説明

偽札検出装置

【課題】紙幣の両面の真偽判定を行うことにより偽札検知機能を向上した偽札検出装置を提供する。
【解決手段】紙幣2が紙幣搬送路3を搬送され、鑑別部1に入り込む。鑑別部1では、LED4及び5からそれぞれ、紙幣2の両面に対して紫外線が照射される。この際、LED4とLED5とは、互いに交互に紫外線を照射するようにする。照射された紫外線は、紙幣2の表面で反射されてフォトダイオード6及び7に受光される。フォトダイオード6及び7はそれぞれ、受光した光を電気信号に変換し、判定部10に当該電気信号を伝送する。判定部10は、当該電気信号に基づいて、紙幣2の紫外線発光パターンを識別し、紙幣2の真偽判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、偽札検出装置に係り、特に、紙幣に印刷された紫外線発光パターンに基づき紙幣の真偽判別を行う偽札検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の偽札検出装置が、例えば特許文献1に開示されている。この偽札検出装置は、紫外線発光用のLEDからフィルタ及び保護板を介して紙幣表面に照射された紫外線の反射光を、LEDの出射側に配置された受光素子によって検出し、紙幣の紫外線発光パターンを識別して紙幣の真偽の判定を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−99787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の偽札検出装置は、紙幣の一方の側のみにLED及び受光素子が設けられているので、紙幣の一方の面しか真偽判定ができない。紙幣の両方の面の真偽を行うためには、紙幣の両方の側にLED及び受光素子をそれぞれ設ける必要がある。しかしながら、紙幣に照射された紫外線の一部は紙幣を透過するため、各受光素子は、反射光だけではなく、紙幣に対して反対側に配置されたLEDから発せられた紫外線の透過光も検出することになり、真偽判定に影響を及ぼすといった問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、紙幣の両面の真偽判定を行うことにより偽札検知機能を向上した偽札検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る偽札検出装置は、紙幣が搬送される紙幣搬送路と、該紙幣搬送路に対して互い反対側に設けられた第1紫外線発光手段及び第2紫外線発光手段と、前記紙幣搬送路に対して前記第1紫外線発光手段と同じ側に設けられ、該第1紫外線発光手段からの紫外線が前記紙幣に反射された反射光を検出する第1受光手段と、前記紙幣搬送路に対して前記第2紫外線発光手段と同じ側に設けられ、該第2紫外線発光手段からの紫外線が前記紙幣に反射された反射光を検出する第2受光手段とを備え、前記紙幣が前記紙幣搬送路を搬送されている間、前記紙幣に対して、前記第1紫外線発光手段及び前記第2紫外線発光手段が互いに交互に紫外線を照射する。
前記紙幣搬送路を搬送される前記紙幣及び該紙幣の搬送方向に対して垂直な仮想平面を想定したときに、前記第1紫外線発光手段と、前記第2紫外線発光手段と、前記第1受光手段と、前記第2受光手段とは、前記仮想平面と交差または接するように配置してもよい。
前記第1紫外線発光手段及び前記第1受光手段の配置と、前記第2紫外線発光手段及び前記第2受光手段の配置とは、互いに逆になっていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、紙幣搬送路に対して互い反対側に設けられた第1紫外線発光手段及び第2紫外線発光手段からの紫外線の照射を交互に行うことにより、紙幣を透過した紫外線を第1受光手段及び第2受光手段が受光するのを防げるので、紙幣の両面の真偽判定が可能になり、偽札検知機能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態に係る偽札検出装置の鑑別部の正面図である。
【図2】この実施の形態に係る偽札検出装置の鑑別部の側面図である。
【図3】この実施の形態に係る偽札検出装置の鑑別部の変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係る偽札検出装置の鑑別部の正面図を示す。鑑別部1には、紙幣2が搬送される紙幣搬送路3が設けられている。図1において、紙幣2は、紙面に対して垂直な方向に搬送されるようになっている。紙幣2の搬送は、図示しない公知の送り手段、例えばローラ等により行われる。紙幣搬送路3に対して互いに反対側に、第1紫外線発光手段であるLED4及び第2紫外線発光手段であるLED5が設けられている。LED4及び5にはそれぞれ、可視光成分を除くフィルタ8及び9が設けられている。紙幣搬送路3に対してLED4と同じ側には、LED4から照射された紫外線が紙幣2に反射された反射光を受光するフォトダイオード6が設けられ、紙幣搬送路3に対してLED5と同じ側には、LED5から照射された紫外線が紙幣2に反射された反射光を受光するフォトダイオード7が設けられている。フォトダイオード6及び7はそれぞれ、紙幣2の真偽判定を行う判定部10に電気的に接続されており、感度は300〜1000nmである。ここで、フォトダイオード6及び7はそれぞれ、第1受光手段及び第2受光手段を構成する。フォトダイオード6及び7にはそれぞれ、紫外光成分を除くフィルタ11及び12が設けられている。
【0010】
鑑別部1において、LED4及びフォトダイオード6の配置と、LED5及びフォトダイオード7の配置とは、互いに逆になっている。また、図2に示されるように、鑑別部1において、紙幣2及び紙幣2の搬送方向Aに対して垂直な仮想平面Sを想定する。LED4と、LED5と、フォトダイオード6と、フォトダイオード7とは、仮想平面Sと交差するように設けられている。また、この実施の形態では、仮想平面Sを搬送方向Aにずらして仮想平面S’を想定すると、仮想平面S’は、LED4と、LED5と、フォトダイオード6と、フォトダイオード7とのそれぞれに接しているとも言える。このような配置により、LED4と、LED5と、フォトダイオード6と、フォトダイオード7とが互いに接近して位置することになるので、鑑別部1を小型化し、鑑別部1以外の構成部品のレイアウトの自由度を上げることができる。
【0011】
次に、この実施の形態に係る偽札検出装置の動作を、図1に基づいて説明する。
図示しない紙幣投入口から紙幣2を投入すると、紙幣2が紙幣搬送路3を搬送され、鑑別部1に入り込む。鑑別部1では、LED4及び5からそれぞれ、紙幣2の両面に対して紫外線が照射される(実線矢印)。照射される紫外線のピーク波長は365〜375nmである。照射された紫外線は、紙幣2の表面で反射されて(破線矢印)フォトダイオード6及び7に受光される。フォトダイオード6及び7はそれぞれ、受光した光を電気信号に変換し、判定部10に当該電気信号を伝送する。判定部10は、当該電気信号に基づいて、紙幣2の紫外線発光パターンを識別し、紙幣2の真偽判定を行う。
【0012】
しかしながら、LED4及び5のそれぞれから照射された紫外線の一部は、紙幣2を透過するため、フォトダイオード6及び7はそれぞれ、反射光以外にも透過光も受光してしまい、真偽判定に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、LED4から紫外線が照射される時はLED5からの紫外線の照射をやめ、逆にLED5から紫外線が照射される時はLED4からの紫外線をやめるようにする。すなわち、LED4とLED5とが互いに交互に紫外線を照射するようにする。これにより、LED4から照射された紫外線の反射光をフォトダイオード6が受光する時には、LED5から紫外線が照射されなくなるので、フォトダイオード6が透過光を受光することはない。またこの逆の場合も同様である。
【0013】
尚、LED4とLED5とから交互に紫外線を照射させるインターバルについては、紙幣2の搬送速度にも依存するが、各LEDが毎秒約100回程度の回数紫外線を照射するようにするのが好ましい。また、紙幣の種類(金額の違い、あるいは日本紙幣か外国紙幣かの違い)によって、紙幣に印刷された紫外線パターンも異なるので、その紫外線パターンに合わせて各LEDから紫外線を照射するようにしてもよい。
【0014】
このように、紙幣搬送路3に対して互い反対側に設けられたLED4及び5からの紫外線の照射を交互に行うことにより、紙幣2を透過した紫外線をフォトダイオード6及び7が受光するのを防げるので、紙幣2の両面の真偽判定が可能になり、偽札検知機能を向上することができる。
また、紙幣搬送路3を搬送される紙幣2及び紙幣2の搬送方向Aに対して垂直な仮想平面Sを想定したときに、LED4と、LED5と、フォトダイオード6と、フォトダイオード7とを、仮想平面Sと交差または接するように配置することにより、それらが互いに接近して位置することになるので、鑑別部1を小型化し、鑑別部1以外の構成部品のレイアウトの自由度を上げることができる。
さらに、LED4及びフォトダイオード6の配置と、LED5及びフォトダイオード7の配置とは、互いに逆になっていることにより、LED4の延長線上にフォトダイオード7ではなくLED5が配置されているので、LED4から照射された紫外線(透過光)のフォトダイオード7に与える影響を低減することができる。LED5とフォトダイオード6との関係についても同様である。
【0015】
この実施の形態では、LED4と、LED5と、フォトダイオード6と、フォトダイオード7とは、それらが全て仮想平面Sと交差するように、あるいは、それらが全て仮想平面S’に接するように設けられていたが、この形態に限定するものではない。例えば、図3に示されるように、LED5及びフォトダイオード7の位置を僅かに動かすことにより、LED5及びフォトダイオード7は仮想平面Sと交差するものの、LED4及びフォトダイオード6は仮想平面Sと接するように配置してもよい。
【0016】
この実施の形態では、LED4及びフォトダイオード6の配置と、LED5及びフォトダイオード7の配置とは、互いに逆になっていたが、同じ配置にしてもよい。
【符号の説明】
【0017】
2 紙幣、3 紙幣搬送路、4 LED(第1紫外線発光手段)、5 LED(第2紫外線発光手段)、6 フォトダイオード(第1受光手段)、7 フォトダイオード(第2受光手段)、S,S’ 仮想平面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣が搬送される紙幣搬送路と、
該紙幣搬送路に対して互い反対側に設けられた第1紫外線発光手段及び第2紫外線発光手段と、
前記紙幣搬送路に対して前記第1紫外線発光手段と同じ側に設けられ、該第1紫外線発光手段からの紫外線が前記紙幣に反射された反射光を検出する第1受光手段と、
前記紙幣搬送路に対して前記第2紫外線発光手段と同じ側に設けられ、該第2紫外線発光手段からの紫外線が前記紙幣に反射された反射光を検出する第2受光手段と
を備え、
前記紙幣が前記紙幣搬送路を搬送されている間、前記紙幣に対して、前記第1紫外線発光手段及び前記第2紫外線発光手段が互いに交互に紫外線を照射する偽札検出装置。
【請求項2】
前記紙幣搬送路を搬送される前記紙幣及び該紙幣の搬送方向に対して垂直な仮想平面を想定したときに、前記第1紫外線発光手段と、前記第2紫外線発光手段と、前記第1受光手段と、前記第2受光手段とは、前記仮想平面と交差または接するように配置されている、請求項1に記載の偽札検出装置。
【請求項3】
前記第1紫外線発光手段及び前記第1受光手段の配置と、前記第2紫外線発光手段及び前記第2受光手段の配置とは、互いに逆になっている、請求項2に記載の偽札検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−118811(P2011−118811A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277506(P2009−277506)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(592221908)武蔵エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】