説明

個店ポイント共通カードシステム

【課題】ユーザーが所持する1枚の個店ポイント共通カードを利用して、複数の店舗において各店舗及びチェーン店ごとに設計された条件に応じてポイントシステムの加算及び減算、顧客管理を行なえるようにする。
【解決手段】導入店舗に個店ポイント共通カードのリーダライタと顧客個人情報管理システムを設置し、初回会員登録したユーザーに対して他の導入店舗でも利用可能な個人情報を記録した個店ポイント共通カードを発行するとともに、リーダライタと連動した顧客個人情報管理システムによって自店舗利用時のポイント管理を行なう。また、他店において登録及び発行済みの個店ポイント共通カードを所持するユーザーが自店舗の個店会員になることを希望した場合、共通カードから顧客個人情報を読み込むとともに共通カードに個店情報を書き込み、自店舗利用時のポイント管理を行なう個店ポイント共通カードシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが所持する1枚のポイントカードにより、個店ポイント共通カードシステムを導入した複数の店舗においてそれぞれの店舗もしくはチェーン店ごとに設定されたポイントの加算及びポイント利用が可能な個店ポイント共通カードシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗あるいはチェーン店のリピーター獲得を目的として店舗やチェーン店ごとにポイントカードをユーザーに発行して、商品購入時やサービス利用時にポイントを加算し、蓄積されたポイントに応じて特典を付与するポイントカードシステムが広く利用されている。
【0003】
このポイントカードシステムとしては、紙媒体を用いてスタンプを押印する方式とともに、リライト式のPETカードや磁気カード、各種のICカードを利用する方法が普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−140015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の技術によれば、店舗及びチェーン店ごとに使用できるポイントカードが異なるために、ユーザーが複数のポイントカードを携行する場合にはポイントカードがかさばるとともに、利用時に必要なポイントカードを探しだすことが困難である。このため、ほとんどのポイントカードがユーザーに携行されることなく、自宅に保管されたままになるか廃棄されるなど、本来のポイントカード発行の目的が達せられないことがよくある。
【0006】
また、店舗側では紙媒体のポイントカードではスタンプ押印に手間がかかるとともに、顧客個人情報管理が電子化されない状況にある。さらに、店舗独自のリライト式のPETカードや磁気カード、ICカードでは初期導入費用及びカード発行費用が高く、特許文献1の方式を含めて一定規模以上の需要と効果がないと採算が合わない。一方、商店街などで総合カードを導入したり、すでに普及している大手のポイントシステムと提携してポイント自体を共通化する動きもあるが、この場合はポイントシステム自体を独自に設計することが難しく、顧客の囲い込み効果も限定的である。
【0007】
上記の問題点を解決するため、本発明はユーザーが所持する1枚の個店ポイント共通カードを利用して、複数の店舗においてそれぞれの店舗及びチェーン店ごとにポイントの加算及び減算、顧客管理を行なうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、導入店舗に個店ポイント共通カードのリーダライタと顧客個人情報管理システムを設置し、初回会員登録したユーザーに対して他の導入店舗でも利用可能な個人情報を記録した個店ポイント共通カードを発行するとともに、リーダライタと連動した顧客個人情報管理システムによって自店舗利用時のポイント管理を行なうことを特徴とする個店ポイント共通カードシステムを提供する。
【0009】
また本発明は、他店において登録及び発行済みの個店ポイント共通カードを所持するユーザーが自店舗の個店会員になることを希望した場合、リーダライタと連動した顧客個人情報管理システムによって共通カードから顧客個人情報を読み込むとともに共通カードに個店情報を書き込み、自店舗利用時のポイント管理を行なうことを特徴とする個店ポイント共通カードシステムを提供する。
【0010】
さらに本発明は、導入店舗に設置された顧客個人情報管理システムによって、顧客の個人情報と自店舗の利用履歴、ポイント情報を管理することで共通カード自体には詳細なポイント情報を記録する必要がなくなることに加え、チェーン展開する店舗間や提携店舗等では通信等により顧客個人情報管理システムを共有化することで、一元的な会員システムを構築できることを特徴とする個店ポイント共通カードシステムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ユーザーが複数の個店ポイント共通カードシステム導入店舗の個店会員になる場合には2店舗目以降の会員登録手続きが簡素化され、複数店舗間に渡る異なるポイントシステムを1枚のカードで利用できるとともに、詳細なポイント情報を店舗側で管理するため、万が一共通カードを紛失や盗難、破損した場合でも同じアカウントの共通カードの再発行を受けることで従来のポイントが失効することなく利用できる。また、個店会員となっている店舗情報を1枚のカードで一元的に管理するため、ユーザー自身のお気に入りの店舗リストとして利用するほか、店舗やサービスごとの利用頻度や金額を確認するなど付加的サービスを受けることも可能である。
【0012】
また本発明は、導入店舗間を接続する大規模なサーバを必要とせず、個店に共通カードのリーダライタと顧客個人情報管理システムを設置するだけで比較的廉価に顧客個人情報管理の電子化が可能になるとともに、他店の個店ポイント共通カード所持者の増加に従い、個店会員登録手続きが簡略化されカード発行費用の削減も期待できる。また、店舗独自のポイントシステムを設計して運用することが可能なため、キャンペーンの告知やクーポンの発行、ポイント倍率の変更など柔軟な個店会員サービスを展開できるなど顧客の囲い込み効果を十分に発揮できる。
【0013】
さらに本発明は、導入店舗が増加するに従いユーザーと導入店舗の利便性が相乗的に高まる構図になっており、個店ポイント共通カードシステムを製品として展開するカードシステム事業者にとっても営業展開上有利であるほか、カード発行総数の減少に寄与できれば、地球環境保全にもつながる有意義な取り組みだといえる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は個店ポイント共通カードシステム全体の概念図である。
【図2】図2はシステムのハードウェア構成図である。
【図3】図3はポイント共通カードの処理フローを示す説明図である。
【図4】図4はデータ構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この個店ポイント共通カードシステムは、図1に示すように個店ポイント共通カードシステム事業者から導入店舗に対して工業製品として提供されるもので、システム事業者は導入店舗にシステム販売及びカード販売11を行なう。導入店舗では初めて個店ポイント共通カードを利用するユーザーに対して個店会員登録及びカード発行12を行い、店舗側のシステムにユーザーの個人情報を登録するととともに、あらかじめ自店情報を書き込んだ1枚の個店ポイント共通カードをユーザーに付与する。個店ポイント共通カードを付与されたユーザーは、他の個店ポイント共通カードシステム導入店舗において新たなカードの発行を受けることなく、自ら所持する共通カードを利用して複数店舗においてそれぞれ個店会員登録13ができる。
【0016】
任意のチェーン店あるいは提携店舗間14で通信回線等を用いて顧客個人情報システムを複数の店舗で共有すれば、複数店舗で同一のポイントシステムを展開することも可能である。万が一のカードの盗難や紛失、破損の場合はユーザーの申請に基づきカードシステム事業者が同一のアカウントを持つ共通カードの再発行に応じることもできる。
【0017】
導入店舗においては、図2に示すように個店ポイント共通カードに対応したいずれかの形式のリーダライタを備え、ユーザーから個店ポイント共通カードを預かってこれをリーダライタに挿入して自店舗のポイントシステムにおける利用動向に応じたポイント加算及び減算を行なう。ハードウェア構成としては、表示部21aと操作部21b及びカード挿入口21cを備えた専用カードリーダライタ21でポイント処理を行なうほか、顧客個人情報管理システムのプログラムソフトウェアをインストールしたコンピュータ22を設置し、汎用的なカードリーダライタ23を用いて個店ポイント共通カードシステムを運用することも可能である。この場合はコンピュータの画面22aとマウス及びキーボード22bによってカードリーダライタ表示部23aと連動するカード挿入口23cに挿入された共通カードの処理を行なう。また、リーダライタとこれに連動する顧客個人情報管理システムは、POSレジスタと一体化した製品24としてもよく、POSレジスタにカード挿入溝24cを備え、POSレジスタの表示部24aに会員個人情報及びポイント情報を表示し、POSレジスタ操作部24bによってポイント処理を行なうこともできる。さらに、個店ポイント共通カードシステムに非接触ICカード形式を採用する場合は、POSレジスタ表示部25aと操作部25bとともに非接触ICカードリーダライタ25cを備えた非接触ICカード連動POSレジスタ25を活用することもできる。
【実施例】
【0018】
図3は本発明の実施例であって、店舗側がユーザーの共通カードをカードリーダライタに挿入して顧客個人情報を更新する場合の処理フローである。個店ポイント共通カードをリーダライタに挿入31すると、挿入された共通カードが正規のものであるかどうかの確認処理32がなされる。ここでカードが正規外であることを示すNoと判定されると、共通カードがリーダライタから排出33aされる。これに対して確認処理32において共通カードが正規であることを示すYesと判定された場合は次のステップとして個店会員情報照合33bを行なう。共通カードに自店舗の個店登録情報が記録されているとともに、自店舗の顧客個人情報システムに挿入された共通カードのユーザー情報があれば照合処理がYesと判定され、ポイント処理34aに至る。これに対して共通カードに自店舗の個店登録情報が記録されておらず、自店舗の顧客個人情報システムに挿入されたカードのユーザー情報がなければ、新たに個店会員登録を行なうかどうかをユーザーに確認34bする。確認の結果、ユーザーが個店会員登録を望まなければ処理を終了35aし、共通カードを排出36する。反対にユーザーが個店会員登録を望めばハードウェアの操作部によりユーザーの個人情報登録35bを行い、ポイント処理34aに移行する。ポイント処理34aでは利用内容に応じてポイントの加算を行なう一方、個店ポイントシステムの条件に応じてユーザーが希望する特典を付与する。必要なポイント処理34aが完了すると処理終了37を経て、カードリーダライタから共通カードが排出38される。なお、基本的に自店舗以外の個店会員登録情報のポイント詳細は共通カードに記録されていないため、当然ながら他店舗のポイント情報を更新することはできない。
【0019】
図4は、店舗側で管理する顧客個人情報管理システムで記録管理されるデータフィールドと、ユーザーが所持する共通カードに記録されるデータのテーブル構成を示す。基本的に導入店舗においては個店情報41、ポイント設定情報42、会員個人情報43、会員個人の利用履歴44のデータテーブルを顧客個人情報システムで管理する。ユーザーの会員個人情報45は登録個店情報46とともに共通カードに記録されており、個店会員登録時に店舗側の顧客個人情報管理システムに出力され、店舗の利用履歴44を更新する際の参照テーブルとして管理される。ポイント設定情報42はポイント倍率設定や期間入会ポイント設定及び告知情報など期間運用にも対応する形式とし、会員個人情報43の所持ポイント及び利用履歴44の更新の際に参照する。つまり、各ユーザーのポイントは導入店舗の顧客個人情報システムによって記録及び更新されるため、ユーザー自身ではデータの更新は行なえない。ただし、共通カードの記録容量に余裕がある場合は店舗ごとの所持ポイントのみをポイント情報47としてユーザーが所持するカードに記録し、随時閲覧のみを可能とする方式としても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
個店ポイント共通カードシステムは、これまで紙媒体を用いてスタンプを押印する方式を採用していた店舗事業者等が電子的な方法で顧客個人情報管理を実施する方法として特に有効である。また従来、個店単位でリライト式のPETカードや磁気カード、各種のICカードを利用して独自のポイントシステムを運用していた店舗事業者にとっては、会員登録の手間が省けることでコストをかけずにより効果的なポイントシステムの運用が可能となる。さらに、商店街や商業施設における期間限定イベントや展示会における入場者管理及び各小間への来訪履歴管理に応用することも可能である。
【0021】
一方、カード事業者にとっても導入店舗の拡大に伴い、新規に個店ポイント共通カードシステムを導入する店舗が増加することが見込まれ、業容拡大に効果的である。特にクレジットカードやキャッシュカード、各種のプリペイドカード、身分証明書等の電子データ記録形式のカードの付加機能として追加することも可能であるため、既存の電子データ記録形式のカードの普及を目的とした展開にも活用できる。ユーザー自身が多数のポイントカードを所持するよりも利便性が高いと判断することでユーザーの携行率が高まり、煩雑な会員登録手続きが簡略化される効果も高いため、導入店舗においてはユーザーの支持そのものが有利な事業展開につながるものとして期待される。
【符号の説明】
【0022】
11 個店ポイント共通カードシステム販売及びカード販売
12 個店会員登録及びカード発行
13 個店会員登録
14 チェーン店及び提携店舗
21 単体カードリーダライタ
21a 単体カードリーダライタ表示部
21b 単体カードリーダライタ操作部
21c 単体カードリーダライタカード挿入口
22 顧客個人情報管理システム搭載コンピュータ
22a 顧客個人情報管理システム搭載コンピュータ画面
22b 顧客個人情報管理システム搭載コンピュータ操作用キーボード
23 顧客個人情報管理システム搭載コンピュータ連動カードリーダライタ
23a 顧客個人情報管理システム搭載コンピュータ連動カードリーダライタ表示部
23c 顧客個人情報管理システム搭載コンピュータ連動カードリーダライタ挿入口
24 カードリーダライタ一体型POSレジスタ
24a カードリーダライタ一体型POSレジスタ表示部
24b カードリーダライタ一体型POSレジスタ操作部
24c カードリーダライタ一体型POSレジスタカード挿入溝
25 非接触カードリーダライタ一体型POSレジスタ
25a 非接触カードリーダライタ一体型POSレジスタ表示部
25b 非接触カードリーダライタ一体型POSレジスタ操作部
25c 非接触カードリーダライタ一体型POSレジスタカードリーダライタ
31 個店ポイント共通カード挿入
32 正規カード照合
33a 非正規カード排出
33b 個店会員情報照合
34a ポイント処理
34b 個店会員登録確認
35a 終了処理
35b 個人情報登録
36 非個店会員登録カード排出
37 終了処理
38 カード排出
41 個店情報テーブル
42 ポイント設定テーブル
43 会員個人情報テーブル
44 利用履歴テーブル
45 会員個人情報テーブル
46 登録個店情報テーブル
47 ポイント情報テーブル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入店舗に個店ポイント共通カードのリーダライタと顧客個人情報管理システムを設置し、初回会員登録したユーザーに対して他の導入店舗でも利用可能な個人情報を記録した個店ポイント共通カードを発行するとともに、リーダライタと連動した顧客個人情報管理システムによって自店舗利用時のポイント管理を行なうことを特徴とする個店ポイント共通カードシステム。
【請求項2】
他店において登録及び発行済みの個店ポイント共通カードを所持するユーザーが自店舗の個店会員になることを希望した場合、リーダライタと連動した顧客個人情報管理システムによって共通カードから顧客個人情報を読み込むとともに共通カードに個店情報を書き込み、自店舗利用時のポイント管理を行なうことを特徴とする請求項1記載の個店ポイント共通カードシステム。
【請求項3】
導入店舗に設置された顧客個人情報管理システムによって、顧客の個人情報と自店舗の利用履歴、ポイント情報を管理することで共通カード自体には詳細なポイント情報を記録する必要がなくなることに加え、チェーン展開する店舗間や提携店舗等では通信等により顧客個人情報管理システムを共有化することで、一元的な会員システムを構築できることを特徴とする請求項1または請求項2記載の個店ポイント共通カードシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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