説明

側溝の排水装置

【課題】 歩行性を向上し異物等による排水流路の詰まり発生を抑制する排水部を有し、生産性や保守性の向上を図る。
【解決手段】 側溝ブロック7や側溝蓋10に一体化された保持ブロック部材20に形成した透水ブロック組込み凹部22に、鉄筋26を芯材にして礫体27を合成樹脂接着剤28によって結合して所定の形状に成形してなる透水ブロック部材21を着脱自在に組み合わせ、この透水ブロック部材21を介して路上に降った雨水等を礫体27間の隙間を介して排水流路8内に排水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に排水流路を構成する側溝ブロックに組み合わされ、透水部を介して路上等から上記排水流路内への排水を行う側溝の排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、道路等には、路上に降った雨水等を排水するために、路肩に沿って側溝装置が敷設される。側溝装置は、一般にU字溝ブロック体と、その開口部を覆って組み合わされる蓋体とから構成され、蓋体に路面から内部の排水流路へ排水を行う適宜の排水部が設けられる。また、側溝装置としては、U字溝ブロック体と蓋体とが一体に形成され、内部に暗渠の排水流路を構成した側溝装置も提供されている。暗渠型側溝装置は、所定の間隔を以って天井部位に排水流路を清掃するための開口部が形成されており、この開口部に排水流路を閉塞する蓋体が組み合わされる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の側溝装置は、例えばステンレス等の耐腐食性の大きい金属材を格子状に組んだグレーチングを蓋体や天井部に設けた開口部に組み付けて排水部を構成している。側溝装置は、かかるグレーチングがハイヒールの踵を嵌め込ませたり滑り易くすることにより歩行性を低下させ、また比較的大きな異物を落下させて排水流路を詰まらせ、また車両等の通行時に騒音が発生するといった問題があった。
【0004】
側溝装置においては、蓋体に形成した排水孔内に比較的粒径の大きな骨材をエポキシ系樹脂やウレタン系樹脂等の合成樹脂接着剤によって固めたいわゆるレジン充填材を一体に充填して排水部を構成することにより、上述したグレーチングの問題を解決した側溝装置も提供されている(例えば、特許文献2及び特許文献3を参照)。かかる側溝装置は、排水部のレジン充填材が骨材間に多数の隙間が存在することで多孔性を有しており、U字溝ブロック体内の排水流路へと排水が行われるようにする。側溝装置は、排水孔の表面を覆うことによって歩行性が向上されるとともに、土、泥或いは枯葉等の異物によって排水流路に詰まりが生じることを防止し、さらに排水流路が詰まって生じた水たまりから蚊が発生することを防止する。
【0005】
【特許文献1】特開平7−102623号公報
【特許文献2】特開平5−17992号公報
【特許文献3】特開平6−193124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のレジン充填材を有する蓋体においては、比較的長期間の使用によってレジン充填材の内部に構成された隙間に微細な砂礫等が詰まったり枯葉が覆うことにより排水性が低下し、上述した所定の機能が奏し得なくなるといった問題があった。また、蓋体においては、合成樹脂接着剤の結合力が経時劣化することによって骨材に欠けや脱落等が発生しやすいといった問題があった。蓋体においては、このためにレジン充填材を一体化した蓋体全体を交換することによりその対応を図るようにしているが、比較的高価であるために費用負担も大きくなるとともに重量も大きいために作業効率も悪いといった問題があった。上述した問題は、蓋体を一体化した暗渠型の側溝ブロックにおいて一層顕著であり、レジン充填材の目詰まりの対応として側溝ブロック全体を掘り起こして交換する大規模な工事を実施しなければならない。
【0007】
また、蓋体においては、枠体にレジン充填材を一体化する成形工程を施した後に、枠体を位置決めして組み合わせた成形型枠にコンクリートを打設して全体の成形が行われる。蓋体は、コンクリートを打設した後にコンクリート回りの向上や硬化促進を図るために加圧処理を施し、またレジンコンクリートを用いる場合に加熱処理が施されるが、これらの処理によって樹脂材の軟化や接合力の低下によって骨材がばらけて脱落し生産効率や歩留まりが悪いといった問題があった。また、蓋体は、成形時にレジン充填材に露出する骨材が圧接することによって型枠内面に傷付を生じさせ、次サイクルの成形品の表面の仕上がり精度を悪くさせるといった問題があった。
【0008】
ところで、最近では、それぞれの市町村において特徴ある独自の町作り運動が進められており、例えば道路に沿った街路樹や花壇等の設置或いは道路や歩道のカラー化等が推進されている。側溝装置は、道路等の路肩に沿って全域に亘って敷設される施設であり、道路の景観を構成する重要な施設として位置付けすることも可能でもある。しかしながら、側溝装置は、従来上述した排水機能を達成することを目的として種々の改良が図られているものの、道路の景観機能については全く着目されていなかった。
【0009】
したがって、本発明は、歩行性を向上し異物等による排水流路の詰まり発生を抑制する排水部を排水孔にレジン充填材を充填してなる従来の排水装置の問題点を解決し、生産性や保守性の向上を図った側溝の排水装置を提供することを目的に提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成する本発明にかかる側溝の排水装置は、内部に排水流路を構成する側溝ブロックやこの側溝ブロックの開口部に組み合わされる側溝蓋に設けられて、路上から雨水等を排水流路内へと排水する。側溝の排水装置は、側溝ブロックや側溝蓋に形成した排水開口部に一体化され底部に排水流路に連通する排水孔を設けた透水ブロック組込み凹部が形成された保持ブロック部材と、少なくとも透水ブロック組込み凹部の長手方向の全長に亘る長さを有する鉄筋を芯材として外径がやや大きな例えば小石やガラス玉等の礫体を合成樹脂接着剤によって固めて透水ブロック組込み凹部と略同形に成形した多孔性の透水ブロック部材とから構成される。
【0011】
側溝の排水装置は、保持ブロック部材が、硬質微粒物からなる骨材と、結合剤としてセメントと合成樹脂接着剤とを混合したレジンコンクリートによって成形され、開口縁を側溝ブロックの主面と略同一面を構成するようにして側溝ブロックや側溝蓋の上記排水開口部に一体化される。
【0012】
側溝の排水装置は、側溝ブロックの開口部を閉塞して組み合わされることによって側溝蓋を構成し底部に排水流路に連通する排水孔を設けた透水ブロック組込み凹部が形成された保持ブロック部材と、少なくとも透水ブロック組込み凹部の長手方向の全長に亘る長さを有する鉄筋を芯材として礫体を合成樹脂接着剤によって固めて透水ブロック組込み凹部の内部空間形状と略同形に成形した多孔性の透水ブロック部材とから構成される。
【0013】
側溝の排水装置においては、透水ブロック部材が、保持ブロック部材の透水ブロック組込み凹部に対して着脱自在とされる。側溝の排水装置においては、透水ブロック部材が、道路等の路肩に沿って敷設された側溝ブロックや側溝蓋に一体化された保持ブロック部材に形成した透水ブロック組込み凹部内に装填される。側溝の排水装置においては、透水ブロック部材が合成樹脂接着剤によって固められた各礫体間に多数の隙間が形成されることによって多孔性とされ、側溝表面に開口部を構成すること無く路上に降った雨水等をこれら間隙から透水して側溝ブロック内の排水流路内に排水する。
【0014】
側溝の排水装置においては、透水ブロック部材が、鉄筋を芯材とすることによって充分な強度を有しており、礫体の脱落等による損傷の発生が抑制される。側溝の排水装置においては、透水ブロック部材に目詰まりが生じて排水特性が著しく低下した場合でも、この透水ブロック部材のみを枠体から取り外して交換等の対応を行うことが可能であり簡易な対応によって透水特性の回復が図られる。側溝の排水装置においては、透水ブロック部材が別部材とされることによって側溝ブロックを成形する成型枠体の損傷が抑制され、表面精度が良好な側溝ブロックを繰り返し成形して効率化が図られるようにする。側溝の排水装置においては、適宜に着色等を施した透水ブロック部材を用いることによって特徴的な道路景観を創成することを可能とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成された本発明にかかる側溝の排水装置によれば、側溝ブロックや側溝蓋に一体化された保持ブロック部材に対して鉄筋を芯材にして礫体を合成樹脂接着剤によって結合して所定の形状に成形してなる別部材の透水ブロック部材を着脱自在に組み合わせ、路上に降った雨水等を礫体間の隙間を介して排水流路内に排水する排水部を構成したことから、側溝表面に開口部が無く歩行者等に対する歩行性を向上させるとともに異物等の流入を防止して排水流路の詰まり発生を抑制する。側溝の排水装置によれば、長期間の使用によって透水ブロック部材に目詰まりや破損等が生じることがあっても、この透水ブロック部材のみを保持ブロック部材から取り外して清掃或いは交換等を行うことが可能であり、簡易な作業と廉価な対応によって排水特性等の所定の機能が回復されることで保守性の向上が図られるようになる。側溝の排水装置によれば、側溝ブロックや側溝蓋と別工程で形成されるために、これらを成形する成形枠体のキャビティ面に礫体が擦れて損傷を生じさせることは無く生産性を向上させてコスト低減が図られるようにする。また、側溝の排水装置によれば、側溝ブロックや側溝蓋の成形時に透水ブロック部材の合成樹脂接着剤が溶け出して礫体がばらけるといったことも無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態として図面に示した排水装置1について詳細に説明する。排水装置1は、図1及び図2に示すように、例えば車道2と歩道3とを区分する路肩部位に設置された縁石ブロック4に沿って敷設された側溝5に設けられる。側溝5は、縁石ブロック4に沿って掘削された敷設溝6内に所定の勾配を付して長さ方向に並べて設置され内部に排水流路8が形成された側溝ブロック7と、側溝ブロック7の天井部7aに形成された開口部9を閉塞して組み合わされる側溝蓋10とによって構成される。
【0017】
なお、排水装置1は、詳細を後述するように、具体的には側溝ブロック7の天井部7aや側溝蓋10に適宜の間隔を以って設けられる。側溝5は、側溝ブロック7が断面略U字状のと側溝蓋10とが一体化されて内部に暗渠の排水流路を構成するものであってもよく、この場合に側溝蓋10に排水装置1が設けられる。
【0018】
側溝5は、施工の具体例として、例えば図2に示すように車道2に沿って所定の深さに掘削した敷設溝6の底部に基礎砕石を投入して転圧することにより基礎層11を形成し、この基礎層11上にコンクリートを打設して基礎コンクリート層12を形成し、この基礎コンクリート層12上に調整モルタル層13を介して側溝ブロック7が設置される。側溝ブロック7は、調整モルタル層13によって勾配等を調整され、長さ方向に並べられて敷設溝6内に設置される。なお、側溝5は、かかる施工例に限定されず、従来実施されている適宜の施工方法によって設置されることは勿論である。
【0019】
側溝ブロック7は、プレキャストコンクリート製品として工場において製造され、トラック等によって現場に搬入されて上述した敷設溝6内に設置される。側溝ブロック7は、図1及び図2に示すように、底面部7bと、この底面部7bから相対して一体に立ち上がり形成された側面部7c、7dと、これら側面部7c、7dから連設される天井部7aとからなる横長矩形の四角筒状を呈して成形され、上述したように内部に暗渠の排水流路8が長さ方向の全長に亘って形成されている。
【0020】
側溝ブロック7には、天井部7aに上述した開口部9とともに、この開口部9を挟んで第1排水開口部14aと、第2排水開口部14bとが形成されている。なお、側溝5には、側溝蓋10にも、第1排水開口部14aと第2排水開口部14bとに対して側溝ブロック7に組み合わされた状態で略同一軸線上に位置する第3排水開口部14cと第4排水開口部14dとが形成されている。これら第1排水開口部14a乃至第4排水開口部14dは、それぞれ詳細を後述するように同一の構成を以って側溝ブロック7或いは側溝蓋10に形成されて第1排水装置1a乃至第4排水装置1dが設けられる。第1排水開口部14a乃至第4排水開口部14dについては、特に個別に説明する場合を除いて排水開口部14と総称する。
【0021】
側溝ブロック7には、天井部7aの表面に滑止め層15が形成されている。滑止め層15は、天井部7aの表面に例えば高さが約1mm乃至2mm程度の微小な円錐形凸部を相互の間隔を約1cm乃至2cmを以って形成してなる。滑止め層15は、かかる形状によって、側溝ブロック7の表面が湿った状態であっても滑り抵抗値が40BPN以上とされて滑り難く、排水性が良く、歩行者に違和感を与えず、車椅子等もスムーズに走行を可能とさせ、車のヘッドライトの照射に対する乱反射も低減させる。
【0022】
開口部9は、天井部7aの長さ領域の中央部に位置して排水流路8に大きく開口する横長矩形の開口部からなる。開口部9には、図2に示すように相対する側面壁の内面に、側溝蓋10の厚みとほぼ同一の高さ位置に受け段部16a、16bが形成され、これら受け段部16a、16bによって側溝蓋10の側縁底部を支える。
【0023】
なお、側溝ブロック7は、例えば天井部7aが長さ約2000mm、幅約420mmの大きさの外形寸法を以って形成される場合に、開口部9が長さ約1000mm、幅が約300mmに形成される。側溝ブロック7は、天井部7aに、開口部9の両側に位置してそれぞれ長さが約500mmの第1暗渠領域部17aと第2暗渠領域部17bとを構成し、これら第1暗渠領域部17aと第2暗渠領域部17bとに上述した第1排水開口部14aと第2排水開口部14bとを形成する。
【0024】
側溝ブロック7には、長手方向の両端面にそれぞれ嵌合凹部18が形成されている。嵌合凹部18は、図1に示すように側溝ブロック7の両端面に開口された排水流路8を取り巻く略四角形の凹部からなり、図示を省略するが一方端面側にはゴム等の弾性材により四角枠状に成形された図示しないパッキン材がはめ込まれる。嵌合凹部18は、パッキン材の厚みよりも小さい深さとされ、はめ込まれたパッキン材を全域に亘って端面から突き出させる。側溝5は、側溝ブロック5a側に設けたパッキン材が隣り合う側溝ブロック5b側の嵌合凹部18内に嵌合させて組み合わすことにより、側溝ブロック5の結合部位での水漏れが防止される。
【0025】
側溝ブロック7には、敷設溝6に設置された状態で開口部9を閉塞するようにして側溝蓋10が組み合わされる。側溝蓋10は、例えば排水流路8内の清掃等を行う場合に、開口部9から取り外され、排水流路8を外方に臨ませる。側溝蓋10は、開口部9の開口寸法とほぼ同等の外形寸法を有して形成されており、開口部9に落とし込まれることによって側縁底部を受け段部16上に支えられる。側溝蓋10にも、上述したように長さ方向に並んで第3排水開口部14cと第4排水開口部14dとが形成されている。側溝蓋10には、開口部9に組み合わされた状態において、その表面が側溝ブロック7の表面と略同一面を構成する。側溝蓋10には、表面に、側溝ブロック7側の上述した滑止め層15と同等の滑止め層10aが形成されている。
【0026】
各排水開口部14は、それぞれ長さが約370mm、幅が約53mmの開口寸法を有して排水流路8に開口する横長矩形の開口部として側溝ブロック7の天井部7a或いは側溝蓋10に形成される。各排水開口部14には、図2に示すように相対する側面壁の内面に後述する排水装置1を構成する保持ブロック部材20の厚みとほぼ同一高さ位置に受け段部19a、19b(以下、受け段部19と総称する。)が形成される。各排水開口部14は、これら受け段部19によって保持ブロック部材20を、その底部の両側縁を支えかつ上端面を側溝ブロック7或いは側溝蓋10の表面と略同一面を構成するようにして一体化する。各排水開口部14は、保持ブロック部材20によって開口縁が縁ち取られる。
【0027】
排水装置1は、図3及び図4に示すように側溝ブロック7や側溝蓋10の各排水開口部14内に一体化される保持ブロック部材20と、この保持ブロック部材20に着脱自在に組み合わされる透水ブロック部材21とによって構成される。保持ブロック部材20は、骨材とセメントと合成樹脂接着剤とを混合したいわゆるレジンコンクリートによって成形される。
【0028】
保持ブロック部材20は、骨材として例えば天然石やその砕土、セラミック粒体、ガラス粒体等の硬質微粒物が用いられるとともにセメントと合成樹脂接着剤とを結合材として成形される。保持ブロック部材20には、合成樹脂接着剤としてレジンコンクリートに従来一般に用いられている、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が用いられる。なお、保持ブロック部材20は、側溝ブロック7や側溝蓋10と異なる色調の硬質微粒物を混合することにより、排水開口部14の縁ち取りがより強調されるようにしてもよい。
【0029】
保持ブロック部材20は、所定形状のキャビティを有する成形枠体が用いられ、この成形枠体内に上述した骨材とセメント及び合成樹脂接着剤をよく撹拌した材料を投入した後に、合成樹脂接着剤を溶融硬化させる温度以上に加熱することによって成形する。保持ブロック部材20は、成形枠体から取り出した後に、側溝ブロック7や側溝蓋10を成形する成形枠体内に位置決めして設置される。保持ブロック部材20は、成形枠体内にコンクリート材料を打設し、所定の養生期間を経て成形枠体から取り出される側溝ブロック7や側溝蓋10の受け段部19に支持されて各排水開口部14に上述した構成を以って一体化される。
【0030】
保持ブロック部材20は、排水開口部14の開口寸法と同等の外形寸法と受け段部19の高さと等しい厚みを有して、図4に示すように全体横長矩形のブロック状を呈して形成される。保持ブロック部材20には、上面に横長矩形の形状を以って開口する透水ブロック組込み凹部22が形成されるとともに、この透水ブロック組込み凹部22の底部22aを貫通して第1排水孔23a乃至第3排水孔23c(以下、個別に説明する場合を除いて排水孔23と総称する。)が形成されている。保持ブロック部材20には、上面に長さ方向の両端から透水ブロック組込み凹部22にそれぞれ連通して透水ブロック部材取外しガイド溝24a、24b(以下、個別に説明する場合を除いて透水ブロック部材取外しガイド溝24と総称する。)が形成されている。
【0031】
透水ブロック部材21は、図3乃至図6に示すように、基体部位が透水ブロック組込み凹部22とほぼ同等の外形寸法を有する横長矩形のブロック状を呈している。透水ブロック部材21には、基体部位の底面部に長さ方向に並んで第1透水部25a乃至第3透水部25c(以下、個別に説明する場合を除いて透水部25と総称する。)がそれぞれ一体に突出して形成されている。透水ブロック部材21は、後述するように透水ブロック組込み凹部22内に装填された状態において、各透水部25が相対する排水孔23内にそれぞれ嵌合する。
【0032】
透水ブロック部材21は、鉄筋26を芯材とし、この鉄筋26に礫体27を合成樹脂接着剤28(図3乃至図4において網線で示した部位)を結合材として用いて固めて上述した形状に形成される。透水ブロック部材21には、透水ブロック組込み凹部22の長さ方向の全長に亘る長さを有する鉄筋26が用いられる。透水ブロック部材21には、礫体27としてやや大きな外径を有する小石等の自然石、セラミック玉、ガラス玉等が用いられる。透水ブロック部材21には、合成樹脂接着剤28として、例えば三井武田ケミカル製舗装材用ポリウレタン樹脂「タケネートF703N」が好適に用いられる。同ポリウレタン樹脂は、淡黄色透明液体で、粘度が2400mPa・s/25℃、比重が1.06の特性を有する。透水ブロック部材21は、かかる合成樹脂接着剤28を用いることによって着色された礫体27の色調を損なうことなく保持することが可能である。
【0033】
透水ブロック部材21の成形工程は、上述した外形形状に対応する空間形状のキャビティを有する成形枠体が用いられ、この成形枠体内に上述した鉄筋26を位置決めして設置する工程と、成形枠体内に合成樹脂接着剤28をからませた礫体27を投入する工程と、礫体27を転圧した後に合成樹脂接着剤28を加熱して硬化させる温度以上に加熱する工程等を経て成形される。
【0034】
透水ブロック部材21は、各礫体27がそれぞれの間に適宜の間隙を構成して合成樹脂接着剤28によって相互に結合されることにより、各隙間を介して内部を排水が流れる多孔性とされて成形される。透水ブロック部材21は、図5及び図6に示すように基体部位の底面に全長に亘って鉄筋26が配置されており、この鉄筋26を覆うようにして各統帥部24が一体に形成されることによって充分な機械的強度を有するとともに鉄筋26の脱落も防止される。
【0035】
以上のように構成された透水ブロック部材21は、図2及び図3に示すように側溝ブロック7や側溝蓋10に一体化された各保持ブロック部材20の透水ブロック組込み凹部22内に装填される。透水ブロック部材21は、各透水部24が相対する透水ブロック組込み凹部22の排水開口部14内に嵌合する。なお、透水ブロック部材21は、排水開口部14内に嵌合した透水部24によって、透水ブロック組込み凹部22内において移動を阻止されるが、例えば透水ブロック組込み凹部22の底部22aに接着剤を塗布することによって、さらに強固に組み込まれるようにしてもよい。
【0036】
透水ブロック部材21は、上述したように側溝ブロック7や側溝蓋10と別部材によって形成され、後工程で透水ブロック組込み凹部22内に装填される。したがって、透水ブロック部材21は、保持ブロック部材21を一体化する側溝ブロック7や側溝蓋10の成形時に施される加熱処理によって合成樹脂接着剤28が溶け出して礫体27がばらけてしまうことは無い。
【0037】
以上のように構成された排水装置1を備える側溝5においては、それぞれ側溝蓋10を組み合わせた多数個の側溝ブロック7が道路の路肩等に沿って掘削された敷設溝6内に順次並べて設置されることにより、暗渠の排水流路8を構成して、歩行者の落下や車両の脱輪等の発生を確実に防止する。側溝5においては、側溝ブロック7と側溝蓋10との表面にそれぞれ段差の無い滑止め層15が形成されることによって、歩行者が靴を引っ掛けること無くバリアフリー態様を構成して安全に歩行することを可能とする。側溝5においては、各側溝ブロック7の暗渠領域部17と側溝蓋10とに複数の排水装置1を同一直線上に位置して設けたことにより、あたかも路肩部分を縁取る印象を感じさせることで、直線性の印象を強調して道路の景観を向上させるとともに独自な雰囲気作りを行うことを可能とする。
【0038】
側溝5においては、路面に開口部位を有しない構造であることから、開口部に歩行者がつまずいたり踵を嵌め込ませるといった事態の発生を防止して安全性の向上が図られるようにする。側溝5においては、開口部を介して側溝ブロック7の排水流路8内への土砂や大きな異物の流入を防止することで、排水流路8の詰まりの発生を抑制する。
【0039】
側溝5においては、排水装置1を構成する透水ブロック部材21が合成樹脂接着剤28に結合された各礫体27間に多数の隙間が形成されて多孔性とされることで、路上に降った雨水等をこれら間隙から透水する。側溝5においては、透水ブロック部材21内を透水された雨水等が基体部位から透水部25に導かれて保持ブロック部材20に形成した排水孔23から側溝ブロック4の排水流路8内へと効率的に排水する。
【0040】
側溝5においては、排水装置1が、長年の使用によって透水ブロック部材21内の各礫体27間に構成された隙間に土砂が詰まって目詰まりが生じ、排水特性が低下することがある。また、側溝5においては、排水装置1が、長年の使用によって合成樹脂接着剤28の接着力が低下したり大きな衝撃が加えられることによって、各礫体27間に割れ等を生じさせることがある。側溝5においては、例えば透水ブロック取外しガイド溝24から適宜の治具をねじ込んで透水ブロック組込み凹部22内から透水ブロック部材21を持ち上げて、この透水ブロック部材21を保持ブロック部材20から簡単に取り外すことが可能である。側溝5においては、敷設溝6から側溝ブロック7を掘り起こして全体を交換するといった大規模な工事を不要として低廉な透水ブロック部材21のみを交換すればよく、保守対応の大幅な合理化が図られる。
【0041】
上述した実施の形態においては、側溝ブロック7や側溝蓋10の上面に複数の排水装置1を設置するようにしたが、かかる適用例に限定されるものでは無い。排水装置1は、例えば側溝ブロック7の車道2側の側面或いは歩道3側の側面に車道面や歩道面と略同一の高さ位置に排水開口部を形成し、この排水開口部に組み付けるようにしてもよい。
【0042】
第2の実施の形態として図7に示した排水装置30は、それ自体が例えばU字溝ブロック31の開口部31aを閉塞して組み合わされる側溝蓋を構成する。排水装置30は、保持ブロック部材32と、この保持ブロック部材32に形成した透水ブロック組込み凹部33に対して着脱自在に組み合わされる透水ブロック部材34からなる基本的な構成を上述した排水装置1と同様とする。したがって、以下の説明では、特徴的な部位にのみ新規な符号を付し、その他の部位には排水装置1と同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
保持ブロック部材32は、上述した保持ブロック部材20と同様にレジンコンクリートによってU字溝ブロック31の開口部31aを閉塞するに足る外形寸法を以って一体に成形され、開口部31aから段落ちして形成された受け段部35上に底面の側縁部を支持されて組み合わされる。保持ブロック部材32には、上面に横長矩形の形状を以って開口する透水ブロック組込み凹部33が形成されるとともに、この透水ブロック組込み凹部33の底部を貫通してやや大きな開口寸法を有する排水孔35が形成されている。
【0044】
保持ブロック部材32には、透水ブロック組込み凹部33内に透水ブロック部材34が装填される。透水ブロック部材34は、基体部位が透水ブロック組込み凹部33とほぼ同等の外形寸法を有する横長矩形のブロック状を呈している。透水ブロック部材34には、基体部位の底面部に透水部36が一体に突出して形成されている。透水ブロック部材32は、保持ブロック部材32に対して透水部36を排水孔35に嵌合して透水ブロック組込み凹部33内に装填される。なお、保持ブロック部材32には、上面に上述した側溝ブロック7や側溝蓋10に形成した滑止め層15を形成するようにしてもよい。
【0045】
透水ブロック部材34は、側溝蓋を構成する大型寸法の保持ブロック部材32に形成された透水ブロック組込み凹部33に装填されることから、上述した透水ブロック部材21と比べて大きな面積を有して形成される。したがって、透水ブロック部材34は、複数本の縦筋37と、これら縦筋37を所定の間隔を以って互いに連結する複数本の横筋38とを芯材とし、これら縦筋37と横筋38に礫体27を合成樹脂接着剤28を結合材として用いて固めて成形される。透水ブロック部材34は、かかる構成によって、比較的大きな面積を有していても、充分な機械的強度が保持されるようになり、割れ等が生じることは無い。
【0046】
なお、透水ブロック部材34は、必要に応じて縦筋37と横筋38とを多層に配列して成形するようにしてもよい。また、透水ブロック部材34は、上述した第1実施例の側溝蓋10に代えて用いられる場合には、複数本の縦筋37のみによって芯材を構成するようにしてもよい。透水ブロック体34は、このように複数本の縦筋37や横筋38を有する場合に、これら各縦筋37や横筋38が基体部位の表面に露出しないようにして配置し、透水ブロック組込み凹部33内に安定した状態で組み合わされるようにするとともに合成樹脂接着剤28によって被覆されて防錆性が保持されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態として示した排水装置を備える側溝の要部斜視図である。
【図2】同側溝の要部縦断面図である。
【図3】同要部拡大縦断面図である。
【図4】排水装置の分解斜視図である。
【図5】排水装置に備えられる透水ブロック部材の要部底面図である。
【図6】同透水ブロック部材の要部側面図である。
【図7】第2の実施の形態として示した排水装置を備える側溝の一部切欠き平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 排水装置、5 側溝、7 側溝ブロック、8 排水流路、9 開口部、10 側溝蓋、14 排水開口部、20 保持ブロック部材、21 透水ブロック部材、22 透水ブロック組込み凹部、23 排水孔、25 透水部、26 鉄筋、27 礫体、28 合成樹脂接着剤、30 排水装置、31 U字溝ブロック、32 保持ブロック部材、33 透水ブロック組込み凹部、34 透水ブロック部材、35 排水孔、36 透水部、37 縦筋、38 横筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に排水流路を構成する側溝ブロックやこの側溝ブロックの開口部に組み合わされる側溝蓋に設けられ、路上からの上記排水流路内への排水を行う排水装置において、
上記側溝ブロックや上記側溝蓋に形成した排水開口部に一体化され、底部に上記排水流路に連通する排水孔を設けた透水ブロック組込み凹部が形成された保持ブロック部材と、
少なくとも上記透水ブロック組込み凹部の長手方向の全長に亘る長さを有する鉄筋を芯材として礫体を合成樹脂接着剤によって固めて上記透水ブロック組込み凹部の内部空間形状と略同形に成形した多孔性の透水ブロック部材とから構成され、
上記透水ブロック部材が、上記保持ブロック部材の上記透水ブロック組込み凹部に対して着脱自在とされ、装填状態において上記礫体間の隙間を通して排水を行う透水部を構成することを特徴とする側溝の排水装置。
【請求項2】
上記保持ブロック部材が、硬質微粒物からなる骨材と、結合材としてセメントと合成樹脂接着剤とを混合したレジンコンクリートによって成形され、開口縁を上記側溝ブロックの主面と略同一面を構成するようにして上記側溝ブロックや上記側溝蓋の上記排水開口部に一体化されることを特徴とする請求項1に記載の側溝の排水装置。
【請求項3】
内部に排水流路を構成する側溝ブロックの開口部に組み合わされて路上からの上記排水流路内への排水を行う排水装置において、
上記側溝ブロックの開口部を閉塞して組み合わされることによって側溝蓋を構成し、底部に上記排水流路に連通する排水孔を設けた透水ブロック組込み凹部が形成された保持ブロック部材と、
少なくとも上記透水ブロック組込み凹部の長手方向の全長に亘る長さを有する鉄筋を芯材として礫体を合成樹脂接着剤によって固めて上記透水ブロック組込み凹部の内部空間形状と略同形に成形した多孔性の透水ブロック部材とから構成され、
上記透水ブロック部材が、上記保持ブロック部材の上記透水ブロック組込み凹部に対して着脱自在とされ、装填状態において上記礫体間の隙間を通して排水を行う透水部を構成することを特徴とする側溝の排水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−132099(P2006−132099A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319413(P2004−319413)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(398010151)
【出願人】(593223112)
【出願人】(302038372)
【Fターム(参考)】