説明

偽造防止シートおよび偽造防止シートの製造方法

【課題】印刷適性に優れ、かつ、高級な質感のある偽造防止シートを提供する。
【解決手段】本発明の偽造防止シート10は、パルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維及び三椏繊維のうちの一種以上を含む紙基材に、蛍光剤で染色された楮繊維13が抄きこまれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止シートおよび偽造防止シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機械などによる偽造を防ぐ偽造防止シートとして、特殊なインキを使用して印刷を施した偽造防止シートが知られている。
しかし、このようなタイプの偽造防止シートでは、使用されているインキや印刷技術が特定され易く、模倣や偽造が容易であるという問題があった。
そこで、この問題を解決するものとして、例えば、特許文献1に記載の偽造防止シートが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のものは、紙またはプラスチックからなるシート内に表面に凹凸パターンを設けた光透過性繊維を混入してなる偽造防止シートであり、光透過性繊維の表面に設けた凹凸パターン部に光を照射してそのパターンを読み取ることで真偽判定を可能としている。
【特許文献1】特開2000−309182公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、凹凸パターンを確認しやすくするために蛍光染料で染色した光透過性繊維が用いられることが提案されており、シートの基材となる紙に光透過性繊維を混入する方法としては、紙基材の材料に光透過性繊維を抄きこむ方法が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載のシートには、光透過性繊維として、アクリル樹脂などの合成樹脂製繊維が抄きこまれている。この合成樹脂製の光透過性繊維は、紙基材となるパルプ繊維と比較するとかなり太いので、これらを一緒に抄くと、相互になじみ難く、しっかりと絡まら合わない。
したがって、このようなシートを印刷機械などにかけると、光透過性繊維が引っかかったり、脱落したりすることがあり、印刷適性に優れているとはいえなかった。
【0006】
そして、このような合成樹脂製の光透過性繊維を抄き込んだ偽造防止シートの印刷適性を向上させるためには、光透過性繊維を抄きこんだ層を挟むように別の層を設ける必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、印刷適性に優れた偽造防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、パルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維及び三椏繊維のうちの一種以上を含む紙基材に、蛍光剤で染色された天然紙繊維が抄きこまれていることを特徴とする偽造防止シート;及び蛍光剤で染色された天然紙繊維と、楮繊維、雁皮繊維および三椏繊維のうちの一種とが含まれる天然繊維含有溶液を、第1の抄紙網の上に流出させることで天然繊維層を形成し、前記第1の抄紙網に形成された天然繊維層を抄紙フェルトに転写し、パルプ繊維を含むパルプ溶液を、第2の抄紙網の上に流出させることで形成されるパルプ層を、前記抄紙フェルトに転写された天然繊維層に重なるように転写することを特徴とする偽造防止シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の偽造防止シート(以下、「本発明のシート」ともいう)においては、パルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維及び三椏繊維のうちの一種以上を含む紙基材に、蛍光剤で染色された天然紙繊維が抄きこまれている。すなわち、本発明のシートに抄きこまれている蛍光剤で染色された天然紙繊維は可視光では視認できないから、模倣や偽造が困難である。
【0010】
また、本発明のシートに抄きこまれている蛍光剤で染色された天然紙繊維は、合成樹脂製の繊維とは相違して、繊維基材となるパルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維または三椏繊維などと太さが同程度であるため、これらと一緒に抄いた場合によく混ざり合ってよくなじむ。
その上、天然紙繊維は、パルプ繊維と比較すると長い繊維が多いことから、前記紙基材の材料となる繊維とよく絡まりあう。
【0011】
したがって、本発明のシートを印刷機械にかけても、蛍光剤で染色された天然紙繊維が、引っかかリ難く、脱落も起こり難いので、印刷適性に優れる。
【0012】
加えて、本発明のシートは、第1の抄紙網上に形成させた天然繊維層を抄紙フェルトに転写し、天然繊維層を形成させた抄紙網とは別の第2の抄紙網上に形成させたパルプ層を、抄紙フェルトに転写した天然繊維層に重なるように転写することで製造される。
【0013】
したがって、2つの層を接着剤などで貼り付ける作業は不要であり、性質の異なる2つの層を備える偽造防止シートを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明を具体的に適用した実施形態1について説明する。
本実施形態の偽造防止シート10は、紙基材としてパルプ繊維と楮繊維とを含み、図1に示すように、パルプ繊維を含むパルプ層11と楮繊維を含む楮層12とが積層された構成となっている。
【0015】
本実施形態において、パルプ層11に含まれるパルプ繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプ等が挙げられる。
本実施形態において、楮層12に含まれる楮繊維は、和紙の原料として市販されているものなどを使用することができる。本発明においては、楮繊維に代えて、雁皮繊維や三椏繊維などを使用することもできるが、入手が容易であることから、楮繊維が好ましい。
【0016】
ところで、本発明のシート10としては、楮繊維、雁皮繊維、三椏繊維などの天然繊維のみを含む天然繊維層のみのもの(本実施形態では楮層12)、パルプ繊維を含むパルプ層11のみのもの、天然繊維とパルプ繊維とを混合した混合層を有するものも含まれる。
【0017】
楮繊維などの天然繊維を多く含むシートでは高級な質感が得られるが、これらは高価な材料であるためコスト高であり、使用量のわりには厚みが出ない。そしてパルプ層のみからなるシートでは、高級な質感はなく、混合層を有するものでは楮繊維などの天然繊維を混合した効果(高級な質感)が得られない。
【0018】
偽造防止シート10の質感やコストなどを考慮すると、本発明においては、天然繊維層(本実施形態では楮層12)に含まれる繊維とパルプ層11に含まれるパルプ繊維の重量比が、10:90〜40:60であるのが好ましい。
【0019】
なお、本実施形態のシート10においては、楮繊維とパルプ繊維との重量比は20:80となるように設定されていることから、楮層12の厚みよりもパルプ層11の厚みのほうが大きくなっている(図1を参照)。
【0020】
楮層12には、蛍光剤で染色された天然紙繊維13(以下「蛍光繊維13」ともいう)として楮繊維を蛍光剤で染色したものが抄きこまれている。
【0021】
本発明において、天然紙繊維としては、本実施形態に用いられている楮繊維以外に雁皮繊維および三椏繊維のうちの一種以上を用いることができる。天然紙繊維としては、天然紙繊維が抄きこまれる紙基材と同じ素材のものを用いると、なじみがよいのでより好適である。
【0022】
蛍光繊維13は、天然紙繊維を市販の蛍光剤に漬け込み染色することで得られる。本実施形態において使用される楮繊維を染色する蛍光剤としては、例えばハッコールBYL(昭和化学工業(株)製)などを使用することができる。
【0023】
次に、本実施形態の偽造防止シート10の製造方法について説明する。
まず、楮層12の形成について説明する。
楮繊維の一部をハツコールBYL(昭和化学工業(株)製)で染色して、蛍光剤で染色された楮繊維(蛍光繊維13)を作製する。
【0024】
この蛍光繊維13の量は、偽造防止シート10全体の重量に対して0.02〜2重量%であることが好ましい。蛍光繊維13が0.02重量%未満であるとシート10の真偽の判定が困難となり、2重量%を超えると、多すぎて真偽の判定が困難になるからである。
【0025】
水を張ったナギナタビーター中に上記のようにして得られた蛍光繊維13と楮繊維とを投入して叩解を開始し、染料、サイズ剤、紙力増強剤を順に添加しながら、合計30〜40分間程度叩解する。次に、叩解後の上記楮原料を、ステンレス攪拌機へ移し変えて、楮繊維と添加剤と水との合計重量に対して楮繊維の量が0.1〜10重量%となるように水を添加して楮溶液を調製し、図2に示す楮原料供給部へ供給する。
【0026】
楮繊維に添加される染料、サイズ剤、紙力増強剤としては、市販のものを使用することができる。具体的には、染料としては、カヤラス スプラブラウンGTL[日本化薬(株)製]、カヤラス スプラ イエロー[日本化薬(株)製]など、サイズ剤としては、AKD系サイズ剤ADシリーズ[星光PMC(株)製]など、紙力増強剤としては、湿潤紙力増強剤WSシリーズ[星光PMC(株)製]などを使用することができる。
【0027】
楮繊維に添加される添加剤の好適な範囲は以下の通りである。
染料の添加量は、楮繊維100重量部に対して、0.015〜1.5重量部であるのが好ましい。この範囲外の量の染料を添加すると、シート10の色目が大きく異なるものが得られることがあるからである。
【0028】
サイズ剤の添加量は、楮繊維100重量部に対して0.04〜4.0重量部添加することが、好ましい。サイズ剤が0.04重量部未満であると耐水性に欠け、4.0重量部を超えると紙力が低下する傾向にあるからである。
【0029】
紙力増強剤の添加量は、楮繊維100重量部に対して0.12〜12重量部であることが好ましい。紙力増強剤が0.12重量部未満であると充分な紙力が得られず、12重量部を超えるとシート10自体が硬くなるからである。
【0030】
次に、楮原料供給部に供給された楮溶液を第1の抄紙網21に流し込むと、第1の抄紙網21から水分が抜け落ちることで楮層12が形成され、この楮層12は第1の抄紙網21と接触する抄紙フェルト23に転写される。第1の抄紙網21の抄紙スピードは27m(64g/m)程度に設定される。楮層12が転写された抄紙フェルト23は、パルプ層11が形成される第2の抄紙網22の方向へ移動する。
【0031】
第2の抄紙網22に形成されるパルプ層11は、具体的には以下のようにして、形成される。
水を張ったビーター中にパルプ繊維を投入して叩解を開始し、染料、サイズ剤、紙力増強剤、及びポリビニルアルコール(PVA)を順に添加して、合計20〜40分間程度叩解する。
【0032】
次に、叩解後の上記パルプ原料を、マシンチェストへ移し変えて、パルプ繊維と添加剤と水との合計重量に対してパルプの量が0.25〜25重量%となるように水を添加してパルプ溶液を調製し、図2に示すパルプ原料供給部へ供給する。
【0033】
パルプ層11に添加される染料、サイズ剤および紙力増強剤は楮層12に添加されるものと同様のものを用いることができ、PVAとしては市販されているものを用いることができる。
【0034】
PVAとしては、例えば、(株)クラレ製のポリビニルアルコール(商品名:VPバインダー用ビニロン)などを用いることができる。
【0035】
パルプに添加される添加剤の好適な範囲は以下の通りである。
染料の添加量は、パルプ繊維100重量部に対して、0.015〜1.5重量部であるのが好ましい。この範囲外の量の染料を添加すると、シート10の色目が大きく異なるものが得られることがあるからである。
【0036】
サイズ剤の添加量は、パルプ繊維100重量部に対して0.04〜4.0重量部添加することが、好ましい。サイズ剤が0.04重量部未満であると耐水性に欠け、4.0重量部を超えると紙力が低下する傾向にあるからである。
【0037】
紙力増強剤の添加量は、パルプ繊維100重量部に対して0.12〜12重量部であることが好ましい。紙力増強剤が0.12重量部未満であると充分な紙力が得られず、12重量部を超えるとシート10自体が硬くなるからである。
【0038】
PVAの添加量はパルプ繊維100重量部に対して0.03〜3重量部であることが好ましい。PVAが0.03重量部未満であると充分な効果が得られず、3重量部を超えるとシート10自体が硬くなるからである。
【0039】
次に、パルプ原料供給部に供給されたパルプ溶液を第2の抄紙網22に流し込むと、第2の抄紙網22から水分が抜け落ちることでパルプ層11が形成される。第2の抄紙網22における抄紙スピードは20m(90g/m)程度に設定される。
【0040】
そして、このパルプ層11は第1の抄紙網21から第2の抄紙網22の方向へ移動してきた抄紙フェルト23と、第2の抄紙網22とが接することで抄紙フェルト23側に転写される。
すなわち、第2の抄紙網22と接する抄紙フェルト23には、すでに楮層12が形成されているから、抄紙フェルト23と第2の抄紙網22とが接することで、楮層12にパルプ層11が積層され両者が貼り合わされるのである。
【0041】
この楮層12とパルプ層11とが2層に張り合わされたシート原料20は抄紙フェルト23からドライヤーのほうへ移動し、ドライヤーに転写され100〜120℃(64g/m)で乾燥した後、巻き取られてロール状のシート原料20とされる。
【0042】
このロール状のシート原料20を希望する大きさに切断すれば、本実施形態の偽造防止シート10が得られる。
【0043】
このようにして得られた本実施形態のシート10の真偽の判別の際には、判別対象となるシートにブラックライトなどを照射して、シートに抄きこまれている、蛍光繊維13の種類や配合量を調べることで、容易に真偽の判別ができる。
【0044】
なお、判別対象となるシートと本実施形態のシート10とを、紫外線蛍光発光を読み取り可能なセンサと紫外線光源とを備えた装置などを用いて分析して対比すれば、さらに真偽判別の精度を高めることができる。
【0045】
次に本実施形態のシート10の作用効果について説明する。
本実施形態のシート10には、可視光により視認できない蛍光繊維13が抄きこまれているから、模倣や偽造が困難である。
【0046】
また、本実施形態のシート10の楮層12に抄きこまれている蛍光繊維13は、紙基材と同じ楮繊維を蛍光剤で染めたものであるから、紙基材とほぼ同じ太さであり、相互によくなじみ均一に混ざり合う。その上、蛍光繊維13の材料となる楮繊維は、パルプ繊維と比較すると長い繊維であるから、楮層を形成する楮繊維と、互いに強く絡まりあった状態で抄き込まれている。
【0047】
さらに、本実施形態のシート10のパルプ層11には、蛍光繊維13は抄きこまれていないから、その表面は平滑である。
【0048】
その結果、本実施形態のシート10を印刷機械などにかけても、シート10が引っかかったり、楮層12から蛍光繊維13が脱落することもなく、楮層12側の面もパルプ層11側の面とも印刷適性に優れるのである。
【0049】
また、本実施形態のシート10は、楮繊維を含む楮層12とパルプ繊維を含むパルプ層11とを備えるから、楮繊維をパルプ繊維に混合して作製したシートや、パルプ繊維のみからなるシートとは相違して、和紙のような高級な質感を有している。
【0050】
さらに、本実施形態のシート10においては、楮繊維とパルプ繊維の重量比が20:80の割合に設定されているから、楮繊維のみを使用して作製したシートよりも費用がかからない上に、適度な厚みがあり扱いやすい。
【0051】
加えて、本発明のシート10は、第1の抄紙網21上に形成させた楮層12を抄紙フェルト23に転写し、楮層12を形成させた抄紙網21とは別の第2の抄紙網22上に形成させたパルプ層11を、抄紙フェルト23に転写した楮層12に重なるように転写することで製造される。
【0052】
したがって、本発明によれば、2つの層(楮層12とパルプ層11)を接着剤などで貼り付ける作業は不要であり、性質の異なる2つの層を備える偽造防止シート10を容易に製造することができる。
【0053】
以上より、本実施形態によれば、印刷適性に優れ、かつ、コストを抑えながらも高級な質感のある偽造防止シート10を提供することができる。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、パルプ層と楮層とを備える2層構造のシートを示したが、パルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維または三椏繊維のうちの一種のみを含む1層構造のものであってもよい。
また、本発明には、パルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維および三椏繊維前記のうちから2種以上を選択して混合したもの、パルプ繊維を含むパルプ層と雁皮繊維を含む雁皮層とを備えるもの、楮層、パルプ層および三椏層を順に積層して3層構造としたもの、および4層以上の構造のものなども含まれる。
【0055】
(2)上記実施形態においては、楮層に、蛍光剤で染色された楮繊維を1種類抄きこんだものを示したが、紫外線照射により発色する色調が相違するものを2種類以上用いてもよい。蛍光剤で染色された楮繊維を、2種類以上用いるとより、偽造防止効果が高まり好適である。
【0056】
(3)上記実施形態においては、蛍光剤で染色された天然紙繊維として、楮繊維を蛍光剤で染色したもののみを用いたが、雁皮繊維や三椏繊維を蛍光剤で染色したものを単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
(4)上記実施形態においては、蛍光剤で染色された天然紙繊維を楮層にのみ抄き込んだものを示したが、楮層とパルプ層の双方に抄きこんだものであってもよい。
なお、天然繊維層とパルプ層と天然繊維層とを順に積層した構成の偽造防止シートにおいて、2つの天然繊維層の間に形成されるパルプ層に蛍光繊維を抄きこむと、シートの表面から蛍光繊維が脱落することがないから、印刷適性に優れる。その上、このような構成のシートでは、表面層に天然繊維からなる層が形成されていることから高級な質感が得られて好適である。
【0058】
(5)本発明には、蛍光剤で染色された天然紙繊維として、天然紙繊維を蛍光剤で染色することにより得られる蛍光紙繊維を抄紙した後、溶解して繊維状とした紙繊維を使用して偽造シートを製造する方法も含まれる。
この方法においては、蛍光剤で染色された天然紙繊維として、蛍光紙繊維を一旦抄紙してから、水などに溶解して繊維状とした紙繊維を使用するので、天然紙繊維には蛍光剤がしっかりと定着している。
したがって、この方法によれば、蛍光剤で染色された天然紙繊維を、天然繊維含有溶液に添加した際に、蛍光剤の流出を抑えることができるので、紫外線照射による発色の明暗がよりはっきりするという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態1の偽造防止シートの断面図
【図2】実施形態1の偽造防止シートの製造工程を示す図
【符号の説明】
【0060】
10…実施形態1の偽造防止シート
11…パルプ層
12…楮層
13…蛍光剤で染色された楮繊維(蛍光繊維)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ繊維、楮繊維、雁皮繊維及び三椏繊維のうちの一種以上を含む紙基材に、
蛍光剤で染色された天然紙繊維が抄きこまれていることを特徴とする偽造防止シート。
【請求項2】
前記天然紙繊維が、楮繊維、雁皮繊維および三椏繊維のうちの一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止シート。
【請求項3】
前記蛍光剤で染色された天然紙繊維が、前記偽造防止シート全体に対して0.02〜2重量%含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偽造防止シート。
【請求項4】
前記偽造防止シートが、楮繊維、雁皮繊維および三椏繊維のうちの一種を含む天然繊維層と、パルプ繊維を含むパルプ層とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偽造防止シート。
【請求項5】
前記天然繊維層に含まれる繊維と前記パルプ繊維の重量比が、10:90〜40:60であることを特徴とする請求項4に記載の偽造防止シート。
【請求項6】
前記蛍光剤で染色された天然紙繊維が、前記天然繊維層に抄きこまれていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の偽造防止シート。
【請求項7】
前記天然繊維層が、楮繊維を含む楮層であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の偽造防止シート。
【請求項8】
蛍光剤で染色された天然紙繊維と、楮繊維、雁皮繊維および三椏繊維のうちの一種とが含まれる天然繊維含有溶液を、第1の抄紙網の上に流出させることで前記天然繊維層を形成し、
前記第1の抄紙網に形成された天然繊維層を抄紙フェルトに転写し、
パルプ繊維を含むパルプ溶液を、第2の抄紙網の上に流出させることで形成されるパルプ層を、前記抄紙フェルトに転写された天然繊維層に重なるように転写することを特徴とする偽造防止シートの製造方法。
【請求項9】
前記蛍光剤で染色された天然紙繊維として、天然紙繊維を蛍光剤で染色することにより得られる蛍光紙繊維を抄紙した後、溶解して繊維状とした紙繊維を使用することを特徴とする請求項8に記載の偽造防止シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−1926(P2009−1926A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162355(P2007−162355)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(501244200)株式会社KALBAS (48)
【Fターム(参考)】