説明

傾斜磁場コイル装置及び磁気共鳴映像装置

【課題】磁場強度特性、スルーレート特性、線形特性、磁場時間変化率特性の少なくとも1つの切り替えを実現し得る傾斜磁場コイル装置及び磁気共鳴映像装置を提供する。
【解決手段】単一の層に形成される第1、第2傾斜磁場コイル部分を備え、第1巻き線パターンの中央部分及び第2の巻き線パターンの辺縁部分を持つ第1及び第2の傾斜磁場コイル部分を有し、第1、第2の傾斜磁場コイル部分の一方が他方に対して分離される第1接続状態と第1、第2の傾斜磁場コイル部分とが直列に接続される第2接続状態とを切り換え可能に設けられ、傾斜磁場コイルは一層のシールドコイルと共にアクティブシールドコイルを構成し、シールドコイルは第1傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽する巻線パターンの略中央部分を有する第1シールドコイル部分と第2傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽する巻線パターンの辺縁部分を有する第2シールドコイル部分とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影領域内に磁場傾斜を形成するための傾斜磁場コイル装置及び磁気共鳴映像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴現象は、よく知られているように、固有の磁気モーメントを持つ核の集団が一様な静磁場中に置かれたときに、特定の周波数で回転する高周波磁場のエネルギーを共鳴的に吸収し、そして高周波磁場が切られた後に、吸収したエネルギーを放出する現象である。
【0003】
このような現象を利用して、生体内物質の化学的及び構造的な微視的情報を映像化するには、磁気共鳴信号の出所を識別する必要性があり、このための手法としては2次元フーリエ変換法(2DFT法)が一般的である。
【0004】
この2DFT法では、まず、高周波パルスをスライス選択用傾斜磁場と共に印加することにより、特定のスライス内に存在している特定原子核の磁化だけを選択的に励起して、横磁化成分を発生させる。この高周波パルスの後に、位相エンコード用傾斜磁場をある時間だけ印加すると、磁化はその場所の磁場に応じた周波数で回転するが、この周波数の違いは当該磁場を切った後にも位相の違いとして保存される。
【0005】
その後、周波数エンコード用傾斜磁場を印加した状態のままで、磁化の横磁化成分により高周波コイルに誘導される磁気共鳴信号(エコー信号)を、受信器において、まず前段増幅器で増幅し、アナログディジタル変換器でサンプリングし、ディジタル信号として出力する。この周波数エンコード用傾斜磁場パルスによって、磁化はその場所の磁場に応じた周波数で回転するが、この周波数の違いはそのままエコー信号の周波数に反映されている。
【0006】
このような手順を位相エンコードを少しずつ変えながら繰り返し、多数のエコー信号を収集する。収集されたエコー信号f(t) それぞれに対して、まず周波数エンコード軸に関するフーリエ変換を行うことにより、X軸への投影F(ωx)を得ることができる。これらF(ωx)を今度は位相エンコード軸に関してフーリエ変換することにより、最終的な生体内物質の化学的及び構造的な微視的情報の空間分布F(ωx,ωy)を得ることができる。
【0007】
このように傾斜磁場パルスは、エコー信号に位置情報を付与するために必須要素とされる。近年では、空間分解能の向上、撮影時間の短縮化に対する要望が強く、それに応じて傾斜磁場に対して、より大きな磁場強度、すなわちより急峻な磁場強度の空間的な変化率と、より速い立ち上がり(スルーレート)が要求されている。その一方で、安全面に対する規制は厳しくなる傾向にあり、末梢神経刺激の許容値として、磁場時間変化率(dB/dt)の上限が下がっている。
【0008】
この磁場時間変化率(dB/dt)は、磁場強度、スルーレートを高くすれば、それに反して低下し、磁場強度と場所との間の線形性を示す領域は狭くなる性質がある。従って、磁場時間変化率(dB/dt)の上限内で、磁場強度特性、スルーレート特性、線形特性の異なる巻線パターンを示すコイルを使い分けることが検討されている。例えば、米国特許5,736,858や米国特許6,236,208には、2種類のコイルを2層に重ね、撮影対象やパルスシーケンス等に応じて2種類のコイルを選択的に使用する発明が記載されている。
【0009】
しかし、2種類のコイルを2層に重ねた構造は、被検体が挿入されるホールの径(患者開口径)を小さくし、居住性の低下及び被検体へのアクセスの悪化を引き起こしてしまう。
【0010】
また、米国特許5,311,135には、単一のグラジエントコイルの途中に端子を設けて、グラジエントコイルを切り換えて使用することが記載されている。しかしながら、それは、撮影部位の大きさに合わせて切り換えられるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許5,311,135
【特許文献2】米国特許US6,236,208B1
【特許文献3】米国特許5,736,858
【特許文献4】特表2002−528148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、磁場強度特性、スルーレート特性、線形特性、磁場時間変化率特性の少なくとも1つの切り替えを実現し得る傾斜磁場コイル装置及び磁気共鳴映像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある局面は、傾斜磁場を形成するための複数の傾斜磁場コイルを有する傾斜磁場コイル装置において、前記傾斜磁場コイル各々は、第1の傾斜磁場コイル部分と、第2の傾斜磁場コイル部分とを備え、前記第1の傾斜磁場コイル部分は、第1の巻き線パターンの中央部分で構成され、前記第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1の巻き線パターンとはターン密度又はターン数が異なる第2の巻き線パターンの辺縁部分で構成され、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、単一の層に形成され、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分の一方が他方に対して分離される第1接続状態と、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分とが直列に接続される第2接続状態とを切り換え可能に設けられ、前記傾斜磁場コイルは、一層のシールドコイルとともにアクティブシールドグラディエントコイルを構成し、前記シールドコイルは、前記第1の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの略中央部分を有する第1シールドコイル部分と、前記第2の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの辺縁部分を有する第2シールドコイル部分とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、磁場強度特性、スルーレート特性、線形特性、磁場時間変化率特性の少なくとも1つの切り替えを一層で実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による傾斜磁場コイル装置が搭載される磁気共鳴映像装置の構成を示す図。
【図2】図1のGyコイルセットの外観図。
【図3】図2のGyコイルの一部が有する第2の巻線パターンを示す図。
【図4】図2のGyコイルの他部が有する第1の巻線パターンを示す図。
【図5】図2のGyコイルの一部を構成する第2のコイル部分を示す図。
【図6】図2のGyコイルの他部を構成する第1のコイル部分を示す図。
【図7】図5の第2のコイル部分と図6の第1のコイル部分とからなるGyコイル全体の巻線パターンを示す図。
【図8】図1のGyコイルセット、モード切替スイッチ、Gyアンプの配線を示す図。
【図9】図2のGyコイルのリムモードパターンを示す図。
【図10】図2のGyコイルのフルモードパターンを示す図。
【図11】図1のGzコイルの一部が有する第2の巻線パターンを示す図。
【図12】図1のGzコイルの他部が有する第1の巻線パターンを示す図。
【図13】図11の第2のコイル部分と図12の第1のコイル部分とからなるGzコイル全体の巻線パターンを示す図。
【図14】図1のGyコイルセット、1層式のアクティブシールドグラディエントコイルセット、モード切替スイッチ、Gyアンプの配線を示す図。
【図15】図14のGyコイルの縦断面図。
【図16】図14のシールドコイルの全体の巻線パターンを示す図。
【図17】リムモード時に駆動されるメインコイル部分の巻線パターンを示す図。
【図18】リムモード時に駆動されるシールドコイル部分の巻線パターンを示す図。
【図19】リムモード時の漏れ磁場の空間分布を示す図。
【図20】フルモード時に駆動されるメインコイル部分の巻線パターンを示す図。
【図21】フルモード時に駆動されるシールドコイル部分の巻線パターンを示す図。
【図22】フルモード時の漏れ磁場の空間分布を示す図。
【図23】図1のGyコイルセット、2層式のアクティブシールドグラディエントコイルセット、モード切替スイッチ、Gyアンプの配線を示す図。
【図24】図23のリムモード用のシールドコイルの巻線パターンを示す図。
【図25】図23のフルモード用のシールドコイルの巻線パターンを示す図。
【図26】図23のGyコイルの縦断面図。
【図27】図23のASGCにおいて、リムモード時に駆動されるメインコイル部分の巻線パターンを示す図。
【図28】図23のASGCにおいて、リムモード時に駆動されるシールドコイルの巻線パターンを示す図。
【図29】図23のASGCにおいて、リムモード時の漏れ磁場の空間分布を示す図。
【図30】図23のASGCにおいて、フルモード時に駆動されるメインコイル部分の巻線パターンを示す図。
【図31】図23のASGCにおいて、フルモード時に駆動されるシールドコイルパターンを示す図。
【図32】図23のASGCにおいて、フルモード時の漏れ磁場の空間分布を示す図。
【図33】図1のGyコイルセット、他の1層式のアクティブシールドグラディエントコイルセット、モード切替スイッチ、Gyアンプの配線を示す図。
【図34】図33のシールドコイルの巻線パターンを示す図。
【図35】図33のGyコイルの縦断面図。
【図36】図33のASGCにおいて、リムモード時の漏れ磁場の空間分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明による傾斜磁場コイル装置及び磁気共鳴映像装置の一実施形態を説明する。
図1に本実施形態に係る傾斜磁場コイル装置を搭載した磁気共鳴映像装置の構成を示す。磁石装置11は略円筒形状の撮影空間を有する。撮影時には、被検体は寝台の天板上に載置された状態で、撮影空間に挿入される。なお、説明の便宜上、直交3軸(XYZ)を規定する。Z軸は開口部の中心軸に一致する。
【0017】
磁石装置11は、静磁場磁石13、傾斜磁場コイル装置15、RFコイル17を有する。静磁場磁石13の内側に傾斜磁場コイル装置15が設けられる。傾斜磁場コイル装置15の内側にRFコイル17が設けられる。静磁場電源47は静磁場磁石13に電流を供給する。それにより撮影空間が静磁場で満たされる。静磁場の向きはZ軸に平行である。
【0018】
傾斜磁場コイル装置15は、XYZ軸それぞれに対応するGxコイルセット19、Gyコイルセット21、Gzコイルセット23を有する。Gxコイルセット19はX軸にそって静磁場強度を変化させる。Gyコイルセット21は、Y軸にそって静磁場の強度を変化させる。Gzコイルセット23はZ軸にそって静磁場強度を変化させる。Gxコイルセット19は、傾斜磁場アンプセット33のGxアンプ35に、モード切替スイッチセット25のモード切替スイッチ27を介して接続される。Gyコイルセット21は、Gyアンプ37にモード切替スイッチ29を介して接続される。Gzコイルセット23は、Gzアンプ39にモード切替スイッチ31を介して接続される。
【0019】
RFコイル17は、送信時には送受信切替スイッチ41により送信器43に接続される。RFコイル17は、受信時には送受信切替スイッチ41により受信器45に接続される。送信器43は、RFコイル17に高周波電流パルスを供給する。それによりRFコイル17は高周波磁場パルスを発生する。受信器45は、RFコイル17を介して、MR信号(自由誘導信号又はエコー信号)を受信する。受信器45は、MR信号を増幅し、検波し、ディジタル信号に変換する。演算器53は、受信器45から出力されるディジタル信号から、2次元フーリエ変換処理により、画像データを発生する。
【0020】
シーケンサ49は、選択されたパルスシーケンスに従って、アンプ35、37、39、送信器23、受信器45を制御する。システムコントローラ51は、装置全体の動作を制御する。操作パネル55がシステムコントローラ51に接続される。操作パネル55は、操作者が傾斜磁場モードを切り替えるためのボタンを有する。モードが切り替えられるとき、傾斜磁場の強度特性、スルーレート特性、線形特性、磁場時間変化率特性の少なくとも1つの特性が変化する。本実施形態では、リムモードとフルモードが用意されている。システムコントローラ51は、モード切り替えボタンにより選択されたモードに従って、モード切替スイッチ27,29,31を制御する。
【0021】
図2には、Gyコイルセット21を示す。なお、Gxコイルセット19は、Gyコイルセット21をZ軸に関して90°回転させたものと同じ構成を有するので、詳細な説明は省略する。Gyコイルセット21は、サーフェスコイル形の複数のメインコイル57,59,61,63を有する。ペアをなすコイル57,61は、XZ面を挟んで対向する。ペアをなすコイル59,63は、XZ面を挟んで対向する。コイル59は、コイル57に対して、XY面を挟んで対称に配置される。コイル63は、コイル61に対して、XY面を挟んで対称に配置される。
【0022】
図3と図4には、磁場強度特性、スルーレート特性、線形特性、磁場時間変化率特性の少なくとも1つの特性が相違する2種類の巻線パターンを示している。図4に示す第1の巻線パターンは、図3に示す第2の巻線パターンと比較して、磁場強度特性が高く(磁場傾斜が急峻)、スルーレート特性が高く(立ち上がり時間が短い)、線形特性が低く(線形領域が狭い)、そして磁場時間変化率特性が低い(磁場時間変化率が低い)。逆に、図3に示す第2の巻線パターンは、図4に示す第1の巻線パターンと比較して、磁場強度特性が低く、スルーレート特性が低く、線形特性が高く、そして磁場時間変化率特性が高い。実際的には、第2の巻線パターンは、第1の巻線パターンと比較して、ターン密度が粗く、ターン数が少ない。
【0023】
コイル57は、第1,第2のコイル部分57−1,57−2から構成される。他のコイル59,61,63も同様にそれぞれ第1,第2のコイル部分から構成される。第1コイル部分57−1は、第1の巻線パターンを有する。第2コイル部分57−2は、第2の巻線パターンを有する。換言すると、コイル57の巻線パターンは、第1の巻線パターンと第2の巻線パターンとが部分的に合成されてなる。第1コイル部分57−1は、図6に示す第1の巻線パターンの略中央部分に対応する。第2コイル部分57−2は、図5に示す第2の巻線パターンの辺縁部分に対応する。図7に示すように、第2のコイル部分57−2は、第1のコイル部分57−1を取り囲む。第1のコイル部分57−1と第2のコイル部分57−2とは単一の層に形成される。つまり第1のコイル部分57−1と第2のコイル部分57−2とは、単一のコイルシリンダ65の同じ表面にプリントされている。他のコイル59,61,63も、上述したコイル57と同じ構成を備えている。
【0024】
図8には、Gyコイルセット21を構成する複数のメインコイル57,59,61,63、モード切り替えスイッチ29、Gyアンプ37の電気的な接続を示している。メインコイル57,59,61,63の第1のコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1が直列に接続される。同様に、コイル57,59,61,63の第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2が直列に接続される。
【0025】
モード切り替えスイッチ29が端子Aに接続されているとき、第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2が、Gyアンプ37に対して直列に接続される。このとき第1のコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1は、Gyアンプ37から分離される。各コイル57,59,61,63の中心を構成する第1のコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1は磁場を発生せず、リムを構成する第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2だけが磁場を発生する。この動作状態をリムモードと称する(図9)。
【0026】
モード切り替えスイッチ29が端子Bに接続されているとき、各コイル57,59,61,63のリムを構成する第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2と、各コイル57,59,61,63の中心を構成する第1のコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1とが、Gyアンプ37に対して直列に接続される。各コイル57,59,61,63の中心を構成する第1のコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1と、リムを構成する第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2とが共同して磁場を発生する。この動作状態をフルモードと称する(図10)。
【0027】
リムモードでは、各コイル57,59,61,63のリムを構成する第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2が駆動し、第2の巻線パターンが有する特性、つまり、高い磁場強度特性、高いスルーレート特性、低い線形特性(線形領域が狭い)、そして低い磁場時間変化率特性で傾斜磁場が形成される。
【0028】
一方、フルモードでは、各コイル57,59,61,63の中心を構成する第1のコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1と、リムを構成する第2のコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2との両方が駆動し、各パターンが有する特性がそれぞれのパターンの有する特性を補助する。つまり、フルモードでは、高い磁場強度特性、低いスルーレート特性、中程度の線形特性、そして中程度の磁場時間変化率特性で傾斜磁場が形成される。
【0029】
このように、特性の異なる2種類のリムモードとフルモードとを選択的に切り替えて傾斜磁場を形成することができる。これを1層で構成することができる。それにより被検体が挿入されるホールの径(患者開口径)を維持することができる。従って居住性の低下を抑え、しかも被検体へのアクセスの悪化を引き起こすこともない。
【0030】
図11、図12には、Gzコイルセット23を構成する複数のソレノイドコイルの一を示している。図11と図12には、磁場強度特性、スルーレート特性、線形特性、磁場時間変化率特性の少なくとも1つの特性が相違する2種類の巻線パターンを示している。図11に示す第1の巻線パターンは、図12に示す第2の巻線パターンと比較して相対的に、磁場強度特性が高く(磁場傾斜が急峻)、スルーレート特性が高く(立ち上がり時間が短い)、線形特性が低く(線形領域が狭い)、そして磁場時間変化率特性が低い(磁場時間変化率が低い)。逆に、図12に示す第2の巻線パターンは、図11に示す第1の巻線パターンと比較して相対的に、磁場強度特性が低く、スルーレート特性が低く、線形特性が高く、そして磁場時間変化率特性が高い。実際的には、第2の巻線パターンは、第1の巻線パターンと比較して相対的に、ターン密度が粗く、ターン数が多い。
【0031】
Gzコイルセット23を構成する複数のソレノイドコイル各々は、第1,第2の巻線パターンが部分的に合成された巻線パターンを有している。具体的には、Gzコイルセット23を構成する複数のソレノイドコイル各々は、図11に示す第1の巻線パターンの一部分をなす第1のコイル部分67−1と、図12に示す第2の巻線パターンの一部分をなす第2のコイル部分67−2とから構成される。第1のコイル部分67−1は、第1の巻線パターンの内側部分に対応し、第2のコイル部分67−2は、第2の巻線パターンの外側部分に対応している。図13に示すように、第1、第2のコイル部分67−1、67−2は、第2のコイル部分67−2が第1のコイル部分67−1の外側を囲むように、単一の層で形成され、つまり単一のコイルシリンダの同じ表面にプリントされている。
【0032】
モード切り替えスイッチ31、Gzアンプ39に対する電気的な接続は、基本的に図8に示した接続と同様である。Gzコイルセット23を構成する複数のソレノイドコイルの第1のコイル部分67−1が直列に接続される。同様に、Gzコイルセット23を構成する複数のソレノイドコイルの第2のコイル部分67−2が直列に接続される。モード切り替えスイッチ29が一方の端子に接続されているとき、外側を構成する第2のコイル部分67−2が、Gyアンプ39に対して直列に接続される。このとき、内側を構成する第1のコイル部分67−1は、Gzアンプ39から分離される。このとき、内側を構成する第1のコイル部分67−1は磁場を発生せず、外側を構成する第2のコイル部分67−2だけが磁場を発生する。この動作状態がリムモードである。モード切り替えスイッチ31が他方の端子に接続されているとき、外側を構成する第2のコイル部分67−2と、内側を構成する第1のコイル部分67−1とは、Gzアンプ39に対して直列に接続される。このとき第1、第2のコイル部分67−1、67−2が共同して磁場を発生する。この動作状態がフルモードである。
【0033】
リムモードでは、辺縁を構成する第2のコイル部分67−2が駆動し、第2の巻線パターンが有する特性、つまり、高い磁場強度特性、高いスルーレート特性、低い線形特性(線形領域が狭い)、そして低い磁場時間変化率特性で傾斜磁場が形成される。
【0034】
一方、フルモードでは、第1、第2のコイル部分67−1、67−2の両方が駆動し、2種のパターンが相互に補助する。つまり、フルモードでは、高い磁場強度特性、低いスルーレート特性、中程度の線形特性、そして中程度の磁場時間変化率特性で傾斜磁場が形成される。
【0035】
このように、特性の異なる2種類のリムモードとフルモードとを選択的に切り替えて傾斜磁場を形成することができ、しかもこれを1層で構成することができ、それにより被検体が挿入されるホールの径(患者開口径)を維持することができる。従って居住性の低下を抑え、しかも被検体へのアクセスの悪化を引き起こすこともない。
【0036】
以上のようにGxコイルセット、Gyコイルセット、Gzコイルセットがそれぞれ特性の切り替えを一層形成でもって実現し得る。従って、Gxコイルセット、Gyコイルセット、Gzコイルセットがそれぞれ特性の切り替えをニ層又はそれ以上の多層の形成でもって実現し得る場合に比べて、被検体が挿入されるホールの大きな径(患者開口径)を提供可能であり、居住性の向上及び被検体へのアクセス性の向上を実現することができる。この効果は、Gxコイルセット、Gyコイルセット、Gzコイルセットの全てを上述した一層形成でもって実現することにより最大限発揮され得るが、いずれか一のコイルセットを一層形成でもって実現することによっても発揮され得る。また、上述では、各コイルは、特性の異なる2種類の巻線パターンを部分的に合成した巻線パターンを有するよう説明したが、特性の異なる3種類、さらにそれ以上の巻線パターンを部分的に合成した巻線パターンを有するように構成しても良い。
【0037】
上述したGxコイルセット19、Gyコイルセット21、Gzコイルセット23にはそれぞれシールドコイルセットが対応付けられる。それにより、傾斜コイル装置15は、アクティブシールドグラディエントコイルシステム(ASGC)に構成される。本実施形態では、2タイプのASGCを提供する。第1,第3のASGCは、シールドコイル層が1層のタイプである(図15参照)。第2のASGCは、シールドコイル層が2層のタイプである(図26参照)。第1−第3のASGCを、順番に説明する。
【0038】
図14、図16に示すように、第1のASGCは、第1のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1と、第2のシールドコイル部分157−2,159−2,161−2,163−2とを有する。
【0039】
第1のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1は、第1メインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの略中央部分を有する。第1のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1は、第1メインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1それぞれの半径方向外側に配置される。
【0040】
第2のシールドコイル部分157−2,159−2,161−2,163−2は、第2メインコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの辺縁部分を有する。第2のシールドコイル部分157−2,159−2,161−2,163−2は、第2メインコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2それぞれの外側に配置される。
【0041】
第1のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1は、シールドコイルの略中央部分を構成し、第2のシールドコイル部分157−2,159−2,161−2,163−2は、シールドコイルの辺縁部分を構成する。第2のシールドコイル部分157−2,159−2,161−2,163−2は、第1のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1を取り囲んでいる。
【0042】
スイッチ129はスイッチ29に連動する。スイッチ29、129がB端子に接続されているとき、Gyアンプ37に対して、第1,第2のメインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1、57−2,59−2,61−2,63−2と、第1,第2のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1、157−2,159−2,161−2,163−2とが直列に接続される(フルモード、図20,図21,図22参照)。
【0043】
スイッチ29、129がA端子に接続されているとき、Gyアンプ37に対して、辺縁の第2メインコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2と、第2のシールドコイル部分157−2,159−2,161−2,163−2とが直列に接続される(リムモード、図17,図18,図19参照)。
【0044】
フルモードとリムモードとでメインコイルパターンの切り替えと共にシールドコイルパターンを切り替えることで、いずれのモードにおいても、シールド効果を発揮することができる。
【0045】
次に、第2のASGCは、図23,図24,図25に示すように、第1のシールドコイル257−1,259−1,261−1,263−1と、第2のシールドコイル257−2,259−2,261−2,263−2とを有する。
【0046】
第1のシールドコイル257−1,259−1,261−1,263−1は、第1メインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの全体を有する。第1のシールドコイル257−1,259−1,261−1,263−1は、第1メインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1それぞれの外側に配置される。
【0047】
第2のシールドコイル257−2,259−2,261−2,263−2は、第2メインコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの全体を有する。第2のシールドコイル257−2,259−2,261−2,263−2は、第2メインコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2それぞれの外側に配置される。
【0048】
図26に示すように、第1のシールドコイル257−1,259−1,261−1,263−1は、メインコイル57,59,61,62の外側の層に形成され、第2のシールドコイル257−2,259−2,261−2,263−2は、第1のシールドコイル257−1,259−1,261−1,263−1の層の外側の層に形成される。
【0049】
スイッチ229はスイッチ29に連動する。スイッチ29、229がB端子に接続されているとき、Gyアンプ37に対して、第1,第2のメインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1、57−2,59−2,61−2,63−2と、第1のシールドコイル257−1,259−1,261−1,263−1とが直列に接続される(フルモード、図30,図31,図32参照)。
【0050】
スイッチ29、229がA端子に接続されているとき、Gyアンプ37に対して、第2メインコイル57−2,59−2,61−2,63−2と、第2のシールドコイル257−2,259−2,261−2,263−2とが直列に接続される(リムモード、図27,図28,図29参照)。
【0051】
フルモードとリムモードとでメインコイルパターンの切り替えと共にシールドコイルパターンを切り替えることで、いずれのモードにおいても、シールド効果を発揮することができる。第2ASGCは、シールドコイルパターンの全体を有しているので、第1ASGCに比べて、高いシールド効果を発揮することができる。シールド効果の向上は、図22と図29とを比較して分かる通り、リムモードで顕著である。
【0052】
図33に示すように、第3のASGCは、第1のシールドコイル部分357−1,359−1,361−1,363−1と、第2のシールドコイル部分357−2,359−2,361−2,363−2とを有する。
【0053】
図34に示すように、第2のシールドコイル部分357−2は、第1のシールドコイル部分357−1と、独立して駆動できるように電気的に分離されている。第1のシールドコイル部分357−1は、第2のシールドコイル部分357−2に、入り組んでいる。
【0054】
第1のシールドコイル部分357−1と第2のシールドコイル部分357−2とは、フルモード時に同時駆動される第1メインコイル部分57−1と第2メインコイル部分57−2とからの漏洩磁場を遮蔽するために設計された巻線パターンを有する。換言すると、フルモード時に同時駆動される第1メインコイル部分57−1と第2メインコイル部分57−2とからの漏洩磁場分布に基づいて設計された巻線パターンの一部分に従って、第1のシールドコイル部分357−1が形成され、上記巻線パターンの残りの部分に従って第2のシールドコイル部分357−2が形成される。
【0055】
第2のシールドコイル部分357−2は、フルモード時に同時駆動される第1、第2メインコイル部分57−2、57−2からの漏洩磁場を遮蔽するために設計された巻線パターンの一部分で構成される。第2のシールドコイル部分357−2を構成する巻線パターンは、リムモード時に駆動される第2メインコイル部分57−2からの漏洩磁場を遮蔽するために設計された巻線パターン(図24の参照)に近似する。
【0056】
図35に示すように、第1、第2のシールドコイル部分357−1,357−2は、第1,第2メインコイル部分57−1,57−2の半径方向外側に配置される。
【0057】
シールドコイル部分359−1,359−2は、シールドコイル部分357−1,357−2と同様に構成される。シールドコイル部分361−1,361−2は、シールドコイル部分357−1,357−2と同様に構成される。シールドコイル部分363−1,363−2は、シールドコイル部分357−1,357−2と同様に構成される。
【0058】
スイッチ329はスイッチ29に連動する。スイッチ29、329がB端子に接続されているとき(フルモード)、Gyアンプ37に対して、第1,第2のメインコイル部分57−1,59−1,61−1,63−1、57−2,59−2,61−2,63−2と、第1,第2のシールドコイル部分157−1,159−1,161−1,163−1、157−2,159−2,161−2,163−2とが直列に接続される。第1,第2のシールドコイル部分157−1,157−2は、同時駆動される第1,第2のメインコイル部分57−1,57−2からの漏洩磁場を遮蔽するために最適化されているので、同時駆動される第1,第2のメインコイル部分57−1,57−2からの漏洩磁場を効果的に遮蔽することができる。
【0059】
スイッチ29、329がA端子に接続されているとき(リムモード)、Gyアンプ37に対して、第2メインコイル部分57−2,59−2,61−2,63−2と、第2のシールドコイル部分357−2,359−2,361−2,363−2とが直列に接続される。第2のシールドコイル部分357−2,359−2,361−2,363−2は、リムモード時に駆動される第2メインコイル部分57−2とからの漏洩磁場を遮蔽するために設計された巻線パターンに近似する巻線パターンを有するので、第2のメインコイル部分57−2からの漏洩磁場を効率的に遮蔽することができる(図36参照)。
【0060】
第3のASGCでは、フルモード時とリムモード時とで漏洩磁場遮蔽効果を発揮することができる。フルモード時には、シールドパターンがフルモード時の漏洩磁場分布に従って設計されているので、漏洩磁場遮蔽効果を最大限発揮できる。リムモード時には、フルモード時のシールドパターンの一部を使って、漏洩磁場を遮蔽するが、そのシールドパターンの一部は、リムモード時の漏洩磁場分布に対応するシールドパターンに近似しているので、十分な漏洩磁場遮蔽効果を発揮できる。
【0061】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
11…磁石装置、13…静磁場磁石、15…傾斜磁場コイル装置、17…RFコイル、19…Gxコイルセット、21…Gyコイルセット、23…Gzコイルセット、25…モード切替スイッチセット、27…モード切替スイッチ(Gx)、29…モード切替スイッチ(Gy)、31…モード切替スイッチ(Gz)、33…傾斜磁場アンプセット、35…Gxアンプ、37…Gyアンプ、39…Gzアンプ、41…送受信切り替えスイッチ、43…送信器、45…受信器、47…静磁場電源、49…シーケンサ、51…システムコントローラ、53…演算器、55…操作パネル、57…Gyコイル、59…Gyコイル、61…Gyコイル、63…Gyコイル、65…コイルシリンダ、57−1…第1コイル部分の巻線パターン、57−2…第2コイル部分の巻線パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜磁場を形成するための複数の傾斜磁場コイルを有する傾斜磁場コイル装置において、
前記傾斜磁場コイル各々は、第1の傾斜磁場コイル部分と、第2の傾斜磁場コイル部分とを備え、
前記第1の傾斜磁場コイル部分は、第1の巻き線パターンの中央部分で構成され、
前記第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1の巻き線パターンとはターン密度又はターン数が異なる第2の巻き線パターンの辺縁部分で構成され、
前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、単一の層に形成され、
前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分の一方が他方に対して分離される第1接続状態と、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分とが直列に接続される第2接続状態とを切り換え可能に設けられ、
前記傾斜磁場コイルは、一層のシールドコイルとともにアクティブシールドグラディエントコイルを構成し、
前記シールドコイルは、前記第1の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの略中央部分を有する第1シールドコイル部分と、前記第2の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの辺縁部分を有する第2シールドコイル部分とを有することを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【請求項2】
前記傾斜磁場コイルは、重ねられた第1、第2のシールドコイルとともにアクティブシールドグラディエントコイルを構成し、
前記第1のシールドコイルは、前記第1の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンを有し、
前記第2のシールドコイルは、前記第2の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンを有することを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項3】
前記傾斜磁場コイルは、一層のシールドコイルとともにアクティブシールドグラディエントコイルを構成し、
前記シールドコイルは、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの一部分を有する第1シールドコイル部分と、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分からの漏洩磁場を遮蔽するために必要な巻線パターンの他の部分を有する第2シールドコイル部分とを有することを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項4】
前記傾斜磁場コイルに対応するシールドコイルをさらに備え、前記シールドコイルは、前記第1の傾斜磁場コイル部分に対応する第1のシールドコイル部分と、前記第2の傾斜磁場コイル部分に対応する第2のシールドコイル部分とを備えることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項5】
前記第1,第2のシールドコイル部分は、単一の層に形成されことを特徴とする請求項4記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項6】
前記第1の傾斜磁場コイル部分と前記第2の傾斜磁場コイル部分とが直列接続された傾斜磁場コイルに対応する第1のシールドコイルと、前記第2の傾斜磁場コイル部分に対応する第2のシールドコイルとをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項7】
前記第1のシールドコイルは、第1の層に形成され、前記第2のシールドコイルは、前記第1の層とは異なる第2の層に形成されることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項8】
前記第2のシールドコイルが分離され、前記第1の傾斜磁場コイル部分と、前記第2の傾斜磁場コイル部分と、前記第1のシールドコイルとがアンプに対して直列に接続される第1の状態と、前記第1の傾斜磁場コイル部分と前記第1のシールドコイルとが分離され、前記第2の傾斜磁場コイル部分と前記第2のシールドコイルとが前記アンプに対して直列に接続される第2の状態とを切り替えるための切り替え器を更に備えることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項9】
傾斜磁場を形成するための複数の傾斜磁場コイルと前記複数の傾斜磁場コイル各々に対応して設けられるシールドコイルとを有する傾斜磁場コイル装置において、
前記傾斜磁場コイル各々は、第1の傾斜磁場コイル部分と、第2の傾斜磁場コイル部分とを備え、
前記第1の傾斜磁場コイル部分は、第1の巻き線パターンの中央部分で構成され、
前記第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1の巻き線パターンとはターン密度又はターン数が異なる第2の巻き線パターンの辺縁部分で構成され、
前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、単一の層に形成され、
前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分の一方が他方に対して分離される接続状態と、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分とが直列に接続される接続状態とを切り換え可能に設けられ、
前記シールドコイル各々は、前記傾斜磁場コイル部分各々に対応して複数の層に形成されることを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【請求項10】
前記傾斜磁場コイルに対応するシールドコイルをさらに備え、前記シールドコイルは、単一の層に形成された第1のシールドコイル部分と第2のシールドコイル部分とからなり、前記第1のシールドコイル部分と前記第2のシールドコイル部分とが直列接続されたシールドコイルは、前記第1の傾斜磁場コイル部分と前記第2の傾斜磁場コイル部分とが直列接続された傾斜磁場コイルに対応するシールドコイルパターンを有し、前記第2のシールドコイル部分は前記第2の傾斜磁場コイル部分に対応するシールドコイルパターンに近似するシールドコイルパターンを有することを特徴とする請求項9記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項11】
前記第1の傾斜磁場コイル部分と、前記第2の傾斜磁場コイル部分と、前記第1のシールドコイル部分と、前記第2のシールドコイル部分とがアンプに対して直列に接続される状態と、前記第2の傾斜磁場コイル部分と前記第2のシールドコイル部分とが前記アンプに対して直列に接続される状態とを切り替えるための切り替え器を更に備えることを特徴とする請求項9記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項12】
前記傾斜磁場コイルに対応するシールドコイルをさらに備え、前記シールドコイルは、単一の層に形成された第1のシールドコイル部分と第2のシールドコイル部分とからなり、前記第1のシールドコイル部分は前記第2のシールドコイル部分に入り組んで配置されていることを特徴とする請求項9記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項13】
前記第1の傾斜磁場コイル部分と、前記第2の傾斜磁場コイル部分と、前記第1のシールドコイル部分と、前記第2のシールドコイル部分とがアンプに対して直列に接続される状態と、前記第2の傾斜磁場コイル部分と前記第2のシールドコイル部分とが前記アンプに対して直列に接続される状態とを切り替えるための切り替え器を更に備えることを特徴とする請求項9記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項14】
傾斜磁場を形成するための複数の傾斜磁場コイルと、これら複数の傾斜磁場コイル各々に対応して設けられるシールドコイルとを有する傾斜磁場コイル装置において、
前記傾斜磁場コイル各々は、第1の傾斜磁場コイル部分と、第2の傾斜磁場コイル部分とを備え、
前記第1の傾斜磁場コイル部分は、第1の巻き線パターンの中央部分で構成され、
前記第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1の巻き線パターンとはターン密度又はターン数が異なる第2の巻き線パターンの辺縁部分で構成され、
前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、単一の層に形成され、
前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分は、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分の一方が他方に対して分離される第1接続状態と、前記第1、第2の傾斜磁場コイル部分とが直列に接続される第2接続状態とを切り換え可能に設けられ、
前記シールドコイル各々は、単一の層に形成された第1のシールドコイル部分と第2のシールドコイル部分とからなり、前記第1のシールドコイル部分は前記第2のシールドコイル部分に入り組んで配置されていることを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【請求項15】
前記第1のシールドコイル部分と前記第2のシールドコイル部分とが直列接続されたシールドコイルは前記第1の傾斜磁場コイル部分と前記第2の傾斜磁場コイル部分とが直列接続された傾斜磁場コイルに対応するシールドコイルパターンを有し、前記第2のシールドコイル部分は前記第2の傾斜磁場コイル部分に対応するシールドコイルパターンに近似するシールドコイルパターンを有することを特徴とする請求項14記載の傾斜磁場コイル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−78800(P2011−78800A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256985(P2010−256985)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【分割の表示】特願2003−422398(P2003−422398)の分割
【原出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】