説明

充電平衡化機能を有する電源システム

【課題】 充電平衡化機能を有する電源システムを提供する。
【解決手段】 電源システムが第1の電荷蓄積装置を含む。複数(n個)の電荷蓄積モジュールを有する直列回路が、負荷端子間に接続されている。第2の電荷蓄積装置が負荷端子を備える。電荷転送装置が、電荷蓄積モジュールのうちの1つと第2の電荷蓄積装置の負荷端子との間に結合された少なくとも1つの電荷転送ユニットを含む。電荷転送装置は、要求に応じて、1つの電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源システムに関し、特に、電気自動車またはハイブリッド自動車における自動車用電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車またはハイブリッド自動車は、自動車を駆動するための少なくとも1つの電気モータと、この少なくとも1つのモータに電力を供給するための充電式バッテリ(蓄電池)(たとえば、リチウムイオンバッテリ、あるいは二重層キャパシタ装置)と、を備えている。通常、バッテリは、互いに直列に接続された複数のバッテリモジュールを含んでおり、個々のモジュールは、自動車全体に分散して配置され、電力線で相互接続されている。
【0003】
個々のバッテリモジュールは、それぞれがモジュール供給電圧を提供し、バッテリの供給電圧は、モジュール供給電圧の総和に等しい。個々のバッテリモジュールの製造工程にばらつきがあるため、個々のバッテリモジュールのキャパシタンスは、多少ばらつく可能性がある。したがって、バッテリが充電される充電プロセスにおいて、一部のバッテリモジュールの充電が他のバッテリモジュールより短時間で行われる場合があり、バッテリが負荷に電力を供給する放電プロセスにおいて、一部のバッテリモジュールの放電が他のバッテリモジュールより短時間で行われる場合がある。個々のバッテリモジュールに対しては、充電状態の上限を上回るまで充電してはならず、充電状態の下限を下回るまで放電させてはならない。したがって、充電平衡化を行わない場合は、1つのモジュールが上限に達したら、他のモジュールがまだ完全に充電されていなくても、充電プロセスを停止しなければならず、1つのモジュールが下限に達したら、他のモジュールがまだ完全に放電していなくても、放電プロセスを停止しなければならない。個々のモジュール間で充電状態が異なるのは、モジュールの自己放電が原因である可能性もある。
【0004】
「充電平衡化」は、個々のモジュール間の充電状態の不平衡を補償するために、個々のモジュールから選択的に電荷を取り出したり、個々のモジュールに選択的に電荷を与えたりすることを意味する。
【0005】
既知の充電平衡化回路の1つは、変圧器を含んでおり、この変圧器の複数の第1の巻線のそれぞれがモジュールの1つずつに接続されており、第2の巻線がバッテリの負荷端子間に接続されている。この回路では、1つのバッテリモジュールから電荷を取り出してバッテリに帰還させることが可能であり、あるいは、バッテリから電荷を取り出して1つのバッテリモジュールに帰還させることが可能である。しかしながら、この回路では、第2の巻線の両端にバッテリ電圧が存在し、これは、数百ボルト(たとえば、400ボルト)になる可能性がある。このため、高電圧絶縁手段が必要となるが、これは、モジュールが車内に分散している場合には、実装が困難であり、コストが高くなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高効率であり、順応性が高く、実装が容易な充電平衡化機能を有する電源システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、電源システムに関する。電源システムは、負荷端子と、負荷端子間に接続された、複数(n個)の電荷蓄積モジュール(n>1)を有する直列回路とを有する第1の電荷蓄積装置と、負荷端子を有する第2の電荷蓄積装置と、を含む。この電源システムはさらに、電荷転送装置を含み、電荷転送装置は、電荷蓄積モジュールのうちの1つと第2の電荷蓄積装置の負荷端子との間に結合された少なくとも1つの電荷転送ユニットを含む。電荷転送ユニットは、要求に応じて、上記1つの電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送するように構成されている。
【0008】
第2の態様は、電源システムを含む自動車用電気システムに関する。電源システムは、負荷端子と、負荷端子間に接続された、複数(n個)の電荷蓄積モジュール(n>1)を有する直列回路とを有する第1の電荷蓄積装置と、負荷端子を有する第2の電荷蓄積装置と、を含む。この電源システムはさらに、電荷転送装置を含み、電荷転送装置は、電荷蓄積モジュールのうちの1つと第2の電荷蓄積装置の負荷端子との間に結合された少なくとも1つの電荷転送ユニットを含む。電荷転送ユニットは、要求に応じて、上記1つの電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送するように構成されている。この自動車用電気システムはさらに、第1の電荷蓄積装置の負荷端子に接続された、少なくとも1つの第1の負荷と、第2の電荷蓄積装置の負荷端子に接続された、少なくとも1つの第2の負荷と、を含む。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施例を説明する。図面は、基本原理を説明するためのものなので、基本原理の理解に必要な態様だけを示している。図面は、正確な縮尺ではない。図面中の同一参照符号は、類似の特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電源システムの第1の実施形態の概略図であり、この電源システムは、複数の電荷蓄積モジュールを有する第1の電荷蓄積装置と、第2の電荷蓄積装置と、電荷転送装置とを含む。
【図2】電荷転送装置の1つの電荷転送モジュールの一実施形態の概略図である。
【図3】図2の電荷転送モジュールの制御回路の一実施形態の概略図である。
【図4】制御回路と電荷転送モジュールとの間の信号伝達の第1の実施形態を示す図である。
【図5】制御回路と電荷転送モジュールとの間の信号伝達の第2の実施形態を示す図である。
【図6】第1の電荷蓄積装置と第2の電荷蓄積装置との間にDC/DCコンバータが配置された電源システムの一実施形態を示す図である。
【図7】DC/DCコンバータの一実施形態を示す図である。
【図8】第1の電荷蓄積装置の1つの電荷蓄積モジュールの一実施形態を示す図である。
【図9】第1の電荷蓄積装置の個々の電荷蓄積モジュールの充電平衡化回路を含む電源システムの一実施形態を示す図である。
【図10】1つの電荷蓄積モジュールに対する1つの充電平衡化回路の接続を詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施形態を、特定の文脈で、すなわち、自動車用電源システムの文脈で説明する。しかしながら、本発明の実施形態は、自動車用電源システムに関連しての使用に限定されず、複数の電荷蓄積モジュールを有する充電式電荷蓄積装置を備えた各用途に適用してよい。
【0012】
図1は、電源システムの第1の実施形態の概略図である。この電源システムは、第1の電荷蓄積装置1を含んでおり、第1の電荷蓄積装置1は、複数(n個)の電荷蓄積モジュール2、2、2を含んでおり(n>1)、これらは、第1の電荷蓄積装置1の負荷端子11、12間に直列に接続されている。第1の電荷蓄積装置1は、負荷端子11、12間に第1の供給電圧V1を与え、第1の供給電圧V1は、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の各出力端子間に与えられる個々のモジュール供給電圧V2、V2、V2の総和である。一実施形態によれば、電荷蓄積モジュール2、2、2のそれぞれによって与えられる出力電圧は、個々のモジュールが完全に充電されている場合には、40Vから60Vの間である。互いに直列に接続される複数の電荷蓄積モジュールの個数nは、所望の電荷蓄積装置出力電圧V1によって決まる。一実施形態によれば、この出力電圧V1は、350Vから450Vの間であるため、8個から12個の間の電荷蓄積モジュール2、2、2が直列に接続される。説明のために、図1には、電荷蓄積モジュールを3個だけ示した。
【0013】
第1の電荷蓄積装置1は、たとえば、電荷蓄積モジュール2、2、2を形成している複数のバッテリモジュールを有するリチウムイオンバッテリであり、各バッテリモジュールは、互いに直列に接続された複数のバッテリセルを含んでよい。別の実施形態によれば、第1の電荷蓄積装置は、複数のキャパシタ(たとえば、二重層キャパシタ)を有する装置であり、各モジュール2、2、2は、直列に接続された複数のキャパシタを含んでよい。二重層キャパシタ(スーパキャパシタ、ウルトラキャパシタ)は、単位装置体積当りのキャパシタンスが非常に大きい。
【0014】
この電源システムは、具体的には、電気自動車またはハイブリッド自動車において使用可能な自動車用電源システムである。電荷蓄積装置出力電圧V1によって給電される負荷Z1は、たとえば、電気モータおよびインバータを含むモータ装置である。個々の電荷蓄積モジュール2、2、2は、電力線で互いに電気的に接続されて、車内の別々の場所に配置可能である。
【0015】
第1の電荷蓄積装置1は、電荷蓄積装置用充電器(図示せず)を負荷端子11、12に接続することによって充電可能である。図1に示した第1の電荷蓄積装置1のような電荷蓄積装置を充電することはよく知られているので、これ以上の説明は省略する。
【0016】
図1を参照すると、この電源システムはさらに、負荷端子51、52を有する第2の電荷蓄積装置5を含んでいる。第2の電荷蓄積装置5は、負荷端子51、52間に第2の電荷蓄積装置供給電圧V5を与える。一実施形態によれば、第2の電荷蓄積装置供給電圧V5は、第1の電荷蓄積装置供給電圧V1より低い。第2の電荷蓄積装置供給電圧V5は、たとえば、10Vから15Vの間である。一実施形態によれば、第2の電荷蓄積装置5は、完全充電時に約12Vの供給電圧を与える、従来型の自動車用バッテリである。
【0017】
各電荷蓄積モジュール2、2、2は、キャパシタンスを有する。1つの電荷蓄積モジュールのキャパシタンスは、その電荷蓄積モジュールが電荷を蓄積する能力である。電荷蓄積モジュール2、2、2の製造工程にばらつきがあるため、個々のモジュールのキャパシタンスは(多少)ばらついている可能性がある。したがって、充電プロセスにおいて、一部の電荷蓄積モジュールの充電が他の電荷蓄積モジュールより短時間で行われる場合があり、放電プロセスにおいて、一部の電荷蓄積モジュールの放電が他の電荷蓄積モジュールより短時間で行われる場合がある。充電プロセスでは、電荷蓄積装置用充電器(図示せず)が、負荷端子11、12から第1の電荷蓄積装置1を充電する。放電プロセスでは、第1の電荷蓄積装置1が、負荷端子11、12に接続された負荷または負荷装置Z1に電力を与える。この接続では、図1に示した負荷Z1は、互いに並列に接続された複数の負荷を表していて、その各負荷が第1の電荷蓄積装置1の負荷端子11、12に接続されていることに注意されたい。
【0018】
個々の電荷蓄積モジュール2、2、2は、充電状態の下限を下回るまで放電させてはならず、充電状態の上限を上回るまで充電してはならない。下限は、たとえば、1つの電荷蓄積モジュール2、2、2によって供給可能な最小供給電圧によって定義され、上限は、たとえば、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2によって供給可能な最大供給電圧によって定義される。上述の、電荷蓄積モジュール2、2、2の個々のキャパシタンスのばらつきのため、1つの電荷蓄積モジュールが既に下限に達していても、他のモジュールがまだ下限には程遠い状況や、1つのモジュールが上限に達していても、他のモジュールがまだ上限には程遠い状況が起こりうる。個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の間で充電状態が異なるのは、電荷蓄積モジュールの自己放電が原因である可能性もある。
【0019】
第1の電荷蓄積装置1の総キャパシタンスの効率的な使用を可能にするためには、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の充電状態を平衡化することが望ましい。1つの電荷蓄積モジュールの充電状態は、たとえば、1つのモジュールによって与えられるモジュール供給電圧V2、V2、V2によって定義され、1つのモジュールの充電状態は、このモジュールによって与えられる供給電圧が減少すると、低下する。個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の充電状態が平衡化されると、モジュール2、2、2は、放電プロセスにおいて、それぞれの個々の下限に一緒に近づき、充電プロセスにおいて、それぞれの個々の上限に一緒に近づく。
【0020】
個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の充電状態を平衡化するために、この電源システムは、第1の電荷蓄積装置1と第2の電荷蓄積装置5との間に、電荷転送装置3が接続されている。電荷転送装置3は、少なくとも1つの電荷転送モジュール4、4、4を含んでいる。図1に示した実施形態では、電荷転送装置3は、n個の電荷転送モジュールを含んでおり、各電荷蓄積モジュール2、2、2に電荷転送モジュール4、4、4がそれぞれ1つずつ割り当てられている。電荷転送装置3は、1つの電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置5へ電荷を選択的に転送することにより、電荷(電気エネルギ)が取り出される電荷蓄積モジュールを、ある程度まで放電させるように構成されている。電荷転送装置3は、たとえば、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の供給電圧V2、V2、V2を監視することと、電荷を、供給電圧が現在最も高い電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置5へ転送することと、を行うように構成されている。これにより、個々の電荷蓄積モジュールの充電状態を平衡化することが可能である。
【0021】
しかしながら、充電状態を平衡化するために電荷転送装置3が可能なのは、電荷蓄積モジュール2、2、2からエネルギを取り出す(放電させる)ことだけであり、また、1つの電荷蓄積モジュールから取り出されたエネルギは、第1の電荷蓄積装置1の別の電荷蓄積モジュールに帰還されることも、負荷端子11、12から第1の電荷蓄積装置1に帰還されることもないが、エネルギが浪費されることはない。電荷蓄積モジュール2、2、2のうちの1つから取り出されたエネルギは、第2の電荷蓄積装置5に蓄積され、したがって、第2の電荷蓄積装置5に接続されている負荷または負荷装置Z2への給電に使用される。なお、この接続では、図1に示した負荷Z2は、第2の電荷蓄積装置5に接続されている複数の負荷を表すものであってよい。第2の電荷蓄積装置5に接続された自動車用電源システム負荷Z2としては、たとえば、パワーウィンドウリフタ、パワーシートアジャスタ、ファンなどを駆動するモータ、空調システムの発熱素子または冷却素子、センサ、照明などが挙げられる。さらに、第2の電荷蓄積装置5の負荷端子51、52には、発電機(図示せず)を接続してもよい。この発電機は、電荷蓄積装置5の充電に用いることが可能である。
【0022】
図1を参照すると、電荷転送装置3は、制御回路31を含んでおり、制御回路31は、信号伝達経路を介して、個々の電荷転送モジュール4、4、4と信号連通している。制御回路31と個々の電荷転送モジュール4、4、4との間の信号伝達経路は、制御回路31と電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれとの間の信号伝達を可能にすることと、電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれと制御回路との間の信号伝達を可能にすることと、を行うように構成された従来型の信号伝達経路であってよい。図1では、この信号伝達経路は、概略的にのみ描かれている。電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれは、たとえば、対応する電荷蓄積モジュール2、2、2の供給電圧V2、V2、V2を測定するように構成されており、また、この供給電圧の情報を信号伝達経路経由で制御回路31に与えるように構成されている。制御回路31は、たとえば、電荷転送モジュール4、4、4から受け取る情報に基づいて電源電圧を監視するように構成されており、また、電荷転送モジュール4、4、4のうちの1つ(たとえば、充電状態が最も高い電荷蓄積モジュール2、2、2に接続されている電荷転送モジュール4、4、4)に対して、対応する電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置5にエネルギを転送することを要求するように構成されている。
【0023】
図2は、1つの電荷転送モジュールの一実施形態を示す。図2の参照符号4は、図1に示した電荷転送モジュール4、4、4のうちの1つを表している。図2の参照符号2は、この電荷転送モジュール4に接続されている電荷蓄積モジュールを表している。なお、個々の電荷転送モジュールは、それぞれが同一のトポロジ(たとえば、図2に示されたトポロジ)を有してよい。
【0024】
図2を参照すると、電荷転送モジュール4は、フライバック変換器として実装されていて、変圧器45を含んでおり、変圧器45は、第1の巻線(一次巻線)45および第2の巻線(二次巻線)45を有している。第1の巻線45は、電子スイッチ46と直列に接続されており、電子スイッチ46および第1の巻線45を有する直列回路は、電荷転送モジュール4の入力端子41、42間に接続されている。電荷転送モジュール4の入力端子41、42は、対応する電荷蓄積モジュールの負荷端子21、22に接続されており、第1の入力端子41は第1の負荷端子21に接続されており、第2の入力端子42は第2の負荷端子22に接続されている。電荷蓄積モジュール2、2、2の負荷端子は、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2同士を直列に接続するために使用されている端子であり、各モジュールの第1の端子は、別のモジュールの第2の端子に接続されている。モジュールの1つ(たとえば、図1の第1のモジュール2)の第1の端子は、第1の電荷蓄積装置1の第1の負荷端子11を形成しており、別のモジュール(たとえば、図1のn番目のモジュール2)の第2の端子は、第1の電荷蓄積装置1の第2の負荷端子12を形成している。
【0025】
図2を参照すると、第2の巻線45は、整流素子47(たとえば、ダイオード)を介して、第2の電荷蓄積装置5の負荷端子51、52と結合されている。具体的には、第2の巻線45およびダイオード47を有する直列回路が、第2の電荷蓄積装置5の負荷端子51、52を介して、第2の電荷蓄積装置5と並列に接続されている。入力端子43および44は、図2では、電荷蓄積装置5と、第2の巻線45およびダイオード47を有する直列回路との間で、負荷端子51、52と接続されている。
【0026】
第1の巻線45と直列に接続されている電子スイッチ46としては、MOSFETが実装可能であり、特に、エンハンスメント型MOSFETが実装可能である。しかしながら、これは一例に過ぎない。電子スイッチ46としては、他の任意のタイプの従来型電子スイッチを実装することも可能であり、たとえば、デプレッション型MOSFET、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、またはBJT(バイポーラ接合トランジスタ)が実装可能である。電子スイッチ46は、第1の巻線45と直列に接続された負荷経路と、制御端子とを含んでいる。電子スイッチ46としてMOSFETが実装されている場合、負荷経路は、MOSFETの、ドレイン端子とソース端子の間の内部経路であり、制御端子はゲート端子である。
【0027】
電荷転送モジュール4はさらに、制御/駆動装置6を含んでいる。制御/駆動装置6は、電子スイッチ46を駆動する(すなわち、電子スイッチ46をオンにしたりオフにしたりする)ように構成されている。さらに、制御/駆動装置6は、信号伝達経路を介して、(図2にも示されている)制御回路31と信号連通している。図2では、この信号伝達経路は、概略的にのみ描かれている。さらに、制御/駆動装置6は、電荷蓄積モジュール2によって与えられる供給電圧V2を測定するように構成されている。これを行うために、制御/駆動装置6の入力端子61、62は、電荷転送モジュール4の入力端子41、42に接続されている。電子スイッチ46を駆動するために、制御/駆動装置6は、電子スイッチ46の制御端子と結合された駆動端子63を含んでいる。
【0028】
電荷転送モジュール4は、信号伝達経路を介して、制御回路31により活性化したり不活性化したりできる。活性化状態においては、電荷転送モジュール4は、電荷(エネルギ)を電荷蓄積モジュール2から第2の電荷蓄積装置5へ転送する。以下、活性化状態における電荷転送モジュール4の動作原理を説明する。
【0029】
電荷転送モジュール4の活性化状態においては、電子スイッチ46は、オンとオフの切り替えが周期的に行われる。電子スイッチ46がオンに切り替えられると、第1の巻線45に電流が流れて、変圧器45の第1の巻線45にエネルギが磁気的に蓄積される。次に電子スイッチ46がオフに切り替えられると、一次巻線45に蓄積されたエネルギが第2の巻線45に転送される。この、第2の巻線45に転送されたエネルギによって、電流が、第2の巻線45から整流素子47を通って第2の電荷蓄積装置5に流れ込む。整流素子47が接続されているのは、第2の巻線45を通しての第2の電荷蓄積装置5の放電を阻止するためである。第1の巻線45と第2の巻線45は、巻線の向きが逆である。
【0030】
駆動周期ごとに、電気エネルギが電荷蓄積モジュール2から第2の電荷蓄積装置5へ転送される。ただし、駆動周期は、電子スイッチ46がオンになっている期間(オン期間)と、電子スイッチ46がオフになっている期間(オフ期間)とを含む。オン期間およびオフ期間の継続時間は、様々な方法で制御可能である。一実施形態によれば、オン期間とそれに続くオフ期間の継続時間は固定である。別の実施形態によれば、オン期間の継続時間は固定であって、オフ期間の継続時間は、変圧器45の磁化状態によって変わる。たとえば、変圧器が消磁されるたびにオフ期間が終了する(そして新たなオン期間が始まる)。
【0031】
1つの電荷転送モジュール4が活性化されている継続時間は、様々な方法で制御可能である。一実施形態によれば、1つの電荷転送モジュール4が活性化されている継続時間は、固定である。別の実施形態によれば、この継続時間は、たとえば、供給電圧V2の変化率によって変わる。一実施形態によれば、制御回路31は、供給電圧V2を所与の電圧値まで減らすのに必要な間、電荷転送モジュール4を活性化するように構成されている。別の実施形態によれば、所与のエネルギが1つのモジュール2、2、2から第2の電荷蓄積装置5へ転送されるのに必要な間、1つのモジュールが活性化される。一実施形態によれば、制御回路31は、個々のモジュール2、2、2の充電状態を、モジュール供給電圧V2、V2、V2にのみ基づいて特定する。別の実施形態によれば、他のパラメータ(たとえば、個々のモジュール2、2、2のキャパシタンス)も考慮に入れる。
【0032】
図3は、1つの電荷転送モジュール4の制御/駆動装置6の一実施形態の概略図である。なお、図3に示したブロック図は、制御/駆動装置6の実装というよりは動作原理を示すものである。図3に示した個々の機能ブロックは、様々な様式で実装可能であり、たとえば、専用集積回路、ソフトウェアが動作しているマイクロコントローラ、その他を用いて実装可能である。
【0033】
図3を参照すると、制御/駆動装置6は、インタフェース装置66を含んでおり、インタフェース装置66は、(図3でも概略的に示されている)制御回路31を個々の電荷転送モジュール4に接続している信号経路と結合されている。インタフェース装置66の具体的な実装は、制御回路31と個々の電荷転送モジュール4との間の信号経路の具体的なタイプに依存する。信号経路の具体的な実施形態については、後で図4および図5を参照しながら説明する。
【0034】
制御/駆動装置6はさらに、駆動装置64を含んでおり、駆動装置64は、活性化信号SACTを受け取るためにインタフェース装置66と結合されており、また、(図3でも示されている)電子スイッチ46に駆動信号SDRVを与えるために駆動端子63と結合されている。さらに、制御/駆動装置6は、電圧測定装置65を含んでおり、電圧測定装置65は、入力端子61、62間に結合されており、測定された電荷蓄積モジュール電圧を表す電圧測定信号S65をインタフェース装置66に与えるように構成されている。
【0035】
活性化信号SACTは、異なる2つの信号レベルのいずれかをとることが可能であり、この2つのレベルは、駆動装置64を活性化させる活性化信号レベル、および駆動装置64を不活性化させる不活性化信号レベルである。駆動装置64は、活性化されると、電荷を、対応する電荷蓄積モジュールから第2の電荷蓄積装置5へ転送するために、電子スイッチ46のオンとオフを周期的に切り替える。インタフェース装置66は、制御回路31から受け取る信号情報に応じて、活性化信号レベルまたは不活性信号レベルの活性化信号SACTを発生させる。測定信号S65に含まれる供給電圧情報は、インタフェース装置66を介して制御回路31に転送される。
【0036】
制御回路31と個々の電荷転送モジュールとの間の信号伝達に用いる信号経路は、電子システムの個々のモジュール間で情報を転送するのに適した、従来型の信号経路または信号伝達手段であってよい。
【0037】
図4は、制御回路31と電荷転送モジュール4、4、4との間の信号伝達を実装するための第1の実施形態の概略図である。図4は、電源システムの電荷転送モジュール4、4、4と、インタフェース装置66、66、66を有する、電源システムの制御/駆動装置6、6、6とを概略的に示している。図4に示した実施形態では、制御回路31と、電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれのインタフェース装置66、66、66との間に、信号線または信号経路が接続されている。これらの信号線は、双方向信号線であって、電荷転送モジュール4、4、4のうちの1つを活性化させるために、制御回路31から電荷転送モジュール4、4、4への信号伝達を可能にするとともに、それぞれの電荷蓄積モジュール電圧の情報を制御回路に転送するために、個々の電荷転送モジュール4、4、4から制御回路31への信号伝達を可能にする。
【0038】
別の実施形態によれば、制御回路31と、電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれとの間に、少なくとも2本の一方向信号経路が接続されている。制御回路31と電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれとの間のこれらの信号経路の1つが、制御回路31から電荷転送モジュールへの信号伝達を可能にし、それ以外の信号経路が、電荷転送モジュールから制御回路31への信号伝達を可能にする。さらに、制御回路31と個々の電荷転送モジュール4、4、4との間に、レベルシフタ32、32、32が接続されている。制御回路31と個々の電荷転送モジュール4、4、4との間の信号伝達のために、任意の好適な転送プロトコルを実装することが可能である。
【0039】
図5は、制御回路31と個々の電荷転送モジュール4、4、4との間の信号伝達を実装する別の実施形態を示す。この実施形態では、電源システムは、通信バスを含んでおり、この通信バスは、制御回路31に接続され、かつ、電荷転送モジュール4、4、4のそれぞれに接続されている。この、図5に示した特定実施形態においては、このバスは、制御回路31を、電荷転送モジュールの1番目のモジュール4に接続しており、1番目のモジュール4を2番目のモジュール4に接続しており、以降も同様の接続を続けている。制御回路31は、このバスの第1の端部に接続されており、モジュールチェーンの最後のモジュール4は、このバスの第2の端部に接続されている。このバスは、デイジーチェーンバスとして実装可能である。オプションとして、この通信バスは、リングバスとして実装され、この場合は、直列回路の最後のモジュール4がレベルシフタ32を介して制御回路31に接続される。図5に示したシステムには、電子システムの電子モジュール間の情報伝送をバス経由で行うことに適した任意の従来型バスプロトコルが実装に適している。
【0040】
図6は、電源システムの別の実施形態を示す。この電源システムでは、第1の電荷蓄積装置1の負荷端子11、12と、第2の電荷蓄積装置5の負荷端子51、52との間に、DC/DCコンバータ7が接続されている。DC/DCコンバータ7は、第1の電荷蓄積装置1からエネルギを取り出して第2の電荷蓄積装置5を充電するように構成されている。DC/DCコンバータ7の入力端子71、72は、第1の電荷蓄積装置1の負荷端子11、12と結合されており、出力端子73、74は、第2の電荷蓄積装置5の負荷端子51、52と結合されている。
【0041】
DC/DCコンバータ7としては、従来型のDC/DCコンバータを実装することが可能であり、具体的には、第1の電荷蓄積装置1と第2の電荷蓄積装置5との間に電位障壁を有するDC/DCコンバータが実装可能である。電位障壁は、第1の電荷蓄積装置1の基準電位と第2の電荷蓄積装置5の基準電位とが同じでない場合に必要である。一実施形態によれば、第2の電荷蓄積装置5の基準電位(第2の端子52の電位)は自動車のグラウンドであり、第1の電荷蓄積装置1の第2の端子12の電位は、グラウンドより0.5〜1V低い。
【0042】
説明のみを目的として、電位障壁を有するDC/DCコンバータの一実施形態を、図7に示す。図7に示したDC/DCコンバータは、フライバック変換器として実装されていて、第1の電子スイッチ75および変圧器76を含んでおり、変圧器76は、一次巻線76および二次巻線76を有している。一次巻線76と二次巻線76は、巻線の向きが逆である。第1の電子スイッチ75は、一次巻線76と直列に接続されており、第1の電子スイッチ75および一次巻線76を有する直列回路は、入力端子71、72間に接続されている。電子スイッチ75としては、従来型の電子スイッチ(たとえば、MOSFETやIGBTやBJT)が実装可能である。
【0043】
二次巻線76は、整流器構成を介して、コンバータ7の出力端子73、74と結合されている。この実施形態では、整流器構成は、整流素子77(たとえば、(図示したような)ダイオードまたは(図示していない)同期整流器)と、(出力端子73、74に接続された)キャパシタ78とを有する直列回路を含んでいる。もちろん、ダイオード77およびキャパシタ78を有する整流器構成の代わりに、フライバック変換器に使用可能な他の任意のタイプの整流器構成を用いてもよい。
【0044】
DC/DCコンバータ7はさらに、駆動回路79を含んでおり、駆動回路79は、パルス幅変調された駆動信号S75を電子スイッチ75の制御端子に与えるように構成されている。制御回路79は、第2の電荷蓄積装置5の出力電圧V5に応じた出力電圧信号SV5を受け取り、出力電圧V5が所与の設定値をとるべく調整されるように駆動信号S75のデューティサイクルを調節するように構成されている。出力電圧信号SV5は、出力電圧V5を測定して、従来の方法で発生させることが可能である。制御回路79としては、電圧測定信号および設定値に応じてパルス幅変調された駆動信号S75を発生させるように構成された、従来型のパルス幅変調(PWM)制御装置を実装することが可能である。このようなPWM制御装置はよく知られているので、これ以上の説明は省略する。
【0045】
図6の電源システムは、第2の電荷蓄積装置5の充電が、第1の電荷蓄積装置1からDC/DCコンバータ7を介してのみ行われるように構成可能である。なお、第1の電荷蓄積装置1の負荷端子11、12に接続された負荷、ならびに第2の電荷蓄積装置5の負荷端子51、52に接続された負荷は、図6には示していない。この電源システムでは、第2の電荷蓄積装置5が、その負荷端子51、52に接続されている負荷に給電する場合は、第1の電荷蓄積装置1から第2の電荷蓄積装置5へエネルギが転送されなければならず、これによって、第2の電荷蓄積装置5の放電が行われる。このシステムでは、DC/DCコンバータ7および電荷転送装置3が、電荷蓄積装置5にエネルギを供給する。この場合、電荷転送装置3から供給されるエネルギまたは電力は、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の充電状態が不平衡か平衡かに応じて変動する可能性がある。電荷蓄積モジュール2、2、2が強い不平衡である場合、第2の電荷蓄積装置5が第1の電荷蓄積装置1から受け取る電力の一部分は電荷転送装置3を介して供給し、第1の電荷蓄積装置1からの供給が必要な、第2の電荷蓄積装置5の電力の残りは、DC/DCコンバータ7を介して供給することが可能である。
【0046】
別の実施形態によれば、DC/DCコンバータ7は省略され、システム内には、第2の電荷蓄積装置5を充電する発電機がほかにない。この場合、第2の電荷蓄積装置5は、電荷転送装置3を介してのみ充電される。この場合、電荷転送装置3は、出力電圧信号SV5を受け取る。この場合、電圧転送装置3は、出力電圧信号SV5に応じて、第1の電荷蓄積装置1から第2の電荷蓄積装置5へ電荷を転送する。たとえば、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2が平衡であれば、電圧転送装置3は、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2から第2の電荷蓄積装置5へエネルギを周期的に転送してよい。
【0047】
図8は、1つの電荷蓄積モジュール2の一実施形態を示す。この実施形態では、電荷蓄積モジュール2は、互いに直列に接続された、複数の電荷蓄積セル8、8、8、8を含んでいる。この電荷蓄積セルのそれぞれは、互いに並列に接続された複数の副セルを含んでよい。この電荷蓄積セルは、たとえば、リチウムイオンセルである。
【0048】
図9は、電源システムの別の実施形態を示す。この電源システムでは、電荷蓄積モジュール2、2、2のうちの少なくとも1つが、これに接続された別の充電平衡化回路8の充電平衡化モジュール9、9、9の1つを有する。図9に示した実施形態では、電荷蓄積モジュール2、2、2のそれぞれに充電平衡化モジュール9、9、9が接続されている。個々の充電平衡化モジュール9、9、9は、個々の電荷蓄積モジュール2、2、2の中の個々の電荷蓄積セルの充電状態を平衡化するように構成されている。
【0049】
図10は、電荷蓄積セル8、8、8、8を有する1つの電荷蓄積モジュール2と、電荷蓄積モジュール2に接続された充電平衡化モジュール9との概略図である。充電平衡化モジュール9は、電荷蓄積セル8、8、8、8のそれぞれと接続されており、個々の電荷蓄積セル8、8、8、8の充電状態を検出するように構成されており、これらの電荷蓄積セル8、8、8、8の充電状態を平衡化するように構成されている。充電平衡化モジュール9は、互いに直列に接続された電荷蓄積セルの充電状態を平衡化するように構成された、従来型の充電平衡化モジュールであってよい。充電平衡化モジュール9は、いくつかある既知の充電平衡化原理のうちの少なくとも1つに従って動作するように構成可能である。1つの充電平衡化原理によれば、充電平衡化モジュール9は、電荷蓄積セルの1つ(たとえば、充電状態が最も高い電荷蓄積セル)からエネルギを取り出し、このエネルギを、個々の電荷蓄積セル8、8、8、8を有する直列回路に帰還させる。別の充電平衡化原理によれば、充電平衡化モジュール9は、電荷蓄積セル8、8、8、8を有する直列回路からエネルギを取り出し、このエネルギを、電荷蓄積セルの1つ(たとえば、充電状態が最も低い電荷蓄積セル)に帰還させる。さらに別の充電平衡化原理によれば、充電平衡化モジュール9は、電荷蓄積セル8、8、8、8のうちの1つ(たとえば、充電状態が最も高い電荷蓄積セル)からエネルギを取り出し、このエネルギを別の電荷蓄積セル8、8、8、8(たとえば、充電状態が最も低い電荷蓄積セル)に帰還させる。このような機能性を有する充電平衡化モジュールはよく知られているので、これ以上の説明は省略する。
【0050】
ここまで説明してきた電源システムは、非常に順応性が高い。電荷蓄積モジュール2、2、2は、何個でも直列に接続することが可能である。高い供給電圧V1が存在するのは、負荷端子11、12、第1の電荷蓄積装置1に接続された負荷、およびオプションのDC/DCコンバータ7においてのみである。電荷転送モジュール4、4、4において存在する最大電圧は、1つのモジュール2、2、2の供給電圧である。したがって、電荷転送装置においては、高電圧絶縁は不要である。このことは、特に、電荷蓄積モジュールが車内に分散している場合に有用である。
【0051】
本発明の様々な例示的実施形態を開示してきたが、当業者であれば明らかなように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の有利点のいくつかを達成する様々な変更および修正を施すことが可能である。また、当業者であれば明らかなように、同じ機能を実施する他のコンポーネントに適宜置き換えてもよい。なお、特定の図面を参照して説明した特徴を、他の図面の特徴と組み合わせてもよい。このことは、明示的に言及していなかった事例においても当てはまる。さらに、本発明の方法は、適切なプロセッサ命令を用いる、すべてソフトウェア実装の形でも、同じ結果を達成する、ハードウェアロジックとソフトウェアロジックとの組み合わせを利用するハイブリッド実装の形でも、実現可能である。発明概念に対するこうした修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
【0052】
「下の(under)」、「下方の(below)」、「下部の(lower)」、「上方の(over)」、「上部の(upper)」などの、空間的相対関係を表す用語は、ある要素の、別の要素に対する位置付けを説明する際の記述しやすさの観点から使用している。これらの用語は、図面で示された向きとは異なる向きに加えて、装置の様々な向きも包含するものとする。さらに、「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語も、様々な要素、領域、区間などを記述するために使用し、これらも、限定的ではないものとする。全記述を通して、類似の用語は類似の要素を参照する。
【0053】
本明細書で用いた「有する(having)」、「収容する(containing)」、「含む(including)」、「備える(comprising)」などの用語は、記載された要素または特徴の存在を指し示す一方、それ以外の要素または特徴を排除しないオープンエンドな用語である。冠詞「a]、「an」、および「the」は、文脈が他の場合を明確に示していない限り、単数だけでなく複数も包含するものとする。
【0054】
本明細書に記載の各種実施形態の特徴は、特に断らない限り、相互に組み合わせてよいことを理解されたい。
【0055】
本明細書では特定の実施形態を図示および記載してきたが、当業者であれば理解されるように、本明細書の範囲から逸脱することなく、この、本明細書に図示および記載した特定の実施形態を、様々な代替かつ/または等価の実装で置き換えてもよい。本出願は、本明細書に記載の特定実施形態のいかなる翻案や変形も包含するものとする。したがって、本発明は、特許請求の範囲ならびにその等価物によってのみ限定されるものとする。
【符号の説明】
【0056】
1 第1の電荷蓄積装置
11、12 負荷端子
2 電荷蓄積モジュール
、2、2 電荷蓄積モジュール
21、22 負荷端子
3 電荷転送装置
31 制御回路
32 レベルシフタ
32、32、32 レベルシフタ
4 電荷転送モジュール
、4、4 電荷転送モジュール
41、42 入力端子
43、44 入力端子
45 変圧器
45 第1の巻線
45 第2の巻線
46 電子スイッチ
47 整流素子
5 第2の電荷蓄積装置
51、52 負荷端子
6 制御/駆動装置
、6、6 制御/駆動装置
61、62 入力端子
63 駆動端子
64 駆動装置
65 電圧測定装置
66 インタフェース装置
66、66、66 インタフェース装置
7 DC/DCコンバータ
71、72 入力端子
73、74 出力端子
75 第1の電子スイッチ
76 変圧器
76 一次巻線
76 二次巻線
77 整流素子
78 キャパシタ
79 制御回路
8 充電平衡化回路
、8、8、8 電荷蓄積セル
9 充電平衡化モジュール
、9、9 充電平衡化モジュール
S65 電圧測定信号
S75 駆動信号
ACT 活性化信号
DRV 駆動信号
V5 出力電圧信号
V1 第1の供給電圧
V2 供給電圧
V2、V2、V2 個々のモジュール供給電圧
V5 第2の電荷蓄積装置供給電圧
Z1 負荷または負荷装置
Z2 負荷または負荷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷端子間に接続された、複数(n個)の電荷蓄積モジュール(n>1)を有する直列回路を備える、第1の電荷蓄積装置と、
負荷端子を備える、第2の電荷蓄積装置と、
前記電荷蓄積モジュールのうちの1つと前記第2の電荷蓄積装置の前記負荷端子との間に結合された少なくとも1つの電荷転送ユニットを備える電荷転送装置であって、前記電荷転送ユニットは、要求に応じて、前記1つの電荷蓄積モジュールから前記第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送するように構成された、電荷転送装置と、
を備える電源システム。
【請求項2】
前記電荷転送装置は、n個の電荷転送ユニットを備え、各電荷転送ユニットは、前記電荷蓄積モジュールのうちの1つと前記第2の電荷蓄積装置の前記負荷端子との間に結合されている、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1の電荷蓄積装置は、2個から20個の間の電荷蓄積モジュールを含む、請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1の電荷蓄積装置は、8個から12個の間の電荷蓄積モジュールを含む、請求項3に記載の電源システム。
【請求項5】
前記第1の電荷蓄積装置は、充電された状態において、前記第1の電荷蓄積装置の負荷端子間に第1の供給電圧を与えるように構成されており、
前記第2の電荷蓄積装置は、充電された状態において、前記第2の電荷蓄積装置の負荷端子間に第2の供給電圧を与えるように構成されており、
前記第1の供給電圧は前記第2の供給電圧より高い、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項6】
前記第1の供給電圧は、350Vから450Vの間であり、前記第2の供給電圧は、10Vから14Vの間である、請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記電荷転送装置はさらに、
制御回路を備え、前記制御回路は、前記少なくとも1つの電荷転送ユニットと信号連通していて、前記少なくとも1つの電荷転送ユニットに対し、前記第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送することを要求するように構成されている、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電荷転送ユニットは、
前記少なくとも1つの電荷転送ユニットが接続されている前記電荷蓄積モジュールのモジュール供給電圧を測定するように構成されており、かつ、
前記モジュール供給電圧の振幅の情報を前記制御回路に与えるように構成されている、
請求項7に記載の電源システム。
【請求項9】
複数(m個)の電荷転送ユニット(m>1)をさらに備え、各電荷転送ユニットは、各電荷転送ユニットが接続されている前記電荷蓄積モジュールのモジュール供給電圧を測定することと、前記モジュール供給電圧の振幅の情報を前記制御回路に与えることと、を行うように構成されており、
前記制御回路は、前記電荷転送ユニットに関して受け取った前記振幅情報を評価することと、前記電荷転送ユニットのうちの1つに対し、前記評価に基づいて前記第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送することを要求することと、を行うように構成されている、
請求項8に記載の電源システム。
【請求項10】
前記制御回路は、モジュール供給電圧が最も高い前記電荷蓄積モジュールを特定するように構成されており、かつ、前記特定された電荷蓄積モジュールと結合されている電荷転送モジュールに対し、前記第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送することを要求するように構成されている、請求項9に記載の電源システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電荷転送ユニットは、
一次巻線および二次巻線を有する変圧器と、
前記一次巻線と直列に接続されている電子スイッチであって、前記一次巻線および前記電子スイッチを有する直列回路が前記1つの電荷蓄積モジュールと結合されている、電子スイッチと、
前記二次巻線と直列に接続されている整流素子であって、前記二次巻線および前記整流素子を有する直列回路が前記第2の電荷蓄積装置と結合されている、前記整流素子と、
要求に応じて前記電子スイッチを駆動するように構成された駆動回路と、を備える、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電荷転送ユニットはさらに、
前記少なくとも1つの電荷転送ユニットが結合されている前記電荷蓄積モジュールのモジュール供給電圧を測定するように構成された電圧測定装置と、
前記駆動回路および前記電圧測定装置と結合されているインタフェース回路であって、前記電荷転送装置の制御回路と信号連通しているインタフェース回路と、を備える、
請求項11に記載の電源システム。
【請求項13】
前記第1の電荷蓄積装置の前記電荷蓄積モジュールは、それぞれが、互いに直列に接続された複数の電荷蓄積副モジュールを含んでおり、
1つの電荷蓄積モジュールと結合された、少なくとも1つのモジュール充電平衡化装置をさらに備え、前記少なくとも1つのモジュール充電平衡化装置は、1つの電荷蓄積副モジュールから別の電荷蓄積副モジュールへ、1つの電荷蓄積副モジュールから前記電荷蓄積モジュールへ、かつ/または、前記電荷蓄積モジュールから1つの電荷蓄積副モジュールへ、電荷を転送するように構成されている、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項14】
DC/DCコンバータをさらに備え、前記DC/DCコンバータは、前記第1の電荷蓄積装置の前記負荷端子と結合された入力端子を有し、かつ、前記第2の電荷蓄積装置の前記負荷端子と結合された出力端子を有する、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項15】
前記DC/DCコンバータはブーストコンバータである、請求項14に記載の電源システム。
【請求項16】
電源システムであって、
負荷端子間に接続された、複数(n個)の電荷蓄積モジュール(n>1)を有する直列回路を備える、第1の電荷蓄積装置と、
負荷端子を備える、第2の電荷蓄積装置と、
前記電荷蓄積モジュールのうちの1つと前記第2の電荷蓄積装置の前記負荷端子との間に結合された少なくとも1つの電荷転送ユニットを備える電荷転送装置であって、前記電荷転送ユニットは、要求に応じて、前記1つの電荷蓄積モジュールから前記第2の電荷蓄積装置へ電荷を転送するように構成された、電荷転送装置と、を備える電源システムと、
前記第1の電荷蓄積装置の前記負荷端子に接続された、少なくとも1つの第1の負荷と、
前記第2の電荷蓄積装置の前記負荷端子に接続された、少なくとも1つの第2の負荷と、
を備える自動車用電気システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1の負荷はモータである、請求項16に記載の自動車用電気システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第2の負荷は、パワーウィンドウリフタ、ラジオ、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、ナビゲーションシステム、電気アクタ、空調システム、照明システム、自動車制御システム、センサ、安全システムのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の自動車用電気システム。
【請求項19】
前記第2の電荷蓄積装置の前記負荷端子と結合された発電機をさらに備える、請求項16に記載の自動車用電気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−34370(P2013−34370A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−156418(P2012−156418)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アーゲー (331)
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
【Fターム(参考)】