説明

光を偏向する標識用基材

光偏向基材は、後方主面、及び後方主面の反対側の前方主面を備える。後方主面は光反射領域及び光透過領域を有する。前方主面は複数のレンチキュラーレンズ要素を有する。グラフィック画像が、光偏向基材上又は光偏向基材内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在使用されている照明標識技術の主な方式には多くのものがある。第1の方式は、投光照明などの外部光源によって照らされる、表面塗装された標識であり、光源は標識に対して一般的に鋭角で配置される。光エネルギーは、a)標識の表面全体(メッセージのみでなく)が照らされ、b)反射された光のかなりの割合が観測者に届かずに空又は地上へと漏れてしまうために浪費される。
【0002】
照明標識の第2の方式は、光源が半透明の表面(標識に構造的支持を与えうる)の背後に置かれる照明ボックス型標識であり、メッセージは半透明表面バックグラウンドとコントラストをなす文字で半透明表面上に書かれる。示されるべき文字のみが照らされる場合とは対照的に、バックグラウンドを含めた標識の面全体に均等な発光放射を与えるような光エネルギーが発生される。光は上方を含めた全方向に標識から出射するため、発生された光のわずかな部分のみしか観測者の眼に届かないことから、エネルギーが浪費され、相当量の光害を引き起こす。
【0003】
照明標識の第3の方式としては、それ自体が標識のメッセージを描く光源を備える標識がある。ネオンサイン、露出した白熱フィラメントランプ標識、及びチャンネル文字がこの技術の例である。これらの標識は点灯されていない場合には見えにくく(文字又は記号の下に塗料が塗られていないかぎり)、メッセージを伝えるうえで完全に照明に頼ったものである。これらの標識は顧客に応じて特別に作製されるため、製造、作動、及び維持のコストが嵩み、寿命が短く、壊れやすく、白熱灯方式ではエネルギーの浪費が大きい。
【0004】
照明標識の第4の方式としては、LEDマトリクス標識がある。LED技術は、変化するメッセージ標識を生成する目的で利用されている。これらの動的なメッセージ標識はコンピュータ制御されており、関心及び注意を惹く標識を与えるものであり、変化するメッセージを必要とする照明標識の解決策となるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ほとんどの照明標識は固定されたメッセージのものであり、こうした標識は初期費用が高く、作動及び維持のコストが嵩む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、エネルギー効率の高い照明標識に関する。詳細には、本開示は、光を観測者の方向に選択的に偏向する光コリメート基材を備える標識に関する。
【0007】
例示的な一実施形態において、光偏向基材は、後方主面、及び後方主面の反対側の前方主面を備える。後方主面は光反射領域及び光透過領域を有する。前方主面は複数のレンチキュラーレンズ要素を有する。グラフィック画像が、光偏向基材上又は光偏向基材内に配置される。
【0008】
これらの機構及び利点、並びに様々な他の機構及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の様々な実施形態についての以下の詳細な説明を添付の図面と併せて考慮することによって本開示のより完全な理解がなされうる。
【図1】例示的な照明標識の分解概略斜視図。
【図2】例示的な照明標識の概略断面図。
【図3】例示的な光偏向基材の概略断面図。
【図4A】光透過領域がレンズ要素の背面の凹部であるような例示的なレンズ要素の概略断面図。
【図4B】光透過領域がレンズ要素の背面からの凸部であるような別の例示的なレンズ要素の概略断面図。
【図5A】例示的な光偏向基材から光を直接コリメートする例示的な光偏向基材の概略側面図。
【図5B】例示的な光偏向基材から光を所定の角度でコリメートする例示的な光偏向基材の概略側面図。
【図6A】グラフィック画像がレンチキュラーレンズ要素に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図。
【図6B】グラフィック画像がレンズ要素の背面に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図。
【図7A】グラフィック画像がレンズ要素の背面に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図。
【図7B】グラフィック画像がレンズ要素の背面に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図。
【図8A】グラフィック画像がレンズ要素の背面に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図。
【図8B】グラフィック画像がレンズ要素の背面に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図。
【0010】
図面の縮尺は必ずしも正確ではない。図中、用いられる同様の数字は、同様の要素を示す。しかしながら、特定の図中のある要素を示す数字の使用は、同じ数字によって示される別の図中のその要素を限定するものではないことは理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明文においては、本明細書の一部を構成し、複数の特定の実施形態を例として示す一連の添付図面を参照する。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施されうる点は理解されるはずである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0012】
特に断らないかぎり、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用される構造のサイズ、量、及び物理的特性を表わす数字はすべて、いずれの場合においても「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されないかぎり、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値的パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて得ようとするところの所望の特性に応じて変化しうる近似的な値である。
【0013】
内容によってそうでないことが明らかに示されないかぎり、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「an」、及び「the」には、複数の指示対象を有する実施形態が含まれる。内容によってそうでないことが明らかに示されないかぎり、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの「又は」なる語は、「及び/又は」を含めた意味で広く用いられる。
【0014】
これらに限定されるものではないが、「下側」、「上側」、「下」、「下方」、「上方」、及び「〜の上」などの空間的に関連した語は、本明細書において用いられる場合、ある要素の別の要素に対する空間的関係を述べるうえで説明を容易にする目的で用いられる。このような空間的に関連した語には、図に示され、本明細書に述べられる特定の向き以外に、使用又は作動中の装置の異なる向きが含まれる。例えば、図に示されるセルが反転又は裏返されるならば、その前には他の要素の下方又は下として述べられた部分は、これらの他の要素の上となるであろう。
【0015】
本明細書での使用において、ある要素、部材若しくは層が、例えば別の要素、部材若しくは層の「上にある」、これらと「接続される」、「結合される」、若しくは「接触する」として述べられる場合、その要素、部材若しくは層は、例えば、特定の要素、部材若しくは層の直接上にあるか、これらと直接接続されるか、直接結合されるか、直接接触してよく、又は介在する要素、部材若しくは層が特定の要素、部材若しくは層の上にあるか、これらと接続されるか、結合されるか、若しくは接触しうる。例えば、ある要素、部材又は層が、別の要素の「直接上にある」、別の要素に「直接接続される」、「直接結合する」、又は「直接接触する」で始まる表現で表される場合、介在する要素、部材又は層は存在しない。
【0016】
「グラフィック画像」なる用語には、一様な色彩面(solid color field)、事物の画像(likeness of something)(1以上の色を含みうる)、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0017】
本開示は、エネルギー効率の高い照明標識に関する。詳細には、本開示は、光を観測者の方向に選択的に偏向する光コリメート基材を備える標識に関する。光コリメート基材は、レンチキュラーコリメートレンズと位置合わせされた光透過窓、及び各光透過窓の間の光反射領域を有している。照明標識を出射する光の角度分布は、レンズの幾何形状、並びにレンズの焦点に対する光透過窓のサイズ及び位置によって決定される。各光透過窓の間の光コリメート基材の内面に入射する光はほぼ反射され、照明標識の封入構造の内部で再利用されてから、光透過窓の表面に入射して、光コリメート基材を通って伝播する。このようにして、照明標識によって放射された光は、制御された輝度の角度分布に適合する。これらの照明標識は、照明が望ましくない場所(例えば、「光害」の低減)では低い輝度を、照明が望ましい場所(例えば、標識の観測者に対して)では高い輝度を、更に/又は、高い放射の空間的均一性を示す。本開示はそのように限定されるものではないが、以下に示す例の考察を通じて本開示の様々な態様の認識が得られるであろう。
【0018】
図1は、例示的な照明標識10の分解概略斜視図である。図2は、例示的な照明標識10の概略断面図である。照明標識10は、封入構造30、及び封入構造30の内部に配置された光源40を備える。封入構造30は、光反射面32、33及び発光面34を有する。多くの実施形態において、封入構造30は、側面33及び背面32を有する光箱を構成する。いくつかの実施形態において、背面は完全反射性である。いくつかの実施形態において、背面32は、図2に示されるような第2の発光面24を有し、両面照明標識を構成する。
【0019】
光反射面32、33は任意の有用な光反射材料で形成することが可能であり、光効率を最大とするうえで極めて効率的でありうる。多くの実施形態において、光反射面32、33は、少なくとも90%の効率、又は少なくとも95%の効率である。いくつかの実施形態において、光反射面32、33は、反射フィルム又はミラーフィルムであってよい。市販の反射フィルムの1つに、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)からLight Enhancement Filmの商品名で販売されるものがある。光反射面32、33は、拡散反射性又は正反射性であってよい。拡散反射面は、白色塗料又はTiO粒子を含む材料であってよい。
【0020】
光源40は、任意の有用な光源40であってよい。いくつかの実施形態において、光源40は蛍光灯管である。いくつかの実施形態において、光源40は、例えば発光ダイオードなどの固体素子である。
【0021】
光偏向基材20は、発光面34の少なくとも一部を形成している。光偏向基材20は自立式であってよく、構造的要素を形成しうる(例えば、照明標識10の前面又は後面)。多くの実施形態において、光偏向基材20は2500マイクロメートル以上の厚さを有しうる。光偏向基材20は、封入構造30の内面の一部を形成する後方主面25を備える。後方主面25は、光反射領域26及び光透過領域27を有している。各光反射領域26は各光透過領域27を分離している。前方主面34が後方主面25の反対側にある。前面34は、複数のレンチキュラーレンズ要素22を有している。光透過領域27は、レンチキュラーレンズ要素22の焦点上又はその近傍に配置することができ、光反射領域26が後方主面25の残りの領域を占めてよい。
【0022】
図2は、第2の光偏向基材21を備える照明標識の一実施形態を示す。第2の光偏向基材21は、封入構造30の内面の一部を形成する後方主面32を備える。後方主面32は、光反射領域28及び光透過領域29を有する。各光反射領域28は各光透過領域29を分離している。前方主面24が後方主面32の反対側にある。前面24は、複数のレンチキュラーレンズ要素23を有している。
【0023】
多くの実施形態において、レンチキュラーレンズ要素22、23は、図1に示されるように光偏向基材の所定の長さにわたって同一の拡がりを有する直線状のレンチキュラーレンズ要素22、23である。レンチキュラーレンズ要素22、23は任意の有用なレンズ幅を有しうる。多くの実施形態において、レンチキュラーレンズ要素22、23は1mm以上のレンズ幅を有する。
【0024】
グラフィック画像50、51が、照明標識10の多くの実施形態に含まれる。グラフィック画像50、51は、光偏向基材20、21の内部又は光偏向基材20、21に隣接する任意の有用な位置に配置することができる。図2は、光反射領域26、28とレンチキュラーレンズ要素22、23との間、又は後方主面25、32上に配置されたグラフィック画像50、51を示す。光反射領域26、28は、光を封入構造30内へと反射すると同時に、封入構造の外部からの光を前方主面34、24を介して反射する。したがって、グラフィック画像は、標識が封入構造30の内部から照らされる場合、及び、標識10上に入射する外部光(例えば、日光など)によって照らされる場合に観測者に見えることになる。
【0025】
図3は、例示的な光偏向基材20の概略断面図である。光偏向基材20は、レンチキュラーレンズ要素22、及び対応するレンチキュラーレンズ要素22の焦点上又はその近傍に整列又は位置合わせされた光透過領域27を有している。各光反射領域26は、各光透過領域27を分離する残りの領域を占めている。光反射領域26は、任意の有用な光反射(拡散性又は正反射性)材料で形成することができる。多くの実施形態において、光反射領域26は、少なくとも90%の効率、又は少なくとも95%の効率である。いくつかの実施形態において、光反射領域26は、反射フィルム又はミラーフィルムであってよい。市販の反射フィルムの1つに、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)からLight Enhancement Filmの商品名で販売されるものがある。光反射領域26は、拡散反射性又は正反射性であってよい。拡散反射面は、白色塗料又はTiO粒子を含む材料であってよい。
【0026】
光偏向基材20は、任意の有用な厚さTを有してよい。多くの実施形態において、光偏向基材20は自立式であり、照明標識の前方構造要素を形成しうる。これらの実施形態において、光偏向基材20は2500マイクロメートル以上の厚さを有する。レンチキュラーレンズ要素22は、任意の有用なレンズ幅Wを有しうる。多くの実施形態において、レンチキュラーレンズ要素22は1mm以上のレンズ幅Wを有する。光偏向基材20は、任意の有用な光透過材料で形成することができる。
【0027】
図4Aは、光透過領域27がレンズ要素21の背面の凹部であるような例示的なレンズ要素21の概略断面図である。図4Bは、光透過領域27がレンズ要素21の背面からの凸部であるような別の例示的なレンズ要素21の概略断面図である。これらの実施形態はいずれも一体構造として形成することが可能であり、光反射領域をこの一体構造上に適用又は形成することができる。いくつかの実施形態において、図4Bの凹部を光反射材料で充填することができる。
【0028】
図5Aは、例示的な光偏向基材20から光60を直接コリメートする例示的な光偏向基材20の概略側面図である。光透過領域27はレンチキュラーレンズ要素22の焦点上又はその近傍に整列され、封入構造の内部の光源40からの光60を光偏向基材20から垂直方向に外部に偏向する。
【0029】
図5Bは、例示的な光偏向基材20から光61を角度θでコリメートする例示的な光偏向基材20の概略側面図である。光61はコリメートされ、光偏向基材20の前面34から90°未満の角度で光偏向基材20から放射される。光透過領域27はレンチキュラーレンズ要素22から偏倚しており、封入構造の内部の光源40からの光60を光偏向基材20から「下向きに」偏向する。この実施形態は、照明標識からの「光害」を低減するうえで特に有用である。これにより、光は典型的な地上の観測者から遠ざかる「上向き」には偏向されない。光透過領域27の幅を変えることにより視角が変わり、光透過領域27の位置を変えることにより視角を調節することができる。
【0030】
図6Aは、グラフィック画像50がレンチキュラーレンズ要素22に隣接している例示的な光偏向基材20の概略断面図である。この実施形態は、外部装飾型標識として分類することができる。グラフィック画像50は、光透過基材54上に配置し、かつレンチキュラーレンズ要素22に隣接して配置することができる。光透過基材54の外側又は前方主面34は、光偏向基材20の発光面又は前方主面34である。反対側の後方主面25は、上記に述べたような光反射領域26及び光透過領域27を有している。各光反射領域26は、突出した各光透過領域27を分離する凹部を形成している。光反射領域26は、上記に述べたように光反射材料で充填することができる。グラフィック画像50は、照明標識が封入構造の内部から照らされる場合、及び外部光が光偏向基材20上に入射するが照明標識の内部の光源によっては照らされない場合に観測者に見える。
【0031】
図6Bは、グラフィック画像50がレンズ要素の背面25に隣接している例示的な光偏向基材20の概略断面図である。この実施形態は、埋め込み装飾型標識として分類することができる。グラフィック画像50は、光偏向基材20の後方主面25上に配置し、かつ光反射領域26と光透過領域27との間に配置することができる。この実施形態において、装飾又はグラフィック画像50は、光透過領域27及び光反射領域26を含む、光偏向基材20の後方主面25の全体を覆うことができる。各光反射領域26は、突出した各光透過領域27を分離する凹部を形成している。光反射領域26は、上記に述べたように光反射材料で充填することができる。グラフィック画像50は、照明標識が封入構造の内部から照らされる場合、及び外部光が光偏向基材20上に入射するが照明標識の内部の光源によっては照らされない場合に観測者に見える。
【0032】
図7A及び図7Bは、グラフィック画像50がレンズ要素の背面25に隣接している例示的な光偏向基材20の概略断面図である。レンズ要素の背面25は、レンズ要素の背面25から突出する光透過領域27、及び各光透過領域27の間に凹部を形成する光反射領域26を有するように形成されている。これらの凹部は光反射材料で充填される。
【0033】
図に示される実施形態において、パターン形成されたリフレクタ要素がレンズ要素の背面25に適用されることによって、凹部を充填するとともに光反射領域26を形成している。グラフィック画像50は、パターン形成されたリフレクタ要素上に配置される。パターン形成されたリフレクタ要素は、図に示されるようにレンズ要素の背面25と相補的であり、レンズ要素の背面25と嵌合する複数の凸部及び凹部を有している。多くの実施形態において、パターン形成されたリフレクタ要素はエラストマー材料で形成される。低屈折率コーティング材料52をレンズ要素の背面25上に配置することによって、システムの性能を向上させることができる。図7Bは、システムの性能を向上させるために、光透過領域27と、グラフィック画像50及びパターン形成されたリフレクタ要素との間に空気間隙56が追加された状態を示す。
【0034】
図8A及び図8Bは、グラフィック画像がレンズ要素の背面に隣接している例示的な光偏向基材の概略断面図である。レンズ要素の背面25は、レンズ要素の背面25内に陥凹する光透過領域27、及びレンズ要素の背面25から突出し、各光透過領域27を分離する光反射領域26を有するように形成されている。これらの凹部は光透過材料で充填され、光反射領域26は上記に述べたように光反射材料を含んでいる。
【0035】
図に示される実施形態において、パターン形成されたリフレクタ要素がレンズ要素の背面25に適用されることによって、凹部を充填するとともに光反射領域26を形成している。グラフィック画像50は、パターン形成されたリフレクタ要素上に配置される。パターン形成されたリフレクタ要素は、図に示されるようにレンズ要素の背面25と相補的であり、レンズ要素の背面25と嵌合する複数の凸部及び凹部を有している。多くの実施形態において、パターン形成されたリフレクタ要素はエラストマー材料で形成される。低屈折率の反射コーティング材料52が、レンズ要素の背面25上に配置される。いくつかの実施形態において、低屈折率の反射コーティング材料52は、光透過領域27上にのみ配置される。図8Bは、光透過領域27と、グラフィック画像50及びパターン形成されたリフレクタ要素との間に空気間隙56が追加された状態を示す。
【0036】
第1の照明標識が従来のグラフィックを有する拡散性の前方基材を備え、第2の照明標識がグラフィックを有する光偏向前方基材を備える点以外は、同じ2個の照明標識を構成した。平均の輝度を特定の視認位置で測定した。グラフィックを有する光偏向前方基材を備えた照明標識は、グラフィックを有する従来の拡散性の前方基材を備えた照明標識よりも3倍以上明るい平均輝度を有していた。
【0037】
以上、光偏向標識基材の実施形態を開示した。上記の実施形態及び他の実施形態は以下の「特許請求の範囲」の範囲内である。本開示が、開示されたもの以外の実施形態によって実施されうる点は当業者であれば認識されるであろう。開示された実施形態は、例示の目的で提示されたものであって、限定的なものではなく、本発明は以下の「特許請求の範囲」によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光偏向基材であって、
光反射領域及び光透過領域を有する後方主面と、
複数のレンチキュラーレンズ要素を有する、前記後方主面の反対側の前方主面と、
前記光偏向基材上又は前記光偏向基材内に配置されたグラフィック画像と、を備える、光偏向基材。
【請求項2】
前記グラフィック画像が、前記前方主面上又は前記前方主面に隣接して配置される、請求項1に記載の光偏向基材。
【請求項3】
前記グラフィック画像が、前記後方主面上又は前記後方主面に隣接して配置される、請求項1又は2に記載の光偏向基材。
【請求項4】
前記グラフィック画像が、前記前方主面と前記後方主面との間に配置される、請求項1又は2に記載の光偏向基材。
【請求項5】
前記複数のレンチキュラーレンズ要素が、前記光偏向基材の所定の長さにわたって同一の拡がりを有する直線状のレンチキュラーレンズ要素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項6】
前記レンチキュラーレンズ要素が、前記光偏向基材の所定の長さにわたって同一の拡がりを有する所定の長さ、及び、1mmよりも大きい幅を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項7】
前記光透過領域が、前記レンチキュラーレンズ要素と位置合わせされている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項8】
前記光反射領域が前記後方主面からの光を反射し、更に前記前方主面を介して光を反射する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項9】
前記光透過領域が、2500マイクロメートルよりも大きい厚さを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項10】
光偏向基材であって、
複数のレンチキュラーレンズ要素を有する前面、及び反対側の後面を有するレンズ要素と、
前記後面に隣接するパターン形成リフレクタであって、光反射領域、及び前記複数のレンチキュラーレンズ要素と位置合わせされた光透過領域を有する、パターン形成リフレクタと、
前記後面と前記パターン形成リフレクタとの間に配置されたグラフィック画像と、を備える、光偏向基材。
【請求項11】
前記パターン形成リフレクタが、エラストマー材料を含む、請求項10に記載の光偏向基材。
【請求項12】
前記後面が複数の凹部を有し、前記パターン形成リフレクタが、前記複数の凹部と嵌合するように構成された複数の凸部を有する、請求項10又は11に記載の光偏向基材。
【請求項13】
前記後面上に低屈折率コーティングが配置される、請求項10〜12のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項14】
前記グラフィック画像及び前記後面の一部が空気間隙によって分離される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の光偏向基材。
【請求項15】
照明標識であって、
光反射面及び発光面を有する封入構造と、
前記封入構造の内部に配置された光源と、
前記発光面の少なくとも一部を形成する自立式の光偏向基材であって、
複数のレンチキュラーレンズ要素を有する前面、及び反対側の後面を有するレンズ要素と、
前記封入構造の内面の一部を形成する、前記後面に隣接するパターン形成リフレクタであって、前記後面が光反射領域及び光透過領域を有し、前記光反射領域又は前記光透過領域が前記後方主面に凹部を形成する、パターン形成リフレクタと、
複数のレンチキュラーレンズ要素を有する、前記後面の反対側の前方主面と、を有する、光偏向基材と、
前記光偏向基材上又は前記光偏向基材内に配置されたグラフィック画像と、を備える、照明標識。
【請求項16】
前記光反射領域が前記封入構造内に光を反射し、更に前記前方主面を介して光を反射する、請求項15に記載の照明標識。
【請求項17】
前記光源が光を放射する場合、及び前記光源が光を放射しない場合に前記グラフィック画像が眼に見える、請求項16に記載の照明標識。
【請求項18】
前記グラフィック画像が、前記前方主面上又は前記前方主面に隣接して配置される、請求項15〜17のいずれか一項に記載の照明標識。
【請求項19】
前記グラフィック画像が、前記後方主面上又は前記後方主面に隣接して配置される、請求項15〜18のいずれか一項に記載の照明標識。
【請求項20】
前記グラフィック画像が、前記前方主面と前記後方主面との間に配置される、請求項15〜19のいずれか一項に記載の照明標識。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2013−516646(P2013−516646A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547116(P2012−547116)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060788
【国際公開番号】WO2011/090625
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】