり、読み取り装置およびデコーダーを所有している人以外認証出来ないという問題がある。
【0014】
他の検証方法として目視情報による認証が可能な顔写真を複数個入れる方法が考えられる。前記方式で設けた顔写真の他に蛍光材料を用いて同じ顔写真を形成する方法がある(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)。また、パール顔料を溶融型熱転写インクリボン化して顔写真を形成する方法がある(例えば特許文献9参照)。
【0015】
しかしながら、上記蛍光材料を用いる方法では、紫外線ランプ(ブラックライト)を用いる必要があるため、認証できる場面が限られている。一方パール顔料による顔写真は、目視による確認は可能であるが、パール顔料の粒子が大きいため、精細な画像の形成が困難なことより、あくまで補助的な認証にしかならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−226740号公報
【特許文献2】特開昭49−131142号公報
【特許文献3】特開2006−123174号公報
【特許文献4】特開2001−126046号公報
【特許文献5】特開2004−70532号公報
【特許文献6】特開平7−125403号公報
【特許文献7】特開2000−141863号公報
【特許文献8】特開2002−226740号公報
【特許文献9】特開2003−170685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑みてなされた発明であり、高セキュリティ性を必要とされるパスポート、査証、あるいは各種のカード類等の個人認証媒体に対して、偽造や改竄あるいは変造に対する予防性能や、万一それらの不正がなされた場合であっても被疑不正品を観察等すると容易に発見できるような発見容易性能などを備える個人識別認証媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の発明は、少なくとも基材と、第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、第2の個人認証情報を回折格子からなる複数のセルによりドット状に表示する第2個人認証情報表示部と、接着層と保護層とを有し、前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択されることを特徴とする個人認証媒体である。
第2の発明は、少なくとも基材と、第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、可視光線の拡散範囲が限定された拡散機能を持つ指向性散乱層から構成され、第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部と、接着層と保護層とを有し、前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択されることを特徴とする個人認証媒体である。
第3の発明は、少なくとも基材と、第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、第2の個人認証情報を外光を回折又は散乱させることによって表示する第2個人認証情報表示部と、接着層と保護層とを有し、前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択され、前記第1個人認証情報表示部と前記第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が重なり合って積層されていることを特徴とする個人認証媒体である。
第4の発明は、少なくとも基材と、第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、第2の個人認証情報を外光を回折又は散乱させることによって表示する第2個人認証情報表示部と、接着層と保護層とを有し、前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択され、前記第1個人認証情報表示部と前記第2個人認証情報表示部が全て重なり合って積層されていることを特徴とする個人認証媒体である。
第5の発明は、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が、同一人物に属する単一の個人認証情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の個人認証媒体である。
第6の発明は、第1個人認証情報表示部の面積は、第2個人認証情報表示部の面積に対して0.1〜30倍の面積であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の個人認証媒体である。
第7の発明は、前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の個人認証媒体である。
第8の発明は、第1個人認証情報表示部の上に第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が積層されていることを特徴とする請求項7に記載の個人認証媒体である。
第9の発明は、前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層と、前記可視光線透過層よりも高い屈折率を持つ高屈折率層を少なくとも一部に有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の個人認証媒体である。
第10の発明は、前記高屈折率は、金属、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料のうち少なくとも一つまたはその組み合わせから選ばれることを特徴とする請求項9に記載の個人認証媒体である。
第11の発明は、前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層と、反射層を少なくとも一部に有することを特徴とする請求項1〜8に記載の個人認証媒体である。
第12の発明は、請求項1〜11に記載の個人認証媒体であって、外光を回折又は散乱させる回折散乱層が、基材上の少なくとも1部もしくは第1個人認証情報表示部上の少なくとも1部に積層していることを特徴とする個人認証媒体である。
第13の発明は、請求項12に記載の個人認証媒体であって、前記回折散乱層が、可視光線を透過する可視光線透過層を有することを特徴とする個人認証媒体である。
第14の発明は、請求項13に記載の個人認証媒体であって、前記回折散乱層が可視光線を透過する可視光線透過層と、前記可視光線透過層よりも高い屈折率を持つ高屈折率層を少なくとも一部に有することを特徴とする個人認証媒体である。
第15の発明は、請求項14に記載の個人認証媒体であって、前記反射層は、金属、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料のうち少なくとも一つまたはその組み合わせから選ばれることを特徴とする個人認証媒体である。
第16の発明は、請求項13に記載の個人認証媒体であって、前記回折散乱層が可視光線を透過する可視光線透過層と、反射層を少なくとも一部に有することを特徴とする個人認証媒体である。
第17の発明は、前記セルは、各セルの形状や厚さ、材料、大きさ、回折格子の空間周波数、回折格子の方向、回折格子の角度のいずれか変化させることによって階調を複数種類設定したセルの中から選択され、各セルの数や並び方、各セル間の距離等を用途や目的、表示する個人認証情報によって適宜選択して、複数配置して個人認証情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の個人認証媒体である。
【発明の効果】
【0019】
第1の発明によれば、個人認証媒体がそれを所有している人が真の所有者かどうか識別を行う審査官に対して、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が同一人物の個人認証情報から選択されるため、2つの画像を目視にて見比べることで容易に本人確認が出来るため、被疑不正品を容易に発見できる発見容易性能を備えることができた。また、有色表示された第1個人認証情報表示部と、第2の個人認証情報を回折格子からなる複数のセルによるドット状に表示する第2個人認証情報表示部を備えた個人認証媒体の構成は、従来の構成よりも複雑になり、かつドット状の表示の場合、個人認証情報を画像情報データから回折格子を再現出来ることより、偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になった。
第2の発明によれば、個人認証媒体がそれを所有している人が真の所有者かどうか識別を行う審査官に対して、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が同一人物の個人認証情報から選択されるため、2つの画像を目視にて見比べることで容易に本人確認が出来るため、被疑不正品を容易に発見できる発見容易性能を備えることができた。また、有色表示された第1個人認証情報表示部と、指向性散乱層を有する第2個人認証情報表示部を備えた個人認証媒体の構成は、従来の個人認証媒体の構成よりも複雑になるだけでなく、同時に被転写媒体の凹凸による光散乱の影響を受けにくくなるため、より目視による比較が容易に出来ることより、偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になった。
第3の発明によれば、個人認証媒体がそれを所有している人が真の所有者かどうか識別を行う審査官に対して、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が同一人物の個人認証情報から選択されるため、2つの画像を目視にて見比べることで容易に本人確認が出来るため、被疑不正品を容易に発見できる発見容易性能を備えることができた。さらに、第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部が少なくとも一部が重なり合って積層されているため、両者の認証情報を近くに配置することが可能となった。そして、両者の個人認証情報を確認するための視線の移動を減らすことができるため、認証のスピードも速くすることができる。また、有色表示された第1個人認証情報表示部と、第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が重なり合って積層された個人認証媒体の構成は、従来の構成よりもさらに複雑になったため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になった。
第4の発明によれば、個人認証媒体がそれを所有している人が真の所有者かどうか識別を行う審査官に対して、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が同一人物の個人認証情報から選択されるため、2つの画像を目視にて見比べることで容易に本人確認が出来るため、被疑不正品を容易に発見できる発見容易性能を備えることができた。さらに、第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部の全てが重なり合って積層されているため、両者の認証情報をより近くに配置することが可能となる。そして、視線の移動をさらに減らすことができるため、認証のスピードも速くすることができた。また、有色表示された第1個人認証情報表示部と、第2個人認証情報表示部の全てが重なり合って積層された個人認証媒体の構成は、従来の構成よりもさらに複雑になったため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になった。
第5の発明によれば、個人認証媒体がそれを所有している人が真の所有者かどうか識別を行う審査官に対して、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が、同一人物に属する単一の個人認証情報であるため、偽造確認がさらに容易となるだけでなく、個人認証媒体にさらにセキュリティ性を付与することが可能となった。また個人認証媒体の構成は、従来の構成よりもさらに複雑になったため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になった。
第6の発明によれば、第1個人認証情報表示部の面積は、第2個人認証情報表示部の面積に対して0.1〜30倍の面積であることによって、第1個人認証情報表示部および第2個人認証情報表示部を用途に応じて面積を変更することができるので、二つの個人認証情報を容易に比較して認証することができた。また、従来の個人認証媒体の構成よりもさらに複雑にできるため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。一方、第1個人認証情報表示部の面積が、第2個人認証情報表示部の面積に対して0.1倍よりも小さいと二つの個人認証情報を比較して認証することが困難となり、また30倍よりも大きくなると二つの個人認証情報を比較して認証することが困難となった。
第7の発明によれば、第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層を有することによって、第2個人認証情報表示部の下にある模様、図柄、画像、文字情報、その他の個人認証情報を目視することが可能となるため、被疑不正品を容易に発見できるだけでなく、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第8の発明によれば、第1個人認証情報表示部の上に第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が積層されているため、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報との距離を知覚することができた。それによって2つの個人認証情報を比較する時に目線の移動が少なったので2つの個人認証情報を比較しやすくなり、被疑不正品を容易に発見できるだけできるようになった。また、第1個人認証情報表示部の上に第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が重なって積層されていることによって、構造が複雑になるため偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第9の発明によれば、前記第2個人認証情報表示部が、前記可視光線透過層よりも高い屈折率を持つ高屈折率層を少なくとも一部に有することによって、構造を複雑にすることができるだけでなく、第2個人認証情報表示部で表示する第2の個人認証情報をより正確に、より微細に表示することが可能となる。このように被疑不正品を容易に発見できるだけでなく、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第9の発明によれば、高屈折率層は、金属、金属酸化物、金属化合物、樹脂材料のうち少なくとも一つまたはその組み合わせから選ばれることによって、目的や用途に応じて柔軟に個人認証媒体を作成することができるようになるので構造を複雑にすることができるだけでなく、第2個人認証情報表示部で表示する第2の個人認証情報をより正確に、より微細に表示することが可能となる。このように被疑不正品を容易に発見できるだけでなく、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第11の発明によれば、前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層と、反射層を少なくとも一部に有することによって、構造を複雑にすることができ、第2個人認証情報表示部で表示する第2の個人認証情報をより正確に、より微細に表示することが可能となる。このように被疑不正品を容易に発見できるだけでなく、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第12の発明によれば、外光を回折又は散乱させる回折散乱層が、基材上の少なくとも1部もしくは第1個人認証情報表示部上の少なくとも1部に積層していることによって、従来の個人認証媒体の構成よりもさらに複雑になったため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第13の発明によれば、前記回折散乱層が、可視光線を透過する可視光線透過層を有することによって、基材や第1個人認証情報表示部に表示される各種情報が目視で確認できる状態のまま、個人認証媒体の構造を複雑にすることができるため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第14の発明によれば、前記回折散乱層が可視光線を透過する可視光線透過層と、前記可視光線透過層よりも高い屈折率を持つ高屈折率層を少なくとも一部に有することによって、基材や第1個人認証情報表示部に表示される各種情報が目視で確認できる状態のまま、個人認証媒体の構造をさらに複雑にすることができるため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第15の発明によれば、反射層の材料を変更することによって、用途や目的適した個人認証媒体を作成することができ、個人認証を容易にすることができる。また、基材や第1個人認証情報表示部に表示される各種情報が目視で確認できる状態のまま、個人認証媒体の構造をさらに複雑にすることができるため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第16の発明によれば、前記回折散乱層が可視光線を透過する可視光線透過層と反射層を少なくとも一部に有することによって、基材や第1個人認証情報表示部に表示される各種情報が目視で確認できる状態のまま、個人認証媒体の構造をさらに複雑にすることができるため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
第17の発明によれば、階調を複数種類設定したセルの中から選択され、各セルの数や並び方、各セル間の距離等を用途や目的、表示する個人認証情報によって適宜選択して、複数配置するよって、個人認証情報を寄り忠実に再現することが可能となった。個人認証媒体の構造をさらに複雑にすることができるため、偽造防止効果が上がり、再現、改竄をさらに困難にすることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の個人認証媒体の一例を説明した平面概略図である。
【図2】図1の個人認証媒体のU−U線部における断面図である。
【図3】本発明の個人認証媒体の一例を説明した平面概略図である。
【図4】図3の個人認証媒体のX−X線部における断面図である。
【図5】本発明の個人認証媒体の一例を説明した平面概略図である。
【図6】図5の個人認証媒体のY−Y線部における断面図である。
【図7】本発明の個人認証媒体の一例を説明した平面概略図である。
【図8】図7の個人認証媒体のZ−Z線部における断面図である。
【図9】個人識別情報の画像取得方法を示した概略図である。
【図10】個人認証媒体の別の態様における層構成を説明した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)第1の発明について
本発明における第1の発明は、基材上に、第1の個人認証情報として顔画像、指紋、サイン等の目視可能な画像を有色表示することで第1個人認証情報表示部が設けられており、さらに第1個人認証情報表示部で表示された個人認証情報と同一人物の個人認証情報を表示した第2個人認証表示部を有する個人認証媒体であり、第2個人認証情報表示部に、回折格子からなる複数のセルをドット状に設けることで、ある角度の光源を照射した際に目視可能な画像情報が出現することができるため第1の個人認証情報と第2の個人認証情報を比較することで認証できるというものである。
【0022】
図1は、本発明における第1の発明の個人認証媒体1の一例を示した平面概略図である。個人認証媒体1は、基材11に第1の個人認証情報を表示する第1個人認証情報表示部12と第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部13および文字情報から構成されている。
【0023】
今回は、第1の個人認証情報および第2の個人認証情報は同一人物の個人認証情報である顔画像を使用しており、それぞれ第1個人認証情報表示部12および第2の個人認証情報13に表示させている。また、今回は図示をしないが、第1個人認証情報表示部12や第2個人認証情報表示部13以外にもその他の個人認証情報を付与してよい。例えば個人を認証するための名前や番号などの文字情報や数字情報については基材に印刷、印字等の各種処理を行って表示させても良いし、所有者のサインを記入できる記入欄を設けても良い。また各種情報が表記された情報表記層を適宜積層するなどすれば良く、その方法や位置等は特に限定しない。
【0024】
また、個人認証媒体1の用途は、基材上に同一人物の個人認証情報からなる個人認証情報表示部が形成された媒体であれば必ずしも限定されるものではないが、セキュリティ性を求められ、媒体の正当な所有者(あるいは使用者)であるか/否かを判定する材料として、画像を利用できることから、例えばパスポート、預金通帳、社員証、学生証などの個人の身分を証明するために用いられる冊子が挙げられる。冊子では表紙や裏表紙や複数頁を設けておいて、情報を記入したり、印刷したり、判を押すことができるなど、後から情報を付与できるようにも良い。その他には、ICカード、コンタクトレスカード、ハイブリッドカード、メモリーカード、リライトカード、磁気カード等、あるいは(用途で言うと)キャッシュカード、クレジットカード、(カード状の)免許証、(カード状の)パスポート、(カード状の)健康保険証、(国民カードや県民カードなどの)自治体カード、IDカード、メンバーズカード、等が挙げられる。
【0025】
今回、図1では第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13は同一の顔写真を用いているが、第1個人認証情報表示部12および第2個人認証情報表示部13は同一の個人認証情報の情報を用いれば良く、特に同一人物由来の個人情報である、同一人物情報であることが好ましい。同一人物情報は顔写真に限定するものではなく、顔の向きについても特に限定しない。指紋や静脈などの生態情報や、生年月日や名前などの数字や文字情報などの目視によって確認できる情報から少なくとも1つ選べば良く、それら複数の組み合わせでも良い。例えば第1個人認証情報表示部12では、正面からの顔写真と名前を表示し、第2個人認証情報表示部13では、横からの顔写真と生年月日の組み合わせでも良い。用途や目的、媒体の大きさなどによって適宜変更すれば良い。
【0026】
第1個人認証情報表示部12は、目視確認情報として写真を貼り付けても良く、写真情報をデジタル化し、これを個人認証媒体に再現しても良い。第1個人認証情報表示部12への画像再現方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、回折格子を有する転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。また、被転写体である基材上に転写箔の接着性を向上させるためのプライマー層を設けてもよい。その他には昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法など用途や目的によって適宜選択すれば良い。
またレーザーエングレービング法のように基材11に直接印字することも出来る。この場合基材11の深さ方向にも黒色で印字されるため、改竄が非常に困難になる。
【0027】
個人認証媒体1の大きさは、特に限定は無いが、携帯が容易なサイズであることが好ましく、オリンピック等のADカード(Accreditation Cardの約95×150mm、パスポートのデータページの約125×88mm、クレジットカードの約86×54mmサイズが一般的に使用されているサイズである。これらのサイズに入れるための第1個人認証情報表示部12の大きさは、大きい方が識別しやすいが、他の情報を入れる等のバランスを考えると、媒体サイズに対して1/3以下であることが一般的である。
【0028】
第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の大きさについては、第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の比率として、0.1:1乃至30:1の範囲が好ましい。
【0029】
例えば第1個人認証情報表示部12にカラーの顔写真を入れる場合、顔写真の解像度として175線/インチの網点で表現するのが一般的である。一般に175線/インチの網点より細かい解像度にしても、目視では判別がつかない。一方、第2個人認証情報表示部13を形成する回折格子からなる複数のセルは、最小で5μmの円もしくは四角状のサイズが必要である。この最小のセルで第2個人認証情報表示部13を形成した場合、175線/インチの第1個人認証情報表示部12の大きさに対して、1/30の大きさの第2個人認証表示部13が得られる。1/30大きさの画像の場合、拡大鏡等で見ないと第1個人認証情報表示部12との比較は出来ないが、これ以下の画像にした場合、第2個人認証情報表示部13の必要なセルの大きさが小さくなりすぎて回折格子として十分な機能が得られなくなる。また、回折格子として機能する最小のセルの大きさ(5μm)を用いても、第1個人認証情報表示部12と同じ画素数の画像を表現することができないため、第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の画像比較が困難になる。
【0030】
一方、第1個人認証情報表示部12の大きさに対して、10倍以上の大きさの第2個人認証情報表示部13になると、第2個人認証情報表示部13が大きすぎるため個人認証情報が正確に再現できなくなってしまい、第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の画像比較が困難になる。
【0031】
そのため、第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の比率として、0.1:1乃至30:1の範囲が好ましく、範囲外の比率差があると、第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の画像比較が困難になり、個人識別の精度が低下する。なお、第1個人認証情報表示部12と第2個人認証情報表示部13の大きさは、縦横同一比率で拡大・縮小されていても良い。
【0032】
基材11については、支持体としては、たとえば紙、コート紙、および合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙とはり合せた複合材料)等の各種紙類、塩化ビニル系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレートベースフィルム、透明のポリエチレンテレフタレートベースフィルム、ポリエチレンナフタレートベースフィルム等の各種プラスチックフィルムないしシート、各種の金属で形成されたフィルムないしシート、各種のセラミックス類で形成されたフィルムないしシート等を挙げることができる。
【0033】
基材11の色は、単色や2色以上の複数色の組み合わせでも良く、絵柄、図柄を備えていているなど特に限定する必要はないが、後の工程で形成される個人認証情報の鮮明性を高めるために、白色顔料たとえばチタンホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加されているのが好ましい。支持体の厚みは、通常20〜1000μm、好ましくは50〜800μmである。
【0034】
図2は、図1の個人認証媒体1のU−U線部における断面図である。図2(a)に示すように個人認証媒体1は、基材11、接着層14、第1個人認証情報表示部12、第2個人認証情報表示部13、保護層16から構成されている。図2(b)は、第2個人認証情報表示部を目視で認証する方向から見た拡大図である。第2個人認証情報表示部13は回折格子からなる複数のセルをドット状に配置して構成されている。なお、図2における断面図は、本発明の一例を示したもので、接着層14、第1個人認証情報表示部12、セル15および第2個人認証情報表示部13の層構成の順序は入れ替えても良い。
【0035】
接着層14は、基材と第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部と保護層を接着して一体化させるものである。それらを接着するための材料としては、通常塩化ビニル酢酸ビニル共重合体やエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0036】
また、保護層16は、個人認証媒体1の画像をキズや擦れから守り、画像認識を恒久的に精度の良いものにするために設けられており、必要が無い場合は外しても良い。
【0037】
本発明における第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部13は、回折格子からなる複数のセル15によりドット状に表示される。
セル15は、回折格子からなり、外光を回折させる方向や角度、明るさ等を制御して階調を複数種類設定することで、観察する角度に応じて、表示画像を変化させることが可能である。
回折格子のパラメータとして、
(1)回折格子の空間周波数(格子線のピッチ:単位長さあたりの格子線の本数)
(2)回折格子の方向(格子線の方向)
(3)回折格子の描画領域(回折格子セルの配置)
の3つがあり上記(1)に応じて、定点に対してその回折格子パターンが光って見える色が変化し、
上記(2)に応じて、その回折格子セルが光って見える方向が変化し、
上記(3)に応じて、表示画像(個人認証情報等)が決定される。
第2個人認証情報表示部13の内部に回折格子からなる複数のセルをドット状に配列して、セル(画素)毎にこれらのパラメータを様々に変化させた回折格子を形成することで指向性のある光沢を有する表示画像を構成することができる。また、上記以外にも各セルの形状や厚さ、材料、大きさ等を変化させることによって階調を複数種類設定したセルを作成し、各セルを用途や目的、表示する個人認証情報によって適宜選択して、複数配置して個人認証情報を表示することもできる。
【0038】
セル15の並べ方は図2(b)のようにドット状に配列することが好ましいが、各セルを平面状にマトリックス性に配列しても良いし、ランダム配列しても良い。また必要な画素によっては各セルの可視面側の面積を適宜変更しても良い。
【0039】
セル15に用いる材料は、成形性が良好で、ムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、基材や保護層や接着層との接着性が良好である樹脂が良い。例えばポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、回折格子を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。そして、上記材料を用いて可視光線を透過する可視光線透過層とするのがさらに好ましい。
【0040】
セル15の形状は特に限定しないが、可視面側の形状が円や楕円、三角形や四角形などの多角形からなる立方体や、円錐形や四角錐などでも良い。また可視面側の表面は平滑でも良いし、曲面や凸型構造や凹型構造があっても良く、選択的に変形または破壊しても良い。必要な階調を得るために適宜選択すれば良い。また、凸型構造については円柱形状のもの、円錐形状のもの、三角や五角または六角錐等の多角錐形状のもの、円柱に円錐を接合した形状のもの、角柱に角錐を接合した形状のものほか、半球、半楕円体、弾丸型、おわん型、あるいは半ラグビーボール形状のように、厳密には半楕円体ではない半球体であっても良い。凹型構造となる円錐や角錐、紡錘等の凹部を形成したものであってもよく、また、円筒錐状、角筒錐状、楕円筒錐状、円筒状、角筒状等の凹部を形成したものであっても上記実施の形態と同様の機能及び効果を発揮できる。
【0041】
セル15の厚みについては、セル15の厚みは0.1〜2.0μmで目視可能な画像を再現することが出来る。複数配列されたセルの厚みが均一でも良いし、セル毎に厚みが異なっていても良い。転写箔として個人認証媒体1に設けた場合でも第2個人認証情報表示部13のみを削ることによる改竄が非常に困難である。
【0042】
セル間の距離については、隣接するセル同士の距離が遠すぎると個人認証情報が正確に表示できなくなってしまう。そこで隣接するセル同士は300μm以下にしておくのが好ましい。一方セル同士の距離が近すぎると表示された個人認証情報に干渉ムラや視認不具合が発生してしまう可能性がある。セルの材質によって適宜調整すればよい。
【0043】
また、第2個人認証情報表示部13に個人認証情報を表示させるために、回折格子を出現させる必要がある。その方法として、セル15に高屈折率層を設ける方法がある。可視光線透過層の屈折率よりも高い材料を設けることで、回折格子が出現できる。高屈折率層の材料に可視光線を透過する材料を使用することで、その下層にある第1個人認証情報表示部12および名前等の個人情報画像も目視で確認することが出来る。
【0044】
前記高屈折率層は、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料もしくは金属酸化物や金属間化合物または樹脂材料を微粒子化して樹脂材料に分散させたものを、単層もしくは複数層設けることで構成される。
【0045】
高屈折率層に用いる材料として具体的には、セルに用いた材料よりも屈折率の高い透明材料であって、例えばSb、Fe、TiO、CdS、CeO、ZnS、PbCl、CdO、Sb、WO、SiO、Si、In、PbO、Ta、ZnO、ZrO、Cd、Al、Ge等のような無機材料等が使用可能である。さらに透明薄膜層は複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組合せ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としても良い。
【0046】
また、この様な高屈折率層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。また透明性薄膜層としては、TiO2等の高屈折率粉末を樹脂などの中に分散し、レリーフ形成層との屈折率差を0.2以上としたものでも良い。この場合には、一般的なコーティング法で塗膜形成できるため、上記膜厚に限定されるものではない。
【0047】
また、第2個人認証情報表示部13に個人認証情報を表示させるために、回折格子を出現させるその他の方法として、反射層を設ける方法がある。反射層として、Al、Sn、Ni、Co、Cr、Fe、Ag、Auといった様な金属を非連続的な薄膜として形成したものでも良い。
【0048】
反射層や高屈折率層を用いて回折格子を出現させる時に、第2個人認証情報表示部13の下の情報が目視できることが好ましい。そこで、第2個人認証情報表示部13の回折格子を出現させかつその下層にある基材や第1個人認証情報表示部12に表示された顔や名前等の個人認証情報を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をハーフミラー化する方法がある。例えばアルミニウムの場合、膜厚が20nm〜40nmの層を設けた場合、角度により金属光沢を有するが、他の角度では下地が透過して見える。このような方法でセル15および第2個人認証情報表示部13の回折格子を出現させる層を設けても良い。
【0049】
第2個人認証情報表示部13の回折格子を出現させ、なおかつその下層にある第1個人認証情報表示部12および名前等の個人情報画像を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をディメタライズする方法がある。網点状もしくは万線状に金属光沢層の金属を除去することで、セル15および第2個人認証情報表示部13の回折格子は視認できるが、同時にその下層にある第1個人認証情報表示部12および名前等の個人情報画像をも目視で確認出来る。
【0050】
また、第1の発明の個人認証媒体1を形成する手順としては、例えば以下のような工程を行う。
【0051】
紙材に氏名、住所、誕生日等の個人認証情報を印刷する工程を行う。
基材の少なくともその片面に個人認証情報を印刷する方法としては、従来から公知の凹版印刷、オフセット印刷による万線、彩紋、マイクロ文字等の製版技術、蛍光印刷、OVI印刷などのセキュリティ印刷等や絵柄印刷などを施してあっても良く、任意のセキュリティ技術を組み合わせて設けておくことが可能である。
【0052】
次に、紙材に接着層を付加する工程を行う。今回は塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着層を付加する。 基材11に接着層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体接着材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の接着材料をラミネート等の公知の方法で貼り合わせても良い。
【0053】
続いて、第1個人認証情報表示部を作成する工程を行う。今回はカメラで顔画像を撮影し、デジタルデータに変換する。そして転写箔上に設けた受像層上にそのデジタルデータを元にして情報画像の形成を行った。
【0054】
なお、第1個人認証情報部の作成方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。
【0055】
次に、第2個人認証情報表示部を作成する工程を行う。第2個人認証情報表示部を作成する方法としては、電子ビーム露光装置を用いる方法がある。
【0056】
基材上に塗布された感光性樹脂に、第1個人認証情報表示部で使用した顔写真のデジタルデータをもとに、回折格子パターンを描画する。電子ビーム露光装置は、電子銃から照射された電子ビームが、コンピュータに制御されてPET基板上を走査する。
【0057】
感光性樹脂に用いる材料としては、特に限定しないが、チアジン系増感色素、6価クロム化合物、および水溶性高分子を混合した樹脂を用いることが好ましい。この樹脂を用いるとアンモニア雰囲気中での乾燥をしなくても樹脂の増感色素の溶解状態を保持することができるだけでなく、透過率を向上させる効果も得られる。
【0058】
PET基板は感光性樹脂塗布面を上にしてX−Yステージ上に載置されている。そして電子銃から発射された電子ビームはドットを単位にして回折格子パターンを描画する。X−Yステージを移動させることにより、次々とドット毎に回折格子パターンを描画する。
【0059】
描画後、未描画部分の感光性樹脂を現像で除去し、水洗、現像を行い乾燥させる。そして、その上に反射層として、真空蒸着法などの公知の方法にて反射層またはこう屈折率層を設け、ドット状の回折格子パターンを複数配列して表示される第2個人認証情報部を形成した。
【0060】
次に接着剤を塗布した基材に第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部を積層する工程を行う。第1個人認証情報表示部および第2個人認証情報表示部は転写箔上に設けられていることより、基材11にホットスタンプ法により熱圧にて接着させ、その後ベースフィルムを取り除き、積層させた。
【0061】
さらに保護層を積層する工程を行う。前記基材上に接着層、第1個人認証情報表示部、第2個人認証情報表示部を積層させた上に、今回はアクリル系樹脂を主成分とする保護層を付加する。保護層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の保護層をラミネート等の公知の方法で貼り合わせても良い。
【0062】
第2の発明について
本発明における第2の発明は、基材上に、第1の個人認証情報として顔画像、指紋、サイン等の目視可能な画像を有色表示することで第1個人認証情報表示部が設けられており、さらに第1個人認証情報表示部で表示された個人認証情報と同一人物の個人認証情報を表示した第2個人認証表示部を有する個人認証媒体であり、第2個人認証情報表示部に、指向性散乱層を設けることで、ある角度の光源を照射した際に目視可能な画像情報が出現することができるため第1の個人認証情報と第2の個人認証情報を比較することで認証できるというものである。
【0063】
図3は、本発明における第1の発明の個人認証媒体2の一例を示した平面概略図である。個人認証媒体2は、基材21に第1の個人認証情報を表示する第1個人認証情報表示部22と第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部23および文字情報から構成されている。
【0064】
今回は、第1の個人認証情報および第2の個人認証情報は同一人物の個人認証情報である顔画像を使用しており、それぞれ第1個人認証情報表示部22および第2の個人認証情報13に表示させている。また、今回は図示をしないが、第1個人認証情報表示部22や第2個人認証情報表示部23以外にもその他の個人認証情報を付与してよい。例えば個人を認証するための名前や番号などの文字情報や数字情報については基材に印刷、印字等の各種処理を行って表示させても良いし、所有者のサインを記入できる記入欄を設けても良い。また各種情報が表記された情報表記層を適宜積層するなどすれば良く、その方法や位置等は特に限定しない。
【0065】
また、個人認証媒体2の用途は、基材上に同一人物の個人認証情報からなる個人認証情報表示部が形成された媒体であれば必ずしも限定されるものではないが、セキュリティ性を求められ、媒体の正当な所有者(あるいは使用者)であるか/否かを判定する材料として、画像を利用できることから、例えばパスポート、預金通帳、社員証、学生証などの個人の身分を証明するために用いられる冊子が挙げられる。冊子では表紙や裏表紙や複数頁を設けておいて、情報を記入したり、印刷したり、判を押すことができるなど、後から情報を付与できるようにも良い。その他には、ICカード、コンタクトレスカード、ハイブリッドカード、メモリーカード、リライトカード、磁気カード等、あるいは(用途で言うと)キャッシュカード、クレジットカード、(カード状の)免許証、(カード状の)パスポート、(カード状の)健康保険証、(国民カードや県民カードなどの)自治体カード、IDカード、メンバーズカード、等が挙げられる。
【0066】
今回、図3では第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23は同一の顔写真を用いているが、第1個人認証情報表示部22および第2個人認証情報表示部23は同一の個人認証情報の情報を用いれば良く、特に同一人物由来の個人情報である、同一人物情報であることが好ましい。同一人物情報は顔写真に限定するものではなく、顔の向きについても特に限定しない。指紋や静脈などの生態情報や、生年月日や名前などの数字や文字情報などの目視によって確認できる情報から少なくとも1つ選べば良く、それら複数の組み合わせでも良い。例えば第1個人認証情報表示部22では、正面からの顔写真と名前を表示し、第2個人認証情報表示部23では、横からの顔写真と生年月日の組み合わせでも良い。用途や目的、媒体の大きさなどによって適宜変更すれば良い。
【0067】
第1個人認証情報表示部22は、目視確認情報として写真を貼り付けても良く、写真情報をデジタル化し、これを個人認証媒体に再現しても良い。第1個人認証情報表示部22への画像再現方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、回折格子を有する転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。また、被転写体である基材上に転写箔の接着性を向上させるためのプライマー層を設けてもよい。その他には昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法など用途や目的によって適宜選択すれば良い。
またレーザーエングレービング法のように基材21に直接印字することも出来る。この場合基材21の深さ方向にも黒色で印字されるため、改竄が非常に困難になる。
【0068】
個人認証媒体2の大きさは、特に限定は無いが、携帯が容易なサイズであることが好ましく、オリンピック等のADカード(Accreditation Cardの約95×150mm、パスポートのデータページの約125×88mm、クレジットカードの約86×54mmサイズが一般的に使用されているサイズである。これらのサイズに入れるための第1個人認証情報表示部22の大きさは、大きい方が識別しやすいが、他の情報を入れる等のバランスを考えると、媒体サイズに対して1/3以下であることが一般的である。
【0069】
第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の大きさについては、第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の比率として、0.1:1乃至30:1の範囲が好ましい。
【0070】
例えば第1個人認証情報表示部22にカラーの顔写真を入れる場合、顔写真の解像度として175線/インチの網点で表現するのが一般的である。一般に175線/インチの網点より細かい解像度にしても、目視では判別がつかない。一方、第2個人認証情報表示部23を形成する回折格子からなる複数のセルは、最小で5μmの円もしくは四角状のサイズが必要である。この最小のセルで第2個人認証情報表示部23を形成した場合、175線/インチの第1個人認証情報表示部22の大きさに対して、1/30の大きさの第2個人認証表示部23が得られる。1/30大きさの画像の場合、拡大鏡等で見ないと第1個人認証情報表示部22との比較は出来ないが、これ以下の画像にした場合、第2個人認証情報表示部23の必要なセルの大きさが小さくなりすぎて回折格子として十分な機能が得られなくなる。また、回折格子として機能する最小のセルの大きさ(5μm)を用いても、第1個人認証情報表示部22と同じ画素数の画像を表現することができないため、第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の画像比較が困難になる。
【0071】
一方、第1個人認証情報表示部22の大きさに対して、10倍以上の大きさの第2個人認証情報表示部23になると、第2個人認証情報表示部23が大きすぎるため個人認証情報が正確に再現できなくなってしまい、第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の画像比較が困難になる。
【0072】
そのため、第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の比率として、0.1:1乃至30:1の範囲が好ましく、範囲外の比率差があると、第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の画像比較が困難になり、個人識別の精度が低下する。なお、第1個人認証情報表示部22と第2個人認証情報表示部23の大きさは、縦横同一比率で拡大・縮小されていても良い。
【0073】
基材21については、支持体としては、たとえば紙、コート紙、および合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙とはり合せた複合材料)等の各種紙類、塩化ビニル系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレートベースフィルム、透明のポリエチレンテレフタレートベースフィルム、ポリエチレンナフタレートベースフィルム等の各種プラスチックフィルムないしシート、各種の金属で形成されたフィルムないしシート、各種のセラミックス類で形成されたフィルムないしシート等を挙げることができる。
【0074】
基材21の色は、単色や2色以上の複数色の組み合わせでも良く、絵柄、図柄を備えていているなど特に限定する必要はないが、後の工程で形成される個人認証情報の鮮明性を高めるために、白色顔料たとえばチタンホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加されているのが好ましい。支持体の厚みは、通常20〜1000μm、好ましくは50〜800μmである。
【0075】
図4は、図3の個人認証媒体2のX−X線部における断面図である。図4(a)に示すように個人認証媒体2は、基材21、接着層24、第1個人認証情報表示部22、第2個人認証情報表示部23、保護層26から構成されている。図4(b)に示すように第2個人認証情報表示部23は可視光線の拡散範囲が限定された拡散機能を持つ指向性散乱層25を配置して構成されている。なお、図4における断面図は、本発明の一例を示したもので、接着層24、第1個人認証情報表示部22および第2個人認証情報表示部23の層構成の順序は入れ替えても良い。
【0076】
接着層24は、基材と第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部と保護層を接着して一体化させるものである。それらを接着するための材料としては、通常塩化ビニル酢酸ビニル共重合体やエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0077】
また、保護層26は、個人認証媒体2の画像をキズや擦れから守り、画像認識を恒久的に精度の良いものにするために設けられており、必要が無い場合は外しても良い。
【0078】
第2の発明における第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部23は、可視光線の拡散範囲が限定された拡散機能を持つ指向性散乱層25から構成されている。指向性散乱層25は、特定方向から入射した光のみを反射し、それ以外の方向から入射した光は散乱するという特徴を持っている。指向性のある光源を個人認証媒体2に照射することで第2個人認証情報表示部23が出現することで、両者の画像の比較が簡単にできることより、より一層個人識別精度が上がる。
【0079】
指向性散乱層25に用いる材料は、成形性が良好で、ムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、基材や保護層や接着層との接着性が良好である樹脂が良い。例えばポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、回折格子を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。そして、上記材料を用いて可視光線を透過する可視光線透過層とするのがさらに好ましい。
【0080】
指向性散乱層25の形状は特に限定しないが、指向性散乱層25の可視面側の形状が円や楕円、三角形や四角形などの多角形からなる立方体や、円錐形や四角錐などでも良い。また可視面側の表面は平滑でも良いし、曲面や凸型構造や凹型構造があっても良く、選択的に変形または破壊しても良い。必要な階調を得るために適宜選択すれば良い。また、凸型構造については円柱形状のもの、円錐形状のもの、三角や五角または六角錐等の多角錐形状のもの、円柱に円錐を接合した形状のもの、角柱に角錐を接合した形状のものほか、半球、半楕円体、弾丸型、おわん型、あるいは半ラグビーボール形状のように、厳密には半楕円体ではない半球体であっても良い。凹型構造となる円錐や角錐、紡錘等の凹部を形成したものであってもよく、また、円筒錐状、角筒錐状、楕円筒錐状、円筒状、角筒状等の凹部を形成したものであっても上記実施の形態と同様の機能及び効果を発揮できる。また、指向性散乱層25はシート状でもドット状でも良く、目的や用途によって適宜変更すれば良い。
【0081】
指向性散乱層25の厚みについては、指向性散乱層25の厚みは0.1〜2.0μmで目視可能な画像を再現することが出来る。複数配列されたセルの厚みが均一でも良いし、セル毎に厚みが異なっていても良い。転写箔として個人認証媒体2に設けた場合でも第2個人認証情報表示部23のみを削ることによる改竄が非常に困難である。
【0082】
セル間の距離については、隣接するセル同士の距離が遠すぎると個人認証情報が正確に表示できなくなってしまう。そこで隣接するセル同士は300μm以下にしておくのが好ましい。一方セル同士の距離が近すぎると表示された個人認証情報に干渉ムラや視認不具合が発生してしまう可能性がある。セルの材質によって適宜調整すればよい。
【0083】
また、第2個人認証情報表示部23に個人認証情報を表示させるために、指向性散乱を出現させる必要がある。その方法として、指向性散乱層25に高屈折率層を設ける方法がある。可視光線透過層の屈折率よりも高い材料を設けることで、指向性散乱が出現できる。高屈折率層の材料に可視光線を透過する材料を使用することで、その下層にある第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像も目視で確認することが出来る。
【0084】
前記高屈折率層は、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料もしくは金属酸化物や金属間化合物または樹脂材料を微粒子化して樹脂材料に分散させたものを、単層もしくは複数層設けることで構成される。
【0085】
高屈折率層に用いる材料として具体的には、セルに用いた材料よりも屈折率の高い透明材料であって、例えばSb、Fe、TiO、CdS、CeO、ZnS、PbCl、CdO、Sb、WO、SiO、Si、In、PbO、Ta、ZnO、ZrO、Cd、Al、Ge等のような無機材料等が使用可能である。さらに透明薄膜層は複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組合せ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としても良い。
【0086】
また、この様な高屈折率層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。また透明性薄膜層としては、TiO2等の高屈折率粉末を樹脂などの中に分散し、レリーフ形成層との屈折率差を0.2以上としたものでも良い。この場合には、一般的なコーティング法で塗膜形成できるため、上記膜厚に限定されるものではない。
【0087】
また、第2個人認証情報表示部23に個人認証情報を表示させるために、指向性散乱を出現させるその他の方法として、反射層を設ける方法がある。反射層として、Al、Sn、Ni、Co、Cr、Fe、Ag、Auといった様な金属を非連続的な薄膜として形成したものでも良い。
【0088】
反射層や高屈折率層を用いて指向性散乱を出現させる時に、第2個人認証情報表示部23の下の情報が目視できることが好ましい。そこで、第2個人認証情報表示部23の回折格子を出現させかつその下層にある基材や第1個人認証情報表示部22に表示された顔や名前等の個人認証情報を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をハーフミラー化する方法がある。例えばアルミニウムの場合、膜厚が20nm〜40nmの層を設けた場合、角度により金属光沢を有するが、他の角度では下地が透過して見える。このような方法で指向性散乱層25および第2個人認証情報表示部23の指向性散乱を出現させる層を設けても良い。
【0089】
第2個人認証情報表示部23の指向性散乱を出現させ、なおかつその下層にある第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をディメタライズする方法がある。網点状もしくは万線状に金属光沢層の金属を除去することで、指向性散乱層25および第2個人認証情報表示部23の指向性散乱は視認できるが、同時にその下層にある第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像をも目視で確認出来る。
【0090】
指向性散乱層25を有する第2個人認証情報表示部23は、この場合、第1個人認証情報表示部22の下層に設けると、第1個人認証情報表示部22および名前等のその他の個人認証情報によって目視出来ないため、第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像を指向性散乱層25の上層に設ける。
【0091】
また、第2の発明の個人認証媒体2を形成する手順としては、例えば以下のような工程を行う。
【0092】
紙材に氏名、住所、誕生日等の個人認証情報を印刷する工程を行う。基材の少なくともその片面に個人認証情報を印刷する方法としては、従来から公知の凹版印刷、蛍光印刷、OVI印刷、パールチップなどのセキュリティ印刷等や絵柄印刷などを施してあっても良く、任意のセキュリティ技術を組み合わせて設けておくことが可能である。
【0093】
次に、基材に接着層を付加する工程を行う。今回は塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着層を付加する。基材21に接着層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体接着材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の接着材料をラミネート等の公知の方法で張り合わせても良い。
【0094】
続いて、第1個人認証情報表示部を作成する工程を行う。今回はカメラで顔画像を撮影し、デジタルデータに変換する。そして転写箔上に設けた受像層上にそのデジタルデータを元にして情報画像の形成を行った。なお、第1個人認証情報部の作成方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。
【0095】
次に、第2個人認証情報表示部を作成する工程を行う。第2個人認証情報表示部を作成する方法としては、電子ビーム露光装置を用いる方法がある。
【0096】
基材上に塗布された感光性樹脂に、第1個人認証情報表示部で使用した顔写真のデジタルデータをもとに、凹凸で形成されて外光を散乱する指向性散乱パターンを描画する。電子ビーム露光装置は、電子銃から照射された電子ビームが、コンピュータに制御されてPET基板上を走査する。
【0097】
感光性樹脂に用いる材料としては、特に限定しないが、チアジン系増感色素、6価クロム化合物、および水溶性高分子を混合した樹脂を用いることが好ましい。この樹脂を用いるとアンモニア雰囲気中での乾燥をしなくても樹脂の増感色素の溶解状態を保持することができるだけでなく、透過率を向上させる効果も得られる。
【0098】
PET基板は感光性樹脂塗布面を上にしてX−Yステージ上に載置されている。そして電子銃から発射された電子ビームはドットを単位にして回折格子パターンを描画する。X−Yステージを移動させることにより、次々とドット毎に回折格子パターンを描画する。
【0099】
描画後、未描画部分の感光性樹脂を現像で除去し、水洗、現像を行い乾燥させる。そして、その上に反射層として、真空蒸着法などの公知の方法にて反射層またはこう屈折率層を設け、凹凸で形成されて外光を散乱する指向性散乱パターンによって表示される第2個人認証情報表示部を形成した。その上に反射層として、真空蒸着法にてアルミニウムを約100nm設け、第2個人認証情報部を形成した。
【0100】
次に接着剤を塗布した基材に第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部を積層する工程を行う。第1個人認証情報表示部および第2個人認証情報表示部は転写箔上に設けられていることより、基材21にホットスタンプ法により熱圧にて接着させ、その後ベースフィルムを取り除き、積層させた。
【0101】
さらに保護層を積層する工程を行う。
前記基材上に接着層、第1個人認証情報表示部、第2個人認証情報表示部を積層させた上に、今回はアクリル系樹脂を主成分とする保護層を付加する。保護層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の保護層をラミネート等の公知の方法で貼り合わせても良い。
【0102】
第3の発明について
本発明における第3の発明は、基材上に、第1の個人認証情報として顔画像、指紋、サイン等の画像を目視可能な有色表示することで第1個人認証情報表示部が設けられており、さらに第1個人認証情報表示部で表示された個人認証情報と同一人物の個人認証情報を表示した第2個人認証表示部を有する個人認証媒体であり、第2個人認証情報表示部は外光を回折又は散乱させることによって第2の個人認証情報を表示し、ある角度の光源を照射した際に目視可能な画像情報が出現することができるため第1の個人認証情報と第2の個人認証情報を比較することで認証できるというものである。さらに、第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が重なり合って積層しているため、両者の情報を比較するときの視線の移動が少なくなるため、判定がしやすく、さらに構造が複雑となるために偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になったものである。
【0103】
図5は、本発明における第1の発明の個人認証媒体3の一例を示した平面概略図である。個人認証媒体3は、基材31に第1の個人認証情報を表示する第1個人認証情報表示部32と第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部33および文字情報から構成されている。
【0104】
今回は、第1の個人認証情報および第2の個人認証情報は同一人物の個人認証情報である顔画像を使用しており、それぞれ第1個人認証情報表示部32および第2の個人認証情報13に表示させている。また、今回は図示をしないが、第1個人認証情報表示部32や第2個人認証情報表示部33以外にもその他の個人認証情報を付与してよい。例えば個人を認証するための名前や番号などの文字情報や数字情報については基材に印刷、印字等の各種処理を行って表示させても良いし、所有者のサインを記入できる記入欄を設けても良い。また各種情報が表記された情報表記層を適宜積層するなどすれば良く、その方法や位置等は特に限定しない。
【0105】
また、個人認証媒体3の用途は、基材上に同一人物の個人認証情報からなる個人認証情報表示部が形成された媒体であれば必ずしも限定されるものではないが、セキュリティ性を求められ、媒体の正当な所有者(あるいは使用者)であるか/否かを判定する材料として、画像を利用できることから、本発明に好適である。例えばパスポート、預金通帳、社員証、学生証などの個人の身分を証明するために用いられる冊子が挙げられる。冊子では表紙や裏表紙や複数頁を設けておいて、情報を記入したり、印刷したり、判を押すことができるなど、後から情報を付与できるようにも良い。その他には、ICカード、コンタクトレスカード、ハイブリッドカード、メモリーカード、リライトカード、磁気カード等、あるいは(用途で言うと)キャッシュカード、クレジットカード、(カード状の)免許証、(カード状の)パスポート、(カード状の)健康保険証、(国民カードや県民カードなどの)自治体カード、IDカード、メンバーズカード、等が挙げられる。
【0106】
今回、図5では第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33は同一の顔写真を用いているが、第1個人認証情報表示部32および第2個人認証情報表示部33は同一の個人認証情報の情報を用いれば良く、特に同一人物由来の個人情報である、同一人物情報であることが好ましい。同一人物情報は顔写真に限定するものではなく、顔の向きについても特に限定しない。指紋や静脈などの生態情報や、生年月日や名前などの数字や文字情報などの目視によって確認できる情報から少なくとも1つ選べば良く、それら複数の組み合わせでも良い。例えば第1個人認証情報表示部32では、正面からの顔写真と名前を表示し、第2個人認証情報表示部33では、横からの顔写真と生年月日の組み合わせでも良い。用途や目的、媒体の大きさなどによって適宜変更すれば良い。
【0107】
第1個人認証情報表示部32は、目視確認情報として写真を貼り付けても良く、写真情報をデジタル化し、これを個人認証媒体に再現しても良い。第1個人認証情報表示部32への画像再現方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、回折格子を有する転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。また、被転写体である基材上に転写箔の接着性を向上させるためのプライマー層を設けてもよい。その他には昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法など用途や目的によって適宜選択すれば良い。
またレーザーエングレービング法のように基材31に直接印字することも出来る。この場合基材31の深さ方向にも黒色で印字されるため、改竄が非常に困難になる。
【0108】
個人認証媒体3の大きさは、特に限定は無いが、携帯が容易なサイズであることが好ましく、オリンピック等のADカード(Accreditation Cardの約95×150mm、パスポートのデータページの約125×88mm、クレジットカードの約86×54mmサイズが一般的に使用されているサイズである。これらのサイズに入れるための第1個人認証情報表示部32の大きさは、大きい方が識別しやすいが、他の情報を入れる等のバランスを考えると、媒体サイズに対して1/3以下であることが一般的である。
【0109】
第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の大きさについては、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の比率として、0.1:1乃至30:1の範囲が好ましい。
【0110】
例えば第1個人認証情報表示部32にカラーの顔写真を入れる場合、顔写真の解像度として175線/インチの網点で表現するのが一般的である。一般に175線/インチの網点より細かい解像度にしても、目視では判別がつかない。一方、第2個人認証情報表示部33を形成する回折格子からなる複数のセルは、最小で5μmの円もしくは四角状のサイズが必要である。この最小のセルで第2個人認証情報表示部33を形成した場合、175線/インチの第1個人認証情報表示部32の大きさに対して、1/30の大きさの第2個人認証表示部33が得られる。1/30大きさの画像の場合、拡大鏡等で見ないと第1個人認証情報表示部32との比較は出来ないが、これ以下の画像にした場合、第2個人認証情報表示部33の必要なセルの大きさが小さくなりすぎて回折格子として十分な機能が得られなくなる。また、回折格子として機能する最小のセルの大きさ(5μm)を用いても、第1個人認証情報表示部32と同じ画素数の画像を表現することができないため、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の画像比較が困難になる。
【0111】
一方、第1個人認証情報表示部32の大きさに対して、10倍以上の大きさの第2個人認証情報表示部33になると、第2個人認証情報表示部33が大きすぎるため個人認証情報が正確に再現できなくなってしまい、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の画像比較が困難になる。
【0112】
そのため、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の比率として、0.1:1乃至30:1の範囲が好ましく、範囲外の比率差があると、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の画像比較が困難になり、個人識別の精度が低下する。なお、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の大きさは、縦横同一比率で拡大・縮小されていても良い。
【0113】
基材31については、支持体としては、たとえば紙、コート紙、および合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙とはり合せた複合材料)等の各種紙類、塩化ビニル系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレートベースフィルム、透明のポリエチレンテレフタレートベースフィルム、ポリエチレンナフタレートベースフィルム等の各種プラスチックフィルムないしシート、各種の金属で形成されたフィルムないしシート、各種のセラミックス類で形成されたフィルムないしシート等を挙げることができる。
【0114】
基材31の色は、単色や2色以上の複数色の組み合わせでも良く、絵柄、図柄を備えていているなど特に限定する必要はないが、後の工程で形成される個人認証情報の鮮明性を高めるために、白色顔料たとえばチタンホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加されているのが好ましい。支持体の厚みは、通常20〜1000μm、好ましくは50〜800μmである。
【0115】
図6は、図5の個人認証媒体3のY−Y線部における断面図である。図6(a)に示すように個人認証媒体3は、基材31、接着層34、第1個人認証情報表示部32、第2個人認証情報表示部33、保護層36から構成されている。図6(b)に示すように第2個人認証情報表示部33は外光を回折又は散乱させることによって第2の個人認証情報を表示させている。さらに第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の少なくとも一部が重なって表示されている。
【0116】
第3の発明では、第1個人認証情報表示部32と第2個人認証情報表示部33の少なくとも一部が重なっており、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報がともに目視で確認でき、さらに両者を比較できるのが好ましい。
【0117】
第2個人認証情報表示部33を第1個人認証情報表示部32の下層に設けた場合、第1個人認証情報表示部32や名前等のその他の個人認証情報によって目視出来なくなってしまう。そのため、第2個人認証情報表示部33を第1個人認証情報表示部32の上に積層させ、さらに第2個人認証情報表示部33が可視光線を透過する可視光線透過層することが好ましい。なお、図6における断面図は、本発明の一例を示したもので、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が目視にて比較することが可能であれば、接着層34、第1個人認証情報表示部32、セル25および第2個人認証情報表示部33の層構成の順序は入れ替えても良い。
【0118】
接着層34は、基材と第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部と保護層を接着して一体化させるものである。それらを接着するための材料としては、通常塩化ビニル酢酸ビニル共重合体やエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0119】
また、保護層36は、個人認証媒体3の画像をキズや擦れから守り、画像認識を恒久的に精度の良いものにするために設けられており、必要が無い場合は外しても良い。
【0120】
第3の発明における第2個人認証情報表示部33は、外光を回折又は散乱させることによって第2の個人認証情報を表示できれば良く、第2個人認証表示部には第1の発明や第2の発明で用いた第2個人認証情報表示部を用いても良く、その他の公知の回折格子やホログラム、指向性散乱に関する技術を用いて第2の個人認証情報を表示すればよい。
【0121】
第2個人認証情報表示部33に用いる材料は、成形性が良好で、ムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、基材や保護層や接着層との接着性が良好である樹脂が良く、さらに好ましくは可視光線を透過する材料が好ましい。例えばポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、回折格子等を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。
【0122】
第2個人認証情報表示部33の形状は、外光を回折又は散乱させることができれば特に限定をしないが、例えば可視面側の形状が円や楕円、三角形や四角形などの多角形からなる立方体や、円錐形や四角錐などでも良い。また可視面側の表面は平滑でも良いし、曲面や凸型構造や凹型構造があっても良く、選択的に変形または破壊しても良い。必要な階調を得るために適宜選択すれば良い。また、凸型構造については円柱形状のもの、円錐形状のもの、三角や五角または六角錐等の多角錐形状のもの、円柱に円錐を接合した形状のもの、角柱に角錐を接合した形状のものほか、半球、半楕円体、弾丸型、おわん型、あるいは半ラグビーボール形状のように、厳密には半楕円体ではない半球体であっても良い。凹型構造となる円錐や角錐、紡錘等の凹部を形成したものであってもよく、また、円筒錐状、角筒錐状、楕円筒錐状、円筒状、角筒状等の凹部を形成したものであっても上記実施の形態と同様の機能及び効果を発揮できる。
【0123】
第2個人認証情報表示部33の厚みについては、0.1〜2.0μmが好ましい。0.1μm以下であると第2個人認証情報表示部33の作成が困難となり、2.0μm以上であると、第2個人認証情報表示部33の厚みで個人認証媒体3の平滑性が悪化してしまうためである。
【0124】
また、第2個人認証情報表示部33に個人認証情報を表示させるために、回折又は散乱を出現させる必要がある。その方法として、第2個人認証情報表示部33に高屈折率層を設ける方法がある。高屈折率層の材料に可視光線を透過する材料を使用することで、その下層にある第1個人認証情報表示部32および名前等の個人情報画像も目視で確認することが出来る。可視光線透過層の屈折率よりも高い材料を設けることで、指向性散乱が出現できる。
【0125】
前記高屈折率層は、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料もしくは金属酸化物や金属間化合物または樹脂材料を微粒子化して樹脂材料に分散させたものを、単層もしくは複数層設けることで構成される。
【0126】
高屈折率層に用いる材料として具体的には、セルに用いた材料よりも屈折率の高い透明材料であって、例えばSb、Fe、TiO、CdS、CeO、ZnS、PbCl、CdO、Sb、WO、SiO、Si、In、PbO、Ta、ZnO、ZrO、Cd、Al、Ge等のような無機材料等が使用可能である。さらに透明薄膜層は複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組合せ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としても良い。
【0127】
また、この様な高屈折率層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。また透明性薄膜層としては、TiO2等の高屈折率粉末を樹脂などの中に分散し、レリーフ形成層との屈折率差を0.2以上としたものでも良い。この場合には、一般的なコーティング法で塗膜形成できるため、上記膜厚に限定されるものではない。
【0128】
また、第2個人認証情報表示部33に個人認証情報を表示させるために、回折や散乱を出現させるその他の方法として、反射層を設ける方法がある。反射層として、Al、Sn、Ni、Co、Cr、Fe、Ag、Auといった様な金属を非連続的な薄膜として形成したものでも良い。
【0129】
反射層や高屈折率層を用いて回折又は散乱を出現させる時に、第2個人認証情報表示部23の下の情報が目視できなくならないようにする必要がある。そこで、第2個人認証情報表示部23の回折格子を出現させかつその下層にある基材や第1個人認証情報表示部22に表示された顔や名前等の個人認証情報を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をハーフミラー化する方法がある。例えばアルミニウムの場合、膜厚が20nm〜40nmの層を設けた場合、角度により金属光沢を有するが、他の角度では下地が透過して見える。このような方法で第2個人認証情報表示部33の回折又は散乱を出現させる層を設けても良い。
【0130】
第2個人認証情報表示部33の回折又は散乱を出現させ、なおかつその下層にある第1個人認証情報表示部32および名前等の個人情報画像を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をディメタライズする方法がある。網点状もしくは万線状に金属光沢層の金属を除去することで、第2個人認証情報表示部23の回折又は散乱を視認できるが、同時にその下層にある第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像をも目視で確認出来る。
【0131】
また、第3の発明の個人認証媒体3を形成する手順としては、例えば以下のような工程を行う。第2個人認証情報表示部33の作成方法については公知の技術を用いれば良く、接着剤を塗布した基材に第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部を積層する工程において、第1個人認証表示部を上に第2個人認証情報表示部の少なくとも一部を積層させる工程以外は第1の発明および第2の発明と同じ工程、材料を適宜選択すればよい。
【0132】
紙材に氏名、住所、誕生日等の個人認証情報を印刷する工程を行う。
基材の少なくともその片面に個人認証情報を印刷する方法としては、従来から公知の凹版印刷、蛍光印刷、OVI印刷、パールチップなどのセキュリティ印刷等や絵柄印刷などを施してあっても良く、任意のセキュリティ技術を組み合わせて設けておくことが可能である。
【0133】
次に、紙材に接着層を付加する工程を行う。今回は塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着層を付加する。基材21に接着層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体接着材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の接着材料をラミネート等の公知の方法で張り合わせても良い。
【0134】
続いて、第1個人認証情報表示部を作成する工程を行う。今回はカメラで顔画像を撮影し、デジタルデータに変換する。そして転写箔上に設けた受像層上にそのデジタルデータを元にして情報画像の形成を行った。なお、第1個人認証情報部の作成方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。
【0135】
次に、第2個人認証情報表示部を作成する工程を行う。第2個人認証情報表示部を作成する方法としては、電子ビーム露光装置を用いる方法がある。
【0136】
基材上に塗布された感光性樹脂に、第1個人認証情報表示部で使用した顔写真のデジタルデータをもとに、回折格子パターンを描画する。電子ビーム露光装置は、電子銃から照射された電子ビームが、コンピュータに制御されてPET基板上を走査する。
【0137】
感光性樹脂に用いる材料としては、特に限定しないが、チアジン系増感色素、6価クロム化合物、および水溶性高分子を混合した樹脂を用いることが好ましい。この樹脂を用いるとアンモニア雰囲気中での乾燥をしなくても樹脂の増感色素の溶解状態を保持することができるだけでなく、透過率を向上させる効果も得られる。
【0138】
PET基板は感光性樹脂塗布面を上にしてX−Yステージ上に載置されている。そして電子銃から発射された電子ビームはドットを単位にして回折格子パターンを描画する。X−Yステージを移動させることにより、次々とドット毎に回折格子パターンを描画する。
【0139】
描画後、未描画部分の感光性樹脂を現像で除去し、水洗、現像を行い乾燥させる。そして、その上に反射層として、真空蒸着法などの公知の方法にて反射層またはこう屈折率層を設け、ドット状の回折格子パターンを複数配列して表示される第2個人認証情報部を形成した。今回は、第2個人認証情報部を作成する方法として、前記顔写真を撮影したデジタルデータを特開平2−72320号公報の「実施例」にある方法で第2個人認証情報部を作製した。ここで乾板として使用する感光材料として、例えば特開平5−11674号公報のホログラム用感剤を母材に転写層付きPETフィルム上に設け、露光、水洗、現像を行った。その上に高屈折率層として、真空蒸着法にてZnSを約100nm設け、第2個人認証情報部を形成した。
【0140】
次に接着剤を塗布した基材に第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部を積層する工程を行う。第1個人認証情報表示部および第2個人認証情報表示部は転写箔上に設けられていることより、基材31にホットスタンプ法により熱圧にて接着させ、その後ベースフィルムを取り除き、積層させた。
【0141】
さらに保護層を積層する工程を行う。基材上に接着層、第1個人認証情報表示部、第2個人認証情報表示部を積層させた上に、今回はアクリル系樹脂を主成分とする保護層を付加する。保護層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の保護層をラミネート等の公知の方法で貼り合わせても良い。
【0142】
第4の発明について
本発明における第4の発明は、基材上に、第1の個人認証情報として顔画像、指紋、サイン等の画像を目視可能な有色表示することで第1個人認証情報表示部が設けられており、さらに第1個人認証情報表示部で表示された個人認証情報と同一人物の個人認証情報を表示した第2個人認証表示部を有する個人認証媒体であり、第2個人認証情報表示部は外光を回折又は散乱させることによって第2の個人認証情報を表示し、ある角度の光源を照射した際に目視可能な画像情報が出現することができるため第1の個人認証情報と第2の個人認証情報を比較することで認証できるというものである。さらに、第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部の全てが重なり合って積層しているため、両者の情報を比較するときの視線の移動がさらに少なくなるため、判定がしやすく、さらに構造が複雑となるために偽造防止効果が上がり、再現、改竄を困難にすることが可能になったものである。
【0143】
図7は、本発明における第1の発明の個人認証媒体4の一例を示した平面概略図である。個人認証媒体4は、基材41に第1の個人認証情報を表示する第1個人認証情報表示部42と第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部43および文字情報から構成されている。
【0144】
今回は、第1の個人認証情報および第2の個人認証情報は同一人物の個人認証情報である顔画像を使用しており、それぞれ第1個人認証情報表示部42および第2の個人認証情報13に表示させている。また、今回は図示をしないが、第1個人認証情報表示部42や第2個人認証情報表示部43以外にもその他の個人認証情報を付与してよい。例えば個人を認証するための名前や番号などの文字情報や数字情報については基材に印刷、印字等の各種処理を行って表示させても良いし、所有者のサインを記入できる記入欄を設けても良い。また各種情報が表記された情報表記層を適宜積層するなどすれば良く、その方法や位置等は特に限定しない。
【0145】
また、個人認証媒体4の用途は、基材上に同一人物の個人認証情報からなる個人認証情報表示部が形成された媒体であれば必ずしも限定されるものではないが、セキュリティ性を求められ、媒体の正当な所有者(あるいは使用者)であるか/否かを判定する材料として、画像を利用できることから、本発明に好適である。例えばパスポート、預金通帳、社員証、学生証などの個人の身分を証明するために用いられる冊子が挙げられる。冊子では表紙や裏表紙や複数頁を設けておいて、情報を記入したり、印刷したり、判を押すことができるなど、後から情報を付与できるようにも良い。その他には、ICカード、コンタクトレスカード、ハイブリッドカード、メモリーカード、リライトカード、磁気カード等、あるいは(用途で言うと)キャッシュカード、クレジットカード、(カード状の)免許証、(カード状の)パスポート、(カード状の)健康保険証、(国民カードや県民カードなどの)自治体カード、IDカード、メンバーズカード、等が挙げられる。
【0146】
今回、図7では第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43は同一の顔写真を用いているが、第1個人認証情報表示部42および第2個人認証情報表示部43は同一の個人認証情報の情報を用いれば良く、特に同一人物由来の個人情報である、同一人物情報であることが好ましい。同一人物情報は顔写真に限定するものではなく、顔の向きについても特に限定しない。指紋や静脈などの生態情報や、生年月日や名前などの数字や文字情報などの目視によって確認できる情報から少なくとも1つ選べば良く、それら複数の組み合わせでも良い。例えば第1個人認証情報表示部42では、正面からの顔写真と名前を表示し、第2個人認証情報表示部43では、横からの顔写真と生年月日の組み合わせでも良い。用途や目的、媒体の大きさなどによって適宜変更すれば良い。
【0147】
第1個人認証情報表示部42は、目視確認情報として写真を貼り付けても良く、写真情報をデジタル化し、これを個人認証媒体に再現しても良い。第1個人認証情報表示部42への画像再現方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、回折格子を有する転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。また、被転写体である基材上に転写箔の接着性を向上させるためのプライマー層を設けてもよい。その他には昇華性(熱移行性)染料や、顔料を分散させた樹脂型溶融タイプやワックス溶融タイプを用いた転写リボンによる感熱転写記録法、あるいは電子写真法など用途や目的によって適宜選択すれば良い。またレーザーエングレービング法のように基材41に直接印字することも出来る。この場合基材41の深さ方向にも黒色で印字されるため、改竄が非常に困難になる。
【0148】
個人認証媒体4の大きさは、特に限定は無いが、携帯が容易なサイズであることが好ましく、オリンピック等のADカード(Accreditation Cardの約95×150mm、パスポートのデータページの約125×88mm、クレジットカードの約86×54mmサイズが一般的に使用されているサイズである。これらのサイズに入れるための第1個人認証情報表示部42の大きさは、大きい方が識別しやすいが、他の情報を入れる等のバランスを考えると、媒体サイズに対して1/3以下であることが一般的である。
【0149】
第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43の大きさについては、第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43の比率として、1:1が好ましい。大きさの同じ第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43を上下同じ位置に積層すると詳細な形状や情報の比較が容易となり、より正確な認証が可能となる。なお、第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43の大きさは、縦横同一比率で拡大・縮小されていても良い。使用する個人認証媒体4の大きさ、目的、用途によってその大きさを適宜選択すればよい。
【0150】
基材41については、支持体としては、たとえば紙、コート紙、および合成紙(ポリプロピレン、ポリスチレンもしくは、それらを紙とはり合せた複合材料)等の各種紙類、塩化ビニル系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレートベースフィルム、透明のポリエチレンテレフタレートベースフィルム、ポリエチレンナフタレートベースフィルム等の各種プラスチックフィルムないしシート、各種の金属で形成されたフィルムないしシート、各種のセラミックス類で形成されたフィルムないしシート等を挙げることができる。
【0151】
基材41の色は、単色や2色以上の複数色の組み合わせでも良く、絵柄、図柄を備えていているなど特に限定する必要はないが、後の工程で形成される個人認証情報の鮮明性を高めるために、白色顔料たとえばチタンホワイト、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が添加されているのが好ましい。支持体の厚みは、通常20〜1000μm、好ましくは50〜800μmである。
【0152】
図8は、図7の個人認証媒体4のY−Y線部における断面図である。図8(a)に示すように個人認証媒体4は、基材41、接着層44、第1個人認証情報表示部42、第2個人認証情報表示部43、保護層46から構成されている。図8(b)に示すように第2個人認証情報表示部43は外光を回折又は散乱させることによって第2の個人認証情報を表示させている。さらに第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43の全てが重なって表示されている。
【0153】
第4の発明では、第1個人認証情報表示部42と第2個人認証情報表示部43の全てが重なっており、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報がともに目視で確認でき、さらに両者を比較できなければならない。
【0154】
第2個人認証情報表示部43を第1個人認証情報表示部42の下層に設けた場合、第1個人認証情報表示部42や名前等のその他の個人認証情報によって目視出来なくなってしまう。そのため、第2個人認証情報表示部43を第1個人認証情報表示部42の上に積層させ、さらに第2個人認証情報表示部43が可視光線を透過する可視光線透過層することが好ましい。なお、図8における断面図は、本発明の一例を示したもので、第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が目視にて比較することが可能であれば、接着層44、第1個人認証情報表示部42、セル25および第2個人認証情報表示部43の層構成の順序は入れ替えても良い。
【0155】
接着層44は、基材と第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部と保護層を接着して一体化させるものである。それらを接着するための材料としては、通常塩化ビニル酢酸ビニル共重合体やエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0156】
また、保護層46は、個人認証媒体4の画像をキズや擦れから守り、画像認識を恒久的に精度の良いものにするために設けられており、必要が無い場合は外しても良い。
【0157】
第4の発明における第2個人認証情報表示部33は、外光を回折又は散乱させることによって第2の個人認証情報を表示できれば良く、第2個人認証表示部には第1の発明や第2の発明で用いた第2個人認証情報表示部を用いても良く、その他の公知の回折格子やホログラム、指向性散乱に関する技術を用いて第2の個人認証情報を表示すればよい。
【0158】
第2個人認証情報表示部43に用いる材料は、成形性が良好で、ムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、基材や保護層や接着層との接着性が良好である樹脂が良く、さらに好ましくは可視光線を透過する材料が好ましい。例えばポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、回折格子等を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。
【0159】
第2個人認証情報表示部43の形状は、外光を回折又は散乱させることができれば特に限定をしないが、例えば可視面側の形状が円や楕円、三角形や四角形などの多角形からなる立方体や、円錐形や四角錐などでも良い。また可視面側の表面は平滑でも良いし、曲面や凸型構造や凹型構造があっても良く、選択的に変形または破壊しても良い。必要な階調を得るために適宜選択すれば良い。また、凸型構造については円柱形状のもの、円錐形状のもの、三角や五角または六角錐等の多角錐形状のもの、円柱に円錐を接合した形状のもの、角柱に角錐を接合した形状のものほか、半球、半楕円体、弾丸型、おわん型、あるいは半ラグビーボール形状のように、厳密には半楕円体ではない半球体であっても良い。凹型構造となる円錐や角錐、紡錘等の凹部を形成したものであってもよく、また、円筒錐状、角筒錐状、楕円筒錐状、円筒状、角筒状等の凹部を形成したものであっても上記実施の形態と同様の機能及び効果を発揮できる。
【0160】
第2個人認証情報表示部43の厚みについては、0.1〜2.0μmが好ましい。0.1μm以下であると第2個人認証情報表示部43の作成が困難となり、2.0μm以上であると、第2個人認証情報表示部43の厚みで個人認証媒体4の平滑性が悪化してしまうためである。
【0161】
また、第2個人認証情報表示部43に個人認証情報を表示させるために、回折又は散乱を出現させる必要がある。その方法として、第2個人認証情報表示部43に高屈折率層を設ける方法がある。高屈折率層の材料に可視光線を透過する材料を使用することで、その下層にある第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像も目視で確認することが出来る。
【0162】
前記高屈折率層は、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料もしくは金属酸化物や金属間化合物または樹脂材料を微粒子化して樹脂材料に分散させたものを、単層もしくは複数層設けることで構成される。
【0163】
高屈折率層に用いる材料として具体的には、セルに用いた材料よりも屈折率の高い透明材料であって、例えばSb、Fe、TiO、CdS、CeO、ZnS、PbCl、CdO、Sb、WO、SiO、Si、In、PbO、Ta、ZnO、ZrO、Cd、Al、Ge等のような無機材料等が使用可能である。さらに透明薄膜層は複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組合せ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としても良い。
【0164】
また、この様な高屈折率層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm〜1000nmの範囲にあることが好ましい。また透明性薄膜層としては、TiO2等の高屈折率粉末を樹脂などの中に分散し、レリーフ形成層との屈折率差を0.2以上としたものでも良い。この場合には、一般的なコーティング法で塗膜形成できるため、上記膜厚に限定されるものではない。
【0165】
また、第2個人認証情報表示部43に個人認証情報を表示させるために、回折や散乱を出現させるその他の方法として、反射層を設ける方法がある。反射層として、Al、Sn、Ni、Co、Cr、Fe、Ag、Auといった様な金属を非連続的な薄膜として形成したものでも良い。
【0166】
反射層や高屈折率層を用いて回折又は散乱を出現させる時に、第2個人認証情報表示部23の下の情報が目視できなくならないようにする必要がある。そこで、第2個人認証情報表示部23の回折格子を出現させかつその下層にある基材や第1個人認証情報表示部22に表示された顔や名前等の個人認証情報を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をハーフミラー化する方法がある。例えばアルミニウムの場合、膜厚が20nm〜40nmの層を設けた場合、角度により金属光沢を有するが、他の角度では下地が透過して見える。このような方法で第2個人認証情報表示部43の回折又は散乱を出現させる層を設けても良い。
【0167】
第2個人認証情報表示部43の回折又は散乱を出現させ、なおかつその下層にある第1個人認証情報表示部42および名前等の個人情報画像を目視で確認出来る方法として、金属光沢層をディメタライズする方法がある。網点状もしくは万線状に金属光沢層の金属を除去することで、第2個人認証情報表示部23の回折又は散乱を視認できるが、同時にその下層にある第1個人認証情報表示部22および名前等の個人情報画像をも目視で確認出来る。
【0168】
また、第4の発明の個人認証媒体4を形成する手順としては、例えば以下のような工程を行う。第2個人認証情報表示部43の作成方法については公知の技術を用いれば良く、その他の工程以外にも、接着剤を塗布した基材に第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部を積層する工程において、第1個人認証表示部を上に第2個人認証情報表示部の少なくとも一部を積層させる工程以外は第1の発明および第2の発明と同じ工程、材料を適宜選択すればよい。
【0169】
紙材に氏名、住所、誕生日等の個人認証情報を印刷する工程を行う。基材の少なくともその片面に個人認証情報を印刷する方法としては、従来から公知の凹版印刷、蛍光印刷、OVI印刷、パールチップなどのセキュリティ印刷等や絵柄印刷などを施してあっても良く、任意のセキュリティ技術を組み合わせて設けておくことが可能である。
【0170】
次に、紙材に接着層を付加する工程を行う。今回は塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着層を付加する。基材21に接着層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体接着材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の接着材料をラミネート等の公知の方法で張り合わせても良い。
【0171】
続いて、第1個人認証情報表示部を作成する工程を行う。今回はカメラで顔画像を撮影し、デジタルデータに変換する。そして転写箔上に設けた受像層上にそのデジタルデータを元にして情報画像の形成を行った。なお、第1個人認証情報部の作成方法としては、基材上に直接あるいは受像層を設けて印字する方法や、転写箔上に受像層等を設け、その受像層上に情報画像の形成を行った後、基材上に転写するといった間接転写方式をとることができる。この際の情報画像を形成する手段としては、銀塩方式や、昇華転写方式、熱溶融型転写方式、樹脂型顔料転写方式、静電写真方式、インクジェット方式、または印刷方式など、公知の画像形成手段を用いる事ができる。
【0172】
次に、第2個人認証情報表示部を作成する工程を行う。第2個人認証情報表示部を作成する方法としては、電子ビーム露光装置を用いる方法がある。
【0173】
基材上に塗布された感光性樹脂に、第1個人認証情報表示部で使用した顔写真のデジタルデータをもとに、凹凸で形成されて外光を散乱する指向性散乱パターンを描画する。電子ビーム露光装置は、電子銃から照射された電子ビームが、コンピュータに制御されてPET基板上を走査する。
【0174】
感光性樹脂に用いる材料としては、特に限定しないが、チアジン系増感色素、6価クロム化合物、および水溶性高分子を混合した樹脂を用いることが好ましい。この樹脂を用いるとアンモニア雰囲気中での乾燥をしなくても樹脂の増感色素の溶解状態を保持することができるだけでなく、透過率を向上させる効果も得られる。
【0175】
PET基板は感光性樹脂塗布面を上にしてX−Yステージ上に載置されている。そして電子銃から発射された電子ビームはドットを単位にして回折格子パターンを描画する。X−Yステージを移動させることにより、次々とドット毎に回折格子パターンを描画する。
【0176】
描画後、未描画部分の感光性樹脂を現像で除去し、水洗、現像を行い乾燥させる。そして、その上に反射層として、真空蒸着法などの公知の方法にて反射層またはこう屈折率層を設け、凹凸で形成されて外光を散乱する指向性散乱パターンによって表示される第2個人認証情報表示部を形成した。その上に高屈折率層として、真空蒸着法にてZnSを約100nm設け、第2個人認証情報部を形成した。
【0177】
次に接着剤を塗布した基材に第1個人認証情報表示部と第2個人認証情報表示部を積層する工程を行う。第1個人認証情報表示部および第2個人認証情報表示部は転写箔上に設けられていることより、基材41にホットスタンプ法により熱圧にて接着させ、その後ベースフィルムを取り除き、積層させた。
【0178】
さらに保護層を積層する工程を行う。
前記基材上に接着層、第1個人認証情報表示部、第2個人認証情報表示部を積層させた上に、今回はアクリル系樹脂を主成分とする保護層を付加する。保護層を付加させる方法としては、上記の成分を有する液体材料をロールコートやスクリーン印刷等の公知の印刷方法で塗布しても良いし、上記の成分を有するフィルム上の保護層をラミネート等の公知の方法で貼り合わせても良い。
【0179】
また第2個人認証情報表示部13、23、33,43は回折格子パターンを立体にすることも出来る。この場合、図9に示すように、被撮影者42に対してカメラ53、54、55を同一水平線上に配置して同時に撮影する。カメラで写した画像56、57、58を使用して回折格子パターンにて立体画像を形成することが出来る。
【0180】
上記の場合、カメラで写した画像57を第1個人認証情報表示部12、22、32、42とすることで、個人認証媒体1、2、3、4の第1個人認証情報表示部12、22、32、42と立体画像の第2個人認証情報表示部13、23の比較ができ、さらに立体画像の第2個人認証情報表示部13、23にて本人との識別も、より高精度にできる。
【0181】
また被撮影者52を撮影するためのカメラは1台でも良く、この場合同一水平線上に異動させながら複数枚撮影することで、それぞれの画像を使用して回折格子パターンにて立体画像を形成することが出来る。
【0182】
また、第2個人認証情報表示部に用いる回折格子パターンのために作成した回折格子画像データをもとに第1個人認証情報表示部を形成しても良い。これにより、第1個人認証情報表示部の画像データが通常の写真やもとにしたデータとは異なる構成ものとすることができるため、第1個人認証情報表示部自体の改竄困難性が増加し、個人認証媒体を提供することができる。
【0183】
また、本発明の個人認証媒体を構成する別の態様として、上記の構造に加え、基材や、第1個人認証情報表示部上の少なくとも一部に回折格子形成層を積層して回折格子を発現させても良い。回折格子形成層は、前述のセルやホログラム、指向性散乱層、反射層、高屈折率層から選択され、用途に目的に合わせて適宜組み合わせればすれば良い。その際、個人認証情報が目視できるように構成する必要がある。これにより基材や、第1個人認証情報表示部自体の改竄困難性が増加し、個人認証媒体を提供することができる。
【0184】
例えば図10は、図1〜4の各個人認証媒体1、2、3、4の断面図である。図10(a)は図2と同様、個人認証媒体6は、基材61、接着層66、第1個人認証情報表示部62、セル65および第2個人認証情報表示部63、保護層66から構成されている。第1個人認証情報表示部63以外の基材6や、第1個人認証情報表示部62上に回折格子形成層67を設けたものである。
【0185】
図10(b)は図4と同様、個人認証媒体7は、基材71、接着層76、第1個人認証情報表示部72、セル75および第2個人認証情報表示部73、保護層76から構成されている。第1個人認証情報表示部73以外の基材7や、第1個人認証情報表示部72上に回折格子形成層77を設けたものである。
【0186】
図10(c)は図6と同様、個人認証媒体8は、基材81、接着層86、第1個人認証情報表示部82、セル85および第2個人認証情報表示部83、保護層86ら構成されている。第1個人認証情報表示部83以外の基材8や、第1個人認証情報表示部82上に回折格子形成層87を設けたものである。
【0187】
図10(d)は図8と同様、個人認証媒体9は、基材91、接着層96、第1個人認証情報表示部92、セル75および第2個人認証情報表示部93、保護層96から構成されている。第1個人認証情報表示部93以外の基材9や、第1個人認証情報表示部92上に回折格子形成層97を設けたものである。
【0188】
図10は、本発明の一例を示したもので、接着層14、第1個人認証情報表示部12、セル15および第2個人認証情報表示部13の層構成の順序は入れ替えても良く、回折格子形成層を個人認証媒体の少なくとも一部に設けることで、基材や第1個人認証情報表示部12の画像を改竄から守る働きを追加しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本発明は、パスポートや査証などの冊子または、カード等の個人認証媒体上に個人特定の要である顔画像や指紋を印刷・印字・描画する画像形成体に係わるものであり、特に、正当な所有者の顔や指紋の画像といった画像情報などの個人認証情報を、回折格子を設けたセルを複数配置して構成することで、偽造や改竄を困難にし、さらに個人識別を行う審査官に対してより精度良く認証ができる。
【符号の説明】
【0190】
1,2,3、4、6、7、8、9 個人認証媒体
11,21,31、41、61、71、81、91 基材
12,22,32、42、62、72、82、92 第1個人認証情報表示部
13,23,33、43、63、73、83、93 第2個人認証情報表示部
14,24,34、44、64、74、84、94 接着層
15 セル
25 指向性散乱層
16,26,36、46、66、76、86、96 保護層
67、77、87、97 回折形成層
52 被撮影者
53,54,55 カメラ
56,57,58 カメラで写した画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材と、
第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、
第2の個人認証情報を回折格子からなる複数のセルによりドット状に表示する第2個人認証情報表示部と、
接着層と保護層とを有し、
前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、
前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、
さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、
前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択されること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項2】
少なくとも基材と、
第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、
可視光線の拡散範囲が限定された拡散機能を持つ指向性散乱層から構成され、
第2の個人認証情報を表示する第2個人認証情報表示部と、
接着層と保護層とを有し、
前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、
前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、
さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、
前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択されること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項3】
少なくとも基材と、
第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、
第2の個人認証情報を外光を回折又は散乱させることによって表示する第2個人認証情報表示部と、
接着層と保護層とを有し、
前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、
前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、
さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、
前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択され、
前記第1個人認証情報表示部と前記第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が重なり合って積層されていること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項4】
少なくとも基材と、
第1の個人認証情報を有色表示する第1個人認証情報表示部と、
第2の個人認証情報を外光を回折又は散乱させることによって表示する第2個人認証情報表示部と、
接着層と保護層とを有し、
前記基材の1方の面に前記接着層が積層され、
前記接着層上に前記第1個人認証情報表示部および前記第2個人認証情報表示部が前記基材上に配置され、
さらに前記接着層、前記第1個人認証情報表示部、前記第2個人認証情報表示部のうち少なくとも1つ以上を有する面に前記保護層が積層されている個人認証媒体であって、
前記第1の個人認証情報と前記第2の個人認証情報が、同一人物の個人認証情報から選択され、
前記第1個人認証情報表示部と前記第2個人認証情報表示部が全て重なり合って積層されていること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項5】
第1の個人認証情報と第2の個人認証情報が、同一人物に属する単一の個人認証情報であること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の個人認証媒体。
【請求項6】
第1個人認証情報表示部の面積は、第2個人認証情報表示部の面積に対して0.1〜30倍の面積であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の個人認証媒体。
【請求項7】
前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層を有すること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の個人認証媒体。
【請求項8】
第1個人認証情報表示部の上に第2個人認証情報表示部の少なくとも一部が積層されていること
を特徴とする請求項7に記載の個人認証媒体。
【請求項9】
前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層と、
前記可視光線透過層よりも高い屈折率を持つ高屈折率層を少なくとも一部に有すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の個人認証媒体。
【請求項10】
前記高屈折率は、金属、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料のうち少なくとも一つまたはその組み合わせから選ばれること
を特徴とする請求項9に記載の個人認証媒体。
【請求項11】
前記第2個人認証情報表示部が、可視光線を透過する可視光線透過層と、
反射層を少なくとも一部に有すること
を特徴とする請求項1〜8に記載の個人認証媒体。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の個人認証媒体であって、
外光を回折又は散乱させる回折散乱層が、基材上の少なくとも1部もしくは第1個人認証情報表示部上の少なくとも1部に積層していること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項13】
請求項12に記載の個人認証媒体であって、
前記回折散乱層が、可視光線を透過する可視光線透過層を有すること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項14】
請求項13に記載の個人認証媒体であって、
前記回折散乱層が可視光線を透過する可視光線透過層と、
前記可視光線透過層よりも高い屈折率を持つ高屈折率層を少なくとも一部に有すること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項15】
請求項14に記載の個人認証媒体であって、
前記反射層は、金属、金属酸化物、金属間化合物、樹脂材料のうち少なくとも一つまたはその組み合わせから選ばれること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項16】
請求項13に記載の個人認証媒体であって、
前記回折散乱層が可視光線を透過する可視光線透過層と、
反射層を少なくとも一部に有すること
を特徴とする個人認証媒体。
【請求項17】
前記セルは、各セルの形状や厚さ、材料、大きさ、回折格子の空間周波数、回折格子の方向、回折格子の角度のいずれか変化させることによって階調を複数種類設定したセルの中から選択され、各セルの数や並び方、各セル間の距離等を用途や目的、表示する個人認証情報によって適宜選択して、複数配置して個人認証情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の個人認証媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−39336(P2011−39336A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187654(P2009−187654)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】