倒立容器ユニット及びそれを収納したポンプ式流体供給装置
【課題】持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出の可能なポンプディスペンサを提供する。
【解決手段】倒立させた容器2の口部2cに装着したポンプディスペンサ3を有し、これに設けた押圧ヘッド3hの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器2内に負圧を発生させることで、内容物Cの注出を可能とする。供給装置10は、倒立容器ユニット1を収納可能な開口部Aを前面に有するケース本体4aと、このケース本体4aの上部に揺動可能に保持され、開口部Aに合さるカバー4bとを備え、このカバー4bの下端に切り欠き部4dを形成し、カバー4bに揺動可能に保持され、押圧ヘッド3hを押圧可能な注出レバー5を設ける。容器2はその外観形状を形作る外層体2aと、この外装体2aの内側に剥離可能に配置され内容物Cの注出と共に縮減する内層体2bとを有するデラミ容器である。
【解決手段】倒立させた容器2の口部2cに装着したポンプディスペンサ3を有し、これに設けた押圧ヘッド3hの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器2内に負圧を発生させることで、内容物Cの注出を可能とする。供給装置10は、倒立容器ユニット1を収納可能な開口部Aを前面に有するケース本体4aと、このケース本体4aの上部に揺動可能に保持され、開口部Aに合さるカバー4bとを備え、このカバー4bの下端に切り欠き部4dを形成し、カバー4bに揺動可能に保持され、押圧ヘッド3hを押圧可能な注出レバー5を設ける。容器2はその外観形状を形作る外層体2aと、この外装体2aの内側に剥離可能に配置され内容物Cの注出と共に縮減する内層体2bとを有するデラミ容器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、倒立させた容器の口部に装着したポンプディスペンサを有し、このポンプディスペンサに設けた押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット及び、それを収納したポンプ式流体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
倒立容器ユニットを収納した従来のポンプ式流体供給装置には、その倒立容器としてパウチを用いることが一般的である（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特願２００４−３３１１１５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、パウチは可撓性を有するため、ケースに対して倒立させてセットし難いという問題がある。また、パウチには、注出を生起させるためのポンプ作用に伴い内圧が減少することに起因して、当該パウチの一部に局所的な潰れを生じさせる場合がある。この潰れの発生は、円滑な注出を妨げるという問題を生じる。
【０００４】
これに対し、本願発明者は、合成樹脂からなる通常のボトルの流用も検討したが、かかるボトルを採用した場合、ポンプ動作を繰り返す度に、当該ボトルの内圧が減少してしまうため、ボトルに変形を生じてしまうという不都合が生じてしまう。
【０００５】
しかも、ポンプ性能を維持しつつ、かかる不都合を解消するためには、容器内での空気の置換が必須であるが、倒立状態の容器内で良好な空気置換を行う為には、部品数の増加や構造の複雑化が生じることが懸念される。このため、本願発明者は、通常のボトルを用いることが困難であることを認識するに至った。
【０００６】
本発明は、上述の事実認識の下になされたものであり、持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出が可能なポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット及び、それを収納したポンプ式流体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明である、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニットは、倒立させた容器の口部に装着したポンプディスペンサを有し、このポンプディスペンサに設けた押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニットであって、
前記容器が、容器の外観形状を形作る外層体と、この外装体の内側に剥離可能に配置され流体の注出と共に縮減する内層体とを有する二重容器であることを特徴とするものである。
【０００８】
本発明に係る容器は、容器の口部とポンプディスペンサとの間に、口部とポンプディスペンサとを接続する開閉弁付きのアダプタを備えることが好ましい。
【０００９】
本発明である、倒立容器を収納したポンプ式流体供給装置は、請求項１に記載の倒立容器ユニットを収納可能な開口部を前面に有する倒立容器ユニット収納体と、
この倒立容器ユニット収納体の上部に揺動可能に保持され、前記開口部に合さる蓋体とを備え、
この蓋体の下端に切り欠き部を形成し、この切り欠き部を形作る領域に、前記倒立容器ユニット収納体又は前記蓋体に揺動可能に保持され、押圧ヘッドの押し込みを生起させる注出レバーが設けられていることを特徴とするものである。
【００１０】
本発明装置では、前記倒立容器ユニット収納体の側面内側にそれぞれ、当該倒立容器ユニットを前後方向に案内するガイドを設けることができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明では、流体の注出を生起させるポンプ動作の影響は内層体だけに及び、外層体の外観形状には、何らの変化も与えない。このため、外層体の剛性（強度）は、内層体の剛性と無関係に高めることができる。
【００１２】
従って、本発明によれば、持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出の可能なポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット及び、それを収納したポンプ式流体供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、図面を参照して、本発明の一形態を詳細に説明する。
【００１４】
図1は、本発明の一形態である、容器2とポンプディスペンサ3とを備える倒立容器ユニット1を、壁Ｗ等の固定物に据え付けたケース（以下、「ケース」という）4に収納する状態を側面から示す一部断面である。
【００１５】
また、図2は、倒立容器ユニット1をケース4に収納してなる、本発明の一形態である、ポンプ式流体供給装置（以下、「本発明供給装置」という）10を側面から示す一部断面である。更に、図3(a)〜(c)はそれぞれ、ケース4の正面図、上面図及び底面図である。
【００１６】
倒立容器ユニット1に用いる容器2は、合成樹脂製の、所謂、デラミ容器である。即ち、容器2は、その外観形状を外層体2aで形作り、この外層体2aの内側には、可撓性を有する袋状の内層体2bが口部2c内側に繋がる。これにより、内層体2bは、外層体2aの口部2c内側を残して外層体2aの内側から剥離させることができる。
【００１７】
容器2に充填される液状の内容物Ｃは、内層体2bの内側に導入され、ポンプディスペンサ3を容器2の口部2cに装着することで液密状態に保持される。ポンプディスペンサ3は、容器軸線Ｏに交差する方向（例えば、軸線Ｏと直交する方向）に延設され、内容物Ｃを吐出するノズル3nが下方に向けて開口されている。
【００１８】
ポンプディスペンサ3は、ポンプ機構を内蔵したベース3aを有し、このベース3aには、上向きに開放された注出口3bが形成されている。注出口3bには、内部通路を有するソケット3cが配置されている。本形態に係るソケット3cは、凹凸又は凸凸等の組み合わせ等からなるアンダーカット嵌合等の嵌合手段によって連結されているが、その手段は必ずしも限定されない。
【００１９】
符号6は、口部2cとポンプディスペンサ3とを接続する開閉弁付きのアダプタである。アダプタ6は、ソケット3c内に差し込んだのち、バイヨネット等の手段（一方側に設けられた凸部を他方の側に設けられた溝部側に入れ込んだのち、その状態で回動させることにより引き抜き不能に固定される手段）を適用することで、ポンプディスペンサ3との間を着脱可能に連結する。
【００２０】
アダプタ6は、口部2cを回転不能に嵌合保持する筒体6aと、この筒体6aの内側に一体に繋がる円筒状の弁体6bと、この筒体6aと弁体6bとの間に配置され、ソケット3cに回転不能に連結した弁座6cとを備える。即ち、アダプタ6は、筒体6aを介して容器2が一体化すると共に、弁座6cを介してポンプディスペンサ3が一体化する。これにより、アダプタ6は、容器3を時計回り又は半時計回りに回転させれば、それに同期して弁体6bも回転し、弁座6cとの間に形成された流路を開閉する。なお、容器3を回転させ難い場合には、他のアダプタとして、筒体6aの外側に摘み（レバー）を設けることで、容器3と共に回動させることも可能である。
【００２１】
これにより、ポンプディスペンサ3に設けたノズルヘッド（押圧ヘッド）3hの押し込み及び復帰の動作を繰り返すと、内層体2bが縮減しつつ、この内層体2b内の内容物Ｃがノズルヘッド3hから注出される。なお、本形態においては、特に図示しないが、外層体2aの底部（ピンチオフ部）に、外気導入用のスリットを設けることや、口部に外気導入孔を設けること等の公知の方法によって外層体2aと内層体2bとの間に空気を導入することが可能となっている。これにより、内層体2bの縮減を効率的に実現させることができる。
【００２２】
ケース4は、倒立容器ユニット1を収納可能な開口部Ａを前面に有するケース本体4aと、このケース本体4aの上部に、ピンP1を介して揺動可能に保持され、開口部Ａに合さるカバー（蓋体）4bとを備える。ケース本体4aは、その内側側面にそれぞれ、突条部4sが設けられている。突条部4sはそれぞれ、図2に示すように、カバー4bを閉じたときに開口部Ａ内に入り込ませないためのストッパとして機能する。
【００２３】
また、ケース本体4aの側面内側にはそれぞれ、前後方向に延びる突条のガイド4Gが設けられている。このガイド4Gは、ケース本体4aの床面4fとの間に隙間Δｄを形成し、当該隙間Δｄにそれぞれ、ポンプディスペンサ3の後方より嵌合する支持部材3sの両側に設けたガイド3Gがスライド可能に嵌合する。これにより、ガイド4Gは、倒立容器ユニット1を前後方向に案内すると共に、当該倒立容器ユニット1の浮き上がりを防止するガイドとして機能し、図1に示すように、倒立容器ユニット1をガイド4Gに沿ってスライドさせることで、ケース本体4aに対して着脱させることができる。
【００２４】
なお、ポンプディスペンサ支持部材3sは、図2に示すように、ケース本体4aの床面4fを摺動して当該ケース本体4aの背面4wに接触させることができる。
【００２５】
また、ポンプディスペンサ支持部材3sの底壁3fの裏面には、前面が垂直面を形成する2つの突起部3dが設けられている。これに対し、ケース本体4aの床面4fには、突起部3dに対応する位置にそれぞれ、前後方向に沿って互いに平行に伸びる2つの長孔4cが形成されている。この突起部3d及び長孔4cも、倒立容器ユニット1を前後方向に案内するガイドとして機能する。
【００２６】
これにより、倒立容器ユニット1は、ケース本体4aの床面4fに対して支持されると共に、ケース本体4a内の適切な位置に位置決めされる。
【００２７】
カバー4bの下端には、切り欠き部4dが形成されている。この切り欠き部4dを形作る領域には、ノズルヘッド3hの押し込みを生起させる注出レバー5が設けられている。注出レバー5は、2つのピン状部5pを有し、ピン状部5pがそれぞれ、カバー4bに揺動可能に保持される。
【００２８】
これにより、使用者は、カバー4bを開き、倒立容器ユニット1のガイド3Gをケース4のガイド４Ｇと床面４ｆとの隙間Δｄに嵌合させてスライドさせつつ、ケース本体4a内に倒立容器ユニット1を収納したのち、カバー4bを閉じるだけの簡単な操作で、ケース4に倒立容器ユニット1を格納することができる。
【００２９】
また、ケース4内に倒立容器ユニット1を収納し、供給装置10とした後は、注出レバー5を押すだけで、ノズルヘッド3hからの内容物Ｃの注出を実現させることができる。
【００３０】
本発明に従えば、内容物Ｃの注出を生起させるポンプ動作の影響は内層体2bだけに及び、外層体2aの外観形状には、何らの変化も与えない。このため、外層体2aの剛性（強度）は、内層体2bの剛性と無関係に高めることができる。
【００３１】
従って、本発明によれば、持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出の可能な倒立容器ユニット1及び、それを収納したポンプ式流体供給装置10を提供することができる。
【００３２】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、ポンプディスペンサは、押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とするものであれば、その構成は問わない。
【産業上の利用可能性】
【００３３】
本発明は、その流体の粘性を問わずに使用することができ、例えば、液体石鹸、シャンプー、リンス等の家庭用用品や、乳液等の化粧器に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明の一形態である、倒立容器ユニットを、ケースに収納する状態を側面から示す一部断面である。
【図２】同形態にて、倒立容器ユニットをケースに収納した、本発明の一形態である、倒立容器ユニットを用いたポンプ式流体供給装置を側面から示す一部断面である。
【図３】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態のケースの正面図、上面図及び底面図である。
【符号の説明】
【００３５】
１ 倒立容器ユニット
２ デラミ容器
2a 外層体
2b 内層体
2c 容器口部
３ ポンプディスペンサ
3a ノズルヘッド（押圧ヘッド）
3G ガイド
４ ケース
4a ケース本体
4b カバー（蓋体）
4c 切り欠き部
4G ガイド
4s 突条部
５ 注出レバー
６ アダプタ
6a 筒体
6b 弁体
6c 弁座
5p ピン状部材
10 供給装置（倒立容器ユニットを収納したポンプ式流体供給装置）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、倒立させた容器の口部に装着したポンプディスペンサを有し、このポンプディスペンサに設けた押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット及び、それを収納したポンプ式流体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
倒立容器ユニットを収納した従来のポンプ式流体供給装置には、その倒立容器としてパウチを用いることが一般的である（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特願２００４−３３１１１５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかしながら、パウチは可撓性を有するため、ケースに対して倒立させてセットし難いという問題がある。また、パウチには、注出を生起させるためのポンプ作用に伴い内圧が減少することに起因して、当該パウチの一部に局所的な潰れを生じさせる場合がある。この潰れの発生は、円滑な注出を妨げるという問題を生じる。
【０００４】
これに対し、本願発明者は、合成樹脂からなる通常のボトルの流用も検討したが、かかるボトルを採用した場合、ポンプ動作を繰り返す度に、当該ボトルの内圧が減少してしまうため、ボトルに変形を生じてしまうという不都合が生じてしまう。
【０００５】
しかも、ポンプ性能を維持しつつ、かかる不都合を解消するためには、容器内での空気の置換が必須であるが、倒立状態の容器内で良好な空気置換を行う為には、部品数の増加や構造の複雑化が生じることが懸念される。このため、本願発明者は、通常のボトルを用いることが困難であることを認識するに至った。
【０００６】
本発明は、上述の事実認識の下になされたものであり、持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出が可能なポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット及び、それを収納したポンプ式流体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明である、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニットは、倒立させた容器の口部に装着したポンプディスペンサを有し、このポンプディスペンサに設けた押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニットであって、
前記容器が、容器の外観形状を形作る外層体と、この外装体の内側に剥離可能に配置され流体の注出と共に縮減する内層体とを有する二重容器であることを特徴とするものである。
【０００８】
本発明に係る容器は、容器の口部とポンプディスペンサとの間に、口部とポンプディスペンサとを接続する開閉弁付きのアダプタを備えることが好ましい。
【０００９】
本発明である、倒立容器を収納したポンプ式流体供給装置は、請求項１に記載の倒立容器ユニットを収納可能な開口部を前面に有する倒立容器ユニット収納体と、
この倒立容器ユニット収納体の上部に揺動可能に保持され、前記開口部に合さる蓋体とを備え、
この蓋体の下端に切り欠き部を形成し、この切り欠き部を形作る領域に、前記倒立容器ユニット収納体又は前記蓋体に揺動可能に保持され、押圧ヘッドの押し込みを生起させる注出レバーが設けられていることを特徴とするものである。
【００１０】
本発明装置では、前記倒立容器ユニット収納体の側面内側にそれぞれ、当該倒立容器ユニットを前後方向に案内するガイドを設けることができる。
【発明の効果】
【００１１】
本発明では、流体の注出を生起させるポンプ動作の影響は内層体だけに及び、外層体の外観形状には、何らの変化も与えない。このため、外層体の剛性（強度）は、内層体の剛性と無関係に高めることができる。
【００１２】
従って、本発明によれば、持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出の可能なポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット及び、それを収納したポンプ式流体供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、図面を参照して、本発明の一形態を詳細に説明する。
【００１４】
図1は、本発明の一形態である、容器2とポンプディスペンサ3とを備える倒立容器ユニット1を、壁Ｗ等の固定物に据え付けたケース（以下、「ケース」という）4に収納する状態を側面から示す一部断面である。
【００１５】
また、図2は、倒立容器ユニット1をケース4に収納してなる、本発明の一形態である、ポンプ式流体供給装置（以下、「本発明供給装置」という）10を側面から示す一部断面である。更に、図3(a)〜(c)はそれぞれ、ケース4の正面図、上面図及び底面図である。
【００１６】
倒立容器ユニット1に用いる容器2は、合成樹脂製の、所謂、デラミ容器である。即ち、容器2は、その外観形状を外層体2aで形作り、この外層体2aの内側には、可撓性を有する袋状の内層体2bが口部2c内側に繋がる。これにより、内層体2bは、外層体2aの口部2c内側を残して外層体2aの内側から剥離させることができる。
【００１７】
容器2に充填される液状の内容物Ｃは、内層体2bの内側に導入され、ポンプディスペンサ3を容器2の口部2cに装着することで液密状態に保持される。ポンプディスペンサ3は、容器軸線Ｏに交差する方向（例えば、軸線Ｏと直交する方向）に延設され、内容物Ｃを吐出するノズル3nが下方に向けて開口されている。
【００１８】
ポンプディスペンサ3は、ポンプ機構を内蔵したベース3aを有し、このベース3aには、上向きに開放された注出口3bが形成されている。注出口3bには、内部通路を有するソケット3cが配置されている。本形態に係るソケット3cは、凹凸又は凸凸等の組み合わせ等からなるアンダーカット嵌合等の嵌合手段によって連結されているが、その手段は必ずしも限定されない。
【００１９】
符号6は、口部2cとポンプディスペンサ3とを接続する開閉弁付きのアダプタである。アダプタ6は、ソケット3c内に差し込んだのち、バイヨネット等の手段（一方側に設けられた凸部を他方の側に設けられた溝部側に入れ込んだのち、その状態で回動させることにより引き抜き不能に固定される手段）を適用することで、ポンプディスペンサ3との間を着脱可能に連結する。
【００２０】
アダプタ6は、口部2cを回転不能に嵌合保持する筒体6aと、この筒体6aの内側に一体に繋がる円筒状の弁体6bと、この筒体6aと弁体6bとの間に配置され、ソケット3cに回転不能に連結した弁座6cとを備える。即ち、アダプタ6は、筒体6aを介して容器2が一体化すると共に、弁座6cを介してポンプディスペンサ3が一体化する。これにより、アダプタ6は、容器3を時計回り又は半時計回りに回転させれば、それに同期して弁体6bも回転し、弁座6cとの間に形成された流路を開閉する。なお、容器3を回転させ難い場合には、他のアダプタとして、筒体6aの外側に摘み（レバー）を設けることで、容器3と共に回動させることも可能である。
【００２１】
これにより、ポンプディスペンサ3に設けたノズルヘッド（押圧ヘッド）3hの押し込み及び復帰の動作を繰り返すと、内層体2bが縮減しつつ、この内層体2b内の内容物Ｃがノズルヘッド3hから注出される。なお、本形態においては、特に図示しないが、外層体2aの底部（ピンチオフ部）に、外気導入用のスリットを設けることや、口部に外気導入孔を設けること等の公知の方法によって外層体2aと内層体2bとの間に空気を導入することが可能となっている。これにより、内層体2bの縮減を効率的に実現させることができる。
【００２２】
ケース4は、倒立容器ユニット1を収納可能な開口部Ａを前面に有するケース本体4aと、このケース本体4aの上部に、ピンP1を介して揺動可能に保持され、開口部Ａに合さるカバー（蓋体）4bとを備える。ケース本体4aは、その内側側面にそれぞれ、突条部4sが設けられている。突条部4sはそれぞれ、図2に示すように、カバー4bを閉じたときに開口部Ａ内に入り込ませないためのストッパとして機能する。
【００２３】
また、ケース本体4aの側面内側にはそれぞれ、前後方向に延びる突条のガイド4Gが設けられている。このガイド4Gは、ケース本体4aの床面4fとの間に隙間Δｄを形成し、当該隙間Δｄにそれぞれ、ポンプディスペンサ3の後方より嵌合する支持部材3sの両側に設けたガイド3Gがスライド可能に嵌合する。これにより、ガイド4Gは、倒立容器ユニット1を前後方向に案内すると共に、当該倒立容器ユニット1の浮き上がりを防止するガイドとして機能し、図1に示すように、倒立容器ユニット1をガイド4Gに沿ってスライドさせることで、ケース本体4aに対して着脱させることができる。
【００２４】
なお、ポンプディスペンサ支持部材3sは、図2に示すように、ケース本体4aの床面4fを摺動して当該ケース本体4aの背面4wに接触させることができる。
【００２５】
また、ポンプディスペンサ支持部材3sの底壁3fの裏面には、前面が垂直面を形成する2つの突起部3dが設けられている。これに対し、ケース本体4aの床面4fには、突起部3dに対応する位置にそれぞれ、前後方向に沿って互いに平行に伸びる2つの長孔4cが形成されている。この突起部3d及び長孔4cも、倒立容器ユニット1を前後方向に案内するガイドとして機能する。
【００２６】
これにより、倒立容器ユニット1は、ケース本体4aの床面4fに対して支持されると共に、ケース本体4a内の適切な位置に位置決めされる。
【００２７】
カバー4bの下端には、切り欠き部4dが形成されている。この切り欠き部4dを形作る領域には、ノズルヘッド3hの押し込みを生起させる注出レバー5が設けられている。注出レバー5は、2つのピン状部5pを有し、ピン状部5pがそれぞれ、カバー4bに揺動可能に保持される。
【００２８】
これにより、使用者は、カバー4bを開き、倒立容器ユニット1のガイド3Gをケース4のガイド４Ｇと床面４ｆとの隙間Δｄに嵌合させてスライドさせつつ、ケース本体4a内に倒立容器ユニット1を収納したのち、カバー4bを閉じるだけの簡単な操作で、ケース4に倒立容器ユニット1を格納することができる。
【００２９】
また、ケース4内に倒立容器ユニット1を収納し、供給装置10とした後は、注出レバー5を押すだけで、ノズルヘッド3hからの内容物Ｃの注出を実現させることができる。
【００３０】
本発明に従えば、内容物Ｃの注出を生起させるポンプ動作の影響は内層体2bだけに及び、外層体2aの外観形状には、何らの変化も与えない。このため、外層体2aの剛性（強度）は、内層体2bの剛性と無関係に高めることができる。
【００３１】
従って、本発明によれば、持ち運びやセットがし易く、外観変形を生じることなく、円滑な注出の可能な倒立容器ユニット1及び、それを収納したポンプ式流体供給装置10を提供することができる。
【００３２】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、ポンプディスペンサは、押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とするものであれば、その構成は問わない。
【産業上の利用可能性】
【００３３】
本発明は、その流体の粘性を問わずに使用することができ、例えば、液体石鹸、シャンプー、リンス等の家庭用用品や、乳液等の化粧器に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３４】
【図１】本発明の一形態である、倒立容器ユニットを、ケースに収納する状態を側面から示す一部断面である。
【図２】同形態にて、倒立容器ユニットをケースに収納した、本発明の一形態である、倒立容器ユニットを用いたポンプ式流体供給装置を側面から示す一部断面である。
【図３】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態のケースの正面図、上面図及び底面図である。
【符号の説明】
【００３５】
１ 倒立容器ユニット
２ デラミ容器
2a 外層体
2b 内層体
2c 容器口部
３ ポンプディスペンサ
3a ノズルヘッド（押圧ヘッド）
3G ガイド
４ ケース
4a ケース本体
4b カバー（蓋体）
4c 切り欠き部
4G ガイド
4s 突条部
５ 注出レバー
６ アダプタ
6a 筒体
6b 弁体
6c 弁座
5p ピン状部材
10 供給装置（倒立容器ユニットを収納したポンプ式流体供給装置）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
倒立させた容器の口部に装着したポンプディスペンサを有し、このポンプディスペンサに設けた押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニットであって、
前記容器が、容器の外観形状を形作る外層体と、この外装体の内側に剥離可能に配置され流体の注出と共に縮減する内層体とを有する二重容器であることを特徴とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット。
【請求項２】
請求項１において、前記容器の口部とポンプディスペンサとの間に、口部とポンプディスペンサとを接続する開閉弁付きのアダプタを設けたことを特徴とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット。
【請求項３】
請求項１又は２に記載の倒立容器ユニットを収納可能な開口部を前面に有する倒立容器ユニット収納体と、
この倒立容器ユニット収納体の上部に揺動可能に保持され、前記開口部に合さる蓋体とを備え、
この蓋体の下端に切り欠き部を形成し、この切り欠き部を形作る領域に、前記倒立容器ユニット収納体又は前記蓋体に揺動可能に保持され、押圧ヘッドの押し込みを生起させる注出レバーが設けられていることを特徴とする、倒立容器ユニットを収納したポンプ式流体供給装置。
【請求項４】
請求項３において、前記倒立容器ユニット収納体の側面内側にそれぞれ、当該倒立容器ユニットを前後方向に案内するガイドを設けたことを特徴とする、倒立容器ユニットを収納したポンプ式流体供給装置。
【請求項１】
倒立させた容器の口部に装着したポンプディスペンサを有し、このポンプディスペンサに設けた押圧ヘッドの押し込み及び復帰の繰返し動作によって容器内に負圧を発生させることで、流体の注出を可能とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニットであって、
前記容器が、容器の外観形状を形作る外層体と、この外装体の内側に剥離可能に配置され流体の注出と共に縮減する内層体とを有する二重容器であることを特徴とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット。
【請求項２】
請求項１において、前記容器の口部とポンプディスペンサとの間に、口部とポンプディスペンサとを接続する開閉弁付きのアダプタを設けたことを特徴とする、ポンプディスペンサを備える倒立容器ユニット。
【請求項３】
請求項１又は２に記載の倒立容器ユニットを収納可能な開口部を前面に有する倒立容器ユニット収納体と、
この倒立容器ユニット収納体の上部に揺動可能に保持され、前記開口部に合さる蓋体とを備え、
この蓋体の下端に切り欠き部を形成し、この切り欠き部を形作る領域に、前記倒立容器ユニット収納体又は前記蓋体に揺動可能に保持され、押圧ヘッドの押し込みを生起させる注出レバーが設けられていることを特徴とする、倒立容器ユニットを収納したポンプ式流体供給装置。
【請求項４】
請求項３において、前記倒立容器ユニット収納体の側面内側にそれぞれ、当該倒立容器ユニットを前後方向に案内するガイドを設けたことを特徴とする、倒立容器ユニットを収納したポンプ式流体供給装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１０−１３１０３（Ｐ２０１０−１３１０３Ａ）
【公開日】平成２２年１月２１日（２０１０．１．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１７１７６８（Ｐ２００８−１７１７６８）
【出願日】平成２０年６月３０日（２００８．６．３０）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１月２１日（２０１０．１．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年６月３０日（２００８．６．３０）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
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