説明

健康診断会場のむだ待ち防止装置

【課題】健康診断会場の検査室の前での受診者のむだ待ちを防ぎ、検診を円滑に進め、また、移動が多い健診業務に用いやすいように、小型軽量で、設置や取り外しが容易で、確実に動作し、故障しにくい装置を提供する。
【解決手段】検査室内の受診者席の近くに人体感知センサを設け、検査室内における受診者の有無を検査室外に設けた表示器に自動的に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は職場で行われる健康診断(以下、健診という)の会場における受診者のむだ待ちを防ぎ、円滑に受診できるようにする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健診の会場には診察室、心電図検査室、超音波検査室などが設けられる。これら検査室の中には検査者がいて、受診者が一人ずつ中に入って検査を受けるようになっている。受診者が中に居るときには他の受診者は外で待つ。検査室は出入口が常に閉ざされていて、外から中の様子を見ることはできない。また中から外の様子を見ることもできない。検査室が空いていれば受診者は入れるが、外にいる受診者には中の様子が分らない。待合席に常に受診者がいるならば検査室にも受診者がいるのは自明であるから、外にいる受診者は順番を待てばよい。しかし受診者の流れが切れて、待合席が空席になったときに他の場所から来た受診者は待つべきか検査室に入るべきか判断に迷う。彼は検査室内の業務を妨げることを恐れ、外から声を掛けて中の様子を尋ねることができない。従って、中が空いているにもかかわらず外でむだに待つ。先頭のむだ待ちは後に続く何人ものむだ待ちを伴う。会場内に案内人を置けばよいが、人件費がかかる。また、案内人がいたとしても、どの検査室が空いているかを常に把握しているのは難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
健診会場におけるむだ待ちを防ぎ、検診を円滑に進める装置を得ることが本発明の課題である。
【0004】
また、移動が多い健診業務に用いやすいように、小型軽量で、設置や取り外しが容易で、確実に動作し、故障しにくい装置を得ることも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
むだ待ちを防ぐには、検査室内の受診者の有無を外の受診者に知らせればよい。そのために検査室の外に表示器を設け、外の受診者がそれを見られるようにする。中の検査者が表示器を遠隔操作して表示内容を変更してもよいが、そのような動作は検査者の負担となるので、人体感知センサ(以下、センサという)が受診者の有無を識別して、自動的に信号を表示器に送るようにする。図によって説明する。なお、図2の受診者席の左右の空間は図1のそれよりも小さく描かれている。さて、健診会場の検査室(1)は壁(2)で囲まれ、受診者は出入口(3)から入る。検査者席(4)の前の受診者席(5)が空席のときは机(10)の上のセンサ(6)が信号を信号線(7)経由で出入口近くの表示器(8)に伝え、緑灯を点灯する。受診者が席(5)に居るときはセンサ(6)が人体の存在を感知し、信号を発して表示器(8)は赤灯を点灯する。待合席(9)の受診者は表示灯が赤ならば待ち、緑ならば中へ入る。
【発明の効果】
【0006】
受診者は表示器の指示に従い、むだに待つことがない。また、中に受診者がいるときに他の受診者が不用意に出入口を開けることがない。従って、健診が円滑に進む。
【0007】
また、センサが常に働き、その結果を自動的に表示するので、検査者の負担が少ない。
【0008】
さらに、センサとして後述する小型の反射型赤外線センサを用いた場合には、設置や取り外しが容易で、運びやすく、電源スイッチ以外に可動部が無いので故障しにくく、健診に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
検査者が表示器(8)の表示内容を監視できるように検査室内に表示モニタ(13)(以下、モニタという)を設ける。図の例ではこれをセンサ(6)の容器に取り付けてある。表示器が緑灯を点ずるときはモニタも緑灯を点じ、表示器が赤灯を点ずるときはモニタも赤灯を点ずる。モニタ設置の目的は受診者席(5)の受診者が自分で椅子を動かしたり、不自然な姿勢を採ったりするとセンサが感知しなくなり、緑灯を点ずることがあるので、そのような場合に備えるためである。
【0010】
センサとしては反射型赤外線センサ(被検物に赤外線を照射し、その反射光を測ることにより被検物の有無を判別する装置)、透過型赤外線センサ(被検物を挟む位置に赤外線照射器と赤外線受光器とを設け、赤外線照射器から発射された赤外線が遮断されれば被検物が存在すると判断する装置)、人体が発する赤外線を感知するセンサ、受診者席(5)の座面に設けた感圧センサなどが考えられるが、検診は諸所の職場に赴いて行うので、装置は小型軽量で設置や取り外しが容易なものが望ましい。反射型赤外線センサは本体を机上に置き、電力線を壁の電灯線コンセントに差し込み、信号線で結んだ表示器を検査室外に置けばよいので、設置や取り外しが簡単であり、小型軽量で運搬が容易である。以下、反射型赤外線センサを用いる例について述べる。
【0011】
赤外灯は赤外線発光ダイオードを用いる。装置を小型軽量化するためと点滅信号(後述)に忠実に従うようにするためとである。
【0012】
センサは晴れた日の窓際や窓のない暗い部屋など、いろいろな明るさの下で用いられるので、それに対応することが必要である。そのために受光増幅器に交流増幅を用いて緩徐な変化を消す。もしも直流増幅とすると、外乱光(照射赤外光以外の光)によって受光増幅器の電位が上がるため、増幅器飽和電位との差が小さくなり、十分な利得が得られないからである。外乱光に比べると赤外線発光ダイオードの反射光は弱いので、反射光量測定の正確を期すため、マイコンで制御して、赤外灯を素早く点滅させ、赤外灯を点灯したときの赤外線光量と滅灯したときの赤外線光量との差を測る。これによって、外乱光の影響を小さくする。赤外線透過かつ可視光遮断のフィルタを受光器にかぶせても蛍光灯の光を完全には遮断できないので、その影響を小さくするため照射赤外灯を点滅する周波数は蛍光灯の周波数とは異るようにする。
【0013】
また、センサは検査室のごとき狭い場所でも誤動作しないことが求められる。受診者用椅子の背もたれ(12)にセンサが反応しないように図2に示す如く赤外線(11)を水平から3度以上、上向きに照射する。受光器も同じ方向に向ける。また、こうすると壁を斜めに照射するので壁からの反射光が受光器に入りにくく、誤動作を防ぐ効果がある。さらにまた、赤外線照射器と受光器とが上を向くので机表面からの照射赤外線反射光が入りにくくなり、誤動作を防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例の平面図。
【図2】A−A断面の一部拡大図。
【符号の説明】
【0015】
1 検査室
2 壁
3 出入口
4 検査者席
5 受診者席
6 人体感知センサ
7 信号線
8 表示器
9 待合席
10 机
11 赤外線
12 背もたれ
13 表示モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康診断会場に設けた検査室の中の受診者席近傍に人体感知センサを設け、受診者の有無を検査室外の表示器に表示するようにした健康診断会場のむだ待ち防止装置。
【請求項2】
表示器の表示内容を監視するための表示モニタを検査室内に設けた請求項1記載の健康診断会場のむだ待ち防止装置。
【請求項3】
人体感知センサとして、反射型赤外線センサ(被検物に赤外線を照射し、その反射光を測ることにより被検物の有無を判別する装置)を用いた請求項2記載の健康診断会場のむだ待ち防止装置。
【請求項4】
赤外線源に赤外線発光ダイオードを用いた請求項3記載の健康診断会場のむだ待ち防止装置。
【請求項5】
受光増幅器を交流増幅とし、マイコンで赤外線発光ダイオードを点滅させて、赤外線を照射したときの光量と照射しないときの光量との差を測るようにした請求項3記載の健康診断会場のむだ待ち防止装置。
【請求項6】
赤外線を水平から3度以上、上向きに照射し、赤外線受光器も同じ向きにした請求項3記載の健康診断会場のむだ待ち防止装置。

【図1】
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【図2】
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