説明

充填バルブ

【課題】弁を開閉するための外部駆動装置が不要、流路の妨げになる部品が少ない、電気信号がONになってから弁が開くまでのタイムラグがない、可動部や弁本体のシールが不要、メンテナンスや調整が楽、構造が単純で衛生性が良い充填バルブを提供する。
【解決手段】充填バルブ1は、液体を容器に充填する液体充填装置が液体の供給を制御する位置に配設される充填バルブ1であって、充填バルブ1は、垂直筒状バルブ本体2と、バルブ本体2の下端開口3の径より大きい径を有する球状の磁性体プラグ4と、磁性体プラグ4の近傍に配設された電磁石5からなり制御手段6からの信号により電磁石5の磁力により磁性体プラグ4を移動させ、開口3を開閉する開閉手段7とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性食品などの液体食品を容器に充填する液体充填装置に用いられる充填バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースや牛乳などの液体食品などを充填する容器は、充填バルブを備え、その空容器に液体を定量ずつ充填する液体定量充填装置を用いて得られる。
【0003】
液体充填装置の充填バルブ9では、図2に示すように、垂直筒状バルブ本体2と、バルブ本体2の下端開口を開閉するプラグ10を下端に有する昇降ロッドと、一端に昇降ロッドの上端が連結されている開閉レバーと、開閉レバーの他端に連結されている作動ロッドと、これらを駆動する駆動装置を有している。(特許文献1参照)
充填バルブ9は、図3に示す封止前に開口部13を有する紙容器12であって、リフト11で上昇する容器12の開口部13に液体食品を充填する。
液体食品用バルブとして、弁本体にダイアフラムやシーリングガスケットを使用したポペット式バルブ、回転式ボールバルブやバタフライバルブ等があり、いずれも自動機械ではカム・リンク機構やエアシリンダー等で駆動され、主に、ポペット式バルブが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−97188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の液体充填装置の充填バルブのポペット式バルブには下記の問題がある。
このバルブの弁を開閉するために、外部にエアシリンダー等の駆動装置が必要である。内部の弁の開放時、弁本体やサポート部が流路の妨げになるおそれがある。また、駆動装置の電気信号がONになってからの弁の動作までにタイムラグがあり、即答性に劣る。しかも、可動部や弁本体のシールが必要となって、メンテナンスや調整に手間が掛かるなどの不都合がある。
【0006】
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、弁を開閉するための外部駆動装置が不要であり、流路の妨げになる部品が少なく、電気信号がONになってから弁が開くまでのタイムラグが短く、可動部や弁本体のシールが不要であって、メンテナンスや調整が楽、構造が単純で衛生性が良い充填バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決する本発明の充填バルブは、液体を容器に充填する液体充填装置が液体の供給を制御する位置に配設される充填バルブであって、
充填バルブは、垂直筒状バルブ本体と、バルブ本体の下端の円形開口(弁座)の径より大きい径を有し、円形開口を塞ぐ球状の磁性体プラグと、磁性体プラグの近傍に配設された電磁石からなり制御手段からの信号により電磁石の磁力により磁性体プラグを移動させ、開口を開閉する開閉手段とからなる、
ことを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様において、電磁石が磁性体プラグの直上に配置されている、若しくは、電磁石が磁性体プラグの側方に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
以上の本発明によれば、以下の有利な作用を奏し顕著な効果が得られる。
この発明において、液体食品を容器に充填する液体充填装置が充填バルブを備え、充填バルブは、液体の供給を制御する位置に配設される。制御される充填バルブによって、液体食品を容器に注入し、所定量の注入後に注入を止めることができる。
【0010】
この発明による充填バルブは、垂直筒状バルブ本体と、バルブ本体の下端の円形開口(弁座)の径より大きい径を有し、円形開口を塞ぐ球状の磁性体プラグと、磁性体プラグの近傍に配設された電磁石からなり制御手段からの信号により電磁石の磁力により磁性体プラグを移動させ、開口を開閉する開閉手段とからなる。
垂直筒状バルブ本体では、充填されるべき液体食品が自重で直線的に抵抗なく流されることができる。
バルブ本体の下端に円形開口を有するので、この開口から液体食品が自重で抵抗なく吐出される。円形開口の径は、弁となる球状磁性体プラグの径より小さいので、球状磁性体プラグがこの開口を塞ぐことができる。しかも、開口の形状が円形であり、磁性体プラグが球状であることから、塞がれた状態で、隙間なく塞ぐことができて漏れをなくすることもできる。
【0011】
この発明による、開閉手段は、磁性体プラグの近傍に配設された電磁石からなる。この電磁石は、制御手段からの信号により、電磁石が磁力線を発生し、その磁力により磁性体プラグを引き寄せたり、また、自重によって開口に戻って移動させ、開口を開閉することができる。
制御手段が信号を発して、電磁石を起動させ、瞬時に、磁性体プラグに磁力を及ぼすことができる。
【0012】
この発明の好ましい態様において、電磁石が磁性体プラグの直上に配置されている、若しくは、電磁石が磁性体プラグの側方に配置されている。
これらの態様において、電磁石が励起されると磁性体プラグが直上に、若しくは側壁方向に移動し開口の弁座を容易に開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、この発明による第1の実施例の充填バルブが使用される態様を説明する断面図である。
【図2】図2は、液体定量充填装置に用いられる従来の充填バルブの断面図である。
【図3】図3は、充填前の包装容器例(A)及び、充填封止後の包装容器例(B)の斜視図である。
【図4】図4は、この発明による第2の実施例の充填バルブが使用される態様を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す第1の実施例の形態において、液体食品を容器に充填する液体充填装置が充填バルブ1を備え、充填バルブ1は、液体の供給を制御する位置(充填されるべき容器開口部)に配設される。
このように制御される充填バルブ1によって、液体食品を容器(図1に図示せず)に注入し、所定量の注入後に注入を止めることができる。
【0015】
この形態による充填バルブ1は、垂直筒状バルブ本体2と、バルブ本体2の下端2aの円形開口3(弁座)の径より大きい径を有し、図1(A)に示すように円形開口3を塞ぐ球状の磁性体プラグ4と、磁性体プラグ4の近傍直上に配設された電磁石5からなり、制御手段6からの信号により電磁石5の磁力により磁性体プラグ4を、図1(B)に示すように、上方に移動させ、開口3を開閉する開閉手段7とからなる。
【0016】
図1(B)に示すように、磁性体プラグ4が上方に移動し開口3を開くと、垂直筒状バルブ本体を介して、充填されるべき液体食品が自重で直線的に抵抗なく流される。
この形態では、バルブ本体2の下端2aに円形開口3を有する。図1(B)に示すように、この開口3から液体食品が自重で抵抗なく吐出される。円形開口3の径は、弁となる球状磁性体プラグ4の径より小さいので、球状磁性体プラグ4がこの開口3を塞ぐことができる。しかも、開口3の形状が円形であり、磁性体プラグ4が球状であることから、塞がれた状態で、図1(A)に示すように、隙間なく塞ぐ。
【0017】
この形態による、開閉手段7は、磁性体プラグ4の近傍に配設された電磁石5からなる。この電磁石5は、制御手段6からの信号により、電磁石5が磁力線を発生し、図1(B)に示すように、その磁力により磁性体プラグ4を引き寄せ、また、図1(A)に示すように、自重によって開口3に戻って移動させ、開口を開閉する。
制御手段6は信号を発して、電磁石5を起動させ、瞬時に、磁性体プラグ4に磁力を及ぼす。
【0018】
この図1に示す形態において、電磁石5が磁性体プラグ4の直上に配置されている。
この態様において、電磁石が励起されると磁性体プラグが直上に、移動し開口の弁座を容易に開く。
【0019】
図4に示す第2の実施例の形態において、液体充填装置が充填バルブ1を備え、充填バルブ1は、充填されるべき容器開口部(図示せず)に配設される。
このように制御される充填バルブ1によって、液体食品を容器に注入し、所定量の注入後に注入を止めることができる。
【0020】
この形態による充填バルブ1は、垂直筒状バルブ本体2と、バルブ本体2の下端2aの円形開口3(弁座)の径より大きい径を有し、図4(A)に示すように円形開口3を塞ぐ球状の磁性体プラグ4と、磁性体プラグ4の近傍側壁に配設された電磁石5からなり、制御手段6からの信号により電磁石5の磁力により磁性体プラグ4を、図4(B)に示すように、側方に移動させ、開口3を開閉する開閉手段7とからなる。
【0021】
図4(B)に示すように、磁性体プラグ4が側方に移動し開口3を開くと、垂直筒状バルブ本体を介して、充填されるべき液体食品が自重で直線的に抵抗なく流される。
この形態では、バルブ本体2の下端2aに円形開口3を有する。図4(B)に示すように、この開口3から液体食品が自重で抵抗なく吐出される。円形開口3の径は、弁となる球状磁性体プラグ4の径より小さいので、球状磁性体プラグ4がこの開口3を塞ぐことができる。しかも、開口3の形状が円形であり、磁性体プラグ4が球状であることから、塞がれた状態で、図4(A)に示すように、隙間なく塞ぐ。すなわち、ラムネびんのようにコーン状の流路にボールが自重で栓をした状態となる。
【0022】
この形態による、開閉手段7は、磁性体プラグ4の近傍側壁に配設された電磁石5からなる。この電磁石5は、制御手段6からの信号により、電磁石5が磁力線を発生し、図4(B)に示すように、その磁力により磁性体プラグ4を側方に引き寄せ、また、図4(A)に示すように、自重によって開口3に戻って移動させ、開口を閉める。
制御手段6は信号を発して、電磁石5を起動させ、瞬時に、磁性体プラグ4に磁力を及ぼす。
【0023】
この図4に示す形態において、電磁石5が磁性体プラグ4の側方本体2の側壁に配置されている。
この態様において、電磁石が励起されると磁性体プラグが側壁方向に、移動し開口の弁座を容易に開く。
【0024】
バルブの全ての部品はステンレススチール又はポリテトラフルオロエチレン(フッ化炭素樹脂)樹脂等の材質で作られている。食品規格の継手を使用し、分解洗浄が容易に行うことができる。
磁性体とは、平易には磁性を帯びる事が可能な物質であり、専門的には反磁性体・常磁性体・強磁性体の3つに分けられるので、すべての物質が磁性体であるといえるが、普通は強磁性体のみを磁性体と呼ぶ。
【0025】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装容器で包装充填する製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ・・ 充填バルブ
2 ・・ 垂直筒状バルブ本体
3 ・・ 円形開口(弁座)
4 ・・ 磁性体プラグ
5 ・・ 電磁石
6 ・・ 制御手段
7 ・・ 開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を容器に充填する液体充填装置が液体の供給を制御する位置に配設される充填バルブであって、
該充填バルブは、垂直筒状バルブ本体と、該バルブ本体の下端開口の径より大きい径を有する球状の磁性体プラグと、該磁性体プラグの近傍に配設された電磁石からなり制御手段からの信号により該電磁石の磁力により該磁性体プラグを移動させ、該開口を開閉する開閉手段とからなる、
ことを特徴とする充填バルブ。
【請求項2】
前記電磁石が前記磁性体プラグの直上に配置されている、請求項1記載の充填バルブ。
【請求項3】
前記電磁石が前記磁性体プラグの側方に配置されている、請求項1記載の充填バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−140346(P2011−140346A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97019(P2010−97019)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】