説明

偏向電磁石調整装置、粒子線照射装置、粒子線治療装置及び偏向電磁石調整方法

【課題】偏向電磁石による荷電粒子ビームの偏向制御を高精度に調整する偏向電磁石調整装置を得ることを目的とする。
【解決手段】偏向電磁石11、21により走査された荷電粒子ビーム1の走査軌道を検出するモニタ31と、走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるような補正データを生成し、偏向電磁石11、21を制御する制御部12、22に補正データを送信するフィードバック制御装置41とを備えた。また、フィードバック制御装置41は、荷電粒子ビーム1の走査軌道における真円からのずれの度合いである真円度を判定し、真円度が所定の許容範囲を超えた場合に、走査軌道の真円度が許容範囲になるような補正データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用や研究用に用いられる粒子線治療装置に関し、特に荷電粒子ビームを円形状に走査する偏向電磁石の調整を行う偏向電磁石調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照射対象に荷電粒子ビームを照射する荷電粒子ビーム照射方法としては、均一な照射線量分布を得るために、複数のワブラ電磁石を用いて荷電粒子ビームの走査軌道を円形にするワブラ法が知られている。
【0003】
ワブラ法では、互いに直行する方向に荷電粒子ビームを偏向する2つのワブラ電磁石に位相が90°ずれた正弦波波形を有する交流電流を供給することにより、荷電粒子ビームを2つのワブラ電磁石で偏向して走査軌道を円形にしている。なお、ワブラ電磁石に供給される交流電流の振幅を調節することによって、走査される荷電粒子ビームの軌道やその大きさを調節することができる。
【0004】
特許文献1には、照射対象に荷電粒子ビームを照射しているときに、複数のワブラ電磁石により走査される荷電粒子ビームの軌道が円形になっていない場合に、照射対象に対する荷電粒子ビームの照射を停止させる荷電粒子ビーム照射装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−292600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワブラ電磁石により走査された荷電粒子ビームの走査軌道の真円度(真円からのずれの度合い)や、ワブラ電磁石により発生された磁場の位相差は、季節変動や経年劣化などにより、正常動作範囲からずれが生じる。これらのビーム走査軌道の真円度や磁場の位相差のずれ補正は、メンテナンス日などに実施される。
【0007】
特許文献1に開示された発明においては、照射対象に荷電粒子ビームを照射しているときに、複数のワブラ電磁石により走査される荷電粒子ビームの軌道が円形になっていない場合に、照射対象に対する荷電粒子ビームの照射を停止させることは記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1には、ワブラ電磁石により走査された荷電粒子ビームの走査軌道の真円度のずれや、ワブラ電磁石により発生された磁場の位相差のずれを補正する方法は示されていない。ビーム走査軌道の真円度や磁場の位相差のずれ補正は必要であり、高精度にワブラ電磁石を調整する方法が求められていた。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、偏向電磁石による荷電粒子ビームの偏向制御を高精度に調整する偏向電磁石調整装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
偏向電磁石により走査された荷電粒子ビームの走査軌道を検出するモニタと、走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるような補正データを生成し、偏向電磁石を制御する制御
部に補正データを送信するフィードバック制御装置とを備えた。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る偏向電磁石調整装置は、モニタが検出した荷電粒子ビームの走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるような補正データを生成し、補正データに基づいて偏向電磁石を制御するので、偏向電磁石による荷電粒子ビームの偏向制御を高精度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1による粒子線治療装置を示す構成図である。
【図2】図1の粒子線照射装置を示す図である。
【図3】図2の照射系を調整する偏向電磁石調整装置を示す図である。
【図4】照射系に供給される交流電流の波形を示す図である。
【図5】図4の場合におけるビームの強度分布を示す図である。
【図6】照射系に供給される他の交流電流の波形を示す図である。
【図7】図6の場合におけるビームの強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における粒子線治療装置を示す構成図である。粒子線治療装置51は、ビーム発生装置52と、ビーム輸送系59と、粒子線照射装置58a、58bとを備える。ビーム発生装置52は、イオン源(図示せず)と、前段加速器53と、シンクロトロン54とを有する。粒子線照射装置58bは回転ガントリ(図示せず)に設置される。粒子線照射装置58aは回転ガントリを有しない治療室に設置される。ビーム輸送系59の役割はシンクロトロン54と粒子線照射装置58a、58bの連絡にある。ビーム輸送系59の一部は回転ガントリ(図示せず)に設置され、その部分には複数の偏向電磁石55a、55b、55cを有する。
【0014】
イオン源で発生した陽子線等の粒子線である荷電粒子ビームは、前段加速器53で加速され、シンクロトロン54に入射される。荷電粒子ビームは、所定のエネルギーまで加速される。シンクロトロン54から出射された荷電粒子ビームは、ビーム輸送系59を経て粒子線照射装置58a、58bに輸送される。粒子線照射装置58a、58bは荷電粒子ビームを患者の患部40(図2参照)に照射する。
【0015】
図2は本発明の実施の形態1による粒子線照射装置を示す構成図である。ビーム発生装置52で発生され、所定のエネルギーまで加速された荷電粒子ビーム1は、ビーム輸送系59を経由し、粒子線照射装置58へと導かれる。粒子線照射装置58は、荷電粒子ビーム1に垂直な方向であるX方向及びY方向に荷電粒子ビーム1を走査するX方向ワブラ電磁石11及びY方向ワブラ電磁石21と、X方向ワブラ電磁石11を制御する制御部12と、Y方向ワブラ電磁石21を制御する制御部22と、散乱体34と、リッジフィルタ35と、コリメータ36と、ボーラス37と、ボーラス37を取り付けるボーラス台38と、電磁石電源32と、電磁石電源32を制御する照射制御装置33とを備える。X方向ワブラ電磁石11(以後、適宜、単にワブラ電磁石11と表わす)、Y方向ワブラ電磁石21(以後、適宜、単にワブラ電磁石21と表わす)、制御部12、制御部22は粒子線照射装置58の照射系10である。なお、図2に示したように荷電粒子ビーム1の進行方向はZ方向である。
【0016】
ワブラ電磁石11は、制御部12により制御される正弦波波形を有する交流電流に応じて、強度が正弦波的に変化する磁場を発生させる。制御部12は、電磁石電源32から供給される正弦波波形を有する交流電流を調整し、ワブラ電磁石11に供給する。ワブラ電
磁石21もワブラ電磁石11と同様に、制御部22により制御される正弦波波形を有する交流電流に応じて、強度が正弦波的に変化する磁場を発生させる。制御部22は、電磁石電源32から供給される正弦波波形を有する交流電流を調整し、ワブラ電磁石21に供給する。ワブラ電磁石11及びワブラ電磁石21に供給される電流は、図4に示すように互いに位相が90°ずれたものである。ワブラ電磁石21に供給される交流電流はワブラ電磁石11に供給される交流電流と位相差が90°であるため、ワブラ電磁石11とワブラ電磁石21は位相が90°ずれた磁場を発生する。ワブラ電磁石11とワブラ電磁石21は荷電粒子ビーム1を円形状に走査する偏向電磁石である。
【0017】
ワブラ電磁石11に導かれた荷電粒子ビーム1は、ワブラ電磁石11が発する磁場により偏向された後、ワブラ電磁石21が発する磁場により偏向される。前述のように、ワブラ電磁石11が発する磁場とワブラ電磁石21が発する磁場とは位相が90°ずれているので、ワブラ電磁石11、21が発する磁場により偏向された荷電粒子ビーム1の走査軌道は円形になる。なお、ワブラ電磁石11、21に供給される交流電流の振幅は、ワブラ電磁石11、21それぞれの磁極間隔等を考慮した上で、荷電粒子ビーム1の走査軌道が円形になるように設定される。
【0018】
ワブラ電磁石11、21の下流には、ワブラ電磁石11、21により円形に走査された荷電粒子ビーム1を均一な照射線量分布にし、患部40に照射野を形成する機器が配置される。散乱体34は、荷電粒子ビーム1を散乱させる。散乱体34により散乱させられた荷電粒子ビーム1の照射線量分布はガウス分布となるので、ワブラ電磁石11、21によりビームが円形に走査されることにより、照射線量分布を均一化することができる。リッジフィルタ35は、荷電粒子ビーム1が通過する位置によって失うエネルギーが異なる厚さ分布を有する。リッジフィルタ35を通過した荷電粒子のエネルギーは減衰するので、荷電粒子ビーム1のエネルギー分布が拡大される。これにより、照射対象である患部40におけるビーム進行方向に対する照射範囲(深さ方向の照射野)を広げることができ、患部全体を同時にかつ均一に照射することができる。
【0019】
ボーラス台38に取付けられたボーラス37は、患部40の最深部のディスタル形状に沿った形状を有する。このボーラス37は、患者毎に加工されたエネルギー変調器であり、ポリエチレンまたはワックスを用いて作られる。ボーラス37を用いることにより、患部40の最深層およびその手前の各照射層のそれぞれに対する照射線量を平坦化することができる。コリメータ36は、横方向の照射野を制限するためのものであり、遠隔制御により、荷電粒子ビーム1と垂直な方向に移動し、横方向の照射野を調整する。コリメータ36には、例えば多葉コリメータを使用する。深さ方向の照射野及び横方向の照射野を調整することにより、3次元的な線量分布を作り出す。散乱体34、リッジフィルタ35、コリメータ36、ボーラス37を通過した荷電粒子ビーム1は粒子線照射装置58から患部40に照射される。
【0020】
前述したように、ワブラ電磁石11、21により走査された荷電粒子ビームの走査軌道の真円度(真円からのずれの度合い)や、ワブラ電磁石11、21により発生された磁場の位相差は、季節変動や経年劣化などにより、正常動作範囲からずれが生じる。定期検査やメンテナンスの際に、ワブラ電磁石11、21により走査された荷電粒子ビームの走査軌道の真円度や、ワブラ電磁石11、21により発生された磁場の位相差を検査する。正常動作範囲(許容範囲)からずれが生じる場合に、ワブラ電磁石11、21を正常動作範囲になるように調整する。ワブラ電磁石11、21の調整方法を説明する。図3は照射系を調整する偏向電磁石調整装置を示す図である。ワブラ電磁石11、21の下流に、ワブラ電磁石11、21が発する磁場によるビーム走査軌道の真円度を測定するためのモニタ31が配置され、モニタ31で検出されたワブラ電磁石11,21が発する磁場によるビーム走査軌道の真円度の情報は、電圧信号としてフィードバック装置41に入力される。モニタ31とフィードバック装置41は偏向電磁石調整装置42を構成する。フィードバック装置41は、入力された電圧信号に基づいて、ワブラ電磁石11、21が発している磁場の位相差の絶対値が90°になっているか否か、または磁場による荷電粒子ビーム1の走査軌道の真円度を判定する。
【0021】
モニタ31は、スクリーンモニタ、平坦度モニタ、ワイヤグリッドモニタ、プロファイルモニタ等である。モニタ31は、走査された荷電粒子ビーム1のビーム走査軌道を直接的または間接的に得ることができればよい。スクリーンモニタはワブラ電磁石11、21が発する磁場による走査された荷電粒子ビーム1の強度を検出する。平坦度モニタは、走査された荷電粒子ビーム1の強度のXY方向における平担度を検出する。ワイヤグリッドモニタは、走査された荷電粒子ビーム1のビーム走査軌道を検出する。プロファイルモニタは、走査された荷電粒子ビーム1の強度プロファイルを検出する。いずれのモニタでも、走査された荷電粒子ビーム1のビーム走査軌道を直接的または間接的に得ることができる。モニタ31により得られたビーム走査軌道からワブラ半径を計算する。ワブラ半径の大きさから逆算して、ワブラ電磁石11,21が発する磁場の強度を算出することができる。モニタ31は可搬型のモニタであり、モニタ31は定期検査やメンテナンスの際に、荷電粒子ビーム1のアイソセンターで測定できるように配置される。ここでは、モニタ31をスクリーンモニタとして説明する。判定の具体的手法を以下に説明する。
【0022】
ワブラ電磁石21に供給される交流電流は、ワブラ電磁石11に供給される交流電流と位相差が90°ずれるようにするが、位相差が+90°の場合(第1の場合)と、位相差が−90°の場合(第2の場合)の2通りがある。第1の場合は、ワブラ電磁石21の位相がワブラ電磁石11の位相+90°であり、第2の場合は、ワブラ電磁石21の位相がワブラ電磁石11の位相−90°である。フィードバック装置41は第1の場合と第2の場合の各条件によって、ワブラ電磁石11、21の制御部12、22に送る信号が異なるため、それぞれについて具体的手法を説明する。ここでは、理解がしやすいように、ワブラ電磁石11、21が発生する磁場は、ワブラ電磁石11、21に供給される交流電流の位相に従い、理想的な交流磁場になる場合を考える。
【0023】
まず、第1の場合について説明する。図4は照射系に供給される交流電流の波形を示す図である。縦軸は電流Iであり、横軸は位相θである。図4(a)は、ワブラ電磁石11に供給される交流電流の波形を示す図である。図4(b)は、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形を示す図である。図4(c)は、ワブラ電磁石21の位相がワブラ電磁石11の位相に比べ+αのときを示す図である。図4(d)は、ワブラ電磁石21の位相がワブラ電磁石11の位相に比べ−αのときを示す図である。図5は、交流電流の位相差が0、+α、−αの場合のビームの強度分布を示す図である。図5(a)は、モニタ(スクリーンモニタ)31により検出されたビームの強度分布である。図5(b)は、荷電粒子ビーム1の中心軸を通り、ビームの強度ピーク位置までの長さである軌道径を説明する図である。
【0024】
スクリーンモニタは、当該スクリーンモニタを通過した荷電粒子ビーム1の強度を2次元(Z軸に垂直な平面上、XY面(走査面)上)で検出する。粒子線照射装置58に入射される荷電粒子ビーム1は、エネルギー分布がほとんどないので、スクリーンモニタであるモニタ31には、荷電粒子ビーム1が走査される軌道が検出され、その検出結果が表示装置(図示せず)の表示画面に表示される。ビーム強度分布(走査軌道)5aは、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形が図4(b)の場合であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が90°なので、円形になっている。ビーム強度分布(走査軌道)5bは、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形が図4(c)の場合であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が90°+αなので、第1象限及び第3象限に長軸を有する楕円形になっている。ビーム強度分布(走査軌道)5cは、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形が図4(d)の場合であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が90°−αなので、第2象限及び第4象限に長軸を有する楕円形になっている。
【0025】
図5(a)に示すように、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が90°±αとなったとき、荷電粒子ビーム1の強度分布が真円から外れていくのがわかる。そこで図5(b)に示すように荷電粒子ビーム1の中心軸を通り、ビームの強度ピーク位置までの長さである軌道径7a、7bを比較することにより、荷電粒子ビーム1の真円度を判定する。あるいは、荷電粒子ビーム1の真円度からワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が90°になっているか否かを判定する。荷電粒子ビーム1の中心軸は、図2に示したZ軸であり、図5のx軸とy軸との交点を通る。なお、図5(b)に示したx軸と軌道径7a、7bの角度φは45°である。図5(b)に示したビーム軌道は円形(ビーム強度分布5aに相当)であるが、楕円形の場合も同様に考える。ここでは、ワブラ電磁石11、21の交流電流は、位相のみが異なる正弦波を考えているので、楕円形の長軸または端軸方向に軌道径7a、7bが存在する。位相以外の違いで円形から楕円形に変形される場合には、角度φは45°からずれることになる。
【0026】
荷電粒子ビーム1の走査軌道の真円度は、軌道径7aと軌道径7bとの比、例えば軌道径7a/軌道径7b(以後、単に7a/7bと表わす)で計算する。7a/7b=1の場合(ビーム強度分布5aに相当)は、真円度が1であり、荷電粒子ビーム1の走査軌道は真円である。7a/7b>1の場合(ビーム強度分布5cに相当)は、真円度が1以上であり、荷電粒子ビーム1の走査軌道は楕円である。7a/7b<1の場合(ビーム強度分布5bに相当)は、真円度が1以下であり、荷電粒子ビーム1の走査軌道は楕円である。なお、完全な楕円形からずれが生じている場合、真円度の判定は、走査軌道を楕円状に見立て、楕円状の走査軌道における長軸方向の第1の軌道径と長軸方向と垂直な方向の第2の軌道径との比により行う。
【0027】
ワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差は、真円度(7a/7b)から計算する。上述したように、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差とビーム走査軌道の真円度は1対1の関係であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差とビーム走査軌道の真円度も1対1の関係がなりたつので、この関係を使って計算する。磁場の位相差は、楕円の式を変形して、ビーム走査軌道の真円度と磁場の位相差との関係式を求めて、この関係式に基づいて演算してもよい。また、磁場の位相差は、ビーム走査軌道の真円度と磁場の位相差との対応表を作成し、この対応表に基づいて求めるようにしてもよい。真円度7a/7b=1の場合は、磁場の位相差は90°である。真円度7a/7b<1の場合は、磁場の位相差は90°より大きい。真円度7a/7b>1の場合は、磁場の位相差は90°より小さい。
【0028】
ワブラ電磁石11、21の調整方法について説明する。ワブラ電磁石11、21の調整に先だって、ワブラ電磁石11、21の磁場が最大になるように補正されている。ワブラ電磁石11、21の磁場の強度補正は従来と同様に行う。
【0029】
ユーザから偏向電磁石調整装置42のフィードバック装置41に対して、調整開始要求が出されると、フィードバック装置41から粒子線照射装置58にビーム出射要求が出されて、荷電粒子ビーム1が出射される。モニタ31により得られた荷電粒子ビーム1の強度分布の軌道径7aと、軌道径7bとの関係を場合分けし、軌道径7b>軌道径7aの場合、軌道径7b=軌道径7aの場合、軌道径7b<軌道径7aの場合、それぞれの場合において、ワブラ電磁石11、21の交流電流によるビーム走査軌道の真円度や磁場の位相差の判定方法及び交流電流の調整方法を説明する。
【0030】
フィードバック装置41は、軌道径7b>軌道径7a(真円度7a/7b<1)であると判定した場合、あるいは磁場の位相差が90°より大きいと判定した場合、ワブラ電磁石21の交流電流の位相をマイナス方向にシフトするような補正信号(補正データ)を、制御部22に送る。その後ユーザからの調整停止要求がない限り、フィードバック装置41は粒子線照射装置58にビーム出射要求を出し、モニタ31により得られた荷電粒子ビーム1の強度分布の軌道径7aと軌道径7bとの関係、あるいは磁場の位相差を判定し、補正信号を制御部22に送ることを繰り返す。すなわち、ユーザからの調整停止要求がない限り、偏向電磁石調整装置42は、荷電粒子ビーム1のビーム強度分布(走査軌道)を検出(検出手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1であるか、あるいはワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が90°であるかを判定(判定手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1になるように、あるいはワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が90°になるように補正信号を制御部22に送信し、ワブラ電磁石11、21の調整(調整手順)を繰り返す。
【0031】
フィードバック装置41は、軌道径7b=軌道径7a(真円度7a/7b=1)であると判定した場合、あるいは磁場の位相差が90°であると判定した場合、フィードバック装置41は、これをユーザに知らせる信号をユーザI/F(インターフェース)部分から送る。フィードバック装置41は、これと同時に粒子線照射装置58にビーム停止要求を出す。
【0032】
最後に、軌道径7b<軌道径7aの場合を説明する。フィードバック装置41は、軌道径7b<軌道径7a(真円度7a/7b>1)であると判定した場合、あるいは磁場の位相差が90°より小さいと判定した場合、ワブラ電磁石21の交流電流の位相をプラス方向にシフトするような補正信号(補正データ)を、制御部22に送る。その後ユーザからの調整停止要求がない限り、フィードバック装置41は粒子線照射装置58にビーム出射要求を出し、モニタ31により得られた荷電粒子ビーム1の強度分布の軌道径7aと軌道径7bとの関係、あるいは磁場の位相差を判定し、補正信号を制御部22に送ることを繰り返す。すなわち、ユーザからの調整停止要求がない限り、偏向電磁石調整装置42は、荷電粒子ビーム1のビーム強度分布(走査軌道)を検出(検出手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1であるか、あるいはワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が90°であるかを判定(判定手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1になるように、あるいはワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が90°になるように補正信号を制御部22に送信し、ワブラ電磁石11、21の調整(調整手順)を繰り返す。
【0033】
荷電粒子ビーム1が停止された際に、制御部22に最後に送信された補正信号による補正データは、制御部22の記憶部に記憶される。この補正データは、荷電粒子ビーム1が照射される際に、使用される。したがって、粒子線照射装置58は、偏向電磁石調整装置42により生成された補正データにより電磁石電源32からの交流電流が補正された交流電流で、ワブラ電磁石11、21を制御するので、荷電粒子ビーム1の均一な照射線量分布を得ることができる。
【0034】
今まで、ワブラ電磁石11、21に供給される交流電流の位相差が+90°の場合(第1の場合)を説明した。次にワブラ電磁石11、21に供給される交流電流の位相差が−90°の場合(第2の場合)について説明する。図6は照射系に供給される交流電流の波形を示す図である。縦軸は電流Iであり、横軸は位相θである。図6(a)は、ワブラ電磁石11に供給される交流電流の波形を示す図である。図6(b)は、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形を示す図である。図6(c)は、ワブラ電磁石21の位相がワブラ電磁石11の位相に比べ+αのときを示す図である。図6(d)は、ワブラ電磁石21の位相がワブラ電磁石11の位相に比べ−αのときを示す図である。図7は、交流電
流の位相差が0、+α、−αの場合のビームの強度分布を示す図である。図7(a)は、モニタ(スクリーンモニタ)31により検出されたビームの強度分布である。図7(b)は、荷電粒子ビーム1の中心軸を通り、ビームの強度ピーク位置までの長さである軌道径を説明する図である。
【0035】
ビーム強度分布(走査軌道)5dは、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形が図6(b)の場合であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が90°なので、円形になっている。ビーム強度分布(走査軌道)5eは、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形が図6(c)の場合であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が−90°+αなので、第2象限及び第4象限に長軸を有する楕円形になっている。ビーム強度分布(走査軌道)5fは、ワブラ電磁石21に供給される交流電流の波形が図6(d)の場合であり、ワブラ電磁石11、21の交流電流の位相差が−90°−αなので、第1象限及び第3象限に長軸を有する楕円形になっている。
【0036】
図7(a)に示すように、ワブラ電磁石11,21の交流電流の位相差が−90°±αとなったとき、荷電粒子ビーム1の強度分布が真円から外れていくのがわかる。そこで図7(b)に示すように荷電粒子ビーム1の中心軸を通り、ビームの強度ピーク位置までの長さである軌道径7a、7bを比較することにより、荷電粒子ビーム1の真円度を判定する。あるいは、荷電粒子ビーム1の真円度からワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が−90°になっているか否かを判定する。図7(b)は図5(b)と同様のものであり、図7(b)に示したビーム軌道は円形(ビーム強度分布5dに相当)である点が異なる。
【0037】
荷電粒子ビーム1の走査軌道の真円度は、第1の場合と同様に、軌道径7aと軌道径7bとの比、例えば軌道径7a/軌道径7b(7a/7b)で計算する。また、ワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差は、第1の場合と同様に、真円度(7a/7b)から計算する。
【0038】
第1の場合で説明したのと同様に、モニタ31により得られた荷電粒子ビーム1の強度分布の軌道径7aと、軌道径7bとの関係を場合分けし、軌道径7b>軌道径7aの場合、軌道径7b=軌道径7aの場合、軌道径7b<軌道径7aの場合、それぞれの場合において、ワブラ電磁石11、21の交流電流によるビーム走査軌道の真円度や磁場の位相差の判定方法及び交流電流の調整方法を説明する。
【0039】
フィードバック装置41は、軌道径7b>軌道径7a(真円度7a/7b<1)であると判定した場合、あるいは磁場の位相差が−90°より小さい(位相差の絶対値が90°より大きい)と判定した場合、ワブラ電磁石21の交流電流の位相をプラス方向にシフトするような補正信号(補正データ)を、制御部22に送る。その後ユーザからの調整停止要求がない限り、フィードバック装置41は粒子線照射装置58にビーム出射要求を出し、モニタ31により得られた荷電粒子ビーム1の強度分布の軌道径7aと軌道径7bとの関係、あるいは磁場の位相差を判定し、補正信号を制御部22に送ることを繰り返す。すなわち、ユーザからの調整停止要求がない限り、偏向電磁石調整装置42は、荷電粒子ビーム1のビーム強度分布(走査軌道)を検出(検出手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1であるか、あるいはワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が−90°であるか(位相差の絶対値が90°であるか)を判定(判定手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1になるように、あるいはワブラ電磁石11、21交流電流による磁場の位相差が−90°(位相差の絶対値が90°)になるように補正信号を制御部22に送信し、ワブラ電磁石11、21の調整(調整手順)を繰り返す。
【0040】
フィードバック装置41は、軌道径7b=軌道径7a(真円度7a/7b=1)である
と判定した場合、あるいは磁場の位相差が−90°である(位相差の絶対値が90°である)と判定した場合、これをユーザに知らせる信号をユーザI/F(インターフェース)部分から送る。フィードバック装置41は、これと同時に粒子線照射装置58にビーム停止要求を出す。
【0041】
最後に、軌道径7b<軌道径7aの場合を説明する。フィードバック装置41は、軌道径7b<軌道径7a(真円度7a/7b>1)であると判定した場合、あるいは磁場の位相差が−90°より大きい(位相差の絶対値が90°より小さい)と判定した場合、ワブラ電磁石21の交流電流の位相をマイナス方向にシフトするような補正信号(補正データ)を、制御部22に送る。その後ユーザからの調整停止要求がない限り、フィードバック装置41は粒子線照射装置58にビーム出射要求を出し、モニタ31により得られた荷電粒子ビーム1の強度分布の軌道径7aと軌道径7bとの関係、あるいは磁場の位相差を判定し、補正信号を制御部22に送ることを繰り返す。すなわち、ユーザからの調整停止要求がない限り、偏向電磁石調整装置42は、荷電粒子ビーム1のビーム強度分布(走査軌道)を検出(検出手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1であるか、あるいはワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差が−90°であるか(位相差の絶対値が90°であるか)を判定(判定手順)し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1になるように、あるいはワブラ電磁石11、21交流電流による磁場の位相差が−90°(位相差の絶対値が90°)になるように補正信号を制御部22に送信し、ワブラ電磁石11、21の調整(調整手順)を繰り返す。
【0042】
荷電粒子ビーム1が停止された際に、制御部22に最後に送信された補正信号による補正データは、制御部22の記憶部に記憶される。この補正データは、荷電粒子ビーム1が照射される際に、使用される。したがって、粒子線照射装置58は、偏向電磁石調整装置42により生成された補正データにより電磁石電源32からの交流電流が補正された交流電流で、ワブラ電磁石11、21を制御するので、荷電粒子ビーム1の均一な照射線量分布を得ることができる。
【0043】
ワブラ電磁石11、21が発生する磁場の最大値があらかじめ設定された値になっていないことと、ワブラ電磁石11、21の交流電流による磁場の位相差の絶対値(交流電流の位相差の絶対値)が90°になっていないことの両方の影響により、荷電粒子ビーム1の走査軌道が円形から歪む場合がある。その場合でも、偏向電磁石調整装置42は、ワブラ電磁石21の位相差をシフトすることにより、荷電粒子ビーム1の走査軌道を許容できる真円度になるように調整することができる。
【0044】
偏向電磁石調整装置42は、荷電粒子ビーム1が許容できる真円度の走査軌道にて走査されて均一な照射線量分布が得られている場合には、走査軌道の真円度や交流電流の位相差が許容範囲内である旨のメッセージが表示されることによってユーザに知らせることができる。また、荷電粒子ビーム1の走査軌道があらかじめ定められた許容範囲以上に歪んで均一な照射線量分布が得られない場合には、上述のワブラ電磁石11、21の交流電流の調整方法により、走査軌道の真円度や交流電流による磁場の位相差を修正し、自動的に交流電流の調整を行う。それによって、照射対象における照射線量の制御精度の低下を防ぐことができる。
【0045】
また、偏向電磁石調整装置42は、上述の交流電流の調整方法により、走査軌道の真円度や交流電流の位相差を修正し、自動的に交流電流の調整を行うので、調整時間を短縮することができる。
【0046】
荷電粒子ビーム1の走査軌道の真円度を測定し、ビーム強度分布(走査軌道)の真円度が1になるように、偏向電磁石調整装置42により補正データを生成するので、ビーム強
度分布(走査軌道)を直接的に許容される円形状に補正ができる。また、交流電流による磁場の位相差の絶対値が90°になっていないこと以外の要因により、荷電粒子ビーム1の走査軌道が円形から歪む場合であっても、ビーム強度分布(走査軌道)を直接的に許容される円形状に補正ができる。ビーム強度分布(走査軌道)を真円に近づけることで理想的な荷電粒子ビーム1のXY面における平担度を得ることができる。理想的な荷電粒子ビーム1のXY面における平担度が得られるので、理想的な線量率を得ることができる。
【0047】
以上のように実施の形態1の偏向電磁石調整装置42によれば、偏向電磁石11、21により走査された荷電粒子ビーム1の走査軌道を検出するモニタ31と、走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるような補正データを生成し、偏向電磁石11、21を制御する制御部12、22に補正データを送信するフィードバック制御装置41とを備えたので、モニタ31が検出した荷電粒子ビーム1の走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるような補正データを生成し、補正データに基づいて偏向電磁石11、21を制御でき、偏向電磁石11、21による荷電粒子ビーム1の偏向制御を高精度に調整することができる。
【0048】
実施の形態1の偏向電磁石調整方法によれば、偏向電磁石11、21により走査された荷電粒子ビーム1の走査軌道を検出する検出手順と、走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるように生成した補正データを、偏向電磁石11、21を制御する制御部12、22に送信し、偏向電磁石11、21を調整する調整手順と、を含むので、偏向電磁石11、21による荷電粒子ビーム1の偏向制御を高精度に調整することができる。
【0049】
実施の形態1の粒子線照射装置58によれば、偏向電磁石11、21を制御する制御部12、22を有し、制御部12、22は偏向電磁石調整装置42が生成した記補正データに基づいて、荷電粒子ビーム1の偏向制御を行うので、荷電粒子ビーム1の均一な照射線量分布を得ることができる。
【0050】
実施の形態1の粒子線治療装置51によれば、荷電粒子ビーム1を発生させるビーム発生装置52と、ビーム発生装置52で発生された記荷電粒子ビーム1を加速する加速器54と、加速器54により加速された荷電粒子ビーム1を輸送するビーム輸送装系59と、ビーム輸送系59で輸送された荷電粒子ビーム1を照射対象40に照射する粒子線照射装置58とを備えたので、均一な照射線量分布を有する荷電粒子ビーム1で患部40に照射することができる。
【0051】
なお、実施の形態1では、シンクロトロン54から出射される電粒子ビーム1を照射対象である患部40に照射する粒子線照射装置や粒子線治療装置について説明したが、電粒子ビーム1を加速するサイクロトロン54における電粒子ビーム1の回転軌道の調整、すなわち真空軌道管のほぼ中心を電粒子ビーム1が通過するように調整する場合にも適用できる。この場合は、荷電粒子ビーム1の走査軌道の真円度を測定するのではなく、荷電粒子ビーム1の通過位置を測定し、通過位置を目標通過位置の許容範囲に近づけるように調整する。
【符号の説明】
【0052】
1…電粒子ビーム、7a、7b…軌道径、11、21…ワブラ電磁石、12、22…制御部、31…モニタ、40…患部、41…フィードバック制御装置、42…偏向電磁石調整装置、51…粒子線治療装置、52…ビーム発生装置、54…シンクロトロン、58、58a、58b…粒子線照射装置、59…ビーム輸送系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを周期的に偏向し、前記荷電粒子ビームを円形状に走査する偏向電磁石の調整を行う偏向電磁石調整装置であって、
前記偏向電磁石により走査された荷電粒子ビームの走査軌道を検出するモニタと、前記走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるような補正データを生成し、前記偏向電磁石を制御する制御部に前記補正データを送信するフィードバック制御装置とを備えた偏向電磁石調整装置。
【請求項2】
前記フィードバック制御装置は、前記荷電粒子ビームの走査軌道における真円からのずれの度合いである真円度を判定し、前記真円度が所定の許容範囲を超えた場合に、前記走査軌道の真円度が前記許容範囲になるような補正データを生成することを特徴とする請求項1記載の偏向電磁石調整装置。
【請求項3】
前記フィードバック制御装置は、前記荷電粒子ビームの走査軌道に基づいて周期的に変化する2つの磁場における磁場の位相差を判定し、前記磁場の位相差が所定の許容範囲を超えた場合に、前記磁場の位相差が前記許容範囲になるような補正データを生成することを特徴とする請求項1記載の偏向電磁石調整装置。
【請求項4】
前記真円度の判定は、前記走査軌道を楕円状に見立て、当該楕円状の走査軌道における長軸方向の第1の軌道径と前記長軸方向と垂直な方向の第2の軌道径との比により行うことを特徴とする請求項2記載の偏向電磁石調整装置。
【請求項5】
加速器により加速され、偏向電磁石で偏向された荷電粒子ビームを照射対象に照射する粒子線照射装置であって、
前記偏向電磁石を制御する制御部を有し、前記制御部は前記偏向電磁石調整装置が生成した前記補正データに基づいて、前記荷電粒子ビームの偏向制御を行い、
前記偏向電磁石調整装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の偏向電磁石調整装置であることを特徴とする粒子線照射装置。
【請求項6】
荷電粒子ビームを発生させるビーム発生装置と、前記ビーム発生装置で発生された前記荷電粒子ビームを加速する加速器と、前記加速器により加速された荷電粒子ビームを輸送するビーム輸送系と、前記ビーム輸送系で輸送された荷電粒子ビームを照射対象に照射する粒子線照射装置とを備え、
前記粒子線照射装置は、請求項5記載の粒子線照射装置であることを特徴とする粒子線治療装置。
【請求項7】
荷電粒子ビームを周期的に偏向し、前記荷電粒子ビームを円形状に走査する偏向電磁石の調整を行う偏向電磁石調整方法であって、
前記偏向電磁石により走査された荷電粒子ビームの走査軌道を検出する検出手順と、
前記走査軌道に基づいて所定の走査軌道になるように生成した補正データを、前記偏向電磁石を制御する制御部に送信し、前記偏向電磁石を調整する調整手順と、を含む偏向電磁石調整方法。
【請求項8】
前記調整手順は、前記荷電粒子ビームの走査軌道における円形からのずれの度合いである真円度を判定し、前記真円度が所定の許容範囲を超えた場合に、前記走査軌道の真円度が前記許容範囲にするような補正データを生成することを特徴とする請求項7記載の偏向電磁石調整方法。
【請求項9】
前記調整手順は、前記荷電粒子ビームの走査軌道に基づいて周期的に変化する2つの磁
場における磁場の位相差を判定し、前記磁場の位相差が所定の許容範囲を超えた場合に、前記磁場の位相差が前記許容範囲にするような補正データを生成することを特徴とする請求項7記載の偏向電磁石調整方法。
【請求項10】
前記真円度の判定は、前記走査軌道を楕円状に見立て、当該楕円状の走査軌道における長軸方向の第1の軌道径と前記長軸方向と垂直な方向の第2の軌道径との比により行うことを特徴とする請求項8記載の偏向電磁石調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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