説明

倍音スピーカー

【課題】音源音声信号の再生と同時に音源音声信号を基音とする倍音の創生が可能な倍音スピーカーを提供する。
【解決手段】第1パネルを枠体に固定し、第1パネルの片側領域に棒状のバスバーを固定したことによって、第1パネルの棒状のバスバー固定側領域の音響特性をより低周波数帯域に拡大し、第1パネルの棒状のバスバーなしの他側領域を棒状のサウンドポストを介して第2パネルに固定的に連結した構成に基づき、第1、第2パネルにそれぞれの領域別振動を起こすことにより、音源音声信号の再生と同時に音源音声信号を基音とする倍音の創生を可能とした倍音スピーカー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてデジタル録音音声信号を再生して発する音波の上に、デジタル録音音声信号を基音とし発する倍音を重畳する、倍音スピーカー技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽のデジタル録音技術において、サンプリング周波数とカットオフ周波数によって音源に含まれる音声信号の周波数成分が一定の範囲に限定されたことにより、とくに音楽CDを利用した再生音楽の魅力が著しく減殺し、LPレコード時代に大勢存在したステレオ愛好家が激減する事態を招いている。
音楽CDの録音帯域は、人の可聴域を基準として決定されたので、高周波数帯域では、およそ20kHz以上が切り捨てられた。
しかし米国生理学会の専門誌では、可聴域外の音波が可聴域の音波に重畳した場合に、後頭部のα波と脳幹及び視床の局所血流が増大し、聴者が喜ばしい気分になるという、精密な脳生理学的実験に基づく報告がなされている(非特許文献5)。
【0003】
音声信号の再生装置としては、特に小型スピーカーにおいて、これまで一般的に、コーン型の振動板を備えた動電変換型装置が、ダイナミックスピーカーとして、永年実用に供されてきている。
コーン型振動板を備えたダイナミックスピーカーは、振動板自体の分割共振を起さないように設計されている(非特許文献1、2)ので、音楽CDを再生したとき、音楽CDに録音された周波数帯域の音だけを発生し、それ以外の音は当然発生しない。
図14Aに、440Hzの音声信号によって駆動した市販のダイナミックスピーカー(型QriomSP-250、山善)が発した音波の対周波数パワースペクトルを示した。この図を一見すれば、供給された440Hzの音声信号に対して、ダイナミックスピーカーが、忠実に440Hzの音波のみを発していることが了解されよう。
【0004】
これに対して、1980年代以降、フラットパネルを振動板としたスピーカー技術が提案された(特許文献1、2)。
フラットパネル型スピーカー技術は、平面振動板自体の分割共振によって音波を発生する点において、コーン型スピーカーとは発音原理がまったく異なる。発明者らは、フラットパネル型スピーカーが、録音された音声信号に応じて固有振動する際、録音された音声信号を基音とした倍音をも発生する点に注目した。
しかしながらフラットパネル型スピーカーにおいては、平面振動板は駆動装置によって励起されて自己振動するので、特に低音域での振動の制御が困難である。その困難を打開するために、例えば特許文献3においては、平面振動板の外周部に枠状の立上り周壁を形成することにより、低音域への対応を図っている。また特許文献4においては、平面振動板の振動が大きい「暴れる」箇所に結合部材を取り付けて振動板の暴走を押さえ込み、低音域への適応を図っている。
【0005】
いっぽう発明者らは、音声信号によって励起する自動ヴァイオリン技術を開発し、その技術を公示した(特許文献5,6)。この自動ヴァイオリンは、音声信号によってヴァイオリンの駒を励起し、駒の振動を通して楽器全体を振動させることにより、人が弓で弦を弾いた場合と同様のプロセスを通じて楽器を自動演奏するものである。
自動ヴァイオリンは、標準仕様の音楽CDの音声信号で励起した場合、録音された可聴域の音波を発生するのみならず、録音された可聴域の音声信号を基音とした倍音を創生する。当然ながら、この新生倍音には可聴域を超えた帯域の高周波音波も含まれている。従って、20kHz以上の帯域がカットされた音楽CDを音源とした場合でも、録音された20kHz以下の音声信号を基音として、20kHz以上の周波数の倍音を発音する。
この作用により、市販の音楽CDの音声信号によって自動ヴァイオリンを演奏すると、音楽CDにおいて捨象された高周波数倍音を創生し、音楽CDに含まれていた音声信号の再生音波に重畳するので、実際の演奏に接しているかのような、極めてリアリティの高い音を聴取することができる。
図14Bに、440Hzの音声信号によって駆動した自動ヴァイオリンが発した音波の対周波数パワースペクトルを示した。この図を一見すれば、供給された440Hzの音声信号に対して、自動ヴァイオリンが、対応する440Hzの音波のみならず、440Hzを基音とする倍音を発していることが了解されよう。
20kHz以上の帯域の倍音は、録音されていなかった音であり、自動ヴァイオリンの自己振動によって創生された音である。
【0006】
しかしながらこの自動ヴァイオリンは、ヴァイオリン音楽の再生には最適であるが、音楽一般の音声信号の再生には、以下のような難点があった。
(1)再生音には、ヴァイオリンの音色が重畳する。このため、ヴァイオリン以外の音源信号を再生すると、僅かではあるが音色が混合する。
(2)ヴァイオリン属楽器は、弦、駒をはじめとして、常時メンテナンスと調節を必要とする多くの部材を具備しており、一般ユーザがスピーカーとして取り扱うには、必ずしも単純ではなかった。
(3)適用するヴァイオリン属楽器は、楽器としての価値が高いものほど良好な再生音を発生するので、スピーカーとしてのコストは必ずしも一般的な普及に適するものとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 97/09842号
【特許文献2】特許第3763848号
【特許文献3】特許第4447676号
【特許文献4】特開2010−199818号公報
【特許文献5】特許第4776465号
【特許文献6】実用新案第3159576号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】特許庁著 「平成18年度特許出願技術動向調査報告書 最新スピーカ技術−小型スピーカを中心に−(要約版)」平成19年5月
【非特許文献2】特許庁著 「特許検索ガイドブック 〜小型スピーカ技術〜」平成20年3月
【非特許文献3】C.M.ハッチンス著 「バイオリンの音響学」、日経サイエンス、1981年12月
【非特許文献4】カーリーン M.ハッチンス著 「バイオリンの音響学」、日本音響学会誌、39巻3号204〜213ページ、1983年
【非特許文献5】T.Oohashi et al, "Inaudible high-frequency sounds affect brain activity: Hypersonic effect", Journal of Neurophysiology, vol.83, pp.3548-3558, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、音楽CDで喪失された可聴帯域外の倍音を創生して、可聴域基音信号の再生音波に重畳することにより、高度なリアリティを具備した再生音楽を創出する倍音スピーカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、発明者らは、ヴァイオリン属楽器の音響理論に基づく構成を備えた発音装置を新たに考案した。
ヴァイオリン属楽器は、図12に示したように、表裏2枚のプレートの全周縁部を側板で結合し、駒の左足直下近辺の表板内面に長い棒状の力木を接着し、さらに駒の右足直下近辺の表板内面に魂柱を立てて裏板内面に連結した構成を備え、表板の駒と周縁の間に、f字孔という開口を設けている。
中でも表板の左半分領域の音響特性は、力木接着によって力木のない右半分領域よりもより低音域側へシフトしているので、駒の左半トップに接する低音弦の振動を円滑に受容して振動する。いっぽう表板の右半分領域は、駒の右半トップに接する高音弦の振動を円滑に受けて振動し、直下近辺の魂柱を介して裏板に振動を伝達する。
裏板は、堅い材質のため、高周波数振動によって高音域の発音をするが、低音弦が力強く弾かれた場合には、低周波数振動にも対応して。響きの良い低音を遠距離まで届かせることができる。
以上のように、ヴァイオリン属楽器は、側板と魂柱で連結された表板と裏板とが、相互に拘束し合うのみならず、相互に作用し合うので、1枚のパネルの自由振動を基本とするフラットパネル型スピーカーとは、発音の動作原理がまったく異なる。ヴァイオリン属楽器の表板と裏板は、振動の周波数やエネルギーに応じて極めて巧妙に相互抑制作用と相乗作用と相補作用を発揮するように構成されており、フラットパネル型スピーカーのように低音域で暴走するなどということは勿論一切ない。
本発明は、このヴァイオリン属楽器の基本構成に基づき、新しい発音装置を提案している。
【0011】
本発明請求項1の倍音スピーカーは、横長形状の第1パネルと、第1パネルと相似形の第2パネルとを、単数あるいは複数の棒状サウンドポストによって第1パネルと第2パネルが対面する姿勢に結合し、第1パネルの全周縁部に枠体を固定し、棒状バスバーを、第1パネル長軸に沿う上下二等分線によって分割された第1パネル内面の片側領域に、第1パネルの長軸に平行する姿勢で固定し、音声信号に応じて振動する部材を備えた駆動装置を第1パネルの外面あるいは内面に固定した構成において、駆動装置の音声信号に応じて振動する部材が第1パネルを強制振動することによって、第1パネルが発音すると同時に、第1パネルの振動がサウンドポストを介して第2パネルに伝達され、第2パネルが分割共振を行うことにより、音声信号に応じた音波を発生すると共に、その音波に重畳して、音声信号を基音とした倍音を発生することを特徴とする。
また本発明請求項2の倍音スピーカーは、請求項1に記載の倍音スピーカーにおいて、前記駆動装置が、両側固定治具によって第1パネルに固定され、前記駆動装置の振動する部材が両側固定治具を介して第1パネルを強制振動する構成において、前記駆動装置の片側(例えば上側)の固定治具はバスバー近辺の位置において、また他側(例えば下側)の固定治具はサウンドポスト近辺の位置において、共に前記駆動装置を第1パネル面から浮いた姿勢で第1パネルに固定したことを特徴とする。
また本発明請求項3の倍音スピーカーは、請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の倍音スピーカーにおいて、駆動装置と直近の周縁部との間の領域において、表裏貫通する開口部を備えたことを特徴とする。
また本発明請求項4の倍音スピーカーは、請求項1、請求項2、あるいは請求項3のいずれかに記載の倍音スピーカーにおいて、前記枠体が、縦枠と横枠とから成り、縦枠と横枠が共に外方に向かって湾曲する形状を有し、第1パネルが外方に向かって中央部が突出する形状で固定されたことを特徴とする。
また本発明請求項5の倍音スピーカーは、請求項1、請求項2、請求項3、あるいは請求項4のいずれかに記載の倍音スピーカーにおいて、前記第1パネルが、両側固定治具間の領域において、表裏貫通する切込み部を備えたことを特徴とする。
また本発明請求項6の倍音スピーカーは、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、あるいは請求項5のいずれかに記載の倍音スピーカーにおいて、前記第2パネルが、固定部材によって枠体に固定的あるいは弾性的に結合させたことを特徴とする。
また本発明請求項7の倍音スピーカーは、横長形状のパネルの全周縁部を枠体に固定し、駆動装置を、その両側固定治具がパネルの上下二等分線をまたぐ位置において、両側固定治具を介してパネルの表面から浮いた姿勢で固定し、駆動装置の一方の固定治具取付け位置近辺の裏面に棒状のバスバーをパネルの長軸に平行する姿勢で固定し、パネル表裏を貫通する開口部と、駆動装置の両側固定治具間に表裏貫通する切込み部とをパネルに備えた構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の倍音スピーカーは、横長形状の第1パネルと、第1パネルと相似形の第2パネルとを、単数あるいは複数の棒状サウンドポストによって第1パネルと第2パネルが対面する姿勢に結合し、第1パネルの全周縁部に枠体を固定し、棒状バスバーを、第1パネル長軸に沿う上下二等分線によって分割された第1パネル内面の片側領域に、第1パネルの長軸に平行する姿勢で固定し、音声信号に応じて振動する部材を備えた駆動装置を第1パネルの外面あるいは内面に固定した構成において、音声信号に応じて駆動装置の振動する部材が第1パネルを強制振動することによって、第1パネルが発音すると同時に、第1パネルの振動がサウンドポストを介して第2パネルに伝達され、第2パネルが分割共振を行うことにより、音声信号に応じた音波を発生すると共に、その音波に重畳して、音声信号を基音とした倍音を発生するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態としての倍音スピーカー1の構成を模式的に説明する図である。
【図2】図2は同倍音スピーカー1の前面観構成を模式的に説明する図である。
【図3】図3は同倍音スピーカー1に備える第1パネル内面の構成を模式的に説明する図である。
【図4】図4は同倍音スピーカー1が備える駆動装置の内部構成を模式的に説明する図である。
【図5】図5は本発明の第2の実施の形態としての倍音スピーカー2が備える第1パネル内面の構成を模式的に説明する図である。
【図6】図6は本発明の第3の実施の形態としての倍音スピーカー3の構成を模式的に説明する図である。
【図7】図7は同倍音スピーカー3の前面観構成を模式的に説明する図である。
【図8】図8は本発明の第4の実施の形態としての倍音スピーカー4が備える第1パネル内面の構成を模式的に説明する図である。
【図9】図9は本発明の第5の実施の形態としての倍音スピーカー5が備える第1パネル内面の構成を模式的に説明する図である。
【図10】図10は本発明の第6の実施の形態としての倍音スピーカー6の構成を模式的に説明する図である。
【図11】図11は本発明の第7の実施の形態としての倍音スピーカー7の構成を模式的に説明する図である。
【図12】図12はヴァイオリンの構成を説明する図である。
【図13】図13は440Hzの音声信号によって駆動されて発した音波の対周波数パワースペクトルを示す図であり、Aは本発明の倍音スピーカー1が発した音波のパワースペクトル、Bは本発明の倍音スピーカー1から第2パネルを取り外して第1パネルのみとした場合に第1パネルが発した音波のパワースペクトルである。(実施例1)
【図14】図14は440Hzの音声信号によって駆動されて発した音波の対周波数パワースペクトルを示す図であり、Aは市販のダイナミックスピーカーが発した音波のパワースペクトル、Bは自動ヴァイオリンが発した音波のパワースペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図12はヴァイオリンの正面図(A)と断面図(B)である。ヴァイオリンにおいは、弓により弦を擦弦して振動させ、表板に立てた駒を通じて振動を表板に伝える。
駒は音響理論的に独特の形状を備え、弦の張力によって弦と表板の間に挿入・固定されて、2本の足を表板に接触させている。表板の内面において、駒の片足(図で左足)直下近辺には、力木(バスバー)という木製の棒状体が縦方向に沿って接着・固定される。また駒の他の足(図で右足)直下近辺には、魂柱(サウンドポスト)という木製円柱を、直下の裏板内面との間に立てている。魂柱は、表板の振動を裏板に伝達する役割を演じる。
駒の振動は、2本の足を通して表板に伝達される。左足の上部には、ヴァイオリンであれば低音用のG線と中低音用のD線が張られている。また、右足の上部には、中高音用のA線と高音用のE線が張られている。
表板と裏板の全周縁部は、周縁を取り囲んで結合された側板によって相互に連結、固定されている。即ちヴァイオリンにおいは、表板と裏板の周縁部は、相互に固定されることによって振動の拘束端を構成している。このように、ヴァイオリン属楽器は、2枚の振動板が相互に固定されて、相互抑制作用と相乗作用と相補作用を発揮するようにしている。この発音機構は、周縁部を基本的に自由端としたフラットパネル型スピーカーが分割振動を基本とするのに対して、根本的に異なるものである。
低音弦を弾くと、低音弦が振動し、低周波域の振動が駒を介して表板に伝達される。表板周縁部が裏板と結合され、かつ表板内面の駒左足直下付近に力木が固定されているため、表板は強い低周波振動でも暴走することがなく、低周波振動は円滑に表板全体に伝播する。またその一部は、魂柱を通じて裏板に伝達され、裏板を振動させる。低周波振動による裏板の振動は、とくに低音弦が強い力で弾かれたとき、そのエネルギーが多くの比率で裏板に伝達され、堅い裏板が力強く鳴動する。しかしながらそれほど奏力が強くない場合は、低周波振動には比較的柔らかなスプルース材より成る表板が振動し、発音する。
中高音弦を弾くと、中高音弦が振動し、中高周波域の振動が駒を介して表板に伝達される。表板の振動は、表板内面の駒右足直下付近に立てられた魂柱を介して裏板に伝達される。裏板は非常に堅いメイプル材であり、通常は中高音および高音を発する。とくに高音の伸び(遠達性)は、裏板の振動によって実現される。質の高いヴァイオリンの音波は、大ホールの隅々にまで届く。この性能は主として堅く、組織が結晶化した裏板の材質と構成に負うところである。
ヴァイオリンは、奏者がどれだけ力を込めて弾いても壊れることはなく、ましてパネル型スピーカーで見られるような、低音帯域の振動暴走を起すことは絶対にない。この差異は偏に、ヴァイオリン属楽器の卓越した構成に負うものである。
発明者らは、このようなヴァイオリンの構成と機能の関係を参照し、まったく新規な発音装置技術を開発するに到った。
【0015】
図1は本発明の実施の形態としての倍音スピーカー1の構成を模式的に説明する平面図であり、Aは後面観構成を示す図、Bは横断面図、またCは縦断面図である。
図1において、駆動装置11は、枠体12に固定された第1パネル10の外面に固定され、音声信号に応じて第1パネル10を駆動して振動させる。
【0016】
枠体12は、第1パネル10を固定するための剛体であって、その後面を、外方に向かって縦横の中央部が前突する湾曲面としている(図1B、図1C)。
【0017】
第1パネル10は、縦横の長さが異なる基本形状を有し、枠体12の後面に固定されたことによって、上下方向、左右方向共に、中央部が湾曲して外方に突出した形状に保持される(図1B、図1C)。
第1パネル10の素材には、再生する音声信号の種類に応じて、種々の材質の部材を適用する。その材質や組織構成は、特定の範囲に限定されることはない。即ち、不均質な組織のコア材両面をスキン材で挟持して成る構造を有する部材でもよいし、発泡部材でもよいし、均質な組織を有する木材、あるいは合成繊維素材などが適用できる。
中央部が突出するヴァイオリンの湾曲プレートは、フラットパネルとは異なる独自の分割振動を示し(非特許文献3)、周縁部が拘束されることにより更にその共振モードが変化する。
【0018】
駆動装置11は、第1パネル10の後面(外面)に固定される(図1)。第1パネル10は、固定された駆動装置11を挟むように、第1パネル10の長手方向に沿って、上下端辺内側に内外面を貫く開口13、14を備える(図1)。
【0019】
第1パネル10は、中央部が外方に向けて盛り上がる形状に湾曲して枠体12に固定され、貫通する開口13、14を備え、開口13、14間に駆動装置11を固定している(図1A,図1B)。
なお、本発明の実施の形態としての倍音スピーカー1では、貫通する開口を13、14の2個1対としているが、この開口の数及び形状は、再生すべき音声信号の種類に応じて、変更することが好ましく、この図に示された数と形状に限定されるものではない。
【0020】
駆動装置11は、両側に備えた固定治具15,16を介することによって駆動装置11の筐体底面が第1パネル10の表面と平面的に密着しない姿勢において固定する。この実施の形態においては、図1に示すように、駆動装置11を、上下2個の固定治具15,16を介して第1パネル10に固定している。
駆動装置11は、駆動装置11の筐体を、両側の固定治具15,16がパネルの上下二等分線をまたぐ位置で固定する。これは、それぞれの側の固定治具15あるいは16を、第1パネル10の上下いずれかの半分領域に連結することにより、それぞれの振動特性に応じた振動を誘発するためである。
このため、固定治具の数は第一義的問題ではなく、一般的に、駆動装置の両側固定治具がパネルの半分領域にそれぞれ連結することが重要である。
【0021】
図3は、この実施の形態になる倍音スピーカー1が備える第1パネル内面の構成を模式的に説明する図である。図3において、棒状バスバー17を、第1パネル10の上方固定治具15固定位置直下近辺の内面位置に固定している。棒状のバスバー17は、第1パネル10の長手方向に沿って伸長する剛体棒状体であり、その形状が湾曲した第1パネル10内面に密着するように成形されて、第1パネル10内面に密着して固定される。
棒状のバスバー17を固定したことにより、図3における第1パネル10の上半部領域の固有振動は、より低音側にシフトしている。これにより、第1パネル10の下半部領域の固有振動は、相対的により高音側に留まったことになる。また、棒状のバスバー17は、低音域における第1パネル10の暴走を打ち消す作用を持っている。
いっぽう第1パネル10の下半部領域は、棒状のバスバー17がまったくない場合には受容できなかった、固有振動よりも低い周波数の振動がもたらされた場合でも、その主たるエネルギーが上半部領域に誘導されるため、暴走することがない。
【0022】
本発明の実施の形態としての倍音スピーカー1は、第1パネル10に固定した駆動装置11の下方固定治具16の直下近辺にあたる内面に、棒状体のサウンドポスト18を固定している(図3)。棒状のサウンドポスト18は、剛体より成る振動伝達部材であって、その1端が第1パネル10内面に固定され、他端が第2パネル19内面(図2参照)に、それぞれほぼ垂直に固定される。第1パネル10内面に固定される端部は、第1パネル10の振動が円滑に伝達されるように、湾曲した第1パネル10内面に適合する形状に成形されている。
【0023】
次に、図2により、第2パネル19を説明する。図2は、この実施形態の倍音スピーカー1の前面観構成を模式的に説明する図であって、枠体12に固定された第1パネル10と、棒状のサウンドポスト18によって第1パネル10に連結された第2パネル19が示されている。
第2パネル19の外縁部は、基本的には自由端であるが、本発明のその他の実施の形態について後述するように、再生すべき音声信号の種類に応じて一定の拘束をしてもよい。
【0024】
本発明の実施の形態としての倍音スピーカー1においては、第2パネル19として、基本的に一様な組織の素材を用いているが、不均質な組織の素材を用いることも可能である。第2パネル19の外形は、音響特性上、第1パネル10と相似形であることが技術上好ましい形状であるが、相似形以外の形状でも特に不都合であることはない。
【0025】
この実施形態の倍音スピーカー1における第2パネル19の役割は、まず第1に、その質量によって、低音帯域における第1パネル10の暴走を抑制する作用である。しかし第2の、より重要な役割は、第2パネル19自体の振動による発音である。
駆動装置11(図1)によって駆動された振動は、上下2個の固定治具15,16を介して第1パネル10に伝えられる。上方固定治具15直下近辺の第1パネル10内面には棒状のバスバー17が固定されているため、この近辺の振動領域の振動パタンは、他の領域に比較して、より低音域への対応性が向上している。そのため、低周波振動はより円滑に上方固定治具15を介して第1パネル10に伝えられ、第1パネル10がより低音域に亘って発音することができる。
【0026】
また、下方の固定治具16の直下近辺は、第1パネル10が展開しているだけなので、駆動装置11の振動に対しては、第1パネル10は、枠体12による拘束下で振動し、その振動が直下近辺に固定された棒状のサウンドポスト18を介して第2パネル19に伝達される。
第2パネル19は、その周縁部が基本的に自由端の性質を有するため、棒状のサウンドポスト18に駆動されて、分割共振を行う。即ち、駆動音声信号を基音として、倍音を発生する。その倍音発生作用は、多くの力学的拘束下にある第1パネル10の倍音発生作用よりも当然優れており、実際、440Hzの音声信号に応じて生成する音波の対周波数パワースペクトル・データによって、その差異が明確に示される(図13)。
図13は、第2パネル19の作用を示すパワースペクトルである。即ち、Aは440Hzの音声信号によって駆動されて、本発明の倍音スピーカー1が発する音波のパワースペクトルであり、Bは440Hzの音声信号によって駆動されて、本発明の倍音スピーカー1から第2パネル19を取り外し、第1パネル10のみが発する音波のパワースペクトルである。この図により、倍音創生における第2パネル19の役割が容易に理解される。
【0027】
この実施の形態としての倍音スピーカー1の駆動装置11としては、図4に示すように、動電型スピーカーが利用でき、磁気回路40と、磁気間隙41に挿入され、かつダンパー42を介して磁気回路40と弾力的に連結されたボイスコイル・ボビン43との間に、電気音声信号に応じた力を発生するように構成し、ボイスコイル・ボビンが駆動装置の両側固定治具15,16に固定的に連結されたことにより、ボイスコイル・ボビンよりも相対的に大きな質量を有する磁気回路が振動して、両側固定治具を介して第1パネルを強制振動するようにしている。
しかしながら、本発明の倍音スピーカー1の駆動装置11が、この形態のスピーカーに限定されるものではないこと勿論である。
【0028】
次に、本発明の第2の実施の形態としての倍音スピーカー2について説明する。倍音スピーカー2の第1パネルは、図5の第1パネル内面図に示したように、駆動装置の上下固定治具15、16間の領域に、パネルの表裏を貫通する切込み部20を備えている。
【0029】
次に、本発明の第3の実施の形態としての倍音スピーカー3について説明する。倍音スピーカー3では、第2パネル19を、固定部材21によって枠体12に固定的あるいは弾性的に結合させている(図6)。この結合は、再生すべき音声信号の種類に応じて、最適な弾性計数を有する固定部材21によって行うことができる。図6では、枠体12の4隅において第2パネル19を固定しているが、第2パネル19の全周縁部を囲むように固定してもよいし、スプリングによって枠体12と第2パネル19を連結してもよい。
図7は、この実施形態の倍音スピーカー3の前面観構成を模式的に説明する図である。
【0030】
次に、本発明の第4の実施の形態としての倍音スピーカー4について図8を用いて説明する。倍音スピーカー4では、第1パネル10の後面(外面)に固定された駆動装置(位置のみを円形点線で表示)を挟むように、第1パネル10の長手方向に沿って、上下端辺内側に内外面を貫くS字形の開口22、23を備える。
これらの開口の作用は、ヴァイオリン属楽器におけるf字孔に相当するものである。
【0031】
次に、本発明の第5の実施の形態としての倍音スピーカー5について図9によって説明する。倍音スピーカー5の第1パネル10内面には、外面に固定した駆動装置(位置のみを円形点線で表示)の下方固定治具16の直下近辺にあたる内面に、棒状のサウンドポスト18を固定したうえ、更に複数の棒状のサウンドポスト24、25を固定している。棒状のサウンドポスト24、25は、剛体より成る振動伝達部材であって、それぞれの1端が第1パネル10内面に固定され、それぞれの他端が第2パネル内面(図示せず)に、それぞれほぼ垂直に固定される。
棒状のサウンドポスト24、25は、棒状のサウンドポスト18と同様に、第1パネル10の振動を第2パネル19に伝達する機能を有するが、それらを固定する位置は、再生すべき音声信号の性質に応じて決定する。これらは、振動伝達機能のほかに、第1パネル10と第2パネル19との連結を安定化する効果をも有する。
【0032】
次に、本発明の第6の実施の形態としての倍音スピーカー6について説明する。倍音スピーカー6は、シングルパネル方式のスピーカーである。再生すべき音声信号の性質によっては、単一パネルでも再生音と新生倍音を得ることができる。
図10に示すように、倍音スピーカー6は、駆動装置61の筐体を、両側の固定治具がパネルの上下二等分線をまたぐ位置で、2個の固定治具65.66を介してパネル60の表面から浮いた姿勢で固定し、駆動装置61の一方の固定治具取付け位置近辺の裏面に棒状のバスバー67を固定し、開口部63,64を備え、更に駆動装置の2個の固定治具65.66間に表裏貫通する切込み部68を備え、パネル60の全周縁部を枠体62に固定している。
【0033】
次に、本発明の第7の実施の形態としての倍音スピーカー7について説明する。倍音スピーカー7は、駆動装置を内装したスピーカーである。
図11に示すように、倍音スピーカー7は、駆動装置71の筐体を、第1パネル70の内面に、両側の固定治具がパネルの上下二等分線をまたぐ位置で、2個の固定治具75.76を介して第1パネル70の内面から浮いた姿勢で固定し、駆動装置71の一方の固定治具取付け位置近辺の内面に棒状のバスバー77を固定し、駆動装置71の他方の固定治具取付け位置近辺の内面に棒状のサウンドポストの1端をほぼ垂直姿勢で固定し、開口部73,74を備え、更に駆動装置の2個の固定治具75.76間に表裏貫通する切込み部79を備え、第1パネル70の全周縁部を枠体72に固定している。
また棒状のサウンドポストの他端には、第2パネル80の内面をほぼ垂直姿勢で固定することにより、第1パネル70と第2パネル80がほぼ平行的に相対する構成としている。
この実施の形態である倍音スピーカー7は、駆動装置71の取付け位置姿勢以外の要素において、第1の実施形態である倍音スピーカー1と同様であるので、それらの要素についての説明を省略する。
【0034】
以上説明したところを、この実施の形態について、第1の実施の形態である倍音スピーカー1を代表的形態として要約すると、倍音スピーカー1は、棒状のサウンドポスト18によって音響的に連結された第1パネル10と第2パネル19がそれぞれ振動して発音する構成を備えたことにより、従来のコーン型スピーカーともフラットパネル型スピーカーとも異なる下記の特徴を具備することができた。
(1)第1パネル10内面に棒状のバスバー17を備えたことにより、第1パネル10は、より低音域の振動を主として駆動装置11の左固定治具15を介して円滑に受容できるようになり、低音域における第1パネル10の暴走課題が解消した。
(2)低音域における第1パネル10の暴走はさらに、振動エネルギーの一部が、棒状のサウンドポスト18を介して第2パネル19に伝達され、第2パネル19の振動に費消されることにより、解消した。第1パネル10と第2パネル19の相乗的かつ相補的作用は、ヴァイオリン属楽器の表板と裏板における相互作用と同様である。
(3)第2パネル19は、中位の振動エネルギー範囲においては、駆動装置11の下方固定治具16を介する第1パネル10下半分領域の振動を受容して主として中高音帯域振動に応じて発音するが、より高位の振動エネルギー範囲においては、より低音域振動にも対応して振動することができ、底力のある音波を発生する。第2パネル19のこの機能は、音響理論上、ヴァイオリン属楽器の裏板の機能と同等(アナロガス)である。
(4)第2パネル19は特に、周縁部が基本的に自由端であることにより、原音を基音とした新生倍音の発生に有効である。
(5)この実施の形態としての倍音スピーカーは、振動理論上無指向性に音波を伝播するため、コーン型スピーカーのようなエンクロージャーを必要としない。従って、エンクロージャーに基づいて発生する位相ずれ等の副作用問題をすべて免れることができた。
(6)この実施の形態としての倍音スピーカーによる音波の伝播は、振動理論上無指向性であるため、ステレオ音声信号再生時に、ステレオ感覚可聴範囲が極めて広い。
(7)駆動装置11として、既成のスピーカーが適用できるので、ソース再生装置、アンプとも、従来品をのまま適用することができる。
(8)この実施の形態としての倍音スピーカーは、供給された音声信号に含まれた周波数帯域の信号に対応した音波を発生するばかりでなく、供給された音声信号を基音とする倍音を創生する。従って、録音帯域が限定され、高音域がカットされた音源を使用した場合においても、原音と同時に倍音を発生することにより、生演奏をじかに聞くようなリアリティの高い音(再生音+倍音)を聞くことができる。
【実施例1】
【0035】
図13Aは、実施例1の本発明倍音スピーカーが、440Hzの音声信号の入力に対して発生した音波の対周波数パワースペクトルである。440Hzの基音に対して、スピーカーが倍音を発生していることが分かる。これらの倍音はすべて、実施例1の本発明倍音スピーカーが創生した音である。
また図13Bは、実施例1の本発明倍音スピーカーから第2パネルを取り外して第1パネルのみとした場合に第1パネルが発した音波の対周波数パワースペクトルである。図13Aとの比較により、実施例1の本発明倍音スピーカーにおいて、第2パネルの倍音創生効果が明確に理解できる。
なおこれらのスペクトル収集は、SpeakerCheck tool(音楽研究所)によって440Hz音をPCより発生し、アンプ(型QriomSP-250、山善)で増幅し、実施例1の本発明倍音スピーカーに入力した。また、実施例1の本発明倍音スピーカーが発生した音波は、ボイスレコーダ(型S-20M、オリンパス)で収録し、FFT分析ソフト(wavespectra)によって対周波数パワースペクトルを得た。
【産業上の利用可能性】
【0036】
枠体に固定した第1パネルの片面に棒状のバスバーを備えて低周波数帯域音声信号への対応性を拡大し、第1パネルの棒状のバスバーなしの他側領域と第2パネルとを、両パネルが対面姿勢になるように棒状のサウンドポストを介して固定的に連結し、第1パネルを駆動すると同時に第2パネル振動させることによって、低音域を含む音声信号の高忠実度再生および音声信号を基音とする倍音創生の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 倍音スピーカー1
10 第1パネル
11 駆動装置
12 枠体
13 開口
14 開口
15 駆動装置上方固定治具
16 駆動装置下方固定治具
17 棒状のバスバー
18 棒状のサウンドポスト
19 第2パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長形状の第1パネルと、第1パネルと相似形の第2パネルとを、単数あるいは複数の棒状サウンドポストによって第1パネルと第2パネルが対面する姿勢に結合し、第1パネルの全周縁部に枠体を固定し、棒状バスバーを、第1パネル長軸に沿う上下二等分線によって分割された第1パネル内面の片側領域に、第1パネルの長軸に平行する姿勢で固定し、音声信号に応じて振動する部材を備えた駆動装置を第1パネルの外面あるいは内面に固定した構成において、
駆動装置の音声信号に応じて振動する部材が第1パネルを強制振動することによって、第1パネルが発音すると同時に、第1パネルの振動がサウンドポストを介して第2パネルに伝達され、第2パネルが分割共振を行うことにより、
音声信号に応じた音波を発生すると共に、その音波に重畳して、音声信号を基音とした倍音を発生することを特徴とする倍音スピーカー。
【請求項2】
前記駆動装置は、両側固定治具によって第1パネルに固定され、前記駆動装置の振動する部材が両側固定治具を介して第1パネルを強制振動する構成において、前記駆動装置の片側(例えば上側)の固定治具はバスバー近辺の位置において、また他側(例えば下側)の固定治具はサウンドポスト近辺の位置において、共に前記駆動装置を第1パネル面から浮いた姿勢で第1パネルに固定したことを特徴とする請求項1記載の倍音スピーカー。
【請求項3】
前記第1パネルは、駆動装置と直近の周縁部との間の領域において、表裏貫通する開口部を備えたことを特徴とする請求項1記載あるいは請求項2記載の倍音スピーカー。
【請求項4】
前記枠体は、縦枠と横枠とから成り、縦枠と横枠が共に外方に向かって湾曲する形状を有し、第1パネルが外方に向かって中央部が突出する形状で固定されたことを特徴とする請求項1記載、請求項2記載、あるいは請求項3記載の倍音スピーカー。
【請求項5】
前記第1パネルは、両側固定治具間の領域において、表裏貫通する切込み部を備えたことを特徴とする請求項1記載、請求項2記載、請求項3記載、あるいは請求項4記載の倍音スピーカー。
【請求項6】
前記第2パネルは、固定部材によって枠体に固定的あるいは弾性的に結合させたことを特徴とする請求項1記載、請求項2記載、請求項3記載、請求項4記載、あるいは請求項5記載の倍音スピーカー。
【請求項7】
横長形状のパネルの全周縁部を枠体に固定し、駆動装置を、その両側固定治具がパネルの上下二等分線をまたぐ位置において、両側固定治具を介してパネルの表面から浮いた姿勢で固定し、駆動装置の一方の固定治具取付け位置近辺の裏面に棒状のバスバーをパネルの長軸に平行する姿勢で固定し、パネル表裏を貫通する開口部と、駆動装置の両側固定治具間に表裏貫通する切込み部とをパネルに備えた構成であることを特徴とする倍音スピーカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−90093(P2013−90093A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227949(P2011−227949)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(307025126)
【出願人】(304022492)有限会社 桐原産業 (3)
【出願人】(594077024)
【Fターム(参考)】