傾斜防波堤用の被覆材
本発明は、立方体形状または平行六面体形状(2)を備え、異なる被覆材の間での結合を防止しかつ被覆層の下地層(3)との相互結合を増加するようにその面に1つ以上の突出部(1)を有する、護岸あるいは水理構造物および海洋構造物用の傾斜防波堤、被覆工、および防波堤の被覆層を構成する被覆材に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋構造物および水理構造物の護岸用の傾斜防波堤、海岸被覆工、および防波堤の被覆層を構成する被覆材に関する。
【0002】
詳細には、本発明の目的は、大波から防護するための被覆材であり、この被覆材は、被覆材の間での結合を防止しかつ切り出し石の下地層との相互結合を増強するようにその面上の1つ以上の突出部によって特徴づけられる基本的な立方体形状または平行六面体形状を有する。
【背景技術】
【0003】
傾斜防波堤および護岸構造物を構成するための人工切り出し石の製造は周知の問題である。これまで、風波の襲来から防護するための傾斜防波堤の被覆層を構成する非常に多くの被覆材(通常、コンクリートで作られる)の設計を通して、異なる解決策が適用されてきたが失敗した。
【0004】
防波堤の被覆層用の前記コンクリート被覆材が人工リーフの構造に使用される被覆材と取り違えられるべきではないことは強調する価値がある。なぜなら、前記被覆材は大波の破壊に耐えるように設計され、安定性および強度等の具体的な特色によって特徴づけられるが、一方、人工リーフは海洋環境を改善し保護するのに使用され、水より高密度の任意の材料から作られるほとんどいかなる被覆材も適切であると考えられるからである。
【0005】
傾斜防波堤用のコンクリート被覆材は、設計、建設工程、および耐暴風波浪性能により分類されることができる。被覆層の構造に被覆材を配置するためには3つの主要な方法がある。すなわち、(a)ランダム配置、(b)単一層に配置すること、および(c)規則的で均一な配置である。
【0006】
ランダム配置(a)を有する被覆材は、切り出し石を置き換えるための従来の被覆材であり、この従来の被覆材は一層以上に配置され基本的に重力により抵抗する。簡単な被覆材と複雑な被覆材は共にランダム配置被覆材のグループ内に見出され得る。
【0007】
立方体ブロックおよび平行六面体ブロックは簡単な被覆材であり、堅牢で、構成が容易で、暴風波浪に対するその性能が柔軟である。さらに、これらは被覆材を破壊する重大な破損を受けず、また安定性も失わず、設計のいかなる誤差も普通は被覆材の腐食を増大させるが、めったに防波堤の完全な破壊には至らない。しかし、これらは対面嵌め合いに関しては重大な欠点を有する被覆材であり、上部から被覆材が引き起こされて移動する下部において充填密度が増大し、重大な透水性の変化を生じ得る(不均一充填)。また対面嵌め合いは、下地層に対する摩擦の減少、およびランダムな位置に配置され維持されるべき被覆材のある程度の自己整列に由来する他の問題を生じることもある。
【0008】
ランダム配置を有する複雑な被覆材のグループはいわゆる「テトラポッド(Tetrapod)」被覆材を含み、この被覆材は相互結合によるそれらの抵抗力の結果としてより大きい安定度係数を有する。それにもかかわらず、これらの被覆材は大きすぎると容易に壊れ、この容易さが主要な欠点と考えられる。これらは脆くて大きな被覆材の移動に耐えず、したがって、予定される暴風波浪おけるいかなる誤差であっても最初の激しい暴風で防波堤の予期しない完全な破壊を招くことがある。
【0009】
単一の層に非ランダム配置(b)を有する被覆材のグループは、被覆材間で良好な相互結合を有するいわゆる「アクロポッド(Accropode)」被覆材および「コアーロック(Core−Loc)」被覆材を含むが、被覆材のうちのいずれかが破損すると進行性破壊が生じるので比較的脆い構造性能を有する。これらの被覆材はより少ないコンクリートを必要とするが、非常に注意して配置されなければならない。予定される暴風波浪の計算及び建設におけるいかなる誤差でも構造物の全壊を招き得る。
【0010】
最後に、規則的で均一な配置(c)を有する被覆材は、いわゆる「シービー(Seabee)」形状もしくは「ホロウ(Hollow)」形状のような形状が簡単であるか、または「コブ(Cob)」形状もしくは「シェッド(Shed)」形状のような形状がより複雑である場合がある。これらの被覆材は通常、単一の均一な層に配置され、それらの抵抗力は基本的に重力、摩擦、および組立体を形成する被覆材の間の相互結合に依存する。前の事例のように、これらの被覆材もまた、被覆材の間の緊密な相互結合により損傷の開始において実に抵抗力があるが、被覆材のいずれかが破損すると破壊について進行性破壊を示す傾向があるので、非常に脆い構造性能を有する。
【0011】
ランダム配置を有する被覆材に、詳細には、早くから述べたように堅牢であり、製造が容易であり、スペインの海岸のような多くの海岸に沿って使用される既に言及した立方体ブロックおよび平行六面体ブロックに注目すると、これらの被覆材は対面嵌め合いまたは自己整列によって重大な欠点を有する。この理由は、平行六面体の設計が小さな移動によってより下部に被覆材が纏まる傾向を有し、海水位の危険領域に関して多くの平坦面を有する被覆層を形成し、傾斜防波堤の斜面での流水摩擦を低減し、したがってより高い波の遡上および越波ならびに波が非常に大きい場合に傾斜防波堤の後側の氾濫をも引き起こす可能性があるからである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明で説明した被覆材は、通常、ランダム配置用に製造される立方体タイプまたは平行六面体タイプであり、前述の欠点を効果的に解決し、自己整列および摩擦の低減に関連する問題についてのすばらしい解決策と考えられる。
【0013】
詳細には、改良は立方体被覆材または平行六面体被覆材により実現され、この被覆材は被覆材の面の間での結合を防止してそれらの自己整列の傾向を減少させ、一方同時に下地層に対する摩擦を増加するように突出部を備え、これは波の遡上速度および越波速度の低減を意味する。
【0014】
また、被覆材の外面のいかなる場所にも配置され得る前記突出部も截頭円錐形状または角錐台形状等の異なる形状を有することができる。前記突出部のこれらの異なる形状は、天然石または人工切り出し石から作られた下地層に対して被覆材のより大きな摩擦を与える。なぜなら前記突出部は、下地層の中に入り込み、立方体ブロックまたは平行六面体ブロックが下地層に平行に面を配置して各層の間で相互結合度を増加する傾向を明らかに改善する受動抵抗を生じるからである。
【0015】
下地層に対する相互結合の増加に加えて、被覆材の前記突出部は構造物のライフタイムの間、自己整列を導き、被覆層のより下部の空隙率を低下させる対面嵌め合いが被覆材の動きによって生じることを防ぐ。被覆層のより下部での対面嵌め合いおよび対応する空隙率の低下を防止すると、被覆材の抜き取りによる腐食と同様な作用を有する下方への被覆材の移動、ならびに水位近くの上方領域からの被覆材の移動が低減される。被覆層に関する不均一充填の問題の減少および抑制により、波襲来によって生じる被覆材の抜き取りに対する被覆層の高い水力学的抵抗の許容量が維持される。
【0016】
最終的に、本発明の他の利点は、時間の経過を伴う突出部の起り得る破壊または腐食に関係があり、これは従来の立方体被覆材または平行六面体被覆材に帰着する。したがって、少なくとも本発明は、これらの従来の被覆材の安定性および堅牢性の特徴を有するであろう。
【0017】
本明細書における説明を補完するために、および本発明の好まれる実際の実施形態による本発明の特徴についての理解を高めるために、一組の図面が前記説明の一構成部分として添付され、その中に例示的かつ非限定的な性質とともに以下が示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
表示された図を見ると、簡単な立方体構造物または平行六面体構造物(2)に基づく本発明の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材はその側面ならびにその頂点のいずれにも、あるいは同時に両方の位置に配置され得る一連の突出部(1)をどのように有するかを容易に指摘することができる。
【0019】
前記突出部(1)は同じように、角錐状、円錐状、プリズム状、円筒状、球状等、ならびに図16から図19でよく見ることができるように、対面嵌め合いおよび対応する自己整列を防ぎ、図21に見られるように、被覆材の下地層(3)に対する摩擦を増加することを目的とする任意の形状等の異なる形状を有するものとしてもよい。
【0020】
そのうえ、被覆材間で異なる分離度を得るために、また図を観察することによって推論され得るように、前記突出部(1)は異なる相対位置および相対的サイズを採用することができる。他の実施形態では被覆材は、面当たり1つ以上の突出部(1)を備え、または同じ被覆材に異なる突出部(1)の組合せを備えて、あるいはこの種の突出部を頂点と面の両方に同時に配置さえして示される。
【0021】
好ましい実施形態では、突出部(1)の寸法は基本的な立方体被覆材または平行六面体被覆材の寸法に比べて小さい。なぜなら突出部(1)の主要な目的は、対面嵌め合いを防ぎ、かつ従来の基本的な被覆材の堅牢性を維持することだからである。
【0022】
可能な実施形態では、例えば前記突出部(1)のすべての体積の合計が基本的な被覆材の体積よりも一桁小さい、言い換えれば15%よりも小さいような体積を有する。
【0023】
いかなる場合でも、本発明の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材は通常、立方体または平行六面体の基本的な構造物基部(2)を有し、その体積の大部分はコンクリート(補強コンクリートまたはプレストレストコンクリートおよびその他)等の重量物から作られ、突出部(1)は被覆材の体積の小さな部分しか含まず、特にコンクリートまたは鋼等の耐性材料から作られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】立方体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図および断面図であり、その突出部が正方形断面を有する角錐台によって形成される図である。
【図2】平行六面体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図および2つの断面図(長手方向断面図および断面図)であり、その突出部が正方形断面を有する角錐台によって形成される図である。
【図3】立方体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図であり、その突出部が正方形断面を有する角錐台によって形成される図である。
【図4】面のいずれの上にも1つ以上の突出部を有する平行六面体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図である。
【図5】球状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図6】正方形断面を有する角錐状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図7】三角形断面を有する角錐状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図8】円錐形の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図9】円筒形の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図10】截頭円錐形状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図11】異なるタイプの突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図12】その頂点に配置された球状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図13】その頂点に配置された立方体の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図14】いくつかの面およびその頂点に立方体の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図15】細長い棒の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図16】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図17】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図18】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図19】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図20】切り出し石の下地層の上に図1の被覆材のような立方体の被覆材によって形成される主被覆領域の透視図である。
【図21】前の図20の詳細であり、被覆材が下地層に入り込む図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋構造物および水理構造物の護岸用の傾斜防波堤、海岸被覆工、および防波堤の被覆層を構成する被覆材に関する。
【0002】
詳細には、本発明の目的は、大波から防護するための被覆材であり、この被覆材は、被覆材の間での結合を防止しかつ切り出し石の下地層との相互結合を増強するようにその面上の1つ以上の突出部によって特徴づけられる基本的な立方体形状または平行六面体形状を有する。
【背景技術】
【0003】
傾斜防波堤および護岸構造物を構成するための人工切り出し石の製造は周知の問題である。これまで、風波の襲来から防護するための傾斜防波堤の被覆層を構成する非常に多くの被覆材(通常、コンクリートで作られる)の設計を通して、異なる解決策が適用されてきたが失敗した。
【0004】
防波堤の被覆層用の前記コンクリート被覆材が人工リーフの構造に使用される被覆材と取り違えられるべきではないことは強調する価値がある。なぜなら、前記被覆材は大波の破壊に耐えるように設計され、安定性および強度等の具体的な特色によって特徴づけられるが、一方、人工リーフは海洋環境を改善し保護するのに使用され、水より高密度の任意の材料から作られるほとんどいかなる被覆材も適切であると考えられるからである。
【0005】
傾斜防波堤用のコンクリート被覆材は、設計、建設工程、および耐暴風波浪性能により分類されることができる。被覆層の構造に被覆材を配置するためには3つの主要な方法がある。すなわち、(a)ランダム配置、(b)単一層に配置すること、および(c)規則的で均一な配置である。
【0006】
ランダム配置(a)を有する被覆材は、切り出し石を置き換えるための従来の被覆材であり、この従来の被覆材は一層以上に配置され基本的に重力により抵抗する。簡単な被覆材と複雑な被覆材は共にランダム配置被覆材のグループ内に見出され得る。
【0007】
立方体ブロックおよび平行六面体ブロックは簡単な被覆材であり、堅牢で、構成が容易で、暴風波浪に対するその性能が柔軟である。さらに、これらは被覆材を破壊する重大な破損を受けず、また安定性も失わず、設計のいかなる誤差も普通は被覆材の腐食を増大させるが、めったに防波堤の完全な破壊には至らない。しかし、これらは対面嵌め合いに関しては重大な欠点を有する被覆材であり、上部から被覆材が引き起こされて移動する下部において充填密度が増大し、重大な透水性の変化を生じ得る(不均一充填)。また対面嵌め合いは、下地層に対する摩擦の減少、およびランダムな位置に配置され維持されるべき被覆材のある程度の自己整列に由来する他の問題を生じることもある。
【0008】
ランダム配置を有する複雑な被覆材のグループはいわゆる「テトラポッド(Tetrapod)」被覆材を含み、この被覆材は相互結合によるそれらの抵抗力の結果としてより大きい安定度係数を有する。それにもかかわらず、これらの被覆材は大きすぎると容易に壊れ、この容易さが主要な欠点と考えられる。これらは脆くて大きな被覆材の移動に耐えず、したがって、予定される暴風波浪おけるいかなる誤差であっても最初の激しい暴風で防波堤の予期しない完全な破壊を招くことがある。
【0009】
単一の層に非ランダム配置(b)を有する被覆材のグループは、被覆材間で良好な相互結合を有するいわゆる「アクロポッド(Accropode)」被覆材および「コアーロック(Core−Loc)」被覆材を含むが、被覆材のうちのいずれかが破損すると進行性破壊が生じるので比較的脆い構造性能を有する。これらの被覆材はより少ないコンクリートを必要とするが、非常に注意して配置されなければならない。予定される暴風波浪の計算及び建設におけるいかなる誤差でも構造物の全壊を招き得る。
【0010】
最後に、規則的で均一な配置(c)を有する被覆材は、いわゆる「シービー(Seabee)」形状もしくは「ホロウ(Hollow)」形状のような形状が簡単であるか、または「コブ(Cob)」形状もしくは「シェッド(Shed)」形状のような形状がより複雑である場合がある。これらの被覆材は通常、単一の均一な層に配置され、それらの抵抗力は基本的に重力、摩擦、および組立体を形成する被覆材の間の相互結合に依存する。前の事例のように、これらの被覆材もまた、被覆材の間の緊密な相互結合により損傷の開始において実に抵抗力があるが、被覆材のいずれかが破損すると破壊について進行性破壊を示す傾向があるので、非常に脆い構造性能を有する。
【0011】
ランダム配置を有する被覆材に、詳細には、早くから述べたように堅牢であり、製造が容易であり、スペインの海岸のような多くの海岸に沿って使用される既に言及した立方体ブロックおよび平行六面体ブロックに注目すると、これらの被覆材は対面嵌め合いまたは自己整列によって重大な欠点を有する。この理由は、平行六面体の設計が小さな移動によってより下部に被覆材が纏まる傾向を有し、海水位の危険領域に関して多くの平坦面を有する被覆層を形成し、傾斜防波堤の斜面での流水摩擦を低減し、したがってより高い波の遡上および越波ならびに波が非常に大きい場合に傾斜防波堤の後側の氾濫をも引き起こす可能性があるからである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明で説明した被覆材は、通常、ランダム配置用に製造される立方体タイプまたは平行六面体タイプであり、前述の欠点を効果的に解決し、自己整列および摩擦の低減に関連する問題についてのすばらしい解決策と考えられる。
【0013】
詳細には、改良は立方体被覆材または平行六面体被覆材により実現され、この被覆材は被覆材の面の間での結合を防止してそれらの自己整列の傾向を減少させ、一方同時に下地層に対する摩擦を増加するように突出部を備え、これは波の遡上速度および越波速度の低減を意味する。
【0014】
また、被覆材の外面のいかなる場所にも配置され得る前記突出部も截頭円錐形状または角錐台形状等の異なる形状を有することができる。前記突出部のこれらの異なる形状は、天然石または人工切り出し石から作られた下地層に対して被覆材のより大きな摩擦を与える。なぜなら前記突出部は、下地層の中に入り込み、立方体ブロックまたは平行六面体ブロックが下地層に平行に面を配置して各層の間で相互結合度を増加する傾向を明らかに改善する受動抵抗を生じるからである。
【0015】
下地層に対する相互結合の増加に加えて、被覆材の前記突出部は構造物のライフタイムの間、自己整列を導き、被覆層のより下部の空隙率を低下させる対面嵌め合いが被覆材の動きによって生じることを防ぐ。被覆層のより下部での対面嵌め合いおよび対応する空隙率の低下を防止すると、被覆材の抜き取りによる腐食と同様な作用を有する下方への被覆材の移動、ならびに水位近くの上方領域からの被覆材の移動が低減される。被覆層に関する不均一充填の問題の減少および抑制により、波襲来によって生じる被覆材の抜き取りに対する被覆層の高い水力学的抵抗の許容量が維持される。
【0016】
最終的に、本発明の他の利点は、時間の経過を伴う突出部の起り得る破壊または腐食に関係があり、これは従来の立方体被覆材または平行六面体被覆材に帰着する。したがって、少なくとも本発明は、これらの従来の被覆材の安定性および堅牢性の特徴を有するであろう。
【0017】
本明細書における説明を補完するために、および本発明の好まれる実際の実施形態による本発明の特徴についての理解を高めるために、一組の図面が前記説明の一構成部分として添付され、その中に例示的かつ非限定的な性質とともに以下が示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
表示された図を見ると、簡単な立方体構造物または平行六面体構造物(2)に基づく本発明の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材はその側面ならびにその頂点のいずれにも、あるいは同時に両方の位置に配置され得る一連の突出部(1)をどのように有するかを容易に指摘することができる。
【0019】
前記突出部(1)は同じように、角錐状、円錐状、プリズム状、円筒状、球状等、ならびに図16から図19でよく見ることができるように、対面嵌め合いおよび対応する自己整列を防ぎ、図21に見られるように、被覆材の下地層(3)に対する摩擦を増加することを目的とする任意の形状等の異なる形状を有するものとしてもよい。
【0020】
そのうえ、被覆材間で異なる分離度を得るために、また図を観察することによって推論され得るように、前記突出部(1)は異なる相対位置および相対的サイズを採用することができる。他の実施形態では被覆材は、面当たり1つ以上の突出部(1)を備え、または同じ被覆材に異なる突出部(1)の組合せを備えて、あるいはこの種の突出部を頂点と面の両方に同時に配置さえして示される。
【0021】
好ましい実施形態では、突出部(1)の寸法は基本的な立方体被覆材または平行六面体被覆材の寸法に比べて小さい。なぜなら突出部(1)の主要な目的は、対面嵌め合いを防ぎ、かつ従来の基本的な被覆材の堅牢性を維持することだからである。
【0022】
可能な実施形態では、例えば前記突出部(1)のすべての体積の合計が基本的な被覆材の体積よりも一桁小さい、言い換えれば15%よりも小さいような体積を有する。
【0023】
いかなる場合でも、本発明の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材は通常、立方体または平行六面体の基本的な構造物基部(2)を有し、その体積の大部分はコンクリート(補強コンクリートまたはプレストレストコンクリートおよびその他)等の重量物から作られ、突出部(1)は被覆材の体積の小さな部分しか含まず、特にコンクリートまたは鋼等の耐性材料から作られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】立方体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図および断面図であり、その突出部が正方形断面を有する角錐台によって形成される図である。
【図2】平行六面体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図および2つの断面図(長手方向断面図および断面図)であり、その突出部が正方形断面を有する角錐台によって形成される図である。
【図3】立方体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図であり、その突出部が正方形断面を有する角錐台によって形成される図である。
【図4】面のいずれの上にも1つ以上の突出部を有する平行六面体の実施形態について、本発明の被覆材の透視図である。
【図5】球状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図6】正方形断面を有する角錐状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図7】三角形断面を有する角錐状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図8】円錐形の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図9】円筒形の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図10】截頭円錐形状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図11】異なるタイプの突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図12】その頂点に配置された球状の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図13】その頂点に配置された立方体の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図14】いくつかの面およびその頂点に立方体の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図15】細長い棒の突出部を有する図1の被覆材の透視図である。
【図16】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図17】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図18】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図19】図1の被覆材のような立方体の被覆材の間で突出部によって生じる分離効果についての別図である。
【図20】切り出し石の下地層の上に図1の被覆材のような立方体の被覆材によって形成される主被覆領域の透視図である。
【図21】前の図20の詳細であり、被覆材が下地層に入り込む図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡単な立方体形状または平行六面体形状(2)を備える護岸ならびに水理構造物および海洋構造物用の傾斜防波堤、被覆工、および防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、その面および/または頂点のうちの少なくとも1つの上に、前記建設工程の間中および前記構造物の寿命を通して他の被覆材とのその結合を防止するように少なくとも1つの突出部(1)があることを特徴とする被覆材。
【請求項2】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)の組合せ体積が、前記突出部(1)なしの前記被覆材の全体積よりも小さいことを特徴とする被覆材。
【請求項3】
請求項2に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)の組合せ体積が、前記突出部(1)なしの前記被覆材の体積よりも一桁小さいことを特徴とする被覆材。
【請求項4】
請求項3に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)の組合せ体積が、前記突出部(1)なしの前記被覆材の全体積の15%よりも小さいことを特徴とする被覆材。
【請求項5】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が角錐形状または角錐台形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項6】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が円錐形状または截頭円錐形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項7】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)がプリズム形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項8】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が円筒形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項9】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が球形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項10】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、ぞれぞれの面の上に異なる数の突出部(1)有することを特徴とする被覆材。
【請求項11】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、異なる形状を備える突出部(1)有することを特徴とする被覆材。
【請求項12】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記面の上に配置された前記突出部(1)が前記面の上で中心に置かれることを特徴とする被覆材。
【請求項13】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記面の上に配置された前記突出部(1)が前記面の上で中心をはずれていることを特徴とする被覆材。
【請求項14】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記面の上に配置された前記突出部(1)が、前記面のそれぞれの上で同じ位置に配置されないことを特徴とする被覆材。
【請求項15】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、コンクリートから製造されることを特徴とする被覆材。
【請求項16】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、補強コンクリートまたはプレストレストコンクリートから製造されることを特徴とする被覆材。
【請求項17】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、コンクリートから製造され、前記突出部(1)が鋼から作られることを特徴とする被覆材。
【請求項18】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、補強コンクリートまたはプレストレストコンクリートから製造され、前記突出部(1)が鋼から作られることを特徴とする被覆材。
【請求項1】
簡単な立方体形状または平行六面体形状(2)を備える護岸ならびに水理構造物および海洋構造物用の傾斜防波堤、被覆工、および防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、その面および/または頂点のうちの少なくとも1つの上に、前記建設工程の間中および前記構造物の寿命を通して他の被覆材とのその結合を防止するように少なくとも1つの突出部(1)があることを特徴とする被覆材。
【請求項2】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)の組合せ体積が、前記突出部(1)なしの前記被覆材の全体積よりも小さいことを特徴とする被覆材。
【請求項3】
請求項2に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)の組合せ体積が、前記突出部(1)なしの前記被覆材の体積よりも一桁小さいことを特徴とする被覆材。
【請求項4】
請求項3に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)の組合せ体積が、前記突出部(1)なしの前記被覆材の全体積の15%よりも小さいことを特徴とする被覆材。
【請求項5】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が角錐形状または角錐台形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項6】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が円錐形状または截頭円錐形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項7】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)がプリズム形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項8】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が円筒形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項9】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記突出部(1)が球形状を有することを特徴とする被覆材。
【請求項10】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、ぞれぞれの面の上に異なる数の突出部(1)有することを特徴とする被覆材。
【請求項11】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、異なる形状を備える突出部(1)有することを特徴とする被覆材。
【請求項12】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記面の上に配置された前記突出部(1)が前記面の上で中心に置かれることを特徴とする被覆材。
【請求項13】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記面の上に配置された前記突出部(1)が前記面の上で中心をはずれていることを特徴とする被覆材。
【請求項14】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、前記面の上に配置された前記突出部(1)が、前記面のそれぞれの上で同じ位置に配置されないことを特徴とする被覆材。
【請求項15】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、コンクリートから製造されることを特徴とする被覆材。
【請求項16】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、補強コンクリートまたはプレストレストコンクリートから製造されることを特徴とする被覆材。
【請求項17】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、コンクリートから製造され、前記突出部(1)が鋼から作られることを特徴とする被覆材。
【請求項18】
請求項1に記載の傾斜防波堤の被覆層を構成する被覆材であって、補強コンクリートまたはプレストレストコンクリートから製造され、前記突出部(1)が鋼から作られることを特徴とする被覆材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2009−500548(P2009−500548A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520897(P2008−520897)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000395
【国際公開番号】WO2007/006831
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507299334)ウニベルシダッド ポリテクニカ デ バレンシア (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000395
【国際公開番号】WO2007/006831
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507299334)ウニベルシダッド ポリテクニカ デ バレンシア (2)
【Fターム(参考)】
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