説明

充填バルブのベントチューブ検査治具

【課題】作業者に依存することなく、同一な検査結果の得られる充填バルブのベントチューブ検査治具を提供する。
【解決手段】充填バルブに設けられ、容器に挿入される管部3と、管部3に対して突出する鍔部4と、充填バルブに取り付けるための取付部5と、を有するベントチューブ2を検査する充填バルブのベントチューブ検査治具1であって、ベントチューブ検査治具1は筒状に形成され、一端側には、管部3及び鍔部4を挿入して、嵌め合わせの可否により管部3の歪みを検査する歪み検査部11が設けられ、他端側には、取付部5を挿入して取付部5の軸線AX1方向の寸法を検査する寸法検査部12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に飲料を充填する充填バルブに設けられたベントチューブの外形を検査する充填バルブのベントチューブ検査治具に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に飲料を充填する充填バルブには、ベントチューブが設けられ、容器内の空気を二酸化酸素ガスに置換しつつ、フィラーチャンバー内の圧力と容器内の圧力とのバランスにより飲料の充填が行われている。(例えば、特許文献1参照。)。この圧力バランスにより、容器に挿入されたベントチューブの先端まで飲料が充填される。このように、容器の充填量はベントチューブの先端位置により調整されているため、ベントチューブが曲がっていないか、あるいは、ベントチューブの寸法が規定内か否かを検査する必要がある。管を検査する治具として、例えば、管を挿入して管端部の曲がりを検査するゲージが知られている(特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−313928号公報
【特許文献2】実開昭61−72607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のゲージは管端部の曲がりを検査するものであり、ベントチューブの寸法やストレート性を検査することはできない。ベントチューブの検査には、作業者が個々に寸法を計測したりストレート性を判断したりしているため、作業者毎に誤差が生じ、検査結果がばらつくおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は作業者に依存することなく、同一な検査結果の得られる充填バルブのベントチューブ検査治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充填バルブのベントチューブ検査治具は、充填バルブに設けられ、容器に挿入される管部(3)と、前記管部に対して突出する鍔部(4)と、前記充填バルブに取り付けるための取付部(5)と、を有するベントチューブ(2)を検査する充填バルブのベントチューブ検査治具(1)であって、前記ベントチューブ検査治具は筒状に形成され、一端側には、前記管部及び前記鍔部を挿入して、嵌め合わせの可否により前記管部の歪みを検査する歪み検査部(11)が設けられ、他端側には、前記取付部を挿入して前記取付部の軸線(AX1)方向の寸法を検査する寸法検査部(12)が設けられていることにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の充填バルブのベントチューブ検査治具によれば、歪み検査部では管部及び鍔部を挿入することで、嵌め合わすことのできないベントチューブが不良のベントチューブとして判断される。寸法検査部では、取付部を挿入して取付部の寸法が規定内か否かが判断される。このように簡単な手順でベントチューブの検査をすることができ、この検査治具を用いることにより作業者によらずに同一の検査結果を得ることができる。また、ベントチューブの管部の歪みと取付部の寸法とがひとつの検査治具で検査できるので、取り扱いも簡便となる。
【0008】
本発明のベントチューブ検査治具の一形態において、前記歪み検査部には、前記管部が嵌め合わされる管挿入部(13)と、前記鍔部が嵌め合わされる鍔挿入部(14)と、が設けられ、前記管挿入部及び前記鍔挿入部は、同軸に設けられて前記鍔部に対して前記管部がその軸線(AX1)方向に延びる正常なベントチューブの管部及び鍔部が挿入可能に設けられていてもよい。この形態によれば、管部が歪んだベントチューブを管挿入部に挿入すると、管挿入部への挿入途中で挿入できなくなるか、あるいは、鍔挿入部に鍔部が引っ掛かって、管部及び鍔部を歪み検査部に嵌め合わせることができない。簡易な構成で作製することができ、歪み検査部に管部及び鍔部を挿入するだけで管部の歪みを検査することができる。
【0009】
本発明のベントチューブ検査治具の一形態において、前記寸法検査部には、前記寸法と同じ奥行を有する凹部(15)が設けられていてもよい。この形態によれば、凹部に取付部を挿入すると、正常なベントチューブであれば、凹部の端部と取付部の端部とが同一平面上に位置することになる。異常があれば、凹部の端部に対して取付部の端部にずれが生じるので、簡単に取付部の寸法が規定内か否かを判断することができる。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように、本発明の充填バルブのベントチューブ検査治具においては、歪み検査部では管部及び鍔部を挿入することで、嵌め合わすことのできないベントチューブが不良のベントチューブとして判断される。寸法検査部では、取付部を挿入して取付部の寸法が規定内か否かが判断される。このように簡単な手順でベントチューブの検査をすることができ、この検査治具を用いることにより作業者によらずに同一の検査結果を得ることができる。また、ベントチューブの管部の歪みと取付部の寸法とがひとつの検査治具で検査できるので、取り扱いも簡便となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に本発明の一形態に係る充填バルブのベントチューブ検査治具の断面図を示し、図2にベントチューブの正面図を示す。ベントチューブ検査治具1は、ベントチューブ2の外形を検査する治具である。ベントチューブ2は、容器に飲料を充填する充填装置に設けられる充填バルブを構成する一部材で、容器に挿入して容器内の空気を二酸化炭素ガス等からなる置換ガスと置換するための管である。ベントチューブ2は、容器に挿入される管部3と、管部3に対して突出する鍔部4と、充填バルブに取り付けられる取付部5とを備えている。ベントチューブ2の軸線AX1に対して管部3が曲がっていると、管部3の先端位置の高さが変化して容器への充填量が変動し、また、取付部5の寸法が規定外となっても管部3の先端位置の高さが変わるため同様に容器への充填量が変動することになる。
【0013】
管部3は、所定の外径d1を有するストレート管状で、その先端部3aが容器に挿入される。飲料の充填は、充填装置に設けられるフィラーチャンバー内の圧力と容器内の圧力とのバランスにより行われ、この圧力バランスにより先端部3aが位置する高さまで容器内に飲料が充填されることになる。鍔部4は、管部3と取付部5との間に設けられ、ベントチューブ2の軸線AX1と垂直な方向に広がる鍔4aを有する。鍔部4は、一部を欠いた円形に広がる。なお、鍔部4は単に円形に広がっていてもよい。取り付けられる充填バルブにより、形状は適宜変更される。取付部5の形状も取り付けられる充填バルブによる。本形態では、取付部5は、軸線AX1と同軸に設けられ、外径d3を有する円筒形状で、その側面の両端が管部3の外径d1の幅で平行にカットされている。ベントチューブ2には、置換ガスが流れる流路6が軸線AX1に沿って管部3の先端部3aと取付部5の上端とを結ぶように形成される。管部3、鍔部4及び取付部5は、互いに同軸に設けられている。
【0014】
ベントチューブ検査治具1は、筒状で、その一端側には、管部3及び鍔部4を挿入して嵌め合わせの可否によりベントチューブ2の管部3の歪みを検査する歪み検査部11が設けられ、他端側には、取付部5を挿入して取付部5の軸線AX1の方向の寸法h1を検査する寸法検査部12が設けられている。歪み検査部11は、管部3の外径d1よりも若干大きい内径d4を有する管挿入部13と、その外側、つまり端部側に鍔部4の外径d2よりも若干大きい内径d5を有する鍔挿入部14とを備えている。歪み検査部11の内径d4と管部3の外径d1との差として、管挿入部13に管部3が嵌め合い可能な程度の隙間が設けられていればよい。内径d5と鍔部4の外径d2との関係も同様である。この隙間は、管部3に要求されるストレート性に応じて設定してよい。
【0015】
寸法検査部12は、取付部5の外径d3よりも若干大きい内径d6を有し、かつ取付部5の軸線AX1方向の寸法h1と同一の長さを有する奥行h2を有する円筒形状に凹んだ凹部15を備えている。寸法検査部12の内径d6と取付部5の外径d3との差として、凹部15に取付部5が抜き差し可能な程度の隙間が設けられていればよい。管挿入部13、鍔挿入部14及び凹部15は、ベントチューブ検査治具1の軸線AX2に対して同軸に設けられている。管挿入部13は、凹部15に対して貫通していてもよい。ベントチューブ検査治具1は、金属や樹脂等の材質で、一体的に形成される。なお、管挿入部13、鍔挿入部14及び凹部15は、挿入されるベントチューブ2の形状に応じた嵌め合い可能な形状にしてよい。
【0016】
ベントチューブ検査治具1の検査方法を説明する。ベントチューブ2の歪みの検査には、歪み検査部11が用いられる。ベントチューブ2の管部3の先端部3aを鍔挿入部14を介して管挿入部13に挿入し、鍔挿入部14の底面14aと鍔部4の鍔4aが接触するまで挿入された場合、正常な管部3を有するベントチューブ2として判断する。一方、図3に示すように、軸線AX1に対して管部3の軸線が歪んだベントチューブ2aは、歪み検査部11に挿入すると鍔挿入部14で鍔部4が引っ掛かり底面14aまで鍔部4を挿入することができない。あるいは、管挿入部13の途中で管部3が挿入できなくなる。このように、歪み検査部11に管部3を挿入して、鍔挿入部14の底面14aまで鍔部4を挿入できない場合、不良のベントチューブ2として判断する。管部3は曲がっていなくても鍔部4に対して曲がっており、図3のように軸線AX1に対して管部3の軸線がずれているようなベントチューブ2についても本発明のベントチューブ検査治具1にて不良として判断することができる。
【0017】
ベントチューブ2の取付部5の寸法検査には、寸法検査部12が用いられる。取付部5を凹部15に挿入して、取付部5の下面5aと寸法検査部12の端部12aとが、同一平面上にある場合、正常な取付部5を有するベントチューブ2として判断する。一方、取付部5を挿入して、寸法検査部12の端部12aよりも下面5aが高かったり、低かったりすれば、不良のベントチューブ2として判断する。
【0018】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、取付部5の寸法h1と凹部15の奥行h2とが同一の長さであるとして説明したがこれに限られない。例えば、凹部15に目印を設けて取付部5の寸法h1を判断してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一形態に係る充填バルブのベントチューブ検査治具の断面図。
【図2】ベントチューブの正面図。
【図3】管部が歪んだベントチューブの一例を示す図。
【符号の説明】
【0020】
1 ベントチューブ検査治具
2 ベントチューブ
3 管部
4 鍔部
5 取付部
11 歪み検査部
12 寸法検査部
AX 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填バルブに設けられ、容器に挿入される管部と、前記管部に対して突出する鍔部と、前記充填バルブに取り付けるための取付部と、を有するベントチューブを検査する充填バルブのベントチューブ検査治具であって、
前記ベントチューブ検査治具は筒状に形成され、一端側には、前記管部及び前記鍔部を挿入して、嵌め合わせの可否により前記管部の歪みを検査する歪み検査部が設けられ、他端側には、前記取付部を挿入して前記取付部の軸線方向の寸法を検査する寸法検査部が設けられていることを特徴とする充填バルブのベントチューブ検査治具。
【請求項2】
前記歪み検査部には、前記管部が嵌め合わされる管挿入部と、前記鍔部が嵌め合わされる鍔挿入部と、が設けられ、前記管挿入部及び前記鍔挿入部は、同軸に設けられて前記鍔部に対して前記管部がその軸線方向に延びる正常なベントチューブの管部及び鍔部が挿入可能に設けられていることを特徴する請求項1に記載のベントチューブ検査治具。
【請求項3】
前記寸法検査部には、前記寸法と同じ奥行を有する凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベントチューブ検査治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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