停電判定装置
【課題】 需要家に設置された電力量計に対して、新たな計測機構及び電池を追加しないで、遠隔での需要家の停電状況の切り分けが可能な停電判定装置の提供を目的とする。
【解決手段】 この発明の停電判定装置は、需要家に設置された電力量計から電力を供給され電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、各需要家の計量値をネットワークを介して通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信成功ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていると判断して需要家構内故障、通信失敗ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていないと判断して上位異常、と停電状況を切り分けるものである。
【解決手段】 この発明の停電判定装置は、需要家に設置された電力量計から電力を供給され電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、各需要家の計量値をネットワークを介して通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信成功ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていると判断して需要家構内故障、通信失敗ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていないと判断して上位異常、と停電状況を切り分けるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、需要家に設置された電力量計を使用した自動検針システムにおいて、需要家の停電状況を判定する停電判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気の小売にかかる取引量の計量は、各需要家に設置された電力量計の表示値を人手で読み取ることで実現されてきた。これに対し近年は、電力量計に通信機能を付加、又は通信装置を接続し、各需要家の使用電力量を遠隔から定期的に、かつ自動的に取得するシステムも運用されている。こうしたシステムは、自動検針システムと呼ばれている。
また、電圧階級の低い需要家までを対象とする自動検針システムの構築においては、需要家の数が極めて多くなるため、有線のネットワーク構築は、困難であり、通信機能付き電力量計同士で無線のメッシュネットワークを構築し、上位の計算機ネットワークからのアクセスを実現する方式が有望視されている。
【0003】
こうした自動検針システムの応用技術として、特許文献1では、端末装置にタイマ、異常検出機構、電池を備え、異常時にタイマ動作でセンタ側に異常を通知する方法が述べられている。
また、特許文献2では、電力量計に接続する無線通信機器で電圧及び電流を定期的に取得してサーバ側に送信し、これらのデータに基づいて、故障対応時にサーバで故障原因等を表示する方法が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−276302号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特開2008−22676号公報(第5〜7頁、図2、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、需要家から停電の問い合わせを受けた場合、電力供給が停止しているのか、需要家構内での故障等なのかといった停電状況の判定には、現地調査が必要だった。この対策として、需要家に設置された電力量計に、特許文献1ではタイマ、異常検出機構、電池を、特許文献2では電圧及び電流の計測機構を追加することで、遠隔での停電状況の判定を考えたが、需要家の数が膨大なため、追加費用が大きくなり、実現性が困難であるという問題があった。
【0006】
この発明は、需要家に設置された電力量計に対して、新たな計測機構及び電池を追加しないで、遠隔での停電状況の切り分けが可能な停電判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の停電判定装置は、需要家に設置された電力量計から電力を供給され電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、各需要家の計量値をネットワークを介して通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信成功ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていると判断して需要家構内故障、通信失敗ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていないと判断して上位異常、と停電状況を切り分けるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、需要家に設置された電力量計から電力を供給され電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、各需要家の計量値をネットワークを介して通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信成功ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていると判断して需要家構内故障、通信失敗ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていないと判断して上位異常、と停電状況を切り分けるもので、需要家に設置された電力量計に対して、新たな計測機構及び電池を追加しないで、遠隔での停電状況の切り分けが可能な停電判定装置の提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による停電判定装置全体の説明図。
【図2】この発明の実施の形態1によるセンタサーバの構成図。
【図3】この発明の実施の形態1による通信端末の構成図。
【図4】この発明の実施の形態1による停電状況の切り分けの説明図。
【図5】この発明の実施の形態1による停電判定の流れを示すフローチャート。
【図6】この発明の実施の形態2による停電判定装置全体の説明図。
【図7】この発明の実施の形態2によるセンタサーバの構成図。
【図8】この発明の実施の形態2による停電判定の流れを示すフローチャート。
【図9】この発明の実施の形態3によるによる停電判定装置全体の説明図。
【図10】この発明の実施の形態3によるセンタサーバの構成図。
【図11】この発明の実施の形態3によるネットワーク中継装置の構成図。
【図12】この発明の実施の形態3による通信端末の構成図。
【図13】この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の要求処理を示すフローチャート。
【図14】この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の応答処理を示すフローチャート。
【図15】この発明の実施の形態3による停電判定の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による停電判定装置全体の説明図である。図2は、この発明の実施の形態1によるセンタサーバの構成図である。図3は、この発明の実施の形態1による通信端末の構成図である。図4は、この発明の実施の形態1による停電状況の切り分けの説明図である。図5は、この発明の実施の形態1による停電判定の流れを示すフローチャートである。
図1において、101はセンタサーバ、102はネットワーク、103は通信端末、104は電力量計である。
図2において、201は通信装置、202演算装置、203は入力装置、204は記憶装置、205は出力装置、206は通信確認手段、211は計器データである。
図3において、301は通信装置、302は演算装置、303は記憶装置、304はインタフェース装置、305は通信応答手段である。
【0011】
次に、停電判定装置全体について、図1をもとに説明する。
停電判定装置は、各需要家に設置された電力量計104から電力を供給され電力量計104の計量値を読み取りネットワーク102を介して送信する通信端末103と、各需要家の計量値をネットワーク102を介して通信端末103から自動的に収集するセンタサーバ101とで構成される。
【0012】
次に、センタサーバ101の構成について、図2をもとに説明する。
センタサーバ101は、通信装置201と演算装置202と入力装置203と記憶装置204と出力装置205とが互いに接続され、記憶装置204に格納されたプログラムを演算装置202に読み込んで処理することによって動作する。
停電判定装置のオペレータが入力装置203から入力した情報により、プログラムの動作を制御し、プログラムの動作結果を出力装置205で停電判定装置のオペレータに提示する。
また、プログラムの動作により、通信装置201を制御して通信端末103とデータの送受信を行う。
【0013】
記憶装置204は、各需要家に設置された電力量計104及び通信端末103の情報を含む計器データ211を格納する。計器データ211は、例えば、各需要家の通信端末103の識別番号といった情報を含んでいる。
【0014】
通信確認手段206は、確認対象の需要家の情報を入力として受け取り、計器データ211から当該需要家の通信端末の識別番号を取得し、センタサーバ101から当該需要家の通信端末に対して通信確認の要求データを送信し、一定時間内に当該需要家の通信端末から通信応答の応答データを受信できるか否かを確認し、受信できれば「通信成功」を、受信できなければ「通信失敗」を結果として出力する。
なお、通信確認手段206は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置204に格納する。実行時には、演算装置202に読み込み、前記の処理を行う。
【0015】
次に、通信端末103の構成について、図3をもとに説明する。
通信端末103は、通信装置301と演算装置302と記憶装置303とインタフェース装置304とが互いに接続され、記憶装置303に格納されたプログラムを演算装置302に読み込んで処理することによって動作する。インタフェース装置304は、電力量計104と接続され、電力量計104の指示値をプログラム中に読み込むことを可能とし、定期検針処理等を実現する。また、プログラムの動作によって、通信装置301を制御し、センタサーバ101とデータの送受信を行う。
【0016】
通信応答手段305は、センタサーバ101から通信確認手段206による通信確認の要求データを受信すると、当該要求に対応する通信応答の応答データを作成し、センタサーバ101に送信する。
なお、通信応答手段305は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置303に格納する。実行時には、演算装置302に読み込み、前記の処理を行う。
【0017】
次に、停電判定の流れについて、図4と図5をもとに説明する。
図4において、電力が上位設備から、柱上変圧器1を経由して、需要家A、需要家B及び需要家Cに供給され、柱上変圧器2を経由して需要家Dに供給される。
需要家Aにおいては、柱上変圧器1から引込線で需要家Aに設置された電力量計に電力が供給され、電力量計から需要家Aの通信端末と、需要家Aの構内ブレーカ経由で需要家Aの構内に電力が供給される。
範囲1は需要家Aの構内ブレーカから需要家Aの構内側の範囲である。範囲2は引込線から需要家Aに設置された電力量計及び通信端末と、需要家Aの構内を含む範囲である。範囲3は上位設備を含む柱上変圧器1から需要家A、需要家B及び需要家Cまでの範囲である。
実施の形態1では、「需要家の構内故障」、「上位異常(柱上変圧器等の異常によるある程度広域の異常)」の2段階の停電状況の切り分けを行う。
図4において、需要家Aを停電の発生した需要家とすると、範囲1が「需要家の構内故障」の切り分け範囲、範囲3が「上位異常」の切り分け範囲となる。
【0018】
ステップS401では、ある需要家からの停電発生の問合せや、監視業務の担当者からある需要家について停電が発生している旨の通知を受け付け、停電判定装置のオペレータが、入力装置203からセンタサーバ101に当該需要家の情報を入力する。
以降で、停電の発生した需要家を需要家Aとする。
【0019】
ステップS402では、需要家Aの通信端末に対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS403を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS412を実行する。
【0020】
ステップS403では、需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0021】
ステップS413では、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されておらず、上位設備を含む柱上変圧器1からの異常と判断して、「上位異常」と判定し、図4の範囲3が停電状況と切り分け、柱上変圧器等の上位設備調査の作業を行い、その後に供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0022】
前記のように実施の形態1によれば、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信結果から停電の発生した需要家に電力が供給されているかを判断して、「通信成功」ならば需要家の構内故障、「通信失敗」ならば上位異常、と遠隔での停電状況の切り分けができる。
また、自動検針システムで必須となるセンタサーバと通信端末とのデータ通信の基本的機構のみを応用するため、既に自動検針システムが導入されていれば、少ないコストで停電状況の切り分けを実現できる。
【0023】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による停電判定装置全体の説明図である。図7は、この発明の実施の形態2によるセンタサーバの構成図である。図8は、この発明の実施の形態2による停電判定の流れを示すフローチャートである。
実施の形態1では、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否の確認結果から、停電状況を切り分ける。
実施の形態2では、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否の確認結果と、停電の発生した需要家の近傍の需要家の通信端末に対する通信可否の確認結果から、更に停電状況を切り分ける。
図7において、実施の形態1と同様の説明は省略し、207は通信確度算出手段、208は通信履歴記録手段、209は近傍需要家抽出手段、210は配電設備データ、212は通信履歴データである。
【0024】
次に、センタサーバ101の構成について、図7をもとに説明する。
記憶装置204は、計器データ211と、配電系統の設備及びその接続情報を含む配電設備データ210と、センタサーバ101と通信端末103とのデータ通信の履歴を含む通信履歴データ212を格納する。
配電設備データ210は、例えば、各需要家がどの柱上変圧器に接続されているか、といった情報を含んでいる。
通信履歴データ212は、例えば、センタサーバ101からの要求に対する通信端末103からの応答、通信端末103からの計量結果等の定期的なデータ送信など、通信端末103からセンタサーバ101に対してなされるべき通信が成功したか失敗したかといった情報を含んでいる。
【0025】
通信履歴記録手段208は、センタサーバ101からの要求に対する通信端末103からの応答や、通信端末103からの計量結果等の定期的なデータ送信など、通信端末103からセンタサーバ101に対してなされるべき通信に対して確認処理を行い、実際に通信が行われた場合は「通信成功」、通信が行われるべき時刻より一定時間内に通信が行われなかった場合は「通信失敗」、と判定する。
各判定結果について、通信対象となる通信端末103の識別番号、判定時刻、「通信成功」又は「通信失敗」、という項目を通信履歴データ212に記録する。
【0026】
通信確度算出手段207は、算出対象の需要家の情報を入力として受け取り、計器データ211から当該需要家の通信端末の識別番号を取得し、通信履歴データ212から当該通信端末のデータを取得し、例えば、取得した通信履歴データ212の総数のうち、「通信成功」となっているデータの数が占める割合を算出して、当該需要家に対する通信確度として出力する。
【0027】
また、通信履歴データ212のうち、判定時刻の項目に基づいて、例えば、過去一ヶ月など、一定期間内のデータのみを通信確度の算出に用いるようにしても良い。
また、通信履歴記録手段208において、通信時のビットエラー率や、受信電力(無線通信の場合)といった情報を含んで通信履歴データ212に記録し、この情報により、信確度算出手段207で、通信確度を増減するという補正処理を行っても良い。
【0028】
近傍需要家抽出手段209は、抽出の基準となる需要家の情報を入力として受け取り、配電設備データ210から、例えば、同一の柱上変圧器に接続された需要家や、同一の配電用変圧器に接続された需要家を取得し、近傍需要家リストとして出力する。
【0029】
なお、センタサーバ101の前記各手段は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置204に格納する。実行時には、演算装置202に読み込み、前記の処理を行う。
【0030】
次に、停電判定の流れについて、図4と図8をもとに説明する。
実施の形態2では、「需要家の構内故障」、「需要家の引込線異常」、「上位異常」の3段階の停電状況の切り分けを行う。
図4において、需要家Aを停電の発生した需要家とすると、範囲1が「需要家の構内故障」の切り分け範囲、範囲2が「需要家の引込線異常」の切り分け範囲、範囲3が「上位異常」の切り分け範囲となる。
【0031】
ステップS401では、ある需要家からの停電発生の問合せや、監視業務の担当者から、ある需要家について停電が発生している旨の通知を受け付け、停電判定装置のオペレータが、入力装置203からセンタサーバ101に需要家の情報を入力する。
以降で、停電の発生した需要家を需要家Aとする。
【0032】
ステップS402では、需要家Aの通信端末に対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS403を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS404を実行する。
【0033】
ステップS403では、需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0034】
ステップS404では、通信経路の一時的な不良等による近傍需要家への通信確認の失敗確率を表す通信異常指標eを変数として用意し、値を1に初期化する。
また、通信異常と上位停電を切り分ける閾値tを、停電判定装置のオペレータが「0、1」の範囲で指定して入力装置203から入力する。
【0035】
ステップS405では、近傍需要家抽出手段209により、配電設備上で需要家Aの近傍に位置する需要家をリストアップする。
以降で、ここで作成したリストを近傍需要家リストとする。
【0036】
ステップS406では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS413を実行し、1以上であればステップS407を実行する。
【0037】
ステップS407では、通信確度算出手段207により、近傍需要家リスト内の各需要家の通信端末について、それぞれの通信確度を算出し、通信確度の高い順に近傍需要家リストを並べ替え、近傍需要家リスト[需要家B、需要家C]を得る。
【0038】
ステップS408では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS410を実行し、1以上であればステップS409を実行する。
【0039】
ステップS409では、近傍需要家リストの先頭に位置する需要家を取り出す。
以降で、取り出した需要家を需要家Bとする。
需要家Bは、近傍需要家リストから削除する。
需要家Bの通信端末に対して通信確認手段206により、通信可否の確認を行う。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS410を実行し、「通信失敗」となった場合はS411を実行する。
【0040】
ステップS410では、需要家Bの通信端末との「通信成功」なので需要家Bの通信端末まで電力が供給されているが、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていないと判断して、「需要家の引込線異常」と判定し、図4の範囲2が停電状況と切り分け、供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0041】
ステップS411では、ステップS407で算出した需要家Bの通信確度をpxとして、e*(1−px)を求め、この値を新たな通信異常指標eの値とする。
【0042】
ステップS412では、通信異常指標eと閾値tを比較して、e≧tであればステップS408を実行し、e<tであればステップS413を実行する。
このステップで、通信異常指標eと閾値tを比較することにより、通信経路の一時的な不良等による通信確度の低い需要家に対する通信可否の確認を減らすことができる。
【0043】
ステップS413では、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されておらず、上位設備を含む柱上変圧器1からの異常と判断して、「上位異常」と判定し、図4の範囲3が停電状況と切り分け、柱上変圧器等の上位設備調査の作業を行い、その後に供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0044】
前記のように実施の形態2によれば、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末及び停電の発生した需要家の近傍の需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信結果から、停電の発生した需要家に電力が供給されているか、停電の発生している需要家の近傍の需要家に電力が供給されているかを判断して、停電の発生した需要家の通信端末との「通信成功」の場合は需要家の構内故障、停電の発生した需要家の通信端末との「通信失敗」の場合は、更に停電の発生している需要家の近傍の需要家の通信端末と「通信成功」ならば需要家の引込線異常、更に停電の発生している需要家の近傍の需要家の通信端末と「通信失敗」ならば上位異常、と遠隔での停電状況の切り分けができる。
【0045】
また、各需要家の通信端末に対して、通信可否の通信履歴データを記録しておき、通信履歴データから需要家の通信確度を算出し、通信確度の高い順に通信可否の確認処理を行うことで、少ない通信回数で停電状況の切り分けができる。
【0046】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3による停電判定装置全体の説明図である。図10は、この発明の実施の形態3によるセンタサーバの構成図である。図11は、この発明の実施の形態3によるネットワーク中継装置の構成図である。図12は、この発明の実施の形態3による通信端末の構成図である。図13は、この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の要求処理を示すフローチャートである。図14は、この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の応答処理を示すフローチャートである。図15は、この発明の実施の形態3による停電判定の流れを示すフローチャートである。
【0047】
実施の形態1又は実施の形態2では、センタサーバと各需要家の通信端末がネットワークを介して、通信データの送受信を行う。
実施の形態3では、各需要家の通信端末が無線等により近隣に位置する需要家の通信端末と互いに直接通信可能として各通信端末が通信データを中継して必要に応じて通信経路を切り替えるメッシュネットワークの構成をとり、ネットワーク中継装置がサーバネットワークとメッシュネットワークとの間を中継することで、センタサーバと各需要家の通信端末が、サーバネットワークとメッシュネットワークを介して通信データの送受信を行う。
また、実施の形態3では、停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否を、メッシュネットワークの複数の通信経路で確認することで、通信経路の一時的な不良の発生を判定する。
【0048】
図9において、501はセンタサーバ、502はサーバネットワーク、503はネットワーク中継装置、504はメッシュネットワーク、505は通信端末、506は電力量計である。図10において、実施の形態2と同様の説明は省略し、601は通信端末探索手段である。図11において、701はサーバネットワーク通信装置、702は演算装置、703は記憶装置、704はメッシュネットワーク通信装置、705は通信端末探索転送手段である。図12において、実施の形態1と同様の説明は省略し、801は通信端末並列探索手段である。
【0049】
次に、センタサーバ501の構成について、図10をもとに説明する。
通信端末探索手段601は、探索対象とする通信端末505の識別番号を入力として受け取り、要求データの「探索対象番号」に当該識別番号を設定して、サーバネットワーク502を介して各ネットワーク中継装置503に要求データを送信する。
要求データを送信したネットワーク中継装置503のいずれかから、発見した旨の応答データを受信すれば「探索成功」を出力する。
要求データを送信したネットワーク中継装置503の全てから、発見できなかった旨の応答データを受信すれば「探索失敗」を出力する。
なお、通信端末探索手段601は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置204に格納する。実行時には、演算装置202に読み込み、前記の処理を行う。
【0050】
次に、ネットワーク中継装置503の構成について、図11をもとに説明する。
ネットワーク中継装置503は、サーバネットワーク通信装置701と演算装置702と記憶装置703とメッシュネットワーク通信装置704とが互いに接続され、記憶装置703に格納されたプログラムを演算装置702に読み込んで処理することによって動作する。
プログラムの動作によって、サーバネットワーク通信装置701を制御してセンタサーバ501とデータの送受信を行い、メッシュネットワーク通信装置704を制御して通信端末505とデータの送受信を行う。
なお、通信端末505からセンタサーバ501への計量値の通信データの送信や、センタサーバ501から通信端末505への通信確認手段206及び通信端末探索手段601の通信データの送信や、通信端末505からセンタサーバ501への通信応答手段305及び通信端末並列探索手段801の通信データの送受信は、ネットワーク中継装置503がサーバネットワーク502とメッシュネットワーク504との間を中継して通信データを転送することで実現する。
【0051】
通信端末探索転送手段705は、サーバネットワーク通信装置701により、センタサーバ501から通信端末探索手段601の要求データを受信してメッシュネットワーク通信装置704により、直接通信可能な全ての通信端末505に対して、要求データを同報送信する。
ネットワーク中継装置503から通信端末505への要求データの送信時には、センタサーバ501から受信した要求データの「探索中継リスト」に空のリストを設定する。
【0052】
また、通信端末探索転送手段705は、メッシュネットワーク通信装置704により、直接通信可能な通信端末505のいずれかから、応答データを受信した場合は「探索成功」をサーバネットワーク通信装置701により、センタサーバ501に送信する。
例えば、1分などの一定時間内に、直接通信可能な通信端末505のいずれからも応答データを受信しなかった場合は「探索失敗」をサーバネットワーク通信装置701によりセンタサーバ501に送信する。
なお、通信端末探索転送手段705は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置703に格納する。実行時には、演算装置702に読み込み、前記の処理を行う。
【0053】
次に、通信端末505の構成について、図12をもとに説明する。
通信端末並列探索手段801は、メッシュネットワーク504上で、直接通信可能な通信端末505及びネットワーク中継装置503との間で、通信端末並列探索の要求及び応答のデータを送受信する。
なお、通信端末並列探索手段801は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置303に格納する。実行時には、演算装置302に読み込み、前記の処理を行う。
【0054】
次に、通信端末並列探索手段801による、通信端末並列探索の要求処理について、図13をもとに説明する。
【0055】
ステップS901では、通信装置301により、メッシュネットワーク504上で直接通信可能な通信端末505及びネットワーク中継装置503から要求データを受信する。
要求データには、「探索対象番号」として探索対象となる通信端末の識別番号を含み、「探索中継リスト」として探索を中継した通信端末の識別番号リストを含む。
【0056】
ステップS902では、「探索対象番号」を確認し、自通信端末の識別番号と、一致すればステップS903を実行して、一致しなければステップS904を実行する。
【0057】
ステップS903では、応答データを作成する。応答データには、「探索結果リスト」として探索を中継した通信端末と探索対象の通信端末の識別番号のリストを含む。
「探索結果リスト」には、要求データの「探索中継リスト」から、そのままの順序で通信端末の識別番号を追加して、末尾に探索対象である自通信端末の識別番号を追加する。
次に、作成した応答データの「探索結果リスト」の末尾から二番目の位置に格納された識別番号を持つ通信端末宛に応答データを送信する。
【0058】
ステップS904では、要求データの「探索中継リスト」のサイズを確認する。
「探索中継リスト」のサイズが、予め定めた規定値以上であれば通信端末並列探索の要求処理を終了し、規定値未満であれば「探索中継リスト」内の識別番号を確認して、「探索中継リスト」内に自通信端末と一致するものがあれば通信端末並列探索の要求処理を終了し、「探索中継リスト」内に一致するものが存在しなければステップS905を実行する。
【0059】
ステップS905では、要求データの「探索中継リスト」の末尾に自通信端末の識別番号を追加する。
【0060】
ステップS906では、ステップS905で更新した要求データを、メッシュネットワーク504上で直接通信可能な全ての通信端末505に対して同報送信する。
【0061】
次に、通信端末並列探索手段801による、通信端末並列探索の応答処理について、図14をもとに説明する。
【0062】
ステップS1001では、通信端末301により、メッシュネットワーク504上で直接通信可能な通信端末505から応答データを受信する。
応答データは、通信端末並列探索の要求処理のステップS903で作成された「探索結果リスト」を含むものである。
【0063】
ステップS1002では、応答データの「探索結果リスト」の内容を確認して、自通信端末の識別番号が格納されている位置を検索する。
格納されている位置が、先頭であった場合はステップS1003を実行し、先頭でなかった場合はステップS1004を実行する。
【0064】
ステップS1003では、通信装置301により、応答データをネットワーク中継装置503に送信する。
【0065】
ステップS1004では、通信装置301により、応答データの「探索結果リスト」において、自通信端末の識別番号が格納されている位置の一つ前に格納された識別番号の通信端末宛に応答データを送信する。
【0066】
次に、停電判定の流れについて、図4と図15をもとに説明する。
実施の形態3では、実施の形態2と同様に3段階の停電状況の切り分けを行うと共に、停電の発生した需要家の通信端末に対する通信経路の一時的な不良の発生を判定する。
図4において、需要家Aを停電の発生した需要家とすると、範囲1が「需要家の構内故障」の切り分け範囲、範囲2が「停需要家の引込線異常」の切り分け範囲、範囲3が「上位異常」の切り分け範囲となる。
【0067】
ステップS401では、ある需要家からの停電発生の問合せや、監視業務の担当者から、ある需要家について停電が発生している旨の通知を受け付け、停電判定装置のオペレータが、入力装置203からセンタサーバ101に需要家の情報を入力する。
以降で、停電の発生した需要家を需要家Aとする。
【0068】
ステップS402では、需要家Aの通信端末に対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
なお、通信確認手段206が使用する通信経路は、必要に応じて通信経路を切り替えるメッシュネットワークにおいて、通信可否の確認時点で、1本の通信経路を使用する(1本の最適経路を使用)。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS403を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS404を実行する。
【0069】
ステップS403では、需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0070】
ステップS404では、通信経路の一時的な不良等による近傍需要家への通信確認の失敗確率を表す通信異常指標eを変数として用意し、値を1に初期化する。
また、通信異常と配電系統上位の異常を切り分ける閾値tを、停電判定装置のオペレータが「0、1」の範囲で指定して入力装置203から入力する。
【0071】
ステップS405では、近傍需要家抽出手段209により、配電設備上で需要家C0の近傍に位置する需要家をリストアップする。
以降で、ここで作成したリストを近傍需要家リストとする。
【0072】
ステップS406では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS413を実行し、1以上であればステップS407を実行する。
【0073】
ステップS407では、通信確度算出手段207により、近傍需要家リスト内の各需要家について、それぞれの通信確度を算出し、通信確度の高い順に近傍需要家リストを並べ替え、近傍需要家リスト[需要家B、需要家C]を得る。
【0074】
ステップS408では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS410を実行し、1以上であればステップS1101を実行する。
【0075】
ステップS1101では、近傍需要家リストの先頭に位置する需要家を取り出す。
以降で、取り出した需要家を需要家Bとする。
需要家Bは、近傍需要家リストから削除する。
需要家Bに対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
なお、通信確認手段206が使用する通信経路は、前記ステップS402と同様とする。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS1102を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS411を実行する。
【0076】
ステップS1102では、需要家Aの通信端末の識別番号を計器データ211から取得して、これを探索対象として通信端末探索手段601に与えて、「通信成功」した需要家B経由で需要家Aに通信可能か探索結果を得る。
なお、通信端末探索手段601が使用する通信経路は、必要に応じて通信経路を切り替えるメッシュネットワークにおいて、通信端末の探索時点で、切り替え可能な全ての通信経路を使用する(1本の最適経路だけでなく、迂回経路など切り替え可能な全経路を使用)。
探索結果が、「探索失敗」の場合はステップS410を実行し、「探索成功」の場合はステップS1103を実行する。
【0077】
ステップS1103では、近傍の需要家B経由で需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末までは電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
また、需要家Aの通信端末に対する通信可否の確認で、直接の通信確認は「通信失敗」だが、近傍の需要家Bを経由して通信確認は「探索成功」となるので、需要家Aへの直接の通信経路の一時的な不良の発生を判定して、需要家の通信端末周辺のネットワーク状況の確認を推奨する旨を出力装置205に出力する。
【0078】
ステップS410では、需要家Bの通信端末との「通信成功」なので需要家Bの通信端末までは電力が供給されているが、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末までは電力が供給されていないと判断して、「需要家の引込線異常」と判定し、図4の範囲2が停電状況と切り分け、供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0079】
ステップS411では、ステップS407で算出した需要家Bの通信確度をpxとして、e*(1−px)を求め、この値を新たな通信異常指標eの値とする。
【0080】
ステップS412では、通信異常指標eと閾値tを比較して、e≧tであればステップS408を実行し、e<tであればステップS413を実行する。
このステップで、通信異常指標eと閾値tを比較することにより、通信経路の一時的な不良等による通信確度の低い需要家に対する通信可否の確認を減らすことができる。
【0081】
ステップS413では、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されておらず、上位設備を含む柱上変圧器1からの異常と判断して、「上位異常」と判定し、図4の範囲3が停電状況と切り分け、柱上変圧器等の上位設備調査の作業を行い、その後に供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0082】
前記のように実施の形態3によれば、各需要家の通信端末がメッシュネットワークで構成される場合でも、実施の形態2と同様に、遠隔での停電状況の切り分けができる。
また、停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否の確認において、メッシュネットワークの複数の通信経路で確認をすることで、通信確認手段が「通信失敗」で通信端末探索手段が「探索成功」ならば需要家の通信端末に対する通信経路の一時的な不良の発生を判定できる。
【符号の説明】
【0083】
101...センタサーバ、 102...ネットワーク、 103...通信端末、
104...電力量計、
201...通信装置、 202...演算装置、 203...入力装置、
204...記憶装置、 205...出力装置、 206...通信確認手段、
207...通信確度算出手段、 208...通信履歴記録手段、
209...近傍需要家抽出手段、 210...配電設備データ、
211...計器データ、 212...通信履歴データ、
301...通信装置、 302...演算装置、 303...記憶装置、
304...インタフェース装置、 305...通信応答手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、需要家に設置された電力量計を使用した自動検針システムにおいて、需要家の停電状況を判定する停電判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気の小売にかかる取引量の計量は、各需要家に設置された電力量計の表示値を人手で読み取ることで実現されてきた。これに対し近年は、電力量計に通信機能を付加、又は通信装置を接続し、各需要家の使用電力量を遠隔から定期的に、かつ自動的に取得するシステムも運用されている。こうしたシステムは、自動検針システムと呼ばれている。
また、電圧階級の低い需要家までを対象とする自動検針システムの構築においては、需要家の数が極めて多くなるため、有線のネットワーク構築は、困難であり、通信機能付き電力量計同士で無線のメッシュネットワークを構築し、上位の計算機ネットワークからのアクセスを実現する方式が有望視されている。
【0003】
こうした自動検針システムの応用技術として、特許文献1では、端末装置にタイマ、異常検出機構、電池を備え、異常時にタイマ動作でセンタ側に異常を通知する方法が述べられている。
また、特許文献2では、電力量計に接続する無線通信機器で電圧及び電流を定期的に取得してサーバ側に送信し、これらのデータに基づいて、故障対応時にサーバで故障原因等を表示する方法が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−276302号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特開2008−22676号公報(第5〜7頁、図2、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、需要家から停電の問い合わせを受けた場合、電力供給が停止しているのか、需要家構内での故障等なのかといった停電状況の判定には、現地調査が必要だった。この対策として、需要家に設置された電力量計に、特許文献1ではタイマ、異常検出機構、電池を、特許文献2では電圧及び電流の計測機構を追加することで、遠隔での停電状況の判定を考えたが、需要家の数が膨大なため、追加費用が大きくなり、実現性が困難であるという問題があった。
【0006】
この発明は、需要家に設置された電力量計に対して、新たな計測機構及び電池を追加しないで、遠隔での停電状況の切り分けが可能な停電判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の停電判定装置は、需要家に設置された電力量計から電力を供給され電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、各需要家の計量値をネットワークを介して通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信成功ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていると判断して需要家構内故障、通信失敗ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていないと判断して上位異常、と停電状況を切り分けるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、需要家に設置された電力量計から電力を供給され電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、各需要家の計量値をネットワークを介して通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信成功ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていると判断して需要家構内故障、通信失敗ならば停電の発生した需要家の通信端末まで電力が供給されていないと判断して上位異常、と停電状況を切り分けるもので、需要家に設置された電力量計に対して、新たな計測機構及び電池を追加しないで、遠隔での停電状況の切り分けが可能な停電判定装置の提供ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による停電判定装置全体の説明図。
【図2】この発明の実施の形態1によるセンタサーバの構成図。
【図3】この発明の実施の形態1による通信端末の構成図。
【図4】この発明の実施の形態1による停電状況の切り分けの説明図。
【図5】この発明の実施の形態1による停電判定の流れを示すフローチャート。
【図6】この発明の実施の形態2による停電判定装置全体の説明図。
【図7】この発明の実施の形態2によるセンタサーバの構成図。
【図8】この発明の実施の形態2による停電判定の流れを示すフローチャート。
【図9】この発明の実施の形態3によるによる停電判定装置全体の説明図。
【図10】この発明の実施の形態3によるセンタサーバの構成図。
【図11】この発明の実施の形態3によるネットワーク中継装置の構成図。
【図12】この発明の実施の形態3による通信端末の構成図。
【図13】この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の要求処理を示すフローチャート。
【図14】この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の応答処理を示すフローチャート。
【図15】この発明の実施の形態3による停電判定の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による停電判定装置全体の説明図である。図2は、この発明の実施の形態1によるセンタサーバの構成図である。図3は、この発明の実施の形態1による通信端末の構成図である。図4は、この発明の実施の形態1による停電状況の切り分けの説明図である。図5は、この発明の実施の形態1による停電判定の流れを示すフローチャートである。
図1において、101はセンタサーバ、102はネットワーク、103は通信端末、104は電力量計である。
図2において、201は通信装置、202演算装置、203は入力装置、204は記憶装置、205は出力装置、206は通信確認手段、211は計器データである。
図3において、301は通信装置、302は演算装置、303は記憶装置、304はインタフェース装置、305は通信応答手段である。
【0011】
次に、停電判定装置全体について、図1をもとに説明する。
停電判定装置は、各需要家に設置された電力量計104から電力を供給され電力量計104の計量値を読み取りネットワーク102を介して送信する通信端末103と、各需要家の計量値をネットワーク102を介して通信端末103から自動的に収集するセンタサーバ101とで構成される。
【0012】
次に、センタサーバ101の構成について、図2をもとに説明する。
センタサーバ101は、通信装置201と演算装置202と入力装置203と記憶装置204と出力装置205とが互いに接続され、記憶装置204に格納されたプログラムを演算装置202に読み込んで処理することによって動作する。
停電判定装置のオペレータが入力装置203から入力した情報により、プログラムの動作を制御し、プログラムの動作結果を出力装置205で停電判定装置のオペレータに提示する。
また、プログラムの動作により、通信装置201を制御して通信端末103とデータの送受信を行う。
【0013】
記憶装置204は、各需要家に設置された電力量計104及び通信端末103の情報を含む計器データ211を格納する。計器データ211は、例えば、各需要家の通信端末103の識別番号といった情報を含んでいる。
【0014】
通信確認手段206は、確認対象の需要家の情報を入力として受け取り、計器データ211から当該需要家の通信端末の識別番号を取得し、センタサーバ101から当該需要家の通信端末に対して通信確認の要求データを送信し、一定時間内に当該需要家の通信端末から通信応答の応答データを受信できるか否かを確認し、受信できれば「通信成功」を、受信できなければ「通信失敗」を結果として出力する。
なお、通信確認手段206は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置204に格納する。実行時には、演算装置202に読み込み、前記の処理を行う。
【0015】
次に、通信端末103の構成について、図3をもとに説明する。
通信端末103は、通信装置301と演算装置302と記憶装置303とインタフェース装置304とが互いに接続され、記憶装置303に格納されたプログラムを演算装置302に読み込んで処理することによって動作する。インタフェース装置304は、電力量計104と接続され、電力量計104の指示値をプログラム中に読み込むことを可能とし、定期検針処理等を実現する。また、プログラムの動作によって、通信装置301を制御し、センタサーバ101とデータの送受信を行う。
【0016】
通信応答手段305は、センタサーバ101から通信確認手段206による通信確認の要求データを受信すると、当該要求に対応する通信応答の応答データを作成し、センタサーバ101に送信する。
なお、通信応答手段305は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置303に格納する。実行時には、演算装置302に読み込み、前記の処理を行う。
【0017】
次に、停電判定の流れについて、図4と図5をもとに説明する。
図4において、電力が上位設備から、柱上変圧器1を経由して、需要家A、需要家B及び需要家Cに供給され、柱上変圧器2を経由して需要家Dに供給される。
需要家Aにおいては、柱上変圧器1から引込線で需要家Aに設置された電力量計に電力が供給され、電力量計から需要家Aの通信端末と、需要家Aの構内ブレーカ経由で需要家Aの構内に電力が供給される。
範囲1は需要家Aの構内ブレーカから需要家Aの構内側の範囲である。範囲2は引込線から需要家Aに設置された電力量計及び通信端末と、需要家Aの構内を含む範囲である。範囲3は上位設備を含む柱上変圧器1から需要家A、需要家B及び需要家Cまでの範囲である。
実施の形態1では、「需要家の構内故障」、「上位異常(柱上変圧器等の異常によるある程度広域の異常)」の2段階の停電状況の切り分けを行う。
図4において、需要家Aを停電の発生した需要家とすると、範囲1が「需要家の構内故障」の切り分け範囲、範囲3が「上位異常」の切り分け範囲となる。
【0018】
ステップS401では、ある需要家からの停電発生の問合せや、監視業務の担当者からある需要家について停電が発生している旨の通知を受け付け、停電判定装置のオペレータが、入力装置203からセンタサーバ101に当該需要家の情報を入力する。
以降で、停電の発生した需要家を需要家Aとする。
【0019】
ステップS402では、需要家Aの通信端末に対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS403を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS412を実行する。
【0020】
ステップS403では、需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0021】
ステップS413では、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されておらず、上位設備を含む柱上変圧器1からの異常と判断して、「上位異常」と判定し、図4の範囲3が停電状況と切り分け、柱上変圧器等の上位設備調査の作業を行い、その後に供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0022】
前記のように実施の形態1によれば、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信結果から停電の発生した需要家に電力が供給されているかを判断して、「通信成功」ならば需要家の構内故障、「通信失敗」ならば上位異常、と遠隔での停電状況の切り分けができる。
また、自動検針システムで必須となるセンタサーバと通信端末とのデータ通信の基本的機構のみを応用するため、既に自動検針システムが導入されていれば、少ないコストで停電状況の切り分けを実現できる。
【0023】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による停電判定装置全体の説明図である。図7は、この発明の実施の形態2によるセンタサーバの構成図である。図8は、この発明の実施の形態2による停電判定の流れを示すフローチャートである。
実施の形態1では、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否の確認結果から、停電状況を切り分ける。
実施の形態2では、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否の確認結果と、停電の発生した需要家の近傍の需要家の通信端末に対する通信可否の確認結果から、更に停電状況を切り分ける。
図7において、実施の形態1と同様の説明は省略し、207は通信確度算出手段、208は通信履歴記録手段、209は近傍需要家抽出手段、210は配電設備データ、212は通信履歴データである。
【0024】
次に、センタサーバ101の構成について、図7をもとに説明する。
記憶装置204は、計器データ211と、配電系統の設備及びその接続情報を含む配電設備データ210と、センタサーバ101と通信端末103とのデータ通信の履歴を含む通信履歴データ212を格納する。
配電設備データ210は、例えば、各需要家がどの柱上変圧器に接続されているか、といった情報を含んでいる。
通信履歴データ212は、例えば、センタサーバ101からの要求に対する通信端末103からの応答、通信端末103からの計量結果等の定期的なデータ送信など、通信端末103からセンタサーバ101に対してなされるべき通信が成功したか失敗したかといった情報を含んでいる。
【0025】
通信履歴記録手段208は、センタサーバ101からの要求に対する通信端末103からの応答や、通信端末103からの計量結果等の定期的なデータ送信など、通信端末103からセンタサーバ101に対してなされるべき通信に対して確認処理を行い、実際に通信が行われた場合は「通信成功」、通信が行われるべき時刻より一定時間内に通信が行われなかった場合は「通信失敗」、と判定する。
各判定結果について、通信対象となる通信端末103の識別番号、判定時刻、「通信成功」又は「通信失敗」、という項目を通信履歴データ212に記録する。
【0026】
通信確度算出手段207は、算出対象の需要家の情報を入力として受け取り、計器データ211から当該需要家の通信端末の識別番号を取得し、通信履歴データ212から当該通信端末のデータを取得し、例えば、取得した通信履歴データ212の総数のうち、「通信成功」となっているデータの数が占める割合を算出して、当該需要家に対する通信確度として出力する。
【0027】
また、通信履歴データ212のうち、判定時刻の項目に基づいて、例えば、過去一ヶ月など、一定期間内のデータのみを通信確度の算出に用いるようにしても良い。
また、通信履歴記録手段208において、通信時のビットエラー率や、受信電力(無線通信の場合)といった情報を含んで通信履歴データ212に記録し、この情報により、信確度算出手段207で、通信確度を増減するという補正処理を行っても良い。
【0028】
近傍需要家抽出手段209は、抽出の基準となる需要家の情報を入力として受け取り、配電設備データ210から、例えば、同一の柱上変圧器に接続された需要家や、同一の配電用変圧器に接続された需要家を取得し、近傍需要家リストとして出力する。
【0029】
なお、センタサーバ101の前記各手段は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置204に格納する。実行時には、演算装置202に読み込み、前記の処理を行う。
【0030】
次に、停電判定の流れについて、図4と図8をもとに説明する。
実施の形態2では、「需要家の構内故障」、「需要家の引込線異常」、「上位異常」の3段階の停電状況の切り分けを行う。
図4において、需要家Aを停電の発生した需要家とすると、範囲1が「需要家の構内故障」の切り分け範囲、範囲2が「需要家の引込線異常」の切り分け範囲、範囲3が「上位異常」の切り分け範囲となる。
【0031】
ステップS401では、ある需要家からの停電発生の問合せや、監視業務の担当者から、ある需要家について停電が発生している旨の通知を受け付け、停電判定装置のオペレータが、入力装置203からセンタサーバ101に需要家の情報を入力する。
以降で、停電の発生した需要家を需要家Aとする。
【0032】
ステップS402では、需要家Aの通信端末に対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS403を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS404を実行する。
【0033】
ステップS403では、需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0034】
ステップS404では、通信経路の一時的な不良等による近傍需要家への通信確認の失敗確率を表す通信異常指標eを変数として用意し、値を1に初期化する。
また、通信異常と上位停電を切り分ける閾値tを、停電判定装置のオペレータが「0、1」の範囲で指定して入力装置203から入力する。
【0035】
ステップS405では、近傍需要家抽出手段209により、配電設備上で需要家Aの近傍に位置する需要家をリストアップする。
以降で、ここで作成したリストを近傍需要家リストとする。
【0036】
ステップS406では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS413を実行し、1以上であればステップS407を実行する。
【0037】
ステップS407では、通信確度算出手段207により、近傍需要家リスト内の各需要家の通信端末について、それぞれの通信確度を算出し、通信確度の高い順に近傍需要家リストを並べ替え、近傍需要家リスト[需要家B、需要家C]を得る。
【0038】
ステップS408では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS410を実行し、1以上であればステップS409を実行する。
【0039】
ステップS409では、近傍需要家リストの先頭に位置する需要家を取り出す。
以降で、取り出した需要家を需要家Bとする。
需要家Bは、近傍需要家リストから削除する。
需要家Bの通信端末に対して通信確認手段206により、通信可否の確認を行う。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS410を実行し、「通信失敗」となった場合はS411を実行する。
【0040】
ステップS410では、需要家Bの通信端末との「通信成功」なので需要家Bの通信端末まで電力が供給されているが、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていないと判断して、「需要家の引込線異常」と判定し、図4の範囲2が停電状況と切り分け、供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0041】
ステップS411では、ステップS407で算出した需要家Bの通信確度をpxとして、e*(1−px)を求め、この値を新たな通信異常指標eの値とする。
【0042】
ステップS412では、通信異常指標eと閾値tを比較して、e≧tであればステップS408を実行し、e<tであればステップS413を実行する。
このステップで、通信異常指標eと閾値tを比較することにより、通信経路の一時的な不良等による通信確度の低い需要家に対する通信可否の確認を減らすことができる。
【0043】
ステップS413では、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されておらず、上位設備を含む柱上変圧器1からの異常と判断して、「上位異常」と判定し、図4の範囲3が停電状況と切り分け、柱上変圧器等の上位設備調査の作業を行い、その後に供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0044】
前記のように実施の形態2によれば、センタサーバから停電の発生した需要家の通信端末及び停電の発生した需要家の近傍の需要家の通信端末に通信可否を確認することで、通信結果から、停電の発生した需要家に電力が供給されているか、停電の発生している需要家の近傍の需要家に電力が供給されているかを判断して、停電の発生した需要家の通信端末との「通信成功」の場合は需要家の構内故障、停電の発生した需要家の通信端末との「通信失敗」の場合は、更に停電の発生している需要家の近傍の需要家の通信端末と「通信成功」ならば需要家の引込線異常、更に停電の発生している需要家の近傍の需要家の通信端末と「通信失敗」ならば上位異常、と遠隔での停電状況の切り分けができる。
【0045】
また、各需要家の通信端末に対して、通信可否の通信履歴データを記録しておき、通信履歴データから需要家の通信確度を算出し、通信確度の高い順に通信可否の確認処理を行うことで、少ない通信回数で停電状況の切り分けができる。
【0046】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3による停電判定装置全体の説明図である。図10は、この発明の実施の形態3によるセンタサーバの構成図である。図11は、この発明の実施の形態3によるネットワーク中継装置の構成図である。図12は、この発明の実施の形態3による通信端末の構成図である。図13は、この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の要求処理を示すフローチャートである。図14は、この発明の実施の形態3による通信端末並列探索の応答処理を示すフローチャートである。図15は、この発明の実施の形態3による停電判定の流れを示すフローチャートである。
【0047】
実施の形態1又は実施の形態2では、センタサーバと各需要家の通信端末がネットワークを介して、通信データの送受信を行う。
実施の形態3では、各需要家の通信端末が無線等により近隣に位置する需要家の通信端末と互いに直接通信可能として各通信端末が通信データを中継して必要に応じて通信経路を切り替えるメッシュネットワークの構成をとり、ネットワーク中継装置がサーバネットワークとメッシュネットワークとの間を中継することで、センタサーバと各需要家の通信端末が、サーバネットワークとメッシュネットワークを介して通信データの送受信を行う。
また、実施の形態3では、停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否を、メッシュネットワークの複数の通信経路で確認することで、通信経路の一時的な不良の発生を判定する。
【0048】
図9において、501はセンタサーバ、502はサーバネットワーク、503はネットワーク中継装置、504はメッシュネットワーク、505は通信端末、506は電力量計である。図10において、実施の形態2と同様の説明は省略し、601は通信端末探索手段である。図11において、701はサーバネットワーク通信装置、702は演算装置、703は記憶装置、704はメッシュネットワーク通信装置、705は通信端末探索転送手段である。図12において、実施の形態1と同様の説明は省略し、801は通信端末並列探索手段である。
【0049】
次に、センタサーバ501の構成について、図10をもとに説明する。
通信端末探索手段601は、探索対象とする通信端末505の識別番号を入力として受け取り、要求データの「探索対象番号」に当該識別番号を設定して、サーバネットワーク502を介して各ネットワーク中継装置503に要求データを送信する。
要求データを送信したネットワーク中継装置503のいずれかから、発見した旨の応答データを受信すれば「探索成功」を出力する。
要求データを送信したネットワーク中継装置503の全てから、発見できなかった旨の応答データを受信すれば「探索失敗」を出力する。
なお、通信端末探索手段601は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置204に格納する。実行時には、演算装置202に読み込み、前記の処理を行う。
【0050】
次に、ネットワーク中継装置503の構成について、図11をもとに説明する。
ネットワーク中継装置503は、サーバネットワーク通信装置701と演算装置702と記憶装置703とメッシュネットワーク通信装置704とが互いに接続され、記憶装置703に格納されたプログラムを演算装置702に読み込んで処理することによって動作する。
プログラムの動作によって、サーバネットワーク通信装置701を制御してセンタサーバ501とデータの送受信を行い、メッシュネットワーク通信装置704を制御して通信端末505とデータの送受信を行う。
なお、通信端末505からセンタサーバ501への計量値の通信データの送信や、センタサーバ501から通信端末505への通信確認手段206及び通信端末探索手段601の通信データの送信や、通信端末505からセンタサーバ501への通信応答手段305及び通信端末並列探索手段801の通信データの送受信は、ネットワーク中継装置503がサーバネットワーク502とメッシュネットワーク504との間を中継して通信データを転送することで実現する。
【0051】
通信端末探索転送手段705は、サーバネットワーク通信装置701により、センタサーバ501から通信端末探索手段601の要求データを受信してメッシュネットワーク通信装置704により、直接通信可能な全ての通信端末505に対して、要求データを同報送信する。
ネットワーク中継装置503から通信端末505への要求データの送信時には、センタサーバ501から受信した要求データの「探索中継リスト」に空のリストを設定する。
【0052】
また、通信端末探索転送手段705は、メッシュネットワーク通信装置704により、直接通信可能な通信端末505のいずれかから、応答データを受信した場合は「探索成功」をサーバネットワーク通信装置701により、センタサーバ501に送信する。
例えば、1分などの一定時間内に、直接通信可能な通信端末505のいずれからも応答データを受信しなかった場合は「探索失敗」をサーバネットワーク通信装置701によりセンタサーバ501に送信する。
なお、通信端末探索転送手段705は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置703に格納する。実行時には、演算装置702に読み込み、前記の処理を行う。
【0053】
次に、通信端末505の構成について、図12をもとに説明する。
通信端末並列探索手段801は、メッシュネットワーク504上で、直接通信可能な通信端末505及びネットワーク中継装置503との間で、通信端末並列探索の要求及び応答のデータを送受信する。
なお、通信端末並列探索手段801は、コンピュータプログラムとして実現し、記憶装置303に格納する。実行時には、演算装置302に読み込み、前記の処理を行う。
【0054】
次に、通信端末並列探索手段801による、通信端末並列探索の要求処理について、図13をもとに説明する。
【0055】
ステップS901では、通信装置301により、メッシュネットワーク504上で直接通信可能な通信端末505及びネットワーク中継装置503から要求データを受信する。
要求データには、「探索対象番号」として探索対象となる通信端末の識別番号を含み、「探索中継リスト」として探索を中継した通信端末の識別番号リストを含む。
【0056】
ステップS902では、「探索対象番号」を確認し、自通信端末の識別番号と、一致すればステップS903を実行して、一致しなければステップS904を実行する。
【0057】
ステップS903では、応答データを作成する。応答データには、「探索結果リスト」として探索を中継した通信端末と探索対象の通信端末の識別番号のリストを含む。
「探索結果リスト」には、要求データの「探索中継リスト」から、そのままの順序で通信端末の識別番号を追加して、末尾に探索対象である自通信端末の識別番号を追加する。
次に、作成した応答データの「探索結果リスト」の末尾から二番目の位置に格納された識別番号を持つ通信端末宛に応答データを送信する。
【0058】
ステップS904では、要求データの「探索中継リスト」のサイズを確認する。
「探索中継リスト」のサイズが、予め定めた規定値以上であれば通信端末並列探索の要求処理を終了し、規定値未満であれば「探索中継リスト」内の識別番号を確認して、「探索中継リスト」内に自通信端末と一致するものがあれば通信端末並列探索の要求処理を終了し、「探索中継リスト」内に一致するものが存在しなければステップS905を実行する。
【0059】
ステップS905では、要求データの「探索中継リスト」の末尾に自通信端末の識別番号を追加する。
【0060】
ステップS906では、ステップS905で更新した要求データを、メッシュネットワーク504上で直接通信可能な全ての通信端末505に対して同報送信する。
【0061】
次に、通信端末並列探索手段801による、通信端末並列探索の応答処理について、図14をもとに説明する。
【0062】
ステップS1001では、通信端末301により、メッシュネットワーク504上で直接通信可能な通信端末505から応答データを受信する。
応答データは、通信端末並列探索の要求処理のステップS903で作成された「探索結果リスト」を含むものである。
【0063】
ステップS1002では、応答データの「探索結果リスト」の内容を確認して、自通信端末の識別番号が格納されている位置を検索する。
格納されている位置が、先頭であった場合はステップS1003を実行し、先頭でなかった場合はステップS1004を実行する。
【0064】
ステップS1003では、通信装置301により、応答データをネットワーク中継装置503に送信する。
【0065】
ステップS1004では、通信装置301により、応答データの「探索結果リスト」において、自通信端末の識別番号が格納されている位置の一つ前に格納された識別番号の通信端末宛に応答データを送信する。
【0066】
次に、停電判定の流れについて、図4と図15をもとに説明する。
実施の形態3では、実施の形態2と同様に3段階の停電状況の切り分けを行うと共に、停電の発生した需要家の通信端末に対する通信経路の一時的な不良の発生を判定する。
図4において、需要家Aを停電の発生した需要家とすると、範囲1が「需要家の構内故障」の切り分け範囲、範囲2が「停需要家の引込線異常」の切り分け範囲、範囲3が「上位異常」の切り分け範囲となる。
【0067】
ステップS401では、ある需要家からの停電発生の問合せや、監視業務の担当者から、ある需要家について停電が発生している旨の通知を受け付け、停電判定装置のオペレータが、入力装置203からセンタサーバ101に需要家の情報を入力する。
以降で、停電の発生した需要家を需要家Aとする。
【0068】
ステップS402では、需要家Aの通信端末に対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
なお、通信確認手段206が使用する通信経路は、必要に応じて通信経路を切り替えるメッシュネットワークにおいて、通信可否の確認時点で、1本の通信経路を使用する(1本の最適経路を使用)。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS403を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS404を実行する。
【0069】
ステップS403では、需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0070】
ステップS404では、通信経路の一時的な不良等による近傍需要家への通信確認の失敗確率を表す通信異常指標eを変数として用意し、値を1に初期化する。
また、通信異常と配電系統上位の異常を切り分ける閾値tを、停電判定装置のオペレータが「0、1」の範囲で指定して入力装置203から入力する。
【0071】
ステップS405では、近傍需要家抽出手段209により、配電設備上で需要家C0の近傍に位置する需要家をリストアップする。
以降で、ここで作成したリストを近傍需要家リストとする。
【0072】
ステップS406では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS413を実行し、1以上であればステップS407を実行する。
【0073】
ステップS407では、通信確度算出手段207により、近傍需要家リスト内の各需要家について、それぞれの通信確度を算出し、通信確度の高い順に近傍需要家リストを並べ替え、近傍需要家リスト[需要家B、需要家C]を得る。
【0074】
ステップS408では、近傍需要家リストに含まれる需要家数を確認する。
需要家数が、0であればステップS410を実行し、1以上であればステップS1101を実行する。
【0075】
ステップS1101では、近傍需要家リストの先頭に位置する需要家を取り出す。
以降で、取り出した需要家を需要家Bとする。
需要家Bは、近傍需要家リストから削除する。
需要家Bに対して、通信確認手段206により通信可否の確認を行う。
なお、通信確認手段206が使用する通信経路は、前記ステップS402と同様とする。
通信結果が、「通信成功」となった場合はステップS1102を実行し、「通信失敗」となった場合はステップS411を実行する。
【0076】
ステップS1102では、需要家Aの通信端末の識別番号を計器データ211から取得して、これを探索対象として通信端末探索手段601に与えて、「通信成功」した需要家B経由で需要家Aに通信可能か探索結果を得る。
なお、通信端末探索手段601が使用する通信経路は、必要に応じて通信経路を切り替えるメッシュネットワークにおいて、通信端末の探索時点で、切り替え可能な全ての通信経路を使用する(1本の最適経路だけでなく、迂回経路など切り替え可能な全経路を使用)。
探索結果が、「探索失敗」の場合はステップS410を実行し、「探索成功」の場合はステップS1103を実行する。
【0077】
ステップS1103では、近傍の需要家B経由で需要家Aの通信端末との「通信成功」なので需要家Aの通信端末までは電力が供給されていると判断して、「需要家の構内故障」と判定し、図4の範囲1が停電状況と切り分け、需要家Aへの確認依頼や、構内設備調査の作業等を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
また、需要家Aの通信端末に対する通信可否の確認で、直接の通信確認は「通信失敗」だが、近傍の需要家Bを経由して通信確認は「探索成功」となるので、需要家Aへの直接の通信経路の一時的な不良の発生を判定して、需要家の通信端末周辺のネットワーク状況の確認を推奨する旨を出力装置205に出力する。
【0078】
ステップS410では、需要家Bの通信端末との「通信成功」なので需要家Bの通信端末までは電力が供給されているが、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末までは電力が供給されていないと判断して、「需要家の引込線異常」と判定し、図4の範囲2が停電状況と切り分け、供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0079】
ステップS411では、ステップS407で算出した需要家Bの通信確度をpxとして、e*(1−px)を求め、この値を新たな通信異常指標eの値とする。
【0080】
ステップS412では、通信異常指標eと閾値tを比較して、e≧tであればステップS408を実行し、e<tであればステップS413を実行する。
このステップで、通信異常指標eと閾値tを比較することにより、通信経路の一時的な不良等による通信確度の低い需要家に対する通信可否の確認を減らすことができる。
【0081】
ステップS413では、需要家Aの通信端末との「通信失敗」なので需要家Aの通信端末まで電力が供給されておらず、上位設備を含む柱上変圧器1からの異常と判断して、「上位異常」と判定し、図4の範囲3が停電状況と切り分け、柱上変圧器等の上位設備調査の作業を行い、その後に供給設備等調査の作業を行う必要がある旨を出力装置205に出力する。
【0082】
前記のように実施の形態3によれば、各需要家の通信端末がメッシュネットワークで構成される場合でも、実施の形態2と同様に、遠隔での停電状況の切り分けができる。
また、停電の発生した需要家の通信端末に対する通信可否の確認において、メッシュネットワークの複数の通信経路で確認をすることで、通信確認手段が「通信失敗」で通信端末探索手段が「探索成功」ならば需要家の通信端末に対する通信経路の一時的な不良の発生を判定できる。
【符号の説明】
【0083】
101...センタサーバ、 102...ネットワーク、 103...通信端末、
104...電力量計、
201...通信装置、 202...演算装置、 203...入力装置、
204...記憶装置、 205...出力装置、 206...通信確認手段、
207...通信確度算出手段、 208...通信履歴記録手段、
209...近傍需要家抽出手段、 210...配電設備データ、
211...計器データ、 212...通信履歴データ、
301...通信装置、 302...演算装置、 303...記憶装置、
304...インタフェース装置、 305...通信応答手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家に設置された電力量計から電力を供給され前記電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、
各需要家の計量値を前記ネットワークを介して前記通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、
前記センタサーバは、停電の発生した需要家に設置された前記通信端末に通信可否を確認することを特徴とする停電判定装置。
【請求項2】
前記センタサーバは、前記停電の発生した需要家と通信できない場合に、前記需要家の近傍の需要家に設置された前記通信端末に通信可否を確認することを特徴とする請求項1記載の停電判定装置。
【請求項1】
需要家に設置された電力量計から電力を供給され前記電力量計の計量値を読み取りネットワークを介して送信する通信端末と、
各需要家の計量値を前記ネットワークを介して前記通信端末から自動的に収集するセンタサーバとで構成され、
前記センタサーバは、停電の発生した需要家に設置された前記通信端末に通信可否を確認することを特徴とする停電判定装置。
【請求項2】
前記センタサーバは、前記停電の発生した需要家と通信できない場合に、前記需要家の近傍の需要家に設置された前記通信端末に通信可否を確認することを特徴とする請求項1記載の停電判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−176934(P2011−176934A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38684(P2010−38684)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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