説明

充電装置および充電システム

【課題】送電装置の給電能力に応じて可能な限り確実に充電を行える充電装置および充電システムを実現する。
【解決手段】充電装置100の充電電流制御用回路105は、整流回路102の出力である直流電圧V1が高ければ高い回路抵抗値R2となり、直流電圧V1が低下すれば低い回路抵抗値R2となる。充電制御部103は、直流電圧V1により、所定の定電流からなる出力電流値Ioutを二次電池104に供給する。この際、充電制御部103は、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2が高ければ、高い電流値の出力電流値Ioutを供給する。一方、充電制御部103は、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2が低くなると、低い電流値の出力電流値Ioutを供給する。このように出力電流値Ioutを低く制御することで、直流電圧V1を所定レベルまで回復して維持でき、継続的な充電が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を備え、外部から供給される電力で当該二次電池を充電する充電装置、および当該充電装置を含む充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種の非接触型充電が多く実用化されている。非接触充電とは、従来一般的に行われていた電気的接点を用いて電力を供給するものではなく、電磁界結合等を用いて電力供給するものである。
【0003】
このような非接触型充電のシステムでは、テーブル等に一次側コイルを備える送電装置を載置する。ユーザは、二次電池および二次側コイルを含む充電装置を備えた携帯端末を、前記送電装置に近接して載置する。これにより、一次側コイルと二次側コイルとが電磁界結合し、充電装置側へ電力が供給され、二次電池が充電される。
【0004】
ところで、このような非接触充電のシステムは、基本原理は同じであるが、それぞれのシステムによって仕様が異なっている。例えば、充電時の電流値がシステム毎に異なっている。
【0005】
そして、このような複数の非接触充電のシステムに対して、汎用的に充電を可能にする構成として、特許文献1や特許文献2の発明に示されてシステムがある。これらのシステムでは送電装置(一次側装置)が充電装置(二次側装置)の仕様を取得する。送電装置は、取得した充電装置の仕様に応じて供給電力量を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−206233号公報
【特許文献2】特開2008−206327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1や特許文献2に示すような構成では、送電装置で、充電装置の仕様に応じた送電制御をしなければならず、送電装置の構成が複雑になり、高コストになってしまう。また、送電装置の給電能力を超える要求があった場合に、送電装置が対応できず、給電を停止してしまう。
【0008】
図1は従来の構成の問題点を説明する為の図である。図1に示すように、例えば、充電装置が電流値1A、電力5Wで急速充電可能な構成である場合で、送電装置が電流値0.5A、電力2.5Wでしか対応できない場合、二次電池へ定電流を供給する充電制御回路の入力電圧が動作電圧以下まで低下してしまう。このため、送電装置から二次電池への給電が停止する。
【0009】
このような問題を鑑み、本発明は、送電装置の給電能力に応じて可能な限り確実に充電を行える充電装置および充電システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、充電装置に関するものであり、当該充電装置は、受電部、充電制御部、および充電電流制御用回路を備える。受電部は、外部からの電力供給を受け、充電用電圧を発生する。充電制御部は、該充電用電圧に基づいて、二次電池へ定電流を供給する。充電電流制御用回路は、充電用電圧の電圧値に基づいて、充電制御部が供給する定電流の電流値を制御する。
【0011】
この構成では、充電電流制御用回路により、二次電池へ供給される定電流の電流値を設定することで、充電用電圧の電圧値を可変に設定できる。例えば、二次電池への電流値が大きすぎて充電用電圧が低下した場合に、電流量を低くし、充電用電圧を回復することができる。これにより、充電制御回路が二次電池へ電流供給可能な最低の電圧レベルを、より確実に確保することができる。したがって、供給電力の能力不足等による充電停止が極力生じることなく、より確実に継続的な充電が可能となる。
【0012】
また、この発明の充電装置の充電電流制御用回路は、定電流の電流値の基準となる分圧電圧を決定する回路である。充電電流制御用回路は、充電用電圧に基づいて分圧電圧を決定する回路の回路抵抗を可変とする回路構成からなる。
【0013】
この構成では、充電電流制御用回路の具体的構成を示している。そして、この構成を用いることで、回路抵抗を可変とするだけの回路で、上述の制御が可能となる。すなわち、比較的簡素な回路構成で、上述の作用を得ることができる。
【0014】
また、この発明の充電装置の充電電流制御用回路は、複数の抵抗素子とスイッチ素子とを備える。充電電流制御用回路は、スイッチ素子を充電用電圧に基づいてオンオフ制御することにより、回路抵抗の値を可変させる。
【0015】
この構成では、充電電流制御用回路のより具体的構成を示している。そして、この構成を用いることで、上述の制御を可能とする回路が、複数の抵抗素子とスイッチ素子とで構成されるので、より簡素な回路構成で、上述の作用が実現できる。
【0016】
また、この発明の充電装置の充電電流制御用回路は、充電用電圧に基づいて抵抗値を変化させる可変抵抗素子を備える。
【0017】
この構成では、可変抵抗素子を用いることで、より詳細に回路抵抗が設定可能になる。これにより、必要な充電用電圧が得られる最大の電流値に定電流を設定することができる。すなわち、可能な限り急速(高速)な充電が可能になる。
【0018】
また、この発明の充電装置の受電部は外部結合用コイルを備える。
【0019】
この構成では、充電装置の具体的な構造例を示すものであり、外部結合用コイルを用いて電磁界結合により非接触充電する充電装置の場合を示している。
【0020】
また、この発明は、所定の電力を一次コイルから送電する送電装置と、該一次コイルに結合する二次コイルを備え、前記電力を受電して二次電池を充電する充電装置と、を備えた充電システムに関するものである。充電システムの充電装置は、二次コイルで得た供給電力から充電用電圧を発生する受電部と、充電用電圧に基づいて二次電池へ定電流を供給する充電制御部と、充電用電圧の電圧値に基づいて、充電制御部が供給する定電流の電流値を制御する充電電流制御用回路と、を備える。
【0021】
この構成では、送電装置と充電装置とが非接触で電力伝送を行う非接触充電システムにおいて、充電装置側で、送信電力に応じて二次電池への供給電流の電流値を可変に制御できる。これにより、送電装置側で送信電力を変化させずとも、充電装置側で二次電池へ、より確実に継続的な充電が可能になる。すなわち、送電装置の仕様に応じて、より確実に充電が行われる。
【0022】
また、この発明の充電システムにおける充電装置の充電電流制御用回路は、定電流の電流値の基準となる分圧電圧を決定する回路である。充電電流制御用回路は、充電用電圧に基づいて分圧電圧を決定する回路の回路抵抗を可変とする回路構成からなる。
【0023】
また、この発明の充電システムにおける充電装置の充電電流制御用回路は、複数の抵抗素子とスイッチ素子とを備え、該スイッチ素子を充電用電圧に基づいてオンオフ制御することにより、回路抵抗の値を可変させる。
【0024】
また、この発明の充電システムにおける充電装置の充電電流制御用回路は、充電用電圧に基づいて抵抗値を変化させる可変抵抗素子を備える。
【0025】
これらの構成では、上述のように、充電システムにおける充電装置の充電電流制御用回路の具体的構成が示されている。
【0026】
また、この発明の充電システムでは、送電装置が一次側認証制御部を備え、充電装置が二次側認証制御部を備える。二次側認証制御部は、一次側認証制御部との間での認証結果を前記充電電流制御用回路へ出力する。充電電流制御用回路は、認証結果と充電用電圧とに基づいて定電流値の制御を行う。
【0027】
この構成では、上述の充電システムにおいて、認証処理を行う場合の具体例を示している。そして、この構成では、充電装置側で、認証結果をも加味して充電の仕様を決定することができる。例えば、認証結果が「OK」で、十分な充電用電圧が得られれば、急速充電を行い、認証結果が「OK」で、十分な充電用電圧が得られなければ、二次電池へ供給する電流を低下させて、充電(標準充電)を行う。また、認証結果が「NG」であれば、充電を停止したり、十分な充電用電圧が得られても標準充電を行う。このように、基本情報となる充電用電圧に対して付加的情報を加えて、充電仕様を可変に設定するもできる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、供給される電力に応じて、充電装置が二次電池への供給電流の電流値を可変に制御できるので、送電装置の給電能力に応じて可能な限り確実に充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の構成の問題点を説明する為の図である。
【図2】第1の実施形態に係る非接触充電システム900の主要構成を示すブロック図である。
【図3】充電制御回路103と充電電流制御用回路105とからなる構成部の具体的回路図である。
【図4】第1の実施形態の充電装置100の充電フローを示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る非接触充電システム900Aの主要構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態の論理制御部154Aの真理値表である。
【図7】第3の実施形態に係る非接触充電システム900Bの主要構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態の充電装置100Bの充電フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の実施形態に係る非接触充電システムについて、図を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る非接触充電システム900の主要構成を示すブロック図である。
【0031】
非接触充電システム900は、送電装置200と受電装置100とを備える。具体的には、例えば送電装置200は、テーブル上に固定的に設置される充電台等に内蔵されている。一方、受電装置100は携帯端末等に内蔵されている。
【0032】
送電装置200は、送信側ドライバ回路202と一次側アンテナコイル201とを備える。送信側ドライバ回路202には、ACアダプタ300が接続されている。送信側ドライバ回路202は、ACアダプタ300から電力を受けて駆動する。送信側ドライバ回路202は、受電装置100を備える携帯端末に対して給電と通信とを行うための一次側信号を発生し、一次側アンテナコイル201に一次側電流を流す。なお、一次側信号は各種仕様があり、既知であるので、説明は省略する。
【0033】
受電装置100は、二次側アンテナコイル101、整流回路102、充電制御回路103、二次電池104、充電電流制御用回路105を備える。
【0034】
受電装置100を備える携帯端末を、送電装置200を備える充電台上に載置すると、受電装置100の二次側アンテナコイル101と、送電装置200の一次側アンテナコイル201とが近接する。この状態で、一次側アンテナコイル201に一次側電流が流れると、一次側アンテナコイル201と二次側アンテナコイル101とが電磁界結合し、一次側電流と結合度とに応じた二次側電流が、二次側アンテナコイル101に励起される。二次側アンテナコイル101で励起した二次側電流は、整流回路102に入力される。
【0035】
整流回路102は、二次側電流に基づく交流電圧を整流、平滑し、直流電圧V1を充電制御回路103へ出力する。この充電制御回路103へ出力される直流電圧が「充電用電圧」に相当する。この直流電圧V1は、充電電流制御用回路105にも与えられる。
【0036】
充電電流制御用回路105は、固定抵抗R2a,R2bとスイッチ153とを備え、直流電圧値に応じてスイッチ153がオンオフすることで、回路抵抗値が変化する。すなわち、スイッチ153がオンならば、固定抵抗R2a,R2bからなる抵抗並列回路となり、当該抵抗並列回路の合成抵抗値が充電電流制御用回路105の回路抵抗値となる。一方、スイッチ153がオフならば、固定抵抗R2aのみの回路となり、当該固定抵抗R2aの抵抗値が充電電流制御用回路105の回路抵抗値となる。これにより、充電電流制御用回路105は、直流電圧V1の電圧レベルに応じて回路抵抗値が変化する。例えば、具体的には後述するが、直流電圧V1の値が高ければ回路抵抗値が高く維持され、直流電圧V1の値が低くなれば回路抵抗値が低くなるように機能する。
【0037】
充電制御回路103は、入力される直流電圧V1を利用し、二次電池104へ所望の定電流からなる出力電流値Ioutが流れるように、定電流制御を行う。充電制御回路103は、充電電流制御用回路105の回路抵抗値に基づいて出力電流Ioutの電流値を決定する。ここで、充電電流制御用回路105は、上述のように直流電圧V1に応じて回路抵抗値が変化する。したがって、充電制御回路103は、直流電圧V1の変化に応じて出力電流Ioutを可変にすることになる。
【0038】
具体的には、充電制御回路103と充電電流制御用回路105とを以下の構成にすることにより、出力電流Ioutを可変に設定する。図3は、充電制御回路103と充電電流制御用回路105とからなる構成部の具体的回路図である。
【0039】
充電制御回路103は、pnp型トランジスタQ1、オペアンプOP1,OP2、固定抵抗Rb,Rs,R1、リファレンス電圧入力端を備える。pnp型トランジスタQ1のエミッタには、直流電圧V1が印加される。pnp型トランジスタQ1のコレクタは、オペアンプOP1の非反転入力端子に接続している。オペアンプOP1の反転入力端子は、二次電池104に接続している。オペアンプOP1の非反転入力端子と反転入力端子との間には、固定抵抗Rsが接続している。
【0040】
オペアンプOP1の出力端子は、オペアンプOP2の非反転入力端子に接続している。オペアンプOP2の反転入力端子は、固定抵抗R1と充電電流制御用回路105との接続点に接続している。抵抗器R1の充電電流制御用回路105側と反対側の端子には、リファレンス電圧入力端が接続している。オペアンプOP2の出力端子は、固定抵抗Rbを介してpnp型トランジスタQ1のベースに接続している。
【0041】
充電電流制御用回路105は、固定抵抗R2a、固定抵抗R2b、およびスイッチ153を備える。スイッチ153は、反転論理部154、サンプルホールド部155、および、FETからなる半導体スイッチ素子Q2を備える。半導体スイッチ素子Q2はソース接地され、ドレインが固定抵抗R2bに接続している。この固定抵抗R2bと半導体スイッチ素子Q2との直列回路は、固定抵抗R2aに並列接続している。この並列回路のグランド側と反対の端子は、充電制御回路103の固定抵抗R1に接続している。
【0042】
半導体スイッチ素子Q2のゲートには、サンプルホールド部155が接続し、サンプルホールド部155には、反転論理部154が接続している。反転論理部154には、直流電圧V1が印加される。
【0043】
まず、充電電流制御用回路105が抵抗器R2であるとして、充電制御回路103の動作について説明する。所定の直流電圧V1が印加されており、出力電流Ioutが所望とする電流値(リファレンス電圧Vrefと充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2とによって決まる目標電流値)よりも増加した場合、固定抵抗Rsに生じる電圧ΔVが増加する。電圧ΔVが増加すると、オペアンプOP2の非反転入力端子と反転入力端子との間の電位差が大きくなり、オペアンプOP1の出力電圧Vso1が増加する。
【0044】
オペアンプOP2の反転入力端子には、固定抵抗R1と抵抗器R2(充電電流制御用回路105)とのリファレンス電圧Vrefに対する分圧電圧が印加される。すなわち、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2に応じた分圧電圧が印加される。
【0045】
オペアンプOP2は、オペアンプOP1の出力電圧Vso1と充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2に応じた分圧電圧とで差動し、出力電圧Vso2を出力する。したがって、オペアンプOP1の出力電圧Vso1が増加すると、オペアンプOP2の出力電圧Vso2も増加する。
【0046】
オペアンプOP2の出力電圧Vso2が増加すると、pnp型トランジスタQ1のベース電流が減少し、pnp型トランジスタQ1のエミッタコレクタ間電圧Vce1が増加する。pnp型トランジスタQ1のエミッタコレクタ間電圧Vce1が増加すると、オペアンプOP1の非反転入力端子の電位が低下し、出力電流Ioutも低下する。
【0047】
なお、説明は省略するが、出力電流Ioutが目標電流値よりも低下すると、充電制御回路103は、上述とは逆に出力電流Ioutを増加させるように動作する。これにより、出力電流Ioutは、目標電流値で一定になるように保持される。この処理で制御される出力電流値Ioutは、以下のように表せる。
【0048】
【数1】

【0049】
なお、上式において、Gは、トランジスタQ1、オペアンプOP1,OP2によって決まる充電制御回路103のループゲインである。
【0050】
(式1)からも分かるように、充電制御回路103の出力電流値Ioutは、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2に応じて決定される。すなわち、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2を適宜設定することで、出力電流値Ioutを可変に制御することができる。
【0051】
次に、この充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2の決定動作について説明する。反転論理部154には、直流電圧V1が入力される。反転論理部154は、直流電圧V1が閾値Vcqよりも大きければLowレベル信号を発生し、直流電圧V1が閾値Vcq以下であればHiレベル信号を発生する。
【0052】
サンプルホールド部155は、Lowレベル信号からHiレベル信号に遷移すると、当該Hiレベルを維持する。半導体スイッチ素子Q2は、Lowレベル信号でオフ制御され、Hiレベル信号でオン制御される。
【0053】
半導体スイッチ素子Q2がオン制御されると、固定抵抗R2a,R2bの並列回路となり、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2は、固定抵抗R2aと、固定抵抗R2bの並列抵抗値となる。
【0054】
R2(on)=R2a*R2b/(R2a+R2b) −(式2)
一方、半導体スイッチ素子156がオフ制御されると、充電制御回路103から見れば固定抵抗R2aのみの回路となり、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2は、固定抵抗R2aの抵抗値となる。
【0055】
R2(off)=R2a −(式3)
これにより、充電電流制御用回路105は、直流電圧V1が閾値cqより高ければ固定抵抗R2aと、固定抵抗R2bの並列抵抗値を有する抵抗器として作用し、直流電圧V1が閾値Vcq以下であれば固定抵抗R2aの抵抗値を有する抵抗器として作用する。すなわち、直流電圧V1によって、抵抗値が変化する可変抵抗器となる。
【0056】
ここで、固定抵抗R2aと、固定抵抗R2bの並列抵抗値(式2に基づく抵抗値)が、固定抵抗R2aよりも低くなるように設定する。
【0057】
これにより、直流電圧V1が閾値Vcqよりも高ければ、充電制御回路103の分圧電圧は相対的に高くなり、直流電圧V1が閾値Vcq以下であれば、充電制御回路103の分圧電圧は相対的に低くなる。したがって、直流電圧V1が閾値Vcqよりも高ければ、出力電流値Ioutを高く制御でき、直流電圧V1が閾値Vcq以下であれば、出力電流値Ioutを低く制御できる。
【0058】
このような回路構成とすることで、具体的に、次のような制御を行うことができる。なお、以下では、1.0A、5.0Wの急速充電と、0.5A、5.0Wの標準充電を選択的に行う場合について示す。なお、具体的な数値は記載していないが、高い分圧電圧の場合に1.0Aの出力電流値Ioutとなり、低い分圧電圧の場合に0.5Aの出力電流値Ioutとなるように、(式1)から、リファレンス電圧Vref、固定抵抗Rs,R1、固定抵抗R2a,R2b、ゲインGが設定されている。
【0059】
まず、送電装置200が急速充電可能な場合には、直流電圧V1を印加して、出力電流値1.0Aの設定がされていても、直流電圧V1は低下しない。したがって、充電電流制御用回路105の半導体スイッチ素子Q2はオフ状態のままで変化せず、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2も変わらない。これにより、高い分圧電圧が維持される。これにより、継続的に急速充電を行うことができる。
【0060】
一方、送電装置200が急速充電の能力を有さない場合、すなわち、0.5A,5Wの充電能力しかない場合、初期状態で出力電流値Ioutを1.0Aで設定しているので、直流電圧V1が低下していく。
【0061】
直流電圧V1が低下し、閾値Vcq以下に達すると、半導体スイッチ素子Q2はオン状態になり、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2は低くなる。これにより、充電制御回路103の分圧電圧が低下し、出力電流Ioutが低下する。この結果、出力電流値Ioutを0.5Aにした状態で継続的に充電(標準充電)を行うことができる。
【0062】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いることで、送電装置200側に急速充電の能力があれば急速充電が可能であり、送電装置200側に急速充電の能力が無く、標準充電の能力しかなければ標準充電で充電可能な充電装置100を実現できる。すなわち、送電装置200側の仕様に応じて、より確実に充電可能な充電装置100を実現できる。
【0063】
このような処理を、図4のフローを用いてより分かりやすく説明する。図4は本実施形態の充電装置100の充電フローを示すフローチャートである。
【0064】
まず、充電装置100が送電装置200近傍に載置されると、電磁界結合により、送電装置100から電力供給され、充電装置100は、充電を開始する(S101)。この際、充電装置100は、急速充電仕様(高い電流値(例えば1.0A)の仕様)で充電を開始する。充電装置100は、直流電圧V1が閾値レベルVcqよりも高いレベルを継続的に維持すれば(S102:Yes)、そのまま急速充電仕様で充電を継続する(S103)。一方、充電装置100は、直流電圧V1が低下し、閾値レベルVcq以下になれば(S102:No)、上述のような充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2を低下させることで、充電電流低下制御を行う(S104)。
【0065】
充電装置100は、この充電電流低下制御後に、さらに継続的に直流電圧V1を検出し続け、直流電圧V1が閾値レベルVcqよりも高いレベルを継続的に維持すれば(S141:Yes)、そのまま標準充電仕様(低い電流値(例えば0.5A)の仕様)で充電を継続する(S105)。一方、さらに直流電圧が閾値レベルVcq以下に低下すれば(S141:Yes)、充電制御を停止し、スタンバイモードとなる(S142)。なお、スタンバイモードでは、送電装置200側から電力供給されていても充電制御部103を駆動するための電力が足りず、必然的に充電は停止するが、充電装置100から送電装置200へ送電停止の情報を送信し、送電装置200で送電停止してもよい。また、充電装置100が備えられた携帯端末に、送電装置100の不適合を示す情報を出力し、携帯端末の表示画面に当該情報を表示させてもよい。
【0066】
次に、第2の実施形態にかかる非接触充電システムについて、図を参照して説明する。図5は本実施形態に係る非接触の充電システム900Aの主要構成を示すブロック図である。本実施形態の充電システム900Aは、第1の実施形態に示した充電システム900に対して、送電装置200Aと充電装置100Aのそれぞれに認証制御部203,106をさらに設けるとともに、充電装置100Aの充電電流制御用回路105Aの構成が異なるものである。
【0067】
認証制御部203は一次側アンテナコイル201に接続し、認証制御部106は二次側アンテナコイル101に接続している。これら認証制御部203,106は、一次側アンテナコイル201と二次側アンテナコイル101とを介して、認証情報の送受信を行う。これにより、充電装置100Aが認証されたものかどうかの判別を行う。
【0068】
充電装置100Aの認証制御部106は、認証OKであればHiレベルの認証データREScを出力し、認証NGであればLowレベルの認証データREScを出力する。出力された認証データREScは、充電電流制御用回路105Aのスイッチ153Aの論理制御部154Aに入力される。論理制御部154Aには、直流電圧V1も入力される。
【0069】
論理制御部154Aは、直流電圧V1と認証データREScとに基づいて、図6に示す真理値表に則したゲート制御信号Xoを生成する。図6は、論理制御部154Aの真理値表である。図6に示すように、直流電圧V1と認証データREScとがともにHiレベルの時にのみ、ゲート制御信号XoはLowレベルになる。一方、直流電圧V1と認証データREScの少なくとも一つがLowレベルであれば、ゲート制御信号XoはHiレベルになる。論理制御部154Aのゲート制御信号Xoは、サンプルホールド部155へ出力される。
【0070】
サンプルホールド部155は、ゲート制御信号XoがLowレベルからHiレベルに遷移すると、当該Hiレベルを維持する。半導体スイッチ素子Q2は、Lowレベルでオフ制御され、Hiレベルでオン制御される。
【0071】
このような構成および処理を用いることで、認証がOKで且つ送電装置200A側に急速充電能力がある場合にのみ、充電装置100Aは急速充電を行うようにすることができる。すなわち、予め送電装置200Aに許可された充電装置100Aのみを急速充電するようにできる。なお、本実施形態では、認証がNGの場合にも標準充電できるように論理制御部154Aで制御しているが、認証がNGの場合には、認証制御部106から送電装置200Aに対して、送電停止の制御を行ってもよい。これにより、認証されていない充電装置を充電しないようにすることもできる。
【0072】
次に、第3の実施形態に係る充電システムについて、図を参照して説明する。図7は本実施形態の非接触充電システム900Bの主要構成を示すブロック図である。本実施形態の非接触充電システム900Bは、第2の実施形態の非接触充電システム900Aに対して、充電電流制御用回路105Bが異なる。
【0073】
本実施形態の充電装置100Bの充電電流制御用回路105Bは、固定抵抗R2aと半導体スイッチ素子Q2Aとの直列回路を備える。半導体スイッチ素子Q2Aのゲートには、ゲート電圧制御部157からのゲート制御信号X1が入力される。
【0074】
ゲート電圧制御部157には、認証制御部106からの認証データREScと、直流電圧V1とが入力される。ゲート電圧制御部157は、認証データREScが認証OKを示す場合に限り、直流電圧V1をモニタリングしながらゲート制御信号X1を出力する。具体的には、充電初期にはゲート制御信号X1を最低値とし、直流電圧V1が閾値Vcq以下になれば、ゲート制御信号X1を当該最低値から段階的に高くしていく。そして、直流電圧V1が継続的に閾値Vcqよりも大きくなれば、この時点でのレベルにゲート制御信号X1を固定する。なお、本実施形態では、認証データを利用しているが、第1の実施形態と同様に、直流電圧V1のみで、ゲート制御信号X1を生成してもよい。
【0075】
半導体スイッチ素子Q2Aは、与えられたゲート制御信号X1の電圧レベルに応じた可変抵抗として作用する。これにより、充電電流制御用回路105の回路抵抗値R2を連続的に変化させることができる。具体的には、回路抵抗値R2は、ゲート制御信号X1が最低値の時に最大の抵抗値となる。そして、回路抵抗値R2は、ゲート制御信号X1が高くなるにつれて低くなる。これにより、上述の充電制御回路103の構成および処理から、徐々に出力電流値Ioutは、低下していく。そして、直流電圧V1が安定し、ゲート制御信号X1が固定されると、当該レベルに応じた回路抵抗値R2となる。これにより、当該固定された回路抵抗値R2に応じた出力電流値Ioutに安定する。
【0076】
これにより、直流電圧V1が所定値で維持できる最大電流値となるように、出力電流値Ioutを制御することができる。
【0077】
このような処理を、図8のフローを用いてより分かりやすく説明する。図8は本実施形態の充電装置100Bの充電フローを示すフローチャートである。
【0078】
まず、充電装置100Bが送電装置200A近傍に載置されると、電磁界結合により、送電装置100Aから電力供給され、充電装置100Bは、充電を開始する(S301)。この際、充電装置100Bは、自装置が制御可能な最速の充電仕様(最大電流値の仕様)で充電を開始する。充電装置100Bは、直流電圧V1が閾値レベルVcqよりも高いレベルを継続的に維持すれば(S302:Yes)、そのままの仕様(最速の充電仕様)で充電を継続する(S303)。
【0079】
一方、充電装置100Bは、直流電圧V1が低下し、閾値レベルVcq以下になり(S302:No)、且つ、ゲート制御信号X1のレベルVgs2がオン制御閾値Vonthに達していなければ(S304:Yes)、充電電流制御用回路105Bの回路抵抗値R2を低下させることで、充電電流低下制御を行う(S305→S302)。
【0080】
充電装置100Bは、この充電電流低下制御後に、さらに継続的に直流電圧V1を検出し続け、直流電圧V1が閾値レベルVcqよりも高いレベルを継続的に維持すれば(S302:Yes)、一段階の充電電流低下制御後の状態で充電を継続する(S303)。
【0081】
一方、直流電圧がさらに閾値レベルVcq以下に低下し(S302:No)、且つ、ゲート制御信号X1のレベルVgs2がオン制御閾値Vonthに達していなければ(S304:Yes)、さらに充電電流を低下させる制御を行う(S305→S302)。
【0082】
充電装置100Bは、このような充電電流の低下制御を、直流電圧V1が閾値Vcq以上で継続的に維持されるまで、連続的に実行する。これにより、充電可能な最大電流値で継続的に充電ができるように、制御することができる。
【0083】
ただし、ゲート制御信号X1のレベルVgs2がオン制御閾値Vonthに達すると(S304:No)、これ以上の電流低下制御はできないので、充電制御を停止し、スタンバイモードとなる(S306)。スタンバイモードでは、第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0084】
以上のような構成および処理を用いることで、送電装置の送電能力に応じて可能な限り高い電流値で、確実に充電することができる。
【0085】
なお、上述の各実施形態では、非接触充電システムを例に説明しているが、当該技術を接触型の充電システムに適用することもできる。
【0086】
また、上述の実施形態では、半導体スイッチ素子Q2,Q2Aを可変抵抗とする例を示したが、電子ボリューム等の、制御信号の印加により抵抗が可変する可変抵抗素子として機能する他の素子を用いてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、整流平滑後の直流電圧V1を検出して利用する例を示したが、整流前や整流後で平滑前の電圧値を検出して利用してもよい。この場合、整流後であれば、所定時間長の電圧レベルを検出し、これらの電圧レベルを平均処理すればよい。また整流前であれば、絶対値化した後に電圧レベルの平均処理を行えばよい。
【0088】
また、上述の説明では、サンプルホールド部155のリセットタイミングについて、詳細を記載していないが、例えば、充電が新規に開始されるタイミングや、予め設定した時間間隔にリセットを行うことができる。これにより、例えば、標準充電仕様に切り替わった後に、急速充電が可能な状況となった場合でも、急速充電仕様で充電が可能になる。具体的な例であれば、標準充電仕様の送電装置で充電していたが、急速充電仕様の送電装置に換えた場合や、急速充電仕様であっても充電装置の載置の仕方が悪く、標準充電仕様でした充電できなかった状況から、充電装置を置き直し、急速充電が可能になった場合などに対応できる。
【符号の説明】
【0089】
900,900A,900B−充電システム、100,100A,100B−充電装置、101−二次側アンテナコイル、102−整流回路、103−充電制御回路、104−二次電池、105,105A,105B−充電電流制御用回路、153−スイッチ、154−反転論理部、155−サンプルホールド部、106−認証制御部、200,200A−送電装置、200−一次側アンテナコイル、202−送信側ドライバ回路、203−認証制御部、300−ACアダプタ、R1,R2a,R2b,Rs,Rb−固定抵抗、Q2,Q2A−半導体スイッチ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電力供給を受け、充電用電圧を発生する受電部と、
該充電用電圧に基づいて、二次電池へ定電流を供給する充電制御部と、
前記充電用電圧の電圧値に基づいて、前記充電制御部が供給する前記定電流の電流値を制御する充電電流制御用回路と、
を備えた、充電装置。
【請求項2】
前記充電電流制御用回路は、前記定電流の電流値の基準となる分圧電圧を決定する回路であり、
前記充電用電圧に基づいて該分圧電圧を決定する回路の回路抵抗を可変とする回路構成からなる、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記充電電流制御用回路は、複数の抵抗素子とスイッチ素子とを備え、該スイッチ素子を前記充電用電圧に基づいてオンオフ制御することにより、前記回路抵抗の値を可変させる請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記充電電流制御用回路は、前記充電用電圧に基づいて抵抗値を変化させる可変抵抗素子を備える請求項2に記載の充電装置。
【請求項5】
前記受電部は外部結合用コイルを備える、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項6】
所定の電力を一次コイルから送電する送電装置と、該一次コイルに結合する二次コイルを備え、前記電力を受電して二次電池を充電する充電装置と、を備えた充電システムであって、
前記充電装置は、
前記二次コイルで得た供給電力から充電用電圧を発生する受電部と、
該充電用電圧に基づいて、前記二次電池へ定電流を供給する充電制御部と、
前記充電用電圧の電圧値に基づいて、前記充電制御部が供給する前記定電流の電流値を制御する充電電流制御用回路と、
を備える、充電システム。
【請求項7】
前記充電電流制御用回路は、前記定電流の電流値の基準となる分圧電圧を決定する回路であり、
前記充電用電圧に基づいて該分圧電圧を決定する回路の回路抵抗を可変とする回路構成からなる、請求項6に記載の充電システム。
【請求項8】
前記充電電流制御用回路は、複数の抵抗素子とスイッチ素子とを備え、該スイッチ素子を前記充電用電圧に基づいてオンオフ制御することにより、前記回路抵抗の値を可変させる請求項7に記載の充電システム。
【請求項9】
前記充電電流制御用回路は、前記充電用電圧に基づいて抵抗値を変化させる可変抵抗素子を備える請求項7に記載の充電システム。
【請求項10】
前記送電装置は一次側認証制御部を備え、
前記充電装置は二次側認証制御部を備え、
前記二次側認証制御部は、前記一次側認証制御部との間での認証結果を前記充電電流制御用回路へ出力し、
前記充電電流制御用回路は、前記認証結果と前記充電用電圧とに基づいて前記制御を行う、請求項6〜請求項9のいずれかに記載の充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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