説明

傘立て用傘保持装置

【課題】暗証番号を忘れた場合に非常解除するための機構を簡素化できてコストダウンを図る傘立て用傘保持装置を提供する。
【解決手段】ケース1の中に組み込まれたダイヤル作動部4は複数枚の円盤状のダイヤル5,…を備えるとともにダイヤルに対して係脱するカム17,…をダイヤルと同芯上に備え、カムには一箇所に扁平面17d,…が形成された円弧状カム面17e,…を備え、カムの扁平面に当接する状態と円弧状カム面に当接する状態との間で作動する作動プレート21が設けられ、作動プレートが円弧状カム面に当接する状態にあるときに傘の柄引っ掛け部に引っ掛けられた傘の柄が取り外せないように閉じるシャッタを設け、各カムの円弧状カム面には解除ピン嵌入孔17f,…が形成され、ケースの差し込み孔30,31,32より解除ピン33a,…の先端を解除ピン嵌入孔17f,18f,19fに嵌入させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘立てに取り付けられ傘立てに立てられる傘の柄の部分を保持する傘立て用傘保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種傘保持装置としては、例えば特許文献1に開示されている符号錠が組み合わされたものが知られている。この特許文献1における符号錠は、外周面に符号が設けられた複数の外リングの内側に、支持軸により回動自在に支持された内リングを外リングに対して相対回転可能に嵌め、前記外リングの内周面と内リングの外周面とを共回り可能な摩擦係数をもって接触させ、前記内リングの側面に切欠部を形成し、この切欠部に係合可能な爪を有する係合部材を前記支持軸の軸方向にスライド自在に設け、この係合部材の一端に、前記爪が切欠部から離脱したとき扉に係合する係合片を設けたものであって、暗証番号を忘れた場合、鍵孔に鍵板を挿入し、脚を押し上げながら各外リングを一回転以上回転させるとよく、ボスに係合部が当接しつつ、外リングと共に内リングが回転し、ボスの溝と係合部の位置が一致したとき、溝に係合部が係合して、切欠部と爪の位置が一致し、扉を開くことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−72135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の傘保持装置の構成では、暗証番号を忘れた場合に非常解除するために、ケース内において、各ダイヤル(外リング)に対応してボスの溝に係合する係合部を備えた脚を設ける必要があり、それだけ部品点数が多くなり、コストアップになるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するものであり、暗証番号を忘れた場合に非常解除するための機構を簡素化できてコストダウンを図るとともに、非常解除時の作業性に優れた傘立て用傘保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の傘立て用傘保持装置は、ケースの中にダイヤル作動部が組み込まれ、このダイヤル作動部は操作用の複数枚の円盤状のダイヤルを備えるとともにダイヤルに対して係脱するカムをダイヤルと同芯上に備え、またカムには一箇所に扁平面が形成された円弧状カム面を備え、このカムの扁平面に当接する状態と円弧状カム面に当接する状態との間で作動する作動プレートが設けられ、前記ケースには前記ダイヤルの一部を嵌入させて外部に突出させる開口部が形成されており、ケースの外側には傘の柄引っ掛け部が形成されており、この傘の柄引っ掛け部に対して引っ掛けられた傘の柄が取り外せないように開閉自在なシャッタを設け、閉じられたシャッタは前記作動プレートが円弧状カム面に当接する状態にあるときに開かれるのが止められ、作動プレートがカムの扁平面に当接する状態になると開かれるように構成されてなる傘立て用傘保持装置であり、前記各カムの円弧状カム面には解除ピン嵌入孔が形成されており、ケースに形成された差し込み孔より解除ピンの先端をカムの解除ピン嵌入孔に嵌入させるように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の傘立て用傘保持装置は、ダイヤルの数に合う本数の解除ピンは摘みに長さ方向に往復移動自在に差し込まれるとともに抜け止め状態で支持され、各解除ピンは摘み内に設けたばねにより摘みから突出する方向に付勢されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の傘立て用傘保持装置は、ダイヤルを回して設定した暗証番号を忘れた場合、複数枚の全てのダイヤルに嵌り込むカムの扁平面が作動プレートに当接するようにして作動プレートをほぼ水平状態に戻すようにすれば良く、そのために本発明では各カムの円弧状カム面には解除ピン嵌入孔が形成されており、ケースに形成された差し込み孔より解除ピンの先端をカムの解除ピン嵌入孔に嵌入させるように構成したことにより、ダイヤルを回して全てのカムの解除ピン嵌入孔に解除ピンの先端が嵌入する作業を行なえば作動プレートはカムの扁平面に当接した状態となってシャッタは開かれ、非常解除することができる。そして、本発明の傘立て用傘保持装置は暗証番号を忘れた場合に非常解除するための機構を簡素化できてコストダウンを図ることができる。また、ダイヤルの数に合う複数本の解除ピンを摘みから突出する方向にばねにより付勢して設けておけば、複数本の解除ピンをケースの差し込み孔より一度に差し込むことにより複数枚のダイヤルに嵌り込んでいるカムの解除ピン嵌入孔に解除ピンの先端を順番に嵌入させることが可能となり、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態における傘立て用傘保持装置の分解斜視図である。
【図2】(A)および(B)はダイヤルの異なった方向から見た拡大斜視図である。
【図3】(A)および(B)はカムの異なった方向から見た拡大斜視図である。
【図4】(A)および(B)はダイヤルおよびカムと作動プレートを組み合わせた状態を異なった方向から見た斜視図である。
【図5】同作動プレートにダイヤルおよびカムを組み合わせた状態で上側ケース体に組み込んだ状態を上側ケース体を上下反転して見た斜視図である。
【図6】同摘み付きのシャッタ軸を下側ケース体に組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図7】同上下のケース体を組み合わせて完成した傘立て用傘保持装置を前方から見た斜視図である。
【図8】同上下のケース体を組み合わせて完成した傘立て用傘保持装置を後方から見た斜視図である。
【図9】同シャッタ軸が開いている状態での傘立て用傘保持装置の正面断面図である。
【図10】同シャッタ軸が開いている状態での傘立て用傘保持装置の側面断面図である。
【図11】同シャッタ軸が閉じて傘の柄が引っ掛けられている状態での傘立て用傘保持装置の斜視図である。
【図12】同シャッタ軸が閉じて傘の柄が引っ掛けられている状態での傘立て用傘保持装置の正面断面図である。
【図13】同シャッタ軸が閉じている状態での傘立て用傘保持装置の側面断面図である。
【図14】同傘立て用傘保持装置が横方向に多数並べて設けられた傘立ての斜視図である。
【図15】同3本の解除ピンを備えたマスターキーの斜視図である。
【図16】同マスターキーの解除ピンの先端がカムの円弧状カム面に当接した状態を示す断面図である。
【図17】同マスターキーの解除ピンの先端がカムの解除ピン嵌入孔に嵌入して作動プレートがほぼ水平状態に戻った状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図17を用いて具体的に説明する。
図において、1は上下に2分割されて作られた合成樹脂製のケース体2,3を組み合わせてなるケースで、ケース1を正面から見て右側において上側ケース体2に組み込まれたダイヤル作動部4の3枚の円盤状のダイヤル5,6,7の上部を嵌入させて上方に突出させる開口部8,9,10が上側ケース体2に形成されている。ケース1の外側にはケース1を正面から見て左側において後端部に傘の柄引っ掛け部11が一体に形成されており、この傘の柄引っ掛け部11に対してケース1の前端部は開口しており、このケース1の前端部の開口状態において傘の柄引っ掛け部11に対して傘の柄12を引っ掛けることができるようになる。13は傘の柄引っ掛け部11に傘の柄12が引っ掛けられた傘14を取り外せないように下側ケース体3に取り付けられた丸軸状のシャッタ軸で、このシャッタ軸13の一端には操作用の摘み15が結合され、この摘み15を摘んでシャッタ軸13をケース1の左側における前端部の開口を閉じるようにスライドさせることにより傘の柄引っ掛け部11に傘の柄12が引っ掛けられた傘14を取り外せないようになる。摘み15を摘んでスライドしたシャッタ軸13の他端は上下のケース体2,3を組み合わせて形成される左側板部の合わせ目に形成された凹部16に嵌り込み前記ダイヤル作動部4の作動(詳細については後述する)によりロック状態となり、シャッタ軸13でケース1の左側における前端部の開口を傘の柄12の挿脱が不可となるよう閉じた状態にすることができる。ところで、シャッタ軸13および摘み15も合成樹脂材料で作られている。
【0011】
前記ダイヤル作動部4について詳細に説明すると、ダイヤル作動部4は前記3枚のダイヤル5,6,7と、この3枚のダイヤル5,6,7に対してそれぞれ嵌入してダイヤル5,6,7の軸芯方向に移動可能なカム17,18,19と、ダイヤル5,6,7に嵌入するカム17,18,19の軸孔17a,18a,19aに挿通されてカム17,18,19およびダイヤル5,6,7を回転自在に支持するダイヤル軸20と、3枚並んだ状態のダイヤル5,6,7の下部を嵌入させる開口部21a,21b,21cが形成され前記カム17,18,19が載るように当接する作動プレート21とを備えている。
【0012】
さらに詳しくは、前記3枚の各ダイヤル5,6,7の回転中心においてダイヤル5,6,7の厚み方向に小径の孔部5a,6a,7aと大径の孔部5b,6b,7bが並んで形成され、前記小径の孔部5a,6a,7aの内周面には周方向に等間隔おきに多数の凹部5c,6c,7cが形成されている。また、前記カム17,18,19は前記ダイヤル5,6,7の小径の孔部5a,6a,7aに嵌入し且つ周囲に前記凹部5c,6c,7cのピッチよりも粗いピッチで凹部5c,6c,7cと嵌合する凸部17b,18b,19bが形成された小径部17c,18c,19cと、前記ダイヤル5,6,7の大径の孔部5b,6b,7bに嵌入し一箇所に扁平面17d,18d,19dが形成された円弧状カム面17e,18e,19eとからなり、厚みが各ダイヤル5,6,7の厚みよりも厚くなるように形成されている。また、前記ダイヤル軸20は前記カム17,18,19の軸孔17a,18a,19aに挿通される回転支持軸部20aと、この回転支持軸部20aの一端に回転支持軸部20aに対して直角に向き回転支持軸部20aの下方に延びるように連設された作動軸部20bとを備えており、回転支持軸部20aが挿通された3枚のカム17,18,19は回転支持軸部20aの一端の作動軸部20bと回転支持軸部20aの他端に嵌められたEリング22との間で互いに重なり合った状態となり、ダイヤル軸20軸芯方向の動きにより3枚のカム17,18,19も同方向に連動するように構成されている。また、前記作動プレート21は後端部の回転軸部21dが前記上側ケース体2の内部の軸受部23に嵌り込み、回転軸部21dを上側ケース体2と下側ケース体3との間で挟んだ状態で支持するようにし、同時に後端部に巻き付けるようにして設けたばね24により作動プレート21は前記カム17,18,19に当接するように上向きに付勢されており、この作動プレート21にカム17,18,19の扁平面17d,18d,19dが当接した状態では作動プレート21はほぼ水平状態となり、作動プレート21にカム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eが当接した状態では作動プレート21はばね24力に抗して前端部が下向きに押し下げられた傾斜状態になる。前記カム17,18,19の扁平面17d,18d,19dや円弧状カム面17e,18e,19eが作動プレート21に当接するように切り替える動作はカム17,18,19の小径部17c,18c,19cがダイヤル5,6,7の小径の孔部5a,6a,7aに嵌入し且つ前記凸部17b,18b,19bが前記凹部5c,6c,7cに嵌合した状態でダイヤル5,6,7の回転により行なえる。また、カム17,18,19の小径部17c,18c,19cがダイヤル5,6,7の小径の孔部5a,6a,7aに嵌入し且つ前記凸部17b,18b,19bが前記凹部5c,6c,7cに嵌合した状態にする操作は、摘み15を摘んでシャッタ軸13をケース1の左側における前端部の開口を閉じるようにスライドさせることにより摘み15の最終移動点直前において摘み15が前記ダイヤル軸20の作動軸部20bに当接してその後摘み15が最終移動点まで僅か移動することにより摘み15の移動方向にダイヤル軸20が押されて前記カム17,18,19が同方向に移動し、カム17,18,19の小径部17c,18c,19cがダイヤル5,6,7の小径の孔部5a,6a,7aに嵌入し且つ前記凸部17b,18b,19bが前記凹部5c,6c,7cに嵌合するとともにカム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eがダイヤル5,6,7の大径の孔部5b,6b,7bに嵌合した状態となり、各ダイヤル5,6,7を回すことによりカム17,18,19も連動して回転することになる。そして、前述のように作動プレート21にカム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eが当接して作動プレート21がばね24力に抗して前端部が下向きに押し下げられることにより、作動プレート21の先端の下向きの突出片21eが摘み15の背面に当接するようになり、摘み15およびシャッタ軸13がシャッタ軸13と平行に摘み15と下側ケース体3の壁面3aとの間に設けたばね25によりケース1の左側における前端部の開口を開いた元の状態に戻ろうとするのを止めることができるようになっている。25aはばね25の支持軸である。26は前記摘み15によるダイヤル軸20の押し付けが解除された後、ダイヤル軸20を元の位置、即ち前記カム17,18,19の凸部17b,18b,19bが前記凹部5c,6c,7cから抜け出た状態に戻すための板ばねである。なお、前記各ダイヤル5,6,7には外周に0〜9までの数字による表示部5d,6d,7dが等ピッチで設けられており、各ダイヤル5,6,7において隣り合う表示部5d,5d間、6d,6d間、7d,7d間には凹部5e,6e,7eが形成されている。そして、前記下側ケース体3の内部には前記作動プレート21の開口部21a,21b,21cから下側に突出するダイヤル5,6,7の下部の凹部5e,6e,7eの1つに先端が嵌り込みダイヤル5,6,7の回転時のクリック感を出すための樹脂製の弾性片27,28,29が取り付けられている。
【0013】
上記のようなダイヤル作動部4は上側ケース体2に組み込まれるのであるが、上側ケース体2に下側ケース体3を組み合わせることにより、前記ダイヤル作動部4の3枚のダイヤル5,6,7の上部の表示部5d,6d,7dは前記開口部8,9,10から上方に突出し、シャッタ軸13の摘み15は下側ケース体3から前方に突出し、シャッタ軸13は上側ケース体2と下側ケース体3との間で支持され、上下のケース体2,3で形成される左側板部の合わせ目に凹部16が形成され、ケース1の左側後端部に傘の柄引っ掛け部11が形成された傘立て用傘保持装置が完成する。
【0014】
上記のような構成の傘立て用傘保持装置は図14に示すように横方向に多数並べて設けられ、例えば1つの傘立て用傘保持装置の傘の柄引っ掛け部11に対して傘の柄12が引っ掛けられた傘14を保持する場合は、傘の柄12を傘の柄引っ掛け部11に引っ掛け、かかる状態で前記開口部8,9,10から突出して見える3枚のダイヤル5,6,7の表示部5d,6d,7dを暗証番号に合わせ、その後、前記摘み15を摘んでシャッタ軸13をスライドさせて傘の柄引っ掛け部11に対するケース1の前端開口部を閉じることにより、前記ダイヤル軸20が移動して前記カム17,18,19の凸部17b,18b,19bが前記凹部5c,6c,7cに嵌り込み、3枚のダイヤル5,6,7の少なくとも1枚を回すことにより作動プレート21に前記回したダイヤル5,6,7に嵌り込むカム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eが当接して作動プレート21が前端部が下向きに押し下げられることになる。これにより、作動プレート21の突出片21eが摘み15の背面に当接し、シャッタ軸13がケース1の左側における前端部の開口を開いた元の状態に戻ろうとするのが止められ、傘14の保持状態となる。
【0015】
この傘14の保持状態からケース1の左側における前端部の開口を開いて傘14を取り出すときは、前記回したダイヤル5,6,7を暗証した番号に戻すように回すことにより回したダイヤル5,6,7に嵌り込むカム17,18,19の扁平面17d,18d,19dが作動プレート21に当接して作動プレート21が下向きからほぼ水平状態となるように復帰し、摘み15と共にシャッタ軸13は前記ばね25によりケース1の左側における前端部の開口を開いた状態に戻ろうとする。これと同時に前記板ばね26によりダイヤル軸20とともにカム17,18,19が元の状態に戻り、カム17,18,19の凸部17b,18b,19bが前記凹部5c,6c,7cから抜け出た状態となる。これにより、傘の柄引っ掛け部11から傘14を持ち上げて取り出すことができる。
【0016】
傘保持装置の通常の操作は以上述べた通りであるが、設定した暗証番号を忘れた場合のために非常解除できるような機構を備えている。その非常解除機構について以下に述べると、前記各カム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eには扁平面17d,18d,19dが作動プレート21に当接した状態において後端部より扁平面17d,18d,19dと平行に解除ピン嵌入孔17f,18f,19fが形成されており、上側ケース体2の後端面に形成された差し込み孔30,31,32よりマスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cをケース1の内部に差し込み、解除ピン33a,33b,33cの先端を前記カム17,18,19の解除ピン嵌入孔17f,18f,19fに嵌入させるようになっている。シャッタ軸13がケース1の左側における前端部の開口を閉じた状態において解除ピン33a,33b,33cの先端をカム17,18,19の解除ピン嵌入孔17f,18f,19fに嵌入させようとしても、カム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eにより作動プレート21を押し下げていて、カム17,18,19の解除ピン嵌入孔17f,18f,19fの向きが解除ピン33a,33b,33cの差し込み方向に対して傾いているので、解除ピン33a,33b,33cは解除ピン嵌入孔17f,18f,19fに差し込むことができないことになる。マスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cは互いに平行状態でそれぞれの一端がマスターキー33のヘッドとなる合成樹脂製の摘み34に抜け止め状態で支持されている。詳しくは、マスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cは一端がマスターキー33の摘み34に長さ方向に往復移動自在に差し込まれるとともに各解除ピン33a,33b,33cは摘み34内に設けたばね35a,35b,35cにより摘み34から突出する方向に付勢されている。マスターキー33はこのような構成となっているので、摘み34を摘んで前記差し込み孔30,31,32より差し込まれたマスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cの先端はばね35a,35b,35c力に抗して前記カム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19e側に押し付けられた状態を維持し、かかる状態でダイヤル5,6,7を1枚づつ回すことによりカム17,18,19を回して解除ピン33a,33b,33cの先端とカム17,18,19の解除ピン嵌入孔17f,18f,19fが合致するとばね35a,35b,35c力により解除ピン33a,33b,33cは先端が解除ピン嵌入孔17f,18f,19fに嵌入するように押し込まれることになる。この操作を3枚のダイヤル5,6,7について行ない、全ての解除ピン33a,33b,33cの先端が解除ピン嵌入孔17f,18f,19fに嵌入した状態においてカム17,18,19の扁平面17d,18d,19dが作動プレート21に当接した状態となって作動プレート21はほぼ水平状態となるように復帰する。これにより、作動プレート21の突出片21eは摘み15から外れて摘み15と共にシャッタ軸13は前記ばね25によりケース1の左側における前端部の開口を開いた状態に戻ることになる。
【0017】
ところで、以上の非常解除時の説明では、非常解除する前の状態が3枚のダイヤル5,6,7に嵌り込んでいる全てのカム17,18,19の円弧状カム面17e,18e,19eで作動プレート21を下向きに押し付けており、前記マスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cにより全てのカム17,18,19の扁平面17d,18d,19dを作動プレート21に当接させて作動プレート21をほぼ水平状態に復帰させているが、作動プレート21を下向きに押し付けているカム17,18,19が1枚ないし2枚であって残りのカムの扁平面は作動プレート21に対向している状態から非常解除する場合は、マスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cの内、何れかは始めに扁平面が作動プレート21に対向しているカムの解除ピン嵌入孔に先端が嵌入し、他のカムについて上記のようなダイヤルを回しながら解除操作を行なえば良い。
【0018】
また、非常解除するために必ずしも3本の解除ピン33a,33b,33cを備えた上記のようなマスターキー33を用いる必要はなく、1本の解除ピンがあれば1つのカム毎に解除ピンを押し付けながらダイヤルを回してカムの解除ピン嵌入孔に先端を嵌入させる操作を行なえば非常解除することができる。
【0019】
さらに、上記した実施の形態では上側ケース体2の後端面に形成された差し込み孔30,31,32よりマスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cを差し込んで非常解除を行なうように構成されているが、上側ケース体2の前端面に差し込み孔を形成し、この差し込み孔よりマスターキー33の3本の解除ピン33a,33b,33cを差し込んで非常解除を行なうように構成することも可能である。
【0020】
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明にかかる傘立て用傘保持装置は上述した実施の形態に限定されるものではない。また、本発明にかかる傘立て用傘保持装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の傘立て用傘保持装置は、店などの入口付近に設けられる傘立てに取り付けられ傘立てに立てられる傘の柄の部分を保持する傘立て用傘保持装置である。
【符号の説明】
【0022】
1 ケース
2 上側ケース体
3 下側ケース体
3a 壁面
4 ダイヤル作動部
5,6,7 ダイヤル
5a,6a,7a 小径の孔部
5b,6b,7b 大径の孔部
5c,6c,7c 凹部
5d,6d,7d 表示部
5e,6e,7e 凹部
8,9,10 開口部
11 傘の柄引っ掛け部
12 傘の柄
13 シャッタ軸
14 傘
15 摘み
16 凹部
17,18,19 カム
17a,18a,19a 軸孔
17b,18b,19b 凸部
17c,18c,19c 小径部
17d,18d,19d 扁平面
17e,18e,19e 円弧状カム面
17f,18f,19f 解除ピン嵌入孔
20 ダイヤル軸
20a 回転支持軸部
20b 作動軸部
21 作動プレート
21a,21b,21c 開口部
21d 回転軸部
21e 突出片
22 Eリング
23 軸受部
24 ばね
25 ばね
26 板ばね
27,28,29 弾性片
30,31,32 差し込み孔
33 マスターキー
33a,33b,33c 解除ピン
34 摘み
35a,35b,35c ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの中にダイヤル作動部が組み込まれ、このダイヤル作動部は操作用の複数枚の円盤状のダイヤルを備えるとともにダイヤルに対して係脱するカムをダイヤルと同芯上に備え、またカムには一箇所に扁平面が形成された円弧状カム面を備え、このカムの扁平面に当接する状態と円弧状カム面に当接する状態との間で作動する作動プレートが設けられ、前記ケースには前記ダイヤルの一部を嵌入させて外部に突出させる開口部が形成されており、ケースの外側には傘の柄引っ掛け部が形成されており、この傘の柄引っ掛け部に対して引っ掛けられた傘の柄が取り外せないように開閉自在なシャッタを設け、閉じられたシャッタは前記作動プレートが円弧状カム面に当接する状態にあるときに開かれるのが止められ、作動プレートがカムの扁平面に当接する状態になると開かれるように構成されてなる傘立て用傘保持装置であり、前記各カムの円弧状カム面には解除ピン嵌入孔が形成されており、ケースに形成された差し込み孔より解除ピンの先端をカムの解除ピン嵌入孔に嵌入させるように構成したことを特徴とする傘立て用傘保持装置。
【請求項2】
ダイヤルの数に合う本数の解除ピンは摘みに長さ方向に往復移動自在に差し込まれるとともに抜け止め状態で支持され、各解除ピンは摘み内に設けたばねにより摘みから突出する方向に付勢されていることを特徴とする請求項1記載の傘立て用傘保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−106168(P2011−106168A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262403(P2009−262403)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000133928)株式会社テラモト (62)
【出願人】(592163893)ジョー・プリンス竹下株式会社 (32)