説明

健診システム

【課題】 被健診者にとって認識容易な健診結果報告書の提供。
【解決手段】健診による検査種別と具体的検査項目と検査項目別の検査データ及び判定結果とを含む健診結果データを格納する健診結果DB20と、印字文字の背景色と文字色を定義した配色ルールテーブル33と、健診結果DB20に格納した健診結果データ及び配色ルールテーブルに設定した配色ルールを基に文字の背景色や文字色を指定して健診結果報告書を印字出力する結果報告書出力システム30とを有する健診システムであって、健診結果DB20から健診結果データに含まれる検査種別他を含む印字情報を取得し且つ配色ルールを参照し、印字情報中の検査データ及び判定結果が、配色ルールに定義されていると判定したとき、配色ルールに従って検査種別及び検査項目の背景色と文字色を前記定義された背景色及び文字色にして健診結果報告書41を印字するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康診断(以下、健診と呼ぶ)の検査結果を印字出力する健診システムに係り、特に被健診者が健診結果を容易に認識することができる健診結果報告書を印字出力する健診システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に健康診断は、企業や地域の自治体等の管理下において、選定された医療機関が多数の被健診者に対して健診を行い、この健診項目や健診結果データをコンピュータにより管理される健診システムに入力し、該健診システムが各被健診者の健診結果を健診結果報告書として印字し、医療機関が前記健診結果報告書を各被健診者に対して通知することが行われている。
【0003】
尚、前記健診のデータ管理を行う健診システムに関する技術が記載された文献としては、下記特許文献が挙げられる。
【特許文献1】特開2006−127264号公報
【特許文献2】特開2006−120038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術による健診システムにより印字出力される健診結果報告書は、図2に示す如く、「身体計測」「血圧」「視力」「胸部X線(肺・心臓)」「肝臓一般」「糖代謝」「VDT検査」「聴力」等の検査種別と、該検査種別毎の「身長」「体重」等の検査項目と、前記検査項目毎のアルファベットで示される判定結果と、検査の具体的数値である検査データを印字する欄とが設けられ、該判定結果は、今回と前回の判定結果がアルファベットで表記されている。前記判定結果のアルファベットは、例えば、「A:特筆すべき所見はありません」「B:軽度異常有るが日常生活に支障ありません」「C:生活習慣の改善ならびに経過監視が必要です」「C*:生活習慣の改善等の指導が必要です」「C1:1ケ月以内に再検査が必要です」「C3:3ケ月後、再検査が必要です」「C6:6ケ月後、再検査が必要です」「D1:治療の必要があります」「D2:精密検査が必要です」「D:検査・治療が必要です」「E:医療機関で治療・管理を続けて下さい」等の判定区分の内容コメントが表記されている。
【0005】
この健診結果報告書は、アルファベットにより判定結果が表記されているものの、どの検査種別の項目が被健診者の健康状態にとってより検診結果が悪いか否か、及びその程度を前記判定結果の内容コメントを参照しなければ認識することができないと言う不具合があった。
【0006】
また健診結果報告書において、例えば前記判定結果がDの異常値の際に注意を促すために赤字で異常値並びに判定結果を印字することも考えられるが、例えば「赤色弱」の被健診者にとっては前記赤字による表記では目視にて判定結果を認識することが困難であると言う不具合もあった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による不具合を除去することであり、検査種別毎の判定結果を目視にて容易に認識することができ、更に「赤色弱」の被健診者においても前記判定結果を目視にて容易に認識することができる健診システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、被健診者毎の健診結果による複数の検査種別と該検査種別の具体的な検査項目と該検査項目別の検査データ及び判定結果とを含む健診結果データを格納する健診結果データベースと、健診結果報告書に印字する文字の背景色並びに文字色を予め定義した配色ルールを格納する配色ルールテーブルと、前記健診結果データベースに格納した健診結果データ及び配色ルールテーブルに設定した配色ルールを基に文字の背景色並びに文字色を指定して健診結果報告書を印字出力する結果報告書出力システムとを有する健診システムであって、前記結果報告書出力システムが、前記健診結果データベースから健診結果データに含まれる検査種別と検査項目と検査データと判定結果とを有する印字情報を取得する取得工程と、前記配色ルールテーブルに格納した配色ルールを参照し、前記取得した印字情報中の検査データ及び判定結果が、前記配色ルールに定義されているか否かを判定する判定工程と、該判定工程により検査データ及び判定結果が前記配色ルールに定義されていると判定したとき、前記配色ルールに従って検査種別及び検査項目の背景色を前記定義された背景色に設定すると共に、前記検査データ及び判定結果の印字色を前記定義された印字色に設定し、健診結果報告書を印字する印字工程を実行することを第1の特徴とし、該健診システムにおいて、前記判定結果として赤色弱を含み、前記判定工程において判定結果が赤色弱と判定したとき、前記印字工程が、前記検査データ及び判定結果の印字色を緑色に設定して健診結果報告書を印字することを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による健診システムは、結果報告書出力システムが配色ルールテーブルに定義した配色ルールに従って文字の背景色及び文字色を設定して印字することより、被健診者の健診結果に応じた被健診者に注意を促す配色とし、被健診者に自己のどの検査項目がどの程度なのかを色彩を用いて視覚的に段階的に区別して知らしめることができると共に、被健診者の色覚所見が赤色弱の場合、文字色を識別が容易な緑色文字により印字を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による健診システムの一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態による健診システムの全体構成を示す図、図2は健診結果報告書の一例を示す図、図3は本実施形態による健診結果報告書に印字する印字情報を説明するための図、図4は本実施形態による配色ルールテーブルを説明するための図、図5は本実施形態による健診システムの動作フロー図である。
<構成説明>
【0011】
本実施形態による健診システム10は、図1に示す如く、健診結果データを格納する健診結果データベース(DB)20と、該健診結果データベース20から任意の検査項目や検査結果データを入力とし、所定のフォーマット変換を行ってプリンタ40により健診結果報告書を出力する結果報告書出力システム30と、前記健診結果データベース20及び結果報告書出力システム30を制御する制御部50とから構成され、前記結果報告書出力システム30は、前記健診結果データベース20から入力した健診結果データを基に、健診結果報告書41を印字出力する結果報告書出力機能31と、印字する際の配色ルールを格納する配色ルールテーブル33と、該配色ルールに従って検査種別欄の背景色や検査データ及び判定結果の文字色を設定する配色機能32とを備える。
【0012】
前記健診結果データベース20は、被健診者が受診した結果である健診結果データを格納し、この健診結果データから抽出される印字情報22は、例えば、図3に示す如く、健診結果報告書41の印字位置を指定するための印字位置と、該印字位置に印字するデータの分類(検査種別/検査項目)を示す分類と、該分類に対応した項目、例えば検査種別として身体計測/血圧/視力/胸部X線/肝・尿一般、検査項目として身長/体重〜最低血圧/色覚所見/視力裸眼右他の項目を含むものである。
【0013】
前記配色ルールテーブル33は、図4に示す如く、健診結果報告書41のどの分類の配色を指定するかを示す分類と、この分類のどの項目(全て、又は色覚所見)を指定するかを示す項目と、該項目の具体的データ、例えば前述のアルファベットで示される判定結果を指定するための検査データや判定結果を含む具体的なデータと、配色を変更する対象、例えば印字欄の背景か文字かを指定する対象と、その配色である色とを格納している。即ち、当該配色ルールテーブル33は、例えば、「検査種別」の「全て」の判定結果が「B」である「検査項目」欄の背景色を「薄黄色」に印字することや、検査項目の全ての判定結果が「D又はE」のときには文字の印字色を「赤」とすることや、検査項目の「色覚所見」の判定結果が「赤色弱」の文字色を「緑」に印字することを配色ルールとして設定している。
<動作説明>
【0014】
この様に構成された健診システム10は、図5に示す如く、制御部50が健診結果データベース20から前述の印字情報22を取得する工程51と、該取得した印字情報22を結果報告書出力システム30に出力し、この健診結果データを受診した結果報告書出力システム30が結果報告書出力機能31を用い、前記印字情報22中に前記配色ルールテーブル33に設定されたルールに該当するデータの有無、例えば、検査種別の判定結果が「B」のデータの有無や、検査種別の「色覚所見」の判定結果が「赤色弱」であるデータの有無を判定する工程52と、該工程52において該当するデータが「有」と判定されたとき、印字する情報が「検査種別」か否かを判定する工程53と、該工程53において「検査種別」と判定されたとき、印字情報22からアルファベットの「判定結果」を取得する工程54と、該工程54により取得した「判定結果」が配色ルールテーブル33に該当するデータ定義、例えば判定結果「B」や「赤色弱」が配色ルールテーブル33に定義されているか否かを判定する工程57と、前記工程53において「検査種別」でないと判定されたとき、印字情報の分類データが「検査項目」であるか否かを判定する工程55と、該工程55により印字情報22から当該「検査項目」データを取得し、前記工程57に続く工程56と、前記工程57に続き、配色機能32によって配色ルールテーブル33に定義している「対象部」(「背景」又は「文字」)の配色を行う工程58と、印字情報の次のフィールドに移動する工程59と、全てのフィールドの印字情報の配色処理を行ったか否かを判定し、全ての配色処理が終了していないと判定したとき、前記工程52に戻る工程62とを実行する。特に本実施形態においては、前記工程58において、配色ルールテーブル33に「検査項目」の「全て」を対象として判定結果が「D又はE」の場合、まず文字色を「赤」に設定し、次いで「検査項目」の「色覚所見」の判定結果が「赤色弱」の場合、前記設定した文字色「赤」を「緑」に再設定するように動作する。
【0015】
本実施形態による健診システムは、予め配色ルールテーブル33に設定した判定結果に応じた検査項目欄等の「背景色」や文字の「色」を登録しておき、これを参照して印字をおこなうため、例えば、健診結果によって被健診者に注意を促すB評価の際には「健診種別」欄の背景色を「薄黄」に印字し、B評価より悪いC評価の際には「健診種別」欄の背景色を「黄」に印字し、更に悪い評価Dの際には「健診種別」欄の背景色を「薄赤」に印字することによって、被健診者に自己のどの検査項目がどの程度なのかを色彩を用いて視覚的に段階的に区別して知らしめることができる。
【0016】
更に本実施形態は、判定による評価がD又はEの場合に、その具体的数値である文字色を注意を喚起するために「赤」に設定するが、被健診者の「色覚所見」が「赤色弱」の場合、文字色を「赤色弱」の被健診者にとっても識別が容易な「緑」文字により印字を行うことができる。
【0017】
これを具体的に説明すると、本実施形態による健診システムは、図1に示した結果報告書41において、血液一般43の検査種別は異常値がないため背景色は印字せず且つ文字色は黒とした通常の印字を行い、身体計測42の検査種別において、検査項目BNIが判定Cの場合、該身体計測42の欄の背景色を「黄」の背景色黄45に設定すると共に、そのBMI値を、「赤色弱」でないと判定したときは「赤」文字、「赤色弱」と判定したときには「緑」文字に設定して健診結果報告書を印字出力するものである。
【0018】
この様に本実施形態による健診システムは、被健診者の健診結果である判定に応じて「検査項目」欄等の背景色を判定結果に応じた「薄黄」「黄」「赤」とすると共に、「赤色弱」の被健診者に対しては「検査項目」の具体的文字色を「緑」に変更して印字することができる。従って、被健診者にとって、判定結果が色別に印字されているため視覚的に自己の健康状態を容易に認識することができると共に、「赤色弱」の被健診者に対しては文字を「緑」とすることにより容易に認識可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による健診システムの全体構成を示す図。
【図2】健診結果報告書の一例を示す図。
【図3】本実施形態による印字情報を説明するための図。
【図4】本実施形態による配色ルールを説明するための図。
【図5】本実施形態による健診システムの動作フロー図。
【符号の説明】
【0020】
10:健診システム、20:健診結果データベース、22:印字情報、30:結果報告書出力システム、31:結果報告書出力機能、32:配色機能、33:配色ルールテーブル、40:プリンタ、41:健診結果報告書、42:身体計測印字欄、43:血液一般印字欄、50:制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被健診者毎の健診結果による複数の検査種別と該検査種別の具体的な検査項目と該検査項目別の検査データ及び判定結果とを含む健診結果データを格納する健診結果データベースと、健診結果報告書に印字する文字の背景色並びに文字色を予め定義した配色ルールを格納する配色ルールテーブルと、前記健診結果データベースに格納した健診結果データ及び配色ルールテーブルに設定した配色ルールを基に文字の背景色並びに文字色を指定して健診結果報告書を印字出力する結果報告書出力システムとを有する健診システムであって、
前記結果報告書出力システムが、
前記健診結果データベースから健診結果データに含まれる検査種別と検査項目と検査データと判定結果とを有する印字情報を取得する取得工程と、
前記配色ルールテーブルに格納した配色ルールを参照し、前記取得した印字情報中の検査データ及び判定結果が、前記配色ルールに定義されているか否かを判定する判定工程と、
該判定工程により検査データ及び判定結果が前記配色ルールに定義されていると判定したとき、前記配色ルールに従って検査種別及び検査項目の背景色を前記定義された背景色に設定すると共に、前記検査データ及び判定結果の印字色を前記定義された印字色に設定し、健診結果報告書を印字する印字工程を実行することを特徴とする健診システム。
【請求項2】
前記結果報告書出力システムが、前記判定結果として赤色弱を含み、前記判定工程において判定結果が赤色弱と判定したとき、前記印字工程が、前記検査データ及び判定結果の印字色を緑色に設定して健診結果報告書を印字することを特徴とする請求項1記載の健診システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−84234(P2008−84234A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266182(P2006−266182)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【Fターム(参考)】