側臥位補助具
【課題】本発明は、睡眠時無呼吸症候群の患者に対して睡眠中の自然な寝返りを可能にしつつ、側臥位を維持させることによって症状を軽減させることができる、側臥位補助具を提供すること。
【解決手段】かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾を有している、側臥位補助具が提供される。
【解決手段】かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾を有している、側臥位補助具が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時無呼吸症候群の患者に対して睡眠中の自然な寝返りを可能にしつつ、側臥位を維持させることによって症状を軽減させることができる、側臥位補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時無呼吸症候群の症状は、激しいいびきと呼吸停止に起因する睡眠不足による眠気で、日中の眠気は勤務中の居眠りや時として交通事故等のヒューマンエラーの誘因となる。
【0003】
睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、仰向け(仰臥位)で眠っているときに喉の周りの筋肉群が気道をふさぐ為(舌沈下症等)である。睡眠時無呼吸症候群の治療の主たる治療法として、鼻、口をマスクで覆い、高圧の空気で呼吸を助けるCPAP法がある。しかし、マスクをすることに違和感があり、空気を無理に流す為、鼻炎や声帯を痛める等の可能性がある。また、歯科装具(マウスピース)を使用する方法として、舌を前方に吸着させる方法(TRD法)と下顎を前方に誘導させる方法(Esmarch法)がある。しかし、舌や下顎を大きく前方に突き出す必要があり、患者にかなりのストレスが生ずる。又マウスピースの長時間の使用は噛み合わせが悪くなる。
【0004】
一方、舌沈下症等の睡眠時無呼吸症候群の原因は、側臥位(横向き)又は腹臥位(うつ伏せ)で寝ることにより、軽減することができる。この方法はすべての人に適応できるわけではないが、睡眠時無呼吸症候群の約30%位の人に有効であるといわれている。
【0005】
しかし、側臥位又は腹臥位に寝るといっても、普通の布団、マットレス又はベッドではなかなか長い時間、側臥位、腹臥位になれない。そこで、側臥位補助具又は腹臥位補助具が必要であるが、あまりにも拘束感の強い補助具で身体が固定されていてはストレスが溜まり安眠できない。寝返りは、同一姿勢で長時間居ることにより血流が悪くなり、うっ血し、コリや圧迫痛等になるのを防ぐ効果がある。健康な人は、睡眠中、一晩に20回から40回くらい寝返りをしている。睡眠時無呼吸症候群であるからといって、寝返りが出来ない側臥位補助具や腹臥位補助具を用いていては、快適な睡眠状態は得られない。
【0006】
睡眠時無呼吸症候群を防止するように人体の寝姿勢、特に側臥位を維持するための補助具が、従来から提案されてきた。
【0007】
特開2002−360384号には、略くの字状に屈曲しているとともに、断面形状が屈曲方向内側に向かって低くなる略三角形状に形成された、クッション体が開示されている。利用者は、このクッション体の一端に頭部及び身体の一部を載せることにより側臥位を維持することができる。しかし、このクッション体では、利用者が自力で自然に寝返りを打つ可能性については考慮しておらず、寝返り後の姿勢についても考慮されていない。
【0008】
特開2002−58690号は、背中に背負って寝るリュックサック型の枕を開示している。この枕は、紐で利用者の体に固定されるため、利用者は就寝前から拘束され、初めから高いストレスを感じる。また、体が枕に固定された状態では、自然な寝返りを打つことは難しい。
【0009】
特開2003−52730号は抱き枕型のクッションからなる鼾防止具を開示している。この鼾防止具は、クッションに形成された一対の腕通し部に利用者の腕を通すことにより使用される。従って、利用者は就寝前から拘束されており、初めから高いストレスを感
じる。また、クッションが体に固定された状態では、自然な寝返りを打つことは難しい。
【0010】
特開2005−34418号は、介護用の褥瘡予防具として用いられる、三角柱形状の背当て寝具を開示する。しかし、その高さは寝返りを打てない程度に設定されているので、左右方向に自然な寝返りを打つことはできない。仮に寝返りを打つことができたとしても、一方の側面を他方より急傾斜にした左右非対称な形状のため、必ずしも寝返り後に側臥位を維持することはできない。
【0011】
【特許文献1】特開2002−360384号
【特許文献2】特開2002−58690号
【特許文献3】特開2003−52730号
【特許文献4】特開2005−34418号
【0012】
ところで、寝返りのように人が大きく回転動作をする時には、まず、腰部の移動が起こる。例えば、仰向けの姿勢から寝返りをするためには、まず腰部の回転移動が起こり、これが腹部から上の胸部に作用し、身体が床面から30度〜45度程度回転すると、胸部は、腰部の角度とは多少異なった回転角度を保持することができる。意識的又は無意識的に胸部の角度は腰部の角度と異なることができ、一方、胸部の角度に応じて腰部の角度も変わり、両者は相互に作用している。腰部と胸部が同一方向に回転した時、胸部の角度は大きな角度を維持できる。例えば、腰部を45度回転させることによって胸部(肩部)も45度回転し、次に胸部(肩部)をこの位置から更に45度回転させることによって胸部の角度を90度にでき、これにより、胸部から頭部にかけての部分を床面から90度の姿勢に維持することができる。
【0013】
上記したように、寝返りの要は腰部にあり、寝返りする際、胸部(肩)のみの回転はありえない。腰部が少し回転することによって、胸部(肩部)も大きく回転することができる。
【0014】
無呼吸症候群、いびきの予防の為には上気道(咽喉)の閉塞を少なくすることが必要であり、その為、上気道の向きを横向きにし、口蓋垂周囲の気道閉塞を軽減させる必要がある。即ち、無呼吸症候群やいびきの予防の為には、特に胸部から頭部を横向きにすることが必要かつ重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、睡眠中の自然な寝返りを可能としつつ、そのような寝返りに関わらず側臥位を維持することのできる、側臥位補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明によれば、かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具が提供される。クッション体は、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾を有している。この構成により、使用者は、側臥位補助具のほぼ垂直な側面に背骨を沿わせて就寝することにより、容易に側臥位を維持することができる。また、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾を有することによって、一般的な体型の人であれば、側臥位補助具を乗り越えるような大きな寝返りを一人ですることができる。寝返りは、側臥位補助具の湾曲した上面に沿ってスムーズにすることができ、さらに、寝返りによって側臥位補助具を乗り越えた後も、依然として側臥位を維持することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、
前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、前記第1部分は第1の高さ(H1)を有し、前記第2部分は第2の高さ(H2)を有し、前記第1の高さ(H1)と前記第2の高さ(H2)は、H1≦H2の関係を満たしている、側臥位補助具が提供される。この構成により、上気道の閉塞防止に特に重要な胸部の側臥位を維持して無呼吸症候群等を効果的に防止し、且つ、寝返りの要である腰部が容易に補助具を乗り越えられるようにして寝返りをし易くすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具が提供される。この構成により、使用者は、就寝当初から、腰から背を曲げた自然な寝姿勢で側臥位補助具に寄りかかることができるので、理想的な側臥位姿勢からずれることが少なく、且つ、ストレスも少ない。また、側臥位補助具がかまぼこ形の左右対称な断面形状を有しているため、寝返り後も理想的な側臥位姿勢がほぼ維持される。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項2に記載の側臥位補助具において、前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具が提供される。
【0020】
前記側臥位補助具の前記第1部分と前記第2部分は一体であってもよく、別体であってもよい。
【0021】
請求項7の発明によれば、敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と共に用いられる、クッション体を備えたサイド側臥位補助具が提供される。サイド側臥位補助具は、中央側臥位補助具の左右少なくともいずれか一方の側に載置され、且つ、サイド側臥位補助具の左右側面の少なくとも一方が、敷き寝具に対して垂直面を形成する。この構成により、使用者は、中央側臥位補助具に背骨を沿わせた状態で、サイド補助具の垂直面を腰部に当接させることにより、身体が中央側臥位補助具から離れて側臥位が維持できなくなることを防止することができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と、前記中央側臥位補助具に対して左右少なくともいずれか一方の側に載置される、少なくとも1つのサイド側臥位補助具とを備えた、側臥位補助具セットが提供される。前記中央側臥位補助具は、請求項1乃至6の発明の側臥位補助具であり、前記少なくとも1つのサイド側臥位補助具は、請求項7の発明のサイド側臥位補助具である。
【0023】
請求項9の発明によれば、クッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体の左右側面の各々は、該クッション体の下面に対して、それぞれ、30度以上40度以下の角度で傾斜しており、且つ、前記クッション体は3cm以上5cm以下の高さを有している、側臥位補助具が提供される。この構成により、一人で寝返りできない患者が介護者の手によって寝返りする際、クッション体の抵抗が少ないため介助が受けやすく、さらに、クッション体を乗り越えて寝返りしたときの落差が少ない。
【0024】
請求項10の発明によれば、側臥位姿勢にある体の前側と後ろ側に隣接して配置される、一対の側臥位補助具を備える側臥位補助具セットであって、前記側臥位補助具の各々は、クッション体を備えており、前記クッション体は、前記体に隣接する側の側面が、6c
m以上15cm以下の高さを有しており、且つ、前記クッション体の下面に対して50度以上90度以下の角度で傾斜している、側臥位補助具セットが提供される。この構成により、使用者は、一対の側臥位補助具の間で側臥位を維持し、且つ、頭部の位置を変えない寝返りをすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の側臥位補助具によれば、睡眠時無呼吸症候群の患者は、従来のリュックサック型、抱き枕型の補助具によって感じるような拘束感なく入寝することができ、側臥位を維持しつつ自然に寝返りをすることもできるので、無呼吸の症状が緩和されると共に快適に睡眠することができる。本発明の補助具を用いることによって、通常、約20%程度の側臥位率(側臥位時間/全睡眠時間;睡眠中の側臥位が維持される時間の総和の、全睡眠時間に対する割合)の人について、約80%の側臥位率が可能になった。本発明の側臥位補助具を使用するだけで、CPAP療法や他の治療法のような、ストレスのある療法をしなくとも無呼吸症候群が緩和される。また、本発明の側臥位補助具は、無呼吸症候群の患者だけでなく、単にいびきのひどい人の治療にも有効である。
【発明の詳細な説明】
【0026】
以下、添付の図面に参照して、本発明の実施形態を説明する。尚、添付の図面はいずれも概略図であり、各部分の寸法の比率は、必ずしも実寸どおりではない。
【0027】
[側臥位補助具の全体概要]
図1は、本発明の一実施形態による側臥位補助具の全体を示す斜視図である。図2は、図1の側臥位補助具の長手方向両端の端面図である。本実施形態による側臥位補助具1は、図1及び2に示すようなかまぼこ形のクッション体2を備えており、このクッション体2は、4cm以上8cm以下の高さHを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾Wを有している。この側臥位補助具1は、例えば、敷き布団やベッドのマットレスなどの敷き寝具上に載置され、使用者は、この側臥位補助具1の長手方向に延びる左右の側面3a、3bのいずれかに、背骨を沿わせて使用する。尚、本明細書において、側臥位補助具に関する「左右」、「上」、「下」等の用語は、特に断りのない限り、敷き寝具上に配置された側臥位補助具を、その長手方向両端のいずれか一方から見た場合について用いられるものである。
【0028】
[側臥位補助具のかまぼこ形形状について]
図1に示すように、本実施形態の側臥位補助具1は、全体として、かまぼこ形の形状を有しており、上記した一定の高さH及び巾Wを維持したまま、全長Lにわたって、ほぼ一様に延びている。本明細書において、「かまぼこ形」とは、巾方向断面がかまぼこ形である形状、具体的には図2に示されるような、略平坦な下面4と、下面4の左右両端から実質的にほぼ垂直方向に延びる略同一の高さを有する側面3a、3bと、該側面3a、3bの上端の間を延びる実質的に湾曲した上面5により形成される、左右対称な形状を意味する。
【0029】
[側臥位補助具の高さについて]
側臥位補助具1を形成するクッション体2は、本実施形態では、4cm以上8cm以下の高さHを有している。これにより、使用者は、睡眠中、意識的又は無意識的に、側臥位補助具1を左右に乗り越えて寝返りすることができる。このような寝返り可能な高さHは、通常、使用者の胸巾の約20〜25%に設定することが望ましい。高さを4cm以上8cm以下に設定することにより、側臥位補助具を、一般的な体型を有する男子、女子共に広く適用することができる。
【0030】
[側臥位補助具の巾について]
本実施形態のクッション体2は、8cm以上15cm以下の巾Wを有している。巾が小さすぎると、寝具上に置いたときに安定しない。また、クッション体2を乗り越えて寝返りしようとしてもクッション体2の上面5が潰れてしまい、スムーズに寝返りができない。一方、巾が大きすぎると、身体がクッション体2の上面5に乗り上げたまま止まってしまい、クッション体2を乗り越えることができない。クッション体2の巾Wは、通常、使用者の胸巾の約三分の一程度に設定することが望ましい。8cm以上15cm以下に設定すれば、一般的な体型を有する男子、女子共に広く適用することができる。
【0031】
[その他]
使用者は、側臥位補助具1の左右側面3a、3bのいずれかに、背骨を沿わせて使用するため、側臥位補助具1にはある程度の長さが必要とされる。この長さLは、特に制限されないが、使用者が側面3aまたは側面3bに沿って横たわった状態で胸椎付近から腰骨又は尾骨付近にかけて支持できる程度の長さが、安定して側臥位を維持できるので好ましい。本実施形態では、例えば、50cm〜70cmである。
【0032】
側臥位補助具1の材質は寄りかかってもあまり変形しない、ウレタン系、ゴム系等の発泡材や柔らかい樹脂系材料でよい。硬度は、ウレタンJIS規格で約200〜600Nが好ましい。硬度が高すぎると、寝返りしにくく、また、長時間寄り掛かったときに背中に凝りや痛みが生じる可能性がある。硬度が低すぎると、寄りかかったときの使用者の体重による変形の度合いが大きく、側臥位を維持する十分な効果が得られないうえに、側臥位補助具を乗り越える大きな寝返りがしにくくなる。硬度の測定は、JIS K6400に規定される方法で測定することができる。具体的には、50×380×380(mm)の試験片について、5N荷重時の厚みを元厚とし、元厚の75%圧縮後、元に戻して再度元厚の25%まで圧縮し20秒後の荷重を測定する。
【0033】
上記の構成の側臥位補助具1においては、使用者は、敷き寝具に対してほぼ垂直な側面3a、3bの一方(例えば側面3a)に背骨を沿わせて就寝することにより、ほぼ完全な側臥位(敷き寝具に対する腰部の角度が約90度である寝姿勢)を容易に維持することができる。さらに、4cm以上8cm以下の高さHを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾Wを有することによって、一般的な体型の人であれば、側臥位補助具1を乗り越える大きな寝返りを一人ですることができる。寝返りは、側臥位補助具1の湾曲した上面5に沿ってスムーズにすることができ、さらに、寝返りによって側臥位補助具1を乗り越えた後も、背骨が、乗り越えた側の垂直な側面3bに沿った状態にあるから、依然として側臥位を維持することができる。
【0034】
尚、側臥位補助具1は、上述したようなウレタン系、ゴム系等の発泡材や柔らかい樹脂系材料でつくることによって、側面3a、3bが垂直面であっても、完全側臥位から約30度程度傾くような小さな寝返りを可能とすることができる。このように大きな寝返りも小さな寝返りも可能とすることによって、使用者に強い拘束感やストレスを与えることなく、側臥位を維持できる。
【0035】
尚、側臥位補助具の左右の側面3a、3bは、側臥位補助具の下面4に対して完全な垂直面である必要はない。ほぼ完全な側臥位を維持することができる程度に、下面4に対して実質的に垂直であればよい。また、人が横たわった時の敷き寝具の傾きを考慮して、10度前後の角度調整をしてもよい。具体的には、図3に示すように、敷き寝具6上に置かれた側臥位補助具1の左右側面3a、3bのいずれかに沿って使用者(図示省略)が横たわったとき、重力方向の力Fが働いて、寝具6が沈み込み、使用者の側に傾く。この傾きの大きさは、敷き寝具6の軟らかさにより異なるが、通常、約10度程度が見込まれる。敷き寝具6の傾きにより、側臥位補助具1も傾くが、この傾きを修正しないと側臥位補助具1の上部が使用者の身体に圧力をかけることになって、使用者が圧迫感を感じる。従っ
て、側臥位補助具1の側面3a、3bの角度を、下面4に対して約10度前後、内側に傾けて形成してもよい。即ち、側面3a、3bと下面4の間の角度を約80度〜90度の間としても良い。これにより、就寝した時、敷き寝具6上で人体の位置する面(図3における水平面)に対して略垂直面を形成する。本願では、このように、側面3a、3bが下面4に対して約80度〜90度の傾きを有する形状も、かまぼこ形に含まれる。また、かまぼこ形クッション体2の上面5は、実質的に丸みを帯びていればよく、多少角ばっていてもよい。
【0036】
しかし、本発明の側臥位補助具1は、上記のような寝返り可能な高さと巾を有し、且つ、左右対称な、他の形状のものでもよい。例えば、図4乃至図5に示すような略三角形状又は台形形状の巾方向断面を有していてもよく、若しくは、図6に示すような巾方向断面を有していてもよい。即ち、下面の左右両端から側面と上面とが連続して一定の曲率半径の円弧を形成するように延びていてもよい。断面が略三角形状や台形の場合、左右の側面と下面の角度αは約30度以上であることが好ましい。特に、使用者が一人で寝返りを打つことができず、介護者の補助を必要とするような場合には、側面が下面に対して垂直面であると、側臥位補助具を形成するクッション体の抵抗が大きく介護しにくく、又、側臥位補助具の反対側へ寝返りした際の寝返り落差が大きすぎる。そのため、側面と下面との角度αは30度以上40度以下にし、且つ、高さHを3cm以上5cm以下に形成すると、寝返り介助がし易く、又、寝返り落差が大きいなどの心配がない。この場合、使用者は自力で寝返りを打つことがないので、側臥位補助具の巾は、寝具上に安定していればよく、特に限定されない。尚、寝返りをした後、介護者の手で完全側臥位にされると、使用者は一人では動けないため、寝返り後も側臥位を維持することができる。
【0037】
尚、本実施形態の側臥位補助具1は、長手方向において互いに分離された複数の部分によって形成されていてもよい。この場合の側臥位補助具1は、例えば、使用者の背中側の腰部に対応する位置に配置される第1の部分と、胸部に対応する位置に配置される第2の部分とを備えることができる。
【0038】
本実施形態の側臥位補助具1では、使用者は、かまぼこ形クッション体2の垂直な側面3a又は3bに背骨を沿わせて就寝することにより、ほぼ完全な側臥位を維持することができる。さらに、寝返り可能な高さH及び巾Wを有しているので、側臥位補助具1を意識的、又は無意識時に乗り越えて大きく寝返りすることができる。さらに、上面5が湾曲しているので、このような寝返りをスムーズに行うことができる。
【0039】
さらに、左右対称な形状であるので、使用者は、寝返りによって側臥位補助具1を左右いずれかの側に乗り越えた場合でも、背骨は乗り越えた側のほぼ垂直な側面3a又は3bに沿った状態にあるから、依然としてほぼ完全な側臥位を維持することができる。このように側臥位率を向上させることにより、いびき、無呼吸症候群の原因である、喉の周りの筋肉群が気道をふさぐ(舌沈下症等)のを防ぐことができる。
【0040】
しかし、体が側臥位補助具1から大きくずれて、側臥位補助具1がない状態になると、側臥位率が低下する。本発明の第2実施形態では、使用者の腰部の移動を防ぐサイド側臥位補助具を併用することにより、側臥位率をさらに向上させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
第2実施形態では、上記第1実施形態の側臥位補助具1を敷き寝具の中央に載置して、中央側臥位補助具1(以下、単に「中央補助具1」と称する)として使用し、更に、中央補助具1の左右少なくともいずれか一方の側に、少なくとも1つのサイド側臥位補助具10(以下、単に「サイド補助具10」と称する)を載置する。これら中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の組は、本願発明の側臥位補助具セットを構成する。
【0042】
図7は、中央補助具1とサイド補助具10の敷き寝具上の配置及び使用状態を示す上面図である(敷き寝具の外形の図示は省略してある)。図7の例では、サイド補助具10を中央補助具1の左右両側に1つずつ配置している。具体的には、サイド側臥位補助具10は、図7のように使用者100の大腿骨最上端部又は腸骨付近の腰部に当接する位置に配置して使用される。使用者100は、図7のように中央補助具1の側面3a、3bのいずれか一方に背骨を沿わせた状態で、横たわり、腰部を一方のサイド補助具10によって押さえる。中央補助具1から身体が離れてしまうような大きな寝返りは、腰部の移動によって起こる。寝返りをする時、腰部の動きを止められると回転は出来るが、横方向の大きな移動はできなくなる。従って、腰部をサイド補助具10で押さえることにより、睡眠中、使用者100が大きく寝返りして中央補助具1から離れることが防止され、側臥位率がより向上する。
【0043】
尚、本実施形態では、中央補助具として、第1実施形態のかまぼこ形側臥位補助具1が用いられているが、サイド補助具と共に用いられる中央補助具は、これには限られない。上述したような、寝返り可能な高さH及び巾Wを有し、且つ、左右対称な、他の形状のもの、例えば、図4乃至図5に示すような巾方向断面が略三角形状又は台形形状のものであってよく、若しくは図6に示すような巾方向断面を有する、下面両端から側面と上面とが連続して一定の曲率半径の円弧を形成するものであってもよい。中央補助具1の構成の詳細については第1実施形態で説明したものと同様であるので、本実施形態では、主に、サイド補助具10について説明する。
【0044】
[サイド補助具の全体概要]
図8は、サイド補助具10の全体を示す斜視図である。本実施形態で用いられるサイド補助具は、その左右の側面11a、11bの少なくとも一方が、敷き寝具に対してほぼ垂直面を形成している。図9は、図8のサイド補助具の長手方向両端の端面図である。サイド補助具は、その全長Lにわたって、ほぼ同一の巾W及び高さHで延びている。図9から分かるように、本実施形態のサイド補助具は、左右側面11a、11bのうち一方の側面11aのみを垂直面とする、巾方向断面が略直角三角形状の多角体である。
【0045】
[サイド補助具の垂直面について]
上記したように、本実施形態で用いられるサイド補助具10は、その左右側面11a、11bの少なくとも一方が、敷き寝具に対してほぼ垂直面を形成している点に特徴がある。少なくとも1つの垂直面を有するサイド補助具10は、その垂直面を使用者の腰部に当接させることにより、腰部の動きを効果的に制限することができる点で有利である。特に、中央補助具が、本実施形態のようにかまぼこ形側臥位補助具でなく、例えば、断面が略三角形状の側臥位補助具である場合でも、サイド補助具10の垂直面によって腰部を押さえることによって、使用者の身体が中央補助具から離れることを防止し、側臥位を効果的に維持することができる。
【0046】
中央補助具1がかまぼこ形でなく、且つ、サイド補助具10が垂直面を有していない場合には、腰部を押さえることが難しくなる。例えば、中央補助具1、サイド補助具10が共に略台形形状の断面を有している場合、一人で寝返りできる体力のある人であれば、両補助具の側面の傾斜に沿って自由に回転、移動ができてしまう。即ち、図10に示すように、就寝時の完全側臥位(腰部の角度90度)の位置pから位置a、位置bの角度に背部、腰部が容易に回転、移動し、側臥位率は低下する。
【0047】
一方、サイド補助具10が垂直面11aを有していると、中央補助具1の断面形状に関わらず、サイド補助具10の垂直面11aによって腰部の移動を効果的に防ぐことができる。さらに、図8及び図9に示されるように、サイド補助具10の上面(側面11aと側
面11bの間の移行部分)の面積が小さくなるように形成すると、上掛け布団との接触面積が小さくなるため、寝返りの時の上掛け布団の抵抗が少なくなり、サイド補助具10の、寝具上の位置が安定する。サイド補助具10は、中央補助具1と同じかまぼこ形でもよい。
【0048】
また、サイド補助具10の垂直面11aは、敷き寝具に対して実質的に垂直であればよい。
【0049】
[その他]
上述したように、サイド補助具10は、中央補助具1に背中を沿わせた状態で横たわる使用者100の腰部の動きを制限するため、使用者100の大腿骨最上端部又は腸骨付近の腰部に当接して使用される。従って、サイド側臥位補助具10の長さLは、大腿骨最上端部又は腸骨付近を押さえるために十分な長さであれば特に制限されないが、あまり長さが大きいと使用者に圧迫感を与える。本実施形態のサイド補助具の長さは、約10〜25cmである。尚、サイド補助具の巾Wは、サイド補助具が敷き寝具上で安定する巾であればよく、高さHは、特に制限されない。
【0050】
また、サイド補助具10の材質は、中央補助具1と同様に、寄りかかってもあまり変形しない、ウレタン系、ゴム系等の発泡材や柔らかい樹脂系でよく、ウレタンJIS規格で約200〜600Nの硬度が好ましい。硬度は、上述したJIS K6400に規定される方法で測定することができる。
【0051】
こうして、図7のように中央側臥位補助具1の一方の側面3aに背骨を沿わせて横たわり、一方のサイド補助具10の垂直面11aによって腰部を押さえることにより、身体が中央補助具1から離れることを防ぎ、側臥位率をより向上させることができる。さらに、サイド補助具10を、中央補助具1の左右両側にひとつずつ載置しておけば、一方の側から寝返りして中央補助具1を乗り越えても、乗り越えた側の中央補助具1の側面3bによって依然として側臥位を維持したまま、他方のサイド補助具10の垂直面11aによって再び腰部を押さえることができるので、大きな寝返りを可能にしつつ側臥位率を大巾に向上させることができる。
【0052】
しかし、本発明の別の実施形態では、中央補助具及びサイド補助具は、直径約8〜20cmの円筒状布袋にウレタン、プラスチック素材等などの枕充填用素材を充填させたものであってもよく、サイド補助具は、平形形状の布袋に枕充填用素材、ウレタン、プラスチック素材等を充填させたものであってもよい。この場合、中央補助具及びサイド補助具は、うつ伏せの寝姿勢を維持するための腹臥位補助具として用いることができる。腹臥位になっても、無呼吸症候群の原因である、舌沈下症等を防ぐことができ、鼾を防止することができることから、円筒状の中央補助具の上部にうつ伏せに寄りかかることにより無呼吸症候群の症状を軽減することができる。枕充填用素材を入れた円筒状または平形のサイド補助具を用いると、側臥位から寝返りをして、腹臥位になったとき腹部に収まり、安定した腹臥位になることができ、無呼吸症候群の症状を軽減することができる。特に、円筒状のサイド補助具は身体との接触がソフトであり、抱き枕として機能させることもできる。
【0053】
また、中央側臥位補助具1、サイド側臥位補助具10の下面にマジックテープ(登録商標)のフック状の面を接着させるか又は縫いつけておき、対応するパイル状の面を取り付けたシーツを寝具上に敷いて、該フック状の面とパイル状の面を接合して使用してもよい。シーツにパイル生地のメリヤスシーツを用い、マジックテープ(登録商標)のフック状の面を直接シーツに接合させてもよい。これにより、中央側臥位補助具、サイド側臥位補助具の敷き寝具上の位置を固定することができる。
【0054】
[第3実施形態]
第3の実施形態によれば、第2実施形態の側臥位補助具セットの位置を固定用布を用いて固定することができる。
【0055】
本実施形態では、中央側臥位補助具1及びサイド側臥位補助具10の位置を、固定用布を用いて、敷き寝具に固定させる。中央補助具1とサイド補助具10の間で側臥位にある人が寝返りを打とうとする場合、補助具が押されて、その間隔を広げようとする大きな力が作用する。このため、中央補助具1とサイド補助具10の位置を、敷き寝具に対して固定することが好ましい。さらに、中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の間隔は、腹部の大きさ等により個人差がある為、調節可能であることが好ましい。
【0056】
補助具を寝具に固定するためには、表生地と裏生地からなる一対の固定用布を用いることができる。
【0057】
図11に示す例では、中央補助具1及びサイド補助具10の上側を覆うための表生地20と、中央補助具1の下側を覆うための裏生地21からなる固定用布22を用いて、中央補助具1及びサイド補助具10の、敷き寝具等(図示省略)における位置を固定することができる。図11に示すように、固定用布22を形成する表生地20と裏生地21は、固定用布22の巾方向略中央部における位置22a、22bで縫合され、これにより、中央側臥位補助具1を差し込むための穴23が形成されている。固定方法は、次のように実施することができる。例えば、まず、固定用布22を、穴23が敷き寝具の巾方向略中央部に位置するように寝具上に配置する。穴23に中央補助具1を挿入した後、使用者が中央補助具1に沿って側臥位になったときの、使用者の身体の寸法、たとえば固定用布22の巾方向に見た腹部の大きさ(厚み)に対応する間隔を空けてサイド補助具10を、中央補助具1の左右に配置すると共に、表生地20の両端部20a、20bで、サイド補助具10を包み込む。このとき、図11に示すように、端部20a、20bの縁が、サイド補助具10と中央補助具1の間の位置まで届いていることが好ましい。こうすると、使用者がサイド補助具10と中央補助具1の間に横たわったとき、端部20a、20bの縁が使用者の体重によって押さえられ、固定されるからである。
【0058】
この固定方法により、中央補助具1は表生地20と裏生地21との間の穴23の中で固定され、サイド補助具10は、表生地20により包み込まれて、移動が出来ず、しっかりと固定される。また、サイド補助具10を包み込む表生地20の端部の量を調節することにより、中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の間隔を調節することができる。中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の間隔は人により、腹部の大きさにより異なる為、このようにすると全ての人に対応できる。
【0059】
しかし、表生地20と裏生地21とを一方の位置、例えば22aで縫合し、他方の位置22bでは、表生地20と裏生地21のそれぞれに、例えば、マジックテープ(登録商標)等の着脱自在のテープのフック面とパイル面とを互いに対応する位置に縫いつけ、接合することにより、中央側臥位補助具1を包み込むようにしてもよい。この場合は、図11の例と同様に固定用布22を寝具上に配置した後、開放状態の位置22bから中央補助具1を穴23に入れて、その後、表生地20と裏生地21を位置22bのマジックテープ(登録商標)で接合することができる。
【0060】
さらに別の例では、図12に示すように、中央補助具1及びサイド補助具10の上側を覆うための表生地30と、中央補助具1の下側及びサイド補助具10の上側を覆うための裏生地31とからなる固定用布32が用いられる。表生地30と裏生地31は、固定用布32の巾方向略中央部における位置32a、32bで縫合されて、中央補助具1を差し込むための穴33が形成されている。この場合の固定方法は、例えば、まず、固定用布32を
、穴33が敷き寝具上の巾方向略中央部に位置するよう寝具上に配置し、中央補助具1を穴33に挿入した後、図11の例と同様に適当な間隔を空けてサイド補助具10を中央補助具1の左右に配置すると共に、裏生地31の端部31a、31bでサイド側臥位補助具10を包み込む。このときも、端部31a、31bの縁が、サイド補助具10と中央補助具1の間の位置まで届いていることが好ましい。図12の例では、裏生地31で包み込まれたサイド側臥位補助具10は、さらに、その上部を表生地30によって覆われることにより保護され、固定される。この場合、表生地30を、寝具の巾全体に延びて端部30a、30bが寝具の下に回る大きな長さにすると補助具セット全体が、より安定的に固定される。表生地30は、比較的薄地で柔らかいものが好ましい。尚、中央補助具1を差し込むための穴33は、表生地30と裏生地31を、一方の位置、例えば32aで縫合し、他方の位置32bにてマジックテープ(登録商標)等により接合して形成しても良い。
【0061】
また、図13にさらに別の例を示す。この例では、 表生地40と、一対の裏生地41a、41bとからなる固定用布42が用いられている。裏生地41a、41bは、それぞれ、位置45a、45bで表生地40と縫合されている。更に、裏生地41a、41bのそれぞれには、マジックテープ(登録商標)等の着脱自在のテープのフック面、パイル面が互いに対応する位置に縫いつけられており、使用時にこれらを接合して、中央補助具1を固定するための穴43が形成されるようになっている。図13に示される固定方法では、例えば、まず、裏生地41a、41bがマジックテープ(登録商標)により互いに接合されていない、開放状態の固定用布42を、寝具(図示省略)上に載置した中央補助具1とサイド補助具10の上側を覆うように配置する。そして、中央補助具1の下面を覆うように裏生地41a、41bを重ね、接合位置44にてマジックテープ(登録商標)で互いに接合する。これにより、中央補助具1は、穴43の中で固定される。その後、サイド補助具10の位置を調整し、図12の例と同様に裏生地41a、41bの両端部で左右のサイド補助具10を包み込む。裏生地41a、41bで包み込まれたサイド側臥位補助具10は、さらに、その上部を表生地40によって覆われることにより保護され、固定される。この場合、表生地40を、寝具の巾全体に延びて端部が寝具の下に回る大きな長さにすると補助具セット全体が、より安定的に固定される。
【0062】
しかし、中央補助具とサイド補助具の位置は、一枚の生地からなる固定用布50を用いて固定されても良い。図14の例では、例えば、布50の上面中央部の位置51にマジックテープ(登録商標)等の着脱自在のテープのフック面又はパイル面を縫合し、中央側臥位補助具1の下面の対応する位置にパイル面又はフック面を取り付けている。この固定方法では、寝具上にサイド補助具10を適当に配置した後、布50をサイド補助具10の上側を覆うように配置する。その後、マジックテープ(登録商標)のフック面とパイル面とを接合することにより中央補助具1を固定し、さらに、布50の端部50a、50bでサイド補助具10を包み込んで固定することができる。
【0063】
尚、固定用布は、中央補助具、サイド補助具の全体を覆っている必要はなく、長さ方向の寸法は、特に制限されない。即ち、固定用布は、必ずしも、中央補助具、サイド補助具の長さ方向全体にわたって延びている必要はない。中央補助具、サイド補助具の位置を固定することができる程度の長さがあればよい。
【0064】
ところで、上記したように、無呼吸症候群やいびきの予防の為には、特に胸部から頭部を横向きにすることが必要且つ重要であるが、長手方向に一様な高さを有する側臥位補助具では、胸部から頭部を横向きにする為に、側臥位補助具の全体が比較的大きな高さを有することになる。しかし、長手方向に均一に大きな高さを有する側臥位補助具は、一般に乗り越え可能な高さに設定されていても、使用者によっては、容易に乗り越えることが困難で、寝返りが難しい場合がある。
【0065】
[第4実施形態]
[全体概要]
以下、図15〜20を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。図15は、本発明の第4実施形態による側臥位補助具101の一例について、その全体を示す斜視図である。第4実施形態の側臥位補助具101は、長手方向に関して一様な幅Wを有する、断面形状がかまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具である点で第1実施形態と共通しているが、クッション体102が高さ方向に段差を有する、段差付側臥位補助具である点で第1実施形態と異なっている。図15の例では、クッション体102が、所定の高さ(第1の高さ)H1を有する第1部分102aと、所定の高さ(第2の高さ)H2を有する第2部分102bとを備え、第1の高さH1が第2の高さH2より小さく設定されている。第1部分102aと第2部分102bとは、一体であってもよいし、別体であっても良く、第1実施形態の側臥位補助具1と同様の材料を用いて、通常の方法により一体的又は別々に成形される。図示の例では、第1部分102aと第2部分102bは互いに別体である。図16は、図15の側臥位補助具101を第1部分102a側の端面から長手方向に見た端面図である。図17(A)は、側臥位補助具101の平面図であり、(B)は側面図である。
【0066】
図18は、第4実施形態の側臥位補助具101の敷き寝具(図示せず)上の配置及び使用状態の例を示す上面図である。第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、本実施形態の側臥位補助具101は、敷き寝具上で側臥位姿勢にある使用者の背中側に配置して用いられる。図18に示すように、第1部分102aと第2部分102bは、使用者200の身長方向に、互いに間隔を空けて又は少なくとも部分的に接するように概ね整列させられる。第2部分102bより高さの小さい第1部分102aは、使用者200の腰部の後ろ側に配置され、第1部分102aより大きな高さを有する第2部分102bは、胸部の後ろ側に配置される。より具体的には、第1部分102aは、使用者200の背中側に、少なくとも腰部に対応する位置に腰部と接するように配置され、第2部分102bは、少なくとも胸部に対応する位置に胸部と接するように配置される。敷き寝具上で安定して側臥位を維持するため、腰部側に置かれる第1部分102aの長さL1は、胸椎9番目から尾骨より下に来る長さ、例えば、40〜50cmであり、胸部側に置かれる第2部分102bの長さL2は、胸椎1番から8番目くらいまでの長さ、例えば、20〜30cmであることが好ましい。しかし、これらの数値は、使用者の体型によって変わり得る。
【0067】
[側臥位補助具の高さについて]
図19(A)、(B)は、本実施形態の側臥位補助具101の使用状態の例を示す概略説明図であり、それぞれ、使用者の胸部付近と腰部付近を示している。(A)は第2部分102bに寄りかかった使用者の胸部付近(例えば、図18の位置X−X付近に対応する)を示し、(B)は第1部分102aに寄りかかった使用者の腰部付近(例えば、図18の位置Y−Y付近に対応する)を示している。
【0068】
本実施形態の側臥位補助具101は、睡眠中、使用者の少なくとも腰部が、意識的又は無意識的に第1部分102aを容易に乗り越えられるようにするため、第1部分102aの高さH1が第2部分102bの高さH2より低く設定されている。高さH1が小さい方が腰部の寝返りはし易い。また、高さH1を小さくすることで腰部の側臥位は維持しにくくなるが、腰部を30〜45度程度回転させると、胸部は腰部とは異なる回転角度を保持することができる。従って、図19(A)、(B)に示すように、例えば、腰部の傾斜角度を少なくとも約30度程度確保し、且つ、高さの大きな第2部分102bによって胸部の傾斜角度を約60度以上に保持すれば、使用者200の頭部200aは横向きに傾き、無呼吸症防止のために必要な、上気道付近の側臥位率を非常に高くすることができる。従って、腰部側の第1部分102aの高さH1は、通常、胸幅の約15%に設定され、胸部側の第2部分102bの高さH2は、胸幅の約20〜約25%の範囲に設定される。第2部
分102bの高さH2は、使用者の胸部が第2部分102bを意識的又は無意識的に乗り越えて寝返りし易い範囲である。腰部と胸部は互いに相互作用することから、腰部が第1部分102aを乗り越えるように回転すれば、胸部もまた、第2部分102bを乗り越えるように回転が促される。また、第2部分102bの高さH2が第1部分102aの高さH1より大きくても、側臥位時の胸部の高さは肩幅の分だけ腰部の高さに比べて大きいため、胸部がクッション体102から受ける抵抗は、腰部が受ける抵抗より少なく、寝返りはし易い。従って、腰部の回転を容易にすることによって、胸部を含めた身体全体の回転を容易にすることができる。このように、本実施形態の側臥位補助具101では、腰部の回転を容易にすることで使用者の身体全体の寝返りをさらに容易にし、且つ、胸部の側臥位姿勢を確実に維持して、無呼吸症候群やいびきの原因である気道の閉塞を効果的に防止することができる。
【0069】
図15に示す例では、一般的な体型を有する男女共に広く適用できるように、クッション体102の第1部分102aの高さH1は、4〜6cmに設定され、第2部分102bの高さH2は、6〜9cmに設定されている。しかし、第1部分102a、第2部分102bの高さH1、H2は、上記の値に限られず、使用者の体型により異なっていてよい。特に運動選手等、大きな体型の人の場合は上記の値とは異なる高さに設定されてよい。第4実施形態では、腰部の後ろ側に配置される第1部分102aが、胸部の後ろ側に配置される第2部分102bより小さい高さを有していることが重要である。
【0070】
[その他]
また、第4実施形態の側臥位補助具101は、敷き寝具上に中央側臥位補助具として配置され、第2実施形態で示したものと同様の形態のサイド側臥位補助具103を、中央補助具101の両側に配置してもよい。図18及び19は、この場合の使用状態を示している。サイド補助具103を中央補助具101の両側に配置することによって、回転の要である腰部を押さえることができ、これにより、使用者の身体が中央補助具101から離れることを防ぎ、側臥位率をより向上させることができる。また、サイド補助具103は、使用者の腰部に対応する位置だけでなく、胸部に対応する位置にも設けてよい。これにより、胸部を水平面に対してほぼ垂直な角度に保持することができ(図20参照)、上気道の閉塞を防ぐために特に重要な、胸部の側臥位姿勢をより効果的に維持することができる。
【0071】
第1部分102aと第2部分102bの一様な幅Wは、第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、通常、使用者の胸幅の約三分の一程度に設定されることが好ましく、一般的な体型を有する男女共に広く適用できるように、8cm以上15cm以下に設定することが好ましい。
【0072】
尚、図示の例では、第1部分102a、第2部分102bは、それぞれ、長手方向に関して一様な高さH1、H2を有しているが、これには限られない。第1部分102aと第2部分102bは、それぞれ、長手方向に沿って変化する高さを有していてもよく、これらの互いに隣接する縁部で、必ずしも明確な段差を有していなくてもよい。
【0073】
[第5実施形態]
[全体概要]
次に、図21〜26を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図21は、本発明の第5実施形態による側臥位補助具201の例を示す斜視図である。第5実施形態の側臥位補助具201は、長手方向に関して一様な高さHを有する、断面形状がかまぼこ形のクッション体202を備えた側臥位補助具である点で第1実施形態と共通しているが、クッション体202が、互いに異なる幅を有する第1部分202aと第2部分202bとを備えた側臥位補助具である点で、第1実施形態と異なっている。第1部
分202aと第2部分202bとは、一体であってもよいし、別体であっても良く、第1実施形態の側臥位補助具1と同様の材料を用いて、通常の方法により一体的又は別々に成形される。図の例では、第1部分202aと第2部分202bは別体である。図22は、図21に示す側臥位補助具201を、第1部分202a側から長手方向に見た端面図である。図23(A)は、図21の側臥位補助具201の平面図であり、(B)は側面図である。図24は、図21に示す側臥位補助具201の敷き寝具上の配置及び使用状態の例を示す。図24に示されるように、第4実施形態と同様、側臥位補助具201の第1部分202aは、使用者300の腰部側に配置され、第2部分202bは、使用者300の胸部側に配置して使用される。第1部分202aと第2部分202bの長さL1、L2の例は、第4実施形態と同様である。
【0074】
[側臥位補助具の幅について]
図23(A)に示すように、本実施形態の側臥位補助具201は、第1部分202aと第2部分202bが互いに異なる幅を有するように形成されている。図の例では、第1部分202aは単一の幅W1、即ち長手方向に関して一様な幅W1を有している。一方、第2部分202bの幅は、長手方向に沿って変化している。図22及び図23(A)において、W2は、第2部分202bにおける、第1部分202aに隣接する側の縁部の幅を示し、W3は、第2部分202bにおける、第1部分202aと反対の側の縁部の幅を示す。第5実施形態では、側臥位補助具のこれらの幅W1、W2、W3は、W1≦W2≦W3の関係を満たすように設定される。図23(A)の例では、各幅は、W1<W2<W3の関係にあり、特に、第2部分202bは、第1部分202aに隣接する側の縁部を上底とする台形形状を有している。W1≦W2≦W3の関係を満たす側臥位補助具201の他の例を、図25(A)、(B)に示す。図25(A)の例は、W1=W2<W3の関係を満たす側臥位補助具の例であり、図25(B)は、W1<W2=W3の関係を満たす例である。しかし、本実施形態では、W1=W2=W3であってもよい。この場合の側臥位補助具201は、図1等に示される第1実施形態の側臥位補助具1と実質的に同様の形態である。しかし、本実施形態における側臥位補助具の各幅の関係は、図23(A)及び図25(A)、(B)に示されるW1<W2<W3、W1=W2<W3、またはW1<W2=W3であることが好ましい。その理由を以下に説明する。
【0075】
無呼吸症候群やいびきを防止するためには、口蓋垂周辺の筋肉の垂れによる上気道の閉塞を予防しなければならないが、そのためには、顔面角度(顔面方向における頭部の水平面に対する角度位置。図19(A)を参照)を45度以下にすることが好ましい。例えば、胸部角度を45度にすると、首は顔面の後方に位置することから、重力の影響により顔面角度は胸部角度より小さい45度以下になると考えられる。従って、顔面角度を好ましい角度に維持するためには、胸部の角度を45度以上にすることが望ましい。図26(A)(B)は、側臥位補助具201に対する使用者300の寄りかかり姿勢を説明するための概略図である。図26(A)は、本実施形態との比較のため、長手方向に一様な幅を有する側臥位補助具(例として、第1実施形態の側臥位補助具1を示す)に対する使用者300の寄りかかり姿勢を示し、図中M及びM’は、共に、この側臥位補助具1に寄りかかった使用者300の胸部付近の位置を示す。図26(B)は、本実施形態の側臥位補助具201に対する使用者300の寄りかかり姿勢を示し、図中Nは、側臥位補助具201に寄りかかった使用者300の胸部付近(例えば、図24の位置X’−X’付近に対応する)の位置を示す。尚、説明のため、図26(B)では、側臥位補助具201の第1部分202aの外形を破線で示している。
【0076】
図24の例に示すように、人は側臥位になると、軽く足を折り、腰を曲げて、背中から頭部にかけてえび状の姿勢をとるのが自然である。即ち、多くの人は、尾骨から第7頚椎までが、直線状にならずに軽い曲線を描くような姿勢になる。しかし、図7の上面図から分かるように、長手方向に一様な幅を有する側臥位補助具1では、補助具1の側面は、補
助具1の長手方向の全体に亘って直線状に延びている。従って、図7に示されるように、就寝当初、使用者は、この直線状に延びる側面に沿って、ほぼ直線状の(えび状でない)姿勢で横たわることになる。例えば約45度の胸部角度(以下、「正常状態」)で側臥位補助具1に寄りかかった場合の、使用者300の胸部付近の位置を、図26(A)のMで示す。
【0077】
しかし、上記したように、側臥位になった人の背中はえび状に軽く折り曲げられた姿勢になるのが自然である。そのため、就寝後の使用者300の姿勢は、直線状からえび状に変化し、このとき、使用者300の胸部付近の位置は、図26(A)に示すMからM’に変化する。このため、図26(A)に示すように、就寝後の使用者300の胸部と敷き寝具500との接触点は、寄りかかり当初のB点からC点へ、通常3〜4cm程度、補助具の中心から離れる方向に移動する。この結果、図から分かるように、胸部付近の傾斜角度は、寄りかかり当初の正常状態に比べてかなり緩やかになり、特に、サイド補助具を使用しない場合には、側臥位率が低下するおそれがある。
【0078】
これに対し、図21に示す本実施形態の側臥位補助具201では、胸部の後ろ側に配置される第2部分202bの幅が、第1部分202a側からこれと離れる方向に、第1部分202aの幅より次第に大きくなるよう設定されている。これにより、第1部分202a及び第2部分202bを含めた側臥位補助具201全体の側面の形状が、人が自然とえび状に腰から背を曲げたときの、人の背中が描く曲線に近い形状になっている。従って、図24に示すように、使用者300は、このように幅が変化する補助具201の側面に沿って、自然と身体を折り曲げたえび状の寝姿勢を、就寝当初からとることができる。従って、補助具201に対する使用者300の胸部付近の位置Nは、就寝後もほぼ維持される。使用者300が補助具201を乗り越えて寝返りしても、補助具201は左右対称なかまぼこ形の断面形状を有しているため、寝返り後も使用者300は自然なえび状姿勢をとることができ、側臥位補助具201に対する胸部付近の位置は、ほぼ変わらず維持される。
【0079】
図26(B)において、就寝当初の胸部と敷き寝具500との接触点Dは、図26(A)のB点と比較して、第2部分202bと第1部分202aの幅の差分だけ左方へずれているが、使用者300は寄りかかり当初からえび状の寝姿勢にあるため、図26(A)のように就寝後にずれることがなく、ほぼD点のままである。従って、使用者300が、就寝当初に正常状態で寄りかかった後は、胸部角度の低下は起こらず、高い側臥位率を維持することができる。
【0080】
このように、第5実施形態の側臥位補助具201では、補助具の側面を、人が自然と身体をえび状に折り曲げた時の背中が描く曲線に近い形状にすることができる。このため、全体が単に直線状に延びる側面に寄りかかった場合と比較して、就寝当初の胸部と敷き寝具との接触点が、ほぼずれることなく維持される。従って、胸部角度の減少が起こりにくく、就寝後も胸部角度を正常状態に維持し易い。この目的のため、本実施形態の側臥位補助具の各幅の関係は、図23、図25(A)、又は図25(B)に示す関係、即ち、W1<W2<W3、W1=W2<W3、又はW1<W2=W3であることが好ましい。
【0081】
第1部分202aの幅W1は、敷き寝具上での補助具の安定性、乗り越え易さ、使用者の一般的な体型等を考慮して、通常、8〜12cm程度が好ましい。このとき、第2部分202bにおける、少なくとも第1部分202aと反対の側の縁部の幅W3は、通常、8〜20cm程度である。しかし、W3はW1より2〜8cm程度大きいことがより好ましく、W1より6〜8cm程度大きいことが更に好ましい。例えば、W1を12cmとし、W3をこれより6cm大きい18cmとすると、側臥位補助具201の左右それぞれの側における幅の差を(18−12)/2=3cmにすることができる。即ち、W3をW1より6〜8cm程度大きくすることによって、側臥位補助具201の左右それぞれの側に3〜
4cm程度の幅の差を設けることができる。この差は、上記した点B−C間の距離(直線状に延びる側面に寄りかかった場合の胸部と敷き寝具との接触点のずれ(図26(A)参照))にほぼ対応するものであり、これにより、使用者は、側臥位補助具201の側面に沿って、自然なえび状姿勢になることができる。
【0082】
第2部分202bにおける、第1部分202aに隣接する側における縁部の幅W2は、W1≦W2≦W3を満たすように設定されればよい。
【0083】
しかし、上記幅W1、W2、W3の具体的数値は、使用者の体型により変わることは言うまでもない。
【0084】
上記第4実施形態では、幅が同一で高さの異なる第1部分と第2部分を備える側臥位補助具の例、第5実施形態では、高さが同一で幅の異なる第1部分と第2部分を備える側臥位補助具の例を、それぞれ、別々に記載したが、本発明の側臥位補助具は、第4実施形態の特徴と第5実施形態の特徴の両方を備えていてもよい。即ち、第2部分は第1部分より大きな高さを有すると同時に第1部分より大きな幅を有していてもよい。
【0085】
[その他]
第1部分202aと第2部分202bの長手方向に関して一様な高さHは、第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、使用者が意識的又は無意識的に寝返り可能な高さとして、通常、使用者の胸幅の約20〜25%に設定されることが好ましく、一般的な体型の男女に広く適用できるように、4cm以上8cm以下に設定することが好ましい。
【0086】
また、第4実施形態または第5実施形態の側臥位補助具101、201、または第4実施形態と第5実施形態の両方の特徴を備えた側臥位補助具は、第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、敷き寝具の中央に配置され、その両側又は一方に配置されるサイド側臥位補助具と共に用いることができる。この場合、第3実施形態に示す固定方法を用いて敷き寝具上の位置を固定することができる。
【0087】
[第6実施形態]
[全体概要]
上記実施形態のかまぼこ形の側臥位補助具は、敷き寝具上のほぼ中央に配置して使用することができ、使用者はこれを乗り越えて寝返りができると同時に、側臥位姿勢を維持できる。しかし、身体の弱い人、腰部に故障のある人、体重が大きい人等は、側臥位補助具を乗り越えるほどの大きな寝返りがしにくい場合がある。また、敷き寝具の中央に配置される側臥位補助具に抵抗を感じる人もいる。このような人に好適な側臥位補助具のセットが、本実施形態により提供される。
【0088】
人が仰臥位から側臥位に、側臥位から仰臥位に寝返りするとき、多くの人は、身体の中心線を変えずに寝返りする。即ち、寝返り前の頭部の位置は、寝返り後の頭部の位置とほぼ同じである。
【0089】
身体の弱い人、腰部に欠陥のある人、体重の大きな人等にとっては、中央側臥位補助具を乗り越えて側臥位になることが難しい場合がある。このような人の場合、上記した寝返りの特徴を利用することによって、敷き寝具の中央に側臥位補助具を配置せず、使用者の身体の左右両側に以下に説明する形態のサイド側臥位補助具セットを配置することのみで、高い側臥位率を維持できる。第6実施形態のサイド側臥位補助具セットでは、使用者は、一対のサイド側臥位補助具の間で回転するような寝返りができ、且つ、側臥位姿勢を維持できる。
【0090】
図27は、一対のサイド側臥位補助具400、400から構成される、本実施形態のサイド側臥位補助具セット401の例を示す。図27は、サイド側臥位補助具セット401を構成する一対のサイド側臥位補助具400、400を敷き寝具600上に配置したときの長手方向両端の端面図である。各サイド側臥位補助具400は、その全長にわたって、ほぼ同一の幅W及び高さHで延びている点で、図8及び9に示す第2実施形態のサイド補助具10と共通している。さらに、図示の例では、幅方向断面が略直角三角形状の多角体であると共に、左右側面のうちの一方の側面のみをほぼ垂直な面とし、この面を使用者の身体に当接させて用いることができる点で第2実施形態のサイド補助具10と共通している。しかし、以下に説明するように、第6実施形態に用いられる各サイド側臥位補助具400は、第2実施形態と異なり、高さHに特徴を有している。また、使用者の身体に当接させる側面と敷き寝具600に接する下面との間の角度Rは、必ずしもほぼ直角である必要はない。
【0091】
[サイド側臥位補助具の高さHについて]
上記した本発明のかまぼこ形側臥位補助具は、敷き寝具上のほぼ中央に配置することができ、使用者が意識的又は無意識的にこれを乗り越えても、側臥位を維持できるように構成されている。このため、かまぼこ形の側臥位補助具の高さは、使用者が乗り越えることが可能であるように、胸幅の約25%以下に設定されている。しかし、本実施形態に用いられるサイド側臥位補助具400の場合、使用者が容易にこれを乗り越えてしまうと、同一位置での回転を許容しつつ側臥位を維持するという、本実施形態の効果が得られない。そのため、第6実施形態におけるサイド側臥位補助具400の高さHは、使用者がこれを容易に乗り越えられない高さに設定され、通常、使用者の胸幅の約25%以上に設定される。高すぎると使用者が圧迫感を感じるため、25%〜30%程度が好ましい。一般的な体型の人は胸幅30cm程度であることから、本実施形態に用いられるサイド側臥位補助具400の高さは、6〜15cmが好ましい。
【0092】
図28は、図27に示すサイド側臥位補助具セット401の敷き寝具(図示せず)上の配置及び使用状態の例を示す平面図である。図28の例では、サイド側臥位補助具セット401は、使用者の胸部付近と腰部付近に1セットずつ配置されている。具体的には、一対のサイド側臥位補助具400が使用者の身体の左右両側における胸部付近に密着するように配置され、もう一対のサイド側臥位補助具400が、使用者の身体の左右両側における腰部付近に密着するように配置されている。使用者は、このように配置された二対のサイド側臥位補助具400の間で、側臥位姿勢で横たわる。
【0093】
[サイド側臥位補助具の角度Rについて]
上記したように、各サイド側臥位補助具400の、使用者の身体に密着する側の側面と下面との間の角度Rは、図27の例ではほぼ直角であるが、これには限られない。図3を参照して説明したように、人が横たわったとき敷き寝具は約10度前後傾き、これにより側臥位補助具も使用者側に傾くが、この傾きを修正しないと使用者が圧迫感を感じることがある。また、補助具の側面が身体に密着して配置されるため、補助具を乗り越えない回転は、角度Rが小さい方が抵抗が少なく容易である。一方、胸部の傾斜角度が45度以上の側臥位姿勢を保持するには、側臥位補助具の上部に寄りかかって接するときの身体と敷き寝具の間の角度は、45度以上であることが好ましい。これらの点を考慮して、角度Rは、90度より小さくてよく、例えば、約50度〜約90度の範囲にあることが好ましい。
【0094】
[その他]
各サイド側臥位補助具400の長さHは、通常、10〜25cmであり、これは、第2実施形態のサイド補助具10の長さと同様である。腰部側に配置されるサイド側臥位補助具(腰部サイド補助具)セット401と胸部側に配置されるサイド側臥位補助具(胸部サイド補助具)セット401の間に使用者の腹部が収まるように配置すると、腹部が圧迫さ
れない。痩せている人、腹部の突出していない人が使用する場合、各腰部サイド補助具400と胸部サイド補助具400とを一体化して、40〜50cm程度の長さの、一対のサイド側臥位補助具セットを形成してもよい。
【0095】
各サイド側臥位補助具400の幅Wは、サイド側臥位補助具400が敷き寝具上で安定する幅であればよく、例えば、角度Rをほぼ90度とした場合、幅Wは高さHの2倍より少ない方が、安定した形状が得られるため好ましい。
【0096】
各サイド側臥位補助具400の材質及び硬度は、第1及び第2実施形態で説明したものと同様である。
【0097】
このように構成されたサイド側臥位補助具セット401では、各サイド側臥位補助具400、400の間に側臥位姿勢で横たわった使用者は、補助具の間で身体の中心線を変えない(即ち、頭部の位置を変えない)寝返りをすることができる。各サイド側臥位補助具400は、側臥位姿勢の身体に密着した状態で配置されているので、使用者は寝返りの際に長時間仰臥位姿勢を維持することがなく、高い側臥位率が得られる。
【0098】
尚、図示の例では、各腰部サイド側臥位補助具400と各胸部サイド側臥位補助具400は、同一形状を有している。しかし、各腰部サイド側臥位補助具400と各胸部サイド側臥位補助具400は、同一形状でなくてもよい。上記したように、寝返りの要は腰部にあり、また、サイド補助具の間の回転は、サイド補助具の角度Rが小さく、また、高さHも低い方が、抵抗が少なく回転し易い。また、腰部と胸部は互いに相互作用するため、寝返り時、胸部が補助具を乗り越えられなければ、腰部は、補助具が乗り越えられる高さでもこれを乗り越えずにその場で回転する。従って、胸部側サイド補助具400の角度R及び高さHが上記した範囲内(角度R:約50度〜約90度;高さH:約6cm〜約15cm)であれば、腰部サイド補助具の角度Rが胸部サイド補助具の角度Rより小さくてもよく、腰部サイド補助具の高さHが胸部サイド補助具の高さHより低くてもよい。換言すれば、上記した範囲の角度Rと高さHを有する本実施形態のサイド側臥位補助具セットは、少なくとも使用者の胸部付近に配置されていればよい。これにより、仮に使用者が乗り越えられる高さの補助具が腰部付近に配置されても、使用者は、実際に補助具を乗り越えることはない。従って、使用者はサイド補助具の間の空間内で、寝返りでき、且つ、安定して側臥位を維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本願発明の側臥位補助具は、鼾のひどい人や、睡眠時無呼吸症候群の患者の治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態による側臥位補助具の斜視図である。
【図2】図1に示す側臥位補助具の長手方向両端の端面図である。
【図3】就寝時の敷き寝具の沈み込みを説明するための概略説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態による側臥位補助具の、図2に対応する端面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による側臥位補助具の、図2に対応する端面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による側臥位補助具の、図2に対応する端面図である。
【図7】本発明の一実施形態による側臥位補助具セットに用いられる、中央側臥位補助具とサイド側臥位補助具の配置及び使用状態を示す平面図である。
【図8】図7に示すサイド側臥位補助具の斜視図である。
【図9】図8に示すサイド側臥位補助具の長手方向両端の端面図である。
【図10】中央側臥位補助具とサイド側臥位補助具が共に傾斜面を有する場合の使用状態を説明するための図である。
【図11】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の一例を示す図である。
【図12】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の他の例を示す図である。
【図13】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の他の例を示す図である。
【図14】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の他の例を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態による側臥位補助具の斜視図である。
【図16】図15に示す側臥位補助具を、第1部分から長手方向に見た端面図である。
【図17】(A)は図15に示す側臥位補助具の平面図であり、(B)は側面図である。
【図18】図15に示す側臥位補助具の使用状態の例を示す平面図である。
【図19】(A)、(B)は、それぞれ、図15に示す側臥位補助具に寄りかかった使用者の胸部付近と腰部付近を示す概略説明図である。
【図20】図15に示す側臥位補助具と共にサイド補助具を使用した場合の使用者の胸部付近を示す概略説明図である。
【図21】本発明の第5実施形態による側臥位補助具の例を示す斜視図である。
【図22】図21に示す側臥位補助具を、第1部分から長手方向に見た端面図である。
【図23】(A)は図21に示す側臥位補助具の平面図であり、(B)は側面図である。
【図24】図21に示す側臥位補助具の使用状態の例を示す平面図である。
【図25】(A)、(B)は、それぞれ、第5実施形態の側臥位補助具の他の例を示す平面図である。
【図26】(A)、(B)は、それぞれ、側臥位補助具に対する使用者の寄りかかり姿勢を示す概略説明図である。
【図27】第6実施形態のサイド側臥位補助具セットの長手方向両端の端面図である。
【図28】は、図27に示すサイド側臥位補助具セットの使用状態の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 側臥位補助具
2 クッション体
3a、3b 側面
4 下面
5 上面
6 敷き寝具
10 サイド側臥位補助具
11a、11b 側面
100 使用者
20、30、40 表生地
20a、20b、30a、30b 表生地端部
21、31、41a、41b 裏生地
22、32、42、50 固定用布
23、33、43 穴
31a、31b 裏生地端部
50a、50b 端部
101、201 側臥位補助具
102、202 クッション体
102a、202a 第1部分
102b、202b 第2部分
103、104 サイド側臥位補助具
200、300 使用者
200a 使用者の頭部
400 サイド側臥位補助具
401 サイド側臥位補助具セット
500、600 敷き寝具
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時無呼吸症候群の患者に対して睡眠中の自然な寝返りを可能にしつつ、側臥位を維持させることによって症状を軽減させることができる、側臥位補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠時無呼吸症候群の症状は、激しいいびきと呼吸停止に起因する睡眠不足による眠気で、日中の眠気は勤務中の居眠りや時として交通事故等のヒューマンエラーの誘因となる。
【0003】
睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、仰向け(仰臥位)で眠っているときに喉の周りの筋肉群が気道をふさぐ為(舌沈下症等)である。睡眠時無呼吸症候群の治療の主たる治療法として、鼻、口をマスクで覆い、高圧の空気で呼吸を助けるCPAP法がある。しかし、マスクをすることに違和感があり、空気を無理に流す為、鼻炎や声帯を痛める等の可能性がある。また、歯科装具(マウスピース)を使用する方法として、舌を前方に吸着させる方法(TRD法)と下顎を前方に誘導させる方法(Esmarch法)がある。しかし、舌や下顎を大きく前方に突き出す必要があり、患者にかなりのストレスが生ずる。又マウスピースの長時間の使用は噛み合わせが悪くなる。
【0004】
一方、舌沈下症等の睡眠時無呼吸症候群の原因は、側臥位(横向き)又は腹臥位(うつ伏せ)で寝ることにより、軽減することができる。この方法はすべての人に適応できるわけではないが、睡眠時無呼吸症候群の約30%位の人に有効であるといわれている。
【0005】
しかし、側臥位又は腹臥位に寝るといっても、普通の布団、マットレス又はベッドではなかなか長い時間、側臥位、腹臥位になれない。そこで、側臥位補助具又は腹臥位補助具が必要であるが、あまりにも拘束感の強い補助具で身体が固定されていてはストレスが溜まり安眠できない。寝返りは、同一姿勢で長時間居ることにより血流が悪くなり、うっ血し、コリや圧迫痛等になるのを防ぐ効果がある。健康な人は、睡眠中、一晩に20回から40回くらい寝返りをしている。睡眠時無呼吸症候群であるからといって、寝返りが出来ない側臥位補助具や腹臥位補助具を用いていては、快適な睡眠状態は得られない。
【0006】
睡眠時無呼吸症候群を防止するように人体の寝姿勢、特に側臥位を維持するための補助具が、従来から提案されてきた。
【0007】
特開2002−360384号には、略くの字状に屈曲しているとともに、断面形状が屈曲方向内側に向かって低くなる略三角形状に形成された、クッション体が開示されている。利用者は、このクッション体の一端に頭部及び身体の一部を載せることにより側臥位を維持することができる。しかし、このクッション体では、利用者が自力で自然に寝返りを打つ可能性については考慮しておらず、寝返り後の姿勢についても考慮されていない。
【0008】
特開2002−58690号は、背中に背負って寝るリュックサック型の枕を開示している。この枕は、紐で利用者の体に固定されるため、利用者は就寝前から拘束され、初めから高いストレスを感じる。また、体が枕に固定された状態では、自然な寝返りを打つことは難しい。
【0009】
特開2003−52730号は抱き枕型のクッションからなる鼾防止具を開示している。この鼾防止具は、クッションに形成された一対の腕通し部に利用者の腕を通すことにより使用される。従って、利用者は就寝前から拘束されており、初めから高いストレスを感
じる。また、クッションが体に固定された状態では、自然な寝返りを打つことは難しい。
【0010】
特開2005−34418号は、介護用の褥瘡予防具として用いられる、三角柱形状の背当て寝具を開示する。しかし、その高さは寝返りを打てない程度に設定されているので、左右方向に自然な寝返りを打つことはできない。仮に寝返りを打つことができたとしても、一方の側面を他方より急傾斜にした左右非対称な形状のため、必ずしも寝返り後に側臥位を維持することはできない。
【0011】
【特許文献1】特開2002−360384号
【特許文献2】特開2002−58690号
【特許文献3】特開2003−52730号
【特許文献4】特開2005−34418号
【0012】
ところで、寝返りのように人が大きく回転動作をする時には、まず、腰部の移動が起こる。例えば、仰向けの姿勢から寝返りをするためには、まず腰部の回転移動が起こり、これが腹部から上の胸部に作用し、身体が床面から30度〜45度程度回転すると、胸部は、腰部の角度とは多少異なった回転角度を保持することができる。意識的又は無意識的に胸部の角度は腰部の角度と異なることができ、一方、胸部の角度に応じて腰部の角度も変わり、両者は相互に作用している。腰部と胸部が同一方向に回転した時、胸部の角度は大きな角度を維持できる。例えば、腰部を45度回転させることによって胸部(肩部)も45度回転し、次に胸部(肩部)をこの位置から更に45度回転させることによって胸部の角度を90度にでき、これにより、胸部から頭部にかけての部分を床面から90度の姿勢に維持することができる。
【0013】
上記したように、寝返りの要は腰部にあり、寝返りする際、胸部(肩)のみの回転はありえない。腰部が少し回転することによって、胸部(肩部)も大きく回転することができる。
【0014】
無呼吸症候群、いびきの予防の為には上気道(咽喉)の閉塞を少なくすることが必要であり、その為、上気道の向きを横向きにし、口蓋垂周囲の気道閉塞を軽減させる必要がある。即ち、無呼吸症候群やいびきの予防の為には、特に胸部から頭部を横向きにすることが必要かつ重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、睡眠中の自然な寝返りを可能としつつ、そのような寝返りに関わらず側臥位を維持することのできる、側臥位補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明によれば、かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具が提供される。クッション体は、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾を有している。この構成により、使用者は、側臥位補助具のほぼ垂直な側面に背骨を沿わせて就寝することにより、容易に側臥位を維持することができる。また、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾を有することによって、一般的な体型の人であれば、側臥位補助具を乗り越えるような大きな寝返りを一人ですることができる。寝返りは、側臥位補助具の湾曲した上面に沿ってスムーズにすることができ、さらに、寝返りによって側臥位補助具を乗り越えた後も、依然として側臥位を維持することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、
前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、前記第1部分は第1の高さ(H1)を有し、前記第2部分は第2の高さ(H2)を有し、前記第1の高さ(H1)と前記第2の高さ(H2)は、H1≦H2の関係を満たしている、側臥位補助具が提供される。この構成により、上気道の閉塞防止に特に重要な胸部の側臥位を維持して無呼吸症候群等を効果的に防止し、且つ、寝返りの要である腰部が容易に補助具を乗り越えられるようにして寝返りをし易くすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具が提供される。この構成により、使用者は、就寝当初から、腰から背を曲げた自然な寝姿勢で側臥位補助具に寄りかかることができるので、理想的な側臥位姿勢からずれることが少なく、且つ、ストレスも少ない。また、側臥位補助具がかまぼこ形の左右対称な断面形状を有しているため、寝返り後も理想的な側臥位姿勢がほぼ維持される。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項2に記載の側臥位補助具において、前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具が提供される。
【0020】
前記側臥位補助具の前記第1部分と前記第2部分は一体であってもよく、別体であってもよい。
【0021】
請求項7の発明によれば、敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と共に用いられる、クッション体を備えたサイド側臥位補助具が提供される。サイド側臥位補助具は、中央側臥位補助具の左右少なくともいずれか一方の側に載置され、且つ、サイド側臥位補助具の左右側面の少なくとも一方が、敷き寝具に対して垂直面を形成する。この構成により、使用者は、中央側臥位補助具に背骨を沿わせた状態で、サイド補助具の垂直面を腰部に当接させることにより、身体が中央側臥位補助具から離れて側臥位が維持できなくなることを防止することができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と、前記中央側臥位補助具に対して左右少なくともいずれか一方の側に載置される、少なくとも1つのサイド側臥位補助具とを備えた、側臥位補助具セットが提供される。前記中央側臥位補助具は、請求項1乃至6の発明の側臥位補助具であり、前記少なくとも1つのサイド側臥位補助具は、請求項7の発明のサイド側臥位補助具である。
【0023】
請求項9の発明によれば、クッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体の左右側面の各々は、該クッション体の下面に対して、それぞれ、30度以上40度以下の角度で傾斜しており、且つ、前記クッション体は3cm以上5cm以下の高さを有している、側臥位補助具が提供される。この構成により、一人で寝返りできない患者が介護者の手によって寝返りする際、クッション体の抵抗が少ないため介助が受けやすく、さらに、クッション体を乗り越えて寝返りしたときの落差が少ない。
【0024】
請求項10の発明によれば、側臥位姿勢にある体の前側と後ろ側に隣接して配置される、一対の側臥位補助具を備える側臥位補助具セットであって、前記側臥位補助具の各々は、クッション体を備えており、前記クッション体は、前記体に隣接する側の側面が、6c
m以上15cm以下の高さを有しており、且つ、前記クッション体の下面に対して50度以上90度以下の角度で傾斜している、側臥位補助具セットが提供される。この構成により、使用者は、一対の側臥位補助具の間で側臥位を維持し、且つ、頭部の位置を変えない寝返りをすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の側臥位補助具によれば、睡眠時無呼吸症候群の患者は、従来のリュックサック型、抱き枕型の補助具によって感じるような拘束感なく入寝することができ、側臥位を維持しつつ自然に寝返りをすることもできるので、無呼吸の症状が緩和されると共に快適に睡眠することができる。本発明の補助具を用いることによって、通常、約20%程度の側臥位率(側臥位時間/全睡眠時間;睡眠中の側臥位が維持される時間の総和の、全睡眠時間に対する割合)の人について、約80%の側臥位率が可能になった。本発明の側臥位補助具を使用するだけで、CPAP療法や他の治療法のような、ストレスのある療法をしなくとも無呼吸症候群が緩和される。また、本発明の側臥位補助具は、無呼吸症候群の患者だけでなく、単にいびきのひどい人の治療にも有効である。
【発明の詳細な説明】
【0026】
以下、添付の図面に参照して、本発明の実施形態を説明する。尚、添付の図面はいずれも概略図であり、各部分の寸法の比率は、必ずしも実寸どおりではない。
【0027】
[側臥位補助具の全体概要]
図1は、本発明の一実施形態による側臥位補助具の全体を示す斜視図である。図2は、図1の側臥位補助具の長手方向両端の端面図である。本実施形態による側臥位補助具1は、図1及び2に示すようなかまぼこ形のクッション体2を備えており、このクッション体2は、4cm以上8cm以下の高さHを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾Wを有している。この側臥位補助具1は、例えば、敷き布団やベッドのマットレスなどの敷き寝具上に載置され、使用者は、この側臥位補助具1の長手方向に延びる左右の側面3a、3bのいずれかに、背骨を沿わせて使用する。尚、本明細書において、側臥位補助具に関する「左右」、「上」、「下」等の用語は、特に断りのない限り、敷き寝具上に配置された側臥位補助具を、その長手方向両端のいずれか一方から見た場合について用いられるものである。
【0028】
[側臥位補助具のかまぼこ形形状について]
図1に示すように、本実施形態の側臥位補助具1は、全体として、かまぼこ形の形状を有しており、上記した一定の高さH及び巾Wを維持したまま、全長Lにわたって、ほぼ一様に延びている。本明細書において、「かまぼこ形」とは、巾方向断面がかまぼこ形である形状、具体的には図2に示されるような、略平坦な下面4と、下面4の左右両端から実質的にほぼ垂直方向に延びる略同一の高さを有する側面3a、3bと、該側面3a、3bの上端の間を延びる実質的に湾曲した上面5により形成される、左右対称な形状を意味する。
【0029】
[側臥位補助具の高さについて]
側臥位補助具1を形成するクッション体2は、本実施形態では、4cm以上8cm以下の高さHを有している。これにより、使用者は、睡眠中、意識的又は無意識的に、側臥位補助具1を左右に乗り越えて寝返りすることができる。このような寝返り可能な高さHは、通常、使用者の胸巾の約20〜25%に設定することが望ましい。高さを4cm以上8cm以下に設定することにより、側臥位補助具を、一般的な体型を有する男子、女子共に広く適用することができる。
【0030】
[側臥位補助具の巾について]
本実施形態のクッション体2は、8cm以上15cm以下の巾Wを有している。巾が小さすぎると、寝具上に置いたときに安定しない。また、クッション体2を乗り越えて寝返りしようとしてもクッション体2の上面5が潰れてしまい、スムーズに寝返りができない。一方、巾が大きすぎると、身体がクッション体2の上面5に乗り上げたまま止まってしまい、クッション体2を乗り越えることができない。クッション体2の巾Wは、通常、使用者の胸巾の約三分の一程度に設定することが望ましい。8cm以上15cm以下に設定すれば、一般的な体型を有する男子、女子共に広く適用することができる。
【0031】
[その他]
使用者は、側臥位補助具1の左右側面3a、3bのいずれかに、背骨を沿わせて使用するため、側臥位補助具1にはある程度の長さが必要とされる。この長さLは、特に制限されないが、使用者が側面3aまたは側面3bに沿って横たわった状態で胸椎付近から腰骨又は尾骨付近にかけて支持できる程度の長さが、安定して側臥位を維持できるので好ましい。本実施形態では、例えば、50cm〜70cmである。
【0032】
側臥位補助具1の材質は寄りかかってもあまり変形しない、ウレタン系、ゴム系等の発泡材や柔らかい樹脂系材料でよい。硬度は、ウレタンJIS規格で約200〜600Nが好ましい。硬度が高すぎると、寝返りしにくく、また、長時間寄り掛かったときに背中に凝りや痛みが生じる可能性がある。硬度が低すぎると、寄りかかったときの使用者の体重による変形の度合いが大きく、側臥位を維持する十分な効果が得られないうえに、側臥位補助具を乗り越える大きな寝返りがしにくくなる。硬度の測定は、JIS K6400に規定される方法で測定することができる。具体的には、50×380×380(mm)の試験片について、5N荷重時の厚みを元厚とし、元厚の75%圧縮後、元に戻して再度元厚の25%まで圧縮し20秒後の荷重を測定する。
【0033】
上記の構成の側臥位補助具1においては、使用者は、敷き寝具に対してほぼ垂直な側面3a、3bの一方(例えば側面3a)に背骨を沿わせて就寝することにより、ほぼ完全な側臥位(敷き寝具に対する腰部の角度が約90度である寝姿勢)を容易に維持することができる。さらに、4cm以上8cm以下の高さHを有し、且つ、8cm以上15cm以下の巾Wを有することによって、一般的な体型の人であれば、側臥位補助具1を乗り越える大きな寝返りを一人ですることができる。寝返りは、側臥位補助具1の湾曲した上面5に沿ってスムーズにすることができ、さらに、寝返りによって側臥位補助具1を乗り越えた後も、背骨が、乗り越えた側の垂直な側面3bに沿った状態にあるから、依然として側臥位を維持することができる。
【0034】
尚、側臥位補助具1は、上述したようなウレタン系、ゴム系等の発泡材や柔らかい樹脂系材料でつくることによって、側面3a、3bが垂直面であっても、完全側臥位から約30度程度傾くような小さな寝返りを可能とすることができる。このように大きな寝返りも小さな寝返りも可能とすることによって、使用者に強い拘束感やストレスを与えることなく、側臥位を維持できる。
【0035】
尚、側臥位補助具の左右の側面3a、3bは、側臥位補助具の下面4に対して完全な垂直面である必要はない。ほぼ完全な側臥位を維持することができる程度に、下面4に対して実質的に垂直であればよい。また、人が横たわった時の敷き寝具の傾きを考慮して、10度前後の角度調整をしてもよい。具体的には、図3に示すように、敷き寝具6上に置かれた側臥位補助具1の左右側面3a、3bのいずれかに沿って使用者(図示省略)が横たわったとき、重力方向の力Fが働いて、寝具6が沈み込み、使用者の側に傾く。この傾きの大きさは、敷き寝具6の軟らかさにより異なるが、通常、約10度程度が見込まれる。敷き寝具6の傾きにより、側臥位補助具1も傾くが、この傾きを修正しないと側臥位補助具1の上部が使用者の身体に圧力をかけることになって、使用者が圧迫感を感じる。従っ
て、側臥位補助具1の側面3a、3bの角度を、下面4に対して約10度前後、内側に傾けて形成してもよい。即ち、側面3a、3bと下面4の間の角度を約80度〜90度の間としても良い。これにより、就寝した時、敷き寝具6上で人体の位置する面(図3における水平面)に対して略垂直面を形成する。本願では、このように、側面3a、3bが下面4に対して約80度〜90度の傾きを有する形状も、かまぼこ形に含まれる。また、かまぼこ形クッション体2の上面5は、実質的に丸みを帯びていればよく、多少角ばっていてもよい。
【0036】
しかし、本発明の側臥位補助具1は、上記のような寝返り可能な高さと巾を有し、且つ、左右対称な、他の形状のものでもよい。例えば、図4乃至図5に示すような略三角形状又は台形形状の巾方向断面を有していてもよく、若しくは、図6に示すような巾方向断面を有していてもよい。即ち、下面の左右両端から側面と上面とが連続して一定の曲率半径の円弧を形成するように延びていてもよい。断面が略三角形状や台形の場合、左右の側面と下面の角度αは約30度以上であることが好ましい。特に、使用者が一人で寝返りを打つことができず、介護者の補助を必要とするような場合には、側面が下面に対して垂直面であると、側臥位補助具を形成するクッション体の抵抗が大きく介護しにくく、又、側臥位補助具の反対側へ寝返りした際の寝返り落差が大きすぎる。そのため、側面と下面との角度αは30度以上40度以下にし、且つ、高さHを3cm以上5cm以下に形成すると、寝返り介助がし易く、又、寝返り落差が大きいなどの心配がない。この場合、使用者は自力で寝返りを打つことがないので、側臥位補助具の巾は、寝具上に安定していればよく、特に限定されない。尚、寝返りをした後、介護者の手で完全側臥位にされると、使用者は一人では動けないため、寝返り後も側臥位を維持することができる。
【0037】
尚、本実施形態の側臥位補助具1は、長手方向において互いに分離された複数の部分によって形成されていてもよい。この場合の側臥位補助具1は、例えば、使用者の背中側の腰部に対応する位置に配置される第1の部分と、胸部に対応する位置に配置される第2の部分とを備えることができる。
【0038】
本実施形態の側臥位補助具1では、使用者は、かまぼこ形クッション体2の垂直な側面3a又は3bに背骨を沿わせて就寝することにより、ほぼ完全な側臥位を維持することができる。さらに、寝返り可能な高さH及び巾Wを有しているので、側臥位補助具1を意識的、又は無意識時に乗り越えて大きく寝返りすることができる。さらに、上面5が湾曲しているので、このような寝返りをスムーズに行うことができる。
【0039】
さらに、左右対称な形状であるので、使用者は、寝返りによって側臥位補助具1を左右いずれかの側に乗り越えた場合でも、背骨は乗り越えた側のほぼ垂直な側面3a又は3bに沿った状態にあるから、依然としてほぼ完全な側臥位を維持することができる。このように側臥位率を向上させることにより、いびき、無呼吸症候群の原因である、喉の周りの筋肉群が気道をふさぐ(舌沈下症等)のを防ぐことができる。
【0040】
しかし、体が側臥位補助具1から大きくずれて、側臥位補助具1がない状態になると、側臥位率が低下する。本発明の第2実施形態では、使用者の腰部の移動を防ぐサイド側臥位補助具を併用することにより、側臥位率をさらに向上させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
第2実施形態では、上記第1実施形態の側臥位補助具1を敷き寝具の中央に載置して、中央側臥位補助具1(以下、単に「中央補助具1」と称する)として使用し、更に、中央補助具1の左右少なくともいずれか一方の側に、少なくとも1つのサイド側臥位補助具10(以下、単に「サイド補助具10」と称する)を載置する。これら中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の組は、本願発明の側臥位補助具セットを構成する。
【0042】
図7は、中央補助具1とサイド補助具10の敷き寝具上の配置及び使用状態を示す上面図である(敷き寝具の外形の図示は省略してある)。図7の例では、サイド補助具10を中央補助具1の左右両側に1つずつ配置している。具体的には、サイド側臥位補助具10は、図7のように使用者100の大腿骨最上端部又は腸骨付近の腰部に当接する位置に配置して使用される。使用者100は、図7のように中央補助具1の側面3a、3bのいずれか一方に背骨を沿わせた状態で、横たわり、腰部を一方のサイド補助具10によって押さえる。中央補助具1から身体が離れてしまうような大きな寝返りは、腰部の移動によって起こる。寝返りをする時、腰部の動きを止められると回転は出来るが、横方向の大きな移動はできなくなる。従って、腰部をサイド補助具10で押さえることにより、睡眠中、使用者100が大きく寝返りして中央補助具1から離れることが防止され、側臥位率がより向上する。
【0043】
尚、本実施形態では、中央補助具として、第1実施形態のかまぼこ形側臥位補助具1が用いられているが、サイド補助具と共に用いられる中央補助具は、これには限られない。上述したような、寝返り可能な高さH及び巾Wを有し、且つ、左右対称な、他の形状のもの、例えば、図4乃至図5に示すような巾方向断面が略三角形状又は台形形状のものであってよく、若しくは図6に示すような巾方向断面を有する、下面両端から側面と上面とが連続して一定の曲率半径の円弧を形成するものであってもよい。中央補助具1の構成の詳細については第1実施形態で説明したものと同様であるので、本実施形態では、主に、サイド補助具10について説明する。
【0044】
[サイド補助具の全体概要]
図8は、サイド補助具10の全体を示す斜視図である。本実施形態で用いられるサイド補助具は、その左右の側面11a、11bの少なくとも一方が、敷き寝具に対してほぼ垂直面を形成している。図9は、図8のサイド補助具の長手方向両端の端面図である。サイド補助具は、その全長Lにわたって、ほぼ同一の巾W及び高さHで延びている。図9から分かるように、本実施形態のサイド補助具は、左右側面11a、11bのうち一方の側面11aのみを垂直面とする、巾方向断面が略直角三角形状の多角体である。
【0045】
[サイド補助具の垂直面について]
上記したように、本実施形態で用いられるサイド補助具10は、その左右側面11a、11bの少なくとも一方が、敷き寝具に対してほぼ垂直面を形成している点に特徴がある。少なくとも1つの垂直面を有するサイド補助具10は、その垂直面を使用者の腰部に当接させることにより、腰部の動きを効果的に制限することができる点で有利である。特に、中央補助具が、本実施形態のようにかまぼこ形側臥位補助具でなく、例えば、断面が略三角形状の側臥位補助具である場合でも、サイド補助具10の垂直面によって腰部を押さえることによって、使用者の身体が中央補助具から離れることを防止し、側臥位を効果的に維持することができる。
【0046】
中央補助具1がかまぼこ形でなく、且つ、サイド補助具10が垂直面を有していない場合には、腰部を押さえることが難しくなる。例えば、中央補助具1、サイド補助具10が共に略台形形状の断面を有している場合、一人で寝返りできる体力のある人であれば、両補助具の側面の傾斜に沿って自由に回転、移動ができてしまう。即ち、図10に示すように、就寝時の完全側臥位(腰部の角度90度)の位置pから位置a、位置bの角度に背部、腰部が容易に回転、移動し、側臥位率は低下する。
【0047】
一方、サイド補助具10が垂直面11aを有していると、中央補助具1の断面形状に関わらず、サイド補助具10の垂直面11aによって腰部の移動を効果的に防ぐことができる。さらに、図8及び図9に示されるように、サイド補助具10の上面(側面11aと側
面11bの間の移行部分)の面積が小さくなるように形成すると、上掛け布団との接触面積が小さくなるため、寝返りの時の上掛け布団の抵抗が少なくなり、サイド補助具10の、寝具上の位置が安定する。サイド補助具10は、中央補助具1と同じかまぼこ形でもよい。
【0048】
また、サイド補助具10の垂直面11aは、敷き寝具に対して実質的に垂直であればよい。
【0049】
[その他]
上述したように、サイド補助具10は、中央補助具1に背中を沿わせた状態で横たわる使用者100の腰部の動きを制限するため、使用者100の大腿骨最上端部又は腸骨付近の腰部に当接して使用される。従って、サイド側臥位補助具10の長さLは、大腿骨最上端部又は腸骨付近を押さえるために十分な長さであれば特に制限されないが、あまり長さが大きいと使用者に圧迫感を与える。本実施形態のサイド補助具の長さは、約10〜25cmである。尚、サイド補助具の巾Wは、サイド補助具が敷き寝具上で安定する巾であればよく、高さHは、特に制限されない。
【0050】
また、サイド補助具10の材質は、中央補助具1と同様に、寄りかかってもあまり変形しない、ウレタン系、ゴム系等の発泡材や柔らかい樹脂系でよく、ウレタンJIS規格で約200〜600Nの硬度が好ましい。硬度は、上述したJIS K6400に規定される方法で測定することができる。
【0051】
こうして、図7のように中央側臥位補助具1の一方の側面3aに背骨を沿わせて横たわり、一方のサイド補助具10の垂直面11aによって腰部を押さえることにより、身体が中央補助具1から離れることを防ぎ、側臥位率をより向上させることができる。さらに、サイド補助具10を、中央補助具1の左右両側にひとつずつ載置しておけば、一方の側から寝返りして中央補助具1を乗り越えても、乗り越えた側の中央補助具1の側面3bによって依然として側臥位を維持したまま、他方のサイド補助具10の垂直面11aによって再び腰部を押さえることができるので、大きな寝返りを可能にしつつ側臥位率を大巾に向上させることができる。
【0052】
しかし、本発明の別の実施形態では、中央補助具及びサイド補助具は、直径約8〜20cmの円筒状布袋にウレタン、プラスチック素材等などの枕充填用素材を充填させたものであってもよく、サイド補助具は、平形形状の布袋に枕充填用素材、ウレタン、プラスチック素材等を充填させたものであってもよい。この場合、中央補助具及びサイド補助具は、うつ伏せの寝姿勢を維持するための腹臥位補助具として用いることができる。腹臥位になっても、無呼吸症候群の原因である、舌沈下症等を防ぐことができ、鼾を防止することができることから、円筒状の中央補助具の上部にうつ伏せに寄りかかることにより無呼吸症候群の症状を軽減することができる。枕充填用素材を入れた円筒状または平形のサイド補助具を用いると、側臥位から寝返りをして、腹臥位になったとき腹部に収まり、安定した腹臥位になることができ、無呼吸症候群の症状を軽減することができる。特に、円筒状のサイド補助具は身体との接触がソフトであり、抱き枕として機能させることもできる。
【0053】
また、中央側臥位補助具1、サイド側臥位補助具10の下面にマジックテープ(登録商標)のフック状の面を接着させるか又は縫いつけておき、対応するパイル状の面を取り付けたシーツを寝具上に敷いて、該フック状の面とパイル状の面を接合して使用してもよい。シーツにパイル生地のメリヤスシーツを用い、マジックテープ(登録商標)のフック状の面を直接シーツに接合させてもよい。これにより、中央側臥位補助具、サイド側臥位補助具の敷き寝具上の位置を固定することができる。
【0054】
[第3実施形態]
第3の実施形態によれば、第2実施形態の側臥位補助具セットの位置を固定用布を用いて固定することができる。
【0055】
本実施形態では、中央側臥位補助具1及びサイド側臥位補助具10の位置を、固定用布を用いて、敷き寝具に固定させる。中央補助具1とサイド補助具10の間で側臥位にある人が寝返りを打とうとする場合、補助具が押されて、その間隔を広げようとする大きな力が作用する。このため、中央補助具1とサイド補助具10の位置を、敷き寝具に対して固定することが好ましい。さらに、中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の間隔は、腹部の大きさ等により個人差がある為、調節可能であることが好ましい。
【0056】
補助具を寝具に固定するためには、表生地と裏生地からなる一対の固定用布を用いることができる。
【0057】
図11に示す例では、中央補助具1及びサイド補助具10の上側を覆うための表生地20と、中央補助具1の下側を覆うための裏生地21からなる固定用布22を用いて、中央補助具1及びサイド補助具10の、敷き寝具等(図示省略)における位置を固定することができる。図11に示すように、固定用布22を形成する表生地20と裏生地21は、固定用布22の巾方向略中央部における位置22a、22bで縫合され、これにより、中央側臥位補助具1を差し込むための穴23が形成されている。固定方法は、次のように実施することができる。例えば、まず、固定用布22を、穴23が敷き寝具の巾方向略中央部に位置するように寝具上に配置する。穴23に中央補助具1を挿入した後、使用者が中央補助具1に沿って側臥位になったときの、使用者の身体の寸法、たとえば固定用布22の巾方向に見た腹部の大きさ(厚み)に対応する間隔を空けてサイド補助具10を、中央補助具1の左右に配置すると共に、表生地20の両端部20a、20bで、サイド補助具10を包み込む。このとき、図11に示すように、端部20a、20bの縁が、サイド補助具10と中央補助具1の間の位置まで届いていることが好ましい。こうすると、使用者がサイド補助具10と中央補助具1の間に横たわったとき、端部20a、20bの縁が使用者の体重によって押さえられ、固定されるからである。
【0058】
この固定方法により、中央補助具1は表生地20と裏生地21との間の穴23の中で固定され、サイド補助具10は、表生地20により包み込まれて、移動が出来ず、しっかりと固定される。また、サイド補助具10を包み込む表生地20の端部の量を調節することにより、中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の間隔を調節することができる。中央側臥位補助具1とサイド側臥位補助具10の間隔は人により、腹部の大きさにより異なる為、このようにすると全ての人に対応できる。
【0059】
しかし、表生地20と裏生地21とを一方の位置、例えば22aで縫合し、他方の位置22bでは、表生地20と裏生地21のそれぞれに、例えば、マジックテープ(登録商標)等の着脱自在のテープのフック面とパイル面とを互いに対応する位置に縫いつけ、接合することにより、中央側臥位補助具1を包み込むようにしてもよい。この場合は、図11の例と同様に固定用布22を寝具上に配置した後、開放状態の位置22bから中央補助具1を穴23に入れて、その後、表生地20と裏生地21を位置22bのマジックテープ(登録商標)で接合することができる。
【0060】
さらに別の例では、図12に示すように、中央補助具1及びサイド補助具10の上側を覆うための表生地30と、中央補助具1の下側及びサイド補助具10の上側を覆うための裏生地31とからなる固定用布32が用いられる。表生地30と裏生地31は、固定用布32の巾方向略中央部における位置32a、32bで縫合されて、中央補助具1を差し込むための穴33が形成されている。この場合の固定方法は、例えば、まず、固定用布32を
、穴33が敷き寝具上の巾方向略中央部に位置するよう寝具上に配置し、中央補助具1を穴33に挿入した後、図11の例と同様に適当な間隔を空けてサイド補助具10を中央補助具1の左右に配置すると共に、裏生地31の端部31a、31bでサイド側臥位補助具10を包み込む。このときも、端部31a、31bの縁が、サイド補助具10と中央補助具1の間の位置まで届いていることが好ましい。図12の例では、裏生地31で包み込まれたサイド側臥位補助具10は、さらに、その上部を表生地30によって覆われることにより保護され、固定される。この場合、表生地30を、寝具の巾全体に延びて端部30a、30bが寝具の下に回る大きな長さにすると補助具セット全体が、より安定的に固定される。表生地30は、比較的薄地で柔らかいものが好ましい。尚、中央補助具1を差し込むための穴33は、表生地30と裏生地31を、一方の位置、例えば32aで縫合し、他方の位置32bにてマジックテープ(登録商標)等により接合して形成しても良い。
【0061】
また、図13にさらに別の例を示す。この例では、 表生地40と、一対の裏生地41a、41bとからなる固定用布42が用いられている。裏生地41a、41bは、それぞれ、位置45a、45bで表生地40と縫合されている。更に、裏生地41a、41bのそれぞれには、マジックテープ(登録商標)等の着脱自在のテープのフック面、パイル面が互いに対応する位置に縫いつけられており、使用時にこれらを接合して、中央補助具1を固定するための穴43が形成されるようになっている。図13に示される固定方法では、例えば、まず、裏生地41a、41bがマジックテープ(登録商標)により互いに接合されていない、開放状態の固定用布42を、寝具(図示省略)上に載置した中央補助具1とサイド補助具10の上側を覆うように配置する。そして、中央補助具1の下面を覆うように裏生地41a、41bを重ね、接合位置44にてマジックテープ(登録商標)で互いに接合する。これにより、中央補助具1は、穴43の中で固定される。その後、サイド補助具10の位置を調整し、図12の例と同様に裏生地41a、41bの両端部で左右のサイド補助具10を包み込む。裏生地41a、41bで包み込まれたサイド側臥位補助具10は、さらに、その上部を表生地40によって覆われることにより保護され、固定される。この場合、表生地40を、寝具の巾全体に延びて端部が寝具の下に回る大きな長さにすると補助具セット全体が、より安定的に固定される。
【0062】
しかし、中央補助具とサイド補助具の位置は、一枚の生地からなる固定用布50を用いて固定されても良い。図14の例では、例えば、布50の上面中央部の位置51にマジックテープ(登録商標)等の着脱自在のテープのフック面又はパイル面を縫合し、中央側臥位補助具1の下面の対応する位置にパイル面又はフック面を取り付けている。この固定方法では、寝具上にサイド補助具10を適当に配置した後、布50をサイド補助具10の上側を覆うように配置する。その後、マジックテープ(登録商標)のフック面とパイル面とを接合することにより中央補助具1を固定し、さらに、布50の端部50a、50bでサイド補助具10を包み込んで固定することができる。
【0063】
尚、固定用布は、中央補助具、サイド補助具の全体を覆っている必要はなく、長さ方向の寸法は、特に制限されない。即ち、固定用布は、必ずしも、中央補助具、サイド補助具の長さ方向全体にわたって延びている必要はない。中央補助具、サイド補助具の位置を固定することができる程度の長さがあればよい。
【0064】
ところで、上記したように、無呼吸症候群やいびきの予防の為には、特に胸部から頭部を横向きにすることが必要且つ重要であるが、長手方向に一様な高さを有する側臥位補助具では、胸部から頭部を横向きにする為に、側臥位補助具の全体が比較的大きな高さを有することになる。しかし、長手方向に均一に大きな高さを有する側臥位補助具は、一般に乗り越え可能な高さに設定されていても、使用者によっては、容易に乗り越えることが困難で、寝返りが難しい場合がある。
【0065】
[第4実施形態]
[全体概要]
以下、図15〜20を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。図15は、本発明の第4実施形態による側臥位補助具101の一例について、その全体を示す斜視図である。第4実施形態の側臥位補助具101は、長手方向に関して一様な幅Wを有する、断面形状がかまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具である点で第1実施形態と共通しているが、クッション体102が高さ方向に段差を有する、段差付側臥位補助具である点で第1実施形態と異なっている。図15の例では、クッション体102が、所定の高さ(第1の高さ)H1を有する第1部分102aと、所定の高さ(第2の高さ)H2を有する第2部分102bとを備え、第1の高さH1が第2の高さH2より小さく設定されている。第1部分102aと第2部分102bとは、一体であってもよいし、別体であっても良く、第1実施形態の側臥位補助具1と同様の材料を用いて、通常の方法により一体的又は別々に成形される。図示の例では、第1部分102aと第2部分102bは互いに別体である。図16は、図15の側臥位補助具101を第1部分102a側の端面から長手方向に見た端面図である。図17(A)は、側臥位補助具101の平面図であり、(B)は側面図である。
【0066】
図18は、第4実施形態の側臥位補助具101の敷き寝具(図示せず)上の配置及び使用状態の例を示す上面図である。第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、本実施形態の側臥位補助具101は、敷き寝具上で側臥位姿勢にある使用者の背中側に配置して用いられる。図18に示すように、第1部分102aと第2部分102bは、使用者200の身長方向に、互いに間隔を空けて又は少なくとも部分的に接するように概ね整列させられる。第2部分102bより高さの小さい第1部分102aは、使用者200の腰部の後ろ側に配置され、第1部分102aより大きな高さを有する第2部分102bは、胸部の後ろ側に配置される。より具体的には、第1部分102aは、使用者200の背中側に、少なくとも腰部に対応する位置に腰部と接するように配置され、第2部分102bは、少なくとも胸部に対応する位置に胸部と接するように配置される。敷き寝具上で安定して側臥位を維持するため、腰部側に置かれる第1部分102aの長さL1は、胸椎9番目から尾骨より下に来る長さ、例えば、40〜50cmであり、胸部側に置かれる第2部分102bの長さL2は、胸椎1番から8番目くらいまでの長さ、例えば、20〜30cmであることが好ましい。しかし、これらの数値は、使用者の体型によって変わり得る。
【0067】
[側臥位補助具の高さについて]
図19(A)、(B)は、本実施形態の側臥位補助具101の使用状態の例を示す概略説明図であり、それぞれ、使用者の胸部付近と腰部付近を示している。(A)は第2部分102bに寄りかかった使用者の胸部付近(例えば、図18の位置X−X付近に対応する)を示し、(B)は第1部分102aに寄りかかった使用者の腰部付近(例えば、図18の位置Y−Y付近に対応する)を示している。
【0068】
本実施形態の側臥位補助具101は、睡眠中、使用者の少なくとも腰部が、意識的又は無意識的に第1部分102aを容易に乗り越えられるようにするため、第1部分102aの高さH1が第2部分102bの高さH2より低く設定されている。高さH1が小さい方が腰部の寝返りはし易い。また、高さH1を小さくすることで腰部の側臥位は維持しにくくなるが、腰部を30〜45度程度回転させると、胸部は腰部とは異なる回転角度を保持することができる。従って、図19(A)、(B)に示すように、例えば、腰部の傾斜角度を少なくとも約30度程度確保し、且つ、高さの大きな第2部分102bによって胸部の傾斜角度を約60度以上に保持すれば、使用者200の頭部200aは横向きに傾き、無呼吸症防止のために必要な、上気道付近の側臥位率を非常に高くすることができる。従って、腰部側の第1部分102aの高さH1は、通常、胸幅の約15%に設定され、胸部側の第2部分102bの高さH2は、胸幅の約20〜約25%の範囲に設定される。第2部
分102bの高さH2は、使用者の胸部が第2部分102bを意識的又は無意識的に乗り越えて寝返りし易い範囲である。腰部と胸部は互いに相互作用することから、腰部が第1部分102aを乗り越えるように回転すれば、胸部もまた、第2部分102bを乗り越えるように回転が促される。また、第2部分102bの高さH2が第1部分102aの高さH1より大きくても、側臥位時の胸部の高さは肩幅の分だけ腰部の高さに比べて大きいため、胸部がクッション体102から受ける抵抗は、腰部が受ける抵抗より少なく、寝返りはし易い。従って、腰部の回転を容易にすることによって、胸部を含めた身体全体の回転を容易にすることができる。このように、本実施形態の側臥位補助具101では、腰部の回転を容易にすることで使用者の身体全体の寝返りをさらに容易にし、且つ、胸部の側臥位姿勢を確実に維持して、無呼吸症候群やいびきの原因である気道の閉塞を効果的に防止することができる。
【0069】
図15に示す例では、一般的な体型を有する男女共に広く適用できるように、クッション体102の第1部分102aの高さH1は、4〜6cmに設定され、第2部分102bの高さH2は、6〜9cmに設定されている。しかし、第1部分102a、第2部分102bの高さH1、H2は、上記の値に限られず、使用者の体型により異なっていてよい。特に運動選手等、大きな体型の人の場合は上記の値とは異なる高さに設定されてよい。第4実施形態では、腰部の後ろ側に配置される第1部分102aが、胸部の後ろ側に配置される第2部分102bより小さい高さを有していることが重要である。
【0070】
[その他]
また、第4実施形態の側臥位補助具101は、敷き寝具上に中央側臥位補助具として配置され、第2実施形態で示したものと同様の形態のサイド側臥位補助具103を、中央補助具101の両側に配置してもよい。図18及び19は、この場合の使用状態を示している。サイド補助具103を中央補助具101の両側に配置することによって、回転の要である腰部を押さえることができ、これにより、使用者の身体が中央補助具101から離れることを防ぎ、側臥位率をより向上させることができる。また、サイド補助具103は、使用者の腰部に対応する位置だけでなく、胸部に対応する位置にも設けてよい。これにより、胸部を水平面に対してほぼ垂直な角度に保持することができ(図20参照)、上気道の閉塞を防ぐために特に重要な、胸部の側臥位姿勢をより効果的に維持することができる。
【0071】
第1部分102aと第2部分102bの一様な幅Wは、第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、通常、使用者の胸幅の約三分の一程度に設定されることが好ましく、一般的な体型を有する男女共に広く適用できるように、8cm以上15cm以下に設定することが好ましい。
【0072】
尚、図示の例では、第1部分102a、第2部分102bは、それぞれ、長手方向に関して一様な高さH1、H2を有しているが、これには限られない。第1部分102aと第2部分102bは、それぞれ、長手方向に沿って変化する高さを有していてもよく、これらの互いに隣接する縁部で、必ずしも明確な段差を有していなくてもよい。
【0073】
[第5実施形態]
[全体概要]
次に、図21〜26を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
図21は、本発明の第5実施形態による側臥位補助具201の例を示す斜視図である。第5実施形態の側臥位補助具201は、長手方向に関して一様な高さHを有する、断面形状がかまぼこ形のクッション体202を備えた側臥位補助具である点で第1実施形態と共通しているが、クッション体202が、互いに異なる幅を有する第1部分202aと第2部分202bとを備えた側臥位補助具である点で、第1実施形態と異なっている。第1部
分202aと第2部分202bとは、一体であってもよいし、別体であっても良く、第1実施形態の側臥位補助具1と同様の材料を用いて、通常の方法により一体的又は別々に成形される。図の例では、第1部分202aと第2部分202bは別体である。図22は、図21に示す側臥位補助具201を、第1部分202a側から長手方向に見た端面図である。図23(A)は、図21の側臥位補助具201の平面図であり、(B)は側面図である。図24は、図21に示す側臥位補助具201の敷き寝具上の配置及び使用状態の例を示す。図24に示されるように、第4実施形態と同様、側臥位補助具201の第1部分202aは、使用者300の腰部側に配置され、第2部分202bは、使用者300の胸部側に配置して使用される。第1部分202aと第2部分202bの長さL1、L2の例は、第4実施形態と同様である。
【0074】
[側臥位補助具の幅について]
図23(A)に示すように、本実施形態の側臥位補助具201は、第1部分202aと第2部分202bが互いに異なる幅を有するように形成されている。図の例では、第1部分202aは単一の幅W1、即ち長手方向に関して一様な幅W1を有している。一方、第2部分202bの幅は、長手方向に沿って変化している。図22及び図23(A)において、W2は、第2部分202bにおける、第1部分202aに隣接する側の縁部の幅を示し、W3は、第2部分202bにおける、第1部分202aと反対の側の縁部の幅を示す。第5実施形態では、側臥位補助具のこれらの幅W1、W2、W3は、W1≦W2≦W3の関係を満たすように設定される。図23(A)の例では、各幅は、W1<W2<W3の関係にあり、特に、第2部分202bは、第1部分202aに隣接する側の縁部を上底とする台形形状を有している。W1≦W2≦W3の関係を満たす側臥位補助具201の他の例を、図25(A)、(B)に示す。図25(A)の例は、W1=W2<W3の関係を満たす側臥位補助具の例であり、図25(B)は、W1<W2=W3の関係を満たす例である。しかし、本実施形態では、W1=W2=W3であってもよい。この場合の側臥位補助具201は、図1等に示される第1実施形態の側臥位補助具1と実質的に同様の形態である。しかし、本実施形態における側臥位補助具の各幅の関係は、図23(A)及び図25(A)、(B)に示されるW1<W2<W3、W1=W2<W3、またはW1<W2=W3であることが好ましい。その理由を以下に説明する。
【0075】
無呼吸症候群やいびきを防止するためには、口蓋垂周辺の筋肉の垂れによる上気道の閉塞を予防しなければならないが、そのためには、顔面角度(顔面方向における頭部の水平面に対する角度位置。図19(A)を参照)を45度以下にすることが好ましい。例えば、胸部角度を45度にすると、首は顔面の後方に位置することから、重力の影響により顔面角度は胸部角度より小さい45度以下になると考えられる。従って、顔面角度を好ましい角度に維持するためには、胸部の角度を45度以上にすることが望ましい。図26(A)(B)は、側臥位補助具201に対する使用者300の寄りかかり姿勢を説明するための概略図である。図26(A)は、本実施形態との比較のため、長手方向に一様な幅を有する側臥位補助具(例として、第1実施形態の側臥位補助具1を示す)に対する使用者300の寄りかかり姿勢を示し、図中M及びM’は、共に、この側臥位補助具1に寄りかかった使用者300の胸部付近の位置を示す。図26(B)は、本実施形態の側臥位補助具201に対する使用者300の寄りかかり姿勢を示し、図中Nは、側臥位補助具201に寄りかかった使用者300の胸部付近(例えば、図24の位置X’−X’付近に対応する)の位置を示す。尚、説明のため、図26(B)では、側臥位補助具201の第1部分202aの外形を破線で示している。
【0076】
図24の例に示すように、人は側臥位になると、軽く足を折り、腰を曲げて、背中から頭部にかけてえび状の姿勢をとるのが自然である。即ち、多くの人は、尾骨から第7頚椎までが、直線状にならずに軽い曲線を描くような姿勢になる。しかし、図7の上面図から分かるように、長手方向に一様な幅を有する側臥位補助具1では、補助具1の側面は、補
助具1の長手方向の全体に亘って直線状に延びている。従って、図7に示されるように、就寝当初、使用者は、この直線状に延びる側面に沿って、ほぼ直線状の(えび状でない)姿勢で横たわることになる。例えば約45度の胸部角度(以下、「正常状態」)で側臥位補助具1に寄りかかった場合の、使用者300の胸部付近の位置を、図26(A)のMで示す。
【0077】
しかし、上記したように、側臥位になった人の背中はえび状に軽く折り曲げられた姿勢になるのが自然である。そのため、就寝後の使用者300の姿勢は、直線状からえび状に変化し、このとき、使用者300の胸部付近の位置は、図26(A)に示すMからM’に変化する。このため、図26(A)に示すように、就寝後の使用者300の胸部と敷き寝具500との接触点は、寄りかかり当初のB点からC点へ、通常3〜4cm程度、補助具の中心から離れる方向に移動する。この結果、図から分かるように、胸部付近の傾斜角度は、寄りかかり当初の正常状態に比べてかなり緩やかになり、特に、サイド補助具を使用しない場合には、側臥位率が低下するおそれがある。
【0078】
これに対し、図21に示す本実施形態の側臥位補助具201では、胸部の後ろ側に配置される第2部分202bの幅が、第1部分202a側からこれと離れる方向に、第1部分202aの幅より次第に大きくなるよう設定されている。これにより、第1部分202a及び第2部分202bを含めた側臥位補助具201全体の側面の形状が、人が自然とえび状に腰から背を曲げたときの、人の背中が描く曲線に近い形状になっている。従って、図24に示すように、使用者300は、このように幅が変化する補助具201の側面に沿って、自然と身体を折り曲げたえび状の寝姿勢を、就寝当初からとることができる。従って、補助具201に対する使用者300の胸部付近の位置Nは、就寝後もほぼ維持される。使用者300が補助具201を乗り越えて寝返りしても、補助具201は左右対称なかまぼこ形の断面形状を有しているため、寝返り後も使用者300は自然なえび状姿勢をとることができ、側臥位補助具201に対する胸部付近の位置は、ほぼ変わらず維持される。
【0079】
図26(B)において、就寝当初の胸部と敷き寝具500との接触点Dは、図26(A)のB点と比較して、第2部分202bと第1部分202aの幅の差分だけ左方へずれているが、使用者300は寄りかかり当初からえび状の寝姿勢にあるため、図26(A)のように就寝後にずれることがなく、ほぼD点のままである。従って、使用者300が、就寝当初に正常状態で寄りかかった後は、胸部角度の低下は起こらず、高い側臥位率を維持することができる。
【0080】
このように、第5実施形態の側臥位補助具201では、補助具の側面を、人が自然と身体をえび状に折り曲げた時の背中が描く曲線に近い形状にすることができる。このため、全体が単に直線状に延びる側面に寄りかかった場合と比較して、就寝当初の胸部と敷き寝具との接触点が、ほぼずれることなく維持される。従って、胸部角度の減少が起こりにくく、就寝後も胸部角度を正常状態に維持し易い。この目的のため、本実施形態の側臥位補助具の各幅の関係は、図23、図25(A)、又は図25(B)に示す関係、即ち、W1<W2<W3、W1=W2<W3、又はW1<W2=W3であることが好ましい。
【0081】
第1部分202aの幅W1は、敷き寝具上での補助具の安定性、乗り越え易さ、使用者の一般的な体型等を考慮して、通常、8〜12cm程度が好ましい。このとき、第2部分202bにおける、少なくとも第1部分202aと反対の側の縁部の幅W3は、通常、8〜20cm程度である。しかし、W3はW1より2〜8cm程度大きいことがより好ましく、W1より6〜8cm程度大きいことが更に好ましい。例えば、W1を12cmとし、W3をこれより6cm大きい18cmとすると、側臥位補助具201の左右それぞれの側における幅の差を(18−12)/2=3cmにすることができる。即ち、W3をW1より6〜8cm程度大きくすることによって、側臥位補助具201の左右それぞれの側に3〜
4cm程度の幅の差を設けることができる。この差は、上記した点B−C間の距離(直線状に延びる側面に寄りかかった場合の胸部と敷き寝具との接触点のずれ(図26(A)参照))にほぼ対応するものであり、これにより、使用者は、側臥位補助具201の側面に沿って、自然なえび状姿勢になることができる。
【0082】
第2部分202bにおける、第1部分202aに隣接する側における縁部の幅W2は、W1≦W2≦W3を満たすように設定されればよい。
【0083】
しかし、上記幅W1、W2、W3の具体的数値は、使用者の体型により変わることは言うまでもない。
【0084】
上記第4実施形態では、幅が同一で高さの異なる第1部分と第2部分を備える側臥位補助具の例、第5実施形態では、高さが同一で幅の異なる第1部分と第2部分を備える側臥位補助具の例を、それぞれ、別々に記載したが、本発明の側臥位補助具は、第4実施形態の特徴と第5実施形態の特徴の両方を備えていてもよい。即ち、第2部分は第1部分より大きな高さを有すると同時に第1部分より大きな幅を有していてもよい。
【0085】
[その他]
第1部分202aと第2部分202bの長手方向に関して一様な高さHは、第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、使用者が意識的又は無意識的に寝返り可能な高さとして、通常、使用者の胸幅の約20〜25%に設定されることが好ましく、一般的な体型の男女に広く適用できるように、4cm以上8cm以下に設定することが好ましい。
【0086】
また、第4実施形態または第5実施形態の側臥位補助具101、201、または第4実施形態と第5実施形態の両方の特徴を備えた側臥位補助具は、第1実施形態の側臥位補助具1と同様に、敷き寝具の中央に配置され、その両側又は一方に配置されるサイド側臥位補助具と共に用いることができる。この場合、第3実施形態に示す固定方法を用いて敷き寝具上の位置を固定することができる。
【0087】
[第6実施形態]
[全体概要]
上記実施形態のかまぼこ形の側臥位補助具は、敷き寝具上のほぼ中央に配置して使用することができ、使用者はこれを乗り越えて寝返りができると同時に、側臥位姿勢を維持できる。しかし、身体の弱い人、腰部に故障のある人、体重が大きい人等は、側臥位補助具を乗り越えるほどの大きな寝返りがしにくい場合がある。また、敷き寝具の中央に配置される側臥位補助具に抵抗を感じる人もいる。このような人に好適な側臥位補助具のセットが、本実施形態により提供される。
【0088】
人が仰臥位から側臥位に、側臥位から仰臥位に寝返りするとき、多くの人は、身体の中心線を変えずに寝返りする。即ち、寝返り前の頭部の位置は、寝返り後の頭部の位置とほぼ同じである。
【0089】
身体の弱い人、腰部に欠陥のある人、体重の大きな人等にとっては、中央側臥位補助具を乗り越えて側臥位になることが難しい場合がある。このような人の場合、上記した寝返りの特徴を利用することによって、敷き寝具の中央に側臥位補助具を配置せず、使用者の身体の左右両側に以下に説明する形態のサイド側臥位補助具セットを配置することのみで、高い側臥位率を維持できる。第6実施形態のサイド側臥位補助具セットでは、使用者は、一対のサイド側臥位補助具の間で回転するような寝返りができ、且つ、側臥位姿勢を維持できる。
【0090】
図27は、一対のサイド側臥位補助具400、400から構成される、本実施形態のサイド側臥位補助具セット401の例を示す。図27は、サイド側臥位補助具セット401を構成する一対のサイド側臥位補助具400、400を敷き寝具600上に配置したときの長手方向両端の端面図である。各サイド側臥位補助具400は、その全長にわたって、ほぼ同一の幅W及び高さHで延びている点で、図8及び9に示す第2実施形態のサイド補助具10と共通している。さらに、図示の例では、幅方向断面が略直角三角形状の多角体であると共に、左右側面のうちの一方の側面のみをほぼ垂直な面とし、この面を使用者の身体に当接させて用いることができる点で第2実施形態のサイド補助具10と共通している。しかし、以下に説明するように、第6実施形態に用いられる各サイド側臥位補助具400は、第2実施形態と異なり、高さHに特徴を有している。また、使用者の身体に当接させる側面と敷き寝具600に接する下面との間の角度Rは、必ずしもほぼ直角である必要はない。
【0091】
[サイド側臥位補助具の高さHについて]
上記した本発明のかまぼこ形側臥位補助具は、敷き寝具上のほぼ中央に配置することができ、使用者が意識的又は無意識的にこれを乗り越えても、側臥位を維持できるように構成されている。このため、かまぼこ形の側臥位補助具の高さは、使用者が乗り越えることが可能であるように、胸幅の約25%以下に設定されている。しかし、本実施形態に用いられるサイド側臥位補助具400の場合、使用者が容易にこれを乗り越えてしまうと、同一位置での回転を許容しつつ側臥位を維持するという、本実施形態の効果が得られない。そのため、第6実施形態におけるサイド側臥位補助具400の高さHは、使用者がこれを容易に乗り越えられない高さに設定され、通常、使用者の胸幅の約25%以上に設定される。高すぎると使用者が圧迫感を感じるため、25%〜30%程度が好ましい。一般的な体型の人は胸幅30cm程度であることから、本実施形態に用いられるサイド側臥位補助具400の高さは、6〜15cmが好ましい。
【0092】
図28は、図27に示すサイド側臥位補助具セット401の敷き寝具(図示せず)上の配置及び使用状態の例を示す平面図である。図28の例では、サイド側臥位補助具セット401は、使用者の胸部付近と腰部付近に1セットずつ配置されている。具体的には、一対のサイド側臥位補助具400が使用者の身体の左右両側における胸部付近に密着するように配置され、もう一対のサイド側臥位補助具400が、使用者の身体の左右両側における腰部付近に密着するように配置されている。使用者は、このように配置された二対のサイド側臥位補助具400の間で、側臥位姿勢で横たわる。
【0093】
[サイド側臥位補助具の角度Rについて]
上記したように、各サイド側臥位補助具400の、使用者の身体に密着する側の側面と下面との間の角度Rは、図27の例ではほぼ直角であるが、これには限られない。図3を参照して説明したように、人が横たわったとき敷き寝具は約10度前後傾き、これにより側臥位補助具も使用者側に傾くが、この傾きを修正しないと使用者が圧迫感を感じることがある。また、補助具の側面が身体に密着して配置されるため、補助具を乗り越えない回転は、角度Rが小さい方が抵抗が少なく容易である。一方、胸部の傾斜角度が45度以上の側臥位姿勢を保持するには、側臥位補助具の上部に寄りかかって接するときの身体と敷き寝具の間の角度は、45度以上であることが好ましい。これらの点を考慮して、角度Rは、90度より小さくてよく、例えば、約50度〜約90度の範囲にあることが好ましい。
【0094】
[その他]
各サイド側臥位補助具400の長さHは、通常、10〜25cmであり、これは、第2実施形態のサイド補助具10の長さと同様である。腰部側に配置されるサイド側臥位補助具(腰部サイド補助具)セット401と胸部側に配置されるサイド側臥位補助具(胸部サイド補助具)セット401の間に使用者の腹部が収まるように配置すると、腹部が圧迫さ
れない。痩せている人、腹部の突出していない人が使用する場合、各腰部サイド補助具400と胸部サイド補助具400とを一体化して、40〜50cm程度の長さの、一対のサイド側臥位補助具セットを形成してもよい。
【0095】
各サイド側臥位補助具400の幅Wは、サイド側臥位補助具400が敷き寝具上で安定する幅であればよく、例えば、角度Rをほぼ90度とした場合、幅Wは高さHの2倍より少ない方が、安定した形状が得られるため好ましい。
【0096】
各サイド側臥位補助具400の材質及び硬度は、第1及び第2実施形態で説明したものと同様である。
【0097】
このように構成されたサイド側臥位補助具セット401では、各サイド側臥位補助具400、400の間に側臥位姿勢で横たわった使用者は、補助具の間で身体の中心線を変えない(即ち、頭部の位置を変えない)寝返りをすることができる。各サイド側臥位補助具400は、側臥位姿勢の身体に密着した状態で配置されているので、使用者は寝返りの際に長時間仰臥位姿勢を維持することがなく、高い側臥位率が得られる。
【0098】
尚、図示の例では、各腰部サイド側臥位補助具400と各胸部サイド側臥位補助具400は、同一形状を有している。しかし、各腰部サイド側臥位補助具400と各胸部サイド側臥位補助具400は、同一形状でなくてもよい。上記したように、寝返りの要は腰部にあり、また、サイド補助具の間の回転は、サイド補助具の角度Rが小さく、また、高さHも低い方が、抵抗が少なく回転し易い。また、腰部と胸部は互いに相互作用するため、寝返り時、胸部が補助具を乗り越えられなければ、腰部は、補助具が乗り越えられる高さでもこれを乗り越えずにその場で回転する。従って、胸部側サイド補助具400の角度R及び高さHが上記した範囲内(角度R:約50度〜約90度;高さH:約6cm〜約15cm)であれば、腰部サイド補助具の角度Rが胸部サイド補助具の角度Rより小さくてもよく、腰部サイド補助具の高さHが胸部サイド補助具の高さHより低くてもよい。換言すれば、上記した範囲の角度Rと高さHを有する本実施形態のサイド側臥位補助具セットは、少なくとも使用者の胸部付近に配置されていればよい。これにより、仮に使用者が乗り越えられる高さの補助具が腰部付近に配置されても、使用者は、実際に補助具を乗り越えることはない。従って、使用者はサイド補助具の間の空間内で、寝返りでき、且つ、安定して側臥位を維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本願発明の側臥位補助具は、鼾のひどい人や、睡眠時無呼吸症候群の患者の治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態による側臥位補助具の斜視図である。
【図2】図1に示す側臥位補助具の長手方向両端の端面図である。
【図3】就寝時の敷き寝具の沈み込みを説明するための概略説明図である。
【図4】本発明の他の実施形態による側臥位補助具の、図2に対応する端面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による側臥位補助具の、図2に対応する端面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による側臥位補助具の、図2に対応する端面図である。
【図7】本発明の一実施形態による側臥位補助具セットに用いられる、中央側臥位補助具とサイド側臥位補助具の配置及び使用状態を示す平面図である。
【図8】図7に示すサイド側臥位補助具の斜視図である。
【図9】図8に示すサイド側臥位補助具の長手方向両端の端面図である。
【図10】中央側臥位補助具とサイド側臥位補助具が共に傾斜面を有する場合の使用状態を説明するための図である。
【図11】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の一例を示す図である。
【図12】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の他の例を示す図である。
【図13】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の他の例を示す図である。
【図14】本発明の側臥位補助具セットの固定方法の他の例を示す図である。
【図15】本発明の第4実施形態による側臥位補助具の斜視図である。
【図16】図15に示す側臥位補助具を、第1部分から長手方向に見た端面図である。
【図17】(A)は図15に示す側臥位補助具の平面図であり、(B)は側面図である。
【図18】図15に示す側臥位補助具の使用状態の例を示す平面図である。
【図19】(A)、(B)は、それぞれ、図15に示す側臥位補助具に寄りかかった使用者の胸部付近と腰部付近を示す概略説明図である。
【図20】図15に示す側臥位補助具と共にサイド補助具を使用した場合の使用者の胸部付近を示す概略説明図である。
【図21】本発明の第5実施形態による側臥位補助具の例を示す斜視図である。
【図22】図21に示す側臥位補助具を、第1部分から長手方向に見た端面図である。
【図23】(A)は図21に示す側臥位補助具の平面図であり、(B)は側面図である。
【図24】図21に示す側臥位補助具の使用状態の例を示す平面図である。
【図25】(A)、(B)は、それぞれ、第5実施形態の側臥位補助具の他の例を示す平面図である。
【図26】(A)、(B)は、それぞれ、側臥位補助具に対する使用者の寄りかかり姿勢を示す概略説明図である。
【図27】第6実施形態のサイド側臥位補助具セットの長手方向両端の端面図である。
【図28】は、図27に示すサイド側臥位補助具セットの使用状態の例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 側臥位補助具
2 クッション体
3a、3b 側面
4 下面
5 上面
6 敷き寝具
10 サイド側臥位補助具
11a、11b 側面
100 使用者
20、30、40 表生地
20a、20b、30a、30b 表生地端部
21、31、41a、41b 裏生地
22、32、42、50 固定用布
23、33、43 穴
31a、31b 裏生地端部
50a、50b 端部
101、201 側臥位補助具
102、202 クッション体
102a、202a 第1部分
102b、202b 第2部分
103、104 サイド側臥位補助具
200、300 使用者
200a 使用者の頭部
400 サイド側臥位補助具
401 サイド側臥位補助具セット
500、600 敷き寝具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の幅を有している、側臥位補助具。
【請求項2】
かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、
前記第1部分は第1の高さ(H1)を有し、前記第2部分は第2の高さ(H2)を有し、前記第1の高さ(H1)と前記第2の高さ(H2)は、H1≦H2の関係を満たしている、側臥位補助具。
【請求項3】
かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、
前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具。
【請求項4】
請求項2に記載の側臥位補助具において、前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の側臥位補助具において、前記第1部分と前記第2部分は一体である、側臥位補助具。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の側臥位補助具において、前記第1部分と前記第2部分は別体である、側臥位補助具。
【請求項7】
敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と共に用いられる、クッション体を備えたサイド側臥位補助具であって、
前記サイド側臥位補助具は、前記中央側臥位補助具の左右少なくともいずれか一方の側に載置され、且つ、前記サイド側臥位補助具の左右側面の少なくとも一方が、前記敷き寝具に対して垂直面を形成する、サイド側臥位補助具。
【請求項8】
敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と、前記中央側臥位補助具に対して左右少なくともいずれか一方の側に載置される、少なくとも1つのサイド側臥位補助具とを備えた、側臥位補助具セットであって、
前記中央側臥位補助具は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の側臥位補助具であり、
前記少なくとも1つのサイド側臥位補助具は、請求項7に記載のサイド側臥位補助具である、側臥位補助具セット。
【請求項9】
クッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体の左右側面の各々は、該クッション体の下面に対して、それぞれ、30度以上40度以下の角度で傾斜しており、且つ、前記クッション体は3cm以上5cm以下の高さを有している、側臥位補助具。
【請求項10】
側臥位姿勢にある体の前側と後ろ側に隣接して配置される、一対の側臥位補助具を備え
る側臥位補助具セットであって、前記側臥位補助具の各々は、クッション体を備えており、前記クッション体は、前記体に隣接する側の側面が、6cm以上15cm以下の高さを有しており、且つ、前記クッション体の下面に対して50度以上90度以下の角度で傾斜している、側臥位補助具セット。
【請求項1】
かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、4cm以上8cm以下の高さを有し、且つ、8cm以上15cm以下の幅を有している、側臥位補助具。
【請求項2】
かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、
前記第1部分は第1の高さ(H1)を有し、前記第2部分は第2の高さ(H2)を有し、前記第1の高さ(H1)と前記第2の高さ(H2)は、H1≦H2の関係を満たしている、側臥位補助具。
【請求項3】
かまぼこ形のクッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体は、側臥位姿勢にある体の腰部の後ろ側に配置される第1部分と、前記体の胸部の後ろ側に配置される第2部分とを備え、
前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具。
【請求項4】
請求項2に記載の側臥位補助具において、前記第1部分の幅(W1)と、前記第1部分に隣接する側における前記第2部分の縁部の幅(W2)と、この縁部と反対の側における前記第2部分の縁部の幅(W3)は、W1≦W2≦W3の関係を満たしている、側臥位補助具。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の側臥位補助具において、前記第1部分と前記第2部分は一体である、側臥位補助具。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の側臥位補助具において、前記第1部分と前記第2部分は別体である、側臥位補助具。
【請求項7】
敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と共に用いられる、クッション体を備えたサイド側臥位補助具であって、
前記サイド側臥位補助具は、前記中央側臥位補助具の左右少なくともいずれか一方の側に載置され、且つ、前記サイド側臥位補助具の左右側面の少なくとも一方が、前記敷き寝具に対して垂直面を形成する、サイド側臥位補助具。
【請求項8】
敷き寝具の中央に載置される中央側臥位補助具と、前記中央側臥位補助具に対して左右少なくともいずれか一方の側に載置される、少なくとも1つのサイド側臥位補助具とを備えた、側臥位補助具セットであって、
前記中央側臥位補助具は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の側臥位補助具であり、
前記少なくとも1つのサイド側臥位補助具は、請求項7に記載のサイド側臥位補助具である、側臥位補助具セット。
【請求項9】
クッション体を備えた側臥位補助具であって、前記クッション体の左右側面の各々は、該クッション体の下面に対して、それぞれ、30度以上40度以下の角度で傾斜しており、且つ、前記クッション体は3cm以上5cm以下の高さを有している、側臥位補助具。
【請求項10】
側臥位姿勢にある体の前側と後ろ側に隣接して配置される、一対の側臥位補助具を備え
る側臥位補助具セットであって、前記側臥位補助具の各々は、クッション体を備えており、前記クッション体は、前記体に隣接する側の側面が、6cm以上15cm以下の高さを有しており、且つ、前記クッション体の下面に対して50度以上90度以下の角度で傾斜している、側臥位補助具セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2008−253734(P2008−253734A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28581(P2008−28581)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(594075950)株式会社中島メリヤス (3)
【出願人】(502246425)
【出願人】(507080330)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(594075950)株式会社中島メリヤス (3)
【出願人】(502246425)
【出願人】(507080330)
【Fターム(参考)】
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