説明

充電制御装置および充電制御方法、並びに太陽光発電システム

【課題】より効率良く蓄電池を充電する。
【解決手段】太陽光発電システム11は、太陽光発電パネル12、蓄電池13、電力制御装置14から構成される。電力制御装置14の制御ユニット25が、通信部24がネットワークを介して取得した天候を予測する情報に基づいて、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の日射量が増加すると予測した場合、太陽光発電パネル12により発電された電力の蓄電池13への充電を開始する。本発明は、例えば、太陽光発電パネルと蓄電池とを有する太陽光発電システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置および充電制御方法、並びに太陽光発電システムに関し、特に、より効率良く蓄電池を充電することができるようにした充電制御装置および充電制御方法、並びに太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電パネルおよび蓄電池を備えた太陽光発電システムが普及している。このような太陽光発電システムにおいて、太陽光発電パネルで発電された電力は、各負荷で消費される他、発電量や消費量などに応じて蓄電池に充電される。
【0003】
また、太陽光発電パネルで発電された電力を蓄電池に充電する充電方式として、複数の充電方式が提案されている。例えば、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力を、発電パネル用のパワーコンディショナにより交流電圧の電力に変換し、分電盤を介して双方向パワーコンディショナに供給して直流電圧の電力に変換した後、蓄電池に充電する充電方式がある。また、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力を、DC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータにより、蓄電池の充電に適した規定の直流電圧の電力に変換した後、蓄電池に充電する方式がある。
【0004】
しかしながら、これらの充電方式では、パワーコンディショナまたはDC/DCコンバータによる変換効率に応じて充電効率が低下してしまう。従って、太陽光発電パネルで発電された直流電圧の電力を直接的に、つまり、パワーコンディショナまたはDC/DCコンバータにより電圧変換を行うことなく、蓄電池に充電する充電方式を用いた場合には、充電効率の低下を回避することができると想定される。
【0005】
ところで、太陽光発電パネルからの電力を直接的に蓄電池に充電する充電方式では、太陽光発電パネルと蓄電池との間の電圧が調整されないため、太陽光発電パネルから出力される電力の電圧変動が、蓄電池の充電効率に影響を及ぼすことがある。このため、太陽光発電パネルへの太陽光の照射状況によっては、蓄電池の充電効率が低下することが懸念される。
【0006】
また、蓄電池に効率良く充電するために、蓄電池の状況に応じて充電制御を行うことが提案されており、例えば、特許文献1には、リチウムイオン二次電池の温度に基づいて充電制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−148046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、太陽光発電パネルからの電力を直接的に蓄電池に充電する充電方式では、蓄電池の充電効率が低下することが懸念されており、充電効率の低下を回避して、より効率良く蓄電池を充電することが求められている。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より効率良く蓄電池を充電することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面の充電制御装置は、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇するか否かを推定する推定手段と、推定手段により、電圧値が上昇すると推定された場合、発電手段により発電された電力の蓄積手段への充電を開始する充電開始手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面の電力制御方法は、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇するか否かを推定し、電圧値が上昇すると推定された場合、発電手段により発電された電力の蓄積手段への充電を開始するステップを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一側面の太陽光発電システムは、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段と、電力を充電する蓄積手段と、発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇するか否かを推定する推定手段と、推定手段により、電圧値が上昇すると推定された場合、太陽光発電手段により発電された電力の蓄積手段への充電を開始する充電開始手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一側面においては、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇すると推定された場合、発電手段により発電された電力の蓄積手段への充電が開始される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、より効率良く蓄電池を充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】太陽光発電パネルの電流電圧特性および電力電圧特性を示す図である。
【図3】定電流および定電圧で充電を行う方式での充電特性を示す図である。
【図4】日射量が増加および低下する傾向であるときの充電例について説明する図である。
【図5】充電の開始を判断する処理を説明するフローチャートである。
【図6】日照量および充電効率の関係について行われたシミュレーションの条件を説明する図である。
【図7】シミュレーションを行った結果を示す図である。
【図8】シミュレーションにより求められた充電効率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0018】
図1において、太陽光発電システム11は、太陽光発電パネル12、蓄電池13、電力制御装置14を備えて構成される。
【0019】
太陽光発電パネル12は、複数の太陽電池モジュールが接続されて構成されるパネルであり、太陽光の照射量に応じて発電する太陽光発電手段である。蓄電池13は、例えば、リチウムイオン蓄電池や鉛蓄電池などを備えて構成され、電力制御装置14を介して供給される電力を蓄積(充電)する蓄積手段である。
【0020】
電力制御装置14は、太陽光発電パネル12において発電された電力の蓄電池13への充電を制御する充電制御装置として機能する。また、電力制御装置14は、太陽光発電パネル12において発電された電力を、分電盤を介して負荷または商用電力系統(いずれも図示せず)に供給したり、分電盤を介して商用電力系統から供給される電力を蓄電池13に充電したり、蓄電池13に蓄電されている電力を、分電盤を介して負荷に供給したりするような電力制御を行う。
【0021】
電力制御装置14は、ダイオード21、スイッチ22、双方向AC/DC(Alternating Current / Direct Current)変換部23、通信部24、および制御ユニット25を備えて構成される。
【0022】
電力制御装置14では、ダイオード21のアノードが、太陽光発電パネル12に接続されている。また、ダイオード21のカソードが、スイッチ22を介して蓄電池13に接続されるとともに、双方向AC/DC変換部23に接続されている。また、双方向AC/DC変換部23は、例えば、分電盤を介して商用電力系統や各負荷などに接続されている。
【0023】
ダイオード21は、太陽光発電パネル12からの電力が蓄電池13および双方向AC/DC変換部23に供給されるようにする一方、蓄電池13および双方向AC/DC変換部23からの電力が太陽光発電パネル12に流れ込むのを規制する。
【0024】
スイッチ22は、ダイオード21と双方向AC/DC変換部23との接続点よりも蓄電池13側の配線に配置されている。スイッチ22は、制御ユニット25の制御に従って、太陽光発電パネル12および双方向AC/DC変換部23と、蓄電池13との接続を開放状態または閉鎖状態とする。
【0025】
双方向AC/DC変換部23は、太陽光発電パネル12または蓄電池13から出力される直流電圧の電力を交流電圧の電力に変換して分電盤へ出力したり、分電盤を介して供給される交流電圧の電力を直流電圧の電力に変換して蓄電池13に供給したりする。また、双方向AC/DC変換部23は、制御ユニット25の制御に従って、電力変換の駆動または停止を行う。
【0026】
通信部24は、有線または無線の回線を通じてネットワークに接続されており、そのネットワークを介して通信を行うことで、各種の情報を取得し、制御ユニット25に供給する。
【0027】
制御ユニット25は、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の日射量の変化に従って、太陽光発電パネル12により発電された電力の蓄電池13への充電を制御する。また、制御ユニット25は、双方向AC/DC変換部23による電力変換の駆動または停止を制御する。
【0028】
例えば、図示しないサーバにおいて実行されるプログラムにより、太陽光発電システム11が設置されている地域の天候を予測する情報が、太陽光発電システム11に対して提供される場合、制御ユニット25は、通信部24を介して天候を予測する情報を取得する。そして、制御ユニット25は、その情報に基づいて、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の日射量の変化を予測し、太陽光の日照量の変化に従って蓄電池13に対する充電を制御する。
【0029】
ここで、図2乃至図4を参照して、太陽光の日射量の変化に従った蓄電池13に対する充電制御についての基本的な概念を説明する。
【0030】
図2は、太陽光発電パネル12の電流電圧特性および電力電圧特性を示す図である。
【0031】
図2において、横軸は、太陽光発電パネル12から出力される電圧[V]を示し、左側の縦軸は、太陽光発電パネル12から出力される電流[A]を示し、右側の縦軸は太陽光発電パネル12から出力される電力[W]を示している。また、図2には、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の照射量が、1000[W/m2]、800[W/m2]、および600[W/m2]であるときの電流電圧特性と電力電圧特性とが示されている。
【0032】
例えば、通常のパワーコンディショナを使用したとき、パワーコンディショナは、太陽光発電パネル12の出力電力が最大となるように、つまり、電力電圧特性が示す曲線の頂点である最大電力点を追従するようにMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行う。
【0033】
これに対し、図1の太陽光発電システム11の構成では、即ち、太陽光発電パネル12が、パワーコンディショナなどを介さずに蓄電池13に接続される構成では、蓄電池13の電圧が支配的となるため、太陽光発電パネル12から出力される電圧は、蓄電池13の電圧となる。このため、太陽光発電パネル12から出力される電圧が、出力電圧が最大となる電圧値になるとは限らない。
【0034】
また、図2に示すように、太陽光発電パネル12の最大電力点の電圧は、即ち、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値は、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の照射量に従って変化する。つまり、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の照射量が増加するのに従って、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値も増加する。
【0035】
図3は、定電流および定電圧で充電を行う方式で、定格容量が1Cと0.5Cである蓄電池13を充電する際における電圧(V)の変化、充電電流(CA)の変化、および充電容量(CAh)の変化を示す図である。
【0036】
図3に示すように、蓄電池13の電圧は、蓄電池13の充電容量(残量)が多くなると上昇する。つまり、蓄電池13は、充電が進むにつれて電圧が上昇する。
【0037】
このように、蓄電池13の充電が進むにつれて蓄電池13の電圧が上昇するという傾向を利用し、蓄電池13の充電が進むにつれて、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値が増加するようなタイミングで充電を行うことで、最大電力点の電圧に近似した電圧で蓄電池13を充電することができる。これにより、効率良く蓄電池13を充電することができる。
【0038】
つまり、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値は、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の照射量が増加するのに従って増加するので(図2参照)、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の照射量が増加することが予測されたときに蓄電池13の充電を開始することで、効率良く蓄電池13を充電することができる。
【0039】
図4を参照して、日射量が増加する傾向であるときの充電例と、日射量が低下する傾向であるときの充電例とについて説明する。
【0040】
図4には、図2と同様に、太陽光発電パネル12の電流電圧特性および電力電圧特性が示されている。
【0041】
また、図4において、電圧V0は、蓄電池13の充電を開始したときの初期電圧を示しており、電圧V1は、蓄電池13の充電中における中間電圧を示しており、電圧V2は、蓄電池13の充電が終了したときの最終電圧を示している。つまり、図4には、初期電圧V0(例えば、約19V)から充電が開始され、中間電圧V1(例えば、約20V)を通過して、最終電圧V2(例えば、約21V)となるまで、蓄電池13に充電が行われる例が示されている。
【0042】
図4の左側には、日射量が、600[W/m2]、800[W/m2]、および1000[W/m2]の順で増加する傾向であるときの充電例が示されている。このように日射量が増加する傾向であるときに充電を開始すると、太陽光発電パネル12からは、蓄電池13の初期電圧V0に対応して、日射量が600[W/m2]であるときの電力電圧特性に従って太陽光発電パネル12から出力される電力W0で充電が開始される。
【0043】
その後、充電が進むのと共に日射量が増加し、蓄電池13の中間電圧V1に対応して、日射量が800[W/m2]であるときの電力電圧特性に従って太陽光発電パネル12から出力される電力W1で充電が行われる。そして、さらに充電が進むのと共に日射量が増加し、蓄電池13の最終電圧V2に対応して、日射量が1000[W/m2]であるときの電力電圧特性に従って太陽光発電パネル12から出力される電力W2で充電が行われる。
【0044】
このように、日射量が増加する傾向であるときに充電を開始すると、充電が進むのに従って蓄電池13の電圧が上昇するのと共に、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値も上昇する。従って、最大出力点の電圧に近似した電圧で蓄電池13の充電が行われる。
【0045】
一方、図4の右側には、日射量が、1000[W/m2]、800[W/m2]、および600[W/m2]の順で低下する傾向であるときの充電例が示されている。このように日射量が低下する傾向であるときに充電を開始すると、太陽光発電パネル12からは、蓄電池13の初期電圧V0に対応して、日射量が1000[W/m2]であるときの電力電圧特性に従って太陽光発電パネル12から出力される電力W0’で充電が開始される。ここで、図4に示すように、電力W0’は、電力W2よりも低く、最大出力点からずれている。
【0046】
その後、充電が進むのと共に日射量が低下し、蓄電池13の中間電圧V1に対応して、日射量が800[W/m2]であるときの電力電圧特性に従って太陽光発電パネル12から出力される電力W1’で充電が行われる。そして、さらに充電が進むのと共に日射量が低下し、蓄電池13の最終電圧V2に対応して、日射量が600[W/m2]であるときの電力電圧特性に従って太陽光発電パネル12から出力される電力W2’で充電が行われる。ここで、図4に示すように、電力W2’は、電力W0よりも低く、最大出力点からずれている。
【0047】
このように、日射量が低下する傾向であるときに充電を開始すると、最大出力点の電圧に近似した電圧では蓄電池13の充電は行われず、日射量が増加する傾向であるときに充電を開始したときよりも低い電力で蓄電池13の充電が行われる。
【0048】
つまり、日射量が増加する傾向であるときに充電を開始した場合には、日射量が低下する傾向であるときに充電を開始した場合に比較して、最大出力点の電圧に近似した電圧で長時間にわたって蓄電池13を充電することができる。従って、日射量が増加する傾向であるときに充電を開始することにより、より効率良く蓄電池13を充電することができる。
【0049】
以上のことより、制御ユニット25は、天候を予測する情報に基づいて、太陽光発電パネル12に照射される太陽光の日射量の変化を予測し、太陽光発電パネル12への太陽光の日照量が増加すること、即ち、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値が上昇することが推定される場合、蓄電池13に対して充電を開始するように充電制御を行う。
【0050】
図5は、図1の電力制御装置14の制御ユニット25が、蓄電池13の充電の開始を判断する処理を説明するフローチャートである。
【0051】
例えば、太陽光発電パネル12に太陽光が照射されて発電可能な状態となり電力の出力が開始されたことが検知されると処理が開始され、ステップS11において、制御ユニット25は、通信部24に対して通信を行うように制御する。通信部24は、ネットワークを介して通信を行い、太陽光発電システム11が設置されている地域の天候を予測する情報(所謂、天気予報情報など)を取得する。
【0052】
ステップS11の処理後、処理はステップS12に進み、制御ユニット25は、ステップS11で通信部24が取得した天候を予測する情報と、現在の時刻とに基づいて、太陽光発電パネル12に対する日照量の変化を予測する。
【0053】
例えば、制御ユニット25は、午前中の時間帯において、天候を予測する情報が、太陽光発電システム11が設置されている地域で晴天が続くことを示している場合、太陽光発電パネル12に対する日照量が増加すると予測する。また、制御ユニット25は、昼間の時間帯において、天候を予測する情報が、太陽光発電システム11が設置されている地域で曇りから晴れに変化することを示している場合、太陽光発電パネル12に対する日照量が増加すると予測する。また、制御ユニット25は、夕方の時間帯である場合や、天候を予測する情報が、太陽光発電システム11が設置されている地域で晴れから曇りまたは雨に変化することを示している場合など、太陽光発電パネル12に対する日照量が低下すると予測する。
【0054】
ステップS13において、制御ユニット25は、ステップS12での予測の結果から、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値、つまり、最大出力点の電圧値が上昇すると推定されるか否かを判定する。
【0055】
制御ユニット25は、例えば、ステップS12において、太陽光発電パネル12に対する日照量が増加すると予測されたとき、最大出力点の電圧値が上昇すると推定する。一方、制御ユニット25は、例えば、ステップS12において、太陽光発電パネル12に対する日照量が変化しない、または、太陽光発電パネル12に対する日照量が低下すると予測されたとき、最大出力点の電圧値が上昇しないと推定する。
【0056】
ステップS13において、制御ユニット25が、最大出力点の電圧値が上昇しないと推定した場合(最大出力点の電圧値が上昇すると推定しなかった場合)、処理はステップS14に進む。
【0057】
ステップS14において、制御ユニット25は、双方向AC/DC変換部23により電力変換を行わせるとともに、スイッチ22を開放状態として太陽光発電パネル12と蓄電池13との接続を切断させる(既に切断されている場合には、切断を継続させる)。これにより、太陽光発電パネル12において発電された直流電圧の電力は双方向AC/DC変換部23に供給されて交流電圧の電力に変換された後、分電盤を介して外部に出力される。ステップS14の処理後、処理はステップS11に戻る。このとき、制御ユニット25は、所定の周期が経過するまで待機した後、通信部24に対して通信を行うように制御を行い、以下、同様の処理が繰り返される。
【0058】
一方、ステップS13において、制御ユニット25が、最大出力点の電圧値が上昇すると推定した場合、処理はステップS15に進む。
【0059】
ステップS15において、制御ユニット25は、双方向AC/DC変換部23による電力変換を停止させるとともに、スイッチ22を閉鎖状態として、太陽光発電パネル12と蓄電池13とを接続させる。これにより、太陽光発電パネル12において発電された電力が、ダイオード21およびスイッチ22を介して直接的に蓄電池13に供給され、蓄電池13の充電が開始される。ステップS15の処理後、蓄電池13の充電の開始を判断する処理は終了される。
【0060】
以上のように、太陽光発電システム11では、制御ユニット25が、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値が上昇すると推定したときに蓄電池13の充電を開始すると判断するので、図4を参照して説明したように、最大電力点の電圧に近似した電圧で長時間にわたって蓄電池13を充電することができる。これにより、日照量が変化しなかったり、日照量が低下したりするときに、蓄電池13の充電を開始する場合と比較して、より効率良く蓄電池13を充電することができる。
【0061】
また、太陽光発電システム11では、パワーコンディショナやDC/DCコンバータなどにより電力が変換されることなく、太陽光発電パネル12から直接的に蓄電池13に電力が供給されるため、パワーコンディショナやDC/DCコンバータなどの変換効率によるロスがない。
【0062】
従って、太陽光発電システム11の充電方式では、パワーコンディショナやDC/DCコンバータなどを介して充電を行う充電方式と比較して、高効率で充電を行うことができる。また、パワーコンディショナやDC/DCコンバータなどを介して充電を行う太陽光発電システムよりも、太陽光発電システム11は、構成を比較的に簡素化することができるので、省スペース化、低コスト化、および待機電力の低減を図ることができる。さらに、太陽光発電システム11の充電方式は、太陽光発電パネル12と電力制御装置14とがセットで販売される場合にも有利である。
【0063】
ここで、図6乃至図8を参照して、日照量の変化と充電効率との関係について行われたシミュレーションの結果について説明する。
【0064】
図6には、シミュレーションを行ったときの条件が示されている。
【0065】
太陽光発電パネル12としては、18枚の太陽電池セルが接続されて使用される条件でシミュレーションが行われた。また、太陽電池セルの接続構成としては、9枚の太陽電池セルが直列に接続され、そのセル列が2本並列に接続された構成とし、例えば、1枚のセルの出力電力を0.153kWとすると、太陽光発電パネル12は、2.75kW(=0.153×18)の出力電力とされる。
【0066】
また、蓄電池13としては、48セルのリチウムイオン蓄電池が直列に接続されて使用される条件でシミュレーションが行われた。また、蓄電池13の充電特性としては、7.5kWhの充電カーブが使用され、初期電圧V0が166.1Vであり、中間電圧V1が181.5Vであり、最終電圧V2が196.88Vである。
【0067】
また、日射量は、600〜1000W/m2の範囲とされ、第1乃至第4の条件でシミュレーションが行われた。第1の条件では、日照量が800W/m2で一定であるとし、第2の条件では、日照量が1000W/m2で一定であるとした。第3の条件では、日照量が600W/m2から1000W/m2へ3.5時間で変化した後に1000W/m2で一定となるものとし、第4の条件では、日照量が1000W/m2から600W/m2へ3.5時間で変化した後に600W/m2で一定となるものとした。
【0068】
このような第1乃至第4の条件の日照量で、太陽光発電パネル12と蓄電池13とを直接的に接続し、太陽光発電パネル12により発電された電力で蓄電池13を充電するときの蓄電池13の電圧の変化がシミュレーションにより求められた。
【0069】
図7A乃至図7Dには、第1乃至第4の条件の日照量でシミュレーションを行った結果が示されている。図7A乃至図7Dにおいて、横軸は、時間を表し、左側の縦軸は、電圧(V)を表し、右側の縦軸は、日射量(W/m2)を表している。また、図7A乃至図7Dには、シミュレーションで求められた蓄電池13の電圧の変化とともに、MPPT制御を行った場合における最大出力点となる電圧(PV MPPT電圧)の変化が示されている。
【0070】
図7に示すように、第3の条件で充電を行った場合、他の条件で充電を行った場合と比較して、蓄電池13の電圧の変化は、PV MPPT電圧の変化に最も近似したものとなる。PV MPPT電圧は、太陽光発電パネル12の出力電力が最大となるように制御された電圧であるので、第3の条件で充電を行ったときの電圧によって、太陽光発電パネル12から最大出力電力に近い電力を得ることができる。つまり、このシミュレーション結果より、第3の条件で充電を行うことにより、他の条件で充電を行うよりも、より効率良く蓄電池13が充電されると言うことができる。
【0071】
図8には、第1乃至第4の条件の日照量で行われたシミュレーションにより求められた充電効率が示されている。
【0072】
図8に示すように、充電効率[%]は、「蓄電池の充電に使用した電力」を、「太陽光発電パネルから本来(MPPT制御で)取得可能な電力」で除算した値に100を掛けることで求められる。
【0073】
そして、シミュレーションにより求められた充電効率は、第1の条件において98.9%、第2の条件において99.1%、第3の条件において99.5%、第4の条件において97.7%であった。このように、第3の条件において最も高い充電効率となることが求められた。
【0074】
なお、本実施の形態では、制御ユニット25は、太陽光の日射量の変化に基づいて蓄電池13の充電を開始する判断を行っているが、太陽光の日射量の変化に加えて、例えば、太陽光発電パネル12の温度を参照して蓄電池13の充電の開始を判断してもよい。
【0075】
即ち、太陽光発電パネル12は、温度が高くなると発電効率が低下して出力電圧が低下する傾向がある。このことより、制御ユニット25は、太陽光発電パネル12の温度が、太陽光発電パネル12の発電効率が所定の基準値以下に低下するような所定の温度以上でないとき、即ち、所定の温度以下であるときに、蓄電池13への充電を開始するような充電制御を行うことができる。これにより、より高効率で蓄電池13を充電することができる。また、この場合、太陽光発電パネル12の温度を検知するために、太陽光発電パネル12に温度センサを設けたり、制御ユニット25が、通信部24が取得した天候を予測する情報(例えば、気温の情報)から太陽光発電パネル12の温度を推定したりすることができる。
【0076】
また、例えば、図示しないサーバにおいて実行されるプログラムにより、太陽光発電システム11が設置されている箇所の太陽光の日照量の変化を予測した情報が、太陽光発電システム11に対して提供されるようにしてもよい。この場合、制御ユニット25は、通信部24を介して太陽光の日照量の変化を予測した情報を取得し、制御ユニット25自身で日照量の変化を予測せず、その情報に従って充電制御を行うことができる。
【0077】
さらに、例えば、制御ユニット25は、時刻を示す情報にだけ従って、日照量の増加が推定される時間帯(例えば、午前中)に、蓄電池13に充電を行うようにしてもよい。
【0078】
このように、制御ユニット25は、天候を予測する情報を使用して、蓄電池13に対する充電制御を行うのに限られるものではない。つまり、制御ユニット25は、日照量の変化を予測した情報や、時刻を示す情報、太陽光発電パネル12の温度などの様々な条件に基づいて、蓄電池13に対する充電制御を行うことができ、それらの情報より、太陽光発電パネル12から出力される電力を最大とする電圧値が上昇すると推定された場合に、蓄電池13の充電を開始するように充電制御を行うことができる。
【0079】
また、制御ユニット25は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory))などを備えて構成されており、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されているプログラムをRAMにロードして実行することで、蓄電池13に対する充電制御を行う。なお、CPUが実行するプログラムは、あらかじめROMおよびフラッシュメモリに記憶されているものの他、適宜、フラッシュメモリにダウンロードして更新することができる。
【0080】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。また、プログラムは、1のCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0081】
さらに、本実施の形態では、太陽光発電パネル12を発電手段とした発電システムについて説明したが、本技術は、太陽光発電パネル12の他、風力発電などのように、自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段による電力を利用した発電システムに適用することができる。
【0082】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
11 太陽光発電システム, 12 太陽光発電パネル, 13 蓄電池, 14 電力制御装置, 21 ダイオード, 22 スイッチ, 23 双方向AC/DC変換部, 24 通信部, 25 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇するか否かを推定する推定手段と、
前記推定手段により、前記電圧値が上昇すると推定された場合、前記発電手段により発電された電力の蓄積手段への充電を開始する充電開始手段と
を備えることを特徴とする充電制御装置。
【請求項2】
前記発電手段は、太陽光の照射に応じて発電を行う太陽光発電手段であり、
天候を予測する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記情報に基づいて、前記太陽光発電手段に照射される日射量の変化を予測する予測手段と
をさらに備え、
前記推定手段は、前記予測手段による予測結果において、前記太陽光発電手段に照射される日射量が増加すると予測されたとき、前記電圧値が上昇すると推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記天候を予測する情報とともに、時刻にも基づいて、前記太陽光発電手段に照射される日射量の変化を予測する
ことを特徴とする請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記充電開始手段は、前記太陽光発電手段の温度が、所定の温度以下であるときに、前記蓄積手段への充電を開始する
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の充電制御装置。
【請求項5】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇するか否かを推定し、
前記電圧値が上昇すると推定された場合、前記発電手段により発電された電力の蓄積手段への充電を開始する
ステップを含むことを特徴とする電力制御方法。
【請求項6】
自然エネルギーを利用し発電を行う発電手段と、
電力を充電する蓄積手段と、
前記発電手段から出力される電力を最大とする電圧値が上昇するか否かを推定する推定手段と、
前記推定手段により、前記電圧値が上昇すると推定された場合、前記発電手段により発電された電力の前記蓄積手段への充電を開始する充電開始手段と
を備えることを特徴とする太陽光発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−196022(P2012−196022A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56953(P2011−56953)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】