説明

充填包装機における充填ノズル

【課題】 充填装置において、ダーツ(縦ロールによるしわ)の発生を有効に防止する。
【解決手段】 充填装置1の充填ノズル11を差し込んで被内容物を充填して後、更に横シール装置8により封着して包装袋を連続して形成する充填包装機1における充填装置1の充填ノズル11であって、袋状となる包装フィルムの幅方向に延びる支持部12とその先端において垂直方向に屈曲した差込み部13とからなる管状で全体がほぼ下向きのL字形を呈するとともに、前記支持部を中心として差込み部13が前後方向に揺動可能に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の帯状フィルムをヒートシールすることにより袋状として内容物を充填した包装袋を連続して製造する充填包装機に設置される充填装置を構成する充填ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体などの流動可能な商品について、巻回した長尺の帯状フィルムを筒状に形成した包装袋に充填して開口部を密封し、切り分けるという各工程を順次連動させて自動的に包装を行うようにした充填包装機が用いられており、特開昭62−16311号公報、特開平3−148434号公報を始めとして多数の技術が提示されている。
【0003】
この充填包装機は、包装フィルム原反から長尺で帯状のフィルムを連続的に取り出し、フイルム折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに横シール装置によりフィルムを横方向にシールして袋状としこれに充填ノズルを差し込んで充填装置により内容物を充填して後、更に横シール装置により封着して包装袋を連続して形成し、これをカッター装置により切断して分離し包装袋を形成するものである。
【0004】
そして、通常、この種の充填包装機は、複数種類の充填物に使用されることから品種毎に幅の異なる包装フィルムが使用されることになり、そのため、包装フィルムの折り返し位置のずれを防止するためにフイルム折り返し装置の折り返し位置を調整するとともに、充填装置の充填ノズル位置を幅方向(左右方向)に調整して均一な充填が行われるようにしている。
【0005】
特に、充填装置の充填ノズル位置がずれると充填される被包装物が安定した状態で供給されない。そこで、充填ノズルを包装フィルムの幅に合わせて幅方向(左右方向)に移動させるようにした充填装置を有する充填包装機が特開平8−119217号公報に提示されている。
【0006】
ところが、前記公報に提示されている充填包装機は充填ノズルを包装フィルムの幅方向(左右方向)にノズル位置を調整するものである。そのため、充填ノズルの包装フィルムの厚さ方向(前後方向)への調整が不良な場合が生じ、この場合にはセットアップ時にダーツ(縦シール装置の縦ロールによるしわ)が発生し易いという問題がある。
【0007】
また、前記ダーツ(縦ロールによるしわ)の発生を防止すために充填ノズル全体を厚さ方向(前後方向)に移動させて充填位置を調整することが考えられるが、縦シール装置の縦ロールの開始位置で包装フィルムが充填ノズルにより引かれるので所謂耳ずれと称される端縁において接合のずれが生じてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開昭62−16311号公報
【特許文献2】特開平3−148434号公報
【特許文献3】特開平8−119217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、充填装置において、ダーツ(縦ロールによるしわ)の発生を有効に防止する充填包装機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、前記課題を解決するため本発明は、長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出し、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状としこれに充填装置の充填ノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に横シール装置により封着して包装袋を連続して形成する充填包装機における前記充填装置の充填ノズルであって、前記袋状となる包装フィルムの幅方向に延びる支持部とその先端において垂直方向に屈曲した差込み部とからなる管状で全体がほぼ下向きのL字形を呈するとともに、前記支持部を中心として差込み部が前後方向に揺動可能に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、接合のずれを生じることなしに充填時に生じるダーツ(縦ロールによるしわ)の発生を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明における装置1を用いた充填包装機2の概略を示すものであり、従来のものと同様に、箱形の機枠21の周囲にケース22が配置されて全体が中空の箱形を呈しており、その内部には、長尺で帯状の包装フィルムFをロール状に巻回したフィルム原反3が着脱可能にして交換できるように配置されており、上部には前記包装フィルム原反3の包装フイルムFを上方へと取り出す案内装置4が、その下方にフイルム折り返し装置5がそれぞれ配置されているとともに、更にその下方に縦シール装置6、本発明である充填装置1、ノッチ形成装置7、横シール装置8、カッター装置9などが配置されている。
【0013】
フィルム原反3から案内装置4を介して長尺で帯状の包装フィルムFを連続的に取り出し、前記フイルム折り返し装置5において両縁を折り重ねて縦シール装置6により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともにノッチ形成装置7により側縁シール部にノッチを形成し、次いで、横シール装置8より包装フィルムFを横方向にシールして充填装置1により内容物を充填して後、更に横シール装置8により封着して形成した連続した包装袋をカッター装置9により切断して分離し包装袋を形成するものである。
【0014】
そして、図2乃至図6は本発明である充填装置1を構成する充填ノズル11を示すものであり、その上方位置に配置される前記フイルム折り返し装置5に連設して支持される。
【0015】
更に詳しく説明すると、充填ノズル11は、図1に示す前記袋状となる包装フィルムの幅方向(左右方向)に延びる支持部12とその先端において垂直方向に屈曲して差込み部13とからなる全体がほぼ下向きのL字形を呈しており、前記フイルム折り返し装置5に連設部材51を介して固着した一対の支持杆14,14により図1に示す充填装置1に支持されるノズルスタンド15に付設されたホルダー16により保持されている。
【0016】
このホルダー16は図6に示すように、下部において連結部材17によって上方を開閉可能に支持された一対の保持部材18,19と前記開閉部分に保持部材18側からから挿通された固定ボルト20とからなり、前記保持部材18,19の接合面には前記充填ノズル11の支持部12を挿通支持する挿通孔21が形成されている。
【0017】
従って、固定ボルト20を緩めて、或いは利外して保持部材18,19の上部を開き、開放した挿通孔21に充填ノズル11の支持部12を差し込み、固定ボルト20を締めることにより、ホルダー16に充填ノズル11を支持させることができる。
【0018】
更に、前記ホルダー16は ノズルスタンド15に付設された固定部材22に前記挿通孔21の高さ位置において前記挿通孔21の孔軸に沿う支軸23を介して軸着くされている。特に、本実施の形態では固定部材22はホルダー16(保持部材19)との間に所定の隙間を有しているとともにホルダー16(保持部材19)側に突出させた腕部24において支軸23を配置していることから、前記隙間の分だけ支軸23を中心としてホルダー16が回動可能に、即ち、挿通孔21に支持した充填ノズル11の差込み部13が前後方向に揺動可能な状態にある。
【0019】
更にまた、前記固定部材22はホルダー16(保持部材19)との対向面の下方には互いを前記支軸23を中心に開放側に付勢するスプリング25が架設されているとともにこのスプリング25の軸心部分には固定部材22はホルダー16(保持部材19)との間に調節ねじ26が架設されており、この調節ねじ26をスプリング25の付勢力に抗して或いは付勢力に沿って回転させることで所望の回転角度だけ前記ホルダー16を支軸23を中心に回動して充填ノズル11を揺動させるのできわめて微細な調整を簡単な操作で確実に行うことができる。
【0020】
尚、図面中符号27は支持杆14,14とノズルスタンド15との間に架設されたアジャストボルトであり、前記フイルム折り返し装置5との前後方向の距離を調節可能としており、また、符号51は前記フイルム折り返し装置5との連結板であり、符号52により左右方向位置が調節可能である。
【0021】
以上の構成を有する本実施の形態は、前述の如く固定ボルト20を操作してホルダー16に保持指せた充填ノズル11の差し込み部13を調節ねじ26を操作して前後方向に揺動させて先端の供給口を前後方向に移動可能としたのでセット時に包装フィルムの厚さ方向(「前後方向」という)への調整が可能であることからダーツ(縦シール装置の縦ロールによるしわ)の発生を防止することができる。
【0022】
特に、本実施の形態では前記充填ノズル11の支持部12の軸心を中心として差し込み部13を揺動させて供給口の前後方向位置を調整することにより支持部12が前後方向に移動しないので包装フィルムが縦ルールにより接合される際に充填ノズルにより引かれることがなく、所謂耳ずれと称される接合のずれを生じる心配もがない。
【0023】
尚、本実施の形態では充填ノズル11の前後方向の調整箇所について説明したが、前記従来の充填ノズルと同様に左右方向、即ち、包装フィルムの幅方向に充填ノズル11を移動させる構成として各種の幅を有する包装袋を形成することは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態を用いた充填包装機の概略を示す断面図。
【図2】本発明の好ましい実施の形態をフイルム折り返し装置の一部とともに示す正面図。
【図3】図2の平面図。
【図4】図2の側面図。
【図5】図2の異なる側面図。
【図6】図5の要部を示す拡大部分図。
【符号の説明】
【0025】
1 充填包装機、 5 折り返し装置、 8 横シール装置、 6 縦シール装置、 11 充填ノズル、 12 支持部、 13 差込み部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺で帯状の包装フィルムを連続的に取り出し、折り返し装置により両縁を折り重ねて縦シール装置により折り重ね部を封じて筒状に形成するとともに横シール装置により包装フィルムを横方向にシールして袋状としこれに充填装置の充填ノズルを差し込んで被内容物を充填して後、更に横シール装置により封着して包装袋を連続して形成する充填包装機における前記充填装置の充填ノズルであって、前記袋状となる包装フィルムの幅方向に延びる支持部とその先端において垂直方向に屈曲した差込み部とからなる管状で全体がほぼ下向きのL字形を呈するとともに、前記支持部を中心として差込み部が前後方向に揺動可能に配置されていることを特徴とする充填包装機における充填ノズル。
【請求項2】
前記支持部がその軸線方向に移動可能である請求項1記載の充填包装機における充填ノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−112449(P2007−112449A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302359(P2005−302359)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(390037707)オーエスマシナリー株式会社 (15)
【Fターム(参考)】