説明

値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法

【課題】消費税率が変更された場合や、複数の消費税率が混在する場合でも、切替えを比較的単純な作業で行うことができる値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法の提供。
【解決手段】消費税率の具体的数値をそれぞれの値札1のフォーマットファイル2内に登録(保存)しておくのではなく、中央の制御部ないしパソコン11部分に一元的に保存して管理することに着目したもので、制御部14は、消費税率を少なくとも二種類の数値に設定可能であるとともに、設定したそれぞれの数値を第1の消費税率および第2の消費税率として保存可能な税率設定ファイル22を有し、フォーマットファイル2は、税率設定ファイル22に設定されている第1の消費税率および第2の消費税率のうち選択されたいずれか一方を保存可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法にかかるもので、とくに消費税率が変更される際に適確に対応可能な値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の値札1に印字する内容について図5および図6にもとづき概説する。
図5は、値札1に印字した一例を示す平面図であって、図示のように、値札1には、印字データとして、商品の価格や商品コードさらにはバーコードなどとともに、その消費税についても何らかの形式で印字を行うことが必要である。
値札1の印字データは、所定の印字レイアウトにもとづいて印字されるもので、それぞれの印字データの値札1における印字位置や大きさなど(レイアウト)については、あらかじめこれを設定し、それぞれのフォーマットファイル2に保存(登録)してある。
【0003】
図6は、それぞれの値札1についてのフォーマットファイル2の説明図であって、フォーマットファイル2には、それぞれの値札1について、上記印字データを所定のレイアウトで印字可能とする上記レイアウトのためのレイアウト設定データとともに、消費税の税率については、たとえば5%などとあらかじめ設定し、たとえば消費税込みの価格の計算として価格を1.05倍するような演算を行うように規定してある。なお、この消費税率は、印字用の演算にこれを用いれば足りるものであって、消費税率自体を必ずしも実際に印字する必要はない。
【0004】
しかしながら、消費税率の変更にともなって、このフォーマットファイル2すべてにおけるその税率を変更する手続きが必要となるが、設定されているフォーマットファイル2の数が多いために、それぞれのフォーマットファイル2中における税率をすべて書き換える作業が膨大となるという問題がある。
とくに、卸業者にとっては商品の小売業者への納品期日の関係で、および小売業者にとっては商品の販売日ないし期間の関係で、消費税率の変更日の前後では、たとえば変更日直前まで販売する可能性がある商品について従来の5%のまま印字する必要がある値札1と、変更日以降に販売予定の商品について新しい消費税(たとえば7%)にもとづいて印字する必要がある値札1と、が混在する可能性があって、どのフォーマットファイル2にどの税率を変更して設定登録するかを注意しながらの当該消費税率の切替え作業が大きな負荷となるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−206522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、消費税率が変更された場合にも、その切替え作業の負荷を軽減可能とした値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、複数の消費税率が混在する場合であっても、比較的単純な作業でフォーマットファイルにおける消費税率の変更ないし設定作業を行うことができるようにした値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、消費税率の数値についてそれぞれのフォーマットファイルに設定するのではなく、中央の制御部において一元管理可能とした値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、消費税率の具体的数値をそれぞれの値札のフォーマットファイル内に登録(保存)しておくのではなく、中央の制御部ないしパソコン部分に一元的に保存して管理すること、および、それぞれのフォーマットファイルにおいて、少なくとも二種類ある消費税率のいずれかを第1の消費税率あるいは第2の消費税率として選択するようにすることに着目したもので、第一の発明は、商品の価格および消費税率を含む印字データを所定のレイアウトで印字可能とする該レイアウトを設定したレイアウト設定データを保存してあるフォーマットファイルと、このレイアウトにしたがって上記値札に上記印字データを印字するための印字部と、上記印字データおよび上記レイアウト設定データを入力するための入力部と、この入力部によるデータ入力を表示するための表示部と、これら印字部、入力部および表示部を制御するための制御部と、を有する値札プリンターにおける消費税率変更装置であって、上記制御部は、上記消費税率を少なくとも二種類の数値に設定可能であるとともに、この設定したそれぞれの数値を第1の消費税率および第2の消費税率として保存可能な税率設定ファイルを有し、上記フォーマットファイルは、この税率設定ファイルに設定されている上記第1の消費税率および上記第2の消費税率のうち選択されたいずれか一方を保存可能としていることを特徴とする値札プリンターにおける消費税率変更装置である。
【0010】
第二の発明は、商品の価格および消費税率を含む印字データを所定のレイアウトで印字可能とする該レイアウトを設定したレイアウト設定データを保存してあるフォーマットファイルと、このレイアウトにしたがって上記値札に上記印字データを印字するための印字部と、上記印字データおよび上記レイアウト設定データを入力するための入力部と、この入力部によるデータ入力を表示するための表示部と、これら印字部、入力部および表示部を制御するための制御部と、を有する値札プリンターにおける消費税率変更方法であって、上記制御部において、上記消費税率を少なくとも二種類の数値に設定するとともに、この設定したそれぞれの数値を第1の消費税率および第2の消費税率として税率設定ファイルに保存し、上記フォーマットファイルにおいて、この税率設定ファイルに保存されている上記第1の消費税率および上記第2の消費税率のうち選択されたいずれか一方を保存することを特徴とする値札プリンターにおける消費税率変更方法である。
【0011】
上記表示部は、上記消費税率を上記第1の消費税率および上記第2の消費税率として、少なくとも二種類の数値に設定するための税率設定画面を表示可能であることができる。
【0012】
上記表示部は、上記第1の消費税率および上記第2の消費税率のいずれかを選択するための税率選択画面を表示可能であることができる。
【0013】
上記印字部は、選択した上記消費税率にもとづいて上記値札に上記印字データを印字可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明による値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法においては、パソコンなどの制御部が、消費税率を第1の消費税率および第2の消費税率として少なくとも二種類の数値に設定可能であるとともに、この設定した数値を保存可能な税率設定ファイルを有し、それぞれの値札に関連するそれぞれのフォーマットファイルは、この税率設定ファイルに設定されている消費税率のうち選択されたいずれか一方(第1の消費税率あるいは第2の消費税率)を保存可能としたので、消費税率の変更があった場合にも、それぞれのフォーマットファイルにおいて各消費税率を一括的に変更可能であり、それぞれのフォーマットファイルにおいて消費税率を一々入力変更する必要がない。
【0015】
とくに第一の発明によれば、中央の制御部に税率設定ファイルを設けて、それぞれのフォーマットファイルからこの税率設定ファイル内の設定税率(第1の消費税率あるいは第2の消費税率)を参照可能としているので、消費税率の変更があった場合でも、従来のようにそれぞれのフォーマットファイル内の消費税率の数値を変更することなく、切替え作業を実行可能である。
【0016】
とくに第二の発明によれば、パソコンなどの制御部において、消費税率を第1の消費税率および第2の消費税率として少なくとも二種類の数値に設定するとともに、この設定した数値を税率設定ファイルに保存し、フォーマットファイルは、この税率設定ファイルに保存されている消費税率のうち選択されたいずれか一方を保存するようにしたので、パソコンに接続して使用するすべての印字用フォーマットファイルについて消費税率を一括変換可能であり、消費税率変更作業を容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、中央の制御部における少なくとも二種類の消費税率の集中管理を可能として、消費税率の変更時にそれぞれのフォーマットファイルにおいて消費税率を参照可能とし、適確に対応することができる値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法を実現した。
【実施例】
【0018】
つぎに本発明の実施例による値札プリンターにおける消費税率変更装置および消費税率変更方法を図1ないし図4にもとづき説明する。ただし、図5および図6と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、当該消費税率変更装置を備えた値札プリンター10の概略図であって、値札プリンター10は、制御部としてのパソコン11と、プリンターとしての出力部12と、消費税率変更装置13と、を有する。
【0019】
パソコン11(中央の制御部)は、パソコン側制御部14と、入力部15と、表示部16と、記憶部17と、を有し、必要であれば、図中仮想線のようにネットワーク18を介して他のプリンター(出力部12)に接続可能である。
出力部12は、出力側制御部19(プリンター側制御部)と、印字用紙供給部20と、印字部21と、を有する。
【0020】
パソコン側制御部14は、入力部15、表示部16および記憶部17を制御するとともに、出力側制御部19を介して印字部21を制御する。
【0021】
入力部15は、印字データ、さらにはフォーマットファイル2のレイアウトなどの各種レイアウト設定データを入力するもので、キーボード、マウス、タッチパネルなどを採用するが、必要であれば、他のコンピューター(図示せず)などからのデータ(印字データおよびレイアウト設定データ)を受信することもできる。
【0022】
表示部16は、入力部15によるデータ入力を表示するためものである。
【0023】
記憶部17は、任意のメモリー素子を有するもので、前記フォーマットファイル2と、フォーマットファイル2から独立した税率設定ファイル22と、を有する。
【0024】
消費税率変更装置13は、上記パソコン11(制御部)すなわち、パソコン側制御部14、入力部15、表示部16および記憶部17からこれを構成する。
【0025】
印字部21は、フォーマットファイル2に設定されているレイアウトにしたがって前記値札1に印字データを印字するものであって、たとえばサーマルヘッド23およびプラテンローラー24を有する。
【0026】
税率設定ファイル22は、消費税率を少なくとも二種類の数値(第1の消費税率および第2の消費税率)に設定可能であるとともに、この設定したそれぞれの数値を保存可能である。
フォーマットファイル2において、この税率設定ファイル22に設定されている消費税率のうち選択されたいずれか一方を、「税率1」あるいは「税率2」として保存可能である。
【0027】
表示部16は、消費税率を少なくとも二種類の数値(第1の消費税率および第2の消費税率)に設定するための税率設定画面25、および、設定された消費税率のいずれかを選択するための税率選択画面26を表示可能である。
【0028】
図2は、税率設定画面25の説明図であって、税率設定画面25は、表示部16におけるメニュー画面(図示せず)からこれに移行可能であって、第1の消費税率(「消費税率1」)を入力するための第1の税率入力窓27と、第2の消費税率(「消費税率2」)を入力するための第2の税率入力窓28と、登録ボタン29と、を有する。
第1の税率入力窓27に第1の消費税率(「消費税率1」)としてたとえば「5%」を入力し、第2の税率入力窓28に、第2の消費税率(「消費税率2」)としてたとえば「7%」を入力し、登録ボタン29を押すことにより、それぞれの設定数値を税率設定ファイル22に保存する。
【0029】
図3は、税率選択画面26の説明図であって、税率選択画面26は、それぞれのフォーマットファイル2を設定する際に上記メニュー画面から移行可能であり、「無税」か、「外税」か、「内税」かなどを選択する税選択ボタン30と、「税率1」か「税率2」かを選択する税率選択ボタン31と、を有する。
この税率選択画面26において、「税率1」を選択すれば、そのフォーマットファイル2は、第1の消費税率5%に設定登録されたことになり、「税率2」を選択すれば、そのフォーマットファイル2は、第2の消費税率7%に設定登録されたことになる。
【0030】
図4は、それぞれのフォーマットファイル2と税率設定ファイル22との相関関係を示す説明図であって、それぞれのフォーマットファイル2において設定した「税率1」か「税率2」かについて、中央の制御部(パソコン側制御部14)における税率設定ファイル22の保存データを参照することにより、それぞれのフォーマットファイル2には第1の消費税率あるいは第2の消費税率のいずれかの具体的数値を得ることができる。
【0031】
こうした構成の値札プリンター10およびその消費税率変更装置13によれば、税率設定画面25(図2)において、消費税率を少なくとも二種類の数値(たとえば、5%および7%)に設定するとともに、この設定した数値を税率設定ファイル22に保存する。
さらに、税率選択画面26(図3)に表示される消費税率のいずれか(「税率1」か「税率2」か)を選択して、それぞれのフォーマットファイル2に保存する。
【0032】
かくすることにより、税率設定画面25(図2)における消費税率の数値の設定、税率選択画面26(図3)における税率選択ボタン31の「税率1」か「税率2」かの選択のみで、すなわち、単純なボタン操作のみで、すべてのフォーマットファイル2における消費税率を切り替えることができるので、従来のように、すべてのフォーマットファイル2にアクセスしてそれぞれの消費税率を具体的数値として書き換える必要がない。
したがって、消費税率の変更があった場合でも、それぞれのフォーマットファイル2において具体的数値を入力変更することなく、税率1あるいは税率2の選択操作のみで税率変更作業を行うことができ、迅速かつ適確に対応が可能である。
とくに、卸業者や小売業者ともに、消費税率の変更日の前後での、消費税5%の値札1と7%の値札1とが混在する場合であっても、迅速かつ間違いがないように変更作業が可能である。
【0033】
なお、本発明は、上述したようなパソコン11による制御を行う値札プリンター10以外にも、制御部、入力部、表示部および記憶部などを一体に組み込んだスタンドアローンタイプのプリンターにもこれを適用可能であり、この構成の場合には、パソコン11におけるパソコン側制御部14の機能を出力側制御部19(プリンター側制御部)に保有させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例による消費税率変更装置13を備えた値札プリンター10の概略図である。
【図2】同、税率設定画面25の説明図である。
【図3】同、税率選択画面26の説明図である。
【図4】同、それぞれのフォーマットファイル2と税率設定ファイル22との相関関係を示す説明図である。
【図5】従来からの値札1に印字した一例を示す平面図である。
【図6】同、それぞれの値札1についてのフォーマットファイル2の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 値札(図5)
2 フォーマットファイル
10 値札プリンター(図1)
11 パソコン(中央の制御部)
12 出力部(プリンター部)
13 値札プリンター10における消費税率変更装置(実施例、図1)
14 パソコン側制御部
15 入力部
16 表示部
17 記憶部
18 ネットワーク
19 出力側制御部(プリンター側制御部)
20 印字用紙供給部
21 印字部
22 税率設定ファイル
23 サーマルヘッド
24 プラテンローラー
25 税率設定画面(図2)
26 税率選択画面(図3)
27 第1の税率入力窓
28 第2の税率入力窓
29 登録ボタン
30 税選択ボタン
31 税率選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の価格および消費税率を含む印字データを所定のレイアウトで印字可能とする該レイアウトを設定したレイアウト設定データを保存してあるフォーマットファイルと、
このレイアウトにしたがって前記値札に前記印字データを印字するための印字部と、
前記印字データおよび前記レイアウト設定データを入力するための入力部と、
この入力部によるデータ入力を表示するための表示部と、
これら印字部、入力部および表示部を制御するための制御部と、を有する値札プリンターにおける消費税率変更装置であって、
前記制御部は、前記消費税率を少なくとも二種類の数値に設定可能であるとともに、この設定したそれぞれの数値を第1の消費税率および第2の消費税率として保存可能な税率設定ファイルを有し、
前記フォーマットファイルは、この税率設定ファイルに設定されている前記第1の消費税率および前記第2の消費税率のうち選択されたいずれか一方を保存可能としていることを特徴とする値札プリンターにおける消費税率変更装置。
【請求項2】
前記表示部は、
前記消費税率を前記第1の消費税率および前記第2の消費税率として、少なくとも二種類の数値に設定するための税率設定画面を表示可能であることを特徴とする請求項1記載の値札プリンターにおける消費税率変更装置。
【請求項3】
前記表示部は、
前記第1の消費税率および前記第2の消費税率のいずれかを選択するための税率選択画面を表示可能であることを特徴とする請求項1記載の値札プリンターにおける消費税率変更装置。
【請求項4】
商品の価格および消費税率を含む印字データを所定のレイアウトで印字可能とする該レイアウトを設定したレイアウト設定データを保存してあるフォーマットファイルと、
このレイアウトにしたがって前記値札に前記印字データを印字するための印字部と、
前記印字データおよび前記レイアウト設定データを入力するための入力部と、
この入力部によるデータ入力を表示するための表示部と、
これら印字部、入力部および表示部を制御するための制御部と、を有する値札プリンターにおける消費税率変更方法であって、
前記制御部において、前記消費税率を少なくとも二種類の数値に設定するとともに、この設定したそれぞれの数値を第1の消費税率および第2の消費税率として税率設定ファイルに保存し、
前記フォーマットファイルにおいて、この税率設定ファイルに保存されている前記第1の消費税率および前記第2の消費税率のうち選択されたいずれか一方を保存可能とすることを特徴とする値札プリンターにおける消費税率変更方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−43115(P2009−43115A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208821(P2007−208821)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【Fターム(参考)】