傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴
本発明は傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴に係り、さらに詳しくは、履物の靴底に形成された傾斜面により足が内側または外側に向かって傾いたり滑ったりしながら非正常的な下肢骨格アライメントが校正され、膝関節に偏って加えられる荷重を均一に分散させて退行性膝関節炎の予防及び痛症緩和を図るための傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴に関する。
また、本発明は、履物の底面に貼着される靴底において、靴底は天面と底面とが互いに並ぶように形成され、幅方向に形成された傾斜面により区画された上部部材と下部部材を備えてなる傾斜構造であり、上部部材と下部部材との間に傾斜方向に剪断変形を引き起こす変形部材が履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設されることを特徴とする傾斜面を有する靴底を実現している。
また、本発明は、履物の底面に貼着される靴底において、靴底は天面と底面とが互いに並ぶように形成され、幅方向に形成された傾斜面により区画された上部部材と下部部材を備えてなる傾斜構造であり、上部部材と下部部材との間に傾斜方向に剪断変形を引き起こす変形部材が履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設されることを特徴とする傾斜面を有する靴底を実現している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴に係り、さらに詳しくは、靴底に形成された傾斜面により足が内側または外側に向かって傾いたり滑ったりしながら非正常的な下肢骨格アライメントが校正される傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴に関する。
【背景技術】
【0002】
膝関節は、人間が四足で支えるべき生体の重さを両足で支えて倒れることなく直立できるようにバランスを取らせる人体部位である。このため、膝関節は、我々が知らないうちに身体のバランスを維持するために少しずつ動いている。
このとき、最も理想的には、体重の中心が膝関節の中心を通過しなければならない。
しかしながら、大勢の人々は体重の中心が膝関節の中心を通過せず、膝関節の一部分に大きな荷重が持続的に作用してしまう。これにより、膝関節は、加齢に伴い退行性変化が最も頻繁に発生する部位の一つである。また、誤った歩行習慣により非正常的な下肢骨格アライメントを有することになり、これにより、膝関節の一部に大きな荷重が持続的に作用することになる。
【0003】
退行性膝関節炎は、立ちそうとしたときに膝が痛んだり、立っているときに膝がぶるぶる震えたり、膝を曲げたり伸ばしたりするときに音がしたり、まっすぐに立った姿勢で両膝の間に握りこぶしが入る程度に開く症状が現れる。また、階段を降りるときに痛症が特にひどいか、あるいは、歩いた後に2〜3日以上痛症が持続するなどの症状が現れると、疑いを抱くべき疾患である。
関節炎の治療目的は、痛症軽減と関節の柔軟性増加にあるが、ほとんどの関節炎は完治が不可である。軽微な症状である場合には持続的な物理治療、薬物療法または体重減少などを通じて痛症及び硬直症状を緩和することができる。しかしながら、症状がひどい関節炎患者は、手術を通じて痛症を減少させたり再建術を通じて関節機能を修復することができる。しかしながら、このような手術は高費用がかかるだけではなく、煩雑であるため、手術できない場合が多い。
【0004】
図1は、O字脚の右側の下肢アライメントを示す正面図であり、図2は、X字脚の右側の下肢アライメントを示す正面図である。図1及び図2に示すように、O字脚を持った者の下肢アライメント1とX字脚を持った者の下肢アライメント9において、機械軸50は大腿骨頭中心3から距骨頭中心5までを結んだ線を示し、湾曲軸70は大腿骨頭中心3と膝関節中心7を結んだ線を意味する。
一般に、O字脚(内反膝)は、湾曲軸70が機械軸50の外側に向かって傾斜した場合であり、膝をまっすぐに伸ばした状態で、ひざの骨をまっすぐ正面に向けまっすぐに立った状態で、両膝の間が開いてOの字に見えるしまう状態のことをいう。X字脚(内反膝)は、湾曲軸70が機械軸50の内側に向かって傾斜した場合であり、O字脚と同様に膝をまっすぐに伸ばした状態でひざの骨をまっすぐ正面に向けると、足首関節の間が開いてしまう状態のことをいう。湾曲軸70と機械軸50との間の傾斜角βの値が大きいほどO字脚とX字脚の度合いが激しい。
【0005】
これらのO字脚とX字脚のように、非正常的な下肢骨格アライメントは先天的な要因もしくは後天的な要因に起因して発生するものであり、膝関節の一部に荷重が集中するため、退行性膝関節炎が発生したり、膝関節が減ったりする。
このように退行性膝関節炎の苦痛を緩和・予防し、且つ、非正常的な下肢骨格アライメントを校正するために、歩行時に足が内側に向かって傾くように形成された履物を利用する。
【0006】
図3は、従来の非正常的な下肢骨格アライメントを持った者または退行性膝関節炎を訴える者が着靴する履物の背面図である。図3に示すように、足が履物の内側に向かって傾くように形成された靴底14と甲皮12付き履物10を形成して履物10を履いて地面500を歩行したとき、足と脚のそのものが履物の内側に向かって傾斜するようにし、膝を内側に移動させる回転力を誘発するような方法により非正常的な下肢骨格アライメントを校正したり退行性膝関節炎を治療したりしていた。
しかしながら、この種の履物10を履いて歩行をすると、靴底14の傾斜に起因して足が内側に過度に滑り込んでしまうため、足首と膝関節に過度な剪断力が発生する。そして、足が滑ることを極力阻止するために脚に力を入れ過ぎてしまうと、足の奥部と膝に強い荷重が作用してむしろ退行性膝関節炎が悪化する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、靴底に形成された傾斜面により足が内側または外側に向かって傾いたり滑ったりしながら非正常的な下肢骨格アライメントが校正される傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的は、履物の底面に貼着される靴底において、前記靴底は、幅方向に形成された傾斜面により区画された上部部材と下部部材を備えてなる傾斜構造であることを特徴とする傾斜面を有する靴底により達成可能である。
このとき、上部部材の天面と前記下部部材の底面が互いに並ぶように形成される。そして、傾斜構造は上部部材の硬度が下部部材の硬度よりも小さい。
【0009】
また、傾斜構造は、上部部材と下部部材との間に傾斜面に沿って剪断変形を引き起こす変形部材がさらに介装される。このとき、変形部材は履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設される。
さらに、傾斜構造は、人間の足裏の中心部に形成されたアーチ部に対応するアーチ状を呈している
さらにまた、傾斜構造は、履物の長手方向の前方から後方に進むにつれて傾斜面の傾斜が大きくなる。
【0010】
上述した傾斜構造は、O字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面の最低部が前記靴底の内側に形成される。
さらに、傾斜構造は、X字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面の最低部が前記靴底の外側に形成される。
さらにまた、傾斜構造は、靴底の幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底の内側辺が外側辺に向かって、または、外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角で傾設され、傾斜角は0°<α≦60°の範囲内において靴底の内側辺または外側辺のうち傾斜面の最低部が形成された方の側辺に形成される。
【0011】
別のカテゴリとして、本発明の目的は、上述した靴底を備えることを特徴とする膝関節靴により達成可能である。
このとき、膝関節靴は靴底の傾斜構造と同じ構造で形成された敷底を備えてなる。
さらに別のカテゴリとして、本発明の目的は、敷底が設けられた履物において、敷底は、上述した傾斜構造を有することを特徴とする膝関節靴により達成可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、膝の一部に偏って加えられていた荷重を均一に分散させて退行性膝関節炎の痛症を緩和し、且つ、膝関節炎の発生を未然に防止することができるという効果がある。
また、正常的な下肢骨格アライメントから外れたO字脚とX字脚を持った者の場合には脚の形状に合う靴底を選択し、これを適用した履物が着靴可能であるため湾曲した脚のアライメントを校正することができるという効果がある。これにより、湾曲した脚の形状が校正されて正しい歩行姿勢と正しい身体構造が確立される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
この明細書に添付される図面は本発明の好適な実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想を一層具体的に理解させる役割を果たすものであるため、本発明はこれらの図面に記載の事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【0014】
【図1】O字脚の右側下肢アライメントの正面図
【図2】X字脚の右側下肢アライメントの正面図
【図3】従来の非正常的な下肢アライメント骨格を持った者または退行性膝関節炎を訴える者が着靴する履物の背面図
【図4】本発明の第1の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の幅方向断面図
【図5】本発明の第2の実施形態に従い製作された靴底の分解断面図
【図6】本発明の第2の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の背面図
【図7】本発明の第3の実施形態に従い製作された履物の背面図
【図8】図7に示す履物をO字脚を持った者が着靴して歩行する状態を示す状態図
【図9】本発明の第4の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の斜視図
【図10】本発明の第4の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の底面図
【図11】図10の左側面図
【図12】図10の右側面図
【図13】図10のA−A線断面図
【図14】本発明の第5の実施形態による下部部材の斜視図
【図15】本発明の第5の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の底面図
【図16】図15の左側面図
【図17】図15の右側面図
【図18】図15のB−B線断面図
【図19】図15のC−C線断面図
【図20】図15のD−D線断面図
【図21】本発明の変形例による靴底の左側面図
【図22】本発明の第6の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図
【図23】本発明の第7の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図
【図24】本発明の第8の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図
【図25】本発明の第9の実施形態による敷底を有する膝関節靴の縦断面図
【図26】本発明の第10の実施形態による敷底を有する膝関節靴底の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において説明される内反膝は、膝をまっすぐに伸ばした状態で、ひざの骨をまっすぐ正面に向けまっすぐに立った状態で、両膝の間が開いてOの字に見えるしまう状態のことをいい、俗称O字脚という。また、外反膝は、内反膝と同様に膝をまっすぐに伸ばした状態でひざの骨をまっすぐ正面に向けると、足首関節の間が開いてしまう状態のことをいい、俗称X字脚という。
【0016】
加えて、本発明において説明されるO字脚を持った者は、先天的に下肢骨格アライメントがO字状であるか、あるいは、後天的に下肢骨格アライメントがO字状に変形された者と膝の内側に痛症を訴える者をいずれも含むものとする。また、X字脚を持った者は先天的に下肢骨格アライメントがX字状であるか、あるいは、後天的に下肢骨格アライメントがX字状に変形された者と膝の外側に痛症を訴える者をいずれも含むものとする。
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述する。
【0017】
<靴底の構成>
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の幅方向断面図である。同図に示すように、靴底120と甲皮110を備える履物100の靴底120は、幅方向に区画された傾斜面123aにより形成された上部部材122と下部部材124を備えて傾斜構造で形成される。本発明においては、履物100を着靴する者の下肢骨格アライメントに応じて履物100の内側または外側に向かって傾斜するように傾斜面123aを形成して傾斜構造の靴底120を製作する。
このとき、靴底120の天面100cと底面100dは互いに並ぶように形成される。また、下部部材124は上部部材122よりも硬度(硬さ)が大きい材質から製作される。
【0018】
図4に示すように、傾斜面123aの最低部が靴底120の内側に形成されるように靴底120を製作してO字脚を持った者が着靴できるようにする。すなわち、靴底120付き履物100を履いて歩行をすると、上部部材122の硬度が下部部材124の硬度よりも小さいため、傾斜面123aの最低部が形成された上部部材122の内側変形量が上部部材122の外側変形量を上回ることになる。これにより、足が自然に靴底120の内側に向かって傾く。このように持続的に履物100を履いて歩行をすると、靴底120の内側に向かって足が傾きながらO字脚が校正される。
【0019】
図4とは逆に、傾斜面123aの最低部が靴底120の外側に形成されるように靴底120を製作してX字脚を持った者が着靴できるようにする。上述したように、上部部材122の硬度が下部部材124の硬度よりも小さいため、傾斜面123aの最低部が形成された上部部材122の外側変形量が内側変形量に比べて大きくなる。すなわち、X字脚を持った者が靴底120付き履物100を着靴して歩行する間に自然に靴底120の外側に向かって足が傾いてX字脚が校正される。なお、膝の外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に従い製作された靴底の分解断面図である。図5に示すように、靴底120は、天面100cと底面100dが互いに並ぶように形成され、上部部材122と下部部材124との間には傾斜面123a、123bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材123が介装されて傾斜構造が形成される。このとき、変形部材123は上部部材122と下部部材124とを区画する傾斜面123a、123bと同じ傾斜をもって形成される。すなわち、靴底120の上部から加えられる力により変形部材123の剪断変形が傾斜面123a、123bの方向に引き起こされ、これにより、上部部材122が傾斜面123a、123bに向かって滑りながら履物100を履いた者の足に内側または外側にモーメントが作用するようにして非正常的に変形されていた下肢骨格アライメントが正常的に校正される。このとき、変形部材123は上部部材122に加えられる圧力により柔軟に変形されるゲル状の合成樹脂、ゴム、シリコン、エチレンビニールアセテート(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)、ポリウレタン(PU:Poly Urethane)、クロロプレンゴム(CR:Chloroprene Rubber)、ネオプレンなどから製作されて、変形部材123の剪断変形が傾斜面123aの方向に円滑に起こるようにする。
【0021】
図6は、本発明の第2の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の背面図である。図6に示すように、変形部材123は、上部部材122が靴底120の内側に向かって滑り込むように傾設されてO字脚を持った者が着靴できるようにする。このとき、靴底120の天面100cと底面100dは互いに並ぶように形成される。
すなわち、O字脚を持った者が本発明による靴底120付き履物100を履いて地面500を歩行すると、上部部材122は上から押さえる力と柔軟に変形される変形部材123により靴底120の内側に向かって滑り込む。仮想線の上部部材122と変形部材123は、実線のように変形される。O字脚を持った者の足600は変形部材123の変形により靴底120の内側に向かって滑り込みながら下腿を生体の外側に回転させる回転モーメントが発生する。
このモーメントによりO字脚を持った者の左右膝はそれらの間の間隔が狭くなって「||」字状の膝に校正される。また、膝の内側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0022】
図6とは逆に、変形部材123は、上部部材122が靴底120の外側に向かって滑るように傾設されてX字脚を持った者が着靴できるようにする。
すなわち、「X」字脚を持った者が本発明による靴底120付き履物100を履いて地面500を歩行すると、上部部材122は上から押さえる力と柔軟に変形される変形部材123により靴底120の外側に向かって滑る。X字脚を持った者の足600は変形部材123の変形により靴底120の外側に向かって滑りながら下腿を生体の内側に回転させる回転モーメントが発生する。
このモーメントによりX字脚を持った者の左右膝はそれらの間の間隔が広くなって「||」字状の膝に校正される。また、膝の外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0023】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に従い製作された履物の背面図であり、図8は、図7に示す履物をO字脚を持った者が着靴して歩行する状態を示す状態図である。図7及び図8に示すように、靴底120は幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底120の内側辺100aが外側辺100bに向かってまたは外側辺100bが内側辺100aに向かって所定の傾斜角αで傾斜して傾斜構造が形成される。このとき、傾斜角αの範囲は0°<α≦60°であり、靴底120において、傾斜面123a、123bの最低部が形成された方の側辺に形成される。
【0024】
図7に示すように、上部部材122と変形部材123及び下部部材124からなる靴底120は地面500に履物100をおいたときに内側辺100aが外側辺100bに対して傾斜角αで傾斜して傾斜面123a、123bの最低部が靴底120の内側に形成された靴底120付き履物をO字脚を持った者が着靴できるようにする。靴底120の幅方向断面は逆台形状である。傾斜角αはO字脚の湾曲の度合いに応じて調節可能である。傾斜角αが60°を超えると靴底120の内側への変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないようにすることが好ましい。本発明においては、傾斜角αが約15°になるように靴底120を形成している。
【0025】
図8に示すように、靴底120の内側辺100aは外側辺100bに対して傾斜角αで傾設されているため、上部部材122と下部部材124の重心が一致しなくなる結果、上部部材122が変形部材123の傾斜面123a、123bの方向に容易に靴底120の内側に向かって滑り込みながら変形されてしまう。
すなわち、上部部材122が変形部材123の傾斜面123a、123bの方向に滑りながらO字脚を持った者の足600が靴底120の内側に向かって滑り込んで非正常的な下肢骨格アライメントが校正される。
【0026】
図7とは逆に、上部部材122と変形部材123及び下部部材124からなる靴底120は、地面500に履物100をおいたときに外側辺100bが内側辺100aに対して所定の傾斜角αで傾斜して傾斜面123aの最低部が靴底120の外側に形成された靴底120付き履物100をX字脚を持った者が着靴できるようにする。このときの傾斜角αの範囲は0°<α≦60°であり、靴底120の幅方向断面は逆台形状である。傾斜角αが60°を超えると、靴底120の外側への変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないようにすることが好ましい。
【0027】
図8とは逆に、靴底120の外側辺100bは内側辺100aに対して傾斜角αで傾設されているため、上部部材122と下部部材124の重心が一致しなくなる結果、上部部材122が変形部材123の傾斜面123a、123bの方向に容易に靴底120の外側に向かって滑りながら変形される。
すなわち、上部部材122が変形部材123の傾斜面の方向に滑りながらX字脚を持った者の足600が靴底120の外側に向かって滑って非正常的な下肢骨格アライメントが校正される。
【0028】
本発明に従い製作された靴底120は、非正常的な下肢骨格アライメントを正常的に校正して膝関節の一部に集中して加えられる荷重を均一に分散させることができ、膝関節の一部に荷重が集中して加えられながら発生される退行性膝関節炎を予防し、痛症を緩和することができる。
本発明の第3の実施形態に示す傾斜角αを第1の実施形態に適用して断面が逆台形状である靴底120を形成することができる。
【0029】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態によるO字脚を持った者の着靴のための靴底の斜視図であり、図10は、本発明の第4の実施形態によるO字脚を持った者の着靴のための靴底の底面図であり、図11は図10の左側面図である。そして、図12は、図10の右側面図である。図9から図12に示すように、本発明の第4の実施形態による靴底320は、上部部材322、下部部材324、上部部材322と下部部材324との間に介装される変形部材323からなる。
【0030】
本発明の第4の実施形態による靴底320は、図9から図12に示すように、靴底320の底面の一方の側に人間の足裏の中心部に形成されたアーチ部に対応する形状のアーチ状ドームが形成される。このアーチ状ドームは、履物の中心の一方の側、好ましくは、人間の足裏に形成されたアーチ部に対応する位置に形成されることが好ましい。
【0031】
図13は図10のA−A線断面図であり、図14は、本発明の第4の実施形態による下部部材の斜視図である。本発明の第4の実施形態による下部部材324は、図13及び図14に示すように、全体的に底面は地面と並ぶように形成され、天面は靴底320の長手方向に沿ってアーチ状に形成される。また、図13に示すように、幅方向には内側または外側のうち一方の側が他方の側よりも高くなるように傾斜面323a、323bが形成される。これらの傾斜面323a、323bは履物を着靴する者の下肢骨格アライメントに応じて内側または外側が高くなるように形成される。例えば、靴底320の幅方向内側の高さH1 と外側の高さH2 が1:1.5〜1:2の割合、すなわち、内側の高さH1 が1cmであるときに外側の高さH2 は1.5cm〜2cmになるように形成する。このとき、傾斜面323a、323bの方向及び高さは履物を着靴する者の骨格アライメント状態または膝の痛症の度合いに応じて種々に変更することができる。下部部材324は、上部部材322よりも硬度(硬さ)が大きい材質から製作する。
【0032】
また、図13及び図14に示すように、下部部材324の傾斜面323bの最低部が靴底320の内側に形成されるように製作してO字脚を持った者が着靴できるようにする。すなわち、この靴底320付き履物を履いて歩行すると、全体として上部部材322の硬度が下部部材324の硬度よりも小さいため、傾斜面323a、323bの最低部が形成された靴底320の内側変形量が外側変形量よりも大きくなって着用者の足が自然に靴底320の内側に向かって傾く。このように、本発明による靴底320付き履物を持続的に履いて歩行すると、膝と足が生体の内側に向かって傾きながらO字脚が校正される。
【0033】
これとは逆に、X字脚を持った者が着靴するためには下部部材324の傾斜面323bの最低部が靴底320の外側に形成されるように製作する。このように傾斜面323bの最低部が靴底320の外側を向くように形成すると、O字脚を持った者のための靴底320と同じ原理に基づいて着用者の足が靴底320の外側に向かって傾く。
上述した構成を有する靴底320によりO字脚とX字脚が校正されると、膝の内側または外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0034】
本発明の第4の実施形態による変形部材323は、傾斜面323a、323bの傾斜方向に剪断変形を発生させる。このとき、変形部材323は上部部材322と下部部材324とを区画する傾斜面323a、323bと同じ傾斜をもって形成される。すなわち、靴底320の上部から加えられる力により変形部材323が傾斜面323a、323bに沿って滑りながら履物を着靴した者の足の内側または外側にモーメントが作用するようにして非正常的に変形されていた下肢骨格アライメントが一層円滑かつ正常的に校正されるようにする。このような変形部材323の材質としては、ゲル状の合成樹脂、ゴム、シリコン、エチレンビニールアセテート、ポリウレタン、クロロプレンゴムなどを使用する。
【0035】
上述した構成を有する靴底320は、一層円滑な校正のために、図13に示すように、幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底320の内側辺が外側辺に向かってまたは外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角αで傾斜する。このとき、好ましくは、傾斜角αは0°〜60°の範囲内である。この傾斜角αは、履物を着用する者の膝の状態及び痛症の状態に応じて変更可能である。しかしながら、好適な傾斜角αは10°〜20°である。もし、傾斜角が60°を超えると靴底320の変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないようにすることが好ましい。
【0036】
O字脚を持った者が着靴するためには、図13に示すように、内側辺が外側辺に対して傾斜角αで傾斜して上部部材322と下部部材324の重心が一致しなくなる結果、靴底320が変形部材323の剪断変形により一層容易に生体の内側に向かって滑り込むためO字脚が校正される。
【0037】
また、X字脚を持った者が着靴するためには、図13とは逆に、外側辺が内側辺に対して傾斜角αで傾斜する。このように傾斜が形成されると、歩行時に中心が生体の外側に向かって滑るため、X字脚が校正される。
【0038】
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の底面であり、図16は、図15の左側面図であり、そして図17は、図15の右側面図である。図15から図17に示すように、本発明の第5の実施形態による靴底420は、上部部材422、下部部材424、上部部材422と下部部材424との間に介装される変形部材423からなる。
【0039】
図18は、図15のB−B線断面図であり、図19は、図15のC−C線断面図であり、そして図20は、図15のD−D線断面図である。本発明の第5の実施形態による靴底420は、図18から図20に示すように、幅方向に区画された変形部材423により形成された上部部材422と下部部材424を備えて傾斜構造で形成される。本発明においては、履物を着靴する者の下肢骨格アライメントに応じて履物の内側または外側に向かって滑るように変形部材423を形成して傾斜構造の靴底420を製作する。
【0040】
このとき、靴底420の天面と底面、すなわち、上部部材422の天面と下部部材424の底面は互いに並ぶように形成される。また、下部部材424は上部部材422よりも硬度が大きい材質から製作される。
【0041】
図15から図20は、O字脚を持った者が着靴できるように変形部材423の最低部が靴底420の内側に形成されるように靴底420を製作する。すなわち、靴底420付き履物を履いて歩行すると、上部部材422の硬度が下部部材424の硬度よりも小さいため、変形部材423の最低部が形成された上部部材422の内側変形量が上部部材422の外側変形量を上回る結果、足が自然に靴底420の内側に向かって傾く。例えば、靴底420の幅方向内側の高さH3 と外側の高さH4 が1:1.5〜1:2の割合、すなわち、内側の高さH3 が1cmであるときに外側の高さH4 は1.5cm〜2cmになるように形成する。このように持続的に履物を履いて歩行すると、靴底420の内側に向かって足が傾きながらO字脚が校正される。また、膝の校正効果を上げるために、履物の長手方向の前方から後方に進むにつれて傾斜面423a、423bの傾斜が大きくなるように形成してもよい。しかしながら、着靴する者の膝の湾曲度及び膝痛症度に応じて前方の傾斜が一層大きくなるように変更してもよいということはいうまでもない。
【0042】
これとは逆に、X字脚を持った者が着靴するためには変形部材423の最低部が外側に形成されるように靴底420を製作する。このように変形部材423の最低部が靴底420の外側を向くように形成すると、O字脚を持った者のための靴底420と同じ原理に基づいて着用者の足が靴底420の外側に向かって滑ることになる。
【0043】
上述した構成を有する靴底420によりO字脚とX字脚が校正されると、膝の内側または外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0044】
本発明の第5の実施形態による変形部材423は上部部材422と下部部材424との間に介装されて変形部材423の傾斜方向に剪断変形を発生させる。このとき、変形部材423は履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設される。このように前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く部分に変形部材423を配設する理由は、足が全体的に内側または外側に向かって傾くことにより発生する足首または膝の負担を軽減するためである。このとき、変形部材423は上部部材422と下部部材424とを区画する傾斜面423a、423bと同じ傾斜をもって形成され、履物の長手方向の前方及び後方の両終端からそれぞれ5%〜15%を除く中心領域に配設される。すなわち、靴底420の上部から加えられる力により傾斜方向に滑りながら履物を着靴した者の足の内側または外側にモーメントが作用するようにして非正常的に変形されていた下肢骨格アライメントが一層円滑かつ正常的に校正されるようにする。また、傾斜方向に滑る部分を履物の前方及び後方の終端において受け止めるため、足首及び膝の負担を軽減する。この変形部材423の材質としては、ゲル状の合成樹脂、ゴム、シリコン、エチレンビニールアセテート、ポリウレタン、クロロプレンゴムなどを使用する。
【0045】
上述した構成を有する靴底420は、一層円滑な校正のために、図18から図20に示すように、幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底420の内側辺が外側辺に向かってまたは外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角αで傾斜する。このとき、好ましくは、傾斜角αは0°〜60°の範囲内である。この傾斜角αは、履物を着用する者の膝の状態及び痛症の状態に応じて変更可能である。しかしながら、好適な傾斜角αは10°〜20°である。もし、傾斜角が60°を超えると靴底420の変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないことが好ましい。
【0046】
O字脚を持った者が着靴するためには、図18から図20に示すように、内側辺が外側辺に対して傾斜角αで傾斜して上部部材422と下部部材424の重心が一致しなくなる結果、靴底420が変形部材423の剪断変形により一層容易に生体の内側に向かって滑り込むためO字脚が校正される。
【0047】
また、X字脚を持った者が着靴するためには、図18から図20とは逆に、外側辺が内側辺に対して傾斜角αで傾斜する。このように傾斜が形成されると、歩行時に中心が生体の外側に向かって滑るため、X字脚が校正される。
【0048】
(変形例)
図21は、本発明の変形例による靴底の左側面図である。図21に示すように、本発明による靴底320、420の変形部材323、423は、人間の足裏のアーチ状、履物の全体形状だけではなく、着靴する者の健康状態、膝の変形状態に応じて種々に変更することができる。
【0049】
<膝関節靴の構成>
通常の履物、好ましくは、膝関節靴の靴底に上述した本発明の第1の実施形態による靴底120から第5の実施形態による靴底420を各種の接着剤や製縫などの方法を用いて結合する。このような履物を履いて歩行することにより、別途の施術をすることなくO字脚またはX字脚を「II」字状に校正することができる。
本発明による膝関節靴は、敷底250、750、850をさらに備えていてもよい。このような敷底250、750、850の構成は、下記の通りである。
【0050】
(第6の実施形態)
図22は、本発明の第6の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図である。図22に示すように、甲皮210の底面に靴底220が貼着され、甲皮210の内部には敷底250が設けられる履物200において、敷底250は幅方向に区画された傾斜面253aにより形成された上部部材252と下部部材254を備えてなる。すなわち、上述した第1の実施形態と同じ傾斜構造で敷底250を形成する。図22は、O字脚を持った者が着靴する履物の断面を示しているが、傾斜面253aの最低部が履物200の内側または外側に形成されてO字脚を持った者またはX字脚を持った者が履物200に設けて着靴する。また、第1の実施形態と同様に、上部部材252と下部部材254の硬度を異ならせて製作する。
このとき、靴底220は通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態から第5の実施形態による靴底120、320、420、720、820を使用してもよい。
【0051】
(第7の実施形態)
図23は、本発明の第7の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図である。図23に示すように、敷底250は、上部部材252と下部部材254との間に傾斜面253a、253bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材253がさらに介装されてなる。すなわち、上述した第2の実施形態と同じ傾斜構造で敷底250を形成する。図23は、O字脚を持った者が着靴する履物の断面を示しているが、傾斜面253a、253bの最低部が履物200の内側または外側に形成されてO字脚を持った者またはX字脚を持った者が履物200に設けて着靴する。
このとき、靴底220としては通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態から第5の実施形態による靴底120、320、420、720、820を使用してもよい。
【0052】
(第8の実施形態)
図24は、本発明の第8の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図である。図24に示すように、敷底250は、幅方向断面が逆台形状を呈するように敷底250の内側辺200aが外側辺200bに向かって、または外側辺200bが内側辺200aに向かって所定の傾斜角αで傾斜した傾斜構造で形成される。このとき、傾斜角αの範囲は0°<α≦60°であり、傾斜面253a、253bの最低部が形成された側辺に形成される。
すなわち、上述した第3の実施形態と同様に、傾斜角α付き傾斜構造で敷底250を形成する。図24は、O字脚を持った者が着靴する履物の断面を示しているが、傾斜面253a、523bの最低部が履物200の内側または外側に形成されてO字脚を持った者またはX字脚を持った者が履物200に設けて着靴する。
このとき、靴底220としては通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態から第5の実施形態による靴底120、320、420、720、820を使用してもよい。
なお、本発明の第8の実施形態と同じ傾斜角αを第6の実施形態に適用して断面が逆台形状を呈する敷底250を形成してもよい。
【0053】
(第9の実施形態)
図25は、本発明の第9の実施形態による敷底付き膝関節靴の縦断面図である。本発明の第9の実施形態による敷底750は、幅方向に区画された傾斜面により形成された上部部材752、下部部材754、上部部材752と下部部材754との間に介装されて傾斜面753a、753bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材753を備える。すなわち、第4の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420の傾斜構造と同じ傾斜構造で敷底750を形成する。このような敷底750の傾斜構造は、本発明の第4の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420の傾斜構造と同様に、着用する者の膝の状態、痛症度などを考慮して種々に変更することができる。
この敷底750は靴底と同じ傾斜構造を有するように形成されて、履物700を着靴したときに校正効果及び退行性膝関節炎の予防と症状の緩和効果を得ることができる。
第9の実施形態による履物700の靴底720としては、通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420を使用してもよい。
ここで、未説明符号710は履物の甲皮を示す。
【0054】
(第10の実施形態)
図26は、本発明の第10の実施形態による敷底付き膝関節靴の縦断面図である。本発明の第10の実施形態による敷底850は、図26に示すように、全体として第9の実施形態による敷底850と同様に、幅方向に区画された傾斜面により形成された上部部材852、下部部材854、上部部材852と下部部材854との間に介装されて傾斜面853a、853bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材853を備える。また、幅方向断面が逆台形状を呈するように敷底850の内側辺が外側辺に向かって、または外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角αで傾斜した傾斜構造で形成される。このとき、傾斜角αは第4の実施形態による靴底320または第5の実施形態による靴底420の傾斜角と同様に0°〜60°の範囲内であることが好ましい。この傾斜角αは、履物800を着用する者の膝の状態及び痛症の状態に応じて変更可能である。しかしながら、好適な傾斜角αは10°〜20°である。もし、傾斜角が60°を超えると敷底850の変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないことが好ましい。
第10の実施形態による履物800の靴底820としては、通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420を使用してもよい。
ここで、未説明符号810は履物の甲皮を示す。
【0055】
以上述べたように、本発明が属する技術分野における当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態にて実施可能であるということが理解できるであろう。よって、上述した実施形態はあらゆる面で例示的なものに過ぎず、限定的なものとして解釈されてはならない。本発明の範囲は、詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって開示され、特許請求範囲の意味及び範囲、ならびに等価概念から導き出されるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈される必要がある。
【符号の説明】
【0056】
1:O字脚を持った者の下肢アライメント、
3:大腿骨頭中心、
5:距骨頭中心、
7:膝関節中心、
9:X字脚を持った者の下肢アライメント、
10:従来の履物、
12:従来の履物の甲皮、
14:従来の履物の靴底、
50:機械軸、
70:湾曲軸、
100、200、700、800:履物、
100a、200a:内側辺、
100b、200b:外側辺、
100c:天面、
100d:底面、
110、210、710、810:甲皮、
120、220、320、420、720、820:靴底、
122、322、422:上部部材、
123、323、423:変形部材、
123a、123b、323a、323b、423a、423b:傾斜面、
124、324、424:下部部材、
250、750、850:敷底、
252、752、852:敷底の上部部材、
253、753、853:敷底の変形部材、
253a、253b、753a、753b、853a、853b:敷底の傾斜面、
254、754、854:敷底の下部部材、
500:地面、
600:足
【技術分野】
【0001】
本発明は傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴に係り、さらに詳しくは、靴底に形成された傾斜面により足が内側または外側に向かって傾いたり滑ったりしながら非正常的な下肢骨格アライメントが校正される傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴に関する。
【背景技術】
【0002】
膝関節は、人間が四足で支えるべき生体の重さを両足で支えて倒れることなく直立できるようにバランスを取らせる人体部位である。このため、膝関節は、我々が知らないうちに身体のバランスを維持するために少しずつ動いている。
このとき、最も理想的には、体重の中心が膝関節の中心を通過しなければならない。
しかしながら、大勢の人々は体重の中心が膝関節の中心を通過せず、膝関節の一部分に大きな荷重が持続的に作用してしまう。これにより、膝関節は、加齢に伴い退行性変化が最も頻繁に発生する部位の一つである。また、誤った歩行習慣により非正常的な下肢骨格アライメントを有することになり、これにより、膝関節の一部に大きな荷重が持続的に作用することになる。
【0003】
退行性膝関節炎は、立ちそうとしたときに膝が痛んだり、立っているときに膝がぶるぶる震えたり、膝を曲げたり伸ばしたりするときに音がしたり、まっすぐに立った姿勢で両膝の間に握りこぶしが入る程度に開く症状が現れる。また、階段を降りるときに痛症が特にひどいか、あるいは、歩いた後に2〜3日以上痛症が持続するなどの症状が現れると、疑いを抱くべき疾患である。
関節炎の治療目的は、痛症軽減と関節の柔軟性増加にあるが、ほとんどの関節炎は完治が不可である。軽微な症状である場合には持続的な物理治療、薬物療法または体重減少などを通じて痛症及び硬直症状を緩和することができる。しかしながら、症状がひどい関節炎患者は、手術を通じて痛症を減少させたり再建術を通じて関節機能を修復することができる。しかしながら、このような手術は高費用がかかるだけではなく、煩雑であるため、手術できない場合が多い。
【0004】
図1は、O字脚の右側の下肢アライメントを示す正面図であり、図2は、X字脚の右側の下肢アライメントを示す正面図である。図1及び図2に示すように、O字脚を持った者の下肢アライメント1とX字脚を持った者の下肢アライメント9において、機械軸50は大腿骨頭中心3から距骨頭中心5までを結んだ線を示し、湾曲軸70は大腿骨頭中心3と膝関節中心7を結んだ線を意味する。
一般に、O字脚(内反膝)は、湾曲軸70が機械軸50の外側に向かって傾斜した場合であり、膝をまっすぐに伸ばした状態で、ひざの骨をまっすぐ正面に向けまっすぐに立った状態で、両膝の間が開いてOの字に見えるしまう状態のことをいう。X字脚(内反膝)は、湾曲軸70が機械軸50の内側に向かって傾斜した場合であり、O字脚と同様に膝をまっすぐに伸ばした状態でひざの骨をまっすぐ正面に向けると、足首関節の間が開いてしまう状態のことをいう。湾曲軸70と機械軸50との間の傾斜角βの値が大きいほどO字脚とX字脚の度合いが激しい。
【0005】
これらのO字脚とX字脚のように、非正常的な下肢骨格アライメントは先天的な要因もしくは後天的な要因に起因して発生するものであり、膝関節の一部に荷重が集中するため、退行性膝関節炎が発生したり、膝関節が減ったりする。
このように退行性膝関節炎の苦痛を緩和・予防し、且つ、非正常的な下肢骨格アライメントを校正するために、歩行時に足が内側に向かって傾くように形成された履物を利用する。
【0006】
図3は、従来の非正常的な下肢骨格アライメントを持った者または退行性膝関節炎を訴える者が着靴する履物の背面図である。図3に示すように、足が履物の内側に向かって傾くように形成された靴底14と甲皮12付き履物10を形成して履物10を履いて地面500を歩行したとき、足と脚のそのものが履物の内側に向かって傾斜するようにし、膝を内側に移動させる回転力を誘発するような方法により非正常的な下肢骨格アライメントを校正したり退行性膝関節炎を治療したりしていた。
しかしながら、この種の履物10を履いて歩行をすると、靴底14の傾斜に起因して足が内側に過度に滑り込んでしまうため、足首と膝関節に過度な剪断力が発生する。そして、足が滑ることを極力阻止するために脚に力を入れ過ぎてしまうと、足の奥部と膝に強い荷重が作用してむしろ退行性膝関節炎が悪化する虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、靴底に形成された傾斜面により足が内側または外側に向かって傾いたり滑ったりしながら非正常的な下肢骨格アライメントが校正される傾斜面を有する靴底及びこれを備える膝関節靴を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的は、履物の底面に貼着される靴底において、前記靴底は、幅方向に形成された傾斜面により区画された上部部材と下部部材を備えてなる傾斜構造であることを特徴とする傾斜面を有する靴底により達成可能である。
このとき、上部部材の天面と前記下部部材の底面が互いに並ぶように形成される。そして、傾斜構造は上部部材の硬度が下部部材の硬度よりも小さい。
【0009】
また、傾斜構造は、上部部材と下部部材との間に傾斜面に沿って剪断変形を引き起こす変形部材がさらに介装される。このとき、変形部材は履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設される。
さらに、傾斜構造は、人間の足裏の中心部に形成されたアーチ部に対応するアーチ状を呈している
さらにまた、傾斜構造は、履物の長手方向の前方から後方に進むにつれて傾斜面の傾斜が大きくなる。
【0010】
上述した傾斜構造は、O字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面の最低部が前記靴底の内側に形成される。
さらに、傾斜構造は、X字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面の最低部が前記靴底の外側に形成される。
さらにまた、傾斜構造は、靴底の幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底の内側辺が外側辺に向かって、または、外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角で傾設され、傾斜角は0°<α≦60°の範囲内において靴底の内側辺または外側辺のうち傾斜面の最低部が形成された方の側辺に形成される。
【0011】
別のカテゴリとして、本発明の目的は、上述した靴底を備えることを特徴とする膝関節靴により達成可能である。
このとき、膝関節靴は靴底の傾斜構造と同じ構造で形成された敷底を備えてなる。
さらに別のカテゴリとして、本発明の目的は、敷底が設けられた履物において、敷底は、上述した傾斜構造を有することを特徴とする膝関節靴により達成可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、膝の一部に偏って加えられていた荷重を均一に分散させて退行性膝関節炎の痛症を緩和し、且つ、膝関節炎の発生を未然に防止することができるという効果がある。
また、正常的な下肢骨格アライメントから外れたO字脚とX字脚を持った者の場合には脚の形状に合う靴底を選択し、これを適用した履物が着靴可能であるため湾曲した脚のアライメントを校正することができるという効果がある。これにより、湾曲した脚の形状が校正されて正しい歩行姿勢と正しい身体構造が確立される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
この明細書に添付される図面は本発明の好適な実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想を一層具体的に理解させる役割を果たすものであるため、本発明はこれらの図面に記載の事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【0014】
【図1】O字脚の右側下肢アライメントの正面図
【図2】X字脚の右側下肢アライメントの正面図
【図3】従来の非正常的な下肢アライメント骨格を持った者または退行性膝関節炎を訴える者が着靴する履物の背面図
【図4】本発明の第1の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の幅方向断面図
【図5】本発明の第2の実施形態に従い製作された靴底の分解断面図
【図6】本発明の第2の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の背面図
【図7】本発明の第3の実施形態に従い製作された履物の背面図
【図8】図7に示す履物をO字脚を持った者が着靴して歩行する状態を示す状態図
【図9】本発明の第4の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の斜視図
【図10】本発明の第4の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の底面図
【図11】図10の左側面図
【図12】図10の右側面図
【図13】図10のA−A線断面図
【図14】本発明の第5の実施形態による下部部材の斜視図
【図15】本発明の第5の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の底面図
【図16】図15の左側面図
【図17】図15の右側面図
【図18】図15のB−B線断面図
【図19】図15のC−C線断面図
【図20】図15のD−D線断面図
【図21】本発明の変形例による靴底の左側面図
【図22】本発明の第6の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図
【図23】本発明の第7の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図
【図24】本発明の第8の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図
【図25】本発明の第9の実施形態による敷底を有する膝関節靴の縦断面図
【図26】本発明の第10の実施形態による敷底を有する膝関節靴底の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において説明される内反膝は、膝をまっすぐに伸ばした状態で、ひざの骨をまっすぐ正面に向けまっすぐに立った状態で、両膝の間が開いてOの字に見えるしまう状態のことをいい、俗称O字脚という。また、外反膝は、内反膝と同様に膝をまっすぐに伸ばした状態でひざの骨をまっすぐ正面に向けると、足首関節の間が開いてしまう状態のことをいい、俗称X字脚という。
【0016】
加えて、本発明において説明されるO字脚を持った者は、先天的に下肢骨格アライメントがO字状であるか、あるいは、後天的に下肢骨格アライメントがO字状に変形された者と膝の内側に痛症を訴える者をいずれも含むものとする。また、X字脚を持った者は先天的に下肢骨格アライメントがX字状であるか、あるいは、後天的に下肢骨格アライメントがX字状に変形された者と膝の外側に痛症を訴える者をいずれも含むものとする。
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述する。
【0017】
<靴底の構成>
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の幅方向断面図である。同図に示すように、靴底120と甲皮110を備える履物100の靴底120は、幅方向に区画された傾斜面123aにより形成された上部部材122と下部部材124を備えて傾斜構造で形成される。本発明においては、履物100を着靴する者の下肢骨格アライメントに応じて履物100の内側または外側に向かって傾斜するように傾斜面123aを形成して傾斜構造の靴底120を製作する。
このとき、靴底120の天面100cと底面100dは互いに並ぶように形成される。また、下部部材124は上部部材122よりも硬度(硬さ)が大きい材質から製作される。
【0018】
図4に示すように、傾斜面123aの最低部が靴底120の内側に形成されるように靴底120を製作してO字脚を持った者が着靴できるようにする。すなわち、靴底120付き履物100を履いて歩行をすると、上部部材122の硬度が下部部材124の硬度よりも小さいため、傾斜面123aの最低部が形成された上部部材122の内側変形量が上部部材122の外側変形量を上回ることになる。これにより、足が自然に靴底120の内側に向かって傾く。このように持続的に履物100を履いて歩行をすると、靴底120の内側に向かって足が傾きながらO字脚が校正される。
【0019】
図4とは逆に、傾斜面123aの最低部が靴底120の外側に形成されるように靴底120を製作してX字脚を持った者が着靴できるようにする。上述したように、上部部材122の硬度が下部部材124の硬度よりも小さいため、傾斜面123aの最低部が形成された上部部材122の外側変形量が内側変形量に比べて大きくなる。すなわち、X字脚を持った者が靴底120付き履物100を着靴して歩行する間に自然に靴底120の外側に向かって足が傾いてX字脚が校正される。なお、膝の外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に従い製作された靴底の分解断面図である。図5に示すように、靴底120は、天面100cと底面100dが互いに並ぶように形成され、上部部材122と下部部材124との間には傾斜面123a、123bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材123が介装されて傾斜構造が形成される。このとき、変形部材123は上部部材122と下部部材124とを区画する傾斜面123a、123bと同じ傾斜をもって形成される。すなわち、靴底120の上部から加えられる力により変形部材123の剪断変形が傾斜面123a、123bの方向に引き起こされ、これにより、上部部材122が傾斜面123a、123bに向かって滑りながら履物100を履いた者の足に内側または外側にモーメントが作用するようにして非正常的に変形されていた下肢骨格アライメントが正常的に校正される。このとき、変形部材123は上部部材122に加えられる圧力により柔軟に変形されるゲル状の合成樹脂、ゴム、シリコン、エチレンビニールアセテート(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)、ポリウレタン(PU:Poly Urethane)、クロロプレンゴム(CR:Chloroprene Rubber)、ネオプレンなどから製作されて、変形部材123の剪断変形が傾斜面123aの方向に円滑に起こるようにする。
【0021】
図6は、本発明の第2の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者が着靴する履物の背面図である。図6に示すように、変形部材123は、上部部材122が靴底120の内側に向かって滑り込むように傾設されてO字脚を持った者が着靴できるようにする。このとき、靴底120の天面100cと底面100dは互いに並ぶように形成される。
すなわち、O字脚を持った者が本発明による靴底120付き履物100を履いて地面500を歩行すると、上部部材122は上から押さえる力と柔軟に変形される変形部材123により靴底120の内側に向かって滑り込む。仮想線の上部部材122と変形部材123は、実線のように変形される。O字脚を持った者の足600は変形部材123の変形により靴底120の内側に向かって滑り込みながら下腿を生体の外側に回転させる回転モーメントが発生する。
このモーメントによりO字脚を持った者の左右膝はそれらの間の間隔が狭くなって「||」字状の膝に校正される。また、膝の内側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0022】
図6とは逆に、変形部材123は、上部部材122が靴底120の外側に向かって滑るように傾設されてX字脚を持った者が着靴できるようにする。
すなわち、「X」字脚を持った者が本発明による靴底120付き履物100を履いて地面500を歩行すると、上部部材122は上から押さえる力と柔軟に変形される変形部材123により靴底120の外側に向かって滑る。X字脚を持った者の足600は変形部材123の変形により靴底120の外側に向かって滑りながら下腿を生体の内側に回転させる回転モーメントが発生する。
このモーメントによりX字脚を持った者の左右膝はそれらの間の間隔が広くなって「||」字状の膝に校正される。また、膝の外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0023】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に従い製作された履物の背面図であり、図8は、図7に示す履物をO字脚を持った者が着靴して歩行する状態を示す状態図である。図7及び図8に示すように、靴底120は幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底120の内側辺100aが外側辺100bに向かってまたは外側辺100bが内側辺100aに向かって所定の傾斜角αで傾斜して傾斜構造が形成される。このとき、傾斜角αの範囲は0°<α≦60°であり、靴底120において、傾斜面123a、123bの最低部が形成された方の側辺に形成される。
【0024】
図7に示すように、上部部材122と変形部材123及び下部部材124からなる靴底120は地面500に履物100をおいたときに内側辺100aが外側辺100bに対して傾斜角αで傾斜して傾斜面123a、123bの最低部が靴底120の内側に形成された靴底120付き履物をO字脚を持った者が着靴できるようにする。靴底120の幅方向断面は逆台形状である。傾斜角αはO字脚の湾曲の度合いに応じて調節可能である。傾斜角αが60°を超えると靴底120の内側への変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないようにすることが好ましい。本発明においては、傾斜角αが約15°になるように靴底120を形成している。
【0025】
図8に示すように、靴底120の内側辺100aは外側辺100bに対して傾斜角αで傾設されているため、上部部材122と下部部材124の重心が一致しなくなる結果、上部部材122が変形部材123の傾斜面123a、123bの方向に容易に靴底120の内側に向かって滑り込みながら変形されてしまう。
すなわち、上部部材122が変形部材123の傾斜面123a、123bの方向に滑りながらO字脚を持った者の足600が靴底120の内側に向かって滑り込んで非正常的な下肢骨格アライメントが校正される。
【0026】
図7とは逆に、上部部材122と変形部材123及び下部部材124からなる靴底120は、地面500に履物100をおいたときに外側辺100bが内側辺100aに対して所定の傾斜角αで傾斜して傾斜面123aの最低部が靴底120の外側に形成された靴底120付き履物100をX字脚を持った者が着靴できるようにする。このときの傾斜角αの範囲は0°<α≦60°であり、靴底120の幅方向断面は逆台形状である。傾斜角αが60°を超えると、靴底120の外側への変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないようにすることが好ましい。
【0027】
図8とは逆に、靴底120の外側辺100bは内側辺100aに対して傾斜角αで傾設されているため、上部部材122と下部部材124の重心が一致しなくなる結果、上部部材122が変形部材123の傾斜面123a、123bの方向に容易に靴底120の外側に向かって滑りながら変形される。
すなわち、上部部材122が変形部材123の傾斜面の方向に滑りながらX字脚を持った者の足600が靴底120の外側に向かって滑って非正常的な下肢骨格アライメントが校正される。
【0028】
本発明に従い製作された靴底120は、非正常的な下肢骨格アライメントを正常的に校正して膝関節の一部に集中して加えられる荷重を均一に分散させることができ、膝関節の一部に荷重が集中して加えられながら発生される退行性膝関節炎を予防し、痛症を緩和することができる。
本発明の第3の実施形態に示す傾斜角αを第1の実施形態に適用して断面が逆台形状である靴底120を形成することができる。
【0029】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態によるO字脚を持った者の着靴のための靴底の斜視図であり、図10は、本発明の第4の実施形態によるO字脚を持った者の着靴のための靴底の底面図であり、図11は図10の左側面図である。そして、図12は、図10の右側面図である。図9から図12に示すように、本発明の第4の実施形態による靴底320は、上部部材322、下部部材324、上部部材322と下部部材324との間に介装される変形部材323からなる。
【0030】
本発明の第4の実施形態による靴底320は、図9から図12に示すように、靴底320の底面の一方の側に人間の足裏の中心部に形成されたアーチ部に対応する形状のアーチ状ドームが形成される。このアーチ状ドームは、履物の中心の一方の側、好ましくは、人間の足裏に形成されたアーチ部に対応する位置に形成されることが好ましい。
【0031】
図13は図10のA−A線断面図であり、図14は、本発明の第4の実施形態による下部部材の斜視図である。本発明の第4の実施形態による下部部材324は、図13及び図14に示すように、全体的に底面は地面と並ぶように形成され、天面は靴底320の長手方向に沿ってアーチ状に形成される。また、図13に示すように、幅方向には内側または外側のうち一方の側が他方の側よりも高くなるように傾斜面323a、323bが形成される。これらの傾斜面323a、323bは履物を着靴する者の下肢骨格アライメントに応じて内側または外側が高くなるように形成される。例えば、靴底320の幅方向内側の高さH1 と外側の高さH2 が1:1.5〜1:2の割合、すなわち、内側の高さH1 が1cmであるときに外側の高さH2 は1.5cm〜2cmになるように形成する。このとき、傾斜面323a、323bの方向及び高さは履物を着靴する者の骨格アライメント状態または膝の痛症の度合いに応じて種々に変更することができる。下部部材324は、上部部材322よりも硬度(硬さ)が大きい材質から製作する。
【0032】
また、図13及び図14に示すように、下部部材324の傾斜面323bの最低部が靴底320の内側に形成されるように製作してO字脚を持った者が着靴できるようにする。すなわち、この靴底320付き履物を履いて歩行すると、全体として上部部材322の硬度が下部部材324の硬度よりも小さいため、傾斜面323a、323bの最低部が形成された靴底320の内側変形量が外側変形量よりも大きくなって着用者の足が自然に靴底320の内側に向かって傾く。このように、本発明による靴底320付き履物を持続的に履いて歩行すると、膝と足が生体の内側に向かって傾きながらO字脚が校正される。
【0033】
これとは逆に、X字脚を持った者が着靴するためには下部部材324の傾斜面323bの最低部が靴底320の外側に形成されるように製作する。このように傾斜面323bの最低部が靴底320の外側を向くように形成すると、O字脚を持った者のための靴底320と同じ原理に基づいて着用者の足が靴底320の外側に向かって傾く。
上述した構成を有する靴底320によりO字脚とX字脚が校正されると、膝の内側または外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0034】
本発明の第4の実施形態による変形部材323は、傾斜面323a、323bの傾斜方向に剪断変形を発生させる。このとき、変形部材323は上部部材322と下部部材324とを区画する傾斜面323a、323bと同じ傾斜をもって形成される。すなわち、靴底320の上部から加えられる力により変形部材323が傾斜面323a、323bに沿って滑りながら履物を着靴した者の足の内側または外側にモーメントが作用するようにして非正常的に変形されていた下肢骨格アライメントが一層円滑かつ正常的に校正されるようにする。このような変形部材323の材質としては、ゲル状の合成樹脂、ゴム、シリコン、エチレンビニールアセテート、ポリウレタン、クロロプレンゴムなどを使用する。
【0035】
上述した構成を有する靴底320は、一層円滑な校正のために、図13に示すように、幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底320の内側辺が外側辺に向かってまたは外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角αで傾斜する。このとき、好ましくは、傾斜角αは0°〜60°の範囲内である。この傾斜角αは、履物を着用する者の膝の状態及び痛症の状態に応じて変更可能である。しかしながら、好適な傾斜角αは10°〜20°である。もし、傾斜角が60°を超えると靴底320の変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないようにすることが好ましい。
【0036】
O字脚を持った者が着靴するためには、図13に示すように、内側辺が外側辺に対して傾斜角αで傾斜して上部部材322と下部部材324の重心が一致しなくなる結果、靴底320が変形部材323の剪断変形により一層容易に生体の内側に向かって滑り込むためO字脚が校正される。
【0037】
また、X字脚を持った者が着靴するためには、図13とは逆に、外側辺が内側辺に対して傾斜角αで傾斜する。このように傾斜が形成されると、歩行時に中心が生体の外側に向かって滑るため、X字脚が校正される。
【0038】
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施形態に従い製作された、O字脚を持った者の着靴のための靴底の底面であり、図16は、図15の左側面図であり、そして図17は、図15の右側面図である。図15から図17に示すように、本発明の第5の実施形態による靴底420は、上部部材422、下部部材424、上部部材422と下部部材424との間に介装される変形部材423からなる。
【0039】
図18は、図15のB−B線断面図であり、図19は、図15のC−C線断面図であり、そして図20は、図15のD−D線断面図である。本発明の第5の実施形態による靴底420は、図18から図20に示すように、幅方向に区画された変形部材423により形成された上部部材422と下部部材424を備えて傾斜構造で形成される。本発明においては、履物を着靴する者の下肢骨格アライメントに応じて履物の内側または外側に向かって滑るように変形部材423を形成して傾斜構造の靴底420を製作する。
【0040】
このとき、靴底420の天面と底面、すなわち、上部部材422の天面と下部部材424の底面は互いに並ぶように形成される。また、下部部材424は上部部材422よりも硬度が大きい材質から製作される。
【0041】
図15から図20は、O字脚を持った者が着靴できるように変形部材423の最低部が靴底420の内側に形成されるように靴底420を製作する。すなわち、靴底420付き履物を履いて歩行すると、上部部材422の硬度が下部部材424の硬度よりも小さいため、変形部材423の最低部が形成された上部部材422の内側変形量が上部部材422の外側変形量を上回る結果、足が自然に靴底420の内側に向かって傾く。例えば、靴底420の幅方向内側の高さH3 と外側の高さH4 が1:1.5〜1:2の割合、すなわち、内側の高さH3 が1cmであるときに外側の高さH4 は1.5cm〜2cmになるように形成する。このように持続的に履物を履いて歩行すると、靴底420の内側に向かって足が傾きながらO字脚が校正される。また、膝の校正効果を上げるために、履物の長手方向の前方から後方に進むにつれて傾斜面423a、423bの傾斜が大きくなるように形成してもよい。しかしながら、着靴する者の膝の湾曲度及び膝痛症度に応じて前方の傾斜が一層大きくなるように変更してもよいということはいうまでもない。
【0042】
これとは逆に、X字脚を持った者が着靴するためには変形部材423の最低部が外側に形成されるように靴底420を製作する。このように変形部材423の最低部が靴底420の外側を向くように形成すると、O字脚を持った者のための靴底420と同じ原理に基づいて着用者の足が靴底420の外側に向かって滑ることになる。
【0043】
上述した構成を有する靴底420によりO字脚とX字脚が校正されると、膝の内側または外側に集中していた荷重が膝の全体に分散されて退行性膝関節炎を予防し、その症状を緩和することができる。
【0044】
本発明の第5の実施形態による変形部材423は上部部材422と下部部材424との間に介装されて変形部材423の傾斜方向に剪断変形を発生させる。このとき、変形部材423は履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設される。このように前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く部分に変形部材423を配設する理由は、足が全体的に内側または外側に向かって傾くことにより発生する足首または膝の負担を軽減するためである。このとき、変形部材423は上部部材422と下部部材424とを区画する傾斜面423a、423bと同じ傾斜をもって形成され、履物の長手方向の前方及び後方の両終端からそれぞれ5%〜15%を除く中心領域に配設される。すなわち、靴底420の上部から加えられる力により傾斜方向に滑りながら履物を着靴した者の足の内側または外側にモーメントが作用するようにして非正常的に変形されていた下肢骨格アライメントが一層円滑かつ正常的に校正されるようにする。また、傾斜方向に滑る部分を履物の前方及び後方の終端において受け止めるため、足首及び膝の負担を軽減する。この変形部材423の材質としては、ゲル状の合成樹脂、ゴム、シリコン、エチレンビニールアセテート、ポリウレタン、クロロプレンゴムなどを使用する。
【0045】
上述した構成を有する靴底420は、一層円滑な校正のために、図18から図20に示すように、幅方向の断面が逆台形状を呈するように靴底420の内側辺が外側辺に向かってまたは外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角αで傾斜する。このとき、好ましくは、傾斜角αは0°〜60°の範囲内である。この傾斜角αは、履物を着用する者の膝の状態及び痛症の状態に応じて変更可能である。しかしながら、好適な傾斜角αは10°〜20°である。もし、傾斜角が60°を超えると靴底420の変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないことが好ましい。
【0046】
O字脚を持った者が着靴するためには、図18から図20に示すように、内側辺が外側辺に対して傾斜角αで傾斜して上部部材422と下部部材424の重心が一致しなくなる結果、靴底420が変形部材423の剪断変形により一層容易に生体の内側に向かって滑り込むためO字脚が校正される。
【0047】
また、X字脚を持った者が着靴するためには、図18から図20とは逆に、外側辺が内側辺に対して傾斜角αで傾斜する。このように傾斜が形成されると、歩行時に中心が生体の外側に向かって滑るため、X字脚が校正される。
【0048】
(変形例)
図21は、本発明の変形例による靴底の左側面図である。図21に示すように、本発明による靴底320、420の変形部材323、423は、人間の足裏のアーチ状、履物の全体形状だけではなく、着靴する者の健康状態、膝の変形状態に応じて種々に変更することができる。
【0049】
<膝関節靴の構成>
通常の履物、好ましくは、膝関節靴の靴底に上述した本発明の第1の実施形態による靴底120から第5の実施形態による靴底420を各種の接着剤や製縫などの方法を用いて結合する。このような履物を履いて歩行することにより、別途の施術をすることなくO字脚またはX字脚を「II」字状に校正することができる。
本発明による膝関節靴は、敷底250、750、850をさらに備えていてもよい。このような敷底250、750、850の構成は、下記の通りである。
【0050】
(第6の実施形態)
図22は、本発明の第6の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図である。図22に示すように、甲皮210の底面に靴底220が貼着され、甲皮210の内部には敷底250が設けられる履物200において、敷底250は幅方向に区画された傾斜面253aにより形成された上部部材252と下部部材254を備えてなる。すなわち、上述した第1の実施形態と同じ傾斜構造で敷底250を形成する。図22は、O字脚を持った者が着靴する履物の断面を示しているが、傾斜面253aの最低部が履物200の内側または外側に形成されてO字脚を持った者またはX字脚を持った者が履物200に設けて着靴する。また、第1の実施形態と同様に、上部部材252と下部部材254の硬度を異ならせて製作する。
このとき、靴底220は通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態から第5の実施形態による靴底120、320、420、720、820を使用してもよい。
【0051】
(第7の実施形態)
図23は、本発明の第7の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図である。図23に示すように、敷底250は、上部部材252と下部部材254との間に傾斜面253a、253bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材253がさらに介装されてなる。すなわち、上述した第2の実施形態と同じ傾斜構造で敷底250を形成する。図23は、O字脚を持った者が着靴する履物の断面を示しているが、傾斜面253a、253bの最低部が履物200の内側または外側に形成されてO字脚を持った者またはX字脚を持った者が履物200に設けて着靴する。
このとき、靴底220としては通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態から第5の実施形態による靴底120、320、420、720、820を使用してもよい。
【0052】
(第8の実施形態)
図24は、本発明の第8の実施形態に従い製作された履物の幅方向断面図である。図24に示すように、敷底250は、幅方向断面が逆台形状を呈するように敷底250の内側辺200aが外側辺200bに向かって、または外側辺200bが内側辺200aに向かって所定の傾斜角αで傾斜した傾斜構造で形成される。このとき、傾斜角αの範囲は0°<α≦60°であり、傾斜面253a、253bの最低部が形成された側辺に形成される。
すなわち、上述した第3の実施形態と同様に、傾斜角α付き傾斜構造で敷底250を形成する。図24は、O字脚を持った者が着靴する履物の断面を示しているが、傾斜面253a、523bの最低部が履物200の内側または外側に形成されてO字脚を持った者またはX字脚を持った者が履物200に設けて着靴する。
このとき、靴底220としては通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態から第5の実施形態による靴底120、320、420、720、820を使用してもよい。
なお、本発明の第8の実施形態と同じ傾斜角αを第6の実施形態に適用して断面が逆台形状を呈する敷底250を形成してもよい。
【0053】
(第9の実施形態)
図25は、本発明の第9の実施形態による敷底付き膝関節靴の縦断面図である。本発明の第9の実施形態による敷底750は、幅方向に区画された傾斜面により形成された上部部材752、下部部材754、上部部材752と下部部材754との間に介装されて傾斜面753a、753bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材753を備える。すなわち、第4の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420の傾斜構造と同じ傾斜構造で敷底750を形成する。このような敷底750の傾斜構造は、本発明の第4の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420の傾斜構造と同様に、着用する者の膝の状態、痛症度などを考慮して種々に変更することができる。
この敷底750は靴底と同じ傾斜構造を有するように形成されて、履物700を着靴したときに校正効果及び退行性膝関節炎の予防と症状の緩和効果を得ることができる。
第9の実施形態による履物700の靴底720としては、通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420を使用してもよい。
ここで、未説明符号710は履物の甲皮を示す。
【0054】
(第10の実施形態)
図26は、本発明の第10の実施形態による敷底付き膝関節靴の縦断面図である。本発明の第10の実施形態による敷底850は、図26に示すように、全体として第9の実施形態による敷底850と同様に、幅方向に区画された傾斜面により形成された上部部材852、下部部材854、上部部材852と下部部材854との間に介装されて傾斜面853a、853bに沿って剪断変形を引き起こす変形部材853を備える。また、幅方向断面が逆台形状を呈するように敷底850の内側辺が外側辺に向かって、または外側辺が内側辺に向かって所定の傾斜角αで傾斜した傾斜構造で形成される。このとき、傾斜角αは第4の実施形態による靴底320または第5の実施形態による靴底420の傾斜角と同様に0°〜60°の範囲内であることが好ましい。この傾斜角αは、履物800を着用する者の膝の状態及び痛症の状態に応じて変更可能である。しかしながら、好適な傾斜角αは10°〜20°である。もし、傾斜角が60°を超えると敷底850の変化があまりにも激しくなるため傾斜角αは60°を超えないことが好ましい。
第10の実施形態による履物800の靴底820としては、通常の靴底を使用してもよく、本発明の第1の実施形態または第5の実施形態による靴底320、420を使用してもよい。
ここで、未説明符号810は履物の甲皮を示す。
【0055】
以上述べたように、本発明が属する技術分野における当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態にて実施可能であるということが理解できるであろう。よって、上述した実施形態はあらゆる面で例示的なものに過ぎず、限定的なものとして解釈されてはならない。本発明の範囲は、詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって開示され、特許請求範囲の意味及び範囲、ならびに等価概念から導き出されるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈される必要がある。
【符号の説明】
【0056】
1:O字脚を持った者の下肢アライメント、
3:大腿骨頭中心、
5:距骨頭中心、
7:膝関節中心、
9:X字脚を持った者の下肢アライメント、
10:従来の履物、
12:従来の履物の甲皮、
14:従来の履物の靴底、
50:機械軸、
70:湾曲軸、
100、200、700、800:履物、
100a、200a:内側辺、
100b、200b:外側辺、
100c:天面、
100d:底面、
110、210、710、810:甲皮、
120、220、320、420、720、820:靴底、
122、322、422:上部部材、
123、323、423:変形部材、
123a、123b、323a、323b、423a、423b:傾斜面、
124、324、424:下部部材、
250、750、850:敷底、
252、752、852:敷底の上部部材、
253、753、853:敷底の変形部材、
253a、253b、753a、753b、853a、853b:敷底の傾斜面、
254、754、854:敷底の下部部材、
500:地面、
600:足
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物(100、200、700、800)の底面に貼着される靴底(120、220、320、420、720、820)において、
前記靴底(120、220、320、420、720、820)は、
幅方向に形成された傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)により区画された上部部材(122、322、422)と下部部材(124、324、424)を備えてなる傾斜構造であることを特徴とする傾斜面を有する靴底。
【請求項2】
前記上部部材(122、322、422)の天面(100c)と前記下部部材(124、324、424)の底面(100d)が互いに並ぶように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項3】
前記傾斜構造は、前記上部部材(122、322、422)の硬度が前記下部部材(124、324、424)の硬度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項4】
前記傾斜構造は、前記上部部材(122、322、422)と前記下部部材(124、324、424)との間に前記傾斜面(123a、323a、323b、423a、423)に沿って剪断変形を引き起こす変形部材(123、323、423)がさらに介装されてなることを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項5】
前記変形部材(123、323、423)は、履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設されることを特徴とする請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項6】
前記傾斜構造は、足裏中心部に形成されたアーチ部に対応するアーチ形状を呈することを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項7】
前記傾斜構造は、履物の長手方向の前方から後方に進むにつれて傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の傾斜角が増加することを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項8】
前記傾斜構造は、
O字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の最低部が前記靴底(120、220、320、420、720、820)の内側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項9】
前記傾斜構造は、
X字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の最低部が前記靴底(120、220、320、420、720、820)の外側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項10】
前記傾斜構造は、
前記靴底(120、320、420)の幅方向の断面が逆台形状を呈するように前記靴底(120、320、420)の内側辺(100a)が外側辺(100b)に向かって所定の傾斜角(α)で傾設されるか、あるいは、前記外側辺(100b)が前記内側辺(100a)に向かって所定の傾斜角(α)で傾設され、且つ、前記傾斜角(α)は0°<α≦60°の範囲であり、前記靴底(120、320、420)の内側辺(100a)または外側辺(100b)のうち前記傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の最低部が形成された方の側辺に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項11】
請求項10に記載の靴底(120、320、420)を備えることを特徴とする膝関節靴。
【請求項12】
前記膝関節靴は、前記靴底(120、320、420)の前記傾斜構造と同じ構造で形成された敷底を備えてなることを特徴とする請求項11に記載の膝関節靴。
【請求項13】
敷底(250、750、850)付き履物(200、700、800)において、前記敷底(250、750、850)は、請求項10に記載の傾斜構造を有することを特徴とする膝関節靴。
【請求項1】
履物(100、200、700、800)の底面に貼着される靴底(120、220、320、420、720、820)において、
前記靴底(120、220、320、420、720、820)は、
幅方向に形成された傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)により区画された上部部材(122、322、422)と下部部材(124、324、424)を備えてなる傾斜構造であることを特徴とする傾斜面を有する靴底。
【請求項2】
前記上部部材(122、322、422)の天面(100c)と前記下部部材(124、324、424)の底面(100d)が互いに並ぶように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項3】
前記傾斜構造は、前記上部部材(122、322、422)の硬度が前記下部部材(124、324、424)の硬度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項4】
前記傾斜構造は、前記上部部材(122、322、422)と前記下部部材(124、324、424)との間に前記傾斜面(123a、323a、323b、423a、423)に沿って剪断変形を引き起こす変形部材(123、323、423)がさらに介装されてなることを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項5】
前記変形部材(123、323、423)は、履物の長手方向の前方及び後方の両終端から所定の間隔を除く残りの部分に配設されることを特徴とする請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項6】
前記傾斜構造は、足裏中心部に形成されたアーチ部に対応するアーチ形状を呈することを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項7】
前記傾斜構造は、履物の長手方向の前方から後方に進むにつれて傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の傾斜角が増加することを特徴とする請求項1に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項8】
前記傾斜構造は、
O字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の最低部が前記靴底(120、220、320、420、720、820)の内側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項9】
前記傾斜構造は、
X字脚を持った者の着用のために幅方向に形成された傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の最低部が前記靴底(120、220、320、420、720、820)の外側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項10】
前記傾斜構造は、
前記靴底(120、320、420)の幅方向の断面が逆台形状を呈するように前記靴底(120、320、420)の内側辺(100a)が外側辺(100b)に向かって所定の傾斜角(α)で傾設されるか、あるいは、前記外側辺(100b)が前記内側辺(100a)に向かって所定の傾斜角(α)で傾設され、且つ、前記傾斜角(α)は0°<α≦60°の範囲であり、前記靴底(120、320、420)の内側辺(100a)または外側辺(100b)のうち前記傾斜面(123a、323a、323b、423a、423b)の最低部が形成された方の側辺に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の傾斜面を有する靴底。
【請求項11】
請求項10に記載の靴底(120、320、420)を備えることを特徴とする膝関節靴。
【請求項12】
前記膝関節靴は、前記靴底(120、320、420)の前記傾斜構造と同じ構造で形成された敷底を備えてなることを特徴とする請求項11に記載の膝関節靴。
【請求項13】
敷底(250、750、850)付き履物(200、700、800)において、前記敷底(250、750、850)は、請求項10に記載の傾斜構造を有することを特徴とする膝関節靴。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2011−520548(P2011−520548A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510428(P2011−510428)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002670
【国際公開番号】WO2009/142442
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510303512)イントゥス エイチシーエヌ コーポレイション リミテッド. (2)
【氏名又は名称原語表記】INTOOS HCN CORPORATION LTD.
【住所又は居所原語表記】302, Donghyun Bldg.190−5 Garak−dong Songpa−gu Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002670
【国際公開番号】WO2009/142442
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(510303512)イントゥス エイチシーエヌ コーポレイション リミテッド. (2)
【氏名又は名称原語表記】INTOOS HCN CORPORATION LTD.
【住所又は居所原語表記】302, Donghyun Bldg.190−5 Garak−dong Songpa−gu Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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