説明

偏光光学体

【課題】部品点数を減らし、面発光装置の製造における部品組み込み作業を簡便にすることが可能で、かつ、光学系の光学界面の数を可及的に減らし、界面反射による光学的損失を効果的に防止し、面発光装置の輝度を上昇させることができる、光学積層体を提供する。
【解決手段】偏光層21と、その偏光層の表面に密着された第1の光透過性フィルム22と、その偏光層の裏面に密着された第2の光透過性フィルム23とを含んでなる、光学積層体2において、偏光層は、反射型偏光フィルムを含んでなり、第1および第2の光透過性フィルムはともに拡散フィルムであるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等の面発光装置の改良に関し、また、その様な面発光装置を形成するのに用いられるバックライト装置等の照明装置、及びその様な照明装置を形成するのに用いられる光学積層体に関する。本発明の光学積層体は、液晶表示装置等の面発光装置において、面発光装置の発光輝度を向上させる、いわゆる輝度上昇フィルムとして用いることができる。
【背景技術】
【0002】
これまで、液晶表示装置等の面発光装置において、面発光装置の発光輝度を向上させる、いわゆる輝度上昇フィルムとして光学フィルムを使用したものが知られている。たとえば、図1に示される様な面発光装置である。
【0003】
図1に図示の例では、面光源91からの光は、空気層94−1を介して下拡散板92に供給され、下拡散板92を透過した光は拡散して放射され、光学フィルム93に空気層94−2を介して供給される。光学フィルム93に供給された光は、光学フィルム93を透過し、その透過光が直接、すなわち空気層94−3を介して上拡散板96に供給される。上拡散板96で拡散放射された光は、被照明体97(液晶ディスプレーパネル等)に空気層94−4を介して供給される。なお、ここで、「空気層を介して」という場合は、互いに隣接する部品どうし(たとえば、面光源と下拡散板どうし)が、光学的に密着していない状態であることを意味している。
【0004】
この様な構成の装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。この公報に開示の装置では、面光源は、線状光源(図1の参照番号98に相当)を端部に持ち、光拡散物質を部分的に被覆した透光性材料からなる導光板(図1の参照番号99に相当)である。導光板の出光面側には、直線状頂稜を持つ平行プリズムレンズを多数有するプリズムレンズ型の光学フィルム(輝度上昇フィルム)が配置されている。この装置では、上記光学フィルムの輝度上昇効果により、消費電力−輝度変換効率が効果的に高められる。通常、この様な装置では、均一な発光を得るために、導光板の底面(光学フィルムと対向する面とは反対側の面)に光拡散物質からなるドット印刷を施している。このドット印刷を隠蔽し、装置の発光面から視認できない様にするために、上記下拡散板が導光板直上に配置される。また、特許文献2に開示の装置では、上記下拡散板に加えて、光学フィルムと被照明体との間に、上拡散板が配置されている。上拡散板は、上記被照明体が液晶パネルの場合、ディスプレーの下偏光板と光学フィルムとの光学密着を防ぐために必要である。
【0005】
これらの拡散板は、通常、ポリマー基材からなり、少なくとも光出射面にシボ加工またはマット加工を施して形成される。また、プリズムレンズ型光学フィルムでは、プリズム作用による輝度上昇効果を最大限に生かすために、拡散板と光学フィルムとの密着(光学密着)は避けねばならなかった。
【0006】
また、上記の様な光学フィルムとして、プリズムレンズフィルム(レンズフィルム)以外のものも知られている。たとえば、特許文献3には、輝度上昇効果を有する反射型偏光フィルムが開示されている。このフィルムは、前述のレンズフィルムと置き換えて使用することができ、レンズフィルムと同様に、従来は拡散板とは密着しない様に用いられてきた。また、偏光フィルムとレンズフィルムを併用することも知られている。この場合、たとえば、下拡散板と偏光フィルムとの間に、レンズフィルムを2枚(2つ)配置する。
【0007】
一方、上記光学フィルムの様な輝度上昇効果は持たないが、面発光装置の構成部品として使用できる偏光板も知られている。この偏光板は、液晶パネルの液晶層を挟む様に、上下に配置される偏光板として使用されている。この様な偏光板は、通常、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等の高分子基材に、沃素または染料を吸着させた後、基材を一定方向に1軸延伸し、高分子配向を固定することによって形成される。なお、この偏光板は、古くから知られた光吸収型の偏光作用を発揮するもので、上記反射型偏光フィルムとは異なる。反射型偏光フィルムの詳細は後述するが、たとえば、特許文献4等に開示された多数の誘電体層を含んでなる多層光学フィルムである。
【0008】
上記偏光板は、前述の様な高分子基材を含んでなるので、温湿度の変化による伸縮、反り等の変形が生じやすい。そこで、偏光板の変形を防止するために、偏光板の片面(液晶層とは反対側の面)のみに、光学的透明性の高いプラスチック基板を積層一体化した、光学積層体も知られている。この様な光学積層体は、たとえば、特許文献5及び6等に開示されている。上記プラスチック基板は、半透過性(拡散透過性)でもあって良く、通常、粘着剤で偏光板と一体化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−160639号公報
【特許文献2】特開平5−257144号公報
【特許文献3】特表平9−506984号公報
【特許文献4】特表平9−507308号公報
【特許文献5】特開平8−54620号公報
【特許文献6】特開平8−110521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記の様な光学フィルムおよび拡散板等の部品は、面発光装置の光学設計上不可欠なものであるが、部品点数が多いと、部品組み込み作業が煩雑になる。また、これら部品の組み合わせからなる光学系では、光学界面(部品表面と空気層との界面)が増えるので、光学界面における表面反射による光学的損失が増え、光伝送効率が落ち、面発光装置の発光輝度を向上させるのが困難であった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、部品点数を減らし、面発光装置の製造における部品組み込み作業を簡便にすることが可能で、かつ、光学系の光学界面の数を可及的に減らし、界面反射による光学的損失を効果的に防止し、面発光装置の輝度を上昇させることができる、光学積層体を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、また、このような光学積層体を使用した照明装置を提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、さらに、このような照明装置を使用した面発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の形態によれば、上記した課題を解決するため、偏光層と、その偏光層の表面に密着された第1の光透過性フィルムと、その偏光層の裏面に密着された第2の光透過性フィルムとを含んでなる、光学積層体において、
上記偏光層は、反射型偏光フィルムを含んでなり、
上記第1および第2の光透過性フィルムはともに拡散フィルムであることを特徴とする、光学積層体が提供される。
【0015】
また、本発明の第2の形態によれば、被照明体を照明する照明装置において、その照明装置は、
(A)本発明の光学積層体と、
(B)前記第1の光透過性フィルムの光入射面(前記偏光層との密着面とは反対側の面)から前記光学積層体に光を供給する面光源とを含んでなり、
被照明体を照明する光は、前記第2の光透過性フィルムの光出射面(前記偏光層との密着面とは反対側の面)から放射された拡散偏光光であることを特徴とする、照明装置が提供される。
【0016】
さらに、本発明の第3の形態によれば、本発明の照明装置と、その照明装置により背面から照明される光透過性の被照明体とを含んでなる面発光装置において、被照明体と照明装置の間には、拡散板が存在しないことを特徴とする、面発光装置が提供される。
【0017】
以下の詳細な説明から理解されるように、本発明の光学積層体は、偏光層が反射型偏光フィルムを含んでなり、その偏光層の表面に密着された第1の光透過性フィルムと、その偏光層の裏面に密着された第2の光透過性フィルムとが、ともに拡散フィルムであることを特徴とする。光学積層体が拡散フィルムを含んでなるので、面発光装置に組み込んだ時、従来の様な上下の拡散板は一方またはともに不要である。したがって、部品点数を減らし、部品組み込み作業を簡便にすることが可能である。また、本発明による面発光装置は、従来の面発光装置とは異なり、拡散板−光学フィルム間の光学界面を無くすことができる。したがって、界面反射による光学的損失を効果的に防止でき、面発光装置の輝度上昇を容易にすることができる。また、偏光層に密着した拡散フィルムの効果により、視角特性に影響することなく発光輝度の向上も可能である。
【0018】
本発明の光学積層体は、特に、上記の様な構成の照明装置を形成するのに有用である。本発明の照明装置は、これと被照明体とを組み合わせることにより、上記の様な効果を有する面発光装置を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
以下に述べる様に、本発明の光学積層体は、照明装置からの照明光を、効率的に(伝送損失を効果的に低減しつつ)拡散偏光光に変換し、かつ強度(照明装置としての照度)を効果的に高めるための光学フィルム(または部品)として有用である。また、本発明の照明装置と、LCDを含む光透過性の被照明体とを含んでなる面発光装置では、LCDを透過する偏光成分の強度を効果的に強められ、かつ発光面の輝度の均一性も高めることができる。また、面発光装置の構成部品の数を可及的に減らすことができ、部品組み込み作業を簡便にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の面発光装置を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明の光学積層体の1実施形態を模式的に示した断面図である。
【図3】本発明の面発光装置の1実施形態を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態について説明する。
【0022】
(偏光層)
本発明の光学積層体は、図2に示される様に、偏光層21を挟む様に表裏に配置された、それぞれ拡散性フィルムからなる第1および第2の光透過性フィルム22および23を、偏光層21に密着して形成する。
【0023】
本発明において使用される偏光層は、反射型偏光フィルムを含んでなる。反射型偏光フィルムは、通常、1つの面内軸(透過軸)に平行な振動方向の光のみを透過し、それ以外の光を反射可能な偏光フィルムである。すなちわ偏光フィルムに入射した光のうち、上記透過軸と平行な振動方向の光成分のみを透過させて偏光作用を発揮するが、従来の光吸収型偏光板と異なり、偏光フィルムを透過しなかった光は、実質的に偏光フィルムには吸収されない。したがって、一度偏光フィルムに反射された光を、面光源側に戻し(反射し)、面光源に含まれる反射要素(導光板の光拡散物質等)によってもう一度偏光層に向けて戻すことができる。この戻された光のうち、上記透過軸と平行な振動方向の光成分のみが透過され、残りはまた反射される。すなわち、反射型偏光フィルムを含む偏光層では、この様な透過−反射作用の繰り返しにより、透過された偏光光の強度を効果的に増大させることができる。したがって、偏光光による被照明体の照明輝度が効果的に高められる。この時、被照明体が光透過性のもの(たとえば、液晶パネル等)であれば、被照明体の発光輝度が効果的に高められる。
【0024】
反射型偏光フィルムは、通常、複数の誘電体層を含む、誘電反射フィルムである。この様な誘電反射フィルムとして、特表平9−507308号公報等に開示された多層フィルムが好適に使用できる。
【0025】
たとえば、誘電体層が、第1ポリマーからなる層の複数から構成された第1組誘電体単位と、前述第1ポリマーと異なる屈折率を有する第2ポリマーからなる層の複数から構成された第2組誘電体単位とを組み合わせて含み、その際、前記第1組及び第2組の誘電体単位は、第1ポリマーの層と第2ポリマーの層とを交互に積層することにより組み合わせており、前記第1組及び第2組の誘電体単位の少なくともいずれか一方は、厚み(d、単位はnm)とポリマーの屈折率(n)との積(n・d)が、反射する光の波長の4分の1である4分の1波長層を含んでなる様にして構成される。この時、第1ポリマー層または第2ポリマー層のどちらかが、受光面内において光学的に異方性を有している場合(たとえば、どちらかの層を1軸延伸した場合)、この様な誘電反射フィルムは、偏光作用を有する反射フィルムとして機能する。通常、反射する光も透過する光も可視光である。
【0026】
上記の様な誘電反射フィルムにおいて、上記の反射する光の反射率は通常70%以上、好適には80%以上、特に好適には90%以上である。また、透過する光の透過率は、通常60%以上、好適には70%以上、特に好適には80%以上である。なお、本明細書における「反射率」及び「透過率」は、分光光度計を用いて測定した値である。
【0027】
反射型偏光フィルムは、通常、2種の異なるポリマー(AおよびB)を交互に積層(ABAB…)して作製される。この時、これら2種のポリマーを含んでなる多層フィルム(ABAB…)では、一方のポリマーは、1つの軸(X軸)に沿って延伸(たとえば、延伸比率=約5:1)されるが、他の軸(X軸と直交するY軸)に沿って、実質的に延伸(1:1)されることはない。以下、このX軸を「延伸方向」と記し、Y軸を「横方向」と記す。
【0028】
通常、一方のポリマー(B)には、見かけ屈折率を有し、その値は延伸プロセスにより実質的に変化しない(光学的に等方性の)ものを用いる。また、他方のポリマー(A)、延伸プロセスにより屈折率が変化する性質のものを用いる。たとえば、ポリマー(A)の一軸延伸されたシートは、延伸方向においては、ポリマー(B)の見かけ屈折率よりも大きな第1の屈折率を有し、横方向においては、ポリマー(B)の見かけ屈折率とほぼ同じである第2の屈折率を有する。
【0029】
ポリマーの多層フィルム(ABAB…)において、面内軸(フィルムの表面に平行な軸)に係る屈折率は、面偏光された入射光に対する有効な屈折率であると定義され、この偏光面は、前記面内軸に平行である。したがって、延伸後、多層フィルム(ABAB…)は、延伸方向における層間屈折率差は大きく、しかし横方向においては層間屈折率は実質的に同一である。これにより、この多層フィルムは、入射光の偏光成分を伝播する反射性(反射型)偏光フィルムとして機能する。上記Y軸は伝播(透過)軸として定義され、反射型偏光フィルムを透過する光は、第1振動方向を有する。
【0030】
一方、反射型偏光フィルムを通過しない光は、第1振動方向に対して、直交する(直角をなす)第2振動方向を有する偏光光である。第2振動方向を有する偏光光は、上記X軸に沿ってフィルムの面内に入射し、上記層間屈折率差の作用により反射される。したがって、上記X軸を、反射軸と定義する。このような形態において、反射型偏光フィルムは、選択された振動方向(または偏光軸)を有する光のみを通過させる。
【0031】
上記偏光フィルム内のポリマー層の数は、可及的に最少の数の層を用いて、所望の光学特性を得るように選択されるのが良い。偏光フィルムにおいて、層の数は10,000未満であり、より好ましくは5,000未満であり、さらに好ましくは、3,000未満である。また、偏光フィルムの厚さは、通常15〜1,000μmである。
【0032】
上記ポリマーは、光透過性であれば特に限定されない。通常、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、シリコーン(シリコーンポリウレア等の変性シリコーンを含む)等である。
【0033】
偏光フィルムの表面の形状は、通常は平滑面であるが、本発明の効果を損なわない限り、凹凸面にすることもできる。この場合の凸部の形状は、たとえば、拡散フィルムと同等の効果を有する様に、マット加工またはシボ加工して形成することができる。この場合、この面に別途に密着される拡散フィルムを省略し、偏光フィルムの最表層を拡散フィルムとみなすこともできる。
【0034】
偏光層に含まれる偏光フィルムは、通常1つであるが、複数のフィルムを含むこともできる。また、本発明の効果を損なわない限り、偏光フィルムを着色しても良い。さらに、本発明の効果を損なわない限り、偏光フィルム以外のフィルムまたは層を含んでも良い。たとえば、表面保護層、帯電防止層、透明支持層(強度の補強が目的)、電磁シールド層、接着層、プライマー層等である。なお、偏光層全体の厚さは、光学積層体がかさばらない様に選択されるべきであり、通常5〜2,000μmである。
【0035】
(第1および第2の光透過性フィルム)
本発明で使用される光透過性フィルムは、拡散透過性を有する拡散フィルムである。この様な拡散フィルムは、通常、ポリマーフィルムの表面にマット加工またはシボ加工による拡散表面処理を施したフィルムである。また、表面にサンドブラスト加工や、光透過性樹脂からなる複数の微小突起を配置する等の別の拡散表面処理を施して形成することもできる。さらに、本発明の効果を損なわない限り、拡散粒子をフィルム内部に分散させて含ませることもできる。
【0036】
拡散フィルム全体の厚みは、光学積層体がかさばらない様に選択されるべきであり、通常5〜2,000μmである。なお、第1および第2の光透過性フィルム(すなわち、第1および第2の拡散フィルム)は、互いに同一のものであっても、異なるものであっても良い。たとえば、少なくとも一方の表面(主要面)に拡散表面処理が施された拡散フィルムを、第1および第2の光透過性フィルムとして用い、第1光透過性フィルムの光入射面(偏光層との密着面とは反対側の面)が拡散表面となる様に偏光層の表面に密着させ、第2光透過性フィルムの光出射面(偏光層との密着面とは反対側の面)が拡散表面となる様に偏光層の裏面に密着させる。
【0037】
拡散フィルムは、たとえば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンポリウレア等の変性シリコーンを含む)等の樹脂を含んでなる樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0038】
拡散フィルムは、好適には拡散表面処理を施したフィルムである。この場合、拡散フィルム内部での吸収による光伝送損失を効果的に防止でき、被照明体の照明輝度または発光輝度を高めるのがいっそう容易になる。この様な観点から、拡散表面処理を施す前のフィルム(すなわち、拡散フィルムの材料自体)の光透過率は、通常85%以上、好適には90%以上、特に好適には95%以上である。
【0039】
一方、拡散フィルムの拡散性能は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。たとえば、拡散フィルムのヘイズは、通常40〜90%、好適には45〜87%、特に好適には50〜85%である。なお、本明細書における「ヘイズ」は、JIS K7105 6.4に準拠し、ヘイズメーターを用いて測定した値である。また、拡散表面の粗さ(Ra:中心線平均粗さ)は、通常30μm未満、好適には20μm以下である。
【0040】
また、本発明の効果を損なわない限り、光透過性フィルムを着色しても良い。さらに、本発明の効果を損なわない限り、光透過性フィルムは、拡散フィルム以外のフィルムまたは層を含んでも良く、全体として拡散性を有していれば良い。たとえば、表面保護層、帯電防止層、透明支持層(強度の補強が目的)、電磁シールド層、接着層、プライマー層等である。
【0041】
(光学積層体)
図2に示される様に、第1および第2の光拡散性フィルム22および23を、偏光層21に密着する手段24および25としては、好適には、接着剤を含む密着層を用いる。
【0042】
接着剤は、感圧接着剤、感熱接着剤(ホットメルトを含む)、溶剤揮発型接着剤等、通常のものが使用できる。好適には、硬化性を有する接着剤である。2枚の光透過性フィルムを、偏光層の表面および裏面に密着した後、接着剤を硬化することは、熱的安定性の高い(熱収縮や熱変形が生じ難い)光学積層体を提供することが容易になる。特に前述の様な多層フィルム(偏光フィルム等)は、線膨張係数等の物理特性も異方性を有するので、ヒートショック等の外的熱作用により波打ち等の変形が起きやすい。したがって、多層フィルムからなる偏光フィルムを含む光学積層体において、光透過性フィルムと偏光層との密着手段として硬化型接着剤を用いた形態は、特に好適な実施形態の1つである。
【0043】
接着剤の硬化は、熱、湿気、電子線、紫外線等、通常の硬化手段が採用できる。しかしながら、好適には紫外線硬化型接着剤が良い。熱硬化や電子線硬化では、比較的大量の熱が発生し、偏光フィルムまたは/および拡散フィルムが熱的ダメージ(変形等)を受けるおそれがある。一方、湿気硬化や室温硬化は硬化時間が比較的長く、光学積層体の生産性を高めるのが困難になるおそれがある。紫外線硬化型接着剤は、硬化処理時間も比較的短く、また、硬化処理時に発生する熱量も比較的小さい。
【0044】
接着剤の材料は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。たとえば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンポリウレア等の変性シリコーンを含む)等の樹脂を含んでなる組成物を用いることができる。硬化型の場合、上記樹脂組成物は、硬化性(反応性)のモノマーまたは/およびオリゴマーを含むことができる。
【0045】
接着剤は、通常、密着層(すなわち、接着層)の形で、偏光層または光透過性フィルムの密着面(接着面)に配置される。密着層の厚みは、通常5〜200μmである。また、接着剤の光透過率は、特に限定されないが、通常60%以上、好適には70%以上、特に好適には80%以上である。
【0046】
また、上記密着層の材料として、接着剤以外のものも用いることができる。たとえば、ゴムまたはエラストマー(ただし、一般的な接着剤に比べて接着力が弱い)を含む密着層を用い、光透過性フィルムと偏光層との間に光学界面が形成されない様に、光学的に密着させることもできる。また、輝度上昇効果を損なわない限り、光透過性フィルムと偏光層とを密着するために、密着層を配置しないことも可能である。たとえば、光透過性フィルムおよび偏光層の密着面を非常に平滑にして、実質的に空気層が介在しない様に密着させても良い。
【0047】
光学積層体は、通常、光源と光学密着しない様にして配置する。たとえば、光源が面光源(詳細は後述)の場合、面光源の発光面上に、単に重ねて積層したり、スペーサ(発光面の面積よりも小さな表面面積のバーやワイヤー等)を介して積層して使用する。また、輝度上昇効果を損なわない限り、拡散フィルムを介して配置することもできる。しかしながら、組み込み部品点数を効果的に削減するためには、スペーサや拡散フィルムを介さず、光源の発光面上に単に重ねて積層するのが好適である。したがって、光学積層体の、光源と接する拡散フィルムは、シボ加工やマット加工等の拡散表面処理を施して形成するのが好適である。
【0048】
(照明装置)
本発明による照明装置は、前述の様に、(A)前述光学積層体と、(B)前述第1光透過性フィルムの光入射面(偏光層との密着面とは反対側の面)から前記光学積層体に光を供給する面光源とを含んでなる。被照明体を照明する光は、通常、上記面光源から供給され、前記光学積層体を通して、前記第2光透過性フィルムの光出射面(偏光層との密着面とは反対側の面)から放射された拡散偏光光であることを特徴とする。
【0049】
被照明体は、たとえば、液晶パネルを含む表示体であり、PC(パソコン)やテレビのモニターや、可変表示型の広告看板や標識を構成するものである。液晶パネルが光透過型で被照明体が光透過性の場合、被照明体は、照明装置により背面から照明され、被照明体の前面からそれを視認する。この様な形態では、被照明体がパソコン等の液晶表示体であり、上記照明装置は、通常バックライト装置と呼ばれる。また、この様なバックライト装置と液晶表示体とを組み合わせて形成される面発光装置は、通常、液晶表示装置とも呼ばれるパソコン等のモニターである。この様な液晶表示装置(面発光装置)は、前述の様な光学積層体の作用により、効果的に液晶画面の発光輝度が高められると同時に、装置の部品点数を減らし、面発光装置の製造における部品組み込み作業を簡便にすることができる。
【0050】
本発明の照明装置100は、たとえば、図3に示される様に、導光板1の、一方の主要面(発光面)11の上に、前述の光学積層体2を配置して形成することができる。導光板1の少なくとも一端12(前記主要面を横切る方向における端)には線状光源3が配置される。導光板1の他方の主要面13には、通常、拡散物質からなるドット状印刷により形成された複数の拡散点(図示せず)が配置され、さらに、この他方の主要面13の実質的に全体を被覆する様に、反射部材(図示せず)を配置する。この反射部材は、たとえば、白色不透明な拡散反射シート、鏡面反射シート等である。鏡面反射シートには、ポリマーフィルムの表面に金属層を配置したものや、金属層を含まない誘電反射フィルムから形成できる。誘電反射フィルムに用いられる誘電体は、通常ポリマーである。この様な構成により、光源3から導光板1の内部に導入された光の実質的に全部は、導光板1の発光面11から均一に放射された拡散光とすることができ、照明装置の照明輝度(照度)を効果的に高めることができる。なお、この例では、導光板1、上記反射部材、および光源3の組み合わせからなる部分が面光源10となる。
【0051】
光学積層体2は、上記面光源10の発光面(導光板の発光面11)の上に、空気層51を介して配置されるのが好適である。すなわち、これらの部材は相互に光学的に密着されるのではなく、単に重ねて積層したり、スペーサを介して積層される。これにより、面光源10から光学積層体2には、空気層51を介して光を供給し、面光源と光学積層体との間に介在する部品が形成する光学界面における、光反射による光伝送損失を効果的に低減することができる。
【0052】
被照明体4を照明する光は、光学積層体2の光出射面20(第2光透過性フィルムの光出射面)から放射されるが、光学積層体2の偏光層を透過し、かつ2枚の拡散フィルムを通過することで、拡散偏光光に変換される。
【0053】
上述の例において用いられる導光板及び光源としては、従来から用いられているものを用いることができる。たとえば、照明装置を液晶パネル用のバックライト装置として用いる場合、導光板は石英、ガラス、樹脂(アクリル樹脂等)などからなる透明板が使用でき、光源には、蛍光管、熱陰極間、冷陰極管、ネオン管等の線状光源が使用できる。また、側面発光型の光ファイバーと、光ファイバーの端部からファイバーに光を供給する光源とを組み合わせ、線状光源として用いることもできる。
【0054】
導光板全体の厚さは通常0.1〜30mm、好適には0.3〜20mmである。また、光源の出力は、通常0.5〜200W、好適には1〜150Wである。光源の形状は、特に限定されず、光源の発光面の周りには、通常反射フィルムや反射器が配置され、光源からの実質的に全部の光を導光板に導く様にするのが好適である。
【0055】
上記の様な面光源に含まれる光源の数は1個に限定されず、複数個であっても良い。たとえば、上記導光板の互いに対向する両端に1個づつ2個配置することもできる。また、導光板に代えて、導光空間を有する導光部材を用い、導光空間内に1個または2個以上の光源を配置することもできる。さらに、シート状エレクトロルミネッセンス(EL)素子を面光源として用いることもできる。
【0056】
また、面光源と光学積層体との間に、従来と同様にして、プリズムレンズ型輝度上昇フィルム(レンズフィルム)を配置することもできる。たとえば、被照明体と光学積層体との間に、1枚または2枚のレンズフィルムを配置する。これにより、面発光装置の輝度の上昇がいっそう容易になる。なお、レンズフィルムを2枚配置する場合、線状プリズムレンズの長さ方向が互いに直交する様にする。
【0057】
本発明の光学積層体とレンズフィルムとを併用する場合、2枚の拡散板を省略する代わりに、2枚のレンズフィルムを加えたものとみなすことができる。この場合、部品点数を増やさずに、輝度を効果的に上昇させることができる。しかしながら、部品点数を可及的に削減するには、レンズフィルムは1枚の方が好適である。本発明の光学積層体を用いれば、2枚のレンズフィルムを必要とした従来型の面発光装置と比較して、レンズフィルム1枚と拡散板とを省略することができ、従来型に比べて輝度を上昇させることもできる。
【0058】
なお、レンズフィルムのプリズム面は、好適には光学積層体と面する様に配置され、レンズフィルムを、光学積層体と光学密着させない様にする。これにより、面発光装置の発光面の視角を可及的に小さくし、輝度の上昇がいっそう容易になる。本発明において用いることができるレンズフィルムの具体例として、3M(株)社製の輝度上昇フィルム「(商標)BEFシリーズ」を挙げることができる。
【0059】
(面発光装置)
本発明の面発光装置では、前記照明装置と、その照明装置により背面から照明される光透過性の被照明体とを含んでなり、被照明体と照明装置の間には、従来の様な上拡散板(図1の参照番号96に相当)は存在しない。本発明の面発光装置では、照明装置の光学積層体のみで(上記の様な拡散板を用いなくても)、前記面光源からの光を、照明輝度を効果的に高められた拡散偏光光に変換できる。また、照明装置からの光が、拡散板の形成する光学界面反射による伝送損失を無くせるので、面発光装置の発光輝度を効果的に高めることができる。また、導光板に含まれる拡散点の視認(被照明体を通しての視認)を防止する効果は、光学積層体に含まれる第1および第2の拡散フィルムの効果によって得ることができる。したがって、従来の面発光装置の製造作業において、拡散板を組み込む作業を省いた以外は実質的に同じである。面発光装置の製造を行う光学積層体のユーザーは、サプライヤーから光学積層体を1枚の部品として購入し、取り扱えるので、ユーザーの部品組み込み作業を簡便にすることができる。
【0060】
本発明による面発光装置111は、たとえば、図3に示される様に、光透過性の被照明体4、たとえば液晶パネルを、照明装置100の光学積層体2の上に、空気層52を介して配置するのが好適である。すなわち、これらの装置は相互に光学的に密着されるのではなく、単に重ねて積層したり、スペーサを介して積層される。これにより、照明装置100から被照明体4には、空気層を介して光を供給し、光伝送損失を効果的に低減することができる。
【0061】
各部品(被照明体4、光学積層体2、面光源10、および必要に応じて追加で含まれるレンズフィルム等)は、互いに光学密着しない様に積層した後、通常、各部品の端部周囲を受容可能なフレームで、各部品を一体的に固定して面発光装置を完成させる。
【0062】
また、本発明の面発光装置の構成を別の観点から説明すれば、
(a)輝度上昇フィルムとして、前記光学積層体を用いていること、および
(b)光学積層体−被照明体間の上拡散板を省略(好適には、光学積層体−面光源間の下拡散板も省略)していること、
を除けば、従来の液晶表示装置等の面発光装置と同じとみなすことができる(この点は、図1および図3を参照すればさらに明らかである)。したがって、本発明の面発光装置の部品、及び全体の設計は、従来の面発光装置の場合と同様にして適切に行うことができる。
【0063】
光透過性の被照明体は、通常、液晶パネル(LCD)である。この様なLCDは、液晶画像が視認される表面(発光面)とは反対の背面から照明される。LCDを透過し、液晶画像の視認を可能にする光のほとんどは、LCDに含まれる偏光板により偏光された光である。したがって、照明装置から供給される光の強度(照度)を高め、面発光装置の発光面の輝度を高める手段として、照明装置から照明される光のうち、LCDを透過する偏光成分の強度を効果的に強めることは、最も効率的な手段の1つである。さらに、面発光装置の、発光面の輝度の均一性を高める手段として、照明装置の照明光を拡散偏光光とすることは、最も効果的な手段の1つである。
【実施例】
【0064】
引き続いて、本発明を実施例および比較例を参照して説明する。
【0065】
実施例1
まず、本発明例の光学積層体を次の様にして作製した。偏光層として、反射型偏光フィルム(厚さ130μm)を用いた。また、第1および第2の光透過性フィルムとして、三菱エンジニアリングプラスチック(株)社製のシボ加工タイプの拡散フィルム「(商標)ユーピロン(品番)FEM MO1」(厚さ130μm、ヘイズ79%)を用いた。
【0066】
上記偏光フィルムは、前述の方法で作製した多層型の誘電反射フィルムであった。この偏光フィルムに含まれる、第1誘電体単位の第1ポリマー層は単軸延伸され、第2誘電体単位の第2ポリマー層は延伸されなかった。なお、上記第1ポリマー層は延伸方向と直交する方向が透過軸であり、上記延伸方向が反射軸であった。
【0067】
この偏光フィルムの透過軸における、550nmの波長の光に対する透過率は85%,400〜800nmの帯域における平均透過率は約85%であった。また、反射軸における、550nmの波長の光に対する反射率は95%,400〜800nmの帯域における平均反射率は約95%であった。
【0068】
上記偏光フィルムの表裏に、紫外線硬化型接着剤を用い、上記拡散フィルムを密着させた。なお、この紫外線硬化型接着剤は、アルキルアクリレートモノマーおよびオリゴマーを主成分とするものであり、上記3枚のフィルムを積層した後、接着剤を硬化させた。これにより、全体の厚さが約430μmの光学積層体が作製できた。なお、偏光フィルムおよび拡散フィルムには、硬化処理後の熱的ダメージは無く、うねり波打ち等の変形は見られなかった。
【0069】
続いて、本発明例の照明装置を次の様にして作製した。面光源として、日立製作所(株)社製の11.3型のエッジライト方式バックライトを用いた。このバックライトは、アクリル樹脂からなる導光板を含み、端部に配置された蛍光管から導光板内に光を導入するものであった。また、光出射面とは反対側の面には複数の微小拡散点が配置され、この面は反射板により覆われていた。
【0070】
上記の様にして得た光学積層体を、この面光源の光出射面と同一平面寸法になる様に裁断し、この出射面上に重ねて配置し、本例の照明装置を完成させた。なお、面光源の光出射面と光学積層体の拡散フィルム面(第1光透過フィルムの拡散処理された光入射面)との面は光学密着せず、薄い空気層が存在していた。
【0071】
最後に、上記の様にして得た照明装置の、光学積層体の拡散フィルム面(第2光透過フィルムの拡散処理された光出射面)上に、透過型の液晶パネル(LCD)を重ねて配置し、本発明例の面発光装置を作製した。このLCDは、日立製作所(株)社製の11.3型のTFT型(色はノーマリーホワイト)であった。なお、LCDの光透過軸(LCD内蔵偏光板の光透過軸)と光学積層体の偏光フィルムの光透過軸とが平行になる様に、照明装置とLCDとを配置した。また、LCDの光入射面と、照明装置の拡散フィルム面(第2光透過フィルムの拡散処理された光出射面)との面は光学密着せず、薄い空気層が存在していた。
【0072】
本例の面発光装置を用い、液晶発光面の輝度の測定を行った。輝度測定器は、Eldim(株)社製の輝度計「(型名)EZcontrast 160D」を用いた。本例の面発光装置の、発光面中心付近の輝度は332cd/cm2 であった。
【0073】
比較例1
比較のため、光学積層体に代えて上記反射型偏光フィルムを用い、従来どおり2枚の拡散板(LCD−偏光フィルム間の上位置と、面光源−偏光フィルム間の下位置)を、偏光フィルムと密着させないで配置した以外は、実施例1と同様にして面発光装置を作製した。この面発光装置の発光面中心付近の輝度は309cd/cm2 であった。なお、拡散板としては、実施例1で用いた拡散フィルムを下拡散板として用い、上拡散板として、辻本電機(株)社製の拡散板(品番)PCPT(ヘーズ約56%)を使用した。
【0074】
比較試験1
実施例1および比較例1の面発光装置を比較したところ、どちらの面発光装置の液晶面からも、導光板の拡散点が視認されなかった。さらに、実施例1および比較例1の面発光装置の視角特性もほぼ同等であった。視角特性の測定結果を下記の第1表に示す。なお、視角特性は、液晶発光面内において、偏光板の透過軸と平行な方向(水平方向)と、それと直交する方向(垂直方向)において、正面輝度(視角=0度)に対して半分の輝度になっている角度を視角として採用した。
【0075】
以上により、本発明の光学積層体を含む面発光装置では、反射型偏光フィルムと、これと密着しない2枚の拡散板との組み合わせを含むものに比べて、視角特性等の他の特性を損なわず、輝度を効果的に上昇することが分かった。
【0076】
実施例2
面光源−光学積層体間(下位置)に、面光源および光学積層体に密着しない拡散板(実施例1で用いたものと同じ拡散フィルム)を1枚配置した以外は、実施例1と同様にして本例の面発光装置を作製した。実施例1と同様にして測定した輝度は336cd/cm2 であった。なお、本例の面発光装置の液晶面から、導光板の拡散点は視認されなかった。また、本例の面発光装置の、視角特性の測定結果を下記の第1表に示す。
【0077】
第1表
レンズフィルム無しの場合の視角〔単位は度〕
──────────────────────────────────
実施例1 実施例2 比較例1
拡散板なし 下・拡散フィルム 上下・拡散板
──────────────────────────────────
水平方向 59 53 58
垂直方向 49 49 51
──────────────────────────────────
【0078】
実施例3
複数の平行線状プリズムレンズを有するレンズフィルム1枚を、光学積層体と面光源との間に配置した以外は、実施例1と同様にして本発明例の面発光装置を作製した。実施例1と同様にして測定した輝度は455cd/cm2 であった。
【0079】
本例では、レンズフィルムのプリズム面は光学積層体と面する様に配置され、レンズフィルムは、面光源の導光板にも光学積層体にも光学密着させない様にした。なお、上記レンズフィルムは、3M(株)社製の輝度上昇フィルム「(商標}BEF(品番)II 90/50」であった。また、このレンズフィルムは、プリズムの長さ方向が、バックライトの蛍光管の長さ方向と直交する様に配置した。
【0080】
比較例2
比較のため、光学積層体に代えて上記反射型偏光フィルムを用い、偏光フィルムと導光板との間に1枚、レンズフィルムと液晶パネルの間に1枚、合計2枚の拡散板を配置した以外は、実施例3と同様(プリズム1枚)にして面発光装置を作製した。この面発光装置の発光面中心付近の輝度は382cd/cm2 であった。
【0081】
比較試験2
実施例3および比較例2の面発光装置を比較したところ、これらの面発光装置の液晶面からは、導光板の拡散点はともに視認されず、また、実施例3および比較例2の面発光装置の視角特性もほぼ同等であった。視角特性の測定結果を下記の第2表に示す。
【0082】
以上により、本発明の光学積層体を含む面発光装置では、反射型偏光フィルムと、これと密着しない2枚の拡散板との組み合わせを含むものに比べて、視角特性等の他の特性を損なわず、輝度を効果的に上昇することが分かった。
【0083】
比較例3
上拡散板を用いなかった以外は、比較例2と同様にして本例の面発光装置を作製した。実施例1と同様にして測定した輝度は428cd/cm2 であった。また、本例の面発光装置の、視角特性の測定結果を下記の第2表に示す。
【0084】
本例の面発光装置では、上拡散板を用いなかった分、比較例2に比べて輝度が向上したが、実施例3に比べると輝度の向上は不充分であった。
【0085】
第2表
レンズフィルム1枚の場合の視角〔単位は度〕
──────────────────────────────────
実施例3 比較例2 比較例3
拡散板なし 上下・拡散板 下・拡散フィルム
──────────────────────────────────
水平方向 48 49 50
垂直方向 37 35 35
──────────────────────────────────
【0086】
実施例4
複数の線状プリズムを有するレンズフィルム2枚を、光学積層体と面光源との間に配置した以外は、実施例1と同様にして本発明例の面発光装置を作製した。実施例1と同様にして測定した輝度は556cd/cm2 であった。
【0087】
本例では、2枚のレンズフィルムのプリズム面は光学積層体側に向けて配置され、それぞれのレンズフィルムは、面光源の導光板にも光学積層体にも光学密着させない様にした。また、2枚のレンズフィルムは互いに光学密着していなかった。
【0088】
2枚のレンズフィルムの、プリズムの長さ方向は互いに直交しており、光学積層体に近い側の、レンズフィルムのプリズムの長さ方向は、バクライトの蛍光管と直交する様にした。なお、上記レンズフィルムは、2枚とも実施例3で用いたものと同じであった。
【0089】
比較例4
比較のため、光学積層体に代えて上記反射型偏光フィルムを用い、偏光フィルムと導光板との間に1枚、上側のレンズフィルムと液晶パネルの間に1枚、合計2枚の拡散板を配置した以外は、実施例4と同様(プリズム2枚)にして面発光装置を作製した。この面発光装置の発光面中心付近の輝度は411cd/cm2 であった。
【0090】
比較試験3
実施例4および比較例4の面発光装置を比較したところ、これらの面発光装置の液晶面からは、導光板の拡散点はともに視認されず、また、実施例4および比較例4の面発光装置の視角特性もほぼ同等であった。視角特性の測定結果を下記の第3表に示す。
【0091】
以上により、本発明の光学積層体を含む面発光装置では、反射型偏光フィルムと、これと密着しない2枚の拡散板との組み合わせを含むものに比べて、視角特性等の他の特性を損なわず、輝度を効果的に上昇することが分かった。
【0092】
実施例5
面光源−光学積層体間(下位置)に、面光源および光学積層体に密着しない拡散板(実施例1で用いたものと同じ拡散フィルム)を1枚配置した以外は、実施例4と同様にして本発明例の面発光装置を作製した。実施例4と同様にして測定した輝度は433cd/cm2 であった。なお、本例の面発光装置の液晶面から、導光板の拡散点は視認されなかった。本例の面発光装置の、視角特性の測定結果を下記の第3表に示す。
【0093】
第3表
レンズフィルム2枚の場合の視角〔単位は度〕
──────────────────────────────────
実施例4 実施例5 比較例4
拡散板なし 下・拡散フィルム 上下・拡散板
──────────────────────────────────
水平方向 30 30 31
垂直方向 28 28 28
──────────────────────────────────
【0094】
比較例5
上拡散板を用いなかった以外は、比較例4と同様にして本例の面発光装置を作製した。実施例1と同様にして測定した輝度は469cd/cm2 であった。本例の面発光装置では、上拡散板を用いなかった分、比較例4に比べて輝度が向上したが、実施例4に比べると輝度の向上は不充分であった。
【符号の説明】
【0095】
1 導光板
2 光学積層体
3 光源
4 被照明体
10 面光源
21 偏光層
22,23 光拡散性フィルム
24,25 密着層
100 照明装置
111 面発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光層と、その偏光層の表面に密着された第1の光透過性フィルムと、その偏光層の裏面に密着された第2の光透過性フィルムとを含んでなる、光学積層体において、
上記偏光層は、反射型偏光フィルムを含んでなり、
上記第1および第2の光透過性フィルムはともに拡散フィルムであることを特徴とする、光学積層体。
【請求項2】
被照明体を照明する照明装置において、その照明装置は、
(A)請求項1に記載の光学積層体と、
(B)前記第1の光透過性フィルムの光入射面(前記偏光層との密着面とは反対側の面)から前記光学積層体に光を供給する面光源とを含んでなり、
被照明体を照明する光は、前記第2の光透過性フィルムの光出射面(前記偏光層との密着面とは反対側の面)から放射された拡散偏光光であることを特徴とする、照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置と、その照明装置により背面から照明される光透過性の被照明体とを含んでなる面発光装置において、被照明体と照明装置の間には、拡散板が存在しないことを特徴とする、面発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−61655(P2013−61655A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−225112(P2012−225112)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2010−106407(P2010−106407)の分割
【原出願日】平成11年6月9日(1999.6.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】