説明

傘用ワイヤーロック

【課題】使い易く、簡潔な構成の傘用ワイヤーロックを提供する。
【解決手段】傘用ワイヤーロック10は、環状に形成されたワイヤー11と、クリップ12及びリング13とからなる。傘を掴持するクリップは、左右クリップ片12a,12bからなり、該左右クリップ片はピン14によって回動可能に連結されている。一端には貫通孔15a,15bが形成されている。該貫通孔に挿通されたワイヤーは両端を接合して閉ループ11aが形成される。そして、該左右クリップ片で傘の握柄を挟んで閉ループをねじって撚り合せると、閉ループは小さくなり、舌片16a,16bを互いに近接させる。これにより、クリップは傘を掴持することができる。そして、撚り合せることにより一本の縄状に形成したワイヤーを自転車のシートチューブへ巻回し、リングに馬蹄形錠が有する略U字状の掛け金部を挿通して自転車の後輪を施錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘の盗難を防止するための傘用ワイヤーロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤー又はチェーンの両端に係合環を設けて、該係合環を南京錠で連結施錠するようにしたワイヤーロックが知られている。
特開2005−171723号公報に開示されている傘の盗難防止装置は、取付具及び南京錠、そして、該取付具と南京錠とを繋ぐチェーンからなり、傘の握柄を挟持した取付具が拡開しないように、取付具を南京錠で施錠している。このとき、チェーンを自転車のフレームに巻回することにより、傘を持ち去り不能に拘束するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−171723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の傘の盗難防止装置は、自転車の鍵と異なる南京錠用の鍵が用意される。そのため、自転車を駐輪する際に、自転車を施錠した後、該自転車へ傘をくくり付けて盗難防止装置を施錠するまでの一連の操作で少なくとも2回鍵をかける操作を要するので手間がかかる。また、チェーン付の取付具と南京錠が別個であることから、盗難防止装置を使用していないときに南京錠本体或いは鍵を紛失するおそれがある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、使い易く、簡潔な構成の傘用ワイヤーロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の傘用ワイヤーロックは、ワイヤー類と、
傘を掴持するクリップとを備え、
前記クリップは、左右一対のクリップ片を回動自在に軸で連結して形成し、
各クリップ片の一端にそれぞれ貫通孔を形成し、
前記ワイヤー類を前記貫通孔へ挿通して閉ループを形成し、
前記ワイヤー類の前記閉ループを複数回ねじって撚り合せることにより、前記左右のクリップ片の一端を互いに近接させて、前記傘の傘軸又は握柄を前記両クリップ片で掴持するようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の傘用ワイヤーロックは、請求項1に記載の発明において、ワイヤー類と、
傘を掴持するクリップとを備え、
前記クリップは、左右一対のクリップ片を回動自在に軸で連結して形成し、
各クリップ片の一端にそれぞれ貫通孔を形成し、
前記ワイヤー類の一端に小ループを設け、
前記貫通孔へ挿通した前記ワイヤー類の他端を前記小ループに挿通して、
前記ワイヤー類の一端に閉ループを形成し、
前記ワイヤー類の他端を反クリップ方向へ引っ張ったとき、前記閉ループが前記左右のクリップ片の一端を互いに近接させて、前記傘の傘軸又は握柄を前記両クリップ片で掴持するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の傘用ワイヤーロックは、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、少なくとも南京錠類が備える略U字状の掛け金部が挿通可能な直径を有するリングに、前記ワイヤー類を挿通させるか、又は該リングを前記ワイヤー類の他端に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の傘用ワイヤーロックによれば、左右一対のクリップ片の一端に設けた貫通孔にワイヤー類を挿通して閉ループを形成し、該ワイヤー類を複数回ねじって撚り合せることによって、左右のクリップ片の一端が互いに近接するようにした。これにより、左右クリップ片で傘の傘軸又は握柄を掴持することができる。
ここで、複数回ねじって撚り合せ、縄状に形成したワイヤー類は、たとえば、柵、或いは自転車のフレームのような棒体へ巻回することができる。そして、閉ループを撚り合せたときに、ワイヤー類を挟んでクリップと対向する位置には、穴が形成される。当該穴へ南京錠又はこれに類する鍵が有する略U字状の掛け金部を挿通することにより、傘を柵或いは自転車のフレームへ持ち去り不能に拘束することができる。そのため、傘用ワイヤーロックは、傘の盗難を防止することができる。
また、たとえば南京錠に類似し、自転車の後輪近傍に固定されている馬蹄形錠の略U字状の掛け金部を、閉ループを撚り合せてワイヤー類に形成される上記の穴へ挿通するようにした場合、一本の鍵で自転車と傘用ワイヤーロックを施錠することができる。
そして、本発明に係る傘用ワイヤーロックは、クリップ片の貫通孔にワイヤー類を挿通して閉ループを形成したことにより、ワイヤー類とクリップを一体化しているので、部品の紛失や散逸を防ぐことができる。
さらに、閉ループをねじって撚り合せ、縄状に形成したワイヤー類は、強度と耐久性が向上し、破断を防ぐことができる。そのため、引き千切ることが困難となるので、傘の盗難を防ぐことができる。
【0009】
請求項2に記載の傘用ワイヤーロックによれば、ワイヤー類の一端に小ループを形成し、左右のクリップ片の貫通孔を挿通したワイヤー類の他端を、該小ループに挿通して閉ループを形成するようにした。そして、ワイヤー類を引っ張ることにより、請求項1の場合と同様に、閉ループが左右のクリップ片の一端を互いに近接させる。これにより、クリップで傘を掴持することができる。
【0010】
請求項3に記載の傘用ワイヤーロックによれば、少なくとも南京錠類が備える略U字状の掛け金部が挿通可能な直径を有するリングにワイヤー類を挿通させるか、又はそのようなリングをワイヤー類の他端に取り付けるようにした。これにより、容易に施錠することができる。またワイヤー類をねじって撚り合せる場合、或いはワイヤー類を引っ張る場合に、該リングに指を掛止することができるので、傘用ワイヤーロックを使い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施例に係る傘用ワイヤーロックを示す斜視図である。
【図2】第1実施例に係る傘用ワイヤーロックの使用態様の一例を示す説明図である。
【図3】第1実施例に係る傘用ワイヤーロックの使用態様の一例を示す説明図である。
【図4】第2実施例に係る傘用ワイヤーロックを示す斜視図である。
【図5】第2実施例に係る傘用ワイヤーロックのクリップの他の形状を示す斜視図である。
【図6】第2実施例に係る傘用ワイヤーロックの使用態様の一例を示す説明図である。
【図7】第3実施例に係る傘用ワイヤーロックを示す斜視図である。
【図8】第3実施例に係る傘用ワイヤーロックの使用態様の一例を示す説明図である。
【実施例1】
【0012】
本願発明に係る傘用ワイヤーロックの実施例を添付した図面にしたがって説明する。
図1は、本実施例に係る傘用ワイヤーロックを示す斜視図である。
【0013】
傘用ワイヤーロック10は、ワイヤー11と、傘を掴持するクリップ12と、リング13とからなる。
本実施例に係るワイヤー11は、金属製の細線を撚り合せて形成されている。なお、これに限定されることなく、ワイヤー11に類似する針金、ピアノ線、チェーン、組紐又は耐破断性に優れた合成繊維或いは天然繊維からなるロープ等であっても良い。
クリップ12は、それぞれ半弧状に形成された一対の左クリップ片12aと右クリップ片12bとからなる。左右クリップ片12a,12bは、ピン14によって回動可能に互いが連結された連結端と、貫通孔15a,15bを備えた舌片16a,16bが連接形成された開放端を有する。これによって、左右クリップ片12a,12bは開閉可能に形成され、左右クリップ片12a,12bを閉じたとき、形成される略円弧状のホルダによって傘の傘軸又は握柄を掴持することができる。
【0014】
リング13は、金属製のワッシャ又はOリング或いはこれ等に類する環状体からなり、少なくとも、南京錠、又はこれに類する錠前が有する略U字状の掛け金部が挿通可能な直径を有する。なお、リング13は金属製に限定されず、強化プラスチック等の合成樹脂で形成しても良い。さらに、リング13を樹脂でコーティングしたり、ゴム管を被せても良い。コーティングしたりゴム管を被せた場合には、傘用ワイヤーロック10の使用の際、リング13によって肌が傷つくことを防ぐことができる。
【0015】
ワイヤー11を、左右のクリップ片12a,12bの貫通孔15a,15bへ挿通し、リング13へ挿通して、両端を接合することによって、閉ループ11aが形成される。
閉ループ11aをクリップ12と反対方向に引っ張って、閉ループ11aをねじって撚り合せると、該閉ループ11aは、舌片16a,16bの外側から該舌片16a,16bを内側に向かって付勢する。そのため、左右クリップ片12a,12bの端部に設けた舌片16a,16bは互いに近接する。これにより、閉ループ11aでクリップ12を閉じることができる。
【0016】
上記の構成を有する傘用ワイヤーロック10は、以下のように使用される。添付した図面にしたがって説明する。
【0017】
本実施例で使用される傘1は、傘布2と傘軸3とからなり、傘軸3の先端には石突4が配され、傘軸3の末端には端部をJ字状に湾曲させた握柄5が設けられている。
図2に示すように、自転車100のフレームの後三角形部分は、シートチューブ101、バックステー102、チェーンステー103からなり、シートチューブ101の上端にはサドル105が取り付けられたシートポスト104が挿嵌されている。そして、本実施例に係る自転車は、図3に示すように、バックステー102には、略U字状の掛け金部151を有する馬蹄形錠150が固定されている。
なお、後輪106を施錠する鍵は、馬蹄形錠150に限定されるものではなく、略U字状の掛け金部151を備えたU字ロック又は南京錠で施錠するワイヤーロックであっても良い。
そして、図2に示すように、握柄5の湾曲部分はシートチューブ101又はシートポスト104に掛止され、傘1本体はバックステー102に沿って配置され、石突4はバックステー102とチェーンステー103の接合部106近傍で、バックステー102の後輪側へ通されている。これにより、傘1を自転車100に搭載することができる。
【0018】
本実施例に係る傘用ワイヤーロック10は、まず、左右クリップ片12a,12bのいずれか一方の内側面に傘1の握柄5を当接させる。そして、ワイヤー11の一部を指に引っ掛けて、ワイヤー11をクリップ12と逆方向へ引っ張ると、閉ループ11aは舌片16a,16bを内側に向かって付勢する。これにより、舌片16a,16bは互いに近接し、左右クリップ片12a,12bは、傘1の握柄5を掴持する。これによって、クリップ12は傘1を掴持することができる。このとき、ワイヤー11を引っ張っている力を緩めるとクリップ12は開くので、この状態を仮留とする。
また、リング13に指を掛止すると、容易にワイヤー11を引っ張ることができる。なお、本実施例において傘1の握柄5を掴持するようにしたが、傘軸3を掴持するようにしても良い。
次に、ワイヤー11を引っ張った仮留状態の閉ループ11aをねじって撚り合せると、閉ループ11aは、縄状に形成されると共に、クリップ12の舌片16a,16bを内側に向かって付勢する閉ループ11aは次第に小さくなり、舌片16a,16bを互いに近接させる。
そして、傘1を図2に示すように自転車100に搭載し、閉ループ11aをねじって撚り合せることにより、一本の縄状に形成したワイヤー11を、自転車のシートチューブ101に巻回する。これにより、クリップ12に掴持された傘1を、自転車100のフレームに拘束することができる。
そして、リング13を馬蹄形錠150の掛け金部151へ挿通して、馬蹄形錠150を施錠する。これにより、自転車100のフレームに拘束した傘1を持ち去り不能に拘束することができる。そのため、傘1の盗難を防止することができる。
【0019】
本実施例においては、シートチューブ101へワイヤー11を巻回させたがこれに限定されるものではなく、閉ループ11aをねじって縄状に形成したとき、傘1が自転車100のフレームから離れない程度に当該ワイヤー11が短くなるようであれば、自転車100のフレームに巻回しなくても、持ち去り不能に拘束することができる。
このとき、傘1を持ち去るためには、リング13が馬蹄形錠150によって固定されているので、リング13を中心として傘1本体を複数回に亘って回さなければならない。鍵を外さないで、傘1を回転させる行為は目立つことから、周囲の人から怪しまれることとなり、結果として傘1の盗難を防ぐ抑止効果を得ることができる。
【実施例2】
【0020】
次に、第2実施例に係る傘用ワイヤーロックを添付した図面にしたがって説明する。
本実施例に係る傘用ワイヤーロックを図4に示し、該傘用ワイヤーロックの使用例を図6に示す。
【0021】
傘用ワイヤーロック20は、ワイヤー11と、傘を掴持するクリップ21とからなる。
ワイヤー11は、第1実施例と同様であるので説明を省略する。
クリップ21は、一対の左クリップ片21aと右クリップ片21bとからなる。
平板状の左右クリップ片21a,21bは、互いの中心がピン24で回動自在に連結されている。これにより、クリップ21はハサミのように開閉することができる。
左右クリップ片21a,21bは、図4に示すように、先端に略半円状のホルダ部23a,23bがそれぞれ形成され、末端に貫通孔25a,25bがそれぞれ形成されている。左右クリップ片21a,21bが閉ざされたとき、ホルダ部23a,23bによって、略円状のホルダが形成される。これにより、クリップ21は、傘1の傘軸3又は握柄5を掴持することができる。
貫通孔25a,25bへ挿通したワイヤー11は両端を接合して閉ループ11aが形成される。
ここで、ワイヤー11を少なくとも一回ねじって8の字状にしたとき、クリップ21側に配される穴を閉ループ11aとし、他方の穴を取付穴11bとする。
これにより、ワイヤー11をクリップ21と逆方向に引っ張ると、閉ループ11aは、左右クリップ片21a,21bの末端を互いに近接させ、ピン24を挟んで対向するホルダ部23a,23bを互いに近接させることができる。
【0022】
また、図5には、左右クリップ片21a,21bのホルダ部23a,23bとピン24との間を折り曲げて、断面がL字状となるように形成したクリップ21を示す。
なお、本実施例においては、略直角となるように折り曲げたがこれに限定されず、左右クリップ片21a,21bの先端側と末端側との成す角度が、鈍角或いは鋭角となるように折り曲げても良い。
左右クリップ片21a,21bをこのように折り曲げることにより、ホルダ部23a,23bで傘1の傘軸3又は握柄5を掴持したとき、左右クリップ片21a,21bの貫通孔25a,25b側は、握柄5に沿って配される。すなわち、左右クリップ片21a,21bの末端側がサドル105の側面よりも外側に突出することを防ぐことができる。そのため、傘用ワイヤーロック20の使用時に、左右クリップ片21a,21bに身体或いは服が引っ掛かるような事故を防ぐことができる。
また、図5に示した左右クリップ片21a,21bの末端側に形成した穴25a,25bの径は、指が挿し込める程度に形成されている。これにより、左右クリップ片21a,21bで傘1の握柄5を掴持するとき、手がかりがあるので挟みやすい。
なお、本実施例では、略左右対称となるように指が挿し込める穴25a,25bを形成したが、これに限定されるものではなく、たとえば穴25bに隣に少なくとも一つの穴を連接形成したり、又は穴25a,25bのいずれか一方の径を他方の径よりも大きく或いは長細く形成し、人差し指と中指とが挿し込めるようにしても良い。
【0023】
上記の構成を有する傘用ワイヤーロック20は、以下のように使用される。添付した図面にしたがって説明する。
第1実施例及び図2と同様に、傘1は自転車100に搭載される。したがって説明を省略する。
本実施例に係る傘用ワイヤーロック20と、第1実施例に係る傘用ワイヤーロック10は、図1、図4、図5に示すように、クリップ21の形状とワイヤー11に形成した取付穴11bが相違する。
ワイヤー11をクリップ21と逆方向に向かって引っ張ると、閉ループ11aは左右クリップ片12a,12bの末端を内側に向かって付勢する。これにより、左右クリップ片21a,21bはピン24を中心に回動し、ホルダ部23a,23bは互いに近接する。これにより、クリップ21は傘1の握柄5を掴持することができる。
そして、ワイヤー11をクリップ21の反対側へ引っ張ったまま複数回ねじると、第1実施例と同様にワイヤー11は縄状に形成される。そして、図6に示すように、シートチューブ101へワイヤー11を巻回させて、取付穴11bに馬蹄形錠150の掛け金部151を挿通して、馬蹄形錠150を施錠する。これにより、第1実施例と同様に、傘用ワイヤーロック20は傘1を持ち去り不能に自転車100のフレームへ拘束することができる。
また、図5に示したように、左右クリップ片21a,21bをホルダ部23a,23bとピン24の間で折り曲げるようにすれば、傘1の握柄5に沿ってクリップ21の末端側が配される。そのため、クリップ21と握柄5との間に指を入れてクリップ21を引っ張ることが困難となり、傘の盗難を防止することができる。さらに、ワイヤー11を引っ張る方向と折り曲げたクリップ21の貫通孔25a,25b側の向きが一致する。そのため、ワイヤー11を引っ張ったときにクリップ21が握柄5に対して傾くことを防ぐことができ、そして、ワイヤー11を容易に引っ張ることができる。
【実施例3】
【0024】
第3実施例に係る傘用ワイヤーロックを添付した図面にしたがって説明する。
本実施例に係る傘用ワイヤーロックを図7に示し、該傘用ワイヤーロックの使用例を図8に示す。
傘用ワイヤーロック30は、ワイヤー31と、傘を掴持するクリップ12と、リング34とからなる。
クリップ12については、第1実施例と同様であるので説明を省略する。
ワイヤー31は、第1実施例と同様に、金属製の細線を撚り合せて形成されている。なお、これに限定されることなく、ワイヤー31に類似する針金、ピアノ線、チェーン、組紐又は耐破断性に優れた合成繊維或いは天然繊維からなるロープ等であっても良い。
ワイヤー31の一端には、小ループ32が形成されている。ここで、ワイヤー31の他端をクリップ12の貫通孔15a,15bに挿通し、小ループ32に挿通することにより、ワイヤー31の一端には閉ループ33が形成されている。なお、本実施例において、小ループ32はワイヤー31の一端を撓めて形成したが、これに限定されるものではなく、ワイヤー31が挿通可能な直径を有するOリング又はナスカンを取り付けるようにしても良い。
ワイヤー31の他端をクリップ12と逆方向へ引っ張ったとき、閉ループ33が締まるので、閉ループ33は、クリップ12の舌片16a,16bが互いに近接するように付勢することができる。これによって、閉ループ33は左右クリップ片12a,12bを閉ざすことができる。そのため、ワイヤー31を引っ張ると、それに連動してクリップ12を閉じることができる。
ワイヤー31の他端は、リング34が取り付けられている。該リング34は、金属製のワッシャ或いはOリング又はナスカンからなる。また、リング34は、第1実施例と同様に、強化プラスチック等の合成樹脂製としても良い。また、樹脂でコーティングし、或いはゴム管を被せても良い。
【0025】
上記の構成を有する傘用ワイヤーロック30は、以下のように使用される。添付した図面にしたがって説明する。
第3実施例に係る傘用ワイヤーロックの使用方法は、第1実施例に係る傘用ワイヤーロックの使用方法と、ワイヤー31をねじるか否かが相違する。
ワイヤー31の他端を反クリップ12方向へ引っ張ると、小ループ32はワイヤー31に沿ってクリップ12に向かって摺動する。それに伴い、閉ループ33は漸次締まり、閉ループ33は左右クリップ片12a,12bを閉ざすことができる。このとき、左右クリップ片12a,12bの内側面に傘1の握柄5を当接させると、クリップ12は、図8に示すように傘1の握柄5を掴持することができる。
そして、他端を引っ張ったワイヤー31をシートチューブ101に巻回し、リング34を馬蹄形錠150の掛け金部151に通し、該馬蹄形錠150を施錠すると、傘用ワイヤーロック30は、傘1を持ち去り不能に自転車のフレームに拘束することができる。
【0026】
第1実施例乃至第3実施例に記載の傘用ワイヤーロック10,20,30によれば、自転車100の施錠と連動して傘1を施錠することができる。そのため、傘1の盗難を防止することができるので、駐輪場に自転車100に傘1を乗せたまま、自転車100から離れることができる。
そして、傘用ワイヤーロック10,20,30の構成を簡素なものにしたことから、該傘用ワイヤーロック10,20,30を安価に提供することができる。
【0027】
本実施例に記載の傘用ワイヤーロック10,20,30は、実施例に記載したように自転車100のフレームに拘束することに限定されるものではなく、たとえば、柵に括り付けて使用することもできる。この場合、ワイヤー11,31を柵に巻回し、傘用ワイヤーロック10,20,30のリング13,34又は取付穴11bと貫通孔15a,15b,25a,25bの両方の穴に南京錠が有する略U字状の掛け止部を挿通する。これによって、柵へ傘1を持ち去り不能に拘束することができる。
【0028】
また、第1実施例乃至第3実施例のいずれかに記載の傘用ワイヤーロック10,20,30によれば、傘1の握柄5をクリップ12,21で掴持するようにした。これによって、傘骨を抑え込んで撓ませ、傘の見かけ上の直径を細くすることによって、クリップから傘を抜き取ることができない。そのため、傘の盗難を防止することができる。
なお、第1実施例乃第3実施例のいずれかに記載のクリップ12,21は、傘1の握柄5を掴持するようにしたが、これに限定されるものではなく、傘1の傘軸3を掴持するようにしても良い。この場合、傘軸3は、握柄5と比較して小径であることから、傘軸3に沿って摺動したクリップ12,21は、該傘軸3と握柄5の連結部分に掛止する。そのため、傘1の抜き取りを防ぐことができ、傘1の盗難を防止することができる。
また、第1実施例乃至第3実施例のいずれかに記載の傘用ワイヤーロック10,20,30によれば、傘1の握柄5又は傘軸3をクリップ12,21で掴持することができる。そのため、自転車100へ搭載する傘1を、各図で例示した末端がJ字状に湾曲した握柄5に限定することなく、たとえば、J字状の湾曲部を有さない棒状の握柄、又は握柄の末端に球体状のノブが設けられているもののように、従来、自転車100のシートポスト101に掛止できない形状の握柄を有する傘であっても、自転車100のフレームに拘束することができる。そのため、より多岐にわたるデザインの傘を持ち歩くことができる。この場合には、開錠した掛け金部151にリング13,34又は穴11bを掛止すれば、自転車100を移動させることもできる。
【符号の説明】
【0029】
10,20,30…傘用ワイヤーロック、11,31…ワイヤー、12,21…クリップ、13,34…リング、
12a,21a…左クリップ片、12b,21b…右クリップ片、14,24…ピン、
23a,23b…ホルダ部、
15a,15b,25a,25b…貫通孔、16a,16b…舌片、
11a,33…閉ループ、11b…取付穴、
32…小ループ、
1…傘、2…傘布、3…傘軸、4…石突、5…握柄、
100…自転車、101…シートチューブ、102…バックステー、103…チェーンステー、104…シートポスト、105…サドル、
150…馬蹄形錠、151…掛け金部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤー類と、
傘を掴持するクリップとを備え、
前記クリップは、左右一対のクリップ片を回動自在に軸で連結して形成し、
各クリップ片の一端にそれぞれ貫通孔を形成し、
前記ワイヤー類を前記貫通孔へ挿通して閉ループを形成し、
前記ワイヤー類の前記閉ループを複数回ねじって撚り合せることにより、前記左右のクリップ片の一端を互いに近接させて、前記傘の傘軸又は握柄を前記両クリップ片で掴持するようにしたことを特徴とする傘用ワイヤーロック。
【請求項2】
ワイヤー類と、
傘を掴持するクリップとを備え、
前記クリップは、左右一対のクリップ片を回動自在に軸で連結して形成し、
各クリップ片の一端にそれぞれ貫通孔を形成し、
前記ワイヤー類の一端に小ループを設け、
前記貫通孔へ挿通した前記ワイヤー類の他端を前記小ループに挿通して、
前記ワイヤー類の一端に閉ループを形成し、
前記ワイヤー類の他端を反クリップ方向へ引っ張ったとき、前記閉ループが前記左右のクリップ片の一端を互いに近接させて、前記傘の傘軸又は握柄を前記両クリップ片で掴持するようにしたことを特徴とする傘用ワイヤーロック。
【請求項3】
少なくとも南京錠類が備える略U字状の掛け金部が挿通可能な直径を有するリングに、前記ワイヤー類を挿通させるか、又は該リングを前記ワイヤー類の他端に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の傘用ワイヤーロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11093(P2013−11093A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143951(P2011−143951)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(597014198)中央工業株式会社 (2)