説明

充填用バルブ

【課題】容器に充填用媒体を繰り返し充填しても充填用バルブのシール部材の損傷を防止することができ、シール部材を交換することなく長期間に渡って安定的に充填用媒体を充填することができる充填用バルブを提供する。
【解決手段】本発明の充填用バルブ12は、筒状のソケット本体121と、ソケット本体121内に配置されたバルブ本体122と、バルブ本体122に弾力を付与するバルブスプリング123を支持するアダプタ124と、アダプタ124とソケット本体121の間でアダプタ124の下部と嵌合してバルブ本体122を収容し且つバルブ本体122と協働して充填用媒体の流路を開閉するパッキン125を支持するパッキンホルダ126と、を備え、バルブ本体122は、プラグ51先端面が接触する環状突起部122Cと、を有し、プラグ51の先端面が環状突起部122Cとパッキン125の双方に面接触することにより流路を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に充填媒体を充填するための充填用バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル等の気液混合の気液媒体を散布する散布ノズルを有する散布容器が広く使用されている。散布容器は、加圧気体と所定の液体が気液媒体として圧入されている容器で、加圧気体によって液体を散布して使い果たすとそのまま廃棄されるのが一般的である。しかしながら、最近の環境保護の観点から再充填可能な散布容器が市場に出回っている。再充填可能な容器は、上部に散布ノズルを有し、底面に気液媒体を充填するためのバルブ内蔵型のプラグを有している。液体を使い果たすと、再充填可能な容器のプラグを、充填装置の充填用バルブに接続して容器内に気液媒体を充填し、容器を繰り返し使用するようにしている。このような充填装置としては例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1には再充填可能な容器のプラグを接続するための充填用バルブの構造について具体的には記載されていない。しかし、この種の充填用バルブは、通常プラグを接続するソケット本体、シール部材及びバルブ本体を有するものが使用される。容器のプラグを充填装置の充填用バルブに接続する時には、プラグを充填用バルブに接続すると、充填用バルブのバルブ本体がソケット本体内で外部から遮断された状態で開放されて、充填装置から容器内に充填用媒体が充填される。
【0004】
【特許文献1】特許3251795
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の充填装置に用いられている充填用バルブは、再充填可能な容器のプラグを外部からシールするシール部材としてソケット本体の内周面に装着されたOリングを有しているため、プラグを充填用バルブに接続する際にプラグが充填用バルブのOリングの内側をOリングと摺接しながら通り、プラグの先端がOリングの先に配置されたバルブ本体に接触して充填用バルブを開くようにしてあるため、充填用媒体を再充填する度に容器側のプラグがOリングをその弾力に抗して押し広げてその内側を通って着脱されるため、プラグがOリングを損傷しやすく、Oリングを頻繁に交換しなくてはならないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、再充填可能な容器やその他の充填可能な容器に充填用媒体を繰り返し充填しても充填用バルブのシール部材の損傷を防止することができ、シール部材を交換することなく長期間に渡って安定的に気液混合媒体等の充填用媒体を充填することができる充填用バルブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の充填用バルブは、充填用媒体の容器に装着されたバルブ付きプラグと接続されて、上記容器内に充填用媒体を充填するための充填用バルブであって、上記充填用媒体の流路を開閉するバルブ本体と、上記バルブ本体に弾力を付与するバルブスプリングを支持するアダプタと、上記アダプタの下部と嵌合して上記バルブ本体を収容し且つ上記バルブ本体と協働して上記充填用媒体の流路を開閉するパッキンを支持する筒状のパッキンホルダと、を備え、上記バルブ本体は、上記プラグ先端面が接触する接触部を有し、上記プラグの先端面が上記パッキンと面接触することにより上記充填用媒体を充填する流路を開放することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の充填用バルブは、充填用媒体の容器に装着されたバルブ付きプラグと接続されて、上記容器内に充填用媒体を充填するための充填用バルブであって、上記プラグが挿入される筒状のソケット本体と、上記ソケット本体内に配置され且つ上記充填用媒体の流路を開閉するバルブ本体と、上記バルブ本体に弾力を付与するバルブスプリングを支持するアダプタと、上記アダプタと上記ソケット本体の間で上記アダプタの下部と嵌合して上記バルブ本体を収容し且つ上記バルブ本体と協働して上記充填用媒体の流路を開閉するパッキンを支持する筒状のパッキンホルダと、を備え、上記バルブ本体は、上記プラグ先端面が接触する接触部を有し、上記プラグの先端面が上記パッキンと面接触することにより上記充填用媒体を充填する流路を開放することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の充填用バルブは、請求項2に記載の発明において、上記ソケット本体上部と上記パッキンホルダの間で軸方向に移動可能に配置され且つ上記プラグを上記ソケット本体に接続固定するロック機構を備え、上記ロック機構は、上記プラグが挿入される筒状部材と、上記筒状部材の上部に周方向に所定間隔を空けて出入可能に装着され且つ上記プラグの外周面に形成された溝と嵌合する複数のボールと、上記筒状部材に対して軸方向に弾力を付与するスプリングと、を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の充填用バルブは、請求項3に記載の発明において、上記筒状部材の外周面の一部が上記ソケット本体に形成された窓から露出し、上記外周面に形成された切欠部を押圧操作して上記プラグと上記ソケット本体との接続を解除することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の充填用バルブは、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記ソケット本体下部と上記パッキンホルダの間で軸方向に移動可能に配置され且つ上記充填用媒体が過圧状態になった時に上記バルブ本体を開放する安全機構を備え、上記安全機構は、上記パッキンホルダを弾力的に支持するために上記ソケット本体と上記パッキンホルダの間に配置されたスプリングと、上記スプリングを弾力的に支持するスプリングホルダと、を備え、上記充填用媒体が所定の圧力を超えた時に上記スプリングの弾力に抗して上記パッキンホルダを上記スプリングホルダ側へ移動させて上記充填用媒体の流路を外部へ開放することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再充填可能な容器やその他の充填可能な容器に充填用媒体を繰り返し充填しても充填用バルブのシール部材の損傷を防止することができ、シール部材を交換することなく長期間に渡って安定的に気液混合媒体等の充填用媒体を充填することができる充填用バルブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1〜図5に示す実施形態に基づいて本発明の充填用バルブ及び充填装置について説明する。尚、各図中、図1は本発明の充填用バルブの一実施形態を適用した充填装置の要部を示す断面図、図2は図1の充填用バルブを拡大して示す断面図、図3の(a)、(b)はそれぞれ図1に示す充填用バルブのバルブ本体を示す図で、(a)はその上方からの平面図、(b)はその側面図、図4の(a)、(b)はそれぞれ再充填可能な容器側のバルブ本体を示す図で、(a)はその右半分の断面を示す側面図、(b)はその下方からの平面図、図5の(a)、(b)はそれぞれ図3に示すバルブ本体とは別のバルブ本体を示す図で、(a)は(b)のA−A線方向の断面図、(b)は右半分の断面を示す側面図である。
【0014】
まず、本発明の充填用バルブが適用された充填装置について説明する。この充填装置10は、例えば図1に示すように、充填用媒体の再充填可能な容器50の底面に装着されたバルブ付きプラグ51を介して充填用媒体を定量的に供給する定量充填機器(図示せず)と、定量充填機器を操作する操作部材11と、定量充填機器からの充填用媒体を充填するための充填用バルブ12と、充填用バルブ12の上部が中央部に臨み且つ容器50のプラグ51と充填用バルブ12を接続するために容器50を設置するカップ状の受部材(受皿)13と、を備え、定量充填機器、充填用バルブ12及び受皿13がいずれも基台14の上面に設けられている。本実施形態の充填装置10は、主として充填用バルブ12に特徴があるため、以下では充填用バルブ12を中心に説明する。
【0015】
本実施形態の充填用バルブ12は、図1、図2に示すように、充填用媒体の再充填可能な容器50の底面に装着されたバルブ付きプラグ51と接続されて、容器50内に気液混合媒体等の充填用媒体を充填するように構成されている。この充填用バルブ12は、同図に示すように、筒状のプラグ51が挿入される筒状のソケット本体121と、ソケット本体121内に軸芯を共有して配置され且つ充填用媒体の流路を開閉するバルブ本体122と、バルブ本体122に下面側から弾力を付与するバルブスプリング123を支持するアダプタ124と、アダプタ124とソケット本体121の間に配置され且つバルブ本体122の外周縁部が離接して充填用媒体の流路を開閉する環状のパッキン125を支持するパッキンホルダ126と、を備え、容器50のプラグ51がソケット本体121内に挿入されてこれら両者が接続されると、充填用バルブ12のバルブ本体122とプラグ内のバルブ本体が開放されて充填用媒体が定量充填機器から充填されるように構成されている。
【0016】
図2に示すようにソケット本体121の基部にはフランジ121Aが形成され、このフランジ121Aの上側には雄ねじが形成されている。ソケット本体121は、基台13の下側から貫通孔に挿入された状態で、基台13の上側から雄ねじにボルト121Bを締結することによって基台13に固定されている。ソケット本体121の上端部には外径が徐々に小さくなる縮径部121Cが形成され、この縮径部121Cに後述のロック機構127が嵌め込まれている。また、縮径部121Cには図1、図2に示すように互いに周方向に180°隔てた切欠部が形成され、各切欠部の垂直壁面121Dにはそれぞれ窓(図示せず)が形成されている。そして、後述するようにこれらの窓からロック機構の一部が露出している。
【0017】
バルブ本体122は、図2、図3に示すように、外径が環状のパッキン125の内径より大きく形成された円形状の基部122Aと、基部122A上面に軸芯に対して左右対称の板状に形成され且つ左右両端面が環状のパッキン125の内周面と接触する板部122Bとを有し、板部122Bの両側が充填用媒体の流路となるように構成されている。バルブ本体122の基部122Aは、バルブスプリング123の作用でパッキン125の下面と弾接して充填用媒体の流路を遮断し、プラグ51の作用でパッキン125の下面から離間して流路を開放する。
【0018】
図3に示すようにバルブ本体122の基部122Aの外周縁部には所定幅の環状突起部122Cが形成され、この環状突起部122Cがパッキン125の下面と弾接して充填用媒体の流路を遮断し、パッキン125から離間することで流路を開放するようになっている。基部122Aの内側には環状のパッキン125の内径より縮径した円形状の突出面部122Dが形成され、この突出面部122Dに板部122Bが立設されている。
【0019】
バルブ本体122の板部122Bは、図1〜図3に示すように上端中央に突出部122Eを有している。板部122Bの左右の端部が少し落ち込んだ肩部122Fとして形成され、この肩部122Fに筒状のプラグ51が接触し、バルブ本体122を押し下げるようになっている。バルブ本体122は、環状突起部122Cがパッキン125の下面に接触した状態で板部122Bの肩部122Fがパッキン125の上面よりやや高い位置にあり、プラグ51が板部122Bの左右の肩部122Fと接触してバルブ本体122をバルブスプリング123のスプリング力に抗して押し下げて流路を開放した後、パッキン125の上面に着座するようになっている。この時、板部122Bの突出部122Eでプラグ51内のバルブ本体を押し上げて流入口を開放し充填用バルブ12から容器50内へ充填用媒体を充填する。
【0020】
図1、図2に示すようにソケット本体121上端の縮径部121Cにはプラグ51を固定するロック機構127が設けられている。このロック機構127は、ソケット本体121とパッキンホルダ126との間に軸方向で移動可能に装着され、容器50のプラグ51がソケット本体121内に挿入された時にプラグ51をソケット本体121内に固定する機能を有している。
【0021】
即ち、ロック機構127は、図1、図2に示すように、上下に形成された小径部127Aと大径部127Bからなる筒体127Cと、この筒体127Cの小径部127Aの周方向等間隔を空けて4箇所に形成された貫通孔127Dと、これらの貫通孔127Dに一部が小径部127Aの内周面から突出するよう収納された4個のボール127Eと、を有し、小径部127Aの外周面がソケット本体121の縮径部121Cの内周面と摺接するように形成されている。貫通孔127Dは、小径部127Aの内周面から外周面にかけて孔径が拡大するテーパ状に形成されている。
【0022】
また、図1、図2に示すようにソケット本体121の内周面の上下方向の中ほどにはリング部材127Eが部分的に突出するように装着されている。このリング部材127Eの突出部と筒体127C下端外周面に形成された段部との間にスプリング127Fが弾装され、このスプリング127Fによって筒体127Cを常に上方へ付勢し、4個のボール127Eがソケット本体121の縮径部121C内のテーパ面に弾接して小径部127Aの内側へ押出されて球面の一部が貫通孔127Dから突出している。大径部127Bの内周面は小径部127Aの内周面から拡径して形成されており、この拡径部にパッキンホルダ126の外周面が摺接している。そして、大径部127Bの拡径部の上端とパッキンホルダ126の上端との間には僅かな隙間があり、この隙間で筒体127Cが上下方向に摺動し、ロック機構127が作動する。
【0023】
従って、容器50側のプラグ51がソケット本体121内に挿入されるとロック機構127のボール127Eに接触して筒体127Cをスプリング127Fに抗してソケット本体121内に僅かだけ押し込むと共にボール127Eが貫通孔127D内に一瞬押し込まれてプラグ51外周面の溝51Aに嵌り込んでプラグ51をソケット本体121内に接続固定する。この時、スプリング127Fの力で筒体127Cが付勢されているため、4個のボール127Eがプラグ51の溝に嵌り込む時にパチッと音がする。この音によりプラグ51が充填用バルブ12に接続されたことを確認することができる。
【0024】
ところが、従来のこの種の充填用バルブは、ロック機構として左右一対のニードルによって構成されていたため、充填用バルブを組み立てる時にニードルの両端をソケットに設けられた4箇所の孔に差し込まなくてはならず、その作業が難しかった。従って、ロック機構の組み立てに時間がかかった。しかも、従来のロック機構は、プラグが挿入された時の左右一対のニードルが弾性変形してプラグの溝に嵌り込む構造のため、本実施形態のロック機構127のように接続時にパチッという音がせず、確実接続されているかの確認がし難かった。
【0025】
また、大径部127Bの外周面の一部が図1、図2に示すようにソケット本体121の垂直壁面121Dの窓から露出し、露出した部分の略上半分に切欠部が形成されている。その切欠部に垂直壁面121Dの窓を埋める垂直壁面(図示せず)が形成され、垂直壁面から径方向外側へ肩部127Gが形成されている。この肩部127Gから筒体127Cをスプリング127Fに抗して押し下げることによってプラグ51の固定を解除することができる。
【0026】
また、充填用バルブ12は、充填用媒体の圧力が所定の圧力より高くなるとバルブ本体122を開く安全機構128が設けられている。この安全機構128は、図1、図2に示すように、ソケット本体121とパッキンホルダ126の間に配置されたスプリング128Aと、スプリング128Aを弾力的に支持するようにソケット本体121とパッキンホルダ126の間に配置されたスプリングホルダ128Bと、を備えている。スプリング128Aは、下端がスプリングホルダ128Bによって支持されていると共に上端がパッキンホルダ126の外周面のフランジ126Aによって支持されている。安全機構128は、充填中に充填用媒体が所定の圧力を超えて過圧状態になった時にスプリング128Aに抗してパッキンホルダ126をスプリングホルダ128A側へ押し下げてバルブ本体122をプラグ51から引き離して充填用媒体の流路を開放して充填用媒体を外部へ放出する。
【0027】
また、容器50を受ける受皿13は、図1、図2に示すように容器50の下部が嵌り込む大きさのカップ状に形成されている。同図に示すように受皿13の底面の中央には二段階で円形状に隆起する隆起部13Aが形成され、隆起部13Aの上面に形成された略矩形状の矩形孔13Bにソケット本体121の上端部が嵌入している。そして、隆起部13Aの上面とロック機構127の筒体127Cの肩部127Gが接触している。受皿13は、隆起部13Aの周囲に周方向等間隔を空けて配置された複数(例えば、3個)のボルト15及びナット15Aによって基台14に昇降可能に取り付けられている。受皿13と基台14の間にはソケット本体121を基台14に固定するためのボルト121Bを囲むスプリング16が弾装され、スプリング16によって受皿13を基台14から所定寸法だけ浮上させて受皿13を3箇所のナット15Aに弾接させている。
【0028】
従って、容器50を受皿13に配置し、容器50をスプリング16に抗して基台14に向けて押し下げると容器50のプラグ51と充填用バルブ12が接続される。また、充填用媒体の充填後に、受皿13を押し下げると受皿13の隆起部13Aの上面でロック機構127の肩部127Gを介して筒体127Cを押し下げて充填用バルブ12とプラグ51の接続を解除することができる。
【0029】
また、図1に示すように受皿13を基台14に接続する隣接するボルト15間に容器50を検出す定量充填機器を操作する操作部材11が装着されている。この操作部材11は、容器50を受皿13内に設置すると、容器50の底面と接触してコントロールバルブ17のスイッチ17Aを投入して、定量充填機器を作動させるようになっている。即ち、操作部材11は、ピストンロッド11Aと、ピストンロッド11Aを収納するシリンダ11Bとピストンロッド11Aにピストン部とシリンダ11Bの底面との間に弾装されたスプリング11Cと、シリンダ11Bの下面を貫通するピストンロッド11Aのロッド部の下端に装着された接触子11Dと、を有している。そして、容器50がピストンロッド11Aを押し下げると接触子11Dがコントロールバルブ17のスイッチ17Aを投入するようになっている。
【0030】
また、図1、図2に示すように充填用バルブ12のアダプタ124の下部には接続部材(例えば、ロータ)19を介して配管20が接続され、定量充填機器からアダプタ124内へ配管20を介して充填用媒体を供給するようにしてある。また、配管20はロックナット19Aを介してロータ19に緊密に固定されている。このロータ19はアダプタ124から外れないようにストップリング19Bによってアダプタ124に取り付けられている。尚、図1、図2において19CはOリングである。
【0031】
次に、容器50のプラグ51について図1を参照しながら説明する。プラグ51は、図1に示すように、容器50の底面に容器50の外径と略同一の外径を有する樹脂製の取付部材52を介して取り付けられている。この取付部材52は、容器50の底面に倣って中央が隆起しており、この隆起部にプラグ51が装着されている。プラグ51は、取付部材52の隆起部、換言すれば下面の凹陥部に取り付けられており、隆起部以外の下面の平坦部から突出することがない。この取付部材52の凹陥部内に受皿13の隆起部13Aが嵌入し、充填用バルブ12とプラグ51が接続される。
【0032】
プラグ51は、筒状のプラグ本体511と、プラグ本体511内に装着されたバルブ本体512と、バルブ本体512を常に下方へ付勢するバルブスプリング513と、を有している。プラグ本体511の上端部の外周面には雄ねじが形成され、この雄ねじに容器50の内側からナット514が螺合してプラグ51を容器50の底部及び取付部材52に装着するようにしてある。プラグ本体511の上端には内側へ傾斜するテーパ部511Aが形成され、このテーパ部511Aにバルブ本体512の上部に装着されたOリング515が着座するようになっている。また、プラグ本体511の外周面の軸方向中ほどには六角状のフランジ511Bが形成され、ナット514をプラグ本体511の雄ねじに締結することでプラグ51が取付部材52を介して容器50の底面に固定されている。更に、プラグ本体511の外周面の下部には全周に渡って充填用バルブ12の4個のボール127Eが嵌入する溝511Cが形成されている。
【0033】
バルブ本体512は、例えば図4に示すように、円錐台状に形成された上端部512Aと、上端部512Aの下側に連続する上下二段の溝を有する直胴部512Bと、直胴部512Bの下側に連続する軸部512Cと、軸部512Cの下側に連続する羽根部512Dと、を有している。羽根部512Dは、軸部512Cに対して十字状に交差する4枚羽根からなり、それぞれの略下半分が横方向に拡幅している。4枚羽根の拡幅部は、直胴部512Bの外周面からプラグ本体511の内周面の間近まではみ出し、図1、図2に示すように4枚羽根の拡幅部上端でバルブスプリング513の下端を受けるようになっている。直胴部512Bの下側の溝にはOリング515が装着され、バルブ本体512がOリング515を介してプラグ本体511のテーパ部511Aに着座するようになっている。また、図1に示すようにプラグ本体511のテーパ部511Aの下側には水平な下面が形成され、この下面でバルブスプリング513の上端を受けるようになっている。
【0034】
従って、バルブスプリング513は、図1に示すようにプラグ本体511のテーパ部511の下面とバルブ本体512の羽根部512Dの拡幅部の間に弾装されており、バルブ本体512がOリング515を介してテーパ部511Aに着座した状態で常に下方に付勢されている。このバルブ本体512は、充填用バルブ12のバルブ本体122と接触し、バルブスプリング513に抗して押し上げられてプラグ51の流路を開放する。
【0035】
次に、充填装置10の動作について説明する。まず、空の容器50を受皿13の真上に配置し、容器50を受皿13に押し込むと、操作部材11がコントロールバルブ17を介して定量充填機器が作動させる。定量充填機器は配管20を介して充填用バルブ12へ充填用媒体を供給する。定量充填機器の作動に伴って容器50のプラグ51が充填用バルブ12に接続されて、定量充填機器と容器50が連通して充填用媒体を充填用バルブ12からプラグ51を介して容器50内へ一定量だけ供給する。そこで、充填用バルブ12とプラグ51の接続時の動作について詳述する。
【0036】
容器50を受皿13に押し付けると、プラグ51のプラグ本体511の下部が充填用バルブ12のソケット本体121の上端部から挿入される。これによりプラグ本体511の下端がロック機構127の4個のボール127Eに接触する。プラグ本体511の下端が4個のボール127Eと接触しても各ボール127Eがソケット本体121のテーパ部121Cによって規制されているため、貫通孔127D内へ入り込めない。
【0037】
そこで、ロック機構127の筒体127Cがスプリング127Fに抗してパッキンホルダ126に接触するまで押し下げられると、各ボール127Eがソケット本体121のテーパ部121Cの規制を外れてそれぞれの貫通孔127D内に入り込みプラグ本体511の下端がロック機構127の小径部127Aを通過する。この間にも筒体127Cは常にスプリング127Fによって上方に付勢されているため、プラグ本体511の溝511Cが4個のボール127Eに達するとスプリング127Fの作用で4個のボール127Eが溝511C内に嵌入してパチッという音がしてプラグ51がソケット121内に固定される。この時の音からプラグ51と充填用バルブ12とが接続されたことを確認することができる。
【0038】
また、上述のようにプラグ51が押し下げられてプラグ本体511がロック機構127に達するとバルブ本体122の突出部122Eがプラグ本体511内のバルブ本体512の下端に接触してバルブ本体512をバルブスプリング513に抗して押し上げてバルブ本体512によってプラグ本体511内の流路を開放する。一方、プラグ本体511の下端がバルブ本体122の両肩部122Fに接触してバルブ本体122を押し下げて充填用媒体の流路を開放した後、プラグ本体511が更にバルブスプリング123に抗してバルブ本体122を押し下げると、プラグ本体511の下端がバルブ本体122の両肩部122Eに接触したままパッキン125の上面に着座し、バルブ本体122によって充填用バルブ12内の流路を完全に開放すると同時に、バルブ本体122の突出部122Eがプラグ本体511内のバルブ本体512を完全に開放して流路を全開し、充填用媒体が充填用バルブ12から容器50内へ充填される。
【0039】
定量充填機器による充填用媒体の充填を終了すると、容器50内には所定圧の充填用媒体が充填される。そこで、容器50を受皿13から取り外す。それには受皿13の縁を押し下げると、隆起部13Aの上面がロック機構127の筒体127Cの肩部127Gに接触しているため、筒体127Cを隆起部13Aの上面を介してスプリング127Fに抗して押し下げる。これにより筒体127Cがパッキンホルダ126の上端に接触するまで押し下げられ、4個のボール127Eが貫通孔127D内に入り込み充填用バルブ12のバルブ本体122がバルブスプリング123の力を得てプラグ51、つまり容器50を跳ね上げて充填用バルブ12から容器50を外す。
【0040】
万一、充填用媒体を充填している時に何等かの原因で充填用媒体が過圧状態になると、充填用バルブ12内の最も大きな断面積を有するパッキンホルダ126を安全機構128のスプリング128Aに抗して押し下げる。これによりパッキンホルダ126がプラグ本体511の下端から離間してプラグ本体511とパッキン125間の遮断が解除されて充填用バルブ12内の充填用媒体が一気に外部へ放出され、過圧による危険を回避することができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態によれば、充填用媒体の流路を開閉するバルブ本体122と、バルブ本体122に弾力を付与するバルブスプリング123を支持するアダプタ124と、アダプタ124の下部と嵌合してバルブ本体122を収容し且つバルブ本体122と協働して充填用媒体の流路を開閉するパッキン125を支持する筒状のパッキンホルダ126と、を備え、バルブ本体122は、プラグ51側のバルブ本体512を開閉作動させる突出部122Eと、プラグ本体511の先端面が接触する環状突起部122Cと、を有し、プラグ本体511の先端面が環状突起部122Cとパッキン125の双方に面接触することにより充填用媒体を充填する流路を開放するようにしたため、プラグ51によるパッキン125の損傷を防止することができ、容器50へ充填用媒体を長期間に渡って繰り返し安定した充填を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、上記パッキンホルダ126をソケット本体121内に設けたため、ソケット本体121内にプラグ51を挿入するだけで充填用バルブ12とプラグ51を接続し、充填用媒体を容器50内に充填することができる。また、ソケット本体121とパッキンホルダ126との間にロック機構127を設けたため、ロック機構127によってプラグ51と充填用バルブ12との接続を安定化することができ、充填溶媒体の充填作業を安全に行うことができる。また、ロック機構127の筒体127Cの外周面の一部がソケット本体121の垂直壁121Dに形成された窓から露出し、筒体127Cに形成された肩部127Gを、受皿13を介して押圧操作することによりプラグ51とソケット本体121との接続を簡単に解除することができる。また、安全機構128を設けたため、充填用媒体が過圧状態になると自動的にバルブ本体122を作動させて充填用媒体を外部へ放出し、過圧状態による危険を防止することができる。
【0043】
上記実施形態では、充填用バルブ12のバルブ本体122が板部122Bを有するものについて説明したが、バルブ本体122は例えば図5に示すように筒体として形成されたものであっても良い。このバルブ本体122は、図5に示すように、大径部122Hと、大径部122Hの下側に連続して形成された小径部122Iと、を有している。大径部122Hの外周面と小径部122Iの外周面の境界にある段部でバルブスプリングを受けるようにしてある。また、小径部122Iの下部には周方向等間隔を空けて4個のポート122Jが形成され、これらのポート122Jが充填用媒体の流路を開放するようになっている。また、小径部122Iの下側に形成された溝122K内にOリングが装着される。
【0044】
尚、上記実施形態では充填用媒体を再充填可能な容器を例に挙げて説明したが、本発明の充填用バルブは、充填用媒体を充填するためのプラグを有する容器であれば、それらの容器に対しても本発明を適用することができる。従って、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、本発明の各構成要素を適宜設計変更したもので、本発明の要旨を逸脱しない限り本発明に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、気液混合媒体等の充填用媒体を収容するための容器に気液混合媒体等の充填用媒体を充填する充填用バルブに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の充填用バルブの一実施形態を適用した充填装置の要部を示す断面図である。
【図2】図1の充填用バルブを拡大して示す断面図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ図1に示す充填用バルブのバルブ本体を示す図で、(a)はその上方からの平面図、(b)はその側面図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ再充填可能な容器側のバルブ本体を示す図で、(a)はその右半分の断面を示す側面図、(b)はその下方からの平面図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ図3に示すバルブ本体とは別のバルブ本体を示す図で、(a)は(b)のA−A線方向の断面図、(b)は右半分の断面を示す側面図である。
【符号の説明】
【0047】
12 充填用バルブ
13 受皿(受部材)
121 ソケット本体
122 バルブ本体
122C 環状突起部(接触部)
122E 突出部(作動部)
123 バルブスプリング
124 アダプタ
125 パッキン
126 パッキンホルダ
127 ロック機構
127C 筒体(筒状部材)
127E ボール
127F スプリング
128 安全機構
128A スプリング
128B スプリングアダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填用媒体の容器に装着されたバルブ付きプラグと接続されて、上記容器内に充填用媒体を充填するための充填用バルブであって、上記充填用媒体の流路を開閉するバルブ本体と、上記バルブ本体に弾力を付与するバルブスプリングを支持するアダプタと、上記アダプタの下部と嵌合して上記バルブ本体を収容し且つ上記バルブ本体と協働して上記充填用媒体の流路を開閉するパッキンを支持する筒状のパッキンホルダと、を備え、上記バルブ本体は、上記プラグ先端面が接触する接触部を有し、上記プラグの先端面が上記パッキンと面接触することにより上記充填用媒体を充填する流路を開放することを特徴とする充填用バルブ。
【請求項2】
充填用媒体の容器に装着されたバルブ付きプラグと接続されて、上記容器内に充填用媒体を充填するための充填用バルブであって、上記プラグが挿入される筒状のソケット本体と、上記ソケット本体内に配置され且つ上記充填用媒体の流路を開閉するバルブ本体と、上記バルブ本体に弾力を付与するバルブスプリングを支持するアダプタと、上記アダプタと上記ソケット本体の間で上記アダプタの下部と嵌合して上記バルブ本体を収容し且つ上記バルブ本体と協働して上記充填用媒体の流路を開閉するパッキンを支持する筒状のパッキンホルダと、を備え、上記バルブ本体は、上記プラグ先端面が接触する接触部を有し、上記プラグの先端面が上記パッキンと面接触することにより上記充填用媒体を充填する流路を開放することを特徴とする充填用バルブ。
【請求項3】
上記ソケット本体上部と上記パッキンホルダの間で軸方向に移動可能に配置され且つ上記プラグを上記ソケット本体に接続固定するロック機構を備え、上記ロック機構は、上記プラグが挿入される筒状部材と、上記筒状部材の上部に周方向に所定間隔を空けて出入可能に装着され且つ上記プラグの外周面に形成された溝と嵌合する複数のボールと、上記筒状部材に対して軸方向に弾力を付与するスプリングと、を有することを特徴とする請求項2に記載の充填用バルブ。
【請求項4】
上記筒状部材の外周面の一部が上記ソケット本体に形成された窓から露出し、上記外周面に形成された切欠部を押圧操作して上記プラグと上記ソケット本体との接続を解除することを特徴とする請求項3に記載の充填用バルブ。
【請求項5】
上記ソケット本体下部と上記パッキンホルダの間で軸方向に移動可能に配置され且つ上記充填用媒体が過圧状態になった時に上記バルブ本体を開放する安全機構を備え、上記安全機構は、上記パッキンホルダを弾力的に支持するために上記ソケット本体と上記パッキンホルダの間に配置されたスプリングと、上記スプリングを弾力的に支持するスプリングホルダと、を備え、上記充填用媒体が所定の圧力を超えた時に上記スプリングの弾力に抗して上記パッキンホルダを上記スプリングホルダ側へ移動させて上記充填用媒体の流路を外部へ開放することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の充填用バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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