説明

偽造防止効果のある画像記録体の製造方法及び画像記録体

【課題】偽造防止効果のある特殊な色材でなる画像部分と、通常の色材でなる背景部分の段差を無くし、かつ両色材でなる表面状態の違いが表面から視認されないようにする偽造防止効果のある画像記録体の製造方法及び画像記録体の提供にある。
【解決手段】中間転写媒体1の受像層3に感熱転写媒体から加熱手段で色材を転移させる一次転写工程と、この受像層3を被転写体7へ転写する二次転写工程とからなり、前記一次転写工程で受像層3に、偽造防止効果のある特殊な色材5の転移により画像部を形成し、該画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を特殊な色材の色に類似する通常の色材でなる模造色材6の転移により形成し、前記画像部と背景部とを被転写体の基材8へ加熱加圧手段で転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されている中間転写媒体の受像層に、感熱転写媒体から転移された画像データに基づく画像を被転写体へ転写する画像記録体の製造方法及び画像記録体に関するものであり、特に、その画像を構成する画像部もしくはその背景部に偽造防止効果のある特殊な色材を用いた偽造防止効果のある画像記録体の製造方法及びその方法により得られる画像記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感熱転写記録において、少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されている中間転写媒体を使用し、その受像層に画像データに基づく画像をサーマルヘッド等で転移(一次転写)し、転移されたその画像を受像層とともにパスポート等被転写体に加熱加圧で転写(二次転写あるいは再転写ともいう)する方法は、すでに公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記方法の場合、直接目的の受像体(以下被転写体という)へ印字する方法に較べて、高解像度の画像を得ることができたり、平滑でない被転写体への印字が可能である等メリットがある。この被転写体がパスポートや運転免許証等の各種身分証明書のような場合、様々な偽造防止の手法を併用して用いる場合があり、例えば、中間転写媒体側に偽造防止層を部分的に設けた場合、その偽造防止層に段差ができ、その段差が画像に影響を及ぼすといった問題を有していた。
【0004】
また、あるパターン(画像)を偽造防止効果のある色材で基材に印刷し、その逆版即ちそのパターンと毛抜き合わせ形状の版を用い通常の色材で印刷したあと、その表面に絵柄を印刷すると、偽造防止効果のあるパターン(画像)と、その逆版で印刷したパターン(背景部)との境界の段差が絵柄表面から視認されるようになり偽造防止効果のあるパターンが判ってしまうという問題があった。さらにまた、偽造防止効果のある色材と通常の色材との表面状態の違いが絵柄表面から視認されるようになり偽造防止効果のあるパターンが判ってしまうという問題があった。
【0005】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開昭63−81093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、少なくとも支持体上の片面に受像層が積層されてなる中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき、感熱転写媒体から選択的加熱手段で色材を転移させて画像部を形成する一次転写工程と、前記画像が形成された受像層を被転写体へ加熱加圧手段で転写する二次転写工程とからなる画像記録体の製造方法において、偽造防止効果のある特殊な色材でなる画像部分もしくはその背景部分と、通常の色材でなる背景部分もしくは画像部分の段差を無くし、かつ両色材でなる表面状態の違いが表面から視認されないようにする偽造防止効果のある画像記録体の製造方法及びその方法による画像記録体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、少なくとも支持体上の片面に受像層が形成されてなる中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき、感
熱転写媒体から選択的加熱手段で色材を転移させて画像部を形成する一次転写工程と、前記画像が形成された受像層を被転写体へ加熱加圧手段で転写する二次転写工程とからなる画像記録体の製造方法において、前記一次転写工程で中間転写媒体の受像層に、前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成し、該画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を前記特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、前記画像部と背景部とを被転写体へ加熱加圧手段で転写することを特徴とする偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0008】
また、請求項2の発明では、前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、該画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成することを特徴とする請求項1記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0009】
また、請求項3の発明では、前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層と、少なくともイエロー、マゼンタ、シアンの色材のそれぞれによる転写層とが、面順に繰り返し並設されているものを使用することを特徴とする請求項1または2記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0010】
また、請求項4の発明では、前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層と、該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層が面順に繰り返し並設されているものを使用することを特徴とする請求項1または2記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0011】
また、請求項5の発明では、少なくとも支持体上の片面に受像層が形成されてなる中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき、感熱転写媒体から選択的加熱手段で色材を転移させて画像部を形成する一次転写工程と、前記画像が形成された受像層を被転写体へ加熱加圧手段で転写する二次転写工程とからなる画像記録体の製造方法において、前記画像部が他の印刷法により偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材で既に形成されている被転写体に、前記一次転写工程で中間転写媒体の受像層に前記画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材もしくは偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成し、前記背景部を加熱加圧手段で転写することを特徴とする偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0012】
また、請求項6の発明では、前記背景部が他の印刷法により偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材もしくは偽造防止効果のある特殊な色材で既に形成されている被転写体に、前記一次転写工程で中間転写媒体の受像層に前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材もしくはこの偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、前記画像部を加熱加圧手段で転写することを特徴とする請求項5記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0013】
また、請求項7の発明では、前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層が全面に配設されているもののいずれかを使用することを特徴とする請求項5または6記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0014】
また、請求項8の発明では、前記画像記録体の少なくとも受像層面側に絵柄印刷層を設
けることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法としたものである。
【0015】
さらにまた、請求項9の発明では、上記偽造防止効果のある画像記録体の製造方法により得られた偽造防止効果のある画像記録体としたものである。
【0016】
上記請求項でいう「毛抜き合わせ」とは、2枚以上の写真、図版、文字などが隙間または重なり合わせもなく隣合わせに組み立てられることをいう(印刷事典 日本印刷学会編)。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0018】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、一次転写工程で中間転写媒体の受像層に偽造防止効果のある特殊な色材の転移により画像部を形成し、該特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により該画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を形成し、前記画像部と背景部とを受像層とともに被転写体へ加熱加圧手段で転写することによって、画像部と背景部との境界に段差を無くし、かつ偽造防止効果のある特殊な色材とその模造色材による画像部と背景部の表面状態の違いを無くしているので、表面からの偽造防止効果のある特殊な色材の画像部を視認することができないようにした偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0019】
また、上記請求項2に係る発明によれば、一次転写工程で中間転写媒体の受像層に偽造防止効果のある特殊な色材の転移により背景部を形成し、該特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により該背景部と毛抜き合わせ形状の画像部を形成し、前記背景部と画像部とを受像層とともに被転写体へ加熱加圧手段で転写することによって、背景部と画像部との境界に段差を無くし、かつ偽造防止効果のある特殊な色材とその模造色材とによる背景部と画像部の表面状態の違いを無くしているので、表面からの偽造防止効果のある特殊な色材の背景部を視認することができないようにした偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0020】
また、上記請求項3に係る発明によれば、前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層と、少なくともイエロー、マゼンタ、シアンの色材のそれぞれによる転写層とが、面順に繰り返し並設されているものを使用することによって、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層で画像部もしくは背景部を形成し、少なくともイエロー、マゼンタ、シアンの色材のそれぞれによる転写層の適切な組合せにより背景部もしくは画像部を形成することができる、即ち両色材を1本の中間転写媒体で画像部と背景部とを形成できる偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0021】
さらにまた、上記請求項4に係る発明によれば、前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層と、該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層が面順に繰り返し並設されているものを使用することによって、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層で画像部もしくは背景部を形成し、該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層により背景部もしくは画像部を形成することができる、即ち両色材を1本の中間転写媒体で画像部と背景部とを形成できる偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0022】
また、上記請求項5に係る発明によれば、画像部が他の印刷法により偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材
で調整された模造色材で既に形成されている被転写体に、一次転写工程で中間転写媒体の受像層に前記画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材もしくは偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成し、前記背景部を加熱加圧手段で転写することによって、背景部と画像部との境界に段差を無くし、かつ偽造防止効果のある特殊な色材とその模造色材とによる背景部と画像部の表面状態の違いを無くしているので、表面からの偽造防止効果のある特殊な色材の背景部を視認することができないようにした偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0023】
また、上記請求項6に係る発明によれば、背景部が他の印刷法により偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材もしくは偽造防止効果のある特殊な色材で既に形成されている被転写体に、一次転写工程で中間転写媒体の受像層に前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材もしくはこの偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、前記画像部を加熱加圧手段で転写することによって、画像部と背景部との境界に段差を無くし、かつ偽造防止効果のある特殊な色材とその模造色材とによる画像部と背景部の表面状態の違いを無くしているので、表面からの偽造防止効果のある特殊な色材の画像部を視認することができないようにした偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0024】
さらにまた、上記請求項7に係る発明によれば、感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層が全面に配設されているもののいずれかを使用することによって、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層で画像部もしくは背景部を形成し、該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層で背景部もしくは画像部を形成する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0025】
また、上記請求項8に係る発明によれば、画像記録体の少なくとも受像層面側に絵柄印刷層を設けることによって、該受像層の下面に設けられている偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該特殊な色材の模造色材でなる画像部と背景部との境界の段差がより視認し難くなり、かつ特殊な色材とその模造色材との表面状態の違いがより視認し難くなる偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることができる。
【0026】
さらにまた、上記請求項9に係る発明によれば、上記請求項に記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法により得られた画像記録体は、この上に形成されている画像部とその画像部と毛抜き合わせ形状の背景部とが偽造防止効果のある特殊な色材もしくはこの特殊な色材の模造色材の加熱加圧による転写により形成されているので、この画像部と背景部との境界に段差が無く、かつ偽造防止効果のある特殊な色材とその模造色材とによる背景部と画像部の表面状態の違いが無いので、表面からの偽造防止効果のある特殊な色材の画像部もしくは背景部が視認されないようになっている偽造防止効果のある画像記録体とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、中間転写媒体を示す側断面図で、支持体2の片面に受像層3を施した中間転写媒体1である。
【0028】
また、図2は、上記請求項1、2の発明に係る中間画像記録体4及び被転写体7を示す側断面図であり、例えば、図2(a)に示すように、中間転写媒体1の受像層3上に偽造防止効果のある特殊な色材5が画像部としてパターン状に転写してあり、さらに特殊な色材5の画像部としてのパターンとは毛抜き合わせ形状の背景部として特殊な色材の模造色
材6が転写してある中間画像記録体4であり、この中間画像記録体4を基材8からなる被転写体7に転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法である。
【0029】
また、例えば、図2(b)に示すように、中間転写媒体1の受像層3上に特殊な色材の模造色材6が画像部としてパターン状に転写してあり、さらにこの模造色材6の画像部としてのパターンとは毛抜き合わせ形状の背景部として偽造防止効果のある特殊な色材5が転写してある中間画像記録体4であり、この中間画像記録体4を基材8からなる被転写体7に転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることもできる。
【0030】
また、図3は、上記請求項5の発明に係る中間画像記録体9及び被転写体10を示す側側断面図であり、例えば、図3(a)に示すように、中間転写媒体1の受像層3上に特殊な色材の模造色材6が画像部としてのパターンとは毛抜き合わせ形状の背景部のパターンとして転写してある中間画像記録体9であり、この中間画像記録体9を、基材8の表面上に前記模造色材6でなる背景部とは毛抜き合わせ形状の画像部として偽造防止効果のある特殊な色材5が既に他の印刷法で形成してある被転写体10に転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法である。
【0031】
また、例えば、図3(b)に示すように、中間転写媒体1の受像層3上に偽造防止効果のある特殊な色材5が画像部とは毛抜き合わせ形状の背景部のパターンとして転写してある中間画像記録体9であり、この中間画像記録体9を、基材8の表面上に前記背景部とは毛抜き合わせ形状の画像部として特殊な色材の模造色材6が既に他の印刷法で形成してある被転写体10に転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることもできる。
【0032】
また、図4は、上記請求項6の発明に係る中間画像記録体11及び被転写体12を示す側側断面図であり、例えば、図4(a)に示すように、中間転写媒体1の受像層3上に特殊な色材5が画像部のパターンとして転写してある中間画像記録体11であり、この中間画像記録体11を、基材8の表面上に模造色材6が前記画像部とは毛抜き合わせ形状の背景部のパターンとして既に他の印刷法で形成してある被転写体12に転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法である。
【0033】
また、例えば、図4(b)に示すように、中間転写媒体1の受像層3上に特殊な色材の模造色材6が画像部のパターンとして転写してある中間画像記録体11であり、この中間画像記録体11を、基材8の表面上に前記画像部とは毛抜き合わせ形状の背景部として偽造防止効果のある特殊な色材5が既に他の印刷法で形成してある被転写体12に転写する偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とすることもできる。
【0034】
図5は、上記偽造防止効果のある画像記録体の製造方法で得られた画像記録体13の側断面図とその画像記録体14の正面図であり、例えば、図5(a)に示すように、基材8と受像層3の間に、偽造防止効果のある特殊な色材5が画像部のパターンとして転写してあり、さらに特殊な色材5のパターンとは毛抜き合わせ形状の背景部のパターンになるように特殊な色材の模造色材6が転写してある画像記録体13である。また、その画像記録体13の正面図として、例えば、図5(b)に示すように、画像部のパターンが偽造防止効果のある特殊な色材5で形成されていて、その周辺の背景部のパターンとして特殊な色材の模造色材6で形成されている画像記録体14である。
【0035】
また、例えば、図5(b)に示すように、基材8と受像層3の間に、特殊な色材の模造色材6が画像部のパターンとして転写してあり、さらにその模造色材5のパターンとは毛抜き合わせ形状の背景部のパターンになるように偽造防止効果のある特殊な色材5が転写してある画像記録体13である。また、その画像記録体13の正面図として、例えば、図
5(b)に示すように、画像部のパターンが特殊な色材の模造色材6で形成されていて、その周辺の背景部のパターンとして偽造防止効果のある特殊な色材5で形成されている画像記録体14である。
【0036】
また、図6は、上記請求項8の発明に係る画像記録体15の側断面図とその画像記録体16の正面図であり、例えば、図6(a)に示すように、画像記録体13の表面上に絵柄層17が設けてある画像記録体15であり、この画像記録体15の正面図として、ハート型の絵柄層17が形成されている画像記録体16であり、最表面は絵柄層15、16が目視でき、特殊な色材5と模造色材6は表面上から目視出来ないようになっている。
【0037】
また、例えば、図6(b)に示すように、画像記録体13の基材8が透明な場合は、この画像記録体13の両面に絵柄層17が形成されている画像記録体15とすることもできる。
【0038】
また、図7は、上記請求項3および4の発明に係る感熱転写媒体18、26の側断面図とその感熱転写媒体19、27の平面図であり、例えば、図7(a)に示すように、支持体フィルム20上に、イエローY、マゼンタM、シアンCの3色からなる色材転写層21と偽造防止効果のある特殊な色材5でなる転写層とが面順に繰り返し設けられている感熱転写媒体18、19を使用して偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とするものである。
【0039】
また、例えば、図7(b)に示すように、支持体フィルム20上に、偽造防止効果のある特殊な色材5でなる転写層とこの特殊な色材の模造色材6でなる転写層とが面順に繰り返し設けられている感熱転写媒体26、27を使用して偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とするものである。
【0040】
さらにまた、図8は、上記請求項7の発明に係る感熱転写媒体24、22の側断面図とその感熱転写媒体25、23の平面図であり、例えば、図8(a)に示すように、支持体フィルム20上に、偽造防止効果のある特殊な色材5でなる転写層が全面に施されている感熱転写媒体24、25を使用して、あるいは例えば、図8(b)に示すように、支持体フィルム20上に、特殊な色材の模造色材6でなる転写層が全面に施されている感熱転写媒体22、23を使用して、偽造防止効果のある画像記録体の製造方法とするものである。
【0041】
図9は、本発明の偽造防止効果のある画像記録体40を得るための画像形成装置の一事例を示した説明図であり、少なくとも支持体上の片面に受像層が形成されてなる中間転写媒体33の受像層に、画像データに基づき感熱転写媒体32から色材をサーマルヘッド34を用いて選択的加熱手段で転移させることで中間画像記録体36を得る一次転写手段35と、中間画像記録体36の画像が記録された受像層を被転写体37へ加熱加圧部38を用いて転写し画像記録体40を得る二次転写手段39を備えた画像形成装置である。更に一次転写手段35により中間転写媒体33の受像層への一次転写35を行えるように、また、中間画像記録体36の画像が記録された受像層を被転写体37へ二次転写手段39を行えるように、少なくとも中間転写媒体33の搬送と位置合せ、感熱転写媒体32の搬送と位置合せ、中間転写媒体33や感熱転写媒体32と協同するサーマルヘッド34の選択的発熱を含む動作、及び、加熱加圧手段の加熱加圧部38の動作、の制御を行う画像形成制御部31を備えている画像形成装置である。
【0042】
また、図10は、本発明の偽造防止効果のある画像記録体40を得る製造工程の一事例を示す概略図であり、支持体上の片面に受像層が形成されてなる中間転写媒体33の受像層に、画像データに基づき感熱転写媒体32から偽造防止効果のある特殊な色材5と模造
色材6をサーマルヘッド34によって選択的に転移させる一次転写手段35により中間画像記録体36を作製し、その中間画像記録体36の画像が記録された受像層を被転写体37へ加熱加圧部38で転写する二次転写手段39により基材画像記録体40を得ることができる。
【0043】
以下に本発明の偽造防止効果のある画像記録体を構成する材料やその製法等について詳細に説明する。
【0044】
上記支持体2としては、コンデンサーペーパー等の紙またはポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、あるいはセロファン等が挙げられるが、特に耐熱性も高いことから好ましいのは、ポリエステルフィルム(具体例としては、PET〔ポリエチレンテレフタレート〕やPEN〔ポリエチレンナフタレート〕、等)である。なお、支持体2の厚さに特に制限はないが、画像形成装置の搬送性等を考慮すると、一般的には9〜300μm、好ましくは16〜200μmの範囲である。
【0045】
また、受像層3は、感熱記録媒体から画像パターンを転写されるもので、通常熱可塑性樹脂が用いられる。受像層に使用する熱可塑性樹脂は、例えば、線状飽和ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合物等の塩化ビニル系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ー2ーナフチル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロメチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリビニルベンゼン、ポリビニルブチラール、スチレンーブタジエン共重合物等のビニル系樹脂、等が挙げられる。
【0046】
上記受像層3中には、ブロッキング防止を目的として、各種フィラーを添加することができる。例えば、テフロン(登録商標)系微粒子、シリコン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂−メラミン樹脂縮合物微粒子、デンプン、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、等が挙げられる。また、これらの添加量は熱可塑性樹脂100部に対して1〜20重量部が好ましい。
【0047】
さらに、上記受像層3中には、紫外線吸収剤、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を添加することもできる。本発明の受像層は常法により製造することが出来、例えば、支持体2の一方に受像層形成用組成物をグラビア、メイヤーバー、ロールコートなどの塗工方法により塗工、乾燥して受像層を形成することにより製造することが出来る。
【0048】
また、被転写体の基材8の素材は特に限定はしないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)等のプラスチック類または紙類、または、アルミニウム、金、銀等の金属箔や、上記素材の組み合わせでもよい。
【0049】
上記基材8と中間画像記録体4、9、11の受像層3の表面、偽造防止効果のある特殊な色材5との密着性、偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材6、色材転写層21との密着性の必要性から、基材8上に接着層があってもよい。また、接着層が複数の層を有していても当然のことながら構わない。
【0050】
上記接着層は中間画像記録体4、9、11の受像層3を効率的に転移させるため必要に応じて設けられ、接着層は中間画像記録体4、9、11の受像層3の表面、偽造防止効果のある特殊な色材5、偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材6、色材転写層21との密着性が必要である。この接着層に使用する樹脂としては、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリスチレン、
ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレンアクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体等が挙げられる。接着層は上記材料の1種あるいは2種以上よりなる組成物により形成することができる。
【0051】
上記接着層に感圧粘着剤を使用する場合、この感圧粘着剤は、公知の粘着剤であればよく、例えば、アクリル系、ゴム系、酢ビ系粘着剤等である。また、接着層に感熱遅延粘着剤を使用する場合、公知の感熱遅延型粘着剤でよい。
【0052】
偽造防止効果のある特殊な色材5としては、例えば、ある特定の波長域で励起され発光・燐光する蛍光性物質や畜光性物質を含む色材、フォトクロミックインキ、サーモクロミックインキ等の物質を含む色材、特定の紫外線や赤外線を吸収する物質を含む色材、磁性材料を含む色材等が挙げられ、これらを複数同時に用いても良い。
【0053】
上記赤外線発光蛍光剤は、赤外光で励起し、可視光に発光する赤外可視変換蛍光剤と、赤外光で励起し、より長波長に発光するものがある。前者の赤外可視変換蛍光剤は、非常に特殊な励起機構を持つ蛍光体であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個用いることによって可視発光の励起を行う。二つのタイプの機構があり、一方は付活剤イオンの中の多段階の励起によって、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達によって、それぞれ高い励起が可能になる。始めのタイプは、Er3+やHo3+を付活剤とする多くの母体結晶で観測され、後のタイプは増感剤Yb3+やが赤外線を吸収し、多段階のエネルギー伝達によって発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+等を高い準位に励起する。また、母体結晶として硫化物(ZnS、CdS)や酸硫化物(Y2 2 S)のように電子の移動度が大きく、光導電性を持った半導体的物質は、電子線励起蛍光体として使用することが可能である。
【0054】
赤外光で励起し、より長波長に発光する赤外線発光蛍光剤は、例えば特開昭54−33634号公報や特開平3−288984号公報に記載されているように、ネオジウムとイッテルビウムとで賦活された蛍光体が挙げられる。ネオジウムイオン(Nd3+)は、800nm付近に強い吸収をもち、励起光の吸収に適している。ネオジウムに吸収されたエネルギーは、高い効率でイッテルビウムイオンに伝達される。更に励起状態にあるイッテルビウムイオンはほぼ100%の効率で980nm付近の発光を生ずることになる。
【0055】
上記ネオジウムとイッテルビウムイオンとで賦活された情報記録用蛍光体としては、Ca10(PO4 6 2 :Nd, Yb、Ca8 La2 (PO4 6 2 :Nd,Yb、YAlO3 :Nd, Yb、Y3 Al05 12:Nd, Yb等がある。これらドープ型の蛍光体の場合は、Nd及びYbは1〜10%程度の賦活のものを用いている。更に、(Nd,Yb)P3 9 、(Nd,Yb)P5 14、Li(Nd,Yb)P4 12、Na(Nd,Yb)P4 12、K(Nd,Yb)P4 12、K3 (Nd,Yb)P2 6 、Na(Nd,Yb)(WO4 2 、Na5 (Nd,Yb)(WO4 2 、Na(Nd,Yb)(MoO4 2 、Na5 (Nd,Yb)(MoO4 2 、Na2 (Nd,Yb)Mg2 (VO4 3 、Al3 (Nd,Yb)(BO3 4 、(Al, Cr)3 (Nd,Yb)(BO3 4 、Na5 (Nd,Yb)(SiO3 4 、Na3 (Nd,Yb)Si2 7 、Na3 (Nd,Yb)Ge2 7 、Na5 (Nd,Yb)(GeO3 4 、(Nd,Yb)MgAl1119及び、上記組成の(Nd,Yb)イオンの1部を3価を取り得るイオンでかつ、8
00nmから1000nmの波長にわたって吸収のないイオン、すなわちイットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、カドリニウム(Gd)、ルテシウム(Lu)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)から選ばれた少なくとも1種のイオンにより置換された材料を蛍光体として用いることができる。Nd及びYbは約5%以上のものである。
【0056】
偽造防止効果のある特殊な色材5、偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材6、色材転写層21の成分としては、バインダー中に公知の染料や顔料を分散させたものが挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて使用することも可能であり、また色相調整のため顔料と染料を併用して使用してもよい。また、使用する色によって染料と顔料を使い分けても良い。
【0057】
上記バインダー樹脂としては、例えばブチラール樹脂,ポリアミド樹脂,ポリエチレンイミン樹脂,スルホンアミド樹脂,ポリエステルポリオール樹脂,石油樹脂,スチレン,αーメチルスチレン,2ーメチルスチレン,クロルスチレン,ビニル安息香酸,ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ,アミノスチレン等のスチレン及びその誘導体,置換体の単独重合体や共重合体,メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類及びメタクリル酸,メチルアクリレート,エチルアクリレート,ブチルアクリレート,αーエチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル及びアクリル酸,ブタジエン,イソジエン,イソプレン等のジエン類,アクリロニトリル,ビニルエーテル類,マレイン酸及びマレイン酸エステル類,無水マレイン酸,ケイ皮酸,塩化ビニル,酢酸ビニル等のビニル系単量体の単独あるいは他の単量体等の共重合体を用いることができる。これらの樹脂は2種以上混合して用いることもできる。また、離型剤、軟化剤として、例えばパルミチン酸,ステアリン酸等の高級脂肪酸,ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩類,脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物,脂肪酸アミド類等の脂肪酸誘導体,高級アルコール類,多価アルコール類のエテル等誘導体,パラフィンワックス,カルナバワックス,モンタンワックス,ミツロウ,木ロウ,キャンデリラワックス等のワックス類,粘度平均分子量が約1,000から10,000程度の低分子量ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブチレン等のポリオレフイン類,或いはオレフイン,αーオレフイン類と無水マレイン酸,アクリル酸,メタクリル酸等の有機酸,酢酸ビニル等との低分子量共重合体,低分子量酸化ポリオレフイン,ハロゲン化ポリオレフイン類,ラウリルメタクリレート,ステアリルメタクリレート等長鎖アルキル側鎖を有するメタクリル酸エステル,メタクリル酸エステル類の単独もしくはスチレン類等のビニル系単量体との共重合体、ポリジメチルシロキサン,ポリジフェニルシロキサン等の低分子量シリコーンレジン及びシリコーン変性有機物質等が挙げられ、1種あるいは2種以上を選択して用いても良い。
【0058】
また、その界面活性剤として、インキ層中の組成物に相溶するものならば特に制限はなく混入させることもできる。例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アミンもしくは脂肪族アミドの硫酸塩類、脂肪族アルコール燐酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、脂肪族アミドスルホン酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合のナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン系界面活性剤、脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類等のカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン系界面活性剤、カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等、パーフルオロアルキルカルボン酸類、フルオロ脂肪族基含有アクリレートもしくはフルオロ脂肪族基含有メタクリレートとポリオキシアルキレンアクリレートもしくはポリオキシアルキレンメタクリレートとの共重合体、パーフルオロアルキルスルホンアミド類等が挙げられる。
また、感熱転写媒体の支持体フィルム20としては、色材層の形成のし易さや取扱い易さ、あるいは機械的強度の観点から、コンデンサーペーパー等の紙またはポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、あるいはセロファン等が挙げられるが、特には耐熱性も高いことから好ましいのはポリエステルフィルム(具体例としては、PET〔ポリエチレンテレフタレート〕やPEN〔ポリエチレンナフタレート〕、等)である。なお、基材の厚みは、機械的強度、取扱い易さあるいは入手の容易さから2〜50μmがよいが、本発明のより高い効果を期待するには(熱伝導率、熱伝達率、蓄熱性能、等の熱的特性にも関係するため)2〜16μmがより好適である。
【0059】
色材転写層21としては、イエロー、マゼンタ、シアン3色、その3色に墨を追加した4色でも構わない。また、各色の間に位置合わせ検知用のレジスターマーク等が存在しても何ら問題は無い。この色材転写層21は、受像層3に感熱転写媒体18、19からサーマルヘッド34によって色材転写層21を選択的に転移させる一次転写手段35時に偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材6を形成できる。
【0060】
本発明に係る一次転写手段35時における画像形成方式は、昇華転写方式、樹脂型転写方式、ワックス型溶融転写方式等の熱転写方式のいずれの方式でも適合でき、上記色材層の成分としては、バインダー中に公知の染料や顔料を分散させたものが挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて使用することも可能であり、また色相調整のため顔料と染料を併用して使用してもよい。また、使用する色によって染料と顔料を使い分けても良い。
【0061】
本発明の画像記録体13の上側または下側の両側に絵柄層17印刷がされていてもよい。ここでの上側とは、受像層3がある側を指し、この絵柄層17はグラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等で設けてもよいし、エンボス加工によって凹凸パターンを形成してもよい。
【0062】
また、絵柄層17と受像層13の間に、必要に応じて隠蔽層を設けてもよい。隠蔽層は、下部に設けられている特殊な色材5と模造色材6を絵柄層17から見え難くするもので、通常のUVインキ、グラビアインキ、オフセットインキ、スクリーンインキ、インクジェットインキ等によって設けられる。特に、受像層13の上に透明なUVインキを10μm程度印刷し、その上に光透過性の低い白色のUVインキを印刷した後、絵柄層17を印刷すると、特殊な色材5と模造色材6のパターンが視認できなくなる。また、隠蔽層が複数の層を有していても良い。
【0063】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0064】
<感熱転写媒体(感熱転写シート)の製造>
支持体フィルム20として、ポリエステルフィルム4.5μmに下記色材転写層21(イエロー、マゼンタ、シアン)、偽造防止効果のある特殊な色材5として顔料に赤外発光蛍光剤IRS−F(根本特殊化学社製)を使用し、特殊な色材の印刷をグラビア印刷機で、乾燥温度90℃で、パターンコートして、サンプルを作成した。各乾燥膜厚は、色材転写層はすべて0.4μm、偽造防止効果のある特殊な色材層は1.0μmである。
【0065】
(イエロー色材転写層組成物)
イエロー顔料 3.0部
ブチラール樹脂 6.0部
テトラヒドロフロン 60.0部
トルエン 31.0部
(マゼンタ色材転写層組成物)
マゼンタ顔料 1.5部
ブチラール樹脂 7.5部
テトラヒドロフロン 60.0部
トルエン 31.0部
(シアン色材転写層組成物)
シアン顔料 1.5部
ブチラール樹脂 7.5部
テトラヒドロフロン 60.0部
トルエン 31.0部
(偽造防止効果のある特殊な色材組成物)
アクリル樹脂 15.0部
ポリエステル樹脂 5.0部
IRS−F顔料 10.0部
メチルエチルケトン 35.0部
トルエン 35.0部
<中間転写媒体(箔)の製造>
支持体2として、ポリエステルフィルム25μmに以下の組成からなる受像層3をグラビア印刷機で、乾燥温度90℃にて塗布乾燥し、サンプルを作成した。受像層の乾燥膜厚は4.0μmである。
(受像層組成物)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 8.0部
エポキシ樹脂 4.0部
ウレタン樹脂 8.0部
テトラヒドロフラン 60.0部
メチルエチルケトン 20.0部
この感熱転写媒体(感熱転写シート)と中間転写媒体(箔)とを用い、市販の熱転写型のプリンターを使用して受像層に色材転写層によって作られる模造色材6と偽造防止効果のある特殊な色材の転移を行った後、被転写体である基材8(北越製紙社製のノーバック360)に160℃に加熱したシリコンゴムロールにて転写させて画像記録体を作製した。
【0066】
上記画像記録体の受像層上に隠蔽層として白色UV硬化インキ:UV161スーパーホワイト(T&K TOKA社製)をRIテスターで3cc/2pcの厚みで印刷した。更にその上に絵柄層17をUV硬化インキ:UV161−藍(T&K TOKA社製)を1.5cc/2pcの厚みで印刷し、絵柄層のある画像記録体を作製した。
【0067】
上記絵柄層のある画像記録体は絵柄層側、基材側の両側から見ても偽造防止効果のある色材のパターンが視認できなかった。また、赤外発光蛍光剤IRS−Fの部分を読み取ることのできるカメラ(赤外モニター)を使用すると、偽造防止効果のある色材のパターンが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法に使用する中間転写媒体の一事例を示す側断面図である。
【図2】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法に使用する中間記録媒体と被転写体を示すもので、(a)は、その一事例を示す側断面図であり、(b)は、他の一事例を示す側断面図である。
【図3】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法に使用する中間記録媒体と被転写体を示すもので、(a)は、その一事例を示す側断面図であり、(b)は、他の一事例を示す側断面図である。
【図4】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法に使用する中間記録媒体と被転写体を示すもので、(a)は、その一事例を示す側断面図であり、(b)は、他の一事例を示す側断面図である。
【図5】本発明の偽造防止効果のある画像記録体を説明するもので、(a)は、その一事例を示す側断面図と正面図であり、(b)は、他の一事例を示す側断面図と正面図である。
【図6】本発明の偽造防止効果のある画像記録体を説明するもので、(a)は、絵柄層のある画像記録体の一事例を示す側断面図と正面図であり、(b)は、絵柄層のある画像記録体の他の事例を示す側断面図である。
【図7】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造に使用する感熱転写媒体を説明するもので、(a)は、その一事例を示す側断面図と正面図であり、(b)は、他の一事例を示す側断面図と正面図である。
【図8】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造に使用する感熱転写媒体を説明するもので、(a)は、その一事例を示す側断面図と正面図であり、(b)は、他の一事例を示す側断面図と正面図である。
【図9】本発明の偽造防止効果のある画像記録体を製造する画像形成装置に関するフローチャートである。
【図10】本発明の偽造防止効果のある画像記録体の製造工程を説明する概略側面図である。
【符号の説明】
【0069】
1‥‥中間転写媒体
2‥‥支持体
3‥‥受像層
4‥‥中間画像記録体
5‥‥偽造防止効果のある特殊な色材
6‥‥偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材
7‥‥被転写体
8‥‥基材
9‥‥中間画像記録体
10‥‥被転写体
11‥‥中間画像記録体
12‥‥被転写体
13‥‥断面で見た画像記録体
14‥‥正面から見た画像記録体
15‥‥断面で見た絵柄層のある画像記録体
16‥‥正面から見た絵柄層のある画像記録体
17‥‥絵柄層
18‥‥断面で見た感熱転写媒体
19‥‥正面から見た感熱転写媒体
20‥‥支持体フィルム
21‥‥色材転写層
22‥‥断面で見た感熱転写媒体
23‥‥正面から見た感熱転写媒体
24‥‥断面で見た感熱転写媒体
25‥‥正面から見た感熱転写媒体
26‥‥断面で見た感熱転写媒体
27‥‥正面から見た感熱転写媒体
31‥‥画像形成制御部
32‥‥感熱転写媒体
33‥‥中間転写媒体
34‥‥サーマルヘッド
35‥‥一次転写手段
36‥‥中間画像記録体
37‥‥被転写体
38‥‥加熱加圧部
39‥‥二次転写手段
40‥‥画像記録体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体上の片面に受像層が形成されてなる中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき、感熱転写媒体から選択的加熱手段で色材を転移させて画像部を形成する一次転写工程と、前記画像が形成された受像層を被転写体へ加熱加圧手段で転写する二次転写工程とからなる画像記録体の製造方法において、前記一次転写工程で中間転写媒体の受像層に、前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成し、該画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を前記特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、前記画像部と背景部とを被転写体へ加熱加圧手段で転写することを特徴とする偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項2】
前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、該画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成することを特徴とする請求項1記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項3】
前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層と、少なくともイエロー、マゼンタ、シアンの色材のそれぞれによる転写層とが、面順に繰り返し並設されているものを使用することを特徴とする請求項1または2記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項4】
前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材による転写層と、該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層が面順に繰り返し並設されているものを使用することを特徴とする請求項1または2記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項5】
少なくとも支持体上の片面に受像層が形成されてなる中間転写媒体の受像層に、画像データに基づき、感熱転写媒体から選択的加熱手段で色材を転移させて画像部を形成する一次転写工程と、前記画像が形成された受像層を被転写体へ加熱加圧手段で転写する二次転写工程とからなる画像記録体の製造方法において、前記画像部が他の印刷法により偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材で既に形成されている被転写体に、前記一次転写工程で中間転写媒体の受像層に前記画像部と毛抜き合わせ形状の背景部を偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材もしくは偽造防止効果のある特殊な色材の転移により形成し、前記背景部を加熱加圧手段で転写することを特徴とする偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項6】
前記背景部が他の印刷法により偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材もしくは偽造防止効果のある特殊な色材で既に形成されている被転写体に、前記一次転写工程で中間転写媒体の受像層に前記画像部を偽造防止効果のある特殊な色材もしくはこの偽造防止効果のある特殊な色材の色に類似するように通常の色材で調整された模造色材の転移により形成し、前記画像部を加熱加圧手段で転写することを特徴とする請求項5記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項7】
前記感熱転写媒体として、支持体フィルム上に、偽造防止効果のある特殊な色材もしくは該偽造防止効果のある特殊な色材の模造色材による転写層が全面に配設されているもののいずれかを使用することを特徴とする請求項5または6記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項8】
前記画像記録体の少なくとも受像層面側に絵柄印刷層を設けることを特徴とする請求項
1乃至7のいずれか1項記載の偽造防止効果のある画像記録体の製造方法。
【請求項9】
上記偽造防止効果のある画像記録体の製造方法により得られた偽造防止効果のある画像記録体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−30293(P2007−30293A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215590(P2005−215590)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】