説明

充電式カイロ

【課題】快適な温度を維持することができ、身体にフィットしやすい充電式のカイロを提供する。
【解決手段】充電式カイロ1は、本体30の表面に配置された複数の伝熱板15、15と、前記本体内に収容された電池と、該電池からの電圧値又は電流値を調整することで発熱体伝熱板15、15の温度を制御する温度調整手段と、を備えている。本体30は、それぞれに伝熱板15が配置された2以上のケース30A、30Bからなり、該ケース同士は互いに折曲げ可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の一部を温めるのに用いられる携帯用の充電式カイロに関し、特には、快適な温度を維持することができ、身体にフィットしやすい充電式カイロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯用のカイロとして、電熱線からのジュール熱を熱源に利用するものが知られている。特許文献1には、ジュール熱を発生する電熱シートと、電池と、電熱シートの温度を調整する手段と、を備えたカイロが開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3122911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、快適な温度を維持することができ、身体にフィットしやすい充電式のカイロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の充電式カイロは、
複数のケースからなる本体と、
各ケースの表面に配置された発熱体と、
前記発熱体に給電する、繰返し使える充電池と、
前記発熱体の温度を制御する温度調整手段と、を備え、
該ケース同士が互いに折曲げ可能に連結されていることを特徴とする。
前記ケースには、同ケースを衣服に固定するための固定手段(例えば面ファスナー。その他の例については後述する)が設けられていてもよい。
【0005】
本発明の充電式カイロによれば、本体が2以上のケースからなるものであって、ケース同士が折曲げ可能に設けられていることから、様々な形態をとることが可能であり、身体に良好にフィットさせることができる。また、温度調整手段を備えているので、快適な温度(例えば、体表面で38℃〜42℃)を維持することができる。また、ケースに面ファスナー等の固定手段が設けられている場合、充電式カイロを衣服に良好に固定することができる。
【0006】
本発明の充電式カイロにおいては、前記温度調整手段が、前記発熱体の温度を比較的高い第1の温度にある時間維持し、その後、前記第1の温度よりもやや低い第2の温度に維持する温度制御を行うものであることが好ましい。
【0007】
このように、ある一定の時間連続してカイロを使用する際に、そのうちのある時間帯における温度がやや低くなるように制御することで、電池の消費量が抑えられるので、カイロの使用時間を長くすることができる。
また、この場合、前記発熱体の温度を、前記第2の温度をある時間維持した後、前記第1の温度か、又は、前記第2の温度よりやや高い第3の温度とするものとすることもできる。
【0008】
上記構成の場合、本発明の充電式カイロが、カイロのON/OFFを切り替えるスイッチを更に備え、該スイッチがONとされた時点を基準として、前記温度制御が行われるようになっていてもよい。
または、前記温度調整手段が時計機能を有しており、該時計機能の時刻を基準として、前記温度制御が行われるようになっていてもよい。
または、前記温度調整手段が、人の体温を検出する検温手段を有しており、該検温手段により検出された前記体温の変化を基準として、前記温度制御が行われるようになっていてもよい。
【0009】
本発明の充電式カイロにおいては、前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高比熱材(例えば2J/(kg・K)以上)からなるシートが設けられていてもよい。
また、柔軟性を有する高熱伝導材(例えば1W/m・K以上)からなるシートが設けられていてもよい。
このような弾性シートが設けられている場合、身体へのフィット性が向上するため、熱をより効率的に伝えることが可能となる。シートに、導電性カーボン・黒鉛・金属粉末(例えば銅やアルミ)等の導電性材料を添加することで、材料の熱伝導性を高めることができ、発熱体からの熱をスムーズに身体の一部に伝熱させることができるものとなる。
シートの素材が、比熱の高いものである場合、蓄熱性を向上させることができる。一方、弾性シートの素材が、熱伝導性の高いものである場合、発熱体からの熱を、スムーズに身体の一部に伝えることができるという利点がある。
【0010】
また、前記発熱体の裏面側に、該発熱体からの熱を外部に放熱させないための断熱材が設けられていてもよい。これにより、発熱体からの熱を有効に利用することが可能となる。
なお、「発熱体の裏面側に設けられている」とは、断熱材が、ケースの内部において発熱体の裏面側に配置されている形態に限らず、ケースの外側に(ケース裏面側を覆うようにして)断熱材が配置されている形態も含む。
【0011】
本発明の充電式カイロは、装着治具に収容して使用することもできる。
すなわち、本発明の装着治具付き充電式カイロは、充電式カイロを収納する収納部、及び、該収納部を身体の一部に固定する固定部材を備える装着治具と、上記本発明による充電式カイロと、を具備することを特徴とするものである。この場合、前記固定部材は、前記充電式カイロの横方向又は縦方向に延びるベルトであってもよい。このような構成によれば、身体の種々の部位に、カイロを良好に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
上述したように、本発明によれば、快適な温度を維持することができ、身体にフィットしやすい充電式のカイロを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一形態に係る充電式カイロの斜視図であり、充電式カイロを平らにした状態を示している。図2(A)は図1のカイロの平面図であり、図2(B)は同カイロの側面図である。図3は、同カイロの内部構造を説明するための断面図であり、図2中のA−A切断線における断面を示している。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の充電式カイロ1は、ヒンジ部34を介して折曲げ可能に連結された2つのケース30A、30Bからなる本体30と、この本体30の表面に配置された発熱体13、13とを備えている。各ケース30A、30Bは樹脂又はエラストマー製の筐体であり、その上面ほぼ中央に発熱体13が配置されている。
ここで、発熱体13とは、板状の伝熱板15と、その裏面に配置された発熱部材17(図3参照、詳細後述)と、からなるものである。
【0015】
ケース30Bは、その外周部の一辺(ヒンジ部34側の辺31B)に、外側から中心側に向かってに掘り込まれた2つの凹部35、35を有している。これに対応して、もう一方のケース30Aの外周部の一辺には、その凹部35、35に入り込む凸部36、36が形成されている。ヒンジ部34は、この凸部36、36が凹部35、35に入り込み、この状態で、図3に示すように軸部材31が縦方向(図1参照)に通されることにより構成されている。これにより、ケース30A、30Bが、軸部材31周りに回動(折曲げ可能)可能に互いに連結されている。
【0016】
ケース30A、30Bの回動範囲は特に限定されるものではないが、この例では、およそ90°(図4参照)〜180°(図1参照)の範囲となっている。
【0017】
図2(A)、(B)に示すように、ケース30Aの外周部の一辺(ヒンジ部側の辺)には、ケース上面側から所定深さだけ凹んだ凹部39が、同ケースのヒンジ部34側の縁に沿って形成されている。凹部39の下側は、下突出部38として部材が残されている。
もう一方のケース30Bにおいては、逆に、下面側から所定深さだけ凹んだ凹部39′が形成されており、上側が上突出部37として残されている。
【0018】
図2(B)に示すように、ケース30A、30Bがおよそ180°まで開いた状態で、下突出部38の上面38aと上突出部37の下面37aとが略面接触する構成となっており、これにより、ケース30A、30Bが矢印B方向にそれ以上(およそ180°以上)開かないようになっている。
また、図4に示すように、ケース30A、30Bをおよそ90°に折り曲げた状態では、ケース30A側の凹部39の上隅にある角部32が、相手方のケース30Bの上面に当たることにより、それ以上閉じないようになっている。
【0019】
再び図1を参照すると、ケース30A、30Bのそれぞれの上面には、この充電式カイロ1全体を、衣服等に固定するための固定手段(12)が貼り付けられている。この固定手段は、一例として、伝熱板15の三辺を囲むコ字形の面ファスナー12である。面ファスナー12の上面の高さは、伝熱板15の上面の高さと同一であってもよいし、伝熱板15の上面よりやや高くてもよい。
なお、面ファスナー12を利用する場合、相手側にフック又はループが設けられていることが好ましい。
【0020】
また、固定手段は、面ファスナー12の他にも、粘着材、粘着テープ、ファスナー、ホック等を利用することもできる。面ファスナー12はコ字形に限らず、伝熱板15の3辺に沿って貼り付けられた3本の直線状のものであってもよい。
ここで粘着材としては、アクリル系やSEBS系・SBS系・SIS系等と石油系樹脂を含むもの等を利用することができる。面ファスナーは、ナイロン樹脂系・ポリエステル樹脂系・PP樹脂系等のポリオレフィン系樹脂等を利用することができる。
【0021】
次に、図3を参照して本実施形態の充電式カイロ1の内部構造について説明する。
図3に示すように、ケース30A、30Bの上面には、上述したように、伝熱板15が配置されている。この伝熱板15の裏面中央には、薄板状の発熱部材17が貼り付けられている。発熱部材17は、一例として、電圧の印加により発熱するPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータであり、このヒータからの熱が、伝熱板15に伝わり、伝熱板15全体が加熱されるようになっている。
【0022】
伝熱板15としては、金属、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性エラストマー等の熱伝導性に優れた材料を使用することができる。発熱部材17は、PTCヒータのほかにも面状ヒータなど種々利用可能である。
【0023】
発熱部材17に電圧を付与する(給電する)ための電池B1、B2は、ケース30A、30B内にそれぞれ配置されている。この電池は、例えば、充電可能なリチウムイオン電池・ニッケル水素電池・ニッケル・カドミウム電池・リチウム電池・リチウムポリマー電池、燃料電池、カルシウムイオン電池等を利用することができる。なお、電池はケース30A、30Bに外付けされるものであってもよい。
【0024】
詳細な回路構成の説明は省略するが、ケース30Aの一部には、電池B1、B2を充電するための外部電力供給用ソケット43が設けられている(図3参照)。この場合、充電用の電源コード(不図示)をこのソケット43に接続することにより、電池B1、B2が充電される。
【0025】
ケース30Bの内部には、発熱部材17に電圧を付与するかどうかの制御(すなわち、カイロのON/OFFの制御)や、発熱部材17の温度制御を行うマイコンAが配置されている。
マイコンAは、一例として、電池B1、B2からの電圧値又は電流値を調整することで発熱部材17の温度を調整する(なお、以下では、電圧値が調整される例について説明する)。
マイコンAが発熱部材17の温度を調整できるように、発熱部材17の裏面と伝熱板15の裏面との2箇所には、温度センサ(サーミスタ)19a、19bが設けられている。マイコンAは、この2つのセンサ19a、19bによる検出結果に基づいて、電池B1、B2からの電圧値を適宜調整し、発熱部材17ひいては伝熱板15の温度を調整する。発熱部材17及び伝熱板15の2箇所に、センサ19a、19bが設けられているので、より正確な温度調整が可能となっている。
【0026】
マイコンAは、一例として、低温火傷の防止の観点から、伝熱板15の温度を、体表面の温度が38℃〜42℃の範囲内になるように、所定の設定温度(40℃〜50℃)に制御する。すなわち、温度センサ19a、19bの検出結果に基づいて、伝熱板15の温度が設定温度未満では電池の電圧を上昇するように制御し、一方、伝熱板15の温度が設定温度を超えた場合には、電源の出力を段階的に又は連続的に下げるように制御する。
【0027】
なお、図示を省略しているが、本実施形態の充電式カイロ1においては、本体30の一部に操作スイッチが設けられており、ユーザーが、このスイッチを操作することにより、カイロ1のON/OFFが切り替えられるようになっている。
【0028】
本実施形態の充電式カイロ1は、幾つかの動作パターンを設定できる。例えば、スイッチ(不図示)をONにしている間じゅう動作して、適温を維持する「連続動作モード」や、スイッチをONにした後、所定時間経過したら自動的にOFFとなる「自動停止モード」等である。各モードにおいては、更に、「高温」・「低温」等の温度調整が可能となっている。なお、より具体的な温度調整の例については、他の図面を参照して後述する。
【0029】
次に、以上のように構成された本実施形態の充電式カイロ1の使用例について、図5、図6を参照して説明する。
このカイロ1は、図5に示すように足裏に当てて使用することができる。「冷え性」の人の中には、足末端の血流が極めて悪く、夏場でも足が冷えた状態になっている人も多い。本実施形態の充電式カイロ1は、こうした冷え性の改善のために、靴下に取り付けて使用することができる。この際の体表面の温度は、低温火傷の心配がないように42℃以下であることが好ましい。また、就寝時に、カイロ1を足裏にこのように取り付けて使うことも可能である。
【0030】
こうした使用形態において、本実施形態の構成によれば、伝熱板15の周辺に設けた固定手段(面ファスナー12)が靴下にくっつくため、特別な取付具を用いなくても、カイロ全体を足裏に良好に固定することができる。
【0031】
また、本実施形態の充電式カイロ1は、ケース30A、30Bが折曲げ可能となっていることから、このように足裏を当てた際に、ケース30A、30Bが足裏の形状に沿って折れ曲がる。この例では、ケース30Aの電熱板15が、足裏の親指付け根部分の膨らみ部の前方側に沿って接しており、ケース30Bが後方側に沿って接している。本実施形態の構成によれば、このように、各ケース30A、30Bの各伝熱板15、15を足裏に良好に近接又は密着させることができるため、温熱効果が向上する。
【0032】
図6に示すように、本実施形態の充電式カイロ1は、下着の上から肩にのせて使用することもできる。この場合、カイロ1を、肩の曲線に沿って折り曲げることにより、肩の僧帽筋を包み込むようなかたちで(つまり、各ケースの電熱板15が僧帽筋の前後に当たる状態で)、肩を効果的に温めることができる。この場合においても、面ファスナー12(図1参照)が下着にくっついてカイロ全体が固定されるため、カイロ1が肩から滑り落ちることはない。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の充電式カイロ1は、足裏や肩などに沿って形を変えることができるので、伝熱板15を身体の一部に良好に近接又は密着させることができる。また、ケース30A、30Bの上面に、面ファスナー12等の固定手段が設けられているので、衣服に充電式カイロ1を良好に固定することができる。
また、内蔵した電池B1、B2により駆動されるものであるので、電源コード等が不要であり、場所を選ばず使用することができる。電池B1、B2が充電式のものであるので、繰り返し使うことができる点でも有利である。
【0034】
また、本実施形態の充電式カイロ1は、マイコンA及び温度センサ19a、19b(図3参照)を内蔵しており、これにより、発熱部材17の温度調整が可能となっているので、カイロを快適な温度を保つことができる。
【0035】
ここで、具体的な温度調整の例について、図7を参照して説明する。図7は、人の一日の体温、及び、充電式カイロ1の温度調整の一例を示すグラフであり(不眠症を治す/中沢洋一/保健同人社/1995年12月より)、縦軸が温度、横軸が時間帯である。図7中、丸い点を結んだ下側の折れ線が体温の変化を示し、四角い点を結んだ折れ線がカイロ温度を示している。なお、この例では、21:00〜6:00の時間帯に睡眠をとる人の例が示されている。
【0036】
この例における人の体温は、昼間の生活時間帯が約37℃であり、19:00〜23:00にかけて36.5℃くらいまで徐々に下がっていき、23:00〜4:00は36.5℃程度を保ち、朝方4:00〜6:00にかけて再び徐々に37℃くらいまで上昇するものとなっている。23:00〜4:00の時間帯のように体温が低くなった状態では、カイロ1をそれほど高温にする必要はない。カイロ1の温度を感じ易いのは、比較的眠りの浅い就寝直後と起床直前であると考えられるので、この時間帯にカイロ1が高温となっていればよい。
【0037】
そこで、本実施形態の充電式カイロ1ではマイコン制御により、同図グラフ中に示すように、就寝直後の時間帯(21:00〜23:00)のカイロの温度(伝熱板15の温度)を一例として40℃とし、その後の時間帯(23:00〜4:00)の温度をやや低くして38℃とし、起床直前(4:00〜6:00)の時間帯の温度を再び高温として40℃とするようにしている。このような制御によれば、所定の時間帯(22:00〜4:00)での電池B1、B2の消費量が抑えられるので、1回の充電での使用時間を長くすることができる。
【0038】
なお、上記温度制御を開始するタイミングは、ケースに設けたスイッチ(不図示)をONとした時点であってもよい。すなわち、スイッチをONとした時点から、上記温度制御が行われるようになっていてもよい。
【0039】
あるいは、マイコンAが時計機能を内蔵しており、この時計機能の時刻を基準として、上記温度制御が行われる構成とすることもできる。
また、充電式カイロ1が、更に、人の体温を検出する検温機能を備えており、それにより検出された体温の高低により(体温が低くなった時点で)、カイロ1の温度が低温(上記例で言えば38℃)となる構成とすることもできる。
【0040】
以上、本発明の一形態について説明したが、本発明の充電式カイロにおいては、3つ以上のケースを有し、これらのケースが互いに折曲げ可能に連結されていてもよい。
【0041】
次に、カイロ1と身体との間に介在させる柔軟性のある弾性シートについて、再度図3を参照して説明する。
図3に示すように、このカイロ1においては、発熱体13の表面に柔軟性のある弾性シート45が設けられていてもよい。なお、この例では、各発熱体13のそれぞれを覆うようにシート45が設けられているが、これに限らず、カイロ1の表面(上面)全体を1枚のシート45で覆うようにしてもよい。
【0042】
このシートの材質としては、熱伝導率が高いもの、あるいは、比熱が高いもの(比熱の高いものの例として、ゲル材、エラストマー材、ゴム材等)のいずれであってもよい。また、シート表面が粘着性を有し、衣服等に貼り付くシートであってもよい。
【0043】
ゲル材としては、グリセリン・水などを使用し、ポリアクリル酸・ポリアクリル酸ナトリウム・ポリイコタン酸ナトリウム・架橋型ポリアクリル酸ナトリウム・架橋型アクリル系ポリマー・架橋型ポリアクリル酸・CMC・HPC・ポリビニルアルコール・ゼラチン・アラビアゴムにゲル硬化剤(水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム・水酸化カルシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、酸化亜鉛、合成ケイ酸アルミニウム等)でゲル化させたものを利用可能である。
【0044】
ゴム材は、スチレン・ブタジエン系ゴム・天然ゴム系・ニトリル系ゴム・クロロプレン系ゴム・ブチル系ゴム・シリコン系ゴム・クロロスルフォン化ポリエチレンゴム・フッ素系ゴム・エチレン・プロピレン系ゴム・ウレタン系ゴム等が使用できる。
【0045】
エラストマー材は、ポリウレタン系・オレフィン系・スチレン系・ポリエステル系・ポリアミド系・フッ素系・シンジオタクチック1・2PB系エラストマー・塩素系エチレンコポリマー架橋ポリマーアロイ・塩素化ポリエチレン・エステル・ハロゲン系ポリマーアロイ型エラストマー等が使用できる。
【0046】
このような柔軟性のあるシート45が設けられていることにより、身体へのフィット性が向上するため、熱をより効率的に伝えることが可能となる。シートの比熱の高いものである場合、蓄熱性を向上させることができる。一方、シートの熱伝導性の高いものである場合、発熱体からの熱を、スムーズに身体の一部に伝えることができるという利点がある
【0047】
(第2の実施形態)
図8は、上記実施形態の充電式カイロ1を身体の一部に装着するための装着治具を説明するための図であり、図8(A)が平面図であり、図8(B)が縦断面図である。
図8(B)に示すように、この装着治具60は、身体に当たる側となる1枚のシート61と、そのシート61の上面ほぼ中央に形成されたカイロ収容部65と、を備えている。
【0048】
図8(A)に示すように、シート61は、中央部から上下に延び出した延出部61a、61aと、左右に延び出した延出部61b、61bと、を有している。各延出部61a、61bには、それぞれの延出方向に直交する方向に細長く切り込まれた通し孔63が形成されており、ここに固定部材(ベルト69)が通されるようになっている。
ベルト69としては、カイロ1の縦方向の通されるベルト69Aと、横方向に通されるベルト69Bとが設けられている。ベルト69は、伸縮性のあるゴムバンド等であってもよい。シート61は一例として布材である。なお、2つのベルトを必ずしも両方設ける必要はなく、ベルト69A及び69Bのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0049】
図8(B)に示すように、シート61の上面には、箱型に形成されたシート67が縫い付けられており、両シート61、67間にカイロ収容部65が形成されている。図示しないが、シート67の側部にはファスナーが設けられており、このファスナーを開けて、カイロ1をこの収容部65内に入れることができるようになっている。この際、カイロ1はその伝熱板15(図1参照)が下向きとされ、カイロ1を収容した状態では、伝熱板15とシート61とが接する。
【0050】
充電式カイロ1を収容したら、図9に示すように、装着治具60を身体の一部(この例では足)に装着する。具体的には、装着治具60のシート61側が足裏に当たるように治具60をセットし、この状態で、図8の縦方向に延びるベルト69Aを足の甲に巻きつけて固定する。これにより、カイロ1の電熱板15(図1参照)がシート61を介して足裏に良好にフィットして当たることとなる。
【0051】
また、図8の装着治具60では、充電式カイロ1(図1参照)の横方向に沿う方向と(図8の横方向)、縦方向に沿う方向とにベルト69を通すことができるようになっているため、身体の種々の部位に沿わせて、カイロ1を良好に取り付けることが可能である。
【0052】
図9の例では、縦方向のベルト69Aを利用してカイロ1を足に装着したが、例えば、カイロ1を腰に当てる場合には、横方向のベルト69Bを利用すればよい。これにより、カイロ1が左右の背筋に沿って折れ曲がった状態で腰に当たることとなり(なお、この例では、カイロ1のケース30A、30Bが180°以上に折曲げ可能となっている)、左右の背筋のそれぞれに、伝熱板15、15(図1参照)を近接又は密着させることができる。
【0053】
ここで、図8(B)に示すように、カイロ収容部65内において、カイロ1の上面及び側面全体を覆うように、断熱材68(発泡ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の発泡材であって、空気綱を内包した材料)が設けられていることが好ましい。これにより、カイロ1からの熱がシート67を伝って外部に逃げにくくなるため、熱のロスを抑え、発熱体からの熱を有効に利用することが可能となる。
なお、こうした断熱材は、それ単独で、第1の実施形態に示したカイロ1に利用することもできる。
【0054】
図10は、装着治具の他の例を示す図である。この図に示す装着治具60′は、シート61の各延出部61a、61bに通し孔63が形成されておらず、その代わりに、シート61の裏面61c(下面)が面ファスナーとなっている。この例では、この面ファスナーの作用により、シート61の裏面が、カイロ1の横方向に延びるベルト69Dの上面に固定されている。ベルト69Dは、一例として、伸縮性のある環状のバンドである。なお、この横方向のベルト69Dに代えて、カイロ1の縦方向に延びるベルト69Cをシート61の裏面に固定することもできる。このよう構成によれば、図8の構成と比較して、より幅の広いベルト69C、69Dを利用することができる。また、シート61をベルト69C、69Dに固定するのに面ファスナーを用いるものであるため、固定に手間がかからないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一形態に係る充電式カイロの斜視図であり、充電式カイロの開時の状態を示している。
【図2】図2(A)は図1のカイロの平面図であり、図2(B)は同カイロの側面図である。
【図3】図2のA−A切断線における縦断面図である。
【図4】図1のカイロの閉時の状態を示す側面図である。
【図5】本発明に係る充電式カイロの使用例を示す図である。
【図6】本発明に係る充電式カイロの他の使用例を示す図である。
【図7】人の一日の体温、及び、それに対応させた充電式カイロの温度調整の一例を示すグラフである。
【図8】充電式カイロを身体に身体の一部に装着するための装着治具を示す図であり、図8(A)が平面図であり、図8(B)が縦断面図である。
【図9】図8の装着治具の使用例を示す図である。
【図10】装着治具の他の例を示す図であり、図10(A)が平面図であり、図10(B)が縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・充電式カイロ、12・・・面ファスナー、13・・・発熱体、15・・・伝熱板、17・・・発熱部材、19a、19b・・・温度センサ
30・・・本体、30A、30B・・・ケース、31・・・軸部材、31B・・・辺、32・・・角部、34・・・ヒンジ部、35・・・凹部、36・・・凸部、37・・・上突出部、37a・・・下面、38・・・下突出部、38a・・・上面、39、39′・・・凹部、43・・・ソケット、45・・・弾性シート、A・・・マイコン及び制御回路、B1、B2・・・電池
60、60′・・・装着治具、61・・・シート、63・・・通し孔、65・・・カイロ収容部
67・・・シート、69A〜69D・・・ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケースからなる本体と、
各ケースの表面に配置された発熱体と、
前記発熱体に給電する、繰返し使える充電池と、
前記発熱体の温度を制御する温度調整手段と、を備え、
該ケース同士が互いに折曲げ可能に連結されていることを特徴とする充電式カイロ。
【請求項2】
前記ケースを衣服に固定するための固定手段が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の充電式カイロ。
【請求項3】
前記温度調整手段は、
前記発熱体の温度を比較的高い第1の温度にある時間維持し、その後、前記第1の温度よりもやや低い第2の温度に維持する温度制御を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の充電式カイロ。
【請求項4】
前記発熱体の温度を、前記第2の温度をある時間維持した後、前記第1の温度か、又は、前記第2の温度よりやや高い第3の温度とすることを特徴とする、請求項3に記載の充電式カイロ。
【請求項5】
充電式カイロのON/OFFを切り替えるスイッチを更に備え、
該スイッチがONとされた時点を基準として、前記温度制御が行われることを特徴とする、請求項3又は4に記載の充電式カイロ。
【請求項6】
前記温度調整手段が時計機能を有しており、
該時計機能の時刻を基準として、前記温度制御が行われることを特徴とする、請求項3又は4に記載の充電式カイロ。
【請求項7】
前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高比熱材のシートが設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電式カイロ。
【請求項8】
前記発熱体の表面に、柔軟性を有する高熱伝導材のシートが設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の充電式カイロ。
【請求項9】
前記発熱体の裏面側に断熱材が設けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の充電式カイロ。
【請求項10】
充電式カイロを収納する収納部、及び、該収納部を身体の一部に固定する固定部材、を備える装着治具と、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の充電式カイロと、
を具備することを特徴とする装着治具付き充電式カイロ。
【請求項11】
前記固定部材が、前記充電式カイロの横方向又は縦方向に延びるベルトであることを特徴とする、請求項10に記載の装着治具付き充電式カイロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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