説明

充放電コネクタ及び当該充放電コネクタを介して充放電可能な車両

【課題】通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする。
【解決手段】車両と車両外部の充放電制御装置との間での電力の授受を行うための充放電コネクタに操作部を設け、当該操作部の操作によって、通常時において充放電の制御に使用される充放電制御信号を使用せずに給電動作可能であることを車両側に検出させることにより、非常時において充放電制御信号を使用しない給電動作を車両に実行させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と車両外部との間での充放電を制御する充放電管理システムに関する。より具体的には、本発明は、車両と車両外部の充放電制御装置との間での電力の授受を可能とする充放電コネクタ、当該充放電コネクタを介する車両外部の充放電制御装置との電力の授受が可能な車両、及び当該充放電コネクタを介する車両と車両外部の充放電制御装置との間での電力の授受を制御する充放電管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両は、蓄電装置(例えば、二次電池やキャパシタ等)を搭載し、且つ当該蓄電装置に蓄えられた電力によって駆動する動力装置(例えば、モータ等)から生じる駆動力を用いて走行する。かかる電動車両としては、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)等が含まれる。
【0003】
かかる電動車両においては、例えば、各家庭に供給される商用電源(例えば、100V若しくは200V等の比較的低い電圧の供給源)等の外部電源から供給される電力により電動車両に搭載された蓄電装置を充電する技術が既に開発されている。以下、外部電源により車両に搭載された蓄電装置(例えば、バッテリ等)を充電可能な車両を「プラグイン車」とも称する場合がある。
【0004】
尚、ハイブリッド自動車(HV)においては、例えば、HVに搭載された内燃機関又は回生ブレーキ等によって、通常時は動力源として機能するモータを発電装置として駆動して、HVに搭載された蓄電装置を充電することもできるが、当該蓄電装置を上記のように外部電源により充電することもできる。かかるHVは、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)とも称される。
【0005】
当該技術分野においては、車載バッテリを住宅から充電することが可能な電気自動車の規格としては、アメリカ合衆国においてはSAE(ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ(Society of Automotive Engineers))により「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ(SAE Electric Vehicle Conductive Charge Coupler)」(非特許文献1)が制定されており、日本においても「電気自動車用コンダクティブ充電システム一般要求事項」(非特許文献2)が制定されている。
【0006】
また、上記非特許文献1及び非特許文献2においては、コントロールパイロット(CPLT)に関する規格が定められている。当該コントロールパイロットは、構内配線から車両へ電力を供給するEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)の制御回路と車両の接地部とを車両側の制御回路を介して接続する制御線として定義されており、当該制御線を介して通信されるCPLT信号(パイロット信号)に基づいて、充電ケーブルの接続状態や電源から車両への電力供給の可否、EVSEの定格電流等が判断される。
【0007】
一方、例えば、環境保護の観点からの電力の有効利用や災害時等における電力不足の緩和等を目的として、上記のような電動車両に搭載された蓄電装置から外部の被給電装置(例えば、電源や電気負荷等)に対して、電力を供給することが提案されている。換言すれば、電動車両に搭載された蓄電装置を、外部の被給電装置に対する給電装置として使用することが提案されている。
【0008】
この場合、電動車両に搭載された蓄電装置から外部の被給電装置に対して電力を供給するための給電機構を、外部の給電装置(例えば、商用電源等)から電動車両に搭載された蓄電装置に対して電力を供給して当該蓄電装置を充電するための充電機構とは別個に構成することも可能である。しかしながら、このように充電機構とは別個に給電機構を設けることは、例えば、車両の大型化、給電/充電機構の複雑化、車両の製造コストの増大等の様々な問題を招く虞がある。
【0009】
そこで、当該技術分野においては、車両から外部の被給電装置への給電及び外部の給電装置から車両が搭載する蓄電装置への充電を1つの機構において切り替えて実行することを可能とする様々な技術が提案されている。
【0010】
例えば、電気自動車のバッテリと住宅との間で相互に電力伝達可能とするエネルギーマネジメントシステム(EMS:Energy Management System)により、住宅側のメインコントローラにおいて充電モードにするか放電モードにするかが判断され、住宅側の充放電コントローラから通信用アンテナを介して車両側のバッテリコントローラへ充放電制御信号が送信され、車両において、通信用アンテナを介して受信した充放電制御信号に基づいて、充電制御または放電制御が実行される技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、このように通信用アンテナを別途設けることは、当該システムの製造コストの増大や制御装置の複雑化を招く。
【0011】
また、外部の給電装置から車両が搭載する蓄電装置への充電時に使用するコネクタ及びインレットと、車両から外部の被給電装置への給電時に使用するコネクタ及びアウトレットを別個に用意したり、あるいは車両に搭載されるインレット及びアウトレットは共通のものとし、充電用のコネクタと給電用のコネクタとを別個に用意したりすることにより、車両から外部の被給電装置への給電及び外部の給電装置から車両が搭載する蓄電装置への充電を切り替えて実行することも考えられる。しかしながら、かかる構成によっても、充放電システムの複雑化及び製造コストの増大、コネクタの誤用等の問題を招く虞がある。
【0012】
そこで、車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電可能であり、且つ蓄電装置から車両外部の電源又は車両外部の電気負荷へ給電可能な車両の充放電システムにおいて、当該充放電システムが備える信号生成回路に、電力ケーブルが充電用のものか給電用のものかを区別可能な制御信号(CPLT信号)を生成させ、当該信号生成回路から与えられる制御信号に従って、車両に搭載された制御装置が充電モード及び給電モードの何れかで電力変換装置を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0013】
しかしながら、上記のようにCPLT信号に基づいて充電モードと給電モードとの判定を行うには、充電モード及び給電モードの何れにおいても信号生成回路がCPLT信号を生成することが可能でなければならない。一方、例えば、災害時等における停電や充放電制御装置の故障等に起因して充放電制御装置が正常に動作することができない状況においてはCPLT信号を正常に生成することはできないことから、かかる場合においてこそ、車両に搭載された蓄電装置から車両外部の電源又は車両外部の電気負荷へ給電することが望まれるにも拘わらず、車両に搭載された蓄電装置を車両外部の電源から充電することができないばかりか、車両に搭載された蓄電装置から車両外部の電源又は車両外部の電気負荷へ給電することもできない。
【0014】
以上のように、当該技術分野においては、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする技術に対する継続的な要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−008380号公報
【特許文献2】特開2010−035277号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ(SAE Electric Vehicle Conductive Charge Coupler)」、(アメリカ合衆国)、エスエーイー規格(SAE Standards)、エスエーイー・インターナショナル(SAE International)、2001年11月
【非特許文献2】「電気自動車用コンダクティブ充電システム一般要求事項」、日本電動車両協会規格(日本電動車両規格)、2001年3月29日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述のように、当該技術分野においては、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする技術に対する継続的な要求が存在する。
【0018】
本発明は、かかる要求に応えるために為されたものである。即ち、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする充放電コネクタを提供することを1つの目的とする。また、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能であり、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能である車両を提供することをもう1つの目的とする。更に、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする充放電管理システムを提供することを更にもう1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記1つの目的は、
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、を含む充放電管理システムにおいて、前記車両と前記充放電制御装置とを電気的に接続して前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を可能とする充放電コネクタであって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタが、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号が、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して、前記車載充放電制御部によって検出されるように構成された、
充放電コネクタによって達成される。
【0020】
また、本発明の上記もう1つの目的は、
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、充放電コネクタと、を含む充放電管理システムにおいて、前記充放電コネクタを介する前記充放電制御装置との電力の授受が可能な車両であって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタは、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、前記車載充放電制御部が
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号を、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号を、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して検出し、
前記第1制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づいて、前記充電動作若しくは前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御し、
前記第2制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づくこと無く、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御する、
車両によって達成される。
【0021】
また、本発明の上記更にもう1つの目的は、
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、充放電コネクタと、を含む充放電管理システムであって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタは、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、前記車載充放電制御部が
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号を、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号を、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して検出し、
前記第1制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づいて、前記充電動作若しくは前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御し、
前記第2制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づくこと無く、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御する、
充放電管理システムによって達成される。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明によれば、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1つの実施態様に係る充放電管理システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の1つの実施態様に係る充放電コネクタが備える電力経路及び信号経路の概略を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述のように、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする充放電コネクタを提供することを1つの目的とする。
【0025】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、車両と車両外部の充放電制御装置との間での電力の授受を行うための充放電コネクタに操作部を設け、当該操作部の操作によって、通常時において充放電の制御に使用される充放電制御信号を使用せずに給電動作可能であることを車両側に検出させることにより、非常時において充放電制御信号を使用しない給電動作を車両に実行させることができることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
【0026】
即ち、本発明の第1の実施態様は、
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、を含む充放電管理システムにおいて、前記車両と前記充放電制御装置とを電気的に接続して前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を可能とする充放電コネクタであって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタが、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号が、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して、前記車載充放電制御部によって検出されるように構成された、
充放電コネクタである。
【0027】
上記のように、本実施態様に係る充放電コネクタは、車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、を含む充放電管理システムにおいて、前記車両と前記充放電制御装置とを電気的に接続して前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を可能とする充放電コネクタである。当然のことながら、充放電コネクタは、例えば、ケーブル等によって、充放電制御装置と電気的に接続される。
【0028】
上記車両は、例えば、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)又は電気自動車(EV)等の電動車両として分類される車両であってもよい。上記車両は、上記のように、蓄電装置を備える車載電源部と、前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、を備える。
【0029】
上記車載電源部は、上記のように、蓄電装置を備える。上記蓄電装置は、例えば、二次電池やキャパシタ等を指す。また、上記車載充放電制御部は、上記のように、車両と充放電制御装置との間での電力の授受を制御する。具体的には、上記車載充放電制御部は、例えば、車両外部の充放電制御装置からの充電の開始や終了の合図に対応する信号を受信したり、車両外部の充放電制御装置への給電の開始や終了の合図に対応する信号を送信したり、車両外部の充放電制御装置の最大電流容量を受信したり、車両側の最大電流容量を送信したりする。また、上記車載充放電制御部は、例えば、上記信号や最大電流容量に応じて、上記車載電源部と上記接続部との間の電力経路に設けられたリレー等を制御して、車両外部の充放電制御装置からの充電に必要な充電経路や車両外部の充放電制御装置への給電に必要な給電経路を構成したり、これらの経路に流れる電流容量を調節したりする。
【0030】
更に、上記車載充放電制御部は、詳しくは後述するように、例えば、上記車載電源部が備える電力変換装置を制御して、車両外部の充放電制御装置から供給される電力を上記蓄電装置に適合する電力に変換したり、車両外部の充放電制御装置に供給する電力を当該電力を供給しようとする車両外部の電気負荷に適合する電力に変換したりする。
【0031】
上記接続部は、上記のように、上記充放電コネクタが嵌合されて上記車両が備える上記車載電源部及び上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置とを電気的に接続する。一方、上記充放電コネクタは、上記のように、上記車載電源部と上記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、上記車載充放電制御部又は上記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、を備える。従って、上記接続部は、上記充放電コネクタが備える個々の電力経路及び信号経路に対応する端子をそれぞれ備える。即ち、上記接続部は、充電用コネクタが接続されるインレットの役割と、放電用コネクタが接続されるアウトレットの役割と、を兼備する。
【0032】
尚、上記のように、上記充放電コネクタは、上記車載充放電制御部又は上記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路を備える。これは、上記充放電コネクタが備える全ての信号経路が、必ずしも、上記車載充放電制御部から上記充放電制御装置へと伝達される信号若しくは上記充放電制御装置から上記車載充放電制御部へと伝達される信号の何れか又は両方を伝達する信号経路でなくてもよいことを意味する。換言すれば、上記充放電コネクタは、当該充放電コネクタと上記車載充放電制御部の間又は当該充放電コネクタと上記充放電制御装置との間のみにおいて検出される信号を、それぞれ上記車載充放電制御部又は上記充放電制御装置に伝達する信号経路を備えていてもよいことを意味する。かかる信号経路としては、例えば、上記充放電コネクタと上記車載充放電制御部の間又は上記充放電コネクタと上記充放電制御装置との間で閉回路を形成し得る信号経路であって、かかる回路の性状(例えば、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス等)の差異又は変化によって、それぞれ上記車載充放電制御部又は上記充放電制御装置に何等かの制御信号を伝達するものであってもよい。
【0033】
上記第1操作部は、上記のように、少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる。上記第1操作部は、例えば、ユーザによって操作され、少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられるものであってもよく、かかる第1操作部の具体例としては、例えば、切換スイッチ等を挙げることができる。尚、後述するように、上記第1操作部の状態は、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出される。上記第1操作部の状態に対応する信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路は、充放電コネクタに別途設けられた専用の信号経路であってもよいが、充放電コネクタの構成の複雑化及び製造コストの増大を低減するためには、上記第1操作部の状態に対応する信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路は、既存の信号経路において上記第1操作部の状態に対応する信号を上記車載充放電制御部に伝達することができることが望ましい。
【0034】
かかる信号経路としては、例えば、上記のように、上記充放電コネクタと上記車載充放電制御部の間で閉回路を形成し得る信号経路であって、かかる回路の性状(例えば、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス等)の差異又は変化によって、上記車載充放電制御部に何等かの制御信号を伝達する信号経路であってもよい。この場合、上記第1操作部は、例えば、かかる信号経路に介在し、その状態に応じて、回路の性状を変化させる回路素子(例えば、抵抗、キャパシタ、インダクタ等)の接続状態を変化させる切換スイッチであってもよい。あるいは、上記第1操作部は、例えば、既存の信号経路に介在し、当該信号経路を導通させたり、遮断したりすることができる切換スイッチであってもよい。この場合、上記車載充放電制御部に伝達する信号は、上記第1操作部の状態に応じて変化する既存の信号経路における導通状態に対応する信号となる。尚、上記第1操作部の状態に対応する信号は、複数の信号経路を介して、上記車載充放電制御部に伝達されてもよい。
【0035】
斯くして、本実施態様に係る充放電コネクタにおいては、上記のように、上記充放電コネクタと上記接続部とが電気的に接続された状態において、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する上記充放電制御装置から上記車載電源部への充電動作、若しくは上記充放電制御信号を使用する上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号が、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御信号を使用しない上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出されるように構成される。
【0036】
換言すれば、本実施態様に係る充放電コネクタによれば、上記充放電コネクタと上記接続部とが電気的に接続された状態において、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する上記充放電制御装置から上記車載電源部への充電動作、若しくは上記充放電制御信号を使用する上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作、の何れかが許容されたことを、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御信号を使用しない上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作が許容されたことを、上記信号経路の少なくとも1系統を介して伝達される上記第1操作部の状態に対応する信号に基づいて、上記車載充放電制御部が検出する。
【0037】
上記により、上記車載充放電制御部は、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、前述のように、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号に基づいて、上記充放電制御装置による制御下で、上記充放電制御装置から上記車載電源部への充電動作若しくは上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作が行われる。即ち、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、上記充放電管理システムにおける通常の充電動作及び給電動作が行われる。一方、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作が行われる。即ち、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御装置による制御から離れて、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作が行われる。
【0038】
以上のように、本実施態様に係る充放電コネクタによれば、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、上記充放電管理システムにおける通常の充電動作及び給電動作を実行することができるのみならず、例えば、災害時等における停電や充放電制御装置の故障等に起因して充放電制御装置が正常に動作することができない状況においても、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御装置による制御から離れて、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作が行われるので、かかる場合においても、車両が備える蓄電装置に蓄えられた電力を有効に活用することができる。
【0039】
ところで、前述のように、当該技術分野においては、車載バッテリを住宅から充電することが可能な電気自動車の規格としては、アメリカ合衆国においてはSAEにより「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ」(非特許文献1)が制定されており、日本においても「電気自動車用コンダクティブ充電システム一般要求事項」(非特許文献2)が制定されている。また、非特許文献1及び非特許文献2においては、コントロールパイロット(CPLT)に関する規格が定められている。当該コントロールパイロットは、構内配線から車両へ電力を供給するEVSEの制御回路と車両の接地部とを車両側の制御回路を介して接続する制御線として定義されており、当該制御線を介して通信されるCPLT信号に基づいて、充電ケーブルの接続状態や電源から車両への電力供給の可否、EVSEの定格電流等が判断される。
【0040】
上記規格は当該技術分野において広く普及しており、本実施態様に係る充放電コネクタを使用する充放電管理システムもまた、可能である限り、上記規格と互換性を有するものであることが産業上望ましいことは言うまでも無い。
【0041】
従って、本発明の第2の実施態様は、
本発明の前記第1の実施態様に係る充放電コネクタであって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、
前記充放電制御信号が前記CPLT信号を含むように構成された、
充放電コネクタである。
【0042】
尚、前述のように、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、例えば、災害時等における停電や充放電制御装置の故障等に起因して充放電制御装置が正常に動作することができない状況等の非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする充放電コネクタを提供することを1つの目的とする。本発明に係る充放電コネクタにおいては、上記目的を達成すべく、上記のように第1操作部を設け、当該第1操作部の操作によって、通常時において充放電の制御に使用される充放電制御信号を使用せずに給電動作可能であることを車両側に検出させることにより、非常時において充放電制御信号を使用しない給電動作を車両に実行させようとするものである。
【0043】
上記のように、災害時等における停電や充放電制御装置の故障等に起因して充放電制御装置が正常に動作することができない状況等の非常時においては、CPLT信号が正しく発信されなかったり、全く発信されなかったりする虞がある。従って、かかる場合においてCPLT信号が車両側の車載充放電制御部によって検出されると、例えば、車載電源部から充放電制御装置への給電動作を実行させるべきであるにも拘わらず、接続部に充電用のコネクタが接続されているものと車載充放電制御部が誤認識する等、予期せぬ問題に繋がる虞がある。従って、本実施態様に係る充放電コネクタは、上記のように、少なくとも1系統以上の信号経路が、上記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、上記充放電制御信号がCPLT信号を含むように構成されるものの、非常時においては、CPLT信号を使用しない給電動作を車両に実行させることが望ましい。
【0044】
そこで、本発明の第3の実施態様は、
本発明の前記第2の実施態様に係る充放電コネクタであって、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合、前記CPLT信号経路を遮断するように構成された、
充放電コネクタである。
【0045】
上記のように、本実施態様に係る充放電コネクタは、上記第1操作部が上記第2状態にある場合、上記CPLT信号経路を遮断するように構成される。これにより、前述のように、例えば、災害時等における停電や充放電制御装置の故障等に起因して充放電制御装置が正常に動作することができない状況等の非常時において、CPLT信号が正しく発信されなかったり、全く発信されなかったりする場合においても、前述のような予期せぬ問題に繋がる可能性を回避することができる。
【0046】
ところで、本発明におけるように、充放電コネクタを介して車両と車両外部の充放電制御装置との電力の授受を行うに当たっては、車両が備える接続部に充放電コネクタが完全に嵌合し、車両と車両外部の充放電制御装置との電気的接続が確実に確保されていることが極めて重要である。従って、本発明にかかる充放電コネクタにおいても、車両が備える接続部と充放電コネクタとの嵌合状態に対応する信号を伝達する信号経路を備えることが望ましい。
【0047】
即ち、本実施態様の好ましい変形例に係る充放電コネクタは、
本発明の前記第1乃至前記第3の実施態様の何れか1つに係る充放電コネクタであって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含む、
充放電コネクタである。
【0048】
尚、前述のように、前述の第1操作部の状態に対応する信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路は、充放電コネクタに別途設けられた専用の信号経路であってもよいが、充放電コネクタの構成の複雑化及び製造コストの増大を低減するためには、既存の信号経路において上記第1操作部の状態に対応する信号を上記車載充放電制御部に伝達することが望ましい。従って、本実施態様のより好ましい変形例に係る充放電コネクタは、上記第1操作部の状態に対応する信号を、上記接続信号経路において、上記車載充放電制御部に伝達することが望ましい。
【0049】
即ち、本発明の第4の実施態様に係る充放電コネクタは、
本発明の前記第1乃至前記第3の実施態様の何れか1つに係る充放電コネクタであって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、
少なくとも特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第1操作部が前記第1状態にある場合には第1の性状を示し、前記第1操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成された、
充放電コネクタである。
【0050】
上記のように、本実施態様に係る充放電コネクタは、上記少なくとも1系統以上の信号経路が、上記充放電コネクタと上記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、少なくとも特定の嵌合状態における上記ケーブル接続信号の性状が、上記第1操作部が上記第1状態にある場合には第1の性状を示し、上記第1操作部が上記第2状態にある場合には上記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成される。これにより、本実施態様に係る充放電コネクタによれば、上記接続信号経路により、車両が備える接続部と充放電コネクタとの嵌合状態を確実に把握することができ、更に、上記第1操作部の状態に対応する信号を、上記接続信号経路において、上記車載充放電制御部に伝達することができる。これにより、本実施態様に係る充放電コネクタによれば、車両と車両外部の充放電制御装置との電気的接続を確保することが容易となることに加え、充放電コネクタの構成の複雑化及び製造コストの増大を低減しつつ、上記第1操作部の状態に対応する信号を上記車載充放電制御部に伝達することができる。
【0051】
ところで、本発明の前述の各種実施態様に係る充放電コネクタによれば、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する上記充放電制御装置から上記車載電源部への充電動作、若しくは上記充放電制御信号を使用する上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号が、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出される。斯くして上記車載充放電制御部が上記第1制御信号を検出した場合、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づいて、上記充電動作若しくは上記給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御することができる。具体的には、上記車載充放電制御部は、例えば、上記車載電源部と上記接続部との間の電力経路に設けられたリレー等を制御して、上記充放電制御装置から上記車載電源部が備える上記蓄電装置への充電に必要な充電経路、若しくは上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電に必要な給電経路を構成することができる。
【0052】
一方、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御信号を使用しない上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出される。斯くして上記車載充放電制御部が上記第2制御信号を検出した場合、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御することができる。具体的には、上記車載充放電制御部は、例えば、上記車載電源部と上記接続部との間の電力経路に設けられたリレー等を制御して、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電に必要な給電経路を構成することができる。
【0053】
上記により、上記車両は、上記充放電制御装置への給電を開始することが可能な状態となる。しかしながら、例えば、ユーザによる上記第1操作部の誤操作や電気負荷の誤接続の可能性等を考慮すると、上記充放電制御装置への給電の開始に先立ち、給電開始の合図に対応する更なる信号を上記車載充放電制御部が受信するステップを設ける方がより望ましい。
【0054】
上記給電開始の合図に対応する更なる信号、及び当該信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路は、特定の信号や信号経路に限定されるものではない。従って、当該信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路は、充放電コネクタに別途設けられた専用の信号経路であってもよいが、充放電コネクタの構成の複雑化及び製造コストの増大を低減するためには、当該信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路もまた、既存の信号経路であることが望ましい。例えば、上記給電開始の合図に対応する更なる信号を上記車載充放電制御部に伝達する信号経路は、上記接続信号経路であってもよい。
【0055】
即ち、本発明の第5の実施態様は、
本発明の前記第4の実施態様に係る充放電コネクタであって、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第2操作部が前記第1状態にある場合には前記第2の性状を示し、前記第2操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状及び前記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成された、
充放電コネクタである。
【0056】
上記のように、本実施態様に係る充放電コネクタは、少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、上記第1操作部が上記第2状態にある場合において、上記特定の嵌合状態における上記ケーブル接続信号の性状が、上記第2操作部が上記第1状態にある場合には上記第2の性状を示し、上記第2操作部が上記第2状態にある場合には上記第1の性状及び上記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成される。
【0057】
本実施態様に係る充放電コネクタによれば、上記第1操作部が上記第2状態にある場合に、上記車載充放電制御部が、上記第2制御信号を検出し、それにより、上記充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御している状態において、例えば、ユーザによって上記第2操作部を操作して、上記第2操作部を上記第1状態と第2状態との間で切り替えることにより、上記特定の嵌合状態における上記ケーブル接続信号の性状が上記第2の性状と上記第3の性状との間で変化したことを上記車載充放電制御部が検出し、これにより、上記車載充放電制御部が上記充放電制御装置への給電の開始することができる。
【0058】
上記のように、本実施態様に係る充放電コネクタによれば、上記第1操作部が、上記第2状態にある場合に上記車載充放電制御部が上記第2制御信号を検出し、上記充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御していても、上記第2操作部が操作されて、上記特定の嵌合状態における上記ケーブル接続信号の性状が上記第2の性状と上記第3の性状との間で変化したことを上記車載充放電制御部が検出するまでは、上記充放電制御装置への給電が開始されない。従って、前述のような、例えば、ユーザによる上記第1操作部の誤操作や電気負荷の誤接続に起因する予期せぬトラブルを未然に防ぐことができる。
【0059】
尚、上記ケーブル接続信号の性状を上記第2の性状と上記第3の性状との間で変化させるには、上記第2操作部を上記第1状態と第2状態との間で切り替える操作を、例えば、ユーザが行ってもよい。尚、当該操作は、例えば、上記第2操作部への意図せぬ接触等が上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電を開始させることが無いように配慮して定める必要がある。例えば、上記第2操作部を、バネ等の弾性体によって上記第1状態になるように付勢し、状態を切り替えるためのボタンやレバー等の操作部材をユーザが操作することによって第2状態とすることができ、当該操作を解除すると上記弾性体による付勢により元の第1状態に戻るように構成した場合を想定する。
【0060】
上記の場合、例えば、ユーザが上記操作部材に誤って触れ、直ぐに離れた場合、上記操作部の状態が第1状態から第2状態に変化し、直ぐに上記第1状態に戻る。この際、上記特定の嵌合状態における上記ケーブル接続信号の性状は、上記第2の性状から上記第3の性状に変化し、直ぐに上記第2の性状に戻る。従って、上記ケーブル接続信号の性状のかかる変化が上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電を開始させる合図に対応する信号と誤認識されないようにするには、例えば、ユーザが上記操作部材に誤って触れた場合には起こる可能性が低いパターンで上記ケーブル接続信号の性状が変化した場合にのみ、上記充放電制御装置への給電が開始されるように規定すればよい。
【0061】
かかる変動パターンとしては、例えば、上記ケーブル接続信号の性状が上記第2の性状から上記第3の性状に変化して上記第2の性状に戻る変動パターンを所定の短い期間中に複数回(例えば、2回等)検出した場合には、上記充放電制御装置への給電が開始されるように規定してもよい。また、第2操作部のかかる操作に加えて、車両のイグニッション・オン操作をも行うことにより、上記充放電制御装置への給電が開始されるように規定してもよい。
【0062】
ところで、本実施態様に係る充放電コネクタにおいて、上記充放電コネクタと上記接続部との嵌合状態に応じて変化するケーブル接続信号の性状は、例えば、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス等であってもよい。この場合、上記第1操作部は、例えば、かかる信号経路に介在し、その状態に応じて、回路の性状を変化させる回路素子(例えば、抵抗、キャパシタ、インダクタ等)の接続状態を変化させる切換スイッチであってもよい。あるいは、上記第1操作部は、例えば、既存の信号経路に介在し、当該信号経路を導通させたり、遮断したりすることができる切換スイッチであってもよい。
【0063】
例えば、上記回路素子として抵抗を使用し、且つ本実施態様に係る充放電コネクタが接続部に挿入・嵌合された状態をロックする突起部を充放電コネクタに設け、当該突起部と嵌合する窪みを上記接続部の上記突起部に対向する部位に設け、上記突起部を上記窪みから離れる方向に移動させてロックを解除するロック解除ボタンを充放電コネクタに設け、上記ロック解除ボタンを条規第1操作部と連動するようにした場合、充放電コネクタと接続部との嵌合状態に応じて変化する上記ケーブル接続信号の性状は、接続信号経路のインピーダンスとなる。
【0064】
即ち、本発明の第6の実施態様は、
本発明の前記第4又は前記第5の実施態様の何れか1つに係る充放電コネクタであって、
前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて変化する前記ケーブル接続信号の前記性状が、前記接続信号経路のインピーダンスである、
充放電コネクタである。
【0065】
ところで、前述のように、車載バッテリを住宅から充電することが可能な電気自動車の規格としては、アメリカ合衆国においてはSAEにより「エスエーイー・エレクトリック・ビークル・コンダクティブ・チャージ・カプラ」(非特許文献1)が制定されており、昨今普及しつつあるプラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)や電気自動車(EV)等が搭載する蓄電装置への充電を行うための充電システムは、上記SAEが定める規格に準拠したものが主流となっている。
【0066】
上記SAEが定める種々の規格のうち、外部の給電装置から車両が搭載する蓄電装置への充電を行う充電システムにおける種々の制御信号、ケーブル、及びコネクタ等に関する規格としては、J1772規格が定められている。これらの種々の制御信号には、例えば、充電ケーブルの接続状態や電源から車両への電力供給の可否、EVSEの定格電流等を車両側の制御回路に伝達するためのCPLT信号(パイロット信号)や信号経路のインピーダンスが変化することによって充電用コネクタと接続部(インレット)との嵌合状態を判定するための情報を伝達するPISW信号(ケーブル接続信号)等が含まれる。
【0067】
上記種々の制御信号のうち、PISW信号は、充電用コネクタと接続部(インレット)との嵌合状態に対応する信号経路のインピーダンスの変化が、例えば、外部の給電装置から前記車両が搭載する蓄電装置への充電を行う充電システムが備える検出手段によって検出され、当該検出値に基づいて、例えば、充電システムが備える制御装置によって、コネクタと接続部との嵌合状態が判定される。即ち、当該PISW信号を伝達する信号経路は、上記接続信号経路に相当する。従って、PISW信号を伝達する信号経路を、本実施態様に係る充放電コネクタにおける接続信号経路として使用するのが望ましい。
【0068】
従って、本発明の第7の実施態様は、
本発明の前記第6の実施態様に係る充放電コネクタであって、
前記ケーブル接続信号がPISW信号であり、
前記接続信号経路がPISW信号経路である、
充放電コネクタである。
【0069】
尚、上記SAEが定めるJ1772規格に準拠するPISW信号経路においては、充電用コネクタと接合部との嵌合状態が、未嵌合状態、嵌合状態、接続状態の順に進むにつれて、車両が備える車載充放電制御部によって検出されるPISW信号経路のインピーダンスが段階的に低下するように構成されている。ここで、未嵌合状態とは、充放電コネクタが接続部から脱離している状態を指し、嵌合状態とは、充放電コネクタが接続部に挿入されているものの、ロック解除ボタン(詳細については後述)が押されており、充放電コネクタが接続部にロックされていない状態を指し、接続状態とは、充放電コネクタが接続部に挿入されており、充放電コネクタが接続部にロックされている状態を指す。
【0070】
これまでの説明において、本発明の各種実施態様に係る充放電コネクタが備える少なくとも1系統の信号経路に含まれる具体的な信号経路の例として、SAEが定めるJ1772規格に準拠するCPLT信号経路やPISW信号経路を挙げて説明したが、本発明に係る充放電コネクタ、車両、及び充放電管理システムに含まれる信号経路は、SAEが定めるJ1772規格に準拠する信号経路や本明細書において例示する個々の信号経路に限定されるものと解釈されるべきではない。即ち、本発明の種々の実施態様に係る充放電コネクタ、車両、及び充放電管理システムは、必要に応じて、種々の様式及び性状を有する種々の信号を伝達する種々の信号経路を備えていてもよい。
【0071】
ところで、前述のように、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能であり、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能である車両を提供することをもう1つの目的とする。そこで、本発明の種々の実施態様に係る車両につき、以下に説明する。但し、本発明の種々の実施態様に係る充放電コネクタに関する上述の説明において述べた事項と重複する内容については割愛し、個々の実施態様の構成要件についてのみ列挙することとする。
【0072】
先ず、本発明の第8の実施態様は、
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、充放電コネクタと、を含む充放電管理システムにおいて、前記充放電コネクタを介する前記充放電制御装置との電力の授受が可能な車両であって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタは、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、前記車載充放電制御部が
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号を、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号を、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して検出し、
前記第1制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づいて、前記充電動作若しくは前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御し、
前記第2制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づくこと無く、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御する、
車両である。
【0073】
上記のように、本実施態様に係る車両によれば、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とすることができる。
【0074】
また、本発明の第9の実施態様は、
本発明の前記第8の実施態様に係る車両であって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、
前記充放電制御信号が前記CPLT信号を含む、
車両である。
【0075】
更に、本発明の第10の実施態様は、
本発明の前記第9の実施態様に係る車両であって、
前記充放電コネクタが、前記第1操作部が前記第2状態にある場合に前記CPLT信号経路を遮断するように構成されており、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記CPLT信号が検出されないことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
車両である。
【0076】
加えて、本発明の第11の実施態様は、
本発明の前記第8乃至前記第10の実施態様の何れか1つに係る車両であって、
前記充放電コネクタが、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、
少なくとも特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第1操作部が前記第1状態にある場合には第1の性状を示し、前記第1操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状を示すことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
車両である。
【0077】
また、本発明の第12の実施態様は、
本発明の前記第11の実施態様に係る車両であって、
前記充放電コネクタが、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第2操作部が前記第1状態にある場合には前記第2の性状を示し、前記第2操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状及び前記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状と前記第3の性状との間で変化した場合に、前記給電動作を実行するように前記車両を制御する、
車両である。
【0078】
更に、本発明の第13の実施態様は、
本発明の前記第11又は前記第12の実施態様の何れか1つに係る車両であって、
前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて変化する前記ケーブル接続信号の前記性状が、前記接続信号経路のインピーダンスである、
車両である。
【0079】
加えて、本発明の第14の実施態様は、
本発明の前記第13の実施態様に係る車両であって、
前記ケーブル接続信号がPISW信号であり、
前記接続信号経路がPISW信号経路である、
車両である。
【0080】
ところで、前述のように、本発明に係る車両は、例えば、プラグイン・ハイブリッド自動車(PHV)であってもよい。PHVやHVは、例えば、電力によって駆動する電動機と燃料の燃焼によって発生するエネルギーを運動エネルギーに変換して駆動する内燃機関とを動力装置として備える車両である。これらのハイブリッド自動車においては、車両が搭載する内部充電装置により、車両が搭載する蓄電装置を充電することができる。このように、蓄電装置を充電することができる内部充電装置を備える車両は、蓄電装置に蓄えられた電力を外部に給電しつつ、当該蓄電装置を充電することができるので、かかる内部充電装置を備えない車両と比較して、より長い期間に亘って給電動作を継続することができるので、非常用の電力供給源としては、より望ましい。
【0081】
即ち、本発明の第15の実施態様は、
本発明の前記第8乃至前記14の実施態様の何れか1つに係る車両であって、
前記車載電源部が、前記蓄電装置に電力を供給して前記蓄電装置を充電する内部充電装置を更に備える、
車両である。
【0082】
上記ハイブリッド自動車においては、上記のように、車両が搭載する内部充電装置により、車両が搭載する蓄電装置を充電することができる。具体的には、上記ハイブリッド自動車は、車両が搭載する何等かの動力装置から供給される動力により、例えば、回転電機(ジェネレータ)等の発電装置を駆動して、当該発電装置から電力を発生させ、当該電力により上記蓄電装置を充電することができる。尚、一般的に、他の動力装置から供給される動力により発電装置を駆動することによって発生する電力は交流電力であることが多い。一方、例えば、蓄電池やキャパシタ等の蓄電装置に蓄えることができる電力は直流であることが一般的である。従って、内部充電装置により蓄電装置を充電することができる車両においては、上記発電装置から発生する電力(交流)を上記蓄電装置に適合する電力(直流)に変換する電力変換装置を備えることが望ましい。尚、かかる電力変換装置の具体例としては、例えば、AC/DCコンバータ等を挙げることができる。
【0083】
従って、本発明の第16の実施態様は、
本発明の前記第15の実施態様に係る車両であって、
前記内部充電装置が、前記車両が備える動力装置から供給される動力により電力を発生する発電装置、及び前記発電装置から発生する電力を前記蓄電装置に適合する電力に変換する第1電力変換装置、
を更に備える、
車両である。
【0084】
ところで、ハイブリッド自動車は、電力によって駆動する電動機と燃料の燃焼によって発生するエネルギーを運動エネルギーに変換して駆動する内燃機関とを動力装置として備える車両である。前述のように、ハイブリッド自動車(HV)においては、例えば、HVに搭載された内燃機関又は回生ブレーキ等によって、通常時は動力源として機能するモータを発電装置として駆動して、HVに搭載された蓄電装置を充電することができる。
【0085】
即ち、本発明の第17の実施態様は、
本発明の前記第16の実施態様に係る車両であって、
前記動力装置が内燃機関である、
車両である。
【0086】
また、前述のように、本発明に係る車両によれば、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とすることができる。本発明に係る車両においては、前述のように、上記第1操作部をそれぞれ第1状態に切り替えるか第2状態に切り替えるかによって通常時と非常時とを切り換えている。前述のように、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御信号を使用しない上記車載電源部から上記充放電装置への給電動作を許容するための第2制御信号を上記車載充放電制御部が検出し、上記充放電制御信号に基づくこと無く給電動作を実行可能な状態となるように上記車載充放電制御部が上記車両を制御する。
【0087】
即ち、上記車載充放電制御部が上記第2制御信号を検出した場合は非常時に該当する。従って、かかる場合においては、前述のように、蓄電装置に蓄えられた電力を外部に給電しつつ、上記内部充電装置によって当該蓄電装置を充電することにより、より長い期間に亘って給電動作を継続することが望ましい。前述のように、上記内部充電装置によって当該蓄電装置を充電するためには発電装置を駆動することが必要であり、そのためには何等かの動力装置から発電装置に総力を供給することが必要である。
【0088】
従って、本発明の第18の実施態様は、
本発明の前記第16又は前記第17の実施態様の何れか1つに係る車両であって、
前記車載充放電制御部が、前記第2制御信号を検出した場合において、前記動力装置を稼働可能な状態となるように前記車両を制御する、
車両である。
【0089】
上記のように、本実施態様に係る車両においては、蓄電装置に蓄えられた電力を外部に給電しつつ、上記動力装置を稼働させて上記発電装置を駆動して電力を発生させ、当該電力によって上記蓄電装置を充電することができるので、より長い期間に亘って給電動作を継続することができる。
【0090】
ところで、本発明の前述の各種実施態様に係る車両においては、上記充放電コネクタに設けられた上記第1操作部が上記第1状態にある場合は、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する上記充放電制御装置から上記車載電源部への充電動作、若しくは上記充放電制御信号を使用する上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号が、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出される。斯くして上記車載充放電制御部が上記第1制御信号を検出した場合、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づいて、上記充電動作若しくは上記給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御することができる。具体的には、上記車載充放電制御部は、例えば、上記車載電源部と上記接続部との間の電力経路に設けられたリレー等を制御して、上記充放電制御装置から上記車載電源部が備える上記蓄電装置への充電に必要な充電経路、若しくは上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電に必要な給電経路を構成することができる。
【0091】
上記において、上記充放電制御装置から上記車載電源部への充電動作においては、上記充放電制御装置が、上記外部電源から供給される電力を、上記充放電コネクタを介して、上記車載電源部に供給し、上記蓄電装置を充電する。ところが、上記外部電源が各家庭等に供給される商用電源である場合、上記外部電源から供給される電力は交流である。一方、蓄電装置に蓄えることができる電力は直流であることが一般的である。従って、上記車載電源部は、上記充放電制御装置から上記車載電源部に供給される電力(交流)を上記蓄電装置に適合する電力(直流)に変換する電力変換装置を備えることが望ましい。尚、かかる電力変換装置の具体例としては、例えば、AC/DCコンバータ等を挙げることができる。
【0092】
従って、本発明の第19の実施態様は、
本発明の前記第8乃至前記第18の実施態様の何れか1つに係る車両であって、
前記車載電源部が、前記充電動作を実行する際に前記充放電制御装置から前記車載電源部に供給される電力を、前記蓄電装置に適合する電力に変換する第2電力変換装置、
を更に備える、
車両である。
【0093】
一方、上記のように、上記車載充放電制御部が上記第1制御信号を検出した場合においては、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づいて、上記給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御することもできる。また、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御信号を使用しない上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出される。斯くして上記車載充放電制御部が上記第2制御信号を検出した場合、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御することができる。何れの場合も、上記車載充放電制御部は、例えば、上記車載電源部と上記接続部との間の電力経路に設けられたリレー等を制御して、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電に必要な給電経路を構成することができる。
【0094】
上記において、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電動作においては、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から供給される電力を、上記充放電コネクタを介して、上記充放電制御装置に供給する。この際、上記車載充放電制御部が上記第1制御信号を検出した場合においては、通常の上記充放電制御装置による制御下において、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から供給される電力が、車両外部の電気負荷に供給される。一方、上記車載充放電制御部が上記第2制御信号を検出した場合においては、通常の上記充放電制御装置による制御下から離れて、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から供給される電力が、車両外部の電気負荷に直接供給される。
【0095】
ところが、車両外部の電気負荷は、例えば、各家庭等に供給される商用電源を使用することを前提に設計されているものが多い、即ち、車両外部の電気負荷が必要とする電源電力は、多くの場合、交流電力である。一方、蓄電装置に蓄えることができる電力は直流であることが一般的である。従って、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から供給される電力もまた直流である。このため、上記車載電源部は、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置に供給される電力(直流)を車両外部の電気負荷に適合する電力(交流)に変換する電力変換装置を備えることが望ましい。尚、かかる電力変換装置の具体例としては、例えば、DC/ACインバータ等を挙げることができる。
【0096】
従って、本発明の第20の実施態様は、
本発明の前記8乃至前記19の実施態様の何れか1つに係る車両であって、
前記車載電源部が、前記給電動作を実行する際に前記車載電源部から前記充放電制御装置に供給される電力を、当該電力を供給しようとする車両外部の電気負荷に適合する電力に変換する第3電力変換装置、
を更に備える、
車両である。
【0097】
ところで、前述のように、本発明は、通常時は充放電管理システムによる制御下において車両と外部との間で相互に電力を伝達可能とし、非常時には充放電管理システムに依らず車両から外部に電力を供給可能とする充放電管理システムを提供することを更にもう1つの目的とする。そこで、本発明の種々の実施態様に係る充放電管理システムにつき、以下に説明する。但し、本発明の種々の実施態様に係る充放電コネクタ及び車両に関する上述の説明において述べた事項と重複する内容については割愛し、個々の実施態様の構成要件についてのみ列挙することとする。
【0098】
先ず、本発明の第21の実施態様は、
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、充放電コネクタと、を含む充放電管理システムであって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタは、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、前記車載充放電制御部が
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号を、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号を、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して検出し、
前記第1制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づいて、前記充電動作若しくは前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御し、
前記第2制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づくこと無く、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御する、
充放電管理システムである。
【0099】
また、本発明の第22の実施態様は、
本発明の前記第21の実施態様に係る充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが備える前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、
前記充放電制御信号が前記CPLT信号を含む、
充放電管理システムである。
【0100】
更に、本発明の第23の実施態様は、
本発明の前記第22の実施態様に係る充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが、前記第1操作部が前記第2状態にある場合に前記CPLT信号経路を遮断するように構成されており、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記CPLT信号が検出されないことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
充放電管理システムである。
【0101】
加えて、本発明の第24の実施態様は、
本発明の前記第21乃至前記第23の実施態様の何れか1つに係る充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、
少なくとも特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第1操作部が前記第1状態にある場合には第1の性状を示し、前記第1操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状を示すことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
充放電管理システムである。
【0102】
また、本発明の第25の実施態様は、
本発明の前記第24に係る充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第2操作部が前記第1状態にある場合には前記第2の性状を示し、前記第2操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状及び前記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状と前記第3の性状との間で変化した場合に、前記給電動作を実行するように前記車両を制御する、
充放電管理システムである。
【0103】
更に、本発明の第26の実施態様は、
本発明の前記第24又は前記第25の実施態様の何れか1つに係る充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて変化する前記ケーブル接続信号の前記性状が、前記接続信号経路のインピーダンスである、
充放電管理システムである。
【0104】
加えて、本発明の第27の実施態様は、
本発明の前記第26の実施態様に係る充放電管理システムであって、
前記ケーブル接続信号がPISW信号であり、
前記接続信号経路がPISW信号経路である、
充放電管理システムである。
【0105】
また、本発明の第28の実施態様は、
本発明の前記第21乃至前記第27の実施態様の何れか1つに記載の充放電管理システムであって、
前記車載電源部が、前記蓄電装置に電力を供給して前記蓄電装置を充電する内部充電装置を更に備える、
充放電管理システムである。
【0106】
更に、本発明の第29の実施態様は、
本発明の前記第28の実施態様に係る充放電管理システムであって、
前記内部充電装置が、前記車両が備える動力装置から供給される動力により電力を発生する発電装置、及び前記発電装置から発生する電力を前記蓄電装置に適合する電力に変換する第1電力変換装置、
を更に備える、
充放電管理システムである。
【0107】
加えて、本発明の第30の実施態様は、
本発明の前記第29の実施態様に係る充放電管理システムであって、
前記動力装置が内燃機関である、
充放電管理システムである。
【0108】
また、本発明の第31の実施態様は、
本発明の前記第29又は前記第30の実施態様の何れか1つに係る充放電管理システムであって、
前記車載充放電制御部が、前記第2制御信号を検出した場合において、前記動力装置を稼働可能な状態となるように前記車両を制御する、
充放電管理システムである。
【0109】
更に、本発明の第32の実施態様は、
本発明の前記第21乃至前記第31の実施態様の何れか1つに係る充放電管理システムであって、
前記車載電源部が、前記充電動作を実行する際に前記充放電制御装置から前記車載電源部に供給される電力を、前記蓄電装置に適合する電力に変換する第2電力変換装置、
を更に備える、
充放電管理システムである。
【0110】
加えて、本発明の第33の実施態様は、
本発明の前記第21乃至前記第32の実施態様の何れか1つに係る充放電管理システムであって、
前記車載電源部が、前記給電動作を実行する際に前記車載電源部から前記充放電制御装置に供給される電力を、当該電力を供給しようとする車両外部の電気負荷に適合する電力に変換する第3電力変換装置、
を更に備える、
充放電管理システムである。
【0111】
ところで、前述のように、上述の各種実施態様に係る充放電管理システムにおいては、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、上記充放電制御信号を使用しない上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、上記信号経路の少なくとも1系統を介して、上記車載充放電制御部によって検出される。斯くして上記車載充放電制御部が上記第2制御信号を検出した場合、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御することができる。具体的には、上記車載充放電制御部は、例えば、上記車載電源部と上記接続部との間の電力経路に設けられたリレー等を制御して、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電に必要な給電経路を構成することができる。
【0112】
しかしながら、前述のように、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は、例えば、災害時等における停電や充放電制御装置の故障等に起因して充放電制御装置が正常に動作することができない状況にあることが想定される。かかる場合においても、通常時と同じ電力経路によって、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置に電力を供給しても、上記充放電制御装置から車両外部の電気負荷に電力が適切に供給されない虞がある。
【0113】
従って、上記のような場合においては、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置に電力を、通常時と同じ電力経路によって、上記充放電制御装置に供給するのではなく、上記充放電制御装置を介すること無く、例えば、車両外部の電気負荷を接続することが可能なコンセントに繋がっている配電盤や非常用のコンセント等に直接供給することが望ましい。
【0114】
上記のように、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置に電力を、通常時とは異なり、例えば、車両外部の電気負荷を接続することが可能なコンセントに繋がっている配電盤や非常用のコンセント等に直接供給するためには、例えば、上記充放電コネクタと上記充放電制御装置とを電気的に接続する経路上に、例えば、車両外部の電気負荷を接続することが可能なコンセントに繋がっている配電盤や非常用のコンセント等に繋がる分岐経路を設け、例えば、切換スイッチ等の操作部を当該分岐点に設け、当該操作部を操作することにより、上記充放電コネクタと上記充放電制御装置との電気的接続を遮断し、上記充放電コネクタと、例えば、車両外部の電気負荷を接続することが可能なコンセントに繋がっている配電盤や非常用のコンセント等とを電気的に接続することができるように、充放電管理システムを構成することができる。
【0115】
尚、上記の場合、前述のように、上記車載充放電制御部は、前述のように、上記充放電制御信号に基づくこと無く、上記車載電源部から上記充放電制御装置への給電動作を実行可能な状態となるように上記車両を制御する。従って、上記車載充放電制御部と上記充放電制御装置との間で伝達される上記制御信号は使用されない(使用することができない)ので、上記分岐点(操作部)と、例えば、車両外部の電気負荷を接続することが可能なコンセントに繋がっている配電盤や非常用のコンセント等とを電気的に接続する経路は、上記制御信号を伝達するための信号経路を備える必要は無い。
【0116】
即ち、本発明の第34の実施態様は、
本発明の前記第21乃至前記第33の実施態様の何れか1つに係る充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタと前記充放電制御装置とを電気的に接続する経路に介在し、前記充放電コネクタと前記充放電制御装置との電気的接続状態を少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第3操作部を更に備え、
前記第3操作部が前記第1状態にある場合は、前記充放電コネクタと前記充放電制御装置とが電気的に接続され、
前記第3操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電コネクタと前記充放電制御装置とが電気的に遮断されると共に、少なくとも前記充放電コネクタが備える前記電力経路と車両外部の電気負荷に電力を供給することが可能な電力経路とが電気的に接続される、
充放電管理システムである。
【0117】
ところで、上記第3操作部は、例えば、ユーザによる操作によって、上記のように、上記充放電コネクタと上記充放電制御装置とを電気的に接続する経路と、上記充放電コネクタと車両外部の電気負荷に電力を供給することが可能な電力経路とを電気的に接続する経路とを、切り替えるものであってもよい。しかしながら、例えば、ユーザによる誤操作等により、上記第3操作部が上記第1状態にある状態(即ち、上記充放電コネクタと上記充放電制御装置とが電気的に接続された状態)において、上記第1操作部の切り替え状態及び上記第2操作部の切り替え操作に基づいて、上記車載電源部が備える上記蓄電装置から上記充放電制御装置への給電が開始され、且つ上記充放電制御装置から上記車載電源部が備える上記蓄電装置への充電も開始されると、これらの電力間で電力非同期が発生する虞がある。
【0118】
従って、本実施態様に係る充放電管理システムにおいては、上記第1操作部が上記第1状態にある場合は上記第3操作部が上記第1状態にあり、上記第1操作部が上記第2状態にある場合は上記第3操作部が上記第2状態にあるように、上記第1操作部と上記第3操作部とが連動するように構成されていることが望ましい。
【0119】
即ち、本発明の第35の実施態様は、
本発明の前記第34の実施態様に係る充放電管理システムであって、
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は前記第3操作部が前記第1状態にあり、前記第1操作部が前記第2状態にある場合は前記第3操作部が前記第2状態にあるように、前記第1操作部と前記第3操作部とが連動する、
充放電管理システムである。
【0120】
尚、本実施態様に係る充放電管理システムにおいて、上記第1操作部と上記第3操作部とを連動させるための具体的な手法は、特に限定されない。例えば、上記第1操作部と上記第3操作部とを機械的に連結して、上記第1操作部と上記第3操作部とを連動させてもよい。あるいは、例えば、上記第1操作部及び上記第3操作部をリレーによって構成し、両方の操作部の状態を監視して、両方の操作部の状態が連動して変化するように制御する制御部を別途設けてもよい。
【0121】
実際の操作としては、例えば、先ず最初に上記第3操作部を第2状態に設定し、次に充放電コネクタが備える第1操作部を第2状態に設定した上で、充放電コネクタを車両が備える接続部に嵌合・接続させてから、車両のイグニッション・オン操作を行い、最後に充放電コネクタが備える第2操作部に対して前述のような所定の操作を行うことにより、充放電制御信号を使用しない車載電源部から車両外部への給電動作を開始させてもよい。
【0122】
ところで、本発明の種々の実施態様に係る充放電管理システムに含まれる充放電制御装置は、所謂「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」に該当する機能を有するものであってもよい。EMSの例としては、例えば、一般の住居等において、EMSが備える蓄電装置と車両が備える蓄電装置とを含み、ユーザが指定する優先順位(例えば、コスト削減優先、CO排出量削減優先、車両の充電完了時刻設定等)に基づいて、例えば、電気料金が安い時間帯にEMSが備える蓄電装置や車両が備える蓄電装置に商用電源からの系統電力を蓄えたり、電気料金が高い時間帯にはEMSが備える蓄電装置に蓄えた電力を使用したり、指定された優先順位によっては車両が備える蓄電装置に蓄えた電力を使用したりして、電力コストの削減や、CO排出量の削減を図ろうとする「ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)」と称されるものが挙げられる。また、同様のシステムをオフィスビル等に適用する「ビルディングエネルギーマネジメントシステム(BEMS)」と称されるものも活用され始めている。本発明は、かかるEMSにも適用することができる。
【0123】
また、本発明の各種実施態様に係る充放電コネクタ、車両、及び充放電仮システムにおいては、例えば、制御信号やデータ通信が途絶えた場合に充放電を停止したり、充放電の最中に車両が誤発進することを防止したり、漏電が検知された際に充放電を停止したり、短絡等による過電流を防止するための保護機能を設けたり、所定値よりも高い電圧が印加される電力経路や信号経路についてはコネクタの脱離時に速やかに(リレーを開放する等して)経路を遮断すると共に、速やかに電圧が低下するように措置を施したりする、種々の安全対策を盛り込むことができることじは言うまでも無い。
【0124】
以下、本発明の特定の実施態様につき、添付図面を参照しつつ説明する。但し、以下に述べる説明はあくまで例示を目的とするものであり、本発明の範囲が以下の説明に限定されるものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0125】
1)充放電管理システムの構成
図1は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係る充放電管理システムの構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施例に係る充放電管理システム100は、充放電コネクタ110、車両120、車両外部の外部電源(図示せず)、車両外部の充放電制御装置130、及び車両外部の電気負荷140を含む。充放電制御装置130及び電気負荷140は、家屋150の内部に設置されている。また、充放電制御装置130には、一般家庭用の商用電源(図示せず)が接続されており、通常時は充放電制御装置130を介して各電気負荷140に配電されている。
【0126】
即ち、本実施例に係る充放電管理システム100は、例えば、前述のHEMSに該当する充放電管理システムであってもよい。この場合、充放電制御装置130は、外部蓄電装置(図示せず)を備え、例えば、充放電制御装置130が備えるユーザインターフェイスを介してユーザが指定した優先順位(例えば、コスト削減優先、CO排出量削減優先、車両の充電完了時刻設定等)に基づいて、電気料金が安い時間帯に外部蓄電装置(図示せず)や車両120が備える蓄電装置(図示せず)に商用電源からの系統電力を蓄えたり、電気料金が高い時間帯には外部蓄電装置(図示せず)に蓄えた電力を使用したり、指定された優先順位によっては車両120が備える蓄電装置(図示せず)に蓄えた電力を使用したりして、電力コストの削減や、CO排出量の削減を図っている。
【0127】
2)充放電コネクタが備える電力経路及び信号経路の概略構成
図2は、前述のように、本発明の1つの実施態様に係る充放電コネクタ110が備える電力経路及び信号経路の概略を示す回路図である。尚、図2に示す回路図において、一点鎖線によって囲んだ切換スイッチSW1及びSW3(それぞれ、操作部1及び3に該当)は、何れも2つの信号経路が連動して切り替わることを意味する。また、図2に示す回路図は、図1に示す充放電管理システム100に含まれる充放電コネクタ110の回路図であるものとして説明する。従って、本実施例においては、図1及び図2の両方を参照しつつ、充放電コネクタ110の詳細について説明する。
【0128】
本実施例に係る充放電コネクタ110は、車両120が備える接続部(図示せず)への嵌合状態に応じたインピーダンスを呈するPISW信号経路111及び112、車両120と充放電制御装置130との間で送受信される制御信号を伝達する信号経路CPLT、及び車両120と充放電制御装置130との間で授受される電力を伝達する電力経路ACIH及びACICを備えている。充放電コネクタ110が備える各経路の端子PISW、CPLT、ACIH、ACIC、及びGND(図2中の大きい白丸によって示す)は、車両120が備える接続部(図2の右側)との嵌合時に、対応する各経路の端子と接触し、車両120と充放電制御装置130との間において各経路の電気的接続を確立するように構成されている。
【0129】
また、本実施例においては、充放電コネクタ110において、PISW信号経路111は通常用、PISW信号経路112は非常用のPISW信号経路であり、充放電コネクタ110が備える第1操作部SW1によって、何れのPISW信号経路を導通させるかを切り替えることができるように構成されている。また、充放電コネクタ110が備える第1操作部SW1は、通常用のPISW信号経路111を導通させる場合(第1状態)においてはCPLT信号経路を導通させ、非常用のPISW信号経路112を導通させる場合(第2状態)においてはCPLT信号経路を遮断するように構成されている。
【0130】
これにより、本実施例に係る充放電コネクタ110は、第1操作部SW1が第2状態にある場合(非常時)において、車両120と充放電制御装置130との間で送受信される制御信号(CPLT信号)を伝達する信号経路(CPLT信号経路)を遮断している。一方、PISW信号経路については、第1操作部SW1(図示せず)により、通常用のPISW信号経路は遮断され、非常用のPISW信号経路が導通されている。
【0131】
結果として、車両120が備える車載充放電制御部(図示せず)は、車両120と充放電制御装置130との間で送受信される制御信号を使用しない給電動作が可能な状態であることを検出し、充放電制御装置130による制御から離れて、車両120が備える蓄電装置(図示せず)に蓄えた電力を、充放電コネクタ110を介して、車両外部に供給する給電動作を実行できるように、車両120内部の電力経路(図示せず)を構成する。
【0132】
一方、図1に示す状態においては、第3操作部SW3の状態が非常時に対応する第2状態(図1における下側の電力経路)に設定されている。これにより、車両120が備える蓄電装置(図示せず)から供給される電力は、第3操作部SW3から充放電制御装置130に繋がる電力経路には供給されず、車両外部の電気負荷140に直接供給することができる。尚、実際に車両外部の電気負荷140への給電を開始するには、非常用のPISW信号経路112に含まれる第2操作部SW2に対して所定の操作(例えば、所定の期間内に状態を複数回切り替える操作等)を行い、車両120が備える車両充放電制御部(図示せず)に給電開始を指示すればよい。
【0133】
このように、本実施例に係る充放電コネクタ110によれば、第3操作部SW3を操作して第2状態(図1における下側の電力経路)に切り替えておき、第1操作部SW1を操作して第2状態(図2における左側)に設定してPISW信号経路を非常用(112)に切り替えることにより、充放電制御装置130による制御から離れて、車両120が備える蓄電装置(図示せず)から供給される電力を車両外部の電気負荷140に供給することができる。
【0134】
尚、本実施例に係る充放電管理システム100を、充放電制御装置130による制御下において、通常の状態で動作させる場合は、第3操作部SW3を操作して第1状態(図1における上側の電力経路)に切り替えておき、第1操作部SW1を操作して第1状態(図2における右側)に設定してPISW信号経路を通常用(111)に切り替えておけばよい。
【0135】
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する実施例について説明してきたが、本発明の範囲は、かかる例示的な実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることができることは言うまでも無い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、を含む充放電管理システムにおいて、前記車両と前記充放電制御装置とを電気的に接続して前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を可能とする充放電コネクタであって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタが、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号が、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号が、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して、前記車載充放電制御部によって検出されるように構成された、
充放電コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の充放電コネクタであって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、
前記充放電制御信号が前記CPLT信号を含むように構成された、
充放電コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の充放電コネクタであって、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合、前記CPLT信号経路を遮断するように構成された、
充放電コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の充放電コネクタであって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、
少なくとも特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第1操作部が前記第1状態にある場合には第1の性状を示し、前記第1操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成された、
充放電コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の充放電コネクタであって、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第2操作部が前記第1状態にある場合には前記第2の性状を示し、前記第2操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状及び前記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成された、
充放電コネクタ。
【請求項6】
請求項4又は5の何れか1項に記載の充放電コネクタであって、
前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて変化する前記ケーブル接続信号の前記性状が、前記接続信号経路のインピーダンスである、
充放電コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載の充放電コネクタであって、
前記ケーブル接続信号がPISW信号であり、
前記接続信号経路がPISW信号経路である、
充放電コネクタ。
【請求項8】
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、充放電コネクタと、を含む充放電管理システムにおいて、前記充放電コネクタを介する前記充放電制御装置との電力の授受が可能な車両であって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタは、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、前記車載充放電制御部が
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号を、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号を、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して検出し、
前記第1制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づいて、前記充電動作若しくは前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御し、
前記第2制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づくこと無く、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御する、
車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両であって、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、
前記充放電制御信号が前記CPLT信号を含む、
車両。
【請求項10】
請求項9に記載の車両であって、
前記充放電コネクタが、前記第1操作部が前記第2状態にある場合に前記CPLT信号経路を遮断するように構成されており、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記CPLT信号が検出されないことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
車両。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか1項に記載の車両であって、
前記充放電コネクタが、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、
少なくとも特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第1操作部が前記第1状態にある場合には第1の性状を示し、前記第1操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状を示すことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
車両。
【請求項12】
請求項11に記載の車両であって、
前記充放電コネクタが、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第2操作部が前記第1状態にある場合には前記第2の性状を示し、前記第2操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状及び前記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状と前記第3の性状との間で変化した場合に、前記給電動作を実行するように前記車両を制御する、
車両。
【請求項13】
請求項11又は12の何れか1項に記載の車両であって、
前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて変化する前記ケーブル接続信号の前記性状が、前記接続信号経路のインピーダンスである、
車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両であって、
前記ケーブル接続信号がPISW信号であり、
前記接続信号経路がPISW信号経路である、
車両。
【請求項15】
請求項8乃至14の何れか1項に記載の車両であって、
前記車載電源部が、前記蓄電装置に電力を供給して前記蓄電装置を充電する内部充電装置を更に備える、
車両。
【請求項16】
請求項15に記載の車両であって、
前記内部充電装置が、前記車両が備える動力装置から供給される動力により電力を発生する発電装置、及び前記発電装置から発生する電力を前記蓄電装置に適合する電力に変換する第1電力変換装置、
を更に備える、
車両。
【請求項17】
請求項16に記載の車両であって、
前記動力装置が内燃機関である、
車両。
【請求項18】
請求項16又は17の何れか1項に記載の車両であって、
前記車載充放電制御部が、前記第2制御信号を検出した場合において、前記動力装置を稼働可能な状態となるように前記車両を制御する、
車両。
【請求項19】
請求項8乃至18の何れか1項に記載の車両であって、
前記車載電源部が、前記充電動作を実行する際に前記充放電制御装置から前記車載電源部に供給される電力を、前記蓄電装置に適合する電力に変換する第2電力変換装置、
を更に備える、
車両。
【請求項20】
請求項8乃至19の何れか1項に記載の車両であって、
前記車載電源部が、前記給電動作を実行する際に前記車載電源部から前記充放電制御装置に供給される電力を、当該電力を供給しようとする車両外部の電気負荷に適合する電力に変換する第3電力変換装置、
を更に備える、
車両。
【請求項21】
車両と、車両外部の外部電源と、車両外部の充放電制御装置と、充放電コネクタと、を含む充放電管理システムであって、
前記車両は、
蓄電装置を備える車載電源部と、
前記車両と前記充放電制御装置との間での電力の授受を制御する車載充放電制御部と、
前記充放電コネクタが嵌合されて前記車両が備える前記車載電源部及び前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記充放電コネクタは、
前記車載電源部と前記充放電制御装置との間で電力を伝達する電力経路と、
前記車載充放電制御部又は前記充放電制御装置の少なくとも一方に制御信号を伝達する少なくとも1系統以上の信号経路と、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第1操作部と、
を備え、
前記充放電コネクタと前記接続部とが電気的に接続された状態において、前記車載充放電制御部が
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は、前記車載充放電制御部と前記充放電制御装置との間で送受信される充放電制御信号を使用する前記充放電制御装置から前記車載電源部への充電動作、若しくは前記充放電制御信号を使用する前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作、の何れかを許容するための第1制御信号を、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電制御信号を使用しない前記車載電源部から前記充放電制御装置への給電動作を許容するための第2制御信号を、
前記信号経路の少なくとも1系統を介して検出し、
前記第1制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づいて、前記充電動作若しくは前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御し、
前記第2制御信号を検出した場合は、前記充放電制御信号に基づくこと無く、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御する、
充放電管理システム。
【請求項22】
請求項21に記載の充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが備える前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電管理システムの制御に使用されるCPLT信号を伝達するCPLT信号経路を含み、
前記充放電制御信号が前記CPLT信号を含む、
充放電管理システム。
【請求項23】
請求項22に記載の充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが、前記第1操作部が前記第2状態にある場合に前記CPLT信号経路を遮断するように構成されており、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記CPLT信号が検出されないことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
充放電管理システム。
【請求項24】
請求項21乃至23の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが、
前記少なくとも1系統以上の信号経路が、前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて性状が変化するケーブル接続信号を伝達する接続信号経路を含み、
少なくとも特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第1操作部が前記第1状態にある場合には第1の性状を示し、前記第1操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状とは異なる第2の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状を示すことを、前記給電動作を実行可能な状態となるように前記車両を制御するための条件の1つとして用いる、
充放電管理システム。
【請求項25】
請求項24に記載の充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタが、
少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第2操作部を更に備え、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が、前記第2操作部が前記第1状態にある場合には前記第2の性状を示し、前記第2操作部が前記第2状態にある場合には前記第1の性状及び前記第2の性状の何れとも異なる第3の性状を示すように構成され、
前記第1操作部が前記第2状態にある場合において、前記車載充放電制御部が、前記特定の嵌合状態における前記ケーブル接続信号の性状が前記第2の性状と前記第3の性状との間で変化した場合に、前記給電動作を実行するように前記車両を制御する、
充放電管理システム。
【請求項26】
請求項24又は25の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタと前記接続部との嵌合状態に応じて変化する前記ケーブル接続信号の前記性状が、前記接続信号経路のインピーダンスである、
充放電管理システム。
【請求項27】
請求項26に記載の充放電管理システムであって、
前記ケーブル接続信号がPISW信号であり、
前記接続信号経路がPISW信号経路である、
充放電管理システム。
【請求項28】
請求項21乃至27の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記車載電源部が、前記蓄電装置に電力を供給して前記蓄電装置を充電する内部充電装置を更に備える、
充放電管理システム。
【請求項29】
請求項28に記載の充放電管理システムであって、
前記内部充電装置が、前記車両が備える動力装置から供給される動力により電力を発生する発電装置、及び前記発電装置から発生する電力を前記蓄電装置に適合する電力に変換する第1電力変換装置、
を更に備える、
充放電管理システム。
【請求項30】
請求項29に記載の充放電管理システムであって、
前記動力装置が内燃機関である、
充放電管理システム。
【請求項31】
請求項29又は30の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記車載充放電制御部が、前記第2制御信号を検出した場合において、前記動力装置を稼働可能な状態となるように前記車両を制御する、
充放電管理システム。
【請求項32】
請求項21乃至31の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記車載電源部が、前記充電動作を実行する際に前記充放電制御装置から前記車載電源部に供給される電力を、前記蓄電装置に適合する電力に変換する第2電力変換装置、
を更に備える、
充放電管理システム。
【請求項33】
請求項21乃至32の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記車載電源部が、前記給電動作を実行する際に前記車載電源部から前記充放電制御装置に供給される電力を、当該電力を供給しようとする車両外部の電気負荷に適合する電力に変換する第3電力変換装置、
を更に備える、
充放電管理システム。
【請求項34】
請求項21乃至33の何れか1項に記載の充放電管理システムであって、
前記充放電コネクタと前記充放電制御装置とを電気的に接続する経路に介在し、前記充放電コネクタと前記充放電制御装置との電気的接続状態を少なくとも第1状態と第2状態とに切り替えられる第3操作部を更に備え、
前記第3操作部が前記第1状態にある場合は、前記充放電コネクタと前記充放電制御装置とが電気的に接続され、
前記第3操作部が前記第2状態にある場合は、前記充放電コネクタと前記充放電制御装置とが電気的に遮断されると共に、少なくとも前記充放電コネクタが備える前記電力経路と車両外部の電気負荷に電力を供給することが可能な電力経路とが電気的に接続される、
充放電管理システム。
【請求項35】
請求項34に記載の充放電管理システムであって、
前記第1操作部が前記第1状態にある場合は前記第3操作部が前記第1状態にあり、前記第1操作部が前記第2状態にある場合は前記第3操作部が前記第2状態にあるように、前記第1操作部と前記第3操作部とが連動する、
充放電管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−99114(P2013−99114A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239676(P2011−239676)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【特許番号】特許第5177274号(P5177274)
【特許公報発行日】平成25年4月3日(2013.4.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】