説明

健康器具

【課題】誤操作を容易に抑制することが可能な健康器具を提供する。
【解決手段】操作器21には、視覚的特徴を有するダミースイッチ30が設けられ、そのダミースイッチ30の操作により、該ダミースイッチ30部分が光る、表示部27にアニメーション表示がされる等、視覚的に作用させるようになっている。そのため、子供等の使用者のダミースイッチ30への関心を惹くことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の操作により作動する可動部を有する健康器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の健康器具において例えばマッサージ椅子では、背もたれに組み込まれた可動部としてのマッサージ機構を有し、そのマッサージ機構は操作部に設けられた各種操作スイッチの操作に応じて作動して、着座した使用者にマッサージを行うようになっている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1のようなマッサージ椅子では、マッサージ椅子の本来の使用でない作動(例えば、子供のいたずら等)を防止するために、電源スイッチのオフ状態をロックするための施錠スイッチが設けられている。この施錠スイッチのロックを解除しないとマッサージ椅子の電源をオンにすることはできないため、子供が簡単に操作できないようになっている。
【特許文献1】特開平9−140757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような健康器具では、施錠スイッチのロックが容易に解除されないように、電源スイッチ及び施錠スイッチは目の届きにくいマッサージ椅子の脚部周辺や背もたれ部の背面等に設けられていることもあいまって、マッサージ椅子を使用後に毎回電源スイッチのオフ及び施錠スイッチのロックをするのが面倒であり、その点においてなお、改善の余地があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、誤操作を容易に抑制することが可能な健康器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、操作部に設けられた各種操作スイッチの操作により作動する可動部を備えた健康器具であって、前記操作部には、操作しても前記可動部が作動しないダミースイッチが設けられ、該ダミースイッチは、そのスイッチ自身又はその操作により視覚的に作用させる、若しくはその操作により聴覚的に作用させることをその要旨とする。
【0006】
この発明では、操作部には、操作しても可動部が作動しないダミースイッチが設けられ、該ダミースイッチは、そのスイッチ自身又はその操作により視覚的に作用させる、若しくはその操作により聴覚的に作用させるように構成される。つまり、ダミースイッチは例えば色、形状等の視覚的特徴を有し、また、例えばダミースイッチの操作により視覚的若しくは聴覚的に作用させる。従って、子供等の使用者のダミースイッチへの関心を惹くことが可能であるため、健康器具の本来の使用でない作動を起こす誤操作を防止するための機構を別途必要としないで、誤操作を容易に抑制することが可能である。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の健康器具において、前記ダミースイッチは、前記操作スイッチが設けられた操作面に設けられたことをその要旨とする。
この発明では、ダミースイッチは各種操作スイッチが設けられた操作面に設けられるため、ダミースイッチに目を引き易くすることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の健康器具において、前記ダミースイッチの操作に基づいて誤操作を判定する誤操作判定手段と、その誤操作判定に基づき前記可動部の作動を停止し、以後の前記操作スイッチの操作を無効とする作動停止手段とを備えたことをその要旨とする。
【0009】
この発明では、ダミースイッチの操作に基づいて誤操作を判定する誤操作判定手段と、その誤操作判定に基づき可動部の作動を停止し、以後の操作スイッチの操作を無効とする作動停止手段とを備える。従って、ダミースイッチの操作に基づいて誤操作を監視するため、誤操作を確実に抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、健康器具の誤操作を容易に抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すマッサージ椅子10において、床面に載置される脚部11にはマッサージ椅子10の幅方向両端にそれぞれ配置された一対の側壁12が支持固定されるとともに、それら側壁12間には使用者が着座可能な座部13が固定されている。その座部13の後部には、着座した使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部14が傾動可能に設けられるとともに、背もたれ部14内部には使用者の肩から背中にかけてマッサージ可能な可動部としてのマッサージ機構15が組み込まれている。また、各側壁12の上方には使用者の腕や肘等を置くための肘掛け17が設けられている。
【0012】
図1において奥側の側壁12に支持されるとともに肘掛け17の上方まで延びる保持部18には、前記マッサージ機構15を操作するための扁平箱状の操作器(操作部)21が着脱可能に保持されている。操作器21の操作面21aには、図2に示すように、この操作器21自体の作動を起動又は停止させるための作動スイッチ(sw)22と、マッサージ椅子10に対して所望の動作をさせるための複数のスイッチとからなる各種操作スイッチが設けられている。前記複数のスイッチは、ユーザ選択スイッチ23、コース選択スイッチ24、微調節スイッチ25及び付加動作スイッチ26等から構成されている。また、このような各種操作スイッチが設けられた操作面21aの中央部には、マッサージ内容等を表示する報知手段としての表示部27が設けられるとともに、操作器21には音声案内用のスピーカ28が設けられている。
【0013】
尚、ユーザ選択スイッチ23は、マッサージ中に調節した使用者の好みのマッサージ内容を登録し、その登録内容でマッサージを始めるためのものであり、コース選択スイッチ24は、予め設定されたコースに沿ってマッサージを行うためのものである。また、微調節スイッチ25はマッサージ機構15の接触圧、マッサージ位置及び背もたれ部14の傾斜角度等の調節を行うためのものであり、付加動作スイッチ26はマッサージ動作に変化を加えるためのものである。
【0014】
このような各種操作スイッチは、図3に示すように、複数の階層に分けられている。本実施形態では、作動スイッチ22は第1階層C1に、ユーザ選択スイッチ23及びコース選択スイッチ24は第2階層C2に、微調節スイッチ25及び付加動作スイッチ26は第3階層C3に、そして、その他のスイッチは第4階層C4にそれぞれ分けられている。操作器21が作動していないときには、第1階層C1の作動スイッチ22のみが有効化スイッチであり、それより下位階層のスイッチ群は全て無効化されている。無効化された階層のスイッチ操作はマッサージ椅子10の作動に反映されないようになっている。そして、有効化された階層のスイッチが操作されると、その操作に応じてマッサージ椅子10が作動されるとともに、それより1つ下の階層に属するスイッチ群が有効化されるようになっている。
【0015】
また、図2に示すように、操作面21a上の左下位置には、上記した各種操作スイッチと比べて大きな形状をなすダミースイッチ30が設けられている。ダミースイッチ30の表面には目を引くような模様(イラスト)が描画されている。操作器21はこのようなダミースイッチ30の操作により、そのダミースイッチ30部分が光るように構成されるとともに、表示部27にアニメーション表示がされるようになっている。また、ダミースイッチ30の操作による操作信号は誤操作判定手段及び作動停止手段としての制御部31に出力されるが、マッサージ椅子10の作動に反映されないようになっている。
【0016】
このような操作器21において、有効化された各種操作スイッチが操作されると、その操作に応じた信号が制御部31に出力され、制御部31はその信号に基づいてマッサージ機構15を駆動する駆動モータ15aや背もたれ部14等のマッサージ椅子10の各部を作動させるようになっている。一方、ダミースイッチ30を含む無効化されている各種操作スイッチ(以下、無効化スイッチという)が操作されると、その信号は制御部31に出力され、その信号に基づき制御部31のカウンタ32は無効化スイッチの操作回数をカウントするようになっている。また、このカウンタ32は、無効化スイッチのカウントとは別に、作動スイッチ22の操作回数もカウントするようになっている。また、制御部31には計時するためのタイマ33が設けられている。尚、マッサージ椅子10に設けられた主電源スイッチ34の操作によりマッサージ椅子10全体の主電源のオン/オフがなされるようになっている。
【0017】
このようなマッサージ椅子10において、無効化スイッチの操作回数nに基づく誤操作判定処理について図4のフローチャートに従って説明する。
図4に示すように、マッサージ椅子10の主電源がオンされると、ステップS1では制御部31はタイマ33の計時時間tとカウンタ32による無効化スイッチの操作回数nとをそれぞれ初期化(t=0、n=0)し、ステップS2に進む。ステップS2で制御部31が作動スイッチ22の操作信号を受けるとステップS3に進み、ステップS3でタイマ33による計時がスタートするとともに無効化スイッチの操作回数n=1とし、ステップS4に進む。ステップS4では、制御部31は作動スイッチ22の操作信号を受けると、ステップS6に進み、このステップS6でカウンタ32は無効化スイッチの操作回数nに1を加算し、ステップS7に進む。ステップS7では、無効化スイッチの操作回数nが所定の累積操作回数Nまで達したか否かを判別する。本実施形態では、所定時間Tは30秒、累積操作回数Nは6回にそれぞれ設定されている。
【0018】
ステップS7において、無効化スイッチの操作回数nが累積操作回数Nに達していないと判定すると、ステップS5に進み、タイマ33の計時時間tが予め設定された所定時間Tに達する否かを判別する。計時時間tが所定時間Tに達していないと判定すると、ステップS4(作動スイッチ22の操作待ちの状態)に戻る。一方、計時時間tが所定時間Tに達したと判定すると、前記ステップS1に戻り、計時時間t及び無効化スイッチの操作回数nがともにリセット(初期化)される。また、ステップS3以降において、作動スイッチ22が操作されないまま時間が経過し、タイマ33の計時時間tが所定時間Tに達した場合においても、ステップS1に戻り、タイマ33の計時時間t及び無効化スイッチの操作回数nがともにリセットされる。
【0019】
一方、ステップS7において、無効化スイッチの操作回数nが累積操作回数Nに達したと判定すると、ステップS8で制御部31は誤操作と判定し、ステップS9へ進む。ステップS9では、制御部31はマッサージ機構15の作動を停止する(作動中の場合)とともに、操作器21に報知許可信号を出力する。操作器21はこの信号を受け、全ての操作スイッチの操作を無効とし、表示部27に誤操作判定による作動停止を示すメッセージを表示するようになっている。尚、この誤操作判定による作動停止状態は、主電源スイッチ34を一旦オフした後、該スイッチを再びオンすることで解除されるようになっている。
【0020】
このようなマッサージ椅子10では、マッサージ椅子10の主電源がオンのとき、例えば子供のいたずら等によりマッサージ椅子10の本来の使用でない作動を起こした場合に、その操作を誤操作と判定して作動停止する。そのため、誤操作を行わせない機構を別途必要とせず、スイッチ操作で誤操作を監視することができるので、誤操作を容易に防止することが可能である。
【0021】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)操作器21には、視覚的特徴を有するダミースイッチ30が設けられ、そのダミースイッチ30の操作により、該ダミースイッチ30部分が光る、表示部27にアニメーション表示がされる等、視覚的に作用させるようになっている。そのため、子供等の使用者のダミースイッチ30への関心を惹くことが可能であるため、マッサージ椅子10の本来の使用でない作動を起こす誤操作を防止するための機構を別途必要としないで、誤操作を容易に抑制することが可能である。
【0022】
(2)ダミースイッチ30は各種操作スイッチが設けられた操作面21aに設けられるため、ダミースイッチ30に目を引き易くすることができる。
(3)ダミースイッチ30の操作に基づいて誤操作を判定する誤操作判定手段、及びその誤操作判定に基づきマッサージ機構15等の可動部の作動を停止し、以後の各種操作スイッチの操作を無効とする作動停止手段としての制御部31を備える。従って、ダミースイッチ30の操作に基づいて誤操作を監視するため、誤操作を確実に抑制することが可能である。
【0023】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、ダミースイッチ30の視覚的特徴はどんな形態でもよく、例えば図5に示すような模様としてもよい。また、上記実施形態では、ダミースイッチ30の表面には目を引くようなイラストが描画されたが、これ以外に例えば、イラストが描かれたシールを貼り付けてもよく、また、ダミースイッチ30表面のイラストをかたどった形状としてもよい。
【0024】
・上記実施形態において、ダミースイッチ30の操作により聴覚的に作用させるよう、例えばスピーカ28から効果音、音楽又は音声が流れるように構成してもよい。
・上記実施形態では、ダミースイッチ30は操作面21a上の左下位置に設けられたが、操作面21a上の別の位置でもよく、また、操作面21a上以外の例えば操作器21の側端部や上端部に設けてもよい。
【0025】
・上記実施形態では、制御部31はダミースイッチ30を含む無効化スイッチの操作に基づいて誤操作を判定したが、ダミースイッチ30の操作のみに基づいて誤操作を判定するように設定してもよい。
【0026】
・上記実施形態では、ダミースイッチ30は制御部31と電気的に接続されたが、制御部31と電気的に非接続としたダミースイッチとしてもよい。
・上記実施形態において、制御部31の誤操作判定に基づきスピーカ28から警報音や音声案内を出力するように構成してもよい。
【0027】
・上記実施形態では、スピーカ28は操作器21に設けられたが、これ以外に例えば、マッサージ椅子10本体に設けてもよい。
・上記実施形態では、操作部をマッサージ椅子10本体から分離された操作器21としたが、この操作器21の形態に限定されるものではなく、例えば、マッサージ椅子10の側壁12等に一体に設けた操作部としてもよい。
【0028】
・上記実施形態では、マッサージ椅子10に適用したが、これ以外に例えば、図6に示すような揺動型運動装置60に適用してもよい。揺動型運動装置60は床面に載置された脚部61の上端に可動部としての運動機構62が設けられるとともに、その運動機構62の上部には馬の背や鞍を模した形状で使用者が着座する座部63が固定されている。そして、この運動機構62は座部63を前後方向及び左右方向に揺動するように構成されている。座部63の上面前方(図において左側)には運動機構62を操作するための操作部64が設けられている。操作部64の操作面64aには、図7に示すように、揺動型運動装置60の起動、停止を行うための作動スイッチ65、運動機構62の動作状態を変更するための複数の動作選択スイッチ66等からなる各種操作スイッチ、及び上記実施形態と同様なダミースイッチ70が設けられている。この揺動型運動装置60は、ハード的には上記実施形態のマッサージ椅子10と相違するが、誤操作判定処理、作動停止処理等のソフト的な部分においては同様な処理を行うようになっており、上記実施形と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態における健康器具を示す斜視図。
【図2】マッサージ椅子の電気的構成図。
【図3】各種操作スイッチを階層的に示す説明図。
【図4】誤操作判定処理のフローチャート。
【図5】別例の操作器を示す平面図。
【図6】別例としての揺動型運動装置を示す側面図。
【図7】揺動型運動装置の操作部を示す平面図。
【符号の説明】
【0030】
10…健康器具としてのマッサージ椅子、15…可動部としてのマッサージ機構、21…操作部としての操作器、21a、64a…操作面、22,65…各種操作スイッチを構成する作動スイッチ、23…各種操作スイッチを構成するユーザ選択スイッチ、24…各種操作スイッチを構成するコース選択スイッチ、25…各種操作スイッチを構成する微調節スイッチ、26…各種操作スイッチを構成する付加動作スイッチ、27…表示部、28…スピーカ、30,70…ダミースイッチ、31…誤操作判定手段及び作動停止手段としての制御部、60…健康器具としての揺動型運動装置、62…可動部としての運動機構、64…操作部、66…各種操作スイッチを構成する動作選択スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部に設けられた各種操作スイッチの操作により作動する可動部を備えた健康器具であって、
前記操作部には、操作しても前記可動部が作動しないダミースイッチが設けられ、該ダミースイッチは、そのスイッチ自身又はその操作により視覚的に作用させる、若しくはその操作により聴覚的に作用させることを特徴とする健康器具。
【請求項2】
請求項1に記載の健康器具において、
前記ダミースイッチは、前記操作スイッチが設けられた操作面に設けられたことを特徴とする健康器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の健康器具において、
前記ダミースイッチの操作に基づいて誤操作を判定する誤操作判定手段と、
その誤操作判定に基づき前記可動部の作動を停止し、以後の前記操作スイッチの操作を無効とする作動停止手段とを備えたことを特徴とする健康器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−82176(P2009−82176A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251869(P2007−251869)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】