倒れ検知装置及び乗客コンベア
【課題】紙袋や布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合でも誤検出しない倒れ検知装置及び乗客コンベアを得る。
【解決手段】乗客コンベア1の乗降口付近に設置され、レーザビームを放射するスキャン型距離センサ7を備え、スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、設定した検知エリア内のデータに対し時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差が閾値以下であり、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、領域の物体の表面サイズを計算し、物体の表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定するものにおいて、スキャン型距離センサは、物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知する。
【解決手段】乗客コンベア1の乗降口付近に設置され、レーザビームを放射するスキャン型距離センサ7を備え、スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、設定した検知エリア内のデータに対し時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差が閾値以下であり、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、領域の物体の表面サイズを計算し、物体の表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定するものにおいて、スキャン型距離センサは、物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、倒れ検知装置、及び、エスカレータ、電動道路等の乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアにおいては、運転中の乗客コンベアから利用者(乗客)が乗降口に降りる際、誤って倒れてしまうことが懸念されている。もし、利用者が乗降口で誤って倒れても、通常は利用者の倒れを検知することができないため、その改善が望まれている。
【0003】
従来の乗客コンベアにおいては、乗客コンベアの乗降部近傍にレーザスキャンセンサを設置し、このレーザスキャンセンサにより、平面座標上での利用者の移動を測定し、このレーザスキャンセンサにより測定した利用者の移動速度(乗降部における滞留状態情報)が所定値を下回ったとき、音声合成装置による注意喚起放送を行うとともに、利用客の滞留や混雑が長引いたときには、インバータ装置の発生周波数・電圧を制御して、駆動モータの速度を遅くしたり、停止させたりするようにした乗客コンベアの安全装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この乗客コンベアの安全装置は、乗客コンベアの乗降部近傍に設置したレーザスキャンセンサにより、検出対象物(乗客)の表面の連続点の座標マップを作成し、予め計測しておいた利用客がない状態における座標データマップと重ね合わせ、固定障害物の座標データを除去し、これによって、乗客コンベア上の現在の平面座標データマップにより、乗客の輪郭データを得る。そして、乗客の輪郭データから、乗客の中心点の座標を算出し、個々の検出対象物(乗客)の移動速度を算出し、検出対象物の移動速度が予定のしきい値を下回った場合、乗客の立ち止まりや滞留を検出し、また、乗客の立ち止まりや滞留を検出しなかった場合でも、検出物体多数検出しきい値を上回った場合には、乗客コンベア乗降部の混雑状態と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−303057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の乗客コンベアの安全装置では、レーザスキャンセンサにより、捉えた検出対象物(利用者)の輪郭データ(形状)から中心点を捉え、その中心点の数と移動速度に基づいて滞留や過密状態を計測しているため、利用者(乗客)が倒れた場合、例えば頭部が乗降口付近であっても足元はスキャンエリア外の場合があり、このような状態では正確に中心点が求められず、倒れを検知できない場合がある。また、仮に中心点を求めたとしても、乗降口以外が中心となって、問題無しと判断し警報を鳴らさない場合がある。また、倒れた利用者が手を動かすなど、バタついたり、微小なしぐさをした場合、手の部分で中心点を捉え、それが適度に動くため、混雑状態と誤認識して適正な通行状態と判定し、倒れを検知できない恐れがある。また、レーザが遠方まで届いてしまうと、乗客コンベアから離れた滞留によって誤動作する恐れがある。また、地面に踏み込んだ足の反対の足を捉えられ、且つ、転倒を捕らえる必要があるため、設置されるレーザスキャンセンサの高さは最適な高さにする必要がある。
【0006】
また、レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサを用いた乗客コンベアの利用者倒れ検知装置においては、外部より飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合には、誤検出することが考えられる。例えば、倒れ物体の物体表面サイズを350mmで設定した場合を考えると、センサ表面が飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によって180度の範囲で覆われてしまった場合は、その異物の物体表面サイズが314mmとなり、倒れ検出とはならずに誤検出となってしまうことがある。また、悪戯によってガム等の異物が付着した場合は、利用者の物体表面サイズが閾値以下であっても、ガムの物体表面サイズが加算されるため、誤って倒れと誤検出しまうことがある。また、センサ近傍にペットボトル等が置かれた場合、レーザ光屈折により、ペットボトルが検出できないことがある。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合でも誤検出せずに、確実に検知することができる倒れ検知装置及び乗客コンベアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る倒れ検知装置においては、転倒を検出する走査範囲である検知エリアに水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知するものである。
【0009】
また、この発明に係る乗客コンベアにおいては、乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、乗客コンベアの乗降口付近に設置され、乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、さらに、スキャン型距離センサは、物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知するものである。
【0010】
また、スキャン型距離センサは、物体までの距離が100mm以内の場合にセンサ近傍と判定するものである。
【0011】
また、スキャン型距離センサは、物体表面サイズが第1の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、軽度の異物検知として軽故障を検知し、物体表面サイズが第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、重度の異物検知として重故障を検知するものである。
【0012】
また、軽度の異物検知として軽故障を検知した場合はセンサ掃除要求を出力し、重度の異物検知として重故障を検知した場合は、異物の除去要求を出力するものである。
【0013】
また、スキャン型距離センサは、物体を検知しない場合は背景処理を実施し、その背景処理により、背景観測可能範囲であるにも拘らず、存在すべき背景が検知できない背景抜け部分があり、背景抜け部分の大きさが閾値よりも大きい場合は、異物検知として故障を検知するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合でも誤検出せずに、異物検知として警告や警報等の処理を行い、掃除要求や異物除去要求を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の基本例である倒れ検知装置を備えた乗客コンベアの全体の概略構成を示す側面図である。
【図2】この発明の基本例である倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す平面図である。
【図3】この発明の基本例である倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す乗降口部分の斜視図である。
【図4】この発明の基本例である倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲を示す説明図である。
【図5】この発明の基本例である倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲及び倒れを検出のための計算イメージを示す説明図である。
【図6】この発明の基本例である倒れ検知装置により倒れ状態と滞留状態を解析する様子を示す説明図である。
【図7】この発明の基本例である倒れ検知装置の倒れ検知アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の実施例1における倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す下りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図である。
【図9】この発明の実施例1における倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す上りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図である。
【図10】倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した状態を拡大して示す部分斜視図である。
【図11】倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した時の観測結果を示す説明図である。
【図12】この発明の実施例1における倒れ検知装置による故障検知を説明するためのフローチャートである。
【図13】この発明の実施例2における倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた状態を拡大して示す部分斜視図である。
【図14】倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた時の観測結果を示す説明図である。
【図15】この発明の実施例2における倒れ検知装置による別の故障検知を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【基本例】
【0016】
図1はこの発明の基本例である倒れ検知装置を備えた乗客コンベア全体の概略構成を示す側面図、図2は倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す平面図、図3は倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す乗降口部分の斜視図、図4は倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲を示す説明図、図5は倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲及び倒れを検出のための計算イメージを示す説明図、図6は倒れ検知装置により倒れ状態と滞留状態を解析する様子を示す説明図、図7は倒れ検知装置の倒れ検知アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【0017】
図1〜図3において、1は乗客コンベアで、ここでは下り運転されているものとする。2は乗客コンベア1の降り場となる1階の乗降口、3は乗客コンベア1の乗り場となる2階の乗降口、4は各乗降口2、3にそれぞれ設置された乗客コンベアの乗降用床板であり、乗客はこの乗降用床板4から乗客コンベア1のステップに乗り込んだり、乗客コンベア1のステップから降りたりするものである。5は乗降用床板4のステップ側の先端部に設けられたくし板、6は乗降用床板4の反くし板5側に設けられた、乗客が乗客コンベア1の乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路である。ここでは、利用者(乗客)が降り場である1階の乗降口2の乗降用床板4上で倒れした場合を示している。7は1階の乗降口(降り場)2の一側部付近及び2階の乗降口(乗り場)3の一側部付近に乗客の通行の邪魔にならないようにそれぞれ設置されたレーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサで、図3に示すように、柱体の中に設置しても良い。また、レーザスキャンカメラとセットになっていて、小型カメラにより倒れ検知映像を捉え、倒れ検知映像を保存したり、管理者に送るようにしても良い。このスキャン型距離センサ7は、図2に示すように、乗降口2、3の一側部付近からレーザビームを水平方向に放射し、レーザの光軸を鉛直方向に回転させることでセンサを中心とした水平方向の距離を測定している。そして、乗降口2の一側部付近に設置されたスキャン型距離センサ7のレーザビームの走査範囲7aは、1階の乗降口(降り場)2では、乗客が乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路6、乗降用床板4、くし板5の範囲を含むように走査されている。また、乗降口3の一側部付近に設置されたスキャン型距離センサ7のレーザビームの走査範囲7aは、2階の乗降口(乗り場)3では、くし板5、乗降用床板4、乗客が乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路6の範囲を含むように走査されている。すなわち、レーザビームの走査範囲7aは、乗降口2、3付近に設けられた乗降用床板4及びくし板5は勿論のこと、離れた位置から乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路6を含むように走査されるものである。8はスキャン型距離センサ7に接続された処理装置である。このようなスキャン型距離センサ7及び処理装置8を設置し、スキャン型距離センサ7により物体の大きさ若しくは長さを計測する。スキャン型距離センサ7が測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差および標準偏差の標準偏差を計算する。標準偏差が閾値以下であり、且つ、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算する。そして、その表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定時間以上持続すると、利用者(乗客)の倒れ状態と判定する。図4に示すように、スキャン型距離センサ7は、±120°の範囲を例えば0.36°(360°を1024分割)の角度ピッチで物体との距離Rを計測する。計測単位はミリメートル(mm)とする。走査周期は100msである。図5は簡単にするため、15°ピッチで図示しており、○印は測定点である。図5の点線の枠は検知エリアを示しており、点A、B、Hは検知エリア外のため、計算に利用されない。図5の黒矢印は過去1〜2秒間の測定点の距離変動の標準偏差、白矢印は前記標準偏差の過去2〜8点の標準偏差の範囲を示している。標準偏差の標準偏差とは、先に求めた標準偏差自体の時間的な変化幅を見るために、更に時間軸方向に標準偏差を取ったものである。図5の点C、D、E、F、Gは検知エリア内のため、計算に利用される。図5の点D−E間で更に両側にはみ出している円弧、点Fの両側にはみ出している円弧、及び点Gの両側にはみ出している円弧は物体表面サイズである。ここで、検知エリアの境界処理を説明する。点Gは過去1〜2秒間には検知エリアから外れた点が存在するかも知れない。この場合、検知エリアから外れた点は計算に加えないことになっている。標準偏差、標準偏差の標準偏差の両方若しくは選択した側が閾値以下となると、物体表面サイズを計算する。今、点D、E、F、Gが閾値以下となったとすると、それぞれの円弧の長さを出し、その合計を物体表面サイズとする。また、図6は横軸を標準偏差の値(又は標準偏差の標準偏差の値)とし、所定の物体表面サイズ以上となる時間を縦軸にとったものである。図6から明らかなように、倒れ状態は継続時間が長く、滞留状態は継続時間が短いため、倒れ状態と滞留状態との間に間隔があれば、この間隔をマージンとして正しく判定ができることを意味する。また、最も間隔が広いところを判定閾値とすればよい。実際の標準偏差による解析結果によれば、標準偏差の閾値を60〜80mm、物体表面サイズの閾値を400〜600mm、継続時間を5〜10秒とした場合に倒れを正しく判定できることが判った。但し、この場合はスキャン型距離センサ7の前でバタついた場合は倒れと判定されない。(バタつき倒れ:手足を30cm往復/秒で動かす)。また、実際の標準偏差の標準偏差による解析結果によれば、標準偏差の標準偏差の閾値を20〜40mm、物体表面サイズの閾値を300〜500mm、継続時間を1〜2秒とした場合に正しく判定でき、この場合は前記バタつき倒れでも倒れと判定できることが判った。よって、標準偏差の標準偏差で倒れ検知することを選択し、上記パラメータを設定することで、バタつきを含め倒れを正しく検知できると言える。上記パラメータの有効性を検証するために、閑散時、過密(混雑)時、静止倒れ、バタつき倒れについて検証した結果、非倒れ時は誤報がなく、バタつき倒れを含む倒れは約5〜10秒で倒れを検知できることを確認した。すなわち、上記検証結果によると、閑散時は、占有率が12.5%と低く、標準偏差の標準偏差は、ほんの一瞬しか閾値を下回らず、その範囲も小さいため物体表面サイズは殆ど上昇しない。よって倒れとは判定されない。過密(混雑)時は、占有率が50%を超え、4m/分と非常に低速時においても、標準偏差の標準偏差は殆ど閾値を下回らない。よって過密時においても倒れとは誤判定しない。また、静止倒れの場合は、倒れた瞬間から物体表面サイズが200mmを超えるまでの差が3.5秒、継続時間1.5秒を加えると5秒で倒れを検知する。また、バタつき倒れの場合は、倒れた瞬間から物体表面サイズが200mmを超えるまでの差が4.5秒、継続時間1.5秒を加えると6秒で倒れを検知する。なお、実際に同条件で現地データを評価した。現地データは非常に混雑した状態であるが、標準偏差の標準偏差は閾値を殆ど下回らず誤報に至ることはなかった。
【0018】
次に、この発明の基本例である倒れ検知装置及び乗客コンベアの倒れ検知アルゴリズムを図7により説明する。
レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7により、測定した角度毎の距離データを蓄積する(ステップS1)。次に、測定距離データを抽出して(ステップS2)、標準偏差の計算を行い(ステップS3)、標準偏差が閾値以下かどうかを判定する(ステップS4)。ここで、標準偏差は過去1〜2秒間の検知エリア内のデータから計算する。また、測定距離データを抽出して(ステップS2)、標準偏差の標準偏差の計算を行い(ステップS5)、標準偏差の標準偏差が閾値以下かどうかを判定する(ステップS6)。ここで、標準偏差の標準偏差は過去2〜8点の標準偏差から計算する。そして、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算する(ステップS7)。そして、計算の結果、その物体の表面サイズが閾値以上かどうかを判定し(ステップS8)、閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると(ステップS9)、倒れ状態と判定し、倒れを検知する(ステップS10)。なお、倒れを検知した場合、乗客コンベアの速度を落とし、停止させることは言うまでもない。また、倒れを検知した場合は、時間の経過とともに警告のためのアラーム音量を大きくするようにしても良い。また、ほぼ0メートルのスキャン角度が所定の割合以上になった場合は、スキャン型距離センサ7に汚れが付着したと判断し(汚れ検知機能)、警告を出すようにしても良い。
【実施例1】
【0019】
上記基本例によるレーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7を用いた乗客コンベアの利用者倒れ検知装置においては、外部より飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合には、誤検出することが考えられる。例えば、倒れ物体の物体表面サイズを350mmで設定した場合を考えると、センサ表面が飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によって、例えば距離100mmで180度の範囲で覆われてしまった場合は、その異物の物体表面サイズが3.14×100=314mmとなり、倒れ検出とはならずに誤検出となってしまうことがある。また、悪戯によってガム等の異物が付着した場合は、利用者の物体表面サイズが閾値以下であっても、ガムの物体表面サイズが加算されるため、誤って倒れと誤検出しまうことがある。また、センサ近傍にペットボトル等が置かれた場合、レーザ光屈折により、ペットボトルが検出できないことがある。
【0020】
図8はこの発明の実施例1における倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す下りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図、図9は倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す上りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図、図10は倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した状態を拡大して示す部分斜視図、図11は倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した時の観測結果を示す説明図、図12は倒れ検知装置による故障検知を説明するためのフローチャートである。
【0021】
図8はスキャン型距離センサ7の下りエスカレータのレーザ検出限界X(約2m)、背景観測可能範囲Y1と無効範囲Y2、背景観測可能範囲の最大距離Z(約3m)を示す。また、図9は上りエスカレータの場合を示す。上りエスカレータはライザが動くため、背景が変化することを考慮し、レーザ検出限界Xを約1.7mまで狭くできるが、背景観測可能範囲Y1と無効範囲Y2、背景観測可能範囲の最大距離Z(約3m)はほぼ変わらない。
図10はスキャン型距離センサ7に紙袋等の異物9が付着した状態を示す。図11はスキャン型距離センサ7に紙袋等の異物9が付着した時の観測結果を示す。
【0022】
次に、この発明の実施例1である倒れ検知装置により、スキャン型距離センサ7に紙袋等の異物9が付着した場合の故障検知について、図12により説明する。
レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7により、検知エリア内の測定距離データを抽出処理し(ステップS11)、角度毎の測定距離データを蓄積し(ステップS12)、物体の表面サイズ(長さ)を計算し(ステップS13)、物体までの距離を計算する(ステップS14)。物体までの距離を計算した結果、その物体までの距離が例えば100mm以内のセンサ近傍かどうかを判定する(ステップS15)。もしステップS15で物体までの距離が100mm以内のセンサ近傍でなければ、ステップS16に進み、通常の倒れ検知処理が行われる(詳細は基本例の図7参照)。次に、上記ステップS15で物体までの距離が100mm以内のセンサ近傍であると判定された場合は、倒れ検知の処理対象とせず、物体サイズは第1の閾値A以上であるかどうかを判定する(ステップS17)。もしステップS17で物体サイズが第1の閾値A以上でなければ、余り影響を受けないのでステップS18に進み、終了する。次に、上記ステップS17で物体サイズが第1の閾値A以上であると判定された場合は、物体サイズは第1の閾値Aよりも大きい第2の閾値B以上であるかどうかを判定する(ステップS19)。もしステップS19で物体サイズが第1の閾値Aよりも大きい第2の閾値B以上でなければ、その状態が所定の継続時間以上継続するかどうかを判定し(ステップS20)、所定の継続時間以上継続すれば、軽故障検知として処理される(ステップS21)。ここで軽故障検知とは、例えば物体サイズが比較的小さく、ジュース等の飲み物や水滴等がかかった状態で、所定の継続時間放置しておけば、やがて乾燥蒸発して飲み物や水滴が無くなるのであれば、軽故障検知には至らないこともあるが、もし所定の継続時間以上継続しても軽故障の原因が解消されない場合は、異物検知の軽故障として緊急性は低いが、スキャン型距離センサ7の掃除要求を出力する処理を行うことになる。また、ステップS19で物体サイズが第1の閾値Aよりも大きい第2の閾値B以上であれば、その状態が所定の継続時間以上継続するかどうかを判定し(ステップS22)、所定の継続時間以上継続すれば、異物検知の重故障検知として処理される(ステップS23)。ここで重故障検知とは、例えば物体サイズが大きく、紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合で、所定の継続時間放置しておけば、やがて紙袋やビニール袋或いは布類等の異物が外れて無くなるのであれば、重故障検知には至らないこともあるが、所定の継続時間以上継続しても重故障の原因が解消されない場合は、異物検知の重故障として緊急性が高いため、スキャン型距離センサ7の異物を除去するという異物処理要求を出力することになる。
【実施例2】
【0023】
図13はこの発明の実施例2における倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた状態を拡大して示す部分斜視図、図14は倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた時の観測結果を示す説明図、図15は倒れ検知装置による別の故障検知を説明するためのフローチャートである。
この実施例2は、スキャン型距離センサ7に近接して飲みかけのペットボトル10が置かれた場合の故障検知であり、ペットボトル10でのレーザ光屈折により、ペットボトル10の存在が検出できない場合があるので、背景処理を加えたものである。
【0024】
次に、この発明の実施例2における倒れ検知装置により、スキャン型距離センサ7に近接して飲みかけのペットボトル10が置かれた場合の故障検知について、図15により説明する。
レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7により、検知エリア内の測定距離データを抽出処理し(ステップS31)、角度毎の測定距離データを蓄積し(ステップS32)、物体の表面サイズを計算する(ステップS33)。そして、物体を検知したかどうかを判定する(ステップS34)。もしステップS34で物体を検知した場合は、ステップS35に進み、通常の倒れ検知処理が行われる(詳細は基本例の図7参照)。次に、上記ステップS34で物体を検知しないと判定された場合は、ステップS36に進み、背景処理を実施する。次に、上記ステップS36で背景処理を実施した結果、背景観測可能範囲Y1であるにも拘らず、スカートガード等の存在すべき背景となる壁11が検知できない背景抜け部分12がある場合、その背景抜け部分12の大きさが閾値αより小さいかどうかを判定する(ステップS37)。そして、背景抜け部分12の大きさが閾値αより小さいと判定された場合は、ステップS35に進み、通常の倒れ検知処理が行われる(詳細は基本例の図7参照)。しかし、背景抜け部分12の大きさが閾値αよりも大きいと判定された場合は、重故障検知として処理される(ステップS38)。この場合の重故障検知処理とは、スキャン型距離センサ7に近接して置かれたペットボトル10を除去するという処理要求を出力することになる。
先行技術ではペットボトルが置かれた場合、レーザ光屈折により倒れを検知できないばかりか、ペットボトルすら検知できない問題があったが、以上説明した動作より、ペットボトルによって倒れ検知が正常に出来ない状態にあると重故障検知し警報を上げることができる。
【0025】
なお、実施例1、2では、この発明の倒れ検知装置を乗客コンベアに適用した例について説明したが、これに限ることなく、この発明の倒れ検知装置を例えばエレベータのかごに設置してエレベータのかご内の倒れ検知を行うなど、特定のエリアの倒れ検知にも適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 乗客コンベア
2 1階の乗降口(降り場)
3 2階の乗降口(乗り場)
4 乗降用床板
5 くし板
6 アプローチ用通路
7 スキャン型距離センサ(レーザスキャンセンサ)
7a レーザビームの走査範囲
8 処理装置
9 紙袋等の異物
10 ペットボトル
11 スカートガード等の存在すべき背景となる壁
12 背景抜け部分
【技術分野】
【0001】
この発明は、倒れ検知装置、及び、エスカレータ、電動道路等の乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアにおいては、運転中の乗客コンベアから利用者(乗客)が乗降口に降りる際、誤って倒れてしまうことが懸念されている。もし、利用者が乗降口で誤って倒れても、通常は利用者の倒れを検知することができないため、その改善が望まれている。
【0003】
従来の乗客コンベアにおいては、乗客コンベアの乗降部近傍にレーザスキャンセンサを設置し、このレーザスキャンセンサにより、平面座標上での利用者の移動を測定し、このレーザスキャンセンサにより測定した利用者の移動速度(乗降部における滞留状態情報)が所定値を下回ったとき、音声合成装置による注意喚起放送を行うとともに、利用客の滞留や混雑が長引いたときには、インバータ装置の発生周波数・電圧を制御して、駆動モータの速度を遅くしたり、停止させたりするようにした乗客コンベアの安全装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この乗客コンベアの安全装置は、乗客コンベアの乗降部近傍に設置したレーザスキャンセンサにより、検出対象物(乗客)の表面の連続点の座標マップを作成し、予め計測しておいた利用客がない状態における座標データマップと重ね合わせ、固定障害物の座標データを除去し、これによって、乗客コンベア上の現在の平面座標データマップにより、乗客の輪郭データを得る。そして、乗客の輪郭データから、乗客の中心点の座標を算出し、個々の検出対象物(乗客)の移動速度を算出し、検出対象物の移動速度が予定のしきい値を下回った場合、乗客の立ち止まりや滞留を検出し、また、乗客の立ち止まりや滞留を検出しなかった場合でも、検出物体多数検出しきい値を上回った場合には、乗客コンベア乗降部の混雑状態と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−303057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の乗客コンベアの安全装置では、レーザスキャンセンサにより、捉えた検出対象物(利用者)の輪郭データ(形状)から中心点を捉え、その中心点の数と移動速度に基づいて滞留や過密状態を計測しているため、利用者(乗客)が倒れた場合、例えば頭部が乗降口付近であっても足元はスキャンエリア外の場合があり、このような状態では正確に中心点が求められず、倒れを検知できない場合がある。また、仮に中心点を求めたとしても、乗降口以外が中心となって、問題無しと判断し警報を鳴らさない場合がある。また、倒れた利用者が手を動かすなど、バタついたり、微小なしぐさをした場合、手の部分で中心点を捉え、それが適度に動くため、混雑状態と誤認識して適正な通行状態と判定し、倒れを検知できない恐れがある。また、レーザが遠方まで届いてしまうと、乗客コンベアから離れた滞留によって誤動作する恐れがある。また、地面に踏み込んだ足の反対の足を捉えられ、且つ、転倒を捕らえる必要があるため、設置されるレーザスキャンセンサの高さは最適な高さにする必要がある。
【0006】
また、レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサを用いた乗客コンベアの利用者倒れ検知装置においては、外部より飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合には、誤検出することが考えられる。例えば、倒れ物体の物体表面サイズを350mmで設定した場合を考えると、センサ表面が飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によって180度の範囲で覆われてしまった場合は、その異物の物体表面サイズが314mmとなり、倒れ検出とはならずに誤検出となってしまうことがある。また、悪戯によってガム等の異物が付着した場合は、利用者の物体表面サイズが閾値以下であっても、ガムの物体表面サイズが加算されるため、誤って倒れと誤検出しまうことがある。また、センサ近傍にペットボトル等が置かれた場合、レーザ光屈折により、ペットボトルが検出できないことがある。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合でも誤検出せずに、確実に検知することができる倒れ検知装置及び乗客コンベアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る倒れ検知装置においては、転倒を検出する走査範囲である検知エリアに水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知するものである。
【0009】
また、この発明に係る乗客コンベアにおいては、乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、乗客コンベアの乗降口付近に設置され、乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、さらに、スキャン型距離センサは、物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知するものである。
【0010】
また、スキャン型距離センサは、物体までの距離が100mm以内の場合にセンサ近傍と判定するものである。
【0011】
また、スキャン型距離センサは、物体表面サイズが第1の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、軽度の異物検知として軽故障を検知し、物体表面サイズが第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、重度の異物検知として重故障を検知するものである。
【0012】
また、軽度の異物検知として軽故障を検知した場合はセンサ掃除要求を出力し、重度の異物検知として重故障を検知した場合は、異物の除去要求を出力するものである。
【0013】
また、スキャン型距離センサは、物体を検知しない場合は背景処理を実施し、その背景処理により、背景観測可能範囲であるにも拘らず、存在すべき背景が検知できない背景抜け部分があり、背景抜け部分の大きさが閾値よりも大きい場合は、異物検知として故障を検知するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合でも誤検出せずに、異物検知として警告や警報等の処理を行い、掃除要求や異物除去要求を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の基本例である倒れ検知装置を備えた乗客コンベアの全体の概略構成を示す側面図である。
【図2】この発明の基本例である倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す平面図である。
【図3】この発明の基本例である倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す乗降口部分の斜視図である。
【図4】この発明の基本例である倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲を示す説明図である。
【図5】この発明の基本例である倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲及び倒れを検出のための計算イメージを示す説明図である。
【図6】この発明の基本例である倒れ検知装置により倒れ状態と滞留状態を解析する様子を示す説明図である。
【図7】この発明の基本例である倒れ検知装置の倒れ検知アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の実施例1における倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す下りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図である。
【図9】この発明の実施例1における倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す上りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図である。
【図10】倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した状態を拡大して示す部分斜視図である。
【図11】倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した時の観測結果を示す説明図である。
【図12】この発明の実施例1における倒れ検知装置による故障検知を説明するためのフローチャートである。
【図13】この発明の実施例2における倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた状態を拡大して示す部分斜視図である。
【図14】倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた時の観測結果を示す説明図である。
【図15】この発明の実施例2における倒れ検知装置による別の故障検知を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【基本例】
【0016】
図1はこの発明の基本例である倒れ検知装置を備えた乗客コンベア全体の概略構成を示す側面図、図2は倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す平面図、図3は倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す乗降口部分の斜視図、図4は倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲を示す説明図、図5は倒れ検知装置に用いるスキャン型距離センサの走査範囲及び倒れを検出のための計算イメージを示す説明図、図6は倒れ検知装置により倒れ状態と滞留状態を解析する様子を示す説明図、図7は倒れ検知装置の倒れ検知アルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
【0017】
図1〜図3において、1は乗客コンベアで、ここでは下り運転されているものとする。2は乗客コンベア1の降り場となる1階の乗降口、3は乗客コンベア1の乗り場となる2階の乗降口、4は各乗降口2、3にそれぞれ設置された乗客コンベアの乗降用床板であり、乗客はこの乗降用床板4から乗客コンベア1のステップに乗り込んだり、乗客コンベア1のステップから降りたりするものである。5は乗降用床板4のステップ側の先端部に設けられたくし板、6は乗降用床板4の反くし板5側に設けられた、乗客が乗客コンベア1の乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路である。ここでは、利用者(乗客)が降り場である1階の乗降口2の乗降用床板4上で倒れした場合を示している。7は1階の乗降口(降り場)2の一側部付近及び2階の乗降口(乗り場)3の一側部付近に乗客の通行の邪魔にならないようにそれぞれ設置されたレーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサで、図3に示すように、柱体の中に設置しても良い。また、レーザスキャンカメラとセットになっていて、小型カメラにより倒れ検知映像を捉え、倒れ検知映像を保存したり、管理者に送るようにしても良い。このスキャン型距離センサ7は、図2に示すように、乗降口2、3の一側部付近からレーザビームを水平方向に放射し、レーザの光軸を鉛直方向に回転させることでセンサを中心とした水平方向の距離を測定している。そして、乗降口2の一側部付近に設置されたスキャン型距離センサ7のレーザビームの走査範囲7aは、1階の乗降口(降り場)2では、乗客が乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路6、乗降用床板4、くし板5の範囲を含むように走査されている。また、乗降口3の一側部付近に設置されたスキャン型距離センサ7のレーザビームの走査範囲7aは、2階の乗降口(乗り場)3では、くし板5、乗降用床板4、乗客が乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路6の範囲を含むように走査されている。すなわち、レーザビームの走査範囲7aは、乗降口2、3付近に設けられた乗降用床板4及びくし板5は勿論のこと、離れた位置から乗降用床板4に接近するためのアプローチ用通路6を含むように走査されるものである。8はスキャン型距離センサ7に接続された処理装置である。このようなスキャン型距離センサ7及び処理装置8を設置し、スキャン型距離センサ7により物体の大きさ若しくは長さを計測する。スキャン型距離センサ7が測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差および標準偏差の標準偏差を計算する。標準偏差が閾値以下であり、且つ、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算する。そして、その表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定時間以上持続すると、利用者(乗客)の倒れ状態と判定する。図4に示すように、スキャン型距離センサ7は、±120°の範囲を例えば0.36°(360°を1024分割)の角度ピッチで物体との距離Rを計測する。計測単位はミリメートル(mm)とする。走査周期は100msである。図5は簡単にするため、15°ピッチで図示しており、○印は測定点である。図5の点線の枠は検知エリアを示しており、点A、B、Hは検知エリア外のため、計算に利用されない。図5の黒矢印は過去1〜2秒間の測定点の距離変動の標準偏差、白矢印は前記標準偏差の過去2〜8点の標準偏差の範囲を示している。標準偏差の標準偏差とは、先に求めた標準偏差自体の時間的な変化幅を見るために、更に時間軸方向に標準偏差を取ったものである。図5の点C、D、E、F、Gは検知エリア内のため、計算に利用される。図5の点D−E間で更に両側にはみ出している円弧、点Fの両側にはみ出している円弧、及び点Gの両側にはみ出している円弧は物体表面サイズである。ここで、検知エリアの境界処理を説明する。点Gは過去1〜2秒間には検知エリアから外れた点が存在するかも知れない。この場合、検知エリアから外れた点は計算に加えないことになっている。標準偏差、標準偏差の標準偏差の両方若しくは選択した側が閾値以下となると、物体表面サイズを計算する。今、点D、E、F、Gが閾値以下となったとすると、それぞれの円弧の長さを出し、その合計を物体表面サイズとする。また、図6は横軸を標準偏差の値(又は標準偏差の標準偏差の値)とし、所定の物体表面サイズ以上となる時間を縦軸にとったものである。図6から明らかなように、倒れ状態は継続時間が長く、滞留状態は継続時間が短いため、倒れ状態と滞留状態との間に間隔があれば、この間隔をマージンとして正しく判定ができることを意味する。また、最も間隔が広いところを判定閾値とすればよい。実際の標準偏差による解析結果によれば、標準偏差の閾値を60〜80mm、物体表面サイズの閾値を400〜600mm、継続時間を5〜10秒とした場合に倒れを正しく判定できることが判った。但し、この場合はスキャン型距離センサ7の前でバタついた場合は倒れと判定されない。(バタつき倒れ:手足を30cm往復/秒で動かす)。また、実際の標準偏差の標準偏差による解析結果によれば、標準偏差の標準偏差の閾値を20〜40mm、物体表面サイズの閾値を300〜500mm、継続時間を1〜2秒とした場合に正しく判定でき、この場合は前記バタつき倒れでも倒れと判定できることが判った。よって、標準偏差の標準偏差で倒れ検知することを選択し、上記パラメータを設定することで、バタつきを含め倒れを正しく検知できると言える。上記パラメータの有効性を検証するために、閑散時、過密(混雑)時、静止倒れ、バタつき倒れについて検証した結果、非倒れ時は誤報がなく、バタつき倒れを含む倒れは約5〜10秒で倒れを検知できることを確認した。すなわち、上記検証結果によると、閑散時は、占有率が12.5%と低く、標準偏差の標準偏差は、ほんの一瞬しか閾値を下回らず、その範囲も小さいため物体表面サイズは殆ど上昇しない。よって倒れとは判定されない。過密(混雑)時は、占有率が50%を超え、4m/分と非常に低速時においても、標準偏差の標準偏差は殆ど閾値を下回らない。よって過密時においても倒れとは誤判定しない。また、静止倒れの場合は、倒れた瞬間から物体表面サイズが200mmを超えるまでの差が3.5秒、継続時間1.5秒を加えると5秒で倒れを検知する。また、バタつき倒れの場合は、倒れた瞬間から物体表面サイズが200mmを超えるまでの差が4.5秒、継続時間1.5秒を加えると6秒で倒れを検知する。なお、実際に同条件で現地データを評価した。現地データは非常に混雑した状態であるが、標準偏差の標準偏差は閾値を殆ど下回らず誤報に至ることはなかった。
【0018】
次に、この発明の基本例である倒れ検知装置及び乗客コンベアの倒れ検知アルゴリズムを図7により説明する。
レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7により、測定した角度毎の距離データを蓄積する(ステップS1)。次に、測定距離データを抽出して(ステップS2)、標準偏差の計算を行い(ステップS3)、標準偏差が閾値以下かどうかを判定する(ステップS4)。ここで、標準偏差は過去1〜2秒間の検知エリア内のデータから計算する。また、測定距離データを抽出して(ステップS2)、標準偏差の標準偏差の計算を行い(ステップS5)、標準偏差の標準偏差が閾値以下かどうかを判定する(ステップS6)。ここで、標準偏差の標準偏差は過去2〜8点の標準偏差から計算する。そして、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算する(ステップS7)。そして、計算の結果、その物体の表面サイズが閾値以上かどうかを判定し(ステップS8)、閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると(ステップS9)、倒れ状態と判定し、倒れを検知する(ステップS10)。なお、倒れを検知した場合、乗客コンベアの速度を落とし、停止させることは言うまでもない。また、倒れを検知した場合は、時間の経過とともに警告のためのアラーム音量を大きくするようにしても良い。また、ほぼ0メートルのスキャン角度が所定の割合以上になった場合は、スキャン型距離センサ7に汚れが付着したと判断し(汚れ検知機能)、警告を出すようにしても良い。
【実施例1】
【0019】
上記基本例によるレーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7を用いた乗客コンベアの利用者倒れ検知装置においては、外部より飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合には、誤検出することが考えられる。例えば、倒れ物体の物体表面サイズを350mmで設定した場合を考えると、センサ表面が飛来してきた紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によって、例えば距離100mmで180度の範囲で覆われてしまった場合は、その異物の物体表面サイズが3.14×100=314mmとなり、倒れ検出とはならずに誤検出となってしまうことがある。また、悪戯によってガム等の異物が付着した場合は、利用者の物体表面サイズが閾値以下であっても、ガムの物体表面サイズが加算されるため、誤って倒れと誤検出しまうことがある。また、センサ近傍にペットボトル等が置かれた場合、レーザ光屈折により、ペットボトルが検出できないことがある。
【0020】
図8はこの発明の実施例1における倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す下りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図、図9は倒れ検知装置及び乗客コンベアを示す上りエスカレータの乗り込み口付近の平面図及び側面図、図10は倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した状態を拡大して示す部分斜視図、図11は倒れ検知装置のスキャン型距離センサに紙袋等の異物が付着した時の観測結果を示す説明図、図12は倒れ検知装置による故障検知を説明するためのフローチャートである。
【0021】
図8はスキャン型距離センサ7の下りエスカレータのレーザ検出限界X(約2m)、背景観測可能範囲Y1と無効範囲Y2、背景観測可能範囲の最大距離Z(約3m)を示す。また、図9は上りエスカレータの場合を示す。上りエスカレータはライザが動くため、背景が変化することを考慮し、レーザ検出限界Xを約1.7mまで狭くできるが、背景観測可能範囲Y1と無効範囲Y2、背景観測可能範囲の最大距離Z(約3m)はほぼ変わらない。
図10はスキャン型距離センサ7に紙袋等の異物9が付着した状態を示す。図11はスキャン型距離センサ7に紙袋等の異物9が付着した時の観測結果を示す。
【0022】
次に、この発明の実施例1である倒れ検知装置により、スキャン型距離センサ7に紙袋等の異物9が付着した場合の故障検知について、図12により説明する。
レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7により、検知エリア内の測定距離データを抽出処理し(ステップS11)、角度毎の測定距離データを蓄積し(ステップS12)、物体の表面サイズ(長さ)を計算し(ステップS13)、物体までの距離を計算する(ステップS14)。物体までの距離を計算した結果、その物体までの距離が例えば100mm以内のセンサ近傍かどうかを判定する(ステップS15)。もしステップS15で物体までの距離が100mm以内のセンサ近傍でなければ、ステップS16に進み、通常の倒れ検知処理が行われる(詳細は基本例の図7参照)。次に、上記ステップS15で物体までの距離が100mm以内のセンサ近傍であると判定された場合は、倒れ検知の処理対象とせず、物体サイズは第1の閾値A以上であるかどうかを判定する(ステップS17)。もしステップS17で物体サイズが第1の閾値A以上でなければ、余り影響を受けないのでステップS18に進み、終了する。次に、上記ステップS17で物体サイズが第1の閾値A以上であると判定された場合は、物体サイズは第1の閾値Aよりも大きい第2の閾値B以上であるかどうかを判定する(ステップS19)。もしステップS19で物体サイズが第1の閾値Aよりも大きい第2の閾値B以上でなければ、その状態が所定の継続時間以上継続するかどうかを判定し(ステップS20)、所定の継続時間以上継続すれば、軽故障検知として処理される(ステップS21)。ここで軽故障検知とは、例えば物体サイズが比較的小さく、ジュース等の飲み物や水滴等がかかった状態で、所定の継続時間放置しておけば、やがて乾燥蒸発して飲み物や水滴が無くなるのであれば、軽故障検知には至らないこともあるが、もし所定の継続時間以上継続しても軽故障の原因が解消されない場合は、異物検知の軽故障として緊急性は低いが、スキャン型距離センサ7の掃除要求を出力する処理を行うことになる。また、ステップS19で物体サイズが第1の閾値Aよりも大きい第2の閾値B以上であれば、その状態が所定の継続時間以上継続するかどうかを判定し(ステップS22)、所定の継続時間以上継続すれば、異物検知の重故障検知として処理される(ステップS23)。ここで重故障検知とは、例えば物体サイズが大きく、紙袋やビニール袋或いは布類等の異物によってセンサカバーが覆われた場合、或いは悪戯によってセンサカバーにガム等が貼り付けられた場合で、所定の継続時間放置しておけば、やがて紙袋やビニール袋或いは布類等の異物が外れて無くなるのであれば、重故障検知には至らないこともあるが、所定の継続時間以上継続しても重故障の原因が解消されない場合は、異物検知の重故障として緊急性が高いため、スキャン型距離センサ7の異物を除去するという異物処理要求を出力することになる。
【実施例2】
【0023】
図13はこの発明の実施例2における倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた状態を拡大して示す部分斜視図、図14は倒れ検知装置のスキャン型距離センサの近傍にペットボトルが置かれた時の観測結果を示す説明図、図15は倒れ検知装置による別の故障検知を説明するためのフローチャートである。
この実施例2は、スキャン型距離センサ7に近接して飲みかけのペットボトル10が置かれた場合の故障検知であり、ペットボトル10でのレーザ光屈折により、ペットボトル10の存在が検出できない場合があるので、背景処理を加えたものである。
【0024】
次に、この発明の実施例2における倒れ検知装置により、スキャン型距離センサ7に近接して飲みかけのペットボトル10が置かれた場合の故障検知について、図15により説明する。
レーザスキャンセンサからなるスキャン型距離センサ7により、検知エリア内の測定距離データを抽出処理し(ステップS31)、角度毎の測定距離データを蓄積し(ステップS32)、物体の表面サイズを計算する(ステップS33)。そして、物体を検知したかどうかを判定する(ステップS34)。もしステップS34で物体を検知した場合は、ステップS35に進み、通常の倒れ検知処理が行われる(詳細は基本例の図7参照)。次に、上記ステップS34で物体を検知しないと判定された場合は、ステップS36に進み、背景処理を実施する。次に、上記ステップS36で背景処理を実施した結果、背景観測可能範囲Y1であるにも拘らず、スカートガード等の存在すべき背景となる壁11が検知できない背景抜け部分12がある場合、その背景抜け部分12の大きさが閾値αより小さいかどうかを判定する(ステップS37)。そして、背景抜け部分12の大きさが閾値αより小さいと判定された場合は、ステップS35に進み、通常の倒れ検知処理が行われる(詳細は基本例の図7参照)。しかし、背景抜け部分12の大きさが閾値αよりも大きいと判定された場合は、重故障検知として処理される(ステップS38)。この場合の重故障検知処理とは、スキャン型距離センサ7に近接して置かれたペットボトル10を除去するという処理要求を出力することになる。
先行技術ではペットボトルが置かれた場合、レーザ光屈折により倒れを検知できないばかりか、ペットボトルすら検知できない問題があったが、以上説明した動作より、ペットボトルによって倒れ検知が正常に出来ない状態にあると重故障検知し警報を上げることができる。
【0025】
なお、実施例1、2では、この発明の倒れ検知装置を乗客コンベアに適用した例について説明したが、これに限ることなく、この発明の倒れ検知装置を例えばエレベータのかごに設置してエレベータのかご内の倒れ検知を行うなど、特定のエリアの倒れ検知にも適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 乗客コンベア
2 1階の乗降口(降り場)
3 2階の乗降口(乗り場)
4 乗降用床板
5 くし板
6 アプローチ用通路
7 スキャン型距離センサ(レーザスキャンセンサ)
7a レーザビームの走査範囲
8 処理装置
9 紙袋等の異物
10 ペットボトル
11 スカートガード等の存在すべき背景となる壁
12 背景抜け部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転倒を検出する走査範囲である検知エリアに水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知することを特徴とする倒れ検知装置。
【請求項2】
スキャン型距離センサは、物体までの距離が100mm以内の場合にセンサ近傍と判定することを特徴とする請求項1記載の倒れ検知装置。
【請求項3】
スキャン型距離センサは、物体表面サイズが第1の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、軽度の異物検知として軽故障を検知し、物体表面サイズが第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、重度の異物検知として重故障を検知することを特徴とする請求項2記載の倒れ検知装置。
【請求項4】
軽度の異物検知として軽故障を検知した場合はセンサ掃除要求を出力し、重度の異物検知として重故障を検知した場合は、異物の除去要求を出力することを特徴とする請求項3記載の倒れ検知装置。
【請求項5】
転倒を検出する走査範囲である検知エリアに水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、物体を検知しない場合は背景処理を実施し、その背景処理により、背景観測可能範囲であるにも拘らず、存在すべき背景が検知できない背景抜け部分があり、背景抜け部分の大きさが閾値よりも大きい場合は、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項6】
乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、
前記乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、
前記乗客コンベアの乗降口付近に設置され、前記乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項7】
乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、
前記乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、
前記乗客コンベアの各乗降口のうち降り場となる乗降口付近に設置され、前記乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項8】
スキャン型距離センサは、物体までの距離が100mm以内の場合にセンサ近傍と判定することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の乗客コンベア。
【請求項9】
スキャン型距離センサは、物体表面サイズが第1の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、軽度の異物検知として軽故障を検知し、物体表面サイズが第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、重度の異物検知として重故障を検知することを特徴とする請求項8記載の乗客コンベア。
【請求項10】
軽度の異物検知として軽故障を検知した場合はセンサ掃除要求を出力し、重度の異物検知として重故障を検知した場合は、異物の除去要求を出力することを特徴とする請求項9記載の乗客コンベア。
【請求項11】
乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、
前記乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、
前記乗客コンベアの乗降口付近に設置され、前記乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、物体を検知しない場合は背景処理を実施し、その背景処理により、背景観測可能範囲であるにも拘らず、存在すべき背景が検知できない背景抜け部分があり、背景抜け部分の大きさが閾値よりも大きい場合は、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項1】
転倒を検出する走査範囲である検知エリアに水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知することを特徴とする倒れ検知装置。
【請求項2】
スキャン型距離センサは、物体までの距離が100mm以内の場合にセンサ近傍と判定することを特徴とする請求項1記載の倒れ検知装置。
【請求項3】
スキャン型距離センサは、物体表面サイズが第1の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、軽度の異物検知として軽故障を検知し、物体表面サイズが第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、重度の異物検知として重故障を検知することを特徴とする請求項2記載の倒れ検知装置。
【請求項4】
軽度の異物検知として軽故障を検知した場合はセンサ掃除要求を出力し、重度の異物検知として重故障を検知した場合は、異物の除去要求を出力することを特徴とする請求項3記載の倒れ検知装置。
【請求項5】
転倒を検出する走査範囲である検知エリアに水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、物体を検知しない場合は背景処理を実施し、その背景処理により、背景観測可能範囲であるにも拘らず、存在すべき背景が検知できない背景抜け部分があり、背景抜け部分の大きさが閾値よりも大きい場合は、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項6】
乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、
前記乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、
前記乗客コンベアの乗降口付近に設置され、前記乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項7】
乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、
前記乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、
前記乗客コンベアの各乗降口のうち降り場となる乗降口付近に設置され、前記乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、前記物体までの距離を計算し、物体までの距離がスキャン型距離センサの近傍で、かつ物体表面サイズが閾値以上の状態が所定の継続時間以上継続すれば、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【請求項8】
スキャン型距離センサは、物体までの距離が100mm以内の場合にセンサ近傍と判定することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の乗客コンベア。
【請求項9】
スキャン型距離センサは、物体表面サイズが第1の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、軽度の異物検知として軽故障を検知し、物体表面サイズが第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上で、かつ所定の継続時間以上継続すれば、重度の異物検知として重故障を検知することを特徴とする請求項8記載の乗客コンベア。
【請求項10】
軽度の異物検知として軽故障を検知した場合はセンサ掃除要求を出力し、重度の異物検知として重故障を検知した場合は、異物の除去要求を出力することを特徴とする請求項9記載の乗客コンベア。
【請求項11】
乗客コンベアの乗り場と降り場となる各乗降口にそれぞれ設置され、乗客コンベアのステップ側にくし板が設けられている乗降用床板と、
前記乗降用床板の反くし板側に設けられた乗客が接近するためのアプローチ用通路と、
前記乗客コンベアの乗降口付近に設置され、前記乗降用床板及びアプローチ用通路を含む走査範囲に水平面状にレーザビームを放射するスキャン型距離センサとを備え、
前記スキャン型距離センサは、測定した角度毎の距離を蓄積し、予め設定した検知エリア内のデータに対しその時間的な距離変化に対する標準偏差及び標準偏差の標準偏差を計算し、標準偏差の標準偏差が閾値以下の場合、その領域の物体の表面サイズ(長さ)を計算し、物体の表面サイズ(長さ)が閾値以上の状態が所定の継続時間持続すると、倒れ状態と判定し、
さらに、前記スキャン型距離センサは、物体を検知しない場合は背景処理を実施し、その背景処理により、背景観測可能範囲であるにも拘らず、存在すべき背景が検知できない背景抜け部分があり、背景抜け部分の大きさが閾値よりも大きい場合は、異物検知として故障を検知することを特徴とする乗客コンベア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−126570(P2012−126570A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90077(P2011−90077)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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