説明

充放電制御装置および充放電制御システム

【課題】複数のバッテリのそれぞれに充電や放電を個別に行わせる。
【解決手段】充放電制御装置は、充電回路と、放電回路と、制御部とを備える。制御部は、充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに放電回路を介した蓄電部からの放電の開始および停止を制御する。充放電制御装置は、蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充放電制御装置および充放電制御システムに関する。本開示は、特に、1以上のバッテリに対する個別の充電および個別の放電が制御自在とされた充放電制御装置および充放電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンバッテリに代表される二次電池が広く普及している。また、複数の二次電池に対する充電や放電を制御するための研究も盛んに行われている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、蓄電手段が蓄電手段ブロック毎に並列に増設可能とされた電力変換装置が開示されている。また、例えば、下記の特許文献2には、蓄電手段が蓄電手段ブロック毎に直列に増設可能とされた電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−204634号公報
【特許文献2】特開2003−070254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、複数のバッテリの充電や放電を制御する制御装置の分野では、複数のバッテリのそれぞれに充電や放電を個別に行わせるような運用方法は想定されていない。例えば、複数のバッテリのうち、あるバッテリには充電を行わせながら、かつ別のバッテリに放電を行わせることは想定されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の好ましい実施態様は、
充放電制御装置が、充電回路と、放電回路と、制御部とを備える。
制御部は、充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに放電回路を介した蓄電部からの放電の開始および停止を制御する。
充放電制御装置は、蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す。
【0007】
本開示の第2の好ましい実施態様は、
充放電制御システムが、第1の装置と、第2の装置とからなる。
第1の装置は、充電回路と、放電回路とを備える。
第2の装置は、1以上の第1の装置が着脱自在とされるとともに、1以上の第1の装置のそれぞれに対する、充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに放電回路を介した蓄電部からの放電の開始および停止の個別の指示を送出する。
第1の装置は、蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す。
【発明の効果】
【0008】
少なくとも1つの実施例によれば、複数のバッテリのそれぞれに充電や放電を個別に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、コントロールユニットの構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、コントロールユニットの電源系統の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、コントロールユニットにおける高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す。
【図5】図5は、バッテリユニットの構成例を示すブロック図である。
【図6】図6は、バッテリユニットの電源系統の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す。
【図8】図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
【図9】図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
【図10】図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。
【図11】図11Aは、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11Bは、コントロールユニットと、複数のバッテリユニットの間の通信接続の構成例を示す。
【図12】図12A〜図12Dは、放電の優先順位と、バッテリユニットBUに対する放電の指示およびバッテリユニットBUからの放電との間の関係を説明するための略線図である。
【図13】図13A〜図13Dは、放電の優先順位と、バッテリユニットBUに対する放電の指示およびバッテリユニットBUからの放電との間の関係を説明するための略線図である。
【図14】図14は、充電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットに充電の指示を与える場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図15Aおよび図15Bは、充電の優先順位と、バッテリユニットBUに対する充電の指示およびバッテリユニットBUへの充電との間の関係を説明するための略線図である。
【図16】図16は、放電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットに放電の指示を与える場合の処理の一例を示すフローチャートである。
【図17】図17Aおよび図17Bは、バッテリユニットBUにおける制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
なお、以下に説明する実施形態および変形例は、本開示の好適な具体例であり、これらの実施形態および変形例に限定されないものとする。
【0011】
<1.一実施形態>
「システムの構成」
図1は、本開示における制御システムの構成の一例を示す。制御システムは、1または複数のコントロールユニットCUと、1または複数のバッテリユニットBUとから構成される。図1に例示する制御システム1は、1のコントロールユニットCUと、3個のバッテリユニットBUa、BUb、BUcとから構成される。以下の説明において、個々のバッテリユニットを区別する必要がないときは、バッテリユニットBUと適宜称する。
【0012】
制御システム1では、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされている。さらに、複数のバッテリユニットBUはそれぞれ独立して、制御システム1に接続できる。例えば、バッテリユニットBUaおよびバッテリユニットBUbが制御システム1に接続された状態で、新たにバッテリユニットBUcを制御システム1に接続することができる。バッテリユニットBUa〜バッテリユニットBUcが制御システム1に接続された状態で、バッテリユニットBUbのみを制御システム1から離脱することができる。
【0013】
コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとが、電力ラインによって接続されている。電力ラインは、例えば、コントロールユニットCUからバッテリユニットBUに電力が伝送される電力ラインL1と、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電力が伝送される電力ラインL2とからなる。コントロールユニットCUとそれぞれのバッテリユニットBUとの間で、信号ラインSLを介した双方向の通信がなされる。通信は、例えば、SMBus(System Management Bus)やUART(Universal asynchronous Receiver-Transmitter)などの仕様に準じた通信がなされる。
【0014】
信号ラインSLは、1または複数のラインによって構成され、用途に応じて、使用されるラインが定義されている。信号ラインSLは共通化されており、信号ラインSLに対して各バッテリユニットBUが接続される。各バッテリユニットBUは、信号ラインSLを介して伝送される制御信号のヘッダ部を分析して、自己に対する制御信号か否かを判別する。制御信号のレベル等を適宜、設定することで、バッテリユニットBUに対するコマンドを伝送できる。バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに対する応答は他のバッテリユニットBUにも伝送されるが、他のバッテリユニットBUは、応答が伝送されることに応じた動作をすることはない。なお、この例では、電力の伝送および通信が有線により行われるものとして説明するが、無線によって行われるようにしてもよい。
【0015】
「コントロールユニットの構成の概要」
コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。コントロールユニットCUは、1または複数の第1の装置を有する。この例では、コントロールユニットCUは、2個の第1の装置を有し、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がそれぞれ第1の装置に対応している。なお、高圧および低圧という表現を使用しているが、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に入力される電圧が同じ入力範囲でもかまわない。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12が受け入れることができる電圧の入力範囲が重複しても一向に構わない。
【0016】
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12に、環境に応じて発電する発電部によって生成された電圧が供給される。例えば、発電部は、太陽光や風力によって発電する装置である。一方で、この発電部は、自然環境に応じて発電する装置に限られない。例えば、発電部が人力によって発電する装置として構成されてもよい。このように、発電エネルギーが環境や状況に応じて変動する発電装置を想定しているが、変動しない物も受けいれることが可能である。そのため、図示しているように、AC電力の入力も行われるようになっている。なお、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12には、同一の発電部または異なる発電部から電圧が供給される。そして、発電部によって生成される電圧が第1の電圧の一例とされる。
【0017】
高圧入力電源回路11には、例えば、太陽光発電によって生成された75V(ボルト)〜100V程度のDC(Direct Current)電圧(V10)が供給される。高圧入力電源回路11に、100V〜250V程度のAC(Alternating Current)電圧が供給されてもよい。高圧入力電源回路11は、太陽光発電から供給される電圧V10の変動に応じて第2の電圧を生成する。例えば、電圧V10が、高圧入力電源回路11によって降圧されることで第2の電圧が生成される。第2の電圧は、例えば、45〜48Vの範囲内のDC電圧である。
【0018】
高圧入力電源回路11は、電圧V10が75Vのときは、電圧V10を45Vに変換する。電圧V10が100Vのときは、電圧V10を48Vに変換する。電圧V10が75Vから100Vの範囲を変化するのに応じて、高圧入力電源回路11は、45Vから48Vの範囲で略リニアに変化させて、第2の電圧を生成する。高圧入力電源回路11は、生成した第2の電圧を出力する。なお、変化率をリニアにせず、各種フィードバック回路を用いて、その出力をそのまま利用するようにしてもよい。
【0019】
低圧入力電源回路12には、例えば、風力発電や人力によって生成された10V〜40V程度の範囲のDC電圧(V11)が供給される。低圧入力電源回路12は、高圧入力電源回路11と同様に、電圧V11の変動に応じて第2の電圧を生成する。低圧入力電源回路12は、電圧V11が10V〜40Vの範囲を変化することにともなって、電圧V11を、例えば、45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧する。昇圧されたDC電圧が低圧入力電源回路12から出力される。
【0020】
高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12からの出力電圧の両方もしくは一方が、バッテリユニットBUに供給される。図では、バッテリユニットBUに供給されるDC電圧がV12として示されている。上述したように、電圧V12は、例えば、45〜48Vの範囲のDC電圧である。電圧V12によって、複数のバッテリユニットBUのうち全部または一部が充電される。なお、放電しているバッテリユニットBUに対しては、充電はなされない。
【0021】
コントロールユニットCUに対して、パーソナルコンピュータが接続可能とされてもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)によって、コントロールユニットCUとパーソナルコンピュータとが接続される。パーソナルコンピュータを使用して、コントロールユニットCUに対する制御がなされるようにしてもよい。
【0022】
「バッテリユニットの構成の概要」
第2の装置の一例であるバッテリユニットの構成の概要について説明する。以下、バッテリユニットBUaを例にして説明するが、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、特に断わらない限り同一の構成とされる。
【0023】
バッテリユニットBUaは、チャージャー(充電)回路41aと、ディスチャージャー(放電)回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。他のバッテリユニットBUも同様に、チャージャー(充電)回路と、ディスチャージャー(放電)回路と、バッテリとを含む構成とされている。以下の説明において、個々のバッテリを区別する必要がないときは、バッテリBと適宜称する。
【0024】
チャージャー回路41aは、コントロールユニットCUから供給される電圧V12をバッテリBaに適応した電圧に変換する。変換された電圧に基づいて、バッテリBaが充電される。なお、チャージャー回路41aは、電圧V12の変動に応じて、バッテリBaに対する充電レートを変化させる。
【0025】
バッテリBaから出力された電力がディスチャージャー回路42aに供給される。バッテリBaからは、例えば、12〜55V程度の範囲のDC電圧が出力される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaから供給されたDC電圧V13に変換される。電圧V13は、例えば、48VのDC電圧である。電圧V13が、電力ラインL3を介して、ディスチャージャー回路42aからコントロールユニットCUに対して出力される。なお、バッテリBaから出力されたDC電圧が、ディスチャージャー回路42aを介さずに、外部機器に対して直接、供給されるようにしてもよい。
【0026】
バッテリBは、リチウムイオンバッテリ、オリビン型リン酸鉄リチウムイオンバッテリ、鉛バッテリなどである。各バッテリユニットBUのバッテリBが異なるバッテリでもよい。例えば、バッテリユニットBUaのバッテリBaおよびバッテリユニットBUbのバッテリBbは、リチウムイオンバッテリで構成される。バッテリユニットBUcのバッテリBcは、鉛バッテリで構成される。バッテリBにおけるバッテリセルの個数および接続態様は適宜、変更可能である。複数のバッテリセルが直列または並列に接続されてもよい。複数のバッテリセルが直列に接続されたものが並列に接続されるようにしてもよい。
【0027】
複数のバッテリユニットが放電するときは、負荷が軽い場合には、出力電圧が最も高い電圧が電圧V13として電力ラインL2に供給される。負荷が重くなるにつれて、複数のバッテリユニットからの出力が合成され、合成された出力が電力ラインL2に供給される。電力ラインL2を介して、電圧V13がコントロールユニットCUに供給される。電圧V13がコントロールユニットCUの出力ポートから出力される。コントロールユニットCUに対しては、複数のバッテリユニットBUから分散して電力を供給することができる。このため、個々のバッテリユニットBUの負担を軽減することが可能となる。
【0028】
例えば、以下のような使用形態が考えられる。バッテリユニットBUaから出力される電圧V13がコントロールユニットCUを介して外部機器に供給される。バッテリユニットBUbに対しては、コントロールユニットCUから電圧V12が供給され、バッテリユニットBUbのバッテリBbが充電される。バッテリユニットBUcは、予備電源として使用される。例えば、バッテリユニットBUaの残容量が低下した際に、使用するバッテリユニットをバッテリユニットBUaからバッテリユニットBUcに切り換える。バッテリユニットBUcから出力された電圧V13が外部機器に供給される。もちろん、上述した使用形態は一例であり、これに限定されることはない。
【0029】
「コントロールユニットの内部構成」
図2は、コントロールユニットCUの内部構成の一例を示す。上述したように、コントロールユニットCUは、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12を含む構成とされる。高圧入力電源回路11は、AC入力をDC出力に変換するAC−DCコンバータ11aと、電圧V10を45V〜48Vの範囲のDC電圧に降圧するDC−DCコンバータ11bとを含む構成とされる。AC−DCコンバータ11aおよびDC−DCコンバータ11bの方式については、公知のものを適用できる。なお、高圧入力電源回路11にDC電圧のみが供給されるときは、AC−DCコンバータ11aがなくてもよい。
【0030】
DC−DCコンバータ11bの入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。図2および後述する図5では、電圧センサを四角で、電子スイッチを丸で、電流センサを斜線が付された丸で、それぞれ簡略化して示している。DC−DCコンバータ11bの入力段には、電圧センサ11cと、電子スイッチ11dと、電流センサ11eとが接続されている。DC−DCコンバータ11bの出力段には、電流センサ11fと、電子スイッチ11gと、電圧センサ11hとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU(Central Processing Unit)13に供給される。各電子スイッチのオン/オフがCPU13によって制御される。
【0031】
低圧入力電源回路12は、電圧V11を45V〜48Vの範囲のDC電圧に昇圧するDC−DCコンバータ12aを含む構成とされる。低圧入力電源回路12の入力段および出力段のそれぞれに、電圧センサと、電子スイッチと、電流センサとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの入力段には、電圧センサ12bと、電子スイッチ12cと、電流センサ12dとが接続されている。DC−DCコンバータ12aの出力段には、電流センサ12eと、電子スイッチ12fと、電圧センサ12gとが接続されている。各センサによって得られるセンサ情報が後述するCPU13に供給される。各スイッチのオン/オフがCPU13よって制御される。
【0032】
なお、図において、センサから延びる矢印が、センサ情報がCPU13に供給されることを示している。電子スイッチに対する矢印は、電子スイッチに対してCPU13による制御がなされることを示している。
【0033】
高圧入力電源回路11の出力電圧がダイオードを介して出力される。低圧入力電源回路12の出力電圧がダイオードを介して出力される。高圧入力電源回路11の出力電圧および低圧入力電源回路12の出力電圧が合成され、合成された電圧V12が電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに出力される。バッテリユニットBUから供給された電圧V13が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。次に、コントロールユニットCUに供給された電圧V13が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、図において、外部機器に供給される電圧を電圧V14として示している。
【0034】
電力ラインL3がバッテリユニットBUと接続されてもよい。このような構成により、例えば、バッテリユニットBUaから出力された電力が、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給される。供給された電力が電力ラインL3を介してバッテリユニットBUbに供給され、バッテリユニットBUbを充電することができる。なお、図示は省略しているが、電力ラインL2を介してコントロールユニットCUに供給された電力が、電力ラインL1に供給されるようにしてもよい。
【0035】
コントロールユニットCUは、CPU13を含む構成とされる。CPU13は、コントロールユニットCUの各部を制御する。例えば、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12における電子スイッチをオン/オフする。さらに、CPU13は、各バッテリユニットBUに制御信号を供給する。CPU13は、例えば、バッテリユニットBUの電源をオンさせる制御信号や、充電または放電を指示する制御信号を、バッテリユニットBUに供給する。CPU13は、バッテリユニットBU毎に異なる内容の制御信号を出力することができる。
【0036】
CPU13は、バス14を介してメモリ15、D/A(Digital to Analog)変換部16、A/D(Analog to Digital)変換部17および温度センサ18と接続されている。バス14は、例えば、I2Cバスで構成される。メモリ15は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成される。D/A変換部16は、各種の処理で使用されるデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0037】
CPU13には、電圧センサや電流センサにより測定されたセンサ情報が入力される。センサ情報は、A/D変換部17によってデジタル信号に変換された後に、CPU13に入力される。温度センサ18は、環境温度を測定する。例えば、コントロールユニットCU内部の温度や、コントロールユニットCUの周囲の温度を測定する。
【0038】
CPU13が通信機能を有していてもよい。例えば、CPU13とパーソナルコンピュータ(PC)19との間で通信のやり取りがなされてもよい。パーソナルコンピュータに限らず、インターネットなどのネットワークに接続された機器とCPU13との間で通信がなされるようにしてもよい。
【0039】
「コントロールユニットの電源系統」
図3は、コントロールユニットCUの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。高圧入力電源回路11の出力段には、逆流防止用のダイオード20が接続されている。低圧入力電源回路12の出力段には、逆流防止用のダイオード21が接続されている。ダイオード20およびダイオード21により、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12がOR接続される。高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力が合成されてバッテリユニットBUに供給される。実際には、高圧入力電源回路11および低圧入力電源回路12の出力のうち、電圧が高い一方の出力がバッテリユニットBUに供給されるものの、負荷となるバッテリユニットBUの電力消費量に応じて、両方から電力が供給される状況にもなる。
【0040】
コントロールユニットCUには、ユーザによって操作可能なメインスイッチSW1が設けられている。メインスイッチSW1がオンされることでCPU13に電力が供給され、コントロールユニットCUが起動する。CPU13に、例えば、コントロールユニットCUに内蔵されるバッテリ22から電力が供給される。バッテリ22は、リチウムイオンバッテリなどの充電可能なバッテリである。バッテリ22からのDC電圧がDC−DCコンバータ23によって、CPU13が動作する電圧に変換される。変換された電圧がCPU13の電源電圧として供給される。このように、コントロールユニットCUの起動時には、バッテリ22が使用される。バッテリ22に対する制御は、例えば、CPU13によってなされる。
【0041】
高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電力によってバッテリ22を充電することができる。バッテリユニットBUから供給された電力がチャージャー回路24に供給される。チャージャー回路24は、DC−DCコンバータを含む構成とされる。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がチャージャー回路24によって所定のレベルのDC電圧に変換される。変換されたDC電圧がバッテリ22に供給される。供給されたDC電圧によってバッテリ22が充電される。
【0042】
なお、高圧入力電源回路11や低圧入力電源回路12、あるいはバッテリユニットBUから供給される電圧V13によってCPU13が動作するようにしてもよい。バッテリユニットBUから供給された電圧V13がDC−DCコンバータ25によって所定のレベルの電圧に変換される。変換された電圧が、電源電圧としてCPU13に供給され、CPU13が動作する。
【0043】
コントロールユニットCUが起動した後に、V10およびV11の少なくとも一方が入力されると電圧V12が生成される。電圧V12が、電力ラインL1を介してバッテリユニットBUに供給される。このとき、CPU13は、信号ラインSLを使用してバッテリユニットBUと通信を行う。この通信によって、CPU13は、バッテリユニットBUに対して起動および放電を指示する制御信号を出力する。そして、CPU13は、スイッチSW2をオンする。スイッチSW2は、例えば、FET(Field Effect Transistor)から構成される。IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成されてもよい。スイッチSW2がオンされることで、バッテリユニットBUからコントロールユニットCUに電圧V13が供給される。
【0044】
スイッチSW2の出力側には、逆流防止用のダイオード26が接続されている。ダイオード26を接続することにより、太陽電池や風力発電などから供給される不安定な電力が、外部機器に直接供給されることを防止できる。そして、外部機器には、バッテリユニットBUから供給される安定した電力を供給できる。もちろん、安全のために、バッテリユニットBUの最終段にもダイオードを設けてもよい。
【0045】
バッテリユニットBUから供給された電力を外部機器に供給するときは、CPU13は、スイッチSW3をオンする。スイッチSW3がオンされることで、電圧V13に基づく電圧V14が、電力ラインL3を介して外部機器に供給される。なお、電圧V14が他のバッテリユニットBUに供給され、他のバッテリユニットBUのバッテリBが電圧V14によって充電されてもよい。
【0046】
「高圧入力電源回路の構成例」
図4は、高圧入力電源回路の具体的な構成の一例を示す。図4に示すように、高圧入力電源回路11は、DC−DCコンバータ11bと、後述するフィードフォワード制御系とを備えている。図4では、電圧センサ11c、電子スイッチ11d、電流センサ11e、電流センサ11f、電子スイッチ11gおよび電圧センサ11hならびにダイオード20などの図示を省略している。
【0047】
低圧入力電源回路12は、DC−DCコンバータ12aが昇圧型のDC−DCコンバータとされること以外は、高圧入力電源回路11の構成とほぼ同様の構成を備えているため、図示および説明を省略する。
【0048】
DC−DCコンバータ11bは、例えば、スイッチング素子などを含む一次側回路32と、トランス33と、整流素子などを含む二次側回路34とから構成される。図4に例示するDC−DCコンバータ11bは、電流共振型のコンバータ(LLC共振コンバータ)である。
【0049】
フィードフォワード制御系は、オペアンプ35、トランジスタ36、抵抗Rc1、Rc2およびRc3を含み、フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ11bの一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を調整する。
【0050】
高圧入力電源回路11がフィードフォワード制御系を備えることにより、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。したがって、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、例えば、太陽電池などからの入力電圧の変化に応じて出力電圧を変化させる電圧変換装置の機能を有している。
【0051】
図4に示すように、高圧入力電源回路11からは、コンデンサ31を含むAC−DCコンバータ11a、一次側回路32、トランス33、二次側回路34を介して出力電圧が取り出される。AC−DCコンバータ11aは、コントロールユニットCUの外部からの入力が交流電源であるときに配置される力率補正(Power Factor Correction)回路である。
【0052】
コントロールユニットCUからの出力は、電力ラインL1により、バッテリユニットBUに送出される。例えば、個々のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・は、逆流防止用のダイオードD1、D2、D3、・・・を介して、出力端子Te1、Te2、Te3、・・・にそれぞれ接続される。
【0053】
以下、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
【0054】
オペアンプ35の非反転入力端子に対しては、高圧入力電源回路11への入力電圧をkc倍(kc:数十〜百分の一程度)した電圧が入力される。一方、オペアンプ35の反転入力端子c1に対しては、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0をkc倍した電圧が入力されている。オペアンプ35の反転入力端子c1に対する入力電圧(kc×Vt0)は、例えば、D/A変換部16から印加される。電圧Vt0の値は、例えば、D/A変換部16の内蔵メモリに保持され、必要に応じて、電圧Vt0の値を変更することが可能とされている。電圧Vt0の値が、バス14を介してCPU13に接続されたメモリ15に保持され、これをD/A変換部16に転送するようにしてもよい。
【0055】
オペアンプ35の出力端子はトランジスタ36のベースに接続されており、トランジスタ36により、オペアンプ35の非反転入力端子に対する入力電圧と反転入力端子に対する入力電圧との差に応じた電圧−電流変換が行われる。
【0056】
トランジスタ36のエミッタに接続された抵抗Rc2の抵抗値は、抵抗Rc2と並列に接続される抵抗Rc1の抵抗値に対して大とされている。
【0057】
例えば、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧であったとする。このとき、トランジスタ36はオンであり、抵抗Rc1および抵抗Rc2の合成抵抗の値が抵抗Rc1の抵抗値より小となるため、図4に示すf点の電位はグラウンド電位に近づく。
【0058】
すると、フォトカプラ37を介して接続された、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下する。制御用端子に対する入力電圧の低下を検出したDC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き上げる。
【0059】
逆に、例えば、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が低下し、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づいたとする。
【0060】
高圧入力電源回路11に対する入力電圧が下がってくると、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づく。トランジスタ36の状態がオンからオフの状態に近づくに伴い、抵抗Rc1および抵抗Rc2には電流が流れにくくなり、図4に示すf点の電位が上昇する。
【0061】
すると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が一定に保たれなくなるため、DC−DCコンバータ11bは、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、高圧入力電源回路11からの出力電圧を引き下げる。
【0062】
すなわち、高圧入力電源回路11は、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧である場合には、出力電圧を引き上げる。また、高圧入力電源回路11は、太陽電池の端子電圧が低下して、入力電圧があらかじめ定められた一定の電圧Vt0に近づくと、出力電圧を引き下げる。このように、高圧入力電源回路11を備えるコントロールユニットCUは、入力電圧の大きさに応じて出力電圧を動的に変化させる。
【0063】
さらに、以下に説明するように、高圧入力電源回路11は、コントロールユニットCUの出力側で必要とされる電圧の変化に対しても出力電圧を動的に変化させる。
【0064】
例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されるバッテリユニットBUの数が増加したとする。すなわち、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷が増加したとする。
【0065】
この場合、コントロールユニットCUに対して新たにバッテリユニットBUが電気的に接続されることにより、コントロールユニットCUに接続されている太陽電池の端子電圧が下がることになる。すると、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が低下するに伴い、トランジスタ36の状態が、オンからオフの状態に近づくこととなり、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き下げられる。
【0066】
一方、例えば、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに対して電気的に接続されたバッテリユニットBUの数が減少したとすると、太陽電池からみた負荷が減少するため、コントロールユニットCUに接続された太陽電池の端子電圧が上昇する。高圧入力電源回路11に対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vt0よりも十分に高い電圧になると、一次側回路32のドライバに備えられた制御用端子に対する入力電圧が低下し、高圧入力電源回路11からの出力電圧が引き上げられる。
【0067】
なお、抵抗Rc1、Rc2およびRc3の抵抗値は、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値があらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように適宜選択される。すなわち、抵抗Rc1およびRc2の抵抗値により、高圧入力電源回路11からの出力電圧の上限がきめられる。トランジスタ36は、高圧入力電源回路11に対する入力電圧が所定の値を超えているときに、高圧入力電源回路11からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限の電圧値を超えないようにするために配置されている。
【0068】
一方、高圧入力電源回路11からの出力電圧の下限は、後述するように、チャージャー回路41aにおけるフィードフォワード制御系のオペアンプの反転入力端子に対する入力電圧によってきめられる。
【0069】
「バッテリユニットの内部構成」
図5は、バッテリユニットBUの内部構成の一例を示す。ここでは、バッテリユニットBUaを例にして説明する。特に断らない限り、バッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcは、バッテリユニットBUaと同様の構成とされる。
【0070】
バッテリユニットBUaは、チャージャー回路41aと、ディスチャージャー回路42aと、バッテリBaとを含む構成とされる。コントロールユニットCUからチャージャー回路41aに対して、電圧V12が供給される。バッテリユニットBUaからの出力である電圧V13が、ディスチャージャー回路42aを介してコントロールユニットCUに供給される。ディスチャージャー回路42aから外部機器に対して、直接、電圧V13が供給されるようにしてもよい。
【0071】
チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aを備える。チャージャー回路41aに入力される電圧V12が、DC−DCコンバータ43aによって所定電圧に変換される。変換された所定電圧がバッテリBaに供給され、バッテリBaが充電される。所定電圧は、バッテリBaの種類等によって異なる。DC−DCコンバータ43aの入力段には、電圧センサ43bと、電子スイッチ43cと、電流センサ43dとが接続されている。DC−DCコンバータ43aの出力段には、電流センサ43eと、電子スイッチ43fと、電圧センサ43gとが接続されている。
【0072】
ディスチャージャー回路42aは、DC−DCコンバータ44aを備える。バッテリBaからディスチャージャー回路42aに供給されるDC電圧が、DC−DCコンバータ44aによって電圧V13に変換される。変換された電圧V13がディスチャージャー回路42aから出力される。DC−DCコンバータ44aの入力段には、電圧センサ44bと、電子スイッチ44cと、電流センサ44dとが接続されている。DC−DCコンバータ44aの出力段には、電流センサ44eと、電子スイッチ44fと、電圧センサ44gとが接続されている。
【0073】
バッテリユニットBUaは、CPU45を備える。CPU45は、バッテリユニットBUの各部を制御する。例えば、電子スイッチのオン/オフを制御する。過充電防止機能や過電流防止機能などの、バッテリBの安全を確保する処理をCPU45が行うようにしてもよい。CPU45は、バス46に接続されている。バス46は、例えば、I2Cバスである。
【0074】
バス46には、メモリ47と、A/D変換部48と、温度センサ49とが接続されている。メモリ47は、例えば、EEPROMなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。A/D変換部48は、例えば、電圧センサや電流センサによって得られるアナログのセンサ情報をデジタル情報に変換する。A/D変換部48によってデジタル信号へと変換されたセンサ情報がCPU45に供給される。温度センサ49は、バッテリユニットBU内の所定箇所の温度を測定する。温度センサ49は、例えば、CPU45が実装される基板の周囲の温度と、チャージャー回路41aおよびディスチャージャー回路42aの温度と、バッテリBaの温度とを測定する。
【0075】
「バッテリユニットの電源系統」
図6は、バッテリユニットBUaの、主に電源系統に関する構成の一例を示す。バッテリユニットBUaには、メインスイッチは設けられていない。バッテリBaとCPU45との間には、スイッチSW5およびDC−DCコンバータ39が接続されている。バッテリBaとディスチャージャー回路42aとの間には、スイッチSW6が接続されている。チャージャー回路41aの入力段には、スイッチSW7が接続されている。ディスチャージャー回路42aの出力段には、スイッチSW8が接続されている。それぞれのスイッチSWは、例えば、FETにより構成される。
【0076】
バッテリユニットBUaは、例えば、コントロールユニットCUからの制御信号によって起動される。コントロールユニットCUから、所定の信号ラインを介して、例えば、ハイレベルの制御信号が常に供給されている。このため、バッテリユニットBUaのポートを所定の信号ラインに接続するだけでハイレベルの制御信号がスイッチSW5に供給され、スイッチSW5がオンされる。スイッチSW5がオンすることで、バッテリユニットBUaが起動する。スイッチSW5がオンすることで、バッテリBaからのDC電圧がDC−DCコンバータ39に供給される。DC−DCコンバータ39によって、CPU45を動作させる電源電圧が生成される。生成された電源電圧がCPU45に供給され、CPU45が動作する。
【0077】
CPU45は、コントロールユニットCUの指示に応じた制御を実行する。コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、充電指示の制御信号が供給される。充電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW6およびスイッチSW8をオフした後にスイッチSW7をオンする。スイッチSW7がオンされることで、コントロールユニットCUから供給される電圧V12が、チャージャー回路41aに供給される。チャージャー回路41aによって電圧V12が所定電圧に変換され、変換された所定電圧によってバッテリBaが充電される。なお、バッテリBに対する充電方法は、バッテリBの種類に応じて適宜変更することができる。
【0078】
コントロールユニットCUからCPU45に対して、例えば、放電指示の制御信号が供給される。放電指示に応じて、CPU45は、スイッチSW7をオフし、スイッチSW6およびスイッチSW8をオンする。例えば、スイッチSW6をオンしてから、一定時間後にスイッチSW8をオンする。スイッチSW6がオンされることで、バッテリBaからのDC電圧がディスチャージャー回路42aに供給される。ディスチャージャー回路42aによって、バッテリBaからのDC電圧が電圧V13に変換される。変換された電圧V13が、スイッチSW8を介してコントロールユニットCUに供給される。なお、本例では省略しているが、他のバッテリユニットBUからの出力と衝突しないようにするため、スイッチSW8の後段にダイオードを追加するようにしてもよい。
【0079】
なお、CPU45の制御によって、ディスチャージャー回路42aのオン/オフを切り換えることができる(図中のCPU45からディスチャージャー回路42aに出ているおON/OFF信号線)。例えば、スイッチSW6の出力側に、図示しないスイッチSW(説明の便宜を考慮して、スイッチSW10と称する)が設けられている。スイッチSW10は、ディスチャージャー回路42aを経由する第1の経路と、ディスチャージャー回路42aを経由しない第2の経路とを切り換えるスイッチである。
【0080】
ディスチャージャー回路42aをオンするときは、CPU45は、スイッチSW10を第1の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介してスイッチSW8に供給される。ディスチャージャー回路42aをオフするときは、CPU45は、スイッチSW10を第2の経路に接続する。これにより、スイッチSW6からの出力がディスチャージャー回路42aを介さずに直接、スイッチSW8に供給される。
【0081】
「チャージャー回路の構成例」
図7は、バッテリユニットにおけるチャージャー回路の具体的な構成の一例を示す。図7に示すように、チャージャー回路41aは、DC−DCコンバータ43aと、後述するフィードフォワード制御系およびフィードバック制御系とを備えている。なお、図7では、電圧センサ43b、電子スイッチ43c、電流センサ43d、電流センサ43e、電子スイッチ43f、電圧センサ43gならびにスイッチSW7などの図示を省略している。
【0082】
各バッテリユニットBUにおけるチャージャー回路も、図7に示すチャージャー回路41aの構成とほぼ同様の構成を備えている。
【0083】
DC−DCコンバータ43aは、例えば、トランジスタ51、コイル52、制御用IC(Integrated Circuit)53などから構成される。トランジスタ51は、制御用IC53により制御される。
【0084】
フィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11と同様に、オペアンプ55、トランジスタ56、抵抗Rb1、Rb2およびRb3を含む。フィードフォワード制御系の出力は、例えば、DC−DCコンバータ43aの制御用IC53に備えられた制御用端子に入力される。DC−DCコンバータ43a中の制御用IC53は、制御用端子に対する入力電圧が一定となるように、チャージャー回路41aからの出力電圧を調整する。
【0085】
すなわち、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、高圧入力電源回路11に備えられたフィードフォワード制御系と同様に作用する。
【0086】
チャージャー回路41aがフィードフォワード制御系を備えることにより、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。チャージャー回路からの出力電圧の値が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値に調整されることにより、コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電電流が、高圧入力電源回路11からの入力電圧の変化に応じて調整される。したがって、チャージャー回路を備えるバッテリユニットBUは、各バッテリBに対する充電レートを変化させる充電装置の機能を有している。
【0087】
コントロールユニットCUに電気的に接続された各バッテリBに対する充電レートが変化させられることにより、各バッテリユニットBUのチャージャー回路に対する入力電圧の値(高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の値といってもよい。)が、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整される。
【0088】
チャージャー回路41aへの入力は、例えば、上述したコントロールユニットCUの高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力である。したがって、例えば、図4に示す端子Te1、Te2、Te3、・・・のいずれかと、チャージャー回路41aの入力端子とが接続されている。
【0089】
図7に示すように、チャージャー回路41aからは、DC−DCコンバータ43a、電流センサ54、フィルタ55を介して出力電圧が取り出される。チャージャー回路41aの端子Tb1には、バッテリBaが接続される。すなわち、チャージャー回路41aからの出力は、バッテリBaに対する入力となる。
【0090】
後述するように、各チャージャー回路からの出力電圧の値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて、あらかじめ設定された範囲内の電圧値となるように調整されている。各チャージャー回路からの出力電圧の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値が適宜選択されることにより調整される。
【0091】
このように、各チャージャー回路からの出力電圧の範囲が、チャージャー回路に接続されるバッテリの種類に応じて個別にきめられるため、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの種類は特に限定されない。各チャージャー回路内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値を、接続されるバッテリBの種類に応じて適宜選択すればよいからである。
【0092】
なお、図7ではフィードフォワード制御系の出力が制御用IC53の制御用端子に入力される構成を例示したが、バッテリユニットBUのCPU45が、制御用IC53の制御用端子に入力を与えるようにしてもよい。例えば、バッテリユニットBUのCPU45が、信号ラインSLを介してバッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報をコントロールユニットCUのCPU13から取得するようにしてもよい。コントロールユニットCUのCPU13は、電圧センサ11hや電圧センサ12gなどの測定結果から、バッテリユニットBUに対する入力電圧に関する情報を取得することが可能である。
【0093】
以下、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系について説明する。
【0094】
オペアンプ55の非反転入力端子に対する入力は、チャージャー回路41aへの入力電圧をkb倍(kb:数十〜百分の一程度)した電圧とされる。一方、オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力は、高圧入力電源回路11または低圧入力電源回路12からの出力電圧の下限として設定しようとする電圧Vbをkb倍した電圧である。オペアンプ55の反転入力端子b1に対する入力電圧(kb×Vb)は、例えば、CPU45から印加される。
【0095】
したがって、チャージャー回路41aに備えられたフィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbよりも十分に高い電圧である場合に、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げる。また、チャージャー回路41aに対する入力電圧が、あらかじめ定められた一定の電圧Vbに近づくと、フィードフォワード制御系は、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き下げる。
【0096】
トランジスタ56は、図4に示すトランジスタ36と同様に、チャージャー回路41aに対する入力電圧が所定の値を超えているときに、チャージャー回路41aからの出力電圧の値が、あらかじめ設定された上限を超えないようにするために配置されている。なお、チャージャー回路41aからの出力電圧の値の範囲は、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値の組み合わせによってきまる。そのため、抵抗Rb1、Rb2およびRb3の抵抗値は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの種類に応じて調整される。
【0097】
また、チャージャー回路41aは、上述したように、フィードバック制御系をも備えている。フィードバック制御系は、例えば、電流センサ54、オペアンプ57およびトランジスタ58などから構成される。
【0098】
バッテリBaに供給される電流量があらかじめ設定された規定値を超えると、フィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられ、バッテリBaに供給される電流量が制限される。フィードバック制御系による、バッテリBaに供給される電流量の制限の程度は、各チャージャー回路に接続されるバッテリBの定格にあわせてきめられる。
【0099】
フィードフォワード制御系またはフィードバック制御系により、チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される電流量が制限されることになる。バッテリBaに供給される電流量が制限されると、結果として、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。
【0100】
次に、本開示の実施形態の理解を容易とするため、MPPT制御と、電圧追従法による制御とを例にとり、それぞれの制御方式について説明する。
【0101】
「MPPT制御」
まず、以下に、MPPT制御の概略について説明を行う。
【0102】
図8Aは、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフである。図8A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。図8A中、Iscは、光照射時において、太陽電池の端子間を短絡したときの出力電流を表し、Vocは、光照射時において、太陽電池の端子間を開放したときの出力電圧を表している。IscおよびVocは、それぞれ短絡電流および開放電圧と呼ばれる。
【0103】
図8Aに示すように、光照射時において、太陽電池の端子電流は、太陽電池の端子間を短絡したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電圧はほぼ0Vである。一方、光照射時において、太陽電池の端子電圧は、太陽電池の端子間を開放したときが最大であり、このとき、太陽電池の端子電流はほぼ0Aである。
【0104】
いま、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが、図8Aに示す曲線C1で表されるとする。ここで、太陽電池に対して負荷を接続したとすると、接続される負荷の必要としている消費電力により、太陽電池から取りだされる電圧と電流がきまる。このときの太陽電池の端子電圧および端子電流の組により表される、曲線C1上の点を、太陽電池の動作点という。なお、図8Aは、動作点の位置を模式的に示したものであり、実際の動作点の位置を示すものではない。本開示の他の図における動作点に関しても、同様とする。
【0105】
太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線上において動作点を変化させると、端子電圧と端子電流との積、すなわち発電電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組が見つかる。太陽電池により得られる電力が最大となる端子電圧Vaおよび端子電流Iaの組により表される点は、太陽電池の最適動作点と呼ばれる。
【0106】
太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、最適動作点を与えるVaとIaとの積により求められる。すなわち、太陽電池の電圧−電流特性を示すグラフが図8Aに示す曲線C1で表されるとき、太陽電池から得られる最大の電力は、図8Aにおいて網掛けで示された領域の面積(Va×Ia)により表される。なお、(Va×Ia)を(Voc×Isc)で割った量がフィルファクタである。
【0107】
最適動作点は、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力により変化し、最適動作点を表す点PAは、太陽電池に接続される負荷の必要としている電力の変化にしたがって曲線C1上を動く。負荷の必要としている電力量が少ない場合、負荷への電流の供給は、最適動作点における端子電流よりも少ない電流で事足りる。そのため、このときの太陽電池の端子電圧の値は、最適動作点における電圧値よりも高い値になる。一方、負荷の必要としている電力量が、最適動作点で供給できる電力量よりも大きい場合には、この時点の照度で提供できる電力を超えているため、太陽電池の端子電圧が0まで低下していくものと考えられる。
【0108】
図8Aに示す曲線C2およびC3は、例えば、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。例えば、図8Aに示す曲線C2は、太陽電池に対する照度が増加した場合における電圧−電流特性に対応し、図8Aに示す曲線C3は、太陽電池に対する照度が減少した場合における電圧−電流特性に対応する。
【0109】
例えば、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C1から曲線C2に変化したとすると、最適動作点も太陽電池に対する照度の増加に伴って変化する。なお、このとき、最適動作点は、曲線C1上の点から曲線C2上の点にうつる。
【0110】
MPPT制御とは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対して最適動作点を求め、太陽電池から得られる電力が最大となるように、太陽電池の端子電圧(または端子電流)を制御することにほかならない。
【0111】
図8Bは、ある曲線により太陽電池の電圧−電流特性が表される場合における、太陽電池の端子電圧と太陽電池の発電電力との関係を表したグラフ(P−V曲線)である。
【0112】
図8Bに示すように、最大動作点を与える端子電圧において、太陽電池の発電電力が最大値Pmaxをとるものとすると、最大動作点を与える端子電圧は、山登り法と呼ばれる手法により求めることができる。以下に説明する一連の手順は、一般的には、太陽電池と、電力系統との間に接続されるパワーコンディショナー(power conditioner)のCPUなどにより実行される。
【0113】
例えば、まず、太陽電池から入力される電圧の初期値をV0として、このときの発電電力P0が計算される。次に、V1=V0+ε(ここではε>0とする。)として、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV1として、このときの発電電力P1が計算される。次に、得られたP0とP1とが比較され、P1>P0である場合には、V2=V1+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV2として、このときの発電電力P2が計算される。次に、得られたP1とP2とが比較され、P2>P1である場合には、V3=V2+εとして、太陽電池から入力される電圧がεだけ増加させられる。次に、太陽電池から入力される電圧をV3として、このときの発電電力P3が計算される。
【0114】
ここで、P3<P2であったとすると、最大動作点を与える端子電圧は、V2とV3との間にある。このように、εの大きさを調節することにより、任意の精度で最大動作点を与える端子電圧を求めることができる。上述した手順に、二分法(bisection method algorithm)を適用してもよい。なお、太陽電池の光照射面に部分的に影ができたときなど、P−V曲線が2以上のピークを有していると単純な山登り法では対応できないため、制御プログラムに工夫が必要である。
【0115】
MPPT制御によれば、太陽電池からみた負荷が常に最適になるように端子電圧が調整されるため、それぞれの気象条件下で、太陽電池から最大の電力を取り出すことができる。その一方で、最大動作点を与える端子電圧の計算にアナログ/デジタル変換(A/D変換)が必要とされるほか、計算に乗算が含まれるために、制御に時間を要してしまう。そのため、MPPT制御では、空が急に曇りだして太陽電池に対する照度が急激に変化したときなど、太陽電池に対する照度の急激な変化に対応できないときがある。
【0116】
「電圧追従法による制御」
ここで、図8Aに示す曲線C1〜C3を比較すると、太陽電池に対する照度の変化(電圧−電流特性を表す曲線の変化といってもよい。)に対して、開放電圧Vocの変化は、短絡電流Iscの変化と比較して小さい。また、いずれの太陽電池もよく似た電圧−電流特性を示し、最大動作点を与える端子電圧は、結晶シリコン太陽電池の場合、開放電圧のおよそ80%の付近にあることが知られている。したがって、太陽電池の端子電圧として適当な電圧値を設定し、太陽電池の端子電圧が、その設定された電圧値となるようにコンバータの出力電流を調整すれば、太陽電池から効率よく電力を取り出せると予想される。このような電流制限による制御は、電圧追従法と呼ばれる。
【0117】
以下に、電圧追従法による制御の概略を説明する。前提として、太陽電池とパワーコンディショナーとの間にスイッチング素子が配置され、太陽電池とスイッチング素子との間に電圧測定手段が配置されているものとする。また、太陽電池は、光照射がされた状態にあるものとする。
【0118】
まず、スイッチング素子がオフとされ、スイッチング素子のオフから所定の時間が経過した時に、電圧測定手段により太陽電池の端子電圧が測定される。スイッチング素子のオフから太陽電池の端子電圧の測定までに所定の時間の経過を待つのは、太陽電池の端子電圧が安定するのを待つためである。このときの端子電圧は、開放電圧Vocである。
【0119】
次に、測定により得られた開放電圧Vocの例えば80%の電圧値が、目標電圧値として計算され、目標電圧値がメモリなどに一時的に保持される。次に、スイッチング素子がオンとされ、パワーコンディショナー内のコンバータへの通電が開始される。このとき、太陽電池の端子電圧が、目標電圧値となるように、コンバータの出力電流が調整される。上述した一連の手順が、任意の時間間隔で実行される。
【0120】
電圧追従法による制御は、MPPT制御と比較して、太陽電池により得られる電力の損失が大きいが、簡単な回路で実現でき、低コストであるため、コンバータを備えるパワーコンディショナーを、安価なものとできる。
【0121】
図9Aは、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に対する動作点の変化を説明するための図である。図9A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図9A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図9A中の黒丸は、電圧追従法による制御を行ったときの動作点を表している。
【0122】
いま、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5であったとする。次に、太陽電池に対する照度の変化に伴い、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5からC8に順に変化したとすると、それぞれの制御方式による動作点も太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線の変化に伴って変化する。なお、太陽電池への照度の変化に対する開放電圧Vocの変化が小さいため、図9A中においては、電圧追従法による制御を行ったときの目標電圧値をほぼ一定の値Vsとみなしている。
【0123】
図9Aからわかるように、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いは小さい。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6である場合には、いずれの制御の場合においても、太陽電池により得られる発電電力に大きな違いはないと考えられる。
【0124】
一方、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御の動作点と電圧追従法による制御の動作点との間の乖離の度合いが大きい。例えば、図9Aに示すように、MPPT制御を適用したときの端子電圧と電圧追従法による制御を適用したときの端子電圧との差△V6および△V8を比較すると、△V6>△V8となっている。そのため、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C8である場合には、MPPT制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力と電圧追従法による制御を適用したときに太陽電池から得られる発電電力との差は大きい。
【0125】
「コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御」
次に、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調制御の概略を説明する。以下、コントロールユニットおよびバッテリユニットの協調(連動)による制御を、協調制御と適宜称する。
【0126】
図9Bは、コントロールユニットおよび複数のバッテリユニットにより協調制御を行う制御システムの構成例を示すブロック図である。
【0127】
図9Bに示すように、例えば、コントロールユニットCUには、チャージャー回路およびバッテリの組を備える1または複数のバッテリユニットBUが接続される。図9Bに示すように、1または複数のバッテリユニットBUは、電力ラインL1に対して並列に接続されている。なお、図9BではコントロールユニットCUが1つの場合を例示したが、制御システムがコントロールユニットCUを複数備える場合も同様に、1または複数のコントロールユニットCUは、電力ラインL1に対して並列に接続される。
【0128】
一般的には、太陽電池から得られた電力により1台のバッテリの充電を行おうとする場合、太陽電池とバッテリとの間に介在されたパワーコンディショナーにより、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御が実行される。該1台のバッテリには、複数のバッテリが内包されて一体として動作する物も含まれるが、該1台のバッテリは、複数のバッテリとはいえ、単一の種類からなることが一般的である。言い換えれば、上述したMPPT制御または電圧追従法による制御は、太陽電池と、1台のバッテリとの間に接続されるパワーコンディショナーの単体で実行されることが想定されている。そして、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成(並列、直列等の接続の態様)には変化がなく、充電中における、充電の対象となるバッテリの台数、構成は、一般に固定されている。
【0129】
一方、協調制御においては、コントロールユニットCUおよび複数のバッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・のそれぞれが、コントロールユニットCUの出力電圧と、複数個のバッテリユニットBUの必要とする電圧とのバランスがとれるように自律的に制御を行う。上述したように、バッテリユニットBUa、BUb、BUc、・・・に内包されるバッテリBは、いずれの種類でもよい。すなわち、本開示によるコントロールユニットCUは、複数種のバッテリBに対する協調制御を行うことも可能とされる。
【0130】
さらに、図9Bに示す構成例では、個々のバッテリユニットBUの着脱も自在であり、太陽電池の発電中に、コントロールユニットCUに接続されるバッテリユニットBUの数も変化しうる。図9Bに示す構成例では、太陽電池の発電中において、太陽電池からみた負荷も変化しうるが、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池の発電中における、太陽電池からみた負荷の変化にも対応が可能である。これは、従来の構成にはなかった大きな特徴の一つである。
【0131】
上述したコントロールユニットCUとバッテリユニットBUとを接続することにより、コントロールユニットCUからの供給能力に応じて充電レートを動的に変化させる制御システムを構築することが可能となる。以下、協調制御の一例についての説明を行う。なお、以下の説明では、初期の状態において、コントロールユニットCUに対して1のバッテリユニットBUaが接続された制御システムを例にとるが、コントロールユニットCUに対して複数のバッテリユニットBUが接続されている場合も同様である。
【0132】
例えば、コントロールユニットCUの入力側に太陽電池が、出力側にバッテリモジュールBUaが接続されているとする。また、例えば、太陽電池の出力電圧の上限が100Vであるものとし、太陽電池の出力電圧の下限を75Vに抑えたいとする。すなわち、Vt0=75Vと設定されており、オペアンプ35の反転入力端子に対する入力電圧が、(kc×75)Vであるとする。
【0133】
また、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限および下限が、例えば、48Vおよび45Vにそれぞれ設定されているものとする。すなわち、Vb=45Vと設定されており、オペアンプ55の反転入力端子に対する入力電圧が、(kb×45)Vであるとする。なお、コントロールユニットCUからの出力電圧の上限である48Vという値は、高圧入力電源回路11内の抵抗Rc1およびRc2を適宜選択することにより調整されている。言い換えれば、コントロールユニットCUからの出力の目標電圧値が、48Vに設定されているものとする。
【0134】
さらに、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限が、例えば、42Vおよび28Vにそれぞれ設定されているものとする。したがって、チャージャー回路41a内の抵抗Rb1、Rb2およびRb3は、チャージャー回路41aからの出力電圧の上限および下限がそれぞれ42Vおよび28Vとなるように選択されている。
【0135】
なお、チャージャー回路41aへの入力電圧が上限であるときが、バッテリBaに対する充電レート100%である状態に対応し、入力電圧が下限であるときが、バッテリBaに対する充電レート0%である状態に対応する。すなわち、チャージャー回路41aへの入力電圧が48Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが100%である状態に対応し、チャージャー回路41aへの入力電圧が45Vであるときが、バッテリBaに対する充電レートが0%である状態に対応する。入力電圧が45V〜48Vの範囲で変動することに応じて、充電レートが0〜100%の範囲で設定される。
【0136】
なお、協調制御とは別に、バッテリへの充電レート制御を平行して行うようにしてもよい。すなわち、充電初期では定電流充電が行われるため、チャージャー回路41aからの出力をフィードバック調整して充電電流を一定以下に保てるように充電電圧を調整し、最終段階では、充電電圧を一定以下に保つようにする。ここで、調整される充電電圧は、上記協調制御で調整された電圧以下とされる。これにより、コントロールユニットCUから供給される電力内で充電処理がなされる。
【0137】
まず、太陽電池に対する照度が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0138】
図10Aは、太陽電池に対する照度が減少した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10A中の白丸は、MPPT制御を行ったときの動作点を表し、図10A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図10Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。
【0139】
いま、バッテリBaの必要としている電力が100w(ワット)であるものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C5(最も晴れた状態)により表されるとする。このときの太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のa点により表され、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力(供給量)が、バッテリBaの必要としている電力(需要量)を上回っているとする。
【0140】
太陽電池からバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている場合、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧(電圧V12)は、上限の48Vとなる。すなわち、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上限の48Vであるため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aからの出力電圧が上限の42Vとされ、バッテリBaに対する充電が、充電レート100%で行われる。なお、余剰分の電力は、例えば、熱などとして捨てられる。なお、バッテリへのチャージを100%で行うよう説明したが、バッテリへのチャージは100%に限定されず、充電レートは、バッテリの特性に応じて適宜調整が可能である。
【0141】
この状態から空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C5から曲線C6へと変化する。空が曇りだすことにより、太陽電池の端子電圧が徐々に低下し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も徐々に低下する。したがって、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化することに伴い、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C6上のb点にうつる。
【0142】
この状態からさらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が曲線C6から曲線C7へと変化し、太陽電池の端子電圧が徐々に低下することに伴って、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧も低下する。コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある程度低下すると、制御システムは、バッテリBaに対して100%の電力を供給できなくなってくる。
【0143】
ここで、太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
【0144】
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaへの入力電圧が低下するため、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、バッテリBaに対する出力電圧を引き下げはじめる。チャージャー回路41aからの出力電圧が引き下げられると、バッテリBaに供給される充電電流が減少されることとなり、チャージャー回路41aに接続されたバッテリBaに対する充電が減速される。すなわち、バッテリBaに対する充電レートが引き下げられる。
【0145】
バッテリBaに対する充電レートが引き下げられると、消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなる。すると、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
【0146】
太陽電池の端子電圧が上昇すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧の引き下げの度合いが減少し、バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇する。バッテリユニットBUaへの入力電圧が上昇することにより、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aは、チャージャー回路41aからの出力電圧を引き上げ、バッテリBaに対する充電レートを引き上げる。
【0147】
バッテリBaに対する充電レートが引き上げられると、太陽電池からみた負荷が大きくなり、太陽電池からみた負荷の増加分だけ太陽電池の端子電圧が低下する。太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaに対する出力電圧を引き下げる。
【0148】
以後、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、上述した充電レートの調整が自動的に繰り返される。
【0149】
協調制御は、MPPT制御とは異なり、ソフトウェアによる制御ではない。そのため、協調制御には、最大動作点を与える端子電圧の計算が不要である。また、協調制御による充電レートの調整においては、CPUによる計算が介在しない。そのため、協調制御は、MPPT制御と比較して消費電力が小さく、上述した充電レートの調整も、数ナノ秒〜数百ナノ秒程度と短時間で実行される。
【0150】
また、高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aは、自身に対する入力電圧の大きさを検知して出力電圧を調整するだけなので、アナログ/デジタル変換も不要であり、コントロールユニットCUとバッテリユニットBUaとの間の通信も不要である。したがって、協調制御は、複雑な回路を必要とせず、協調制御を実現するための回路は、小さなものとなる。
【0151】
ここで、曲線C5上の点aにいたときはコントロールユニットCUが100wの電力を供給できていたと仮定し、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧がある値に収束したとする。すなわち、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C7上のc点にうつったとする。このとき、バッテリBaに対して供給される電力は100wを下回ることとなるが、図10Aに示すように、電圧Vt0の値の選び方によっては、MPPT制御行った場合と比較しても遜色のない電力をバッテリBaに対して供給することができる。
【0152】
さらに空が曇りだすと、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線は、曲線C7から曲線C8へと変化し、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C8上のd点にうつる。
【0153】
図10Aに示すように、協調制御のもとでは、電力の需要量と供給量との間のバランスが調整されるので、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。すなわち、協調制御のもとでは、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合であっても、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回ることはない。
【0154】
太陽電池に対する照度が極端に低下した場合、太陽電池の端子電圧が、電圧Vt0に近い値となり、バッテリBaに対して供給される電流量は、ごくわずかなものとなる。したがって、太陽電池に対する照度が極端に低下した場合には、バッテリBaの充電に時間を要することとなるが、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスがとれているため、制御システムがダウンすることはない。
【0155】
上述したように、協調制御による充電レートの調整は、非常に短時間で実行されるため、協調制御によれば、急に空が曇りだして太陽電池に対する照度が急激に減少した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
【0156】
次に、太陽電池からみた負荷が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0157】
図10Bは、太陽電池からみた負荷が増加した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図10B中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図10B中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。
【0158】
いま、太陽電池に対する照度の変化がないものとし、太陽電池の電圧−電流特性が、図10Bに示す曲線C0により表されるとする。
【0159】
制御システムの起動の直後においては、制御システム内部の電力消費がほぼないと考えられるため、太陽電池の端子電圧は、開放電圧にほぼ等しいと考えてよい。したがって、制御システムの起動の直後における太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のe点にあるものと考えてよい。なお、このときのコントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaに対する出力電圧は、上限である48Vと考えてよい。
【0160】
バッテリユニットBUaに接続されたバッテリBaに対する電力の供給が開始されると、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C0上のg点にうつる。なお、本例の説明においては、バッテリBaの必要としている電力が100wであるため、図10Bに網掛けで示す領域S1の面積は、100wに等しい。
【0161】
太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの制御システムの状態は、太陽電池から高圧入力電源回路11およびチャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、バッテリBaの必要としている電力を上回っている状態である。したがって、太陽電池の動作点が曲線C0上のg点にあるときの太陽電池の端子電圧、コントロールユニットCUからの出力電圧およびバッテリBaに供給される電圧は、それぞれ100V、48Vおよび42Vである。
【0162】
ここで、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。バッテリユニットBUaに接続されているバッテリBaと同様に、バッテリユニットBUbに接続されているバッテリBbが、充電のために100wの電力を必要とするものとすると、消費電力が増加し、太陽電池からみた負荷が急激に大きくなる。
【0163】
合計で200wの電力を2つのバッテリに供給するためには、例えば、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bからの出力電圧を維持させたまま、出力電流の合計を2倍にしなければならない。
【0164】
ところが、発電装置が太陽電池である場合、チャージャー回路41aおよび41bからの出力電流の増加に伴って太陽電池の端子電圧も低下してしまうため、太陽電池の動作点がg点にあるときと比較して、出力電流の合計を2倍より大きくする必要がある。そうすると、図10Bに示すように、太陽電池の動作点が、例えば、曲線C0上のh点になければならないこととなり、太陽電池の端子電圧が極端に低下してしまう。太陽電池の端子電圧が極端に低下すると、制御システムがダウンするおそれがある。
【0165】
協調制御では、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、制御システムにおける電力の需要量と供給量との間のバランスの調整がなされる。具体的には、バッテリBaおよびバッテリBbに供給される電力が合計で例えば150wとなるように、2つのバッテリに対する充電レートが自動的に引き下げられる。
【0166】
すなわち、バッテリユニットBUbが新たに接続されたことにより、太陽電池の端子電圧が低下すると、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧も低下する。太陽電池の端子電圧が、100Vから、下限であるVt0=75Vに近づいてくると、コントロールユニットCUの高圧入力電源回路11は、バッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧を、48VからVb=45Vに向けて引き下げはじめる。
【0167】
コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が引き下げられると、バッテリユニットBUaおよびBUbへの入力電圧が低下する。
すると、バッテリユニットBUaのチャージャー回路41aおよびバッテリユニットBUbのチャージャー回路41bは、バッテリBaおよびBbに対する出力電圧をそれぞれ引き下げはじめる。チャージャー回路からの出力電圧が引き下げられると、チャージャー回路に接続されたバッテリに対する充電が減速される。すなわち、それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられることになる。
【0168】
それぞれのバッテリに対する充電レートが引き下げられると、全体として消費電力が低下することになるため、太陽電池からみた負荷が小さくなり、太陽電池からみた負荷の減少分だけ太陽電池の端子電圧が上昇(回復)する。
【0169】
以後、太陽電池に対する照度が急激に減少した場合と同様にして、コントロールユニットCUからのバッテリユニットBUaおよびBUbに対する出力電圧が、ある値に収束して電力の需要量と供給量との間のバランスのとれるまで、充電レートの調整が行われる。
【0170】
なお、実際に収束する電圧値がいくつになるかは状況によって異なる。そのため、実際に収束する電圧値ははっきりとはわからないが、太陽電池の端子電圧が下限であるVt0=75Vになると充電がなされなくなるため、下限であるVt0の値よりは若干高い電圧で収束するものと推定される。また、個々のバッテリユニットは連動制御されていないため、個々のバッテリユニットが同じ構成であっても、使用される素子のばらつきにより充電レートは異なっているものと推測される。ただし、結果として全体を協調制御できることに変わりはない。
【0171】
協調制御による充電レートの調整が非常に短時間で実行されるため、バッテリユニットBUbが新たに接続されると、太陽電池の動作点は、曲線C0上のg点からi点へとうつる。なお、図10Bにおいては、説明の都合上、曲線C0上に太陽電池の動作点の一例としてh点を図示したが、協調制御のもとでは、太陽電池の動作点が実際にh点にうつるわけではない。
【0172】
このように、協調制御では、太陽電池からみた負荷の増加に対して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身に対する入力電圧の大きさを検知して、個々のバッテリユニットBUのチャージャー回路が、自身の吸いこむ電流量を自動的に抑制する。協調制御によれば、コントロールユニットCUに対して接続されるバッテリユニットBUの数が増加して太陽電池からみた負荷が急激に増加した場合であっても、制御システムのダウンを回避することができる。
【0173】
次に、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化について説明を行う。
【0174】
図11Aは、太陽電池に対する照度と太陽電池からみた負荷との両方が変化した場合における、協調制御を行ったときの動作点の変化を説明するための図である。図11A中、縦軸は、太陽電池の端子電流を表し、横軸は、太陽電池の端子電圧を表している。また、図11A中の網掛けがされた丸は、協調制御を行ったときの動作点を表している。図11Aに示す曲線C5〜C8は、太陽電池に対する照度が変化した場合における、太陽電池の電圧−電流特性を示している。
【0175】
まず、コントロールユニットCUに対して、充電のために100wの電力を必要とするバッテリBaを備えたバッテリユニットBUaが接続されているものとする。また、このときの太陽電池の電圧−電流特性が、曲線C7により表され、太陽電池の動作点が、曲線C7上のp点により表されるとする。
【0176】
図11Aに示すように、p点における太陽電池の端子電圧が、太陽電池の出力電圧の下限としてあらかじめ設定された電圧Vt0にかなり近づいているとする。太陽電池の端子電圧が電圧Vt0にかなり近づいていることは、制御システムにおいて、協調制御による充電レートの調整が実行され、充電レートが非常に抑えられていることを意味する。すなわち、太陽電池の動作点が図11Aに示すp点により表される状態では、チャージャー回路41aを介してバッテリBaに供給される電力が、太陽電池から高圧入力電源回路11に供給される電力を大幅に上回っていることを示している。したがって、太陽電池の動作点が図11Aに示すp点により表される状態においては、充電レートの調整が大きくなされ、バッテリBaを充電するチャージャー回路41aに対しては、100wよりもかなり小なる電力が供給されている。
【0177】
次に、太陽電池に対する照度が増加し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C7から曲線C6へと変化したとする。また、バッテリユニットBUaと同様の構成を備えるバッテリユニットBUbが、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたとする。このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C7上のp点から、曲線C6上のq点にうつる。
【0178】
コントロールユニットCUに対して2つのバッテリユニットが接続されたことにより、チャージャー回路41a、41bがバッテリBa、Bbにフルで充電する際の消費電力は200wとなるが、太陽電池に対する照度が十分でない場合、協調制御が継続され、消費電力が、200w未満(例えば150wなど)に調整される。
【0179】
次に、空が晴れあがるなどして、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C5へと変化したとする。このとき、太陽電池に対する照度の増加に伴って太陽電池の発電電力が増加してくると、太陽電池からの出力電流が増加する。
【0180】
太陽電池に対する照度が十分に増加し、太陽電池の発電電力がさらに増加すると、あるところで太陽電池の端子電圧が電圧Vt0と比較して十分大きい値となる。太陽電池から高圧入力電源回路11ならびにチャージャー回路41aおよび41bを介して2つのバッテリに供給される電力が、2つのバッテリを充電するのに必要としている電力を上回ると、協調制御による充電レートの調整が緩和されるか、自動的に解除される。
【0181】
このとき、太陽電池の動作点は、例えば、曲線C5上のr点で表され、個々のバッテリBaおよびBbに対する充電は、100%の充電レートで行われる。
【0182】
次に、太陽電池に対する照度が減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C5から曲線C6へと変化したとする。
【0183】
すると、太陽電池の端子電圧が低下し、太陽電池の端子電圧があらかじめ設定された電圧Vt0に近づくと、協調制御による充電レートの調整が再び実行される。このときの太陽電池の動作点は、曲線C6上のq点で表される。
【0184】
次に、太陽電池に対する照度がさらに減少し、太陽電池の電圧−電流特性を表す曲線が、曲線C6から曲線C8へと変化したとする。
【0185】
すると、太陽電池の端子電圧が電圧Vt0を下回らないように充電レートが調整されるため、太陽電池からの端子電流が減少し、太陽電池の動作点が、曲線C6上のq点から、曲線C8上のs点にうつる。
【0186】
協調制御では、個々のバッテリユニットBUに対する入力電圧があらかじめ定められた電圧Vt0を下回らないように、コントロールユニットCUと個々のバッテリユニットBUとの間で電力の需要量と供給量との間のバランスが調整される。したがって、協調制御によれば、個々のバッテリユニットBUからみた入力側の供給能力に応じて、個々のバッテリBに対する充電レートをリアルタイムで変化させることができる。このように、協調制御によれば、太陽電池に対する照度の変化のみならず、太陽電池からみた負荷の変化に対しても対応が可能である。
【0187】
上述したように、本開示は、商用電源を必要としない。したがって、電源装置や電力網が整備されていない地域においても、本開示は有効である。
【0188】
「コントロールユニットとバッテリユニットとの間の通信」
図11Bは、コントロールユニットと、複数のバッテリユニットの間の通信接続の構成例を示す。図11Bでは、1つのコントロールユニットCUに対して、複数のバッテリユニットBUおよび1つのPC19が接続された例を示している。また、図11Bでは、複数のバッテリユニットBUのうち、バッテリユニットBUaおよびバッテリユニットBUbの2つのみを図示している。コントロールユニットCUに接続されるバッテリユニットBUの数は、もちろん、2つに限定されない。
【0189】
図11Bに示すように、コントロールユニットCU中のCPU13は、例えば、通信部CcuおよびドライバDcuを介して、例えば、バッテリユニットBUやパーソナルコンピュータ等の接続機器との間の通信を行う。コントロールユニットCUと、複数のバッテリユニットBUとの間の通信は、例えば、信号ラインSLを介して、コントロールユニットCUのCPU13と、個々のバッテリユニットBUのCPU45a、45b、・・・との間で行われる。
【0190】
コントロールユニットCUと、複数のバッテリユニットBUとの間の通信は、例えば、RS−485規格により行われる。したがって、例えば、バッテリユニットBUaのCPU45aは、通信部CaおよびドライバDaを介して、コントロールユニットCUとの間の通信を行う。同様に、バッテリユニットBUbのCPU45bは、通信部CbおよびドライバDbを介して、コントロールユニットCUとの間の通信を行う。
【0191】
また、例えば、コントロールユニットCUに対して、USB(Universal Serial Bus)ケーブルU等によりパーソナルコンピュータ等が接続されていてもよい。コントロールユニットCUに対してパーソナルコンピュータ等が接続されることにより、制御システム1の動作を、コントロールユニットCUに接続されたパーソナルコンピュータから制御することも可能である。
【0192】
コントロールユニットCUと、PC19との間の通信は、例えば、USB規格により行われる。なお、図11Bに示すコントロールユニットCU中の変換モジュールMOは、例えば、RS−485規格−RS−232規格間の変換モジュールおよびRS−232規格−USB規格間の変換モジュールである。
【0193】
「バッテリユニットの数および状態の把握」
上述したように、制御システム1では、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされる。例えば、コントロールユニットCUは、自身に接続されている複数のバッテリユニットBUのうち、いずれのバッテリユニットBUに対して充電の指示や放電の指示を与えるかを決定し、指定されたバッテリユニットBUに対して、充電や放電の指示を与える。したがって、コントロールユニットCUは、充電や放電の指示の前に、コントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUの数を把握しておく必要がある。
【0194】
コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUに現時点で装着されているバッテリユニットBUの数を以下のようにして把握する。
【0195】
コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUに現時点で装着されているバッテリユニットBUの数を把握するために、まず、自身に現在装着されている接続機器と、自身との間のリンクの確立を行う。概略的には、例えば、コントロールユニットCUは、呼びかけのコマンドを通信路上に常時送出する。コマンドに対する応答があると、コントロールユニットCUは、応答のあった接続機器のそれぞれに対して、通信用のID(identification)の割り振りを行う。通信用のID(以下、接続IDと適宜称する。)は、コントロールユニットCUに現在装着されている接続機器のそれぞれを識別するためのIDとなる。
【0196】
コントロールユニットCUと、コントロールユニットCUに現在装着されているバッテリユニットBUとの間のリンクの確立においては、より詳細には、各バッテリユニット固有のID(以下、固有IDと適宜称する。)が使用される。固有IDは、例えば、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの種類や製造シリアル番号等の情報を含む。したがって、コントロールユニットCUは、固有IDにより、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの種類等を識別することが可能である。
【0197】
いま、コントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUのいずれに対しても、接続IDがまだ割り振られていないものとして、リンクの確立手順の一例を以下に示す。なお、ここでは、リンクの確立の間において、コントロールユニットCUに対するバッテリユニットBUの着脱がないものとする。
【0198】
まず、コントロールユニットCUは、通信路上に呼びかけのコマンドを送出する。呼びかけのコマンドの相手先としては、例えば、すでに接続IDの割り振られている接続機器を含めた全ての接続機器や、まだ接続IDの割り振られていない接続機器のみ等とすることができる。通信の確立を要求するコマンドの送出は、呼びかけのコマンドに対する応答のなくなるまで継続される。
【0199】
図11Bに示すように、例えば、個々のバッテリユニットBUからの通信ラインSLは内部で結線されており、コントロールユニットCUに対していくつのバッテリユニットBUが接続されているか否かは、信号のやりとりをしてみないとわからない。しかしながら、このようにすることで、例えば、コントロールユニットCUに用意されたコネクタ数以上の機器をコントロールユニットCUに接続させることもでき、制御システム1に拡張性をもたせることが可能となる。
【0200】
次に、コントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUは、上述した呼びかけのコマンドを受け取ると、コントロールユニットCUに対して、自身の固有IDを含むレスポンスを返す。
【0201】
次に、バッテリユニットBUからのレスポンスを受け取ったコントロールユニットCUは、レスポンスを返してきたバッテリユニットBUのそれぞれに対して、通信の確立を要求するコマンドを順に送出する。通信の確立を要求するコマンドのそれぞれには、レスポンスを返してきたバッテリユニットBUの固有IDが含まれている。
【0202】
次に、通信の確立を要求するコマンドを受け取った個々のバッテリユニットBUは、該コマンドに含まれる固有IDが自身の保持する固有IDと一致しているか否かを判定する。
【0203】
固有IDが一致した場合、バッテリユニットBUは、コントロールユニットCUに対して、通信の確立を承認するレスポンスを返す。一方、固有IDが一致しない場合、バッテリユニットBUは、コントロールユニットCUに対して、レスポンスを返さない。
【0204】
コントロールユニットCUが通信の確立を承認するレスポンスを受け取ることにより、レスポンスを返してきたバッテリユニットBUと、コントロールユニットCUとの間の接続が確立される。すなわち、レスポンスを返してきたバッテリユニットBUを指定するための接続IDが確定する。
【0205】
通信の確立を要求するコマンドとそれに対するレスポンスのやり取りは、呼びかけのコマンドに応答のあった全てのバッテリユニットBUとの間のやり取りが終了するまで繰り返される。なお、呼びかけのコマンドに対して応答のあった全てのバッテリユニットBUとの間のやり取りがタイムアウトまでに終了しない場合は、呼びかけのコマンドの送出からやり直される。
【0206】
上述した一連の手順により、コントロールユニットCUに現在装着されているバッテリユニットBUに対する接続IDの割り振りがなされる。このとき、割り振られた接続IDの数が、バッテリユニットBUの着脱がないとした場合における、コントロールユニットCUに現時点で装着されているバッテリユニットBUの数を表している。
【0207】
バッテリユニットBUに接続IDが割り振られることにより、例えば、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUに現在装着されているバッテリユニットBUのうちから、指定したバッテリユニットBUに対して、通信を行うことが可能となる。
【0208】
例えば、現在装着されているバッテリユニットBUのそれぞれに対して接続IDが割り振られると、コントロールユニットCUは、接続IDで対象を指定することにより、個々のバッテリユニットBUから必要な情報の読み出しを行えるようになる。
【0209】
接続IDの割り振られたバッテリユニットBUに対しては、例えば、コントロールユニットCUから、種々のコマンドが送られる。コントロールユニットCUからのコマンドを受け取ったバッテリユニットBUは、受け取ったコマンドの解析と所定の処理とを実行する。なお、接続IDの割り振られたバッテリユニットBUは、自身に割り振られた接続IDの指定されたパケットのみを処理し、自身に割り振られた接続IDとは異なる接続IDの指定されたパケットは破棄する。
【0210】
接続IDの割り振られたバッテリユニットBUに対するコマンドとしては、例えば、温度センサ49で取得されたデータの読み出しやバッテリユニットBUへの入力電圧の読み出し、バッテリユニットBUの出力電圧の読み出し等のためのコマンドが挙げられる。
【0211】
例えば、指定したバッテリユニットBUに、バッテリBの出力電圧(放電電圧)をA/D変換させて必要な演算を行わせることにより、コントロールユニットCUは、バッテリBの電池残量に関する情報を取得することができる。すなわち、例えば、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドを受け取ったバッテリユニットBUは、電圧センサ44bからバッテリBの出力電圧を取得し、A/D変換部48によるA/D変換およびCPU45による所要の演算を行う。演算の結果はコントロールユニットCUに送出され、したがって、コントロールユニットCUは、指定したバッテリユニットBUに備えられるバッテリBの充電可能な容量(放電可能な容量)の情報を得る。
【0212】
また、例えば、コントロールユニットCUは、1以上のバッテリユニットBUのうち、指定したバッテリユニットの電子スイッチを制御することにより、指定したバッテリユニットと、コントロールユニットCUとの間の電気的な接続を制御することができる。すなわち、コントロールユニットCUは、1以上のバッテリユニットBUのうち、指定したバッテリユニットの充電/放電を制御することができるようになる。言い換えれば、指定されたバッテリユニットの充電/放電は、コントロールユニットCUからの充電/放電の開始の指示がなければ開始されない。
【0213】
このように、コントロールユニットCUは、個々のバッテリユニットBUの状態や接続性を監視し、必要に応じて充電/放電の制御を行うことが可能とされている。
【0214】
ここで、発電部の発電電力によるバッテリユニットBUの充電は、定格容量の最も小さいバッテリBを備えるバッテリユニットBUから優先して行われることが好ましいと考えられる。または、発電部の発電電力によるバッテリユニットBUの充電は、充電可能な容量の最も大きい(充電できる余力が最も大きい)バッテリBを備えるバッテリユニットBUから優先して行われることが好ましいと考えられる。同様に、制御システム1から外部機器に対して電力を供給する場合には、複数のバッテリユニットのうち、放電可能な容量の最も大きいバッテリBを備えるバッテリユニットBUから優先して放電が行われることが好ましいと考えられる。
【0215】
すなわち、各バッテリユニットBUの充電/放電の制御が、各バッテリBの充電可能な容量/放電可能な容量等の情報に基づいて制御されることが好ましい。
【0216】
各バッテリユニットBUの充電可能な容量/放電可能な容量等の情報は、接続IDの割り振られたバッテリユニットBUのそれぞれに対して所定のコマンドを送出してレスポンスを受け取ることにより、コントロールユニットCUが取得することが可能である。
【0217】
そこで、コントロールユニットCUは、接続IDの割り振られたバッテリユニットBUのそれぞれに対して、例えば、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドを順に送出し、各バッテリBの電池残量に関する情報を取得する。各バッテリBの電池残量に関する情報を取得することにより、コントロールユニットCUは、例えば、いずれのバッテリユニットBUから優先して充電/放電を行うかの順位を決定することができる。
【0218】
したがって、例えば、コントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUが4つであり、そのうちの2つのバッテリユニットBUに充電/放電を指示したいとする。このとき、コントロールユニットCUは、各バッテリBの電池残量に関する情報に基づいて決定される優先順位が1番目と2番目のバッテリユニットBUを指定(選択)して、これらのバッテリユニットBUに充電/放電を指示することになる。
【0219】
ところで、本開示の制御システムの構成例における、コントロールユニットCUとバッテリユニットBUとの間のコマンド/レスポンスのやり取りは、コマンド/レスポンス単位で独立して実行される。具体的には、例えば、コントロールユニットCUは、あるコマンドAを送出すると、一旦別の処理の実行に移り、送出したコマンドAに対するレスポンスBが送られてきたところで、レスポンスBに対応する処理を実行する。
【0220】
すなわち、コントロールユニットCUは、送出したコマンドに対するレスポンスが、タイムアウトまでの間に送られてくると、受け取ったレスポンスに対応した処理をその都度実行する。また、個々のバッテリユニットBUは、その時点でどのような処理をなすべきかを、受け取ったコマンドを都度解析して判定している。これは、本開示の制御システムの構成例では、上述したように、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされるとともに、個々のバッテリユニットBUの着脱も自在とされているためである。
【0221】
本開示の制御システムの構成例では、バッテリユニットBUに対する充電や放電が行われている途中で、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数が変化しうる。したがって、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数や状態を常時監視しておく必要がある。コントロールユニットCUおよびバッテリユニットBUが、受け取ったコマンドに対応する処理をその都度実行するようにすることにより、コントロールユニットCUは、複数のバッテリユニットBUの状態を常時監視することが可能となる。
【0222】
そのため、各バッテリユニットBUに対する接続IDの割り振りのための一連の処理(以下、接続ID付与シーケンスと適宜称する。)と、コントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUの状態監視のための一連の処理(以下、状態監視シーケンスと適宜称する。)とが、継続して繰り返し実行される。
【0223】
以下、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数や状態を常時監視するための方法の一例を説明する。なお、以下の手順を実行するにあたり、ある時点におけるバッテリユニットBUの数を格納するための変数(Ntとする。)と、その1つ前の時点におけるバッテリユニットBUの数を格納するための変数(Nbとする。)を準備しておく。また、ある時点におけるバッテリユニットBUの数と、その1つ前の時点におけるバッテリユニットBUの数とが異なっているかどうかを示すフラグ(以下、台数変更フラグと適宜称する。)を準備しておく。
【0224】
コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数や状態を常時監視するために、概略的には、接続ID付与シーケンスと、状態監視シーケンスとを、平行して繰り返し実行している。以下では、状態監視シーケンスとして、接続IDの割り振られた各バッテリユニットBU中のバッテリBの電池残量の読み出しのための一連の処理(以下、容量検出シーケンスと適宜称する。)が実行される場合を例にとって説明を行う。なお、接続ID付与シーケンスと、容量検出シーケンスとは、制御システム1が起動している間、繰り返して実行される。
【0225】
接続ID付与シーケンスにおける呼びかけのコマンドに対しては、接続IDの割り振られていないバッテリユニットBUのみがレスポンスを返すようにされる。そのため、例えば、コントロールユニットCUに対してバッテリユニットBUが新たに装着されたり、一度取り外されたバッテリユニットBUが再び装着されたりすると、接続ID付与シーケンスが繰り返されることに伴い、接続IDの割り振りが更新される。
【0226】
接続ID付与シーケンスにおいては、接続IDが割り振られる度に、変数Ntがインクリメントされる。すなわち、接続IDの割り振りは、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたバッテリユニットBUがあるか否かの確認となっている。また、接続IDが新たに割り振られたということは、コントロールユニットCUに対して新たに接続されたバッテリユニットBUがあるということなので、台数変更フラグがセットされる。
【0227】
一方、容量検出シーケンスにおいて、タイムアウトする前にレスポンスを返さないバッテリユニットBUがあったとする。
【0228】
上述したように、バッテリユニットBU中のバッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドは、すでに接続IDの割り振られたバッテリユニットBUのみに対して送出される。したがって、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドに対するレスポンスがないということは、コマンドの送信先のバッテリユニットBUが取り外されたということを意味している。そのため、タイムアウトする前にレスポンスを返さないバッテリユニットBUが見つけられる度に、変数Ntがデクリメントされる。また、タイムアウトする前にレスポンスを返さないバッテリユニットBUが見つかったということは、コントロールユニットCUから取り外されたバッテリユニットBUがあるということなので、この場合にも、台数変更フラグはセットされる。
【0229】
このように、本開示では、バッテリユニットBUの状態を確認するためのコマンドが、現時点でコントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUの数を確認するためのコマンドとしての機能を兼ねている。すなわち、例えば、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドが、バッテリユニットBUの着脱の有無の確認に利用されている。なお、バッテリユニットBUの状態を確認するためのコマンドは、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドに限られず、例えば、バッテリユニットBU中の温度の読み出しのためのコマンド等であってもよい。
【0230】
接続IDの割り振りによりコントロールユニットCUに捕捉された全てのバッテリユニットBUに対する、各バッテリBの電池残量の情報の取得が終了すると、容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了したことになる。容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了すると、例えば、各バッテリBの電池残量に基づく、充電/放電の優先順位のテーブルの構築が可能となる。各バッテリBの電池残量の情報の取得が終了した時のNtのカウント値は、その時点においてコントロールユニットCUに装着されているバッテリユニットBUを表している。このようにして、コントロールユニットCUは、バッテリユニットBUの着脱がある場合においても、ある時点における、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数および状態を把握することができる。
【0231】
現時点においてコントロールユニットCUに捕捉されている全てのバッテリユニットBUに対する、各バッテリBの電池残量の情報の取得が終了すると、変数Nbに、変数Ntのカウント値がコピーされる。そして、台数変更フラグがリセットされた後、上述した一連の処理が繰り返し実行される。
【0232】
上述した一連の処理において、新たにコントロールユニットCUに捕捉された全てのバッテリユニットBUに対する、各バッテリBの電池残量の情報の取得が終了すると、変数Nbと変数Ntとが比較される。言い換えれば、1つ前の状態における、コントロールユニットCUに装着されていたバッテリユニットBUの数と、現時点における、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数とが比較される。
【0233】
変数Nbと変数Ntとが一致した場合、現時点でコントロールユニットCUに装着されている全てのバッテリユニットBUについての状態(バッテリユニットBU中のバッテリBの電池残量)を確認できたと判断できるから、制御システム1は、ここで初めて充電/放電を行うことのできるモードへ移行される。
【0234】
一方、装着が確認された全てのバッテリユニットBU中のバッテリBの状態の確認がなされないと、変数Nbと変数Ntとは一致しない。
【0235】
例えば、現時点においてコントロールユニットCUに捕捉されている全てのバッテリユニットBUに対する、各バッテリBの電池残量の情報の取得の途中でバッテリユニットBUの数が増減したとする。すなわち、状態監視シーケンスの途中でバッテリユニットBUの数が増減したとする。このとき、コントロールユニットCUに捕捉されていた全てのバッテリユニットBUについての状態の把握ができない場合が発生する。
【0236】
そのため、変数Nbと変数Ntとが一致しなかった場合には、制御システム1における、充電/放電を行うことのできるモードへの移行はなされず、処理が接続IDの割り振りに戻される。
【0237】
例えば、コントロールユニットCUに装着されている3つのバッテリユニットBUに対し、接続IDとして、“AAA”、“BBB”、“CCC”がそれぞれ割り振られていたとする。すなわち、コントロールユニットCUは、この時点では、自身に装着されているバッテリユニットBUの数が合計3つであるとして状態監視シーケンスをはじめとする各種の処理を継続する。
【0238】
例えば、コントロールユニットCUが、接続IDが“AAA”とされたバッテリユニットBUについての状態の確認後に、接続IDが“BBB”とされたバッテリユニットBUについての状態の確認を行っているとする。接続IDが“BBB”とされたバッテリユニットBUについての状態の確認中に、すでに状態の確認を終えた、接続IDが“AAA”とされたバッテリユニットBUが取り外されたとする。すると、次にバッテリユニットBUの数の確認がされるまで(接続ID付与シーケンスが再度繰り返されるまで)は、自身に装着されているバッテリユニットBUの数が実際には2つであるとしても、コントロールユニットCUは、バッテリユニットBUの数が3つであるものとして各種の処理を継続することになる。
【0239】
なお、例えば、コントロールユニットCUに対して、接続IDとして、“BBB”、“CCC”がそれぞれ割り振られているバッテリユニットBUが装着されており、接続IDが“BBB”とされたバッテリユニットBUの状態の確認中であったとする。このときに、コントロールユニットCUに対して、新たにバッテリユニットBUが装着されると、このバッテリユニットBUに対しては、接続IDとして“AAA”が新たに割り振られる。
【0240】
この場合は、コントロールユニットCUは、接続IDとして、“BBB”、“CCC”、“AAA”の割り振りがなされていると判断する。すると、状態監視シーケンスが継続されることにより、接続IDとして“AAA”が新たに割り振られたバッテリユニットBUに対しても状態の確認がなされる。
【0241】
上述したように、容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了すると、現時点でコントロールユニットCUに装着されている全てのバッテリユニットBUについての状態が把握される。現時点でコントロールユニットCUに装着されている全てのバッテリユニットBUについての状態が把握されると、例えば、各バッテリBの電池残量に基づく、充電/放電の優先順位のテーブルが構築される。さらに、容量検出シーケンスの繰り返しの一単位の終了後、変数Nbと変数Ntとが一致しているか否かが判定され、変数Nbと変数Ntとが一致している場合に、制御システム1が、充電/放電を行うことのできるモードへと移行される。
【0242】
制御システム1が、充電/放電を行うことのできるモードへと移行されると、コントロールユニットCUは、例えば、各バッテリBの電池残量に基づく、充電/放電の優先順位に従って、バッテリユニットBUに充電/放電を指示する。
【0243】
ところで、本開示では、例えば、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドが、バッテリユニットBUの着脱の有無の確認に利用されている。
【0244】
コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数や状態を常時監視する観点からすると、バッテリユニットBUの着脱の有無の確認は、できるだけ短い間隔で行われることが好ましい。すなわち、容量検出シーケンスが繰り返し実行され、バッテリBの電池残量の読み出しのためのコマンドが適宜送出され続けることが好ましい。
【0245】
ところが、通常、A/D変換には誤差が含まれるため、バッテリBの出力電圧(放電電圧)をもとにして、バッテリBの充電可能な容量(放電可能な容量)を推定しようとすると、容量検出シーケンスの繰り返しごとに、充電/放電の優先順位が更新されてしまう。すなわち、ある時点における充電/放電の優先順位と、容量検出シーケンスがさらに1回行われた時点における充電/放電の優先順位とが異なったものとなってしまうことがある。特に、複数のバッテリB間の充電可能な容量(放電可能な容量)の差がごく小さかった場合、充電/放電の優先順位が、容量検出シーケンスの繰り返しごとに変わってしまう。
【0246】
図12A〜図12Dは、放電の優先順位と、バッテリユニットBUに対する放電の指示およびバッテリユニットBUからの放電との間の関係を説明するための略線図である。
【0247】
図12Aに示すように、例えば、ある時点において、コントロールユニットCUが、3つのバッテリユニットBUa、BUbおよびBUcを捕捉していたとする。また、これらに対して、接続IDとして、順に、“AAA”、“BBB”、“CCC”が割り振られていたとする。この時点における、各バッテリユニットBUa、BUbおよびBUc中のバッテリBa、BbおよびBcの電池残量が、例えば、それぞれの定格容量に対して、90%、89%、88%であったとする。
【0248】
このとき、例えば、コントロールユニットCUが、放電可能な容量の最も大きいバッテリBを備えるバッテリユニットBUから優先して放電を指示するように設定されていたとする。すなわち、現時点における放電の優先順位は、バッテリユニットBUaが1位、バッテリユニットBUbが2位、バッテリユニットBUcが3位となる。
【0249】
なお、図12A〜図12Dにおける黒丸の中の白色の数字は、現時点における放電の優先順位を示している。以下の説明においても、同様とする。
【0250】
したがって、制御システム1から外部機器に対して電力を供給する場合、コントロールユニットCUは、図12A中に矢印で示したように、現時点において放電の優先順位の最も高いバッテリユニットBUaに放電を指示する。このときのバッテリユニットBUaに対する放電の指示は、接続IDにより送信先が指定されてコントロールユニットCUから送出される。
【0251】
ここで、図12Aにより示した状態における放電の指示から次の放電の指示までの間に、接続ID付与シーケンスおよび容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了して、例えば、図12Bに示すように、放電の優先順位が入れ替わってしまうことがある。本開示の制御システムの構成例では、コントロールユニットCUが、コマンドに対するレスポンスを待つ間にも、他の処理を実行しているからである。
【0252】
図12Bは、図12Aにより示した状態から、接続ID付与シーケンスおよび容量検出シーケンスの繰り返しの一単位の終了した時点における放電の優先順位の例を示している。図12Bに示す例では、容量検出シーケンスの繰り返しの一単位の終了した時点において、放電の優先順位が、バッテリユニットBUaが3位、バッテリユニットBUbが1位、バッテリユニットBUcが2位となっている。
【0253】
図12Bに示すように、例えば、この時点では、矢印Edにより模式的に示すように、バッテリユニットBUaからの放電が開始されている。すなわち、本来は、現時点における放電の優先順位が1位であるバッテリユニットBUbから放電がなされるべきであるのに、現時点における放電の優先順位が3位であるバッテリユニットBUaから放電がなされている。
【0254】
さらに、図12Bに示す状態において、外部機器の必要とする電力が増加して、2つ目のバッテリユニットからも放電を行う必要が生じたとする。すると、コントロールユニットCUは、放電の優先順位に基づき、この時点における放電の優先順位が2位であるバッテリユニットBUcに対して放電を指示しなければならないことになる。なお、コントローラCUが、バッテリユニットBUaに加えて2つ目のバッテリユニットBUに対して放電を指示できるのは、上述した、変数Nbと変数Ntとが一致した後である。すなわち、現時点でコントロールユニットCUに装着されている全てのバッテリユニットBUについての状態の確認は済んでいるから、充電/放電の優先順位の確定している状態であることが保証されている。
【0255】
ところが、この時点における放電の優先順位が2位であるバッテリユニットBUcに対して、コントロールユニットCUが放電を指示すると、この時点において放電可能な容量の最も大きいバッテリBbを備えるバッテリユニットBUbが見逃されてしまう。
【0256】
仮に、この時点における放電の優先順位が2位であるバッテリユニットBUcに対して、コントロールユニットCUが放電を指示したとする。ところが、次に容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了した時点で、バッテリユニットBUcの放電の優先順位が2位である保証はない。
【0257】
また、例えば、図12Cに示すように、ある時点における放電の優先順位が、バッテリユニットBUaが1位、バッテリユニットBUbが2位、バッテリユニットBUcが3位であったとする。このとき、コントロールユニットCUが、放電の優先順位に基づき、図12C中に矢印で示すように、バッテリユニットBUaに放電を指示していたとする。
【0258】
バッテリユニットBUaからの放電が開始され、次の容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了し、例えば、図12Dに示すように、放電の優先順位が入れ替わっていたとする。図12Dに示す例では、容量検出シーケンスの繰り返しの一単位の終了時において、放電の優先順位は、バッテリユニットBUaが2位、バッテリユニットBUbが1位、バッテリユニットBUcが3位となっている。例えば、この時点では、図12Dに矢印Edにより示すように、バッテリユニットBUaからの放電が開始されている。
【0259】
このとき、2つ目のバッテリユニットからも放電を行う必要が生じたとすると、コントロールユニットCUは、放電の優先順位に基づき、この時点における放電の優先順位が2位であるバッテリユニットBUaに対して放電を指示しなければならないことになる。ところが、バッテリユニットBUaはすでに放電を開始しており、コントロールユニットCUからの放電の指示が、バッテリユニットBUaに向けて重ねて送出されることになってしまう。
【0260】
このように、現時点における、充電/放電の優先順位に基づいて複数のバッテリユニットに対して充電/放電の指示をしようとすると、制御システムが誤動作してしまうおそれがある。
【0261】
さらに、本開示の制御システムの構成例では、バッテリユニットBUに対する充電や放電が行われている途中で、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数が変化しうる。
【0262】
例えば、ある時点において、充電/放電の優先順位がn番目(nは自然数とする。)のバッテリユニットBUに充電/放電を指示した後、優先順位が(n+1)番目のバッテリユニットBUに対して、さらに充電/放電を指示しようとしていたとする。
【0263】
ところが、本開示の制御システムの構成例では、n番目のバッテリユニットBUに対する指示と、(n+1)番目のバッテリユニットBUに対する指示との間に、バッテリユニットBUの数が変化しうる。すると、指示の対象となる(n+1)番目のバッテリユニットBUがもはや存在しない状況も起こりうる。
【0264】
また、コントロールユニットCUに装着されたバッテリユニットBUの数が変化すると、容量検出シーケンスの繰り返しがなされることにより、充電/放電の優先順位が更新されることになる。この場合、その時点における充電/放電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットBUに対して単純に充電/放電を指示してしまうと、上述した問題に加えて、別の好ましくない状況も生じうる。
【0265】
図13A〜図13Dは、放電の優先順位と、バッテリユニットBUに対する放電の指示およびバッテリユニットBUからの放電との間の関係を説明するための略線図である。
【0266】
図13Aに示すように、例えば、ある時点において、コントロールユニットCUが、4つのバッテリユニットBUa、BUb、BUcおよびBUdを捕捉していたとする。また、これらに対して、接続IDとして、順に、“AAA”、“BBB”、“CCC”、“DDD”が割り振られていたとする。この時点における、放電の優先順位は、例えば、バッテリユニットBUaが1位、バッテリユニットBUbが2位、バッテリユニットBUcが3位、バッテリユニットBUdが4位であったとする。この時点では、例えば、2つのバッテリユニットBUから放電を行っていたとする。
【0267】
次に、例えば、図13Bに示すように、コントロールユニットCUからバッテリユニットBUaが取り外されたとする。すると、容量検出シーケンスの繰り返しに伴って、バッテリユニットBUb、BUcおよびBUdに対する放電の優先順位が更新される。図13Bに示す状態において、放電の優先順位が、例えば、バッテリユニットBUbが3位、バッテリユニットBUcが1位、バッテリユニットBUdが2位であったとする。
【0268】
2つのバッテリユニットから放電を行わせる必要があることと、図13Bに示す状態における、放電の優先順位とから単純に判断すると、放電の優先順位が1位と2位のバッテリユニットBUからの放電がなされていなければならないはずである。そこで、コントロールユニットCUは、この時点で放電の優先順位が1位であるバッテリユニットBUcに対して、放電を指示しなければならないこととなる。このとき、すでに放電が指示されているバッテリユニットBUbからの放電は継続されている。
【0269】
なお、図13Bに示す状態においては、各バッテリユニットBUに対して割り振られた接続IDが、図13Aに示す状態から変更されている可能性もあるが、以下の説明では、接続IDの図示を適宜省略することとする。コントロールユニットCUがバッテリユニットBUcに対して充電/放電を指示するためには、各バッテリユニットBUに対する接続IDが割り振られてさえいればよいからである。また、上述した一連の処理においては、コントロールユニットCUからの放電の指示は、接続IDおよび充電/放電の優先順位の確定後に行われるからである。
【0270】
次に、バッテリユニットBUcに対する放電の指示から、バッテリユニットBUcが実際に放電を開始するまでの間に、容量検出シーケンスの繰り返しの一単位が終了して、図13Cに示すように、放電の優先順位が入れ替わってしまったとする。
【0271】
この時点における、放電の優先順位が2位であるバッテリユニットBUが、図13Cに示すように、例えば、バッテリユニットBUdであったとする。すると、コントロールユニットCUは、放電の優先順位が2位であるバッテリユニットBUdから放電を行わせようとして、バッテリユニットBUdに対して放電を指示してしまうことになる。このとき、すでに放電が指示されているバッテリユニットBUbおよびバッテリユニットBUcからの放電は継続される。
【0272】
バッテリユニットBUdに対して放電の指示が与えられてしまうと、バッテリユニットBUdが放電を開始することにより、本来は2つのバッテリユニットBUから放電を行わせるはずであったのに、3つのバッテリユニットBUから放電がなされてしまう。すなわち、その時点における放電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットBUに対して単純に放電を指示してしまうと、時間の経過につれて、放電を行うバッテリユニットBUの数が次第に増加していってしまう。
【0273】
充電の場合も同様に、その時点における充電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットBUに対して単純に充電を指示してしまうと、充電を行うバッテリユニットBUの数が次第に増加していってしまう。言い換えれば、消費電力が増加し続け、発電部からみた負荷が増加し続けてしまうことになる。
【0274】
すなわち、複数のバッテリユニットBUの着脱を自在とすると、バッテリユニットBUに対するコントロールユニットCUからの指示と、指示を受け取ったバッテリユニットBUの動作との間に、充電/放電の優先順位の入れ替わりが生じうる。言い換えれば、ある時点における、充電/放電の優先順位に基づいた指示が、その前の時点における、充電/放電の優先順位に則した指示である保証はない。
【0275】
このような問題は、二次電池に対する充電時や二次電池からの放電時における、二次電池の接続数の変化がない一般的な制御装置では、想定する必要のなかった問題である。
【0276】
「バッテリユニットが複数の場合の充電手順」
まず、本開示に適用可能な充電手順について説明を行う。以下に例示する手順は、充電を開始させるバッテリユニットBUを新たに増やしたいときの手順である。
【0277】
本開示に適用可能な充電手順では、概略的には、あるバッテリユニットBUに対してコントロールユニットCUから充電の指示を行うまでにバッテリユニットBUの着脱があった場合、コントロールユニットCUは、全てのバッテリユニットBUに対する充電を順次解除する。全てのバッテリユニットBUに対する充電が解除されると、コントロールユニットCUは、指示を与えようとする時点における、充電の優先順位の最も高いバッテリユニットBUに対して充電の開始を指示する。1つ目のバッテリユニットに充電の指示を与えた後は、バッテリユニットBUの着脱が行われない限りは、コントロールユニットCUは、充電を指示すべき数に達するまで、バッテリユニットBUに対して充電の開始を順次指示していく。
【0278】
図14は、充電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットに充電の指示を与える場合の処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する一連の処理は、例えば、コントロールユニットCUのCPU13により実行される。
【0279】
上述したように、制御システム1は、現時点でコントロールユニットCUに装着されている全てのバッテリユニットBUについての状態の確認が終了しなければ、充電を行うことのできるモードへ移行されない。言い換えれば、上述した、変数Nbと変数Ntとが一致した場合に、制御システム1は、充電を行うことのできるモードへ移行される。なお、変数Nbと変数Ntとが一致しなかった場合は、接続ID付与シーケンスおよび状態監視シーケンスの繰り返しに処理が戻される。以下、充電を行うことのできるモードを「充電モード」と適宜称する。
【0280】
充電モードにおいては、まず、ステップSt31において、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があったか否かが判断される。すなわち、例えば、台数変更フラグがセットされているか否かが判定される。
【0281】
コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があった場合には、処理はステップSt32へと進められる。一方、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更がなかった場合には、処理はステップSt37へと進められる。
【0282】
コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があった場合には、ステップSt32において、コントロールユニットCUに接続されている全てのバッテリユニットBUに対する充電が停止されているか否かが判断される。充電が継続されているバッテリユニットBUが見つかった場合には、ステップSt36において、充電が継続されているバッテリユニットBUに対して、充電の停止のコマンドが送出される。なお、充電の停止のコマンドの送出の後、処理がステップSt31に戻されるようにされていてもよい。
【0283】
すなわち、本例では、制御システム1が充電を優先するモードにあるときに、バッテリユニットBUの数に変更があると、全てのバッテリユニットBUに対する充電が一旦キャンセルされる。全てのバッテリユニットBUに対する充電を一旦キャンセルさせるのは、充電を行うバッテリユニットBUの数の増加を防止するためである。なお、本例の処理に従う場合には、発電部により得られる電力のうち、充電に充てられずに捨てられる電力が発生するが、全てのバッテリユニットBUに対する充電が停止されている時間は、数百ミリ秒から数秒程度のごく短い時間だけである。
【0284】
一方、コントロールユニットCUに接続されている全てのバッテリユニットBUに対する充電が停止されている場合には、処理はステップSt33へと進められる。ステップSt33においては、現時点における、充電の優先順位の最も高いバッテリユニットBUが検索される。すなわち、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が1位とされたバッテリユニットBUが検索され、ステップSt34において、該バッテリユニットBUのみに充電の指示がなされる。
【0285】
ステップSt34において、指定されたバッテリユニットBUに対する充電の指示がなされた後、処理はステップSt35へと進められ、ステップSt35において、台数変更フラグがリセットされる。
【0286】
充電モードの終了後は、接続ID付与シーケンスおよび状態監視シーケンスの繰り返しに処理が戻される。
【0287】
ステップSt31において、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更がなかったと判断された場合には、処理はステップSt37へと進められる。コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更がなかったということは、1つ前の充電モードにおける状態と比較したときに、充電の優先順位が変更されている可能性のみ考慮すればよいということである。このとき、すでに充電の指示がされているバッテリユニットBUの数がnであるとする。
【0288】
ステップSt37においては、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対してすでに充電の指示がなされているか否かが判断される。例えば、すでに2つのバッテリユニットBUに対する充電が行われている場合には、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が3位のバッテリユニットBUに対してすでに充電の指示がなされているか否かが判断される。
【0289】
なお、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位に関する情報に加えて、すでに充電を指示したバッテリユニットBUの数に関する情報を有している。すなわち、例えば、コントロールユニットCUは、各バッテリユニットBUの電子スイッチのオン/オフに関する設定指示の情報を保持している。
【0290】
充電の指示を与えようとしているバッテリユニットBUに対する充電がすでに行われている場合(充電の開始を指示済みである場合)には、ステップSt38において、充電の対象として最も適切であると考えられるバッテリユニットBUが検索される。具体的には、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が1位からn位までのバッテリユニットBUから、充電の対象として最も適切であると考えられるバッテリユニットBUを1つ選択する。
【0291】
そして、充電の対象として最も適切であると考えられるバッテリユニットBUが選択されると、コントロールユニットCUは、選択されたバッテリユニットBUに対して充電の開始を指示する。
【0292】
より具体的には、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が1位からn位までのバッテリユニットBUのうち、充電の優先順位の高いものから順に、まだ充電の指示されていないバッテリユニットBUが検索される。コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点において、(n+1)位のバッテリユニットBUよりも優先順位が高いn個の中に、まだ充電の開始の指示されていないバッテリユニットBUが存在しているはずだからである。
【0293】
したがって、まず、(n+1)位のバッテリユニットBUよりも優先順位が高いn個のバッテリユニットBUが、充電の優先順位の高い方から順に調べられる。そして、まだ充電の開始の指示されていないバッテリユニットBUが見つけられると、ステップSt39において、そのバッテリユニットBUのみに対して充電が指示される。
【0294】
図15Aおよび図15Bは、充電の優先順位と、バッテリユニットBUに対する充電の指示およびバッテリユニットBUへの充電との間の関係を説明するための略線図である。図15Bは、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位と、充電が行われているバッテリユニットBUとの関係の一例を示している。図15Aは、図15Bに示す状態の1つ前の充電モードにおける状態の一例を示している。
【0295】
いま、図15Aに示すように、コントロールユニットCUに接続されているバッテリユニットBUの数が全部で8つであるとし、8つのうち、すでに4つには充電の指示がなされていたとする(n=4)。なお、図15Aおよび図15Bでは、バッテリユニットBUへの充電を矢印Ccにより模式的に示した。
【0296】
この場合において、充電を行わせるバッテリユニットBUをさらに1つ増やして、合計で5つのバッテリユニットBUに充電を行わせたいとする。
【0297】
この場合、図15Bに示すように、バッテリユニットBUに対して新たに充電の指示を与えようとしている時点においては、すでに4つのバッテリユニットBUへの充電が行われている。このとき、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が5位のバッテリユニットBUaに対して充電が行われているか否かを調べる。
【0298】
ここで、図15Bに示すように、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が5位のバッテリユニットBUaに対して、すでに充電が行われていたとする。そうすると、充電の優先順位が5位のバッテリユニットBUaを除く7つのバッテリユニットBUのうち、3つのバッテリユニットBUに対してもすでに充電の指示がなされているということがわかる。
【0299】
このことを言い換えると、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が1位から4位までのバッテリユニットBUの中に、まだ充電が行われていないバッテリユニットBUが少なくとも1つ見つかるということである。
【0300】
そこで、コントロールユニットCUは、まず、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が1位から4位までのバッテリユニットBUを1位から順に検索する。そして、まだ充電の開始の指示されていないバッテリユニットBUが見つかれば、そのバッテリユニットBUに対してのみ、充電を指示する。したがって、図15Bに示す場合であれば、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が2位のバッテリユニットBUbに対して、充電の開始が指示されることになる。
【0301】
一方、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対する充電がまだ行われていない場合には、処理はステップSt40に進められる。ステップSt40において、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対して、充電の開始が指示される。
【0302】
充電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対する充電がまだ行われていない場合には、充電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対して、素直に充電の開始を指示して何ら問題はないからである。なお、現時点における、充電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUが、1つ前の充電モードにおいて(n+1)位であった保証はない。しかしながら、すでにn個のバッテリユニットBUに対しては充電が行われているのであるから、現時点における、充電の優先順位に基づいて充電の対象を指定する観点からすると、現時点において(n+1)位のバッテリユニットBUを選択することは妥当といえる。
【0303】
もちろん、現時点において、(n+1)位のバッテリユニットBUよりも最適なバッテリユニットBUが存在する可能性もあるが、この時点で優先順位が入れ替わっているということは、その差はA/D変換のノイズレベル程度の差でしかないと判断できる。したがって、現時点において、(n+1)位のバッテリユニットBUよりも最適なバッテリユニットBUが存在したとしても、充電の対象として(n+1)位のバッテリユニットBUを選択したところで大きな差はないと考えられる。
【0304】
なお、本例のステップSt37においては、充電対象のバッテリユニットBUを追加することを前提に説明してきたが、この前の段階で、追加して充電指示すべきか否かを判断するようにしてもよい。すなわち、ステップSt31とステップSt37の間において、追加して充電指示をすべきか否かを、(環境に応じて発電する)発電部の発電状況に応じて判断し、発電量が多いために追加して発電指示すべきと判断したときのみ、ステップST37を実行するようにしてもよい。さらにまた、(環境に応じて発電する)発電部の発電量が少なくなった場合には、最後に追加した(n+1)位のバッテリユニットBUから順番に充電停止の指示を出すよう、処理を追加してもよい。この場合、さらに発電量が減少した場合に備え、(n+1)位よりも上位のバッテリユニットBUに対しても引き続き充電停止の指示を行えるようにしておく方がよい。
【0305】
図15Aおよび図15Bにより概略的に示したように、コントロールユニットCUは、あるバッテリユニットに対して充電の指示を与えようとする時点の1つ前の充電モードにおける、充電の優先順位に関する情報を保持していない。しかしながら、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位に関する情報と、すでに充電を指示したバッテリユニットBUの数に関する情報とを有している。
【0306】
したがって、上述した手順に従えば、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、充電の優先順位に関する情報に基づいて、その時点において、充電の対象として適切と考えられるバッテリユニットBUに指示を与えることができる。
【0307】
以上の手順に従って、所望する台数に達するまでバッテリユニットBUに順次充電を指示していくことにより、コントロールユニットCUが同一のバッテリユニットBUに対して充電の指示を重ねて送出してしまうことを防止できる。また、充電の優先順位の低いバッテリユニットBUに対して充電の指示を送出してしまうことが防止される。
【0308】
「バッテリユニットが複数の場合の放電手順」
次に、本開示に適用可能な放電手順について説明を行う。以下に例示する手順は、放電を開始させるバッテリユニットBUを新たに増やしたいときの手順である。
【0309】
本開示に適用可能な放電手順は、上述した充電手順と異なり、あるバッテリユニットBUに対してコントロールユニットCUから放電の指示を行うまでにバッテリユニットBUの着脱があった場合、全てのバッテリユニットBUに対しての放電の解除はなされない。すなわち、放電モードから次の放電モードまでの遷移において、少なくとも1つのバッテリユニットBUからの放電が継続される。
【0310】
概略的には、あるバッテリユニットBUに対してコントロールユニットCUから放電の指示を行うまでにバッテリユニットBUの着脱があった場合、コントロールユニットCUは、1つのバッテリユニットBUを残して他からの放電を順次解除する。他の全てのバッテリユニットBUに対する放電が解除された後、バッテリユニットBUの着脱が行われない限りは、コントロールユニットCUは、放電を指示すべき数に達するまで、バッテリユニットBUに対して放電の開始を順次指示していく。
【0311】
図16は、放電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットに放電の指示を与える場合の処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する一連の処理は、例えば、コントロールユニットCUのCPU13により実行される。
【0312】
上述したように、制御システム1は、現時点でコントロールユニットCUに装着されている全てのバッテリユニットBUについての状態の確認が終了しなければ、放電を行うことのできるモードへ移行されない。言い換えれば、上述した、変数Nbと変数Ntとが一致した場合に、制御システム1は、放電を行うことのできるモードへ移行される。なお、変数Nbと変数Ntとが一致しなかった場合は、接続ID付与シーケンスおよび状態監視シーケンスの繰り返しに処理が戻される。以下、放電を行うことのできるモードを「放電モード」と適宜称する。
【0313】
放電モードにおいては、まず、ステップSt41において、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があったか否かが判断される。すなわち、例えば、台数変更フラグがセットされているか否かが判定される。
【0314】
コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があった場合には、処理はステップSt42へと進められる。一方、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更がなかった場合には、処理はステップSt45へと進められる。
【0315】
コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があった場合には、ステップSt42において、現時点における、放電の優先順位の最も高いバッテリユニットBUが検索される。すなわち、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、放電の優先順位が1位とされたバッテリユニットBUが検索され、ステップSt43において、該バッテリユニットBUのみに放電の指示がなされる。以下では、ステップSt43において放電の開始の指示されたバッテリユニットBUを、放電継続BUと称することとする。
【0316】
ステップSt43において、放電継続BUの指定がなされた後、処理はステップSt44へと進められ、ステップSt44において、台数変更フラグがリセットされる。なお、必要に応じて、放電継続BUの数を2以上とし、他のバッテリユニットBUへの放電の指示を停止させるステップに進むようにしてもよい。2つ以上のバッテリユニットBUに放電を指示するか否か(放電継続BUの数を2以上とするか否か)は、接続される負荷に必要な電力量に応じて適宜設定される。
【0317】
放電モードの終了後は、接続ID付与シーケンスおよび状態監視シーケンスの繰り返しに処理が戻される。
【0318】
一方、ステップSt41において、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更がなかったと判断された場合には、処理はステップSt45へと進められる。
【0319】
ステップSt45においては、放電継続BUに対する放電の指示後の放電停止処理(以下、初期停止処理と適宜称する。)が完了しているかが判断される。初期停止処理は、放電継続BUを指定した後、放電継続BUを除く他のバッテリユニットBUからの放電を順次停止させる処理である。初期停止処理が完了していない場合には、処理はステップSt46へと進められる。一方、初期停止処理が完了した場合には、処理はステップSt48へと進められる。なお、放電がなされているべきバッテリユニットBUからの放電がすでになされており、かつバッテリユニットBUの着脱もなかった場合にも、処理はステップSt48へと進められる。
【0320】
ステップSt46では、ステップSt43において放電の指示されたバッテリユニットBU(放電継続BU)を除く全てのバッテリユニットBUに対する放電が停止されているか否かが判断される。放電が継続されているバッテリユニットBUが見つかった場合には、ステップSt47において、放電が継続されているバッテリユニットBUに対して、放電の停止のコマンドが送出される。
【0321】
すなわち、本例では、制御システム1が放電を優先するモードにあるときに、バッテリユニットBUの数に変更があると、放電モードに移行した時点において、充電の優先順位が1位のバッテリユニットBUに対して放電の開始が指示される。接続ID付与シーケンスおよび状態監視シーケンスの繰り返しにより、制御システム1が再び放電モードに移行されると、ステップSt43において放電の開始の指示されたバッテリユニットBU(放電継続BU)を除く他のバッテリユニットBUからの放電が順次解除される。放電継続BUを除く他のバッテリユニットBUからの放電が全て解除されると、初期停止処理の完了となる。
【0322】
上述した充電手順と異なり、全てのバッテリユニットBUからの放電を一旦キャンセルさせないのは、外部機器に対するコントロールユニットCUからの電力の供給を継続させるためである。
【0323】
なお、制御システム1においては、あるバッテリユニットBUからの放電を行わせながら、別のバッテリユニットBUへの充電を行わせることも可能とされる。例えば、あるバッテリユニットBUから別のバッテリユニットBUに対して充電を行うことも可能とされている。そのため、放電の停止のコマンドとともに、充電の停止のコマンドが送出されるようにされていてもよい。
【0324】
放電継続BUを除く全てのバッテリユニットBUに対する放電が停止されている場合には、処理はステップSt48へと進められる。
【0325】
ステップSt48においては、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、放電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対してすでに放電の指示がなされているか否かが判断される。
【0326】
なお、コントロールユニットCUは、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、放電の優先順位に関する情報に加えて、すでに放電を指示したバッテリユニットBUの数に関する情報を有している。すなわち、例えば、コントロールユニットCUは、各バッテリユニットBUの電子スイッチのオン/オフに関する設定指示の情報を保持している。
【0327】
放電の指示を与えようとしているバッテリユニットBUに対する放電がすでに行われている場合(放電の開始を指示済みである場合)には、ステップSt49において、放電の対象として最も適切であると考えられるバッテリユニットBUが検索される。上述した充電手順の場合と同様にして、まず、(n+1)位のバッテリユニットBUよりも優先順位が高いn個のバッテリユニットBUが、放電の優先順位の高い方から順に調べられる。そして、まだ放電の開始の指示されていないバッテリユニットBUが見つけられると、ステップSt50において、そのバッテリユニットBUのみに対して放電が指示される。
【0328】
一方、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、放電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対する放電がまだ行われていない場合には、処理はステップSt51に進められる。ステップSt51において、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、放電の優先順位が(n+1)位のバッテリユニットBUに対して、放電の開始が指示される。
【0329】
放電モードの終了後は、接続ID付与シーケンスおよび状態監視シーケンスの繰り返しに処理が戻される。
【0330】
上述した手順に従えば、コントロールユニットCUが指示を与えようとする時点における、放電の優先順位に関する情報に基づいて、その時点において、放電の対象として適切と考えられるバッテリユニットBUに指示を与えることができる。
【0331】
以上の手順に従って、所望する台数に達するまでバッテリユニットBUに順次放電を指示していくことにより、コントロールユニットCUが同一のバッテリユニットBUに対して放電の指示を重ねて送出してしまうことを防止できる。また、放電の優先順位の低いバッテリユニットBUに対して放電の指示を送出してしまうことが防止される。
【0332】
以上の説明から明らかなように、放電モードにおいては、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUの数に変更があったとしても、放電を継続しているバッテリユニットBUが存在している。したがって、放電の継続性が保証され、外部機器に対するコントロールユニットCUからの電力の供給が途切れることがない。
【0333】
なお、充電モードにおいて、電池残量に余裕のあるバッテリユニットBUから放電をさせること、および放電モードにおいて、電池残量の少ないバッテリユニットBUに充電を行うことは一向に差し支えない。また、制御システム1においては、あるバッテリユニットBUからの放電を行わせながら、別のバッテリユニットBUへの充電を行わせることも可能とされる。例えば、あるバッテリユニットBUから別のバッテリユニットBUに対して充電を行うことも可能とされている。そのため、充電モードおよび放電モードにおいても、電池残量に余裕のあるバッテリユニットBUから放電と、電池残量の少ないバッテリユニットBUに対する充電とを併用するようにしてもよい。
【0334】
以上に説明したように、本開示によれば、現時点における、充電/放電の優先順位に基づいて、複数のバッテリユニットに対して、適切な順序で充電/放電を行わせることができる。また、本開示によれば、充電/放電の指示ごとのバッテリユニットBUの数や状態を保持しておく必要がないため、メモリ量を際限なく増やすことなく、複数のバッテリユニットに対して、適切な順序で充電/放電を行わせることができる。
【0335】
なお、上述の説明では、電池残量により充電/放電の優先順位が決定される例により説明を行ったが、充電/放電の優先順位を決定するためのパラメータは、各バッテリユニットBUの温度や充電/放電の回数など、任意に設定してよい。
【0336】
「複数のバッテリユニットに対する制御」
【0337】
本開示の制御システムにおいては、複数のバッテリユニットBUを独立して制御することが可能とされるとともに、個々のバッテリユニットBUの着脱も自在とされている。上述したように、コントロールユニットCUおよびバッテリユニットBUは、受け取ったコマンドに対応する処理をその都度実行し、コントロールユニットCUは、複数のバッテリユニットBUの状態を常時監視することが可能とされているからである。
【0338】
したがって、本開示の制御システムにおいては、例えば、複数のバッテリユニットBUのうち、あるバッテリユニットBUには充電を行わせながら、かつ別のバッテリに放電を行わせることももちろん可能となる。例えば、発電部により得られた電力を複数のバッテリユニットBUのうちの一部に供給させて充電を行いつつ、別の一部のバッテリユニットBUから外部機器に電力を供給させて、制御システム1内で充電と放電とを同時に行わせることもできる。また、例えば、あるバッテリユニットBUに放電を行わせて別のバッテリユニットBUを充電することも可能である。
【0339】
さらに、本開示の制御システムにおいては、例えば、コントロールユニットCUから、電池残量の低下したバッテリユニットBUを取り外して、充電済みのバッテリユニットBUと交換するといった運用も可能である。バッテリユニットBUの交換の際においても、電池残量の低下していないバッテリユニットBUが少なくとも1つコントロールユニットCUに接続されていれば、制御システム1からの電力供給が途切れることはない。
【0340】
また、バッテリユニットBU自体がチャージャー回路41aを備えているので、電池残量の低下したバッテリユニットBUを別の場所で充電することも容易である。例えば、電池残量の低下したバッテリユニットBUを、太陽電池や風力による発電機等の設置された“充電ステーション”まで運搬し、“充電ステーション”で充電を行った後、コントロールユニットCUのある場所まで持って帰るという運用もできる。
【0341】
このような特長は、並列にしろ、直列にしろ、複数のバッテリが一体として扱われる従来の構成では得られない。複数のバッテリが一体として扱われる従来の構成では、複数のバッテリの一部を入れ替えるというようなことは、メンテナンス時しか一般に想定されていない。
【0342】
ところで、本開示の制御システムにおいては、複数のバッテリユニットBUを独立して制御できる一方、バッテリユニットBUに対して誤った指示が与えられてしまうことが考えられる。例えば、バッテリユニットBU中のバッテリBがすでに充電状態にあるのに、そのバッテリユニットBUに対して、重ねて充電開始の指示が送られてくる可能性がある。また、例えば、バッテリユニットBU中のバッテリBがすでに充電状態にあるのに、放電開始の指示が送られてくる可能性もある。
【0343】
すなわち、バッテリBに対する充電と、同じバッテリBからの放電とが同時に行われてしまう可能性がある。バッテリBに対する充電と、同じバッテリBからの放電とが同時に行われてしまうと、バッテリBの劣化が急速に進行してしまう。
【0344】
これは、同一のバッテリに対して、充電と放電とが同時に行われると、充電と放電が繰り返し行われてしまうためであると推測される。一般的に、バッテリには充電の回数に上限が存在し、充電と放電のサイクル数の増加に伴って、充電できるエネルギー量が低下していってしまうため、バッテリの使用にあたってはできるだけ多くの電力を使い切り、そのうえで満充電を行うことが好ましいからである。
【0345】
コントロールユニットCUが不適切な指示の送出を防止すれば、バッテリユニットBUに対して誤った指示が与えられてしまう事態は起こらないと考えられるが、コントロールユニットCUが全てのバッテリユニットBUに関する情報を保持しておく必要がある。
【0346】
また、例えば、制御システム1にPC19が接続され、PC19からの指示により制御システム1を動作させる場合には、人為的ミスによりバッテリユニットBUに対して誤った指示が与えられ、強制的に充電と放電とが同時に行われてしまうおそれもある。
【0347】
したがって、バッテリユニットBUに対して誤った指示や、現在の状態と矛盾する指示が与えられた場合であっても、バッテリユニットBUが誤った処理を実行しないようにされることが望ましい。
【0348】
ここで、本開示の制御システムにおいては、個々のバッテリモジュールBUは、それぞれが独立したモジュールである。すなわち、個々のバッテリユニットBUは、コントロールユニットCUの制御のもとにおかれているが、個々のバッテリユニットBUは、受け取ったコマンドに対応する処理をその都度実行することにより、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの充電と放電の管理を行っている。
【0349】
言い換えれば、個々のバッテリユニットBUは、受け取ったコマンドに対して、バッテリBの充電と放電を自律的に制御することも可能とされている。例えば、個々のバッテリユニットBUは、コントロールユニットCUから受け取った、充電や放電の開始のコマンドに対する処理を拒否することも可能である。
【0350】
例えば、コントロールユニットCUから放電の開始のコマンドを受け取ったとしても、バッテリBの温度が異常に高かったり、電池残量が極端に少なかったりする場合には、バッテリBからの放電を行うべきではない。このような場合は、バッテリユニットCUが自律的に判断を行い、バッテリBからの放電がなされないようにすることが望ましい。
【0351】
「バッテリユニットにおける制御の一例」
次に、バッテリユニットBUにおける制御の一例について説明する。
【0352】
不適切な指示に対してバッテリユニットBUが誤った処理を実行しないようにするために、該略的には、充電中に受け取った充電の指示および放電中に受け取った放電の指示がスキップされる。また、現在の状態と相反する指示があった場合、すなわち、充電中に受け取った放電の指示および放電中に受け取った充電の指示があった場合、先の指示がキャンセルされ、後の指示が優先される。
【0353】
図17Aおよび図17Bは、バッテリユニットBUにおける制御の一例を示すフローチャートである。
【0354】
まず、バッテリユニットBUが、バッテリBに対する充電を行っている場合について説明する。以下に説明する一連の処理は、例えば、バッテリユニットBUのCPU45により実行される。
【0355】
いま、バッテリユニットBUが、コントロールユニットCUから先に受け取った充電開始の指示に基づき、バッテリBに対する充電をすでに行っているものとする。図17Aに示すように、ステップSt71において、バッテリユニットBUが充電の開始の指示を受け取ったとする。
【0356】
次に、ステップSt72において、バッテリユニットBUが現在充電を行っているか否かが判断される。
【0357】
バッテリユニットBUが現在充電を行っている場合、バッテリユニットBUに対する充電の開始の指示は、バッテリユニットBUの現在の状態と同一であるため、処理はステップSt75へと進められる。
【0358】
ステップSt75において、バッテリユニットBUは、コントロールユニットCUに対して、“充電を開始した”旨の応答を返す。すなわち、コントロールユニットCUからのコマンドに対して、ダミーのレスポンスが返され、コントロールユニットCUからの指示がスキップされる。
【0359】
なお、バッテリユニットBUに対する充電の開始の指示に対して、現在の状態(充電)を解除して改めて充電を開始しないのは、チャージャー回路41aの再起動に伴い、バッテリBに対する電力の供給が一旦途切れてしまうことを防止するためである。そのため、バッテリユニットBUは、実際は何らの動作を行っていなくとも、コマンドに対応する動作を開始した旨の応答を返す。
【0360】
一方、バッテリユニットBUが現在充電を行っておらず、放電中であった場合、バッテリユニットBUに対する充電の開始の指示は、バッテリユニットBUの現在の状態に相反する指示であるから、処理はステップSt73へと進められる。
【0361】
ステップSt73においては、バッテリユニットBUは、自身からの放電を自律的に停止させる。具体的には、CPU45は、図6に示すスイッチSW8をオフする。このとき、スイッチSW6がオフされることが好ましい。なお、バッテリユニットBUが充電中でも放電中でもなかった場合には、ステップSt73がスキップされてもかまわない。
【0362】
次に、ステップSt74において、バッテリユニットBUは、バッテリBに対する充電を開始させる。具体的には、CPU45は、図6に示すスイッチSW7をオンする。このとき、スイッチSW6およびスイッチSW8はオフされている。
【0363】
すなわち、バッテリユニットBUが、バッテリユニットBUの現在の状態に相反する指示を受け取った場合、バッテリユニットBUは、先に受け取っていた放電の開始の指示を破棄し、後から受け取った充電の開始の指示を優先させる。このように、本開示では、バッテリユニットBUの現在の状態に相反する指示が送出された場合における判断が、バッテリユニットBU側でなされる。
【0364】
バッテリユニットBUがバッテリBに対する充電を開始させた後、処理はステップSt75へと進められ、コントロールユニットCUに対して、“充電を開始した”旨の応答が返される。
【0365】
次に、バッテリユニットBUが、バッテリBからの放電を行っている場合について説明する。以下に説明する一連の処理は、例えば、バッテリユニットBUのCPU45により実行される。
【0366】
いま、バッテリユニットBUが、コントロールユニットCUから先に受け取った放電開始の指示に基づき、バッテリBからの放電をすでに行っているものとする。図17Bに示すように、ステップSt81において、バッテリユニットBUが放電の開始の指示を受け取ったとする。
【0367】
次に、ステップSt82において、バッテリユニットBUが現在放電を行っているか否かが判断される。
【0368】
バッテリユニットBUが現在放電を行っている場合、バッテリユニットBUに対する放電の開始の指示は、バッテリユニットBUの現在の状態と同一であるため、処理はステップSt85へと進められる。
【0369】
ステップSt85において、バッテリユニットBUは、コントロールユニットCUに対して、“放電を開始した”旨の応答を返す。すなわち、コントロールユニットCUからのコマンドに対して、ダミーのレスポンスが返され、コントロールユニットCUからの指示がスキップされる。
【0370】
なお、バッテリユニットBUに対する放電の開始の指示に対して、現在の状態(放電)を解除して改めて放電を開始しないのは、ディスチャージャー回路42aの再起動に伴い、バッテリBからの電力の供給が一旦途切れてしまうことを防止するためである。
【0371】
図17Aに示すように、充電が途切れる場合であれば、わずかに電力の損失が発生するだけであるが、図17Bに示すように、コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUが1つだけであった場合も想定されるため、バッテリユニットBUからの放電は、途切れないことが必要である。コントロールユニットCUに接続されていたバッテリユニットBUが1つだけであった場合に放電が途切れると、制御システム1に接続された外部機器が急にダウンしてしまうおそれがあるからである。
【0372】
一方、バッテリユニットBUが現在放電を行っておらず、充電中であった場合、バッテリユニットBUに対する放電の開始の指示は、バッテリユニットBUの現在の状態に相反する指示であるから、処理はステップSt83へと進められる。
【0373】
ステップSt83においては、バッテリユニットBUは、自身への充電を自律的に停止させる。具体的には、CPU45は、図6に示すスイッチSW7をオフする。このとき、スイッチSW6およびスイッチSW8はオフされている。なお、バッテリユニットBUが充電中でも放電中でもなかった場合には、ステップSt83がスキップされてもかまわない。
【0374】
次に、ステップSt84において、バッテリユニットBUは、バッテリBからの放電を開始させる。具体的には、CPU45は、図6に示すスイッチSW6をオンしてから、一定時間後にスイッチSW8をオンする。このとき、スイッチSW7はオフされている。
【0375】
すなわち、バッテリユニットBUが、バッテリユニットBUの現在の状態に相反する指示を受け取った場合、バッテリユニットBUは、先に受け取っていた充電の開始の指示を破棄し、後から受け取った放電の開始の指示を優先させる。このように、本開示では、バッテリユニットBUの現在の状態に相反する指示が送出された場合における判断が、バッテリユニットBU側でなされる。
【0376】
バッテリユニットBUがバッテリBにからの放電を開始させた後、処理はステップSt85へと進められ、コントロールユニットCUに対して、“放電を開始した”旨の応答が返される。
【0377】
以上説明したように、本開示では、バッテリユニットBUに対して誤った指示や、現在の状態と同一である指示が与えられた場合であっても、バッテリユニットBUが自律的に適切な制御を行う。そのため、本開示によれば、同一のバッテリBからの充電と放電とが同時に行われることがなく、バッテリユニットBUに備えられるバッテリBの劣化を防止することができる。
【0378】
また、本開示によれば、バッテリユニットBUが誤動作を自律的に防止するので、制御システム1のユーザは、安全かつ確実に制御システム1を運用することができる。そのため、コントロールユニットCUに接続されている、あるバッテリユニットBUから別のバッテリユニットBUへと順次切り替えて使用することも容易である。
【0379】
さらに、本開示によれば、バッテリユニットBUが自律的に適切な制御を行うので、コントロールユニットCUが、接続されている全てのバッテリユニットBUの状態に関する情報を保持しておく必要がない。したがって、コントロールユニットCUによる複数のバッテリユニットBUの管理が容易となり、コントロールユニットCUは、複数のバッテリユニットBUの管理の煩わしさから解放される。
【0380】
このように、本開示によれば、複数のバッテリBのそれぞれに充電や放電を個別に行わせることができるとともに、他のバッテリユニットBUの電力入力状況いかんにかかわらず、バッテリユニットBUごとに充電または放電の可否を容易に管理することができる。
【0381】
<2.変形例>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。実施形態における構成、数値、材料などは全て一例であり、例示した構成等に限定されることはない。例示した構成等は、技術的矛盾が生じない範囲において、適宜、変更することができる。
【0382】
制御システムにおけるコントロールユニットおよびバッテリユニットが携帯可能とされてもよい。上述した制御システムが、例えば、自動車や家屋などに適用されてもよい。
【0383】
なお、本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
充電回路と、
放電回路と、
前記充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに前記放電回路を介した前記蓄電部からの放電の開始および停止を制御する制御部と
を備え、
前記蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および前記蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す充放電制御装置。
(2)
前記蓄電部が放電状態にあるときの充電開始の指示に対して、前記蓄電部からの放電を停止した後に前記蓄電部への充電を開始し、前記蓄電部が充電状態にあるときの放電開始の指示に対して、前記蓄電部への充電を停止した後に前記蓄電部からの放電を開始する(1)に記載の充放電制御装置。
(3)
充電回路と、放電回路とを備える第1の装置と、
1以上の前記第1の装置が着脱自在とされるとともに、前記1以上の前記第1の装置のそれぞれに対する、前記充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに前記放電回路を介した前記蓄電部からの放電の開始および停止の個別の指示を送出する第2の装置と
からなり、
前記第1の装置が、前記蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および前記蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す充放電制御システム。
(4)
前記第1の装置が、前記第2の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、前記蓄電部に対する充電レートを変化させるとともに、
前記第2の装置が、発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する(3)に記載の充放電制御システム。
【符号の説明】
【0384】
1・・・・制御システム
11・・・・高圧入力電源回路
12・・・・低圧入力電源回路
41a・・・チャージャー回路
45・・・・CPU
Ba・・・・バッテリ
CU・・・・コントロールユニット
BU・・・・バッテリユニット
V10(V11)・・・第1の電圧
V12・・・第2の電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電回路と、
放電回路と、
前記充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに前記放電回路を介した前記蓄電部からの放電の開始および停止を制御する制御部と
を備え、
前記蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および前記蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す充放電制御装置。
【請求項2】
前記蓄電部が放電状態にあるときの充電開始の指示に対して、前記蓄電部からの放電を停止した後に前記蓄電部への充電を開始し、前記蓄電部が充電状態にあるときの放電開始の指示に対して、前記蓄電部への充電を停止した後に前記蓄電部からの放電を開始する請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
充電回路と、放電回路とを備える第1の装置と、
1以上の前記第1の装置が着脱自在とされるとともに、前記1以上の前記第1の装置のそれぞれに対する、前記充電回路を介した蓄電部への充電の開始および停止ならびに前記放電回路を介した前記蓄電部からの放電の開始および停止の個別の指示を送出する第2の装置と
からなり、
前記第1の装置が、前記蓄電部が充電状態にあるときに受け取った充電開始の指示および前記蓄電部が放電状態にあるときに受け取った放電開始の指示に対して、受け取った指示に対応する処理を実行した旨の応答を返す充放電制御システム。
【請求項4】
前記第1の装置が、前記第2の装置から供給される入力電圧の変動に応じて、前記蓄電部に対する充電レートを変化させるとともに、
前記第2の装置が、発電部からの入力電圧の変動に応じて、あらかじめ定められた範囲の電圧となるように出力電圧を調整する請求項3に記載の充放電制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−102573(P2013−102573A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243965(P2011−243965)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】