説明

光を発光反応から消失させる二重酵素アッセイの方法及びキット

本発明は、光学反応、例えば酵素媒介発光反応を消失させる試薬を利用した一重及び二重リポーター発光アッセイに関するものである。本発明の一実施形態では、以降の異なる酵素媒介発光反応に影響を及ぼすことなく第1の酵素媒介発光反応を選択的に消光する試薬をアッセイに加える。1つ又は複数の選択的消光試薬を含むアッセイキット、及びこのような消光試薬を含む組成物も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2003年2月12日に出願の米国特許出願第60/447065号の出願日の権益を主張し、その開示内容を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、酵素媒介一重及び二重光学リポーターアッセイ、並びに1つ又は複数の光学反応を消失させる試薬に関する。例えば、本発明は少なくとも1つの酵素を利用する発光アッセイ及び1つ又は複数の消光試薬に関する。
【背景技術】
【0003】
発光は、ある種の生物ではルシフェラーゼ媒介酸化反応の結果として起こる。多種多様な非常に異なる生物種からのルシフェラーゼ遺伝子、特にPhotinus pyralis(北アメリカに多い蛍)、Pyrophorus plagiophthalamus(ジャマイカのコメツキムシ)、Renilla reniformis(ウミシイタケ)及びいくつかの細菌、例えばキセノラブドゥスルミネセンス(Xenorhabdus luminescens)及びビブリオ(Vibrio)種のルシフェラーゼ遺伝子は、極めて有名な発光リポーター遺伝子である。蛍ルシフェラーゼはまたATP濃度の一般的なリポーターであり、その役割で、バイオマスを検出するために広く使われている。発光はまた、他の酵素とある種の合成基質、例えばアルカリホスファターゼとアダマンチルジオキセタン、又はワサビペルオキシダーゼとルミノールとが混合されたときにも起こる。
【0004】
ルシフェラーゼ遺伝子は、非放射性で、感度が高く、極めて広い直線的な発光アッセイ範囲を有するため、遺伝子リポーターとして広く使われている。例えば、わずか10−20モルの蛍ルシフェラーゼを検出することができる。その結果、遺伝子活性のルシフェラーゼアッセイは、原核及び真核の細胞培養、トランスジェニック動植物及び無細胞発現系を含む実質的にあらゆる実験生物系で使われる。同様に、ATPのルシフェラーゼアッセイは感度が高く、10−16モル以下の検出が可能である。
【0005】
ルシフェラーゼはルシフェリンと呼ばれている酵素特異的基質の酸化を介して光を発生する。蛍ルシフェラーゼ及び他の全ての甲虫ルシフェラーゼでは、発光はマグネシウムイオン、酸素及びATPの存在下で起こる。Renillaルシフェラーゼを含む花虫綱のルシフェラーゼでは、ルシフェリンと共に酸素のみが必要である。通常、遺伝的活性の発光アッセイにおいては、反応基質及び他の発光活性化剤が、リポーター酵素の発現が疑われる生物系に導入される。その結果、もし発光が生じれば、その発光はルミノメーター又は任意の適当な放射エネルギー測定器を使って測定される。このアッセイは非常に迅速で感度が高く、迅速且つ容易に遺伝子発現データを提供し、放射性試薬を必要としない。遺伝的活性以外のためのリポーターアッセイは、同様に実施される。
【0006】
蛍ルシフェラーゼを使う従来の遺伝活性アッセイは、アッセイ用試薬にコエンザイムA(CoA)を含ませて酵素ターンオーバーを大きくし、それにより発光強度を高めることにより更に改善されている(米国特許第5283179号)。この試薬を使うと、ルシフェラーゼ活性はルミノメーター又はシンチレーションカウンターで容易に測定することができる。コエンザイムAを追加して持続発光を起こすように改変されたルシフェラーゼ反応は、遺伝子組み換え細胞又は組織におけるルシフェラーゼ発現を定量化するための極めて感度が高く迅速なアッセイを提供する。
【0007】
1つの発光サンプルからの屈折光は、透明マルチウェルの連続したウェル中の発光サンプルからのシグナルを後に測定するときに妨害となるかもしれない。更に、単一の透明なプラスティックプレート内の複数の発光サンプルから発散している屈折光の蓄積特性の点で、第1のサンプルウェルの発光シグナルは正確に測定することができるが、後続のウェルにおける発光反応の連続的活性化は、前の全てのサンプルからプラスチックを通過してくる屈折光子の蓄積的発光のために、だんだん不正確な測定をもたらす。この屈折光又は「屈折性クロストーク」の問題は、明るく発光するウェルが発光のない陰性対照ウェルに隣接する場合、或いは、明るく照らされたウェルが比較的薄暗いウェルの近くにあるときには更に悪化する。このことは、透明なマルチウェルプレートでの絶対値及びベースライン発光の測定を非常に困難にする。
【0008】
白いプラスチック製の不透明なプレートは透明なプレートよりも高い発光感度を生じさせることができるが、光子は隣接ウェルから容易に拡散し、同じくウェル間のクロストーク干渉をもたらす。ここでのクロストークは「反射クロストーク」と称される。更に、当初蛍光用を目的とした黒色96穴プレートは、そのプラスチックの非反射特性のためにサンプルからの信号が非常に減殺されるので発光用には理想的でない。更に、不透明なプレートはそれを通して培養細胞を観察又は撮影することができず、またこのようなプレートは細胞の接着及び増殖特性に未知の影響を及ぼすので、培養細胞には不向きである。
【0009】
ルシフェラーゼは、蛍ルシフェラーゼ、Renillaルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)、β−グルクロニダーゼ(GUS)並びに様々なホスファターゼ、例えば分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)及びウテロフェリン(Uf;酸性ホスファターゼ)などのいくつかのリポーターの1つであり、これらは、組み合わせられ、遺伝活性のコリポーターとして使われる。二重酵素リポーター系は、1つの系における個々の2つのリポーター酵素の同時使用、発現及び測定に関するものである。遺伝子リポーティングにおいては、二重リポーターアッセイは特に2つの異なるリポーター遺伝子を同時に発現するように遺伝子操作された個々の細胞又は細胞集団(例えば、培養内に分散した細胞、分離した組織又は動物全体)でのアッセイに役立つ。ほとんどの場合、1つの遺伝子の活性は特異的な実験条件の影響を報告するが、第2のリポーター遺伝子の活性は全てのセットの実験値が正規化されるような内部標準を提供する。二重酵素リポーター技術は、実験用及び対照リポーター酵素をコードしている独立した遺伝材料の無細胞再構成系、例えば同時翻訳又は共役転写及び翻訳のために導入された細胞溶解物でも使用することができる。イムノアッセイは、同様に単一のサンプルからの実験値と対照値の両方の二重リポーティングのために設計することもできる。
【0010】
いかなる二重酵素リポーターアッセイのパフォーマンスも、構成酵素の化学的特性及び得られたそれぞれのデータセットを相関させる能力によって制限される。様々なリポーター酵素の酵素反応速度論、アッセイ化学及びインキュベーション要件は異なるので、2つのリポーター酵素を、単一の試験管又はウェルで統合した二重リポーターアッセイ形式で組み合わせることを困難にする。二重リポーターアッセイの統合のための1つの方法が米国特許第5744320号に記載されており、そこでは甲虫若しくはRenillaのルシフェラーゼアッセイのための詳細な一般的若しくは特異的な消光剤が開示され、また蛍ルシフェラーゼ、次いでRenillaルシフェラーゼからの発光を連続して測定するための好的な二重リポーターアッセイが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、酵素媒介発光反応又は一連の酵素媒介発光反応をアッセイする方法で用いる更なる発光消失剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第一の発光リポーターによって発生した光を消失(quench)(減少、抑制、又は除去)させて、その後に第2の発光リポーターシグナルを測定できるようにする組成物及び方法を対象とする。そのような方法は、発光反応の特性や反応が測定される順番に関係なく、発光反応の様々な組合せを非常に柔軟に多重化することを可能にする。従って、本発明は、第1の酵素媒介発光反応を迅速且つ効率的に(例えば選択的に)消失させる1つ又は複数の試薬を用いる、発光アッセイのための組成物及び方法を含む。本発明の方法及び組成物で用いられる好ましい選択的消光試薬としては、それらに限定されないが、第1の酵素の基質類似阻害剤、例えば、その酵素の本来の基質(即ち、その酵素の天然基質)と構造的に類似してその酵素を阻害するもの、及び/又は酵素の活性部位をめぐって発光基質と競合するもの(競合阻害剤);隔離剤、例えば、第1の酵素の基質を第1の酵素から物理的に分離する物質(このような物質は例えば、第1の基質若しくは第1の酵素をミセルに入れて物理的に分離するか、又は第1の基質若しくは第1の酵素の溶解性を変化させることにより発光をもたらす第1の基質と第1の酵素間の相互作用を抑制するが、第2の異なる酵素とその対応する基質との間の反応を実質上変化させない);全ての酵素媒介反応ではないが少なくとも1つの酵素媒介発光反応によって発される光の色を消す着色化合物(実質的に1つの酵素媒介発光反応を消失させるが全ての酵素媒介発光反応を同程度に消失させない他の適当な有機化合物を含む)、或いはこれらの任意の組合せが含まれる。かくしてそのような試薬は、有効量では少なくとも1つの酵素媒介発光反応を消失させ、その一方で、少なくとも1つの他の異なった酵素媒介発光反応からの光の効率的な生成及び記録を可能にする点で選択的である。一の実施形態では、第1の酵素媒介発光反応のための選択的消光試薬は、甲虫ルシフェラーゼ媒介反応からの発光を選択的に消失させる試薬ではない。好ましくは、第1の酵素媒介発光反応のための1つ又は複数の選択的消光試薬は、花虫類ルシフェラーゼ媒介反応からの発光を選択的に消失させる試薬である。
【0013】
光の「実質的」消失とは、基準、例えば第1の酵素媒介発光反応の、消失と同等以上の消失である。例えば、選択的消光試薬は第1の酵素媒介発光反応を実質的に35倍消失させるが、第2の異なる酵素媒介発光反応を消失しないか又は35倍未満で消失させる場合、この試薬は第2の反応と比較して第1の反応に対して選択的な消光試薬である。対照的に、ある消光試薬が第1の酵素媒介発光反応を35倍消失させ、第2の異なった酵素媒介発光反応を35倍以上消失させるならば、この試薬は第2の反応と比較して第1の反応に対して選択的な消光試薬ではない。
【0014】
選択的な消光試薬は、異なる発光反応と比較してある発光反応からの発光を少なくとも15倍、好ましくは少なくとも25倍、より好ましくは少なくとも35倍、より好ましくは少なくとも50倍、更により好ましくは少なくとも100倍以上、例えば200倍、300倍、400倍又は900倍消失させる。
【0015】
発光リポーターは、発光反応を媒介することにより化学系又は生化学系の状態についての情報をもたらす分子である。その例としては、遺伝子リポーター(Wood、1995)、イムノアッセイリポーター(Bronstein他、1991)、ATPリポーター(Schram、1991)、並びに他の細胞分子のリポーター、例えば酵素又はコファクターがある。酵素は化学変換を触媒するタンパク質であり、したがってその化学変換による変更を受けない。酵素は化学変換の最後に再生するので、他の化学変換の過程で繰り返し利用できる。酵素はこのように基質ターンオーバーの能力を有する。この性質により、酵素媒介発光反応で連続発光が可能になる。酵素媒介発光反応は、その反応の結果として光子を発生する酵素によって媒介される化学反応である。酵素媒介発光反応の酵素は、その反応で発生した発光の大部分がその酵素の作用の結果として生じる場合はその反応を効率的に実施可能にする。
【0016】
本発明は、光子の存在が一過性であるので、理想的に発光反応に適している。したがって、光子を発生する酵素反応の消失により、直ちにサンプル中に存在する生成光子が減少する。このように一旦発光計測がされて酵素反応が消失すると、サンプル中には生成光子の蓄積が起こらない。本質的に、サンプル中に実験対象又は対照のシグナル(即ち光子)を蓄積させることなく、発光反応を「停止」することができる。安定した化学生成物の蓄積を測定したり、蓄積した化学生成物の遅い崩壊を測定する類似の酵素反応では、同じことが言えるとは限らない。これらの反応では、化学生成物をもたらす酵素反応を消失させてもまだサンプル中に大量の化学生成物が蓄積するので、同時に又は連続して行われる他のサンプルアッセイに干渉するおそれがある。
【0017】
発光反応の媒介となる酵素の例としては、それらには限定されないが、全て甲虫ルシフェリンのATP媒介酸化を触媒する甲虫ルシフェラーゼ;全てコエレンテラジン(coelenterazine)の酸化を触媒する花虫綱のルシフェラーゼ(Ward、1985);ルミノールに関わる反応を触媒するワサビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ(Thorp他、1986);及び、アダマンチル1,2−ジオキセタンリン酸塩との反応を触媒するアルカリホスファターゼなどのホスファターゼ(Schaap他、1989)並びにジオキセタン基質、例えば、3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3”−ホスホリロキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン、二ナトリウム塩、又は二ナトリウム3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’(5’−クロル)−トリシクロ−[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル]フェニルホスフェート、又は二ナトリウム2−クロル−5−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロル)−トリシクロ{3.3.1.13,7]デカン}−4−イル}−1−フェニルホスフェート、二ナトリウム2−クロル−5−(−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2’−トリシクロ−[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)−1−フェニルホスフェート(それぞれAMPPD、CSPD、CDP−Star(登録商標)及びADP−Star(商標))、3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3”−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル−l,2−ジオキセタン(AMPGD)、3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロル)トリシクロ[3.3.1.13,7]−デカン]−4−イル−フェニル−β−D−ガラクトピラノシド(Galacton(登録商標))、5−クロル−3−(メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロル)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−4−イル−フェニル−β−D−ガラクトピラノシド(Galacton−Plus(登録商標)、2−クロル−5−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’(5’−クロル)−トリシクロ−[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルβ−D−ガラクトピラノシド(Galacton−Star(登録商標)、及び、ナトリウム3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロル)−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニル−β−D−グルクロナート(Glucuron(商標))との反応を触媒する他の酵素;或いはそのような酵素の機能上の同等物がある。特定された酵素の機能上の同等物としては、対応する非組換えの野生型酵素と同じ発光反応を触媒する能力を維持する組換え酵素があり、これらは同じ酵素グループに含まれるが、対応する野生型酵素と比較して変化した構造を有する。ある酵素の機能同等物の例としては、ある酵素が他のペプチド又はタンパク質と遺伝的に融合して二機能性ハイブリッドタンパク質を生じる例がある(Kobatake他、1993)。
【0018】
ルシフェラーゼは様々な発光生物から単離又は取得することができ、例えばPhotinus pyralisの蛍ルシフェラーゼ又はRenilla reniformisのRenillaルシフェラーゼがある。本明細書で使う「ルシフェラーゼ」とは、任意の天然、合成又は遺伝子組換えの供給源に由来するいかなる種類のルシフェラーゼをも意味し、このような例としては、それらには限定されないが、蛍Photinus pyralisから単離されたルシフェラーゼ又は他の甲虫ルシフェラーゼ(例えば、コメツキムシ(例えばPyrophorus plagiophthalamus)若しくはツチボタル類(Pheogodidae種)から得られたルシフェラーゼ)、ウミシイタケRenilla reniformis、Vargula種、例えばV.hilgendorfii、Gaussia種、Oplophorus種、ツタノハガイLatia neritoides由来のもの、キセノラブドゥスルミネセンス(Xenorhabdus luminescens)及びビブリオフィッシャリ(Vibrio fisherii)などの微生物から単離された細菌性のルシフェラーゼ;並びに、その機能上の同等物がある。
【0019】
一の実施形態では、本発明は酵素媒介発光反応を消失させる1つ又は複数の試薬を使用する発光アッセイに関する。一の実施形態では、前記1つ又は複数の消光試薬は、前記試薬がない場合の発光と比較して発光を少なくとも15倍、好ましくは少なくとも25倍、より好ましくは少なくとも35倍、より好ましくは少なくとも50倍、更により好ましくは少なくとも100倍以上、例えば200倍、300倍、400倍又は900倍消失させるのに有効な量で添加される。好ましくは、消光試薬は本明細書で記載されているような選択的な消光試薬である。
【0020】
例えば、本発明は酵素媒介発光反応をアッセイする方法を含む。この方法は、少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定し、前記発光反応に少なくとも1つの選択的な消光試薬を含む組成物を導入することによって前記第1の酵素媒介発光反応からの光子放出を消失させることを含む。他の実施形態においては、この方法は、少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定し、前記発光反応に少なくとも2つの選択的な消光試薬を含む組成物を導入することによって前記第1の酵素媒介発光反応からの光子放出を消失させることを含む。
【0021】
他の実施形態では、本発明は第2の異なる連続する酵素媒介発光反応から発生する光を実質的に消失させずに、第1の酵素媒介発光反応を選択的に消失させる1つ又は複数の試薬を使用する発光アッセイに関する。一の実施形態では、前記第2の異なる酵素媒介発光反応のための少なくとも1つの試薬が、前記第1の酵素媒介発光反応に存在する。
【0022】
本発明の一実施形態では、酵素媒介発光反応は、先ず適当な反応開始剤又は試薬をサンプルに添加して反応混合物を生成することから開始する。前記反応混合物中で発生した発光シグナルは、次に、例えばサンプル中の1つ又は複数の分子の存在又は量を検出するために測定される。1つ又は複数の選択的な消光試薬を次に加えて、前記選択的な消光試薬の導入後の比較的短い時間内で前記発光シグナルを消失させる。一の実施形態では、前記1つ又は複数の選択的消光試薬は、前記試薬がない場合の発光と比較して発光を少なくとも15倍、好ましくは少なくとも25倍、より好ましくは少なくとも35倍、より好ましくは少なくとも50倍、更により好ましくは少なくとも100倍以上、例えば200倍、300倍、400倍又は900倍消失させるのに有効な量で添加される。サンプル中の酵素からの発光シグナルを消失させることから、選択的な消光試薬を添加するとその前に活性化されたサンプルからの光がその後に活性化されたサンプルの、例えば複数サンプルアッセイ形式での光の測定に干渉するのが防止される。発生した第2の発光シグナルを次に測定する。好ましくは、2つ以上の分子の存在又は量を単一反応で検出する。例えば全ての反応は単一の容器、例えばウェルで行われる。
【0023】
本発明の方法で使用されるサンプルは、細胞溶解物、in vitro転写/翻訳反応生成物、細胞培養の上清、生理学的液体サンプル、例えば血液、血漿、血清、脳脊髄液、涙又は尿サンプルであっても、無傷細胞を含んでもよい。細胞、細胞溶解物又は上清は、原核細胞又は真核細胞から得ることができ、また生理学的液体はいかなる鳥類、爬虫類、両生類又は哺乳類から得ることができる。反応開始剤又は試薬は、このように無傷細胞、細胞溶解物又は上清若しくは生理学的液体に加えることができる。消光試薬も、無傷細胞若しくは細胞溶解物、in vitro転写/翻訳反応生成物又は生理学的液体サンプル若しくは上清サンプルに加えることができる。
【0024】
従って、本発明は、別の異なる酵素媒介発光反応を消失させずに、ある酵素媒介発光反応、例えばルシフェラーゼ媒介発光反応又は非ルシフェラーゼ媒介発光反応を選択的に消失させる1つ又は複数の試薬を使用する二重リポーター発光アッセイを含む。即ち、2つの異なる酵素は各種試薬に対し異なる反応を示し、それによって、酵素媒介発光反応の1つを選択的に消失させる。一の実施形態では両方の反応はルシフェラーゼ媒介反応であり、例えば、第1のルシフェラーゼ媒介発光反応はRenillaルシフェラーゼ媒介発光反応であり、この反応は、選択的に消失させられると同時に、第2の異なるルシフェラーゼ媒介発光反応、例えば蛍ルシフェラーゼ媒介発光反応が、この第2の反応からの蛍光を実質的に消失することなく進行できるようにする。例えば、花虫綱のルシフェラーゼに選択的で、サンプル中に存在する他のリポーター又はそこで起こる反応に対して影響しない試薬を使って、Renillaルシフェラーゼを選択的に消失させることができる。花虫綱ルシフェラーゼ媒介発光反応を選択的に消失させる試薬の例としては、それらには限定されないが、構造的にセレンテラジンに類縁の基質類似体阻害剤、界面活性剤(detergent)、例えば、ミセル内に花虫綱ルシフェラーゼ基質を隔離するが花虫綱ルシフェラーゼ酵素は隔離しない界面活性剤、第1の反応から発する色を選択的に消失させる着色化合物(例えば青色光では選択的な消失試薬は黄色の着色化合物である)又はそのような試薬の組合せなどがある。
【0025】
第1の反応のための消光試薬及び第2の反応のための活性化試薬は、同時に又は順番に加えることができる。消光試薬が第2の酵素媒介発光反応の同時開始を可能にするように製剤化される場合は、このような試薬は“消光及び活性化”試薬と称される。それ故に、消光及び活性化試薬は同時に第1の酵素反応を消失させて第2の酵素反応を開始するので、そのようなアッセイは1つのサンプルにおいて2つの別個の異なる発光リポーターの連続測定を可能にする。その結果、発光リポーターの1つは内部標準として使うことができ、他は実験変数(experimental variables)の影響を報告するのに用いられる。或いは、各リポーターはサンプル中の2つの異なる変数、例えば特定のプロテアーゼ及びATPの濃度の存在を報告することができる。この方法は、大いに多重化を促進し、標準のマルチウェルプレート及び装置を使って、迅速で、自動化可能で、正確な再現性のある結果を提供する。
【0026】
例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はルシフェラーゼの発光化学物質を、異なる発光酵素と共に二重リポーター発光アッセイで利用することができる。一の実施形態では、2つの発光酵素の1つは内部標準として働き、他は酵素媒介反応の遺伝子活性、又は酵素、基質若しくはコファクターの存在若しくは量の実験マーカーとして機能する。更に、本発明は特に従来の透明又は不透明なマルチウェルプレートを用いた、酵素媒介発光リポーター系に基づく高スループットの自動化アッセイに役立つ。
【0027】
一実施形態では、本発明は酵素媒介発光反応をアッセイする方法を含む。この方法は、少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定し、前記発光反応に少なくとも1つの消光試薬を導入することによって前記第1の酵素媒介発光反応からの光子放出を消失させ、且つ/又は前記第1の酵素媒介発光反応を消失させることを含む。一の実施形態では、前記消光試薬は花虫綱ルシフェラーゼの基質類似体阻害剤、着色化合物、隔離剤又はその組合せである。例えば、一の実施形態では、花虫綱ルシフェラーゼ媒介発光反応をプロテアーゼなどの分子の存在又は量を検出するために使用することができ、この反応は、例えばATP濃度を検出する、甲虫ルシフェラーゼ媒介発光反応の開始前に消失される。したがって、本発明は1つ若しくは複数の酵素、1つ若しくは複数の基質及び/又は1つ若しくは複数のコファクター、或いはそのいかなる組合せのための酵素媒介アッセイの多重化を可能にする。
【0028】
本発明は、このようにサンプル内の少なくとも1つの分子の活性又は存在を測定するための方法を提供する。この方法は、酵素媒介反応のための少なくとも1つの分子を含み得るサンプル(このサンプルは例えば、前記の酵素を含んでもよい)を用意し、前記サンプルと前記分子を欠く前記酵素媒介反応のための反応混合物(この反応混合物は例えば検出する前記酵素の基質を含む)とを接触させることを含み、前記分子の存在又は量を酵素媒介発光反応によって検出することができる。一の実施形態では、第1の酵素媒介発光反応の後に又はそれと並行して、反応混合物を第2の酵素媒介発光反応によって検出することができる分子を検出するための試薬と接触させる。
【0029】
本発明の方法は、サンプル内の複数の酵素、基質又はコファクターの検出を可能にし、サンプルとしては例えば真核細胞(例えば酵母、鳥類、植物、昆虫又は哺乳類細胞があり、哺乳類細胞としては、それらには限定されないが、ヒト、サル、ネズミ、イヌ、ウシ、ウマ、ネコ、羊、ヤギ又はブタの細胞が含まれる)或いは原核細胞、或いは2つ以上の異なる生物からの細胞、或いは細胞溶解物又はその上清などがある。このような細胞は、組換え手法によって遺伝子組換えされたものでなくてもよく(非遺伝子組換細胞)、或いは一時的に組換えDNAでトランスフェクションされ、且つ/又はそのゲノムが組換えDNAで安定的に増強されているか、若しくはそのゲノムが修飾されて遺伝子が破壊されている、(例えばプロモーター、イントロン若しくは読取り枠が破壊されている)か1つのDNA断片が他のものと置換されている組換え細胞であってもよい。組換えDNA又は置換DNA断片は、本発明の方法によって検出される分子、検出する分子の濃度若しくは活性を変化させる成分、及び/又は前記分子や成分に無関係な前記分子の濃度若しくは活性を変化させる遺伝子産物をコードするものであってよい。
【0030】
一の実施形態では、本発明は1アリコートの細胞又はその溶解物中の複数の酵素の存在又は量を測定する方法に関する。細胞の異なる位置に存在する酵素、例えば分泌酵素及び細胞内酵素では、1つの酵素の基質を無傷細胞と共にウェルに加えることができる。このように、一の実施形態では、例えば細胞内酵素の検出を分泌酵素と同じ容器、例えば同じウェル内で行う場合、分泌酵素の存在又は量を酵素媒介発光反応用試薬及び前記分泌酵素の基質(この基質は切断されると前記発光反応用の基質を生じる)を無傷細胞と接触させることによって検出し、次に選択的な消光試薬を細胞溶解と並行して、又はその前後に加え、次に、細胞内酵素の存在又は量を検出する。第1の酵素の検出は細胞溶解の前でも後でもよいが、消光の前にする。このように、本方法は酵素媒介反応のいかなる分子、例えばいかなる酵素、基質又はコファクター或いはそのいかなるセットでも検出するために使用することができる。これらの方法で使用される酵素は、検出するための酵素であっても基質又はコファクターの検出に有用な酵素であってもよく、それらは、組換え及び内因性(天然)の酵素を含む酵素の任意の組合せから選択することができる。
【0031】
本発明は、酵素媒介発光反応を利用してサンプルを分析するための消光試薬、組成物及びアッセイキットも含む。例えば、本発明はアッセイする酵素媒介発光反応に対応する少なくとも1つの機能的酵素基質;前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器;少なくとも1つの選択的な消光試薬を含み、この選択的な消光試薬の少なくとも1つが前記酵素の基質類似体阻害剤、着色化合物、隔離剤又は他の有機化合物を含む組成物;前記組成物がその中に入っている適当な第2の容器;並びに取扱説明書を含む酵素媒介発光反応アッセイキットを含む。機能的酵素基質は生物から得ることも(「天然」基質)、in vitroで調製することもできる(「合成」基質)。他の実施形態では、酵素媒介発光反応アッセイキットはアッセイする酵素媒介発光反応に対応する少なくとも1つの機能的酵素基質;前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器;花虫綱のルシフェラーゼに対する少なくとも1つの選択的な消光試薬を含む組成物;前記組成物がその中に入っている適当な第2の容器;及び取扱説明書を含む。キットには対照試薬、例えば機能的酵素が含まれてもよい。
【0032】
他の実施形態では、本発明はアッセイする第1の酵素媒介発光反応に対応する第1の機能的酵素基質;前記第1の機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器;花虫綱のルシフェラーゼに対する少なくとも1つの選択的な消光試薬及び第2の異なる酵素媒介発光反応に対応する第2の異なる機能的酵素基質を含む消光及び活性化組成物;前記消光及び活性化組成物がその中に入っている適当な第2の容器;並びに取扱説明書を含む二重リポーター酵素媒介発光反応アッセイキットを含む。他の実施形態では、前記二重リポーター酵素媒介発光反応アッセイキットは、アッセイする第1の酵素媒介発光反応と対応する第1の機能的酵素基質;前記第1の機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器;少なくとも2つの選択的な消光試薬と第2の異なる酵素媒介発光反応に対応する第2の異なる機能的酵素基質とを含む消光及び活性化組成物;前記消光及び活性化組成物がその中に入っている適当な第2の容器;並びに取扱説明書を含む。
【0033】
また、酵素媒介発光反応でのアナライト非依存性又はアナライト依存性のリン光を減らすか抑制する方法も提供される。本明細書で使用されるとき、「アナライト」はリン光を生じる発光反応混合物内に存在する物質である。「非アナライト」の例は、例えば容器又は入れ物(例えば白いルミノメータープレートの発光反応混合物に存在せず、アナライトがない場合にリン光を生じる物質である。「リン光」は、それに向けられた高エネルギー電子を吸収したリン光体からの、可視帯エネルギーの長時間に渡る段階的な放出である。対照的に、蛍光は異なる周波数の高エネルギー電子を吸収した粒子からの、1周波数のエネルギーの放射である。この方法は発光反応を媒介する酵素を含むサンプルを前記酵素の反応混合物と接触させることを含み、前記混合物は着色化合物を含むが前記発光反応のための酵素を含まない。前記化合物の色は発光反応によって発生する光と実質的に同じであり、即ち約75nm以内、好ましくは約50nm以内、より好ましくは25nm、10nm又はそれ以下、例えば5nm以内である。その後、発光を検出するか測定する。また、酵素媒介発光反応でのアナライト非依存性又はアナライト依存性のリン光を減らすか抑制するのに役立つ化合物を特定する方法も提供される。この方法は、1つ又は複数の化合物を発光反応を媒介する酵素を含む反応混合物と接触させ、酵素媒介発光反応でのアナライト非依存性又はアナライト依存性のリン光を減らすか抑制する化合物を特定することを含む。
【0034】
一の実施形態では、本発明はアッセイする酵素媒介発光反応のための少なくとも1つの機能的酵素基質;前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器;少なくとも1つの着色化合物;前記少なくとも1つの着色化合物がその中に入っている適当な第2の容器;及び取扱説明書を含み、前記少なくとも1つの化合物の色は前記酵素媒介発光反応によって発生する光と実質的に同じである酵素媒介発光反応アッセイキットを含む。一の実施形態では、アナライト非依存性又はアナライト依存性のリン光を減らすか抑制する酵素媒介発光反応アッセイキットが提供される。このキットは、少なくとも1つの着色化合物;前記少なくとも1つの着色化合物のための適当な第1の容器;アッセイする酵素媒介発光反応に対応する少なくとも1つの機能的酵素基質;前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第2の容器;及び取扱説明書を含む。他の実施形態では、このキットは少なくとも1つの着色化合物及びアッセイする酵素媒介発光反応に対応する少なくとも1つの機能的酵素基質、前記着色化合物のための適当な容器、少なくとも1つの機能的酵素基質並びに使用説明書を含む。キット内の化合物の色は、発光反応の酵素によって発生する光と実質的に同じである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は酵素媒介発光反応をアッセイする方法を含む。一の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応を開始し、前記発光反応によって発生した発光エネルギーを定量し、前記発光反応に少なくとも1つの消光試薬を含む組成物を導入することによって前記第1の酵素媒介発光反応からの光子放出を消失させることを含む。好ましくは、前記消光試薬は選択的な消光試薬である。即ち、前記消光試薬は全ての発光反応を消失させる訳ではなく、それで第2の連続する酵素媒介発光反応を行うことができる。このように、本発明は第1の酵素媒介発光反応を消失するのみならず、選択的に消失させるのに役立つ組成物及び方法を提供する。
【0036】
本発明は、第1の酵素媒介発光反応が開始されて前記第1の反応の発光エネルギーが検出又は測定される、酵素媒介発光反応の二重リポーターアッセイ方法も含む。この方法では、次に、少なくとも1つの選択的消光試薬、即ち、全てではないが少なくとも1つの発光反応を消失させる消光試薬を含む組成物を導入し、次いで第2の酵素媒介発光反応を活性化するか開始することができる混合物を含む組成物が導入されるか、又は第1の酵素媒介発光反応を選択的に消失させ、同時に第1の酵素媒介発光反応とは異なる第2の酵素媒介発光反応を開始することができる消光及び活性化組成物が導入される。第2の酵素媒介発光反応によって発生する発光エネルギーを次に検出又は測定する。任意選択に、第2の酵素媒介発光反応はその後第2の消光試薬の添加により消失させることができ、この第2の消光試薬は第2の酵素媒介発光反応に選択的で、好ましくは第3の酵素媒介発光反応を消失又は実質的に消失させない。
【0037】
選択的消光試薬は、自動注入器及び従来の96穴プレートなどのマイクロタイタープレート(不透明及び透明)での使用に理想的である。選択的消光試薬はサンプル内からの発光シグナルを効果的に消失させるので、透明なマルチウェルプレート内でもサンプル間の屈折光クロストークなしで複数の発光アッセイを実施することができる。更に、選択的消光試薬は、許容レベルを超えたバックグラウンド反射光を消去する。
【0038】
好ましい一の実施形態では、酵素媒介発光反応の少なくとも1つは、ルシフェラーゼ媒介反応である。ルシフェラーゼの中では、本発明の方法は特にRenilla reniformisルシフェラーゼなどの花虫綱ルシフェラーゼ、並びに甲虫ルシフェラーゼ、例えばPhotinus pyralisルシフェラーゼ及びPyrophorus plagiophthalamusルシフェラーゼによって媒介される発光反応のアッセイに使用することができる。例えば、第1の酵素媒介発光反応は、花虫綱ルシフェラーゼ媒介反応でよい。他の実施形態において、第1のルシフェラーゼ媒介発光反応は、甲虫ルシフェラーゼ、例えば蛍ルシフェラーゼによって媒介されない。一の実施形態では、第1のルシフェラーゼ媒介発光反応はRenillaルシフェラーゼによって媒介され、第2の酵素媒介反応は異なる酵素、例えば甲虫ルシフェラーゼ、ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−グルクロニダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼによって媒介される。他の実施形態では、第1の酵素媒介発光反応は、ペルオキシダーゼやホスファターゼなどのルシフェラーゼではない酵素によって媒介されてもよい。この実施形態において、第2の酵素媒介反応は、ルシフェラーゼ、β−グルクロニダーゼ又はβ−ガラクトシダーゼなどの酵素によって媒介されてもよい。
【0039】
本明細書で記載されているように、酵素媒介発光反応はいくつかの異なる試薬、例えばそれらには限定されないが、以下のクラスの化合物から選択される1つ又は複数の消光試薬で消失、好ましくは選択的に消失させることができる:発光反応のための基質類似体阻害剤、隔離剤(例えば界面活性剤などの酵素をその基質から物理的に切り離すことができる化合物、又はさもなければ酵素若しくはその基質の溶解性を変化させる化合物)色素などの着色化合物、並びに他の有機化合物(即ち、1つ又は複数の炭素原子を含む化合物)。一実施形態では、隔離剤は基質をミセル内に隔離することによって酵素をその基質から物理的に切り離す。「ミセル」は、特定の濃度(臨界ミセル濃度)で見られる両親媒性分子のコロイド状集合体である。ミセル内の集合分子の数は、一般的に50から100である。臨界ミセル濃度(CMC)は、溶液内の界面活性剤モノマーの最大可能濃度に対応する、界面活性剤の総濃度である(図5を参照)。
【0040】
特定の酵素の消光試薬は同じクラスの酵素を不活化し易い。このように、通常、Renillaルシフェラーゼの消光試薬は他の花虫綱ルシフェラーゼを不活化する傾向にあり、蛍ルシフェラーゼの消光試薬は他の甲虫ルシフェラーゼを不活化し易い。同様に、通常、特定の反応を触媒する酵素、例えばペルオキシダーゼ又はホスファターゼの消光試薬は、その反応を触媒する他の酵素、即ちそれぞれ他のペルオキシダーゼ及び他のホスファターゼを不活化し易い。
【0041】
本発明の組成物及びキットのため並びに方法で使用するための好ましい基質類似体阻害剤としては、それらには限定されないが、発光反応を抑制する基質類似体阻害剤、例えば天然基質と構造的に類縁であるが、異なる酵素の基質を含むように改変されたもの(「プロ基質」)がある。好ましい基質類似体阻害剤としては、それらには限定されないが、Renillaルシフェラーゼなど花虫綱ルシフェラーゼの基質類似体阻害剤、例えばセレンテラジンhhメチルエーテル及びその類似体、並びにRenillaルシフェラーゼの他の基質類似体阻害剤、例えばその酵素と結合するがエノール酸素が活性部位内の酸化反応に関係しないようにするもの、例えばセレンテラジンエチルエーテルなど;ペルオキシダーゼ、例えばワサビペルオキシダーゼ;更に、ホスファターゼ、例えば蛍光と結合しない安定化ジオキセタン、即ち酵素と結合するが発光しない類似体などのアルカリホスファターゼがある。例えば、花虫綱ルシフェラーゼの基質類似体としては、下記式を有する化合物に関連したものが含まれる。
【化1】


[式中、RはH、アルキル、ヘテロアルキル、アリール又は−CH−COR14であり;
はH、アルキル、ヘテロアルキル又はアリールであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール又は−COR15であり;
10は−H、−CH又は−CH(CHであり;
11は、酵素脱離が可能な基ではなく;
14及びR15は独立して酵素脱離が可能な基であり;
但し、R14及びR15は全てがアセチル基ではない。]
【0042】
「アリール」には芳香環、例えばアリール環又はヘテロアリール環、例えばフェニル基若しくはナフチル基が含まれる。
【0043】
具体的な一実施形態では、R11はC〜C10アルキルエーテルである。
【0044】
具体的な一実施形態では、R11はメチルエーテルである。
【0045】
具体的な一実施形態では、基質類似体は下記式(II)を有する2,8−ジベンジル−3−メトキシ−6−フェニル−イミダゾ[1,2−a]ピラジン(セレンテラジンhhメチルエーテル)である:
【化2】

【0046】
式(II)の化合物の合成では、アルゴン下の周囲温度で乾燥DMF(10ml)中で撹拌した2,8−ジベンジル−6−フェニル−7H−イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−オン(0.25g、0.6mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(1.1ml、6.0mmol)を一斉に加え、次にヨウ化メチル(0.4ml、6.0mmol)を滴下する。1時間の撹拌後、TLC分析によると反応は終了していた。反応混合物をジクロロメタン(75ml)で希釈し、水で2回洗浄した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過・蒸発して褐色油を得た。この粗抽出油はシリカゲル(30g)のフラッシュクロマトグラフィにより移動層としてジクロロメタンを使って精製した。該当する画分をプールして蒸発させ、所望の化合物を200mg(77%)得た。
【0047】
他の酵素の基質を含むように改変されたルシフェラーゼの基質類似体(「プロ基質」)は、それが前記他の酵素が存在しなくルシフェラーゼ及び適当な試薬が存在する場合には発光を起こさないが、前記他の酵素とルシフェラーゼ及び適当な試薬が存在する場合には発光を起こす場合は、本発明のキット及び方法で使用することができ、即ち、プロ基質は基質類似体阻害剤となりうる。したがって、そのような基質類似体は、プロ基質を認識する酵素を欠く反応において選択的消光試薬として、又はその酵素を含む反応における発光プロ基質として使用することができる。例えば、これらの類似体としては、アミノルシフェリン、ジヒドロルシフェリン、ルシフェリン6’メチルエーテル、ルシフェリン6’クロロエチルエーテル、又はセレンテラジンの誘導体、例えばセレンテラジンn、セレンテラジンh、セレンテラジンc、セレンテラジンcp、セレンテラジンe、セレンテラジンf、セレンテラジンfcp、セレンテラジンi、セレンテラジンicp若しくはセレンテラジン2−メチルのような他の酵素の基質を含むように変更されたセレンテラジンの誘導体があり、例えば国際出願AJS03/02936を参照されたい。
【0048】
通常、セレンテラジンに関しては、この誘導体化は、フェノール(−C−OH)、カルボニル(>C=O)及びアニリン(−C−NH)などの官能基のその環境への反応性が低い基への変換を含む。官能基の通常の反応性は酵素脱離が可能な基が存在すると抑制されるので、酵素脱離が可能な基は保護基と称することができる。可能な保護基としては、エステラーゼとの相互作用によって脱離するエステルがある。可能な保護基としては、ホスホジエステラーゼ及びアルカリホスファターゼなどのホスファターゼとの相互作用によって脱離するホスホリルもある。可能な保護基としては、グリコシダーゼ、α−D−ガラクトシド、β−D−ガラクトシド、α−D−グルコシド、β−D−グルコシド、α−D−マンノシド、β−D−マンノシド、β−D−フルクトフラノシド及びβ−D−グルコシドウロネートとの相互作用によって脱離するグルコシルもある。当業者ならば、本発明で使用することができるであろう他の酵素脱離が可能な保護基を認めることができよう。酵素と酵素脱離が可能な基との相互作用の例は、米国特許第5831102号、並びにTsien(1981);Redden他(1999);及びAnnaert他(1997)に記載されている。
【0049】
酵素脱離が可能な基は、特異的な酵素の作用によってのみ脱離するように設計してもよい。例えば、ある種の脂肪酸を酵素脱離可能な基として使用することができ、特異的なエステラーゼだけがこれらの保護されたセレンテラジンをセレンテラジンに変える。立体障害の高い保護基、例えばtert−ブチル基を使用してもよい。そのような保護基は、大きな、立体障害エステルに作用することができる新規エステラーゼのスクリーニングに役立つ。アミノ酸も保護基として使用することができる。保護されたセレンテラジンは、更にエノール酸素原子を保護基と結合した窒素原子で置換することによって変更してもよい。この種の保護基は次にプロテアーゼによって取り除くことができ、その後、保護されたセレンテラジンをエノール/カルボニルへ加水分解することによりセレンテラジンが生じる。
【0050】
これらの酵素脱離が可能な基は、好ましくはアルコール官能基の誘導体である。セレンテラジンのカルボニル官能基の場合、誘導体化にはカルボニルのエノール基(−C=C−OH)への変換が含まれてもよい。セレンテラジンのカルボニル及びエノール型は、エノール型の基質が常にある割合で存在するように溶液内で動的平衡状態にあってもよい。エノール基のヒドロキシル(−OH)部分は誘導体化することができる。アシル化剤を使ったエステル形成を経た誘導体化を、以下に図式的に示す。構造IIIを有するセレンテラジンは2つのフェノール基及び1つのカルボニル基を含み、これらの基はいかなる組合せで保護してもよい。
【化3】

【0051】
エーテル保護基による誘導体化は、例えばセレンテラジンをアセトキシメチルブロマイドなどのアルキル化剤で処理して実施することができる。エステル保護基による誘導体化は、例えばセレンテラジンをア無水酢酸又は塩化酢酸などのアシル化剤で処理して実施することができる。これらの誘導体化は塩基条件下、即ちpH7から14の間で実施される。これらの条件下では、フェノールのヒドロキシルとイミダゾロン酸素は共に反応して、対応するエステル又はエーテルを形成することができる。イミダゾロン酸素はエノール型のときに反応すると思われている。保護/脱保護プロセス並びに様々な保護基の例は、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」Greene、Wuts.編、John Wiley and Sons、ニューヨーク、1991に記載されている。
【0052】
誘導体化プロセスの1例は、保護されたセレンテラジンIVのセレンテラジンIIIからの合成である。保護されたセレンテラジンIVは3つのアセチル保護基が存在するので、トリアセチル−セレンテラジンとしても知られている。
【化4】

【0053】
化合物IVの構造を有する化合物が天然のセレンテラジンIIIの構造を確立する研究において中間体として使われたことが報告されている(Inoue他、1977)。保護されたセレンテラジンIVは、アセチル誘導体化されたエノール基の反応活性度を考えると、他の保護されたセレンテラジンと比較して安定性がかなり低いことが予想される。
【0054】
与えられた保護基に関しては、誘導体化されたエノールは同じように誘導体化されたフェノールよりも不安定である。エノール誘導体の反応性が増すことから、エノール誘導体が選択的に加水分解されて再びイミダゾロンカルボニルが得られるようになる。この種の化合物は、官能基の一部が保護され他は保護されないことから部分的保護化学種と呼ばれる。これらの部分的保護化学種は生物アッセイで使用することができ、又は異なるアシル化剤若しくはアルキル化剤と更に反応を起こさせて非対称化合物、つまり複数種類の保護基を有し同じくアッセイで使用することができる化合物を形成することができる。適当な保護基の選択は、検討中の細胞型及び所望の加水分解速度によって決めることができる。選択的な加水分解は、例えばInoue他(1977)で記載されているように実施することができる。このことは、トリアセチル−セレンテラジン(IV)のジアセチル−セレンテラジン(V)への選択的加水分解及び以降の保護された非対称セレンテラジン(VI)の形成のための以下の反応スキームに図示する。
【化5】

【0055】
構造VII〜IXは、カルボニル上に保護基を有している保護されたセレンテラジンを例示する。
【化6】


、R、R及びR10は独立してH、アルキル、ヘテロアルキル、アリール又はその組合せでよい。R12及びR13は、独立して−OR16、H、OH、アルキル、ヘテロアルキル、アリール又はその組合せでよい。構造VIIIでは、nは0、1、又は2、好ましくは1でよい。
好ましくは、RはRの記載通りであるか、又は−CH−COR14である。
好ましくは、RはRの記載通りであり、R10はRの記載通りである。
好ましくは、RはRの記載通りであるか、又は−COR15である。
として一緒に識別されるR11、R14、R15及びR16は保護基であり、独立して様々な保護基のいずれかでよい。好ましくは、これらの種はそれらの対応するO原子と共にエーテル、エステル又はその組合せである。例えば、保護基はアセチル(R=−C(=O)−CH)、ブチリル(R=−C(=O)−C)、アセトキシメチル(R=−CH−O−C(=O)−CH)、プロパノイロキシメチル(R−CH−O−C(=O)−C)、ブチリロキシメチル(R=−CH−O−C(=O)−C)、ピバロイロキシメチル(R=−CH−O−C(=O)−C(CH)又はt−ブチリル(R=−C(=O)−C(CH)でよい。
【0056】
保護されたセレンテラジンの具体例としては、トリアセチル−セレンテラジン(IV)、トリブチリル−セレンテラジン(X)、ジアセチル−セレンテラジン−h(XI)、アセトキシメチルジアセチル−セレンテラジン(XII)、アセトキシメチルアセチル−セレンテラジン−h(XIII)、ピバロイルオキシメチル−セレンテラジン−h(XIV)及びアセトキシメチル−ジデオキシセレンテラジン(XV)がある。
【化7】

【0057】
保護されたセレンテラジンが適当な脱保護酵素と相互作用すると、保護基が取り除かれ、元の官能基を回復することができる。適当な脱保護酵素が存在しない場合は保護基は脱離せず、一部の実施形態においては保護されたセレンテラジンはルシフェラーゼの阻害剤として使用することもできる。エステル及びエーテル保護基に関しては、脱保護酵素は、例えばエステラーゼを含めいかなるヒドロラーゼでもよい。セレンテラジンに関しては、その脱保護形態(即ちカルボニル)内にカルボニル官能基を有することは、Renillaルシフェラーゼ、Oplophorusルシフェラーゼ、Cypridinaルシフェラーゼ及びエクオリンなどの発光タンパク質との発光相互作用を可能にする。保護されたセレンテラジンをセレンテラジンに変換するには、カルボニル部位を脱保護するだけでよい。それでもフェノールのヒドロキシル上の保護基は、発光相互作用を妨害又は阻止することができる。
【0058】
ジオキセタン基質を使用する酵素に関しては、反応のための基質としては下記式を有するジオキセタン含有基質があり、また反応の基質類似体阻害剤はこのような基質と構造的に関係していてもよく、
【化8】


[式中、Tは置換されている(即ち、1つ若しくは複数のC〜Cアルキル基又はヘテロ原子基、例えばハロゲン原子を含む)か非置換のシクロアルキル環(環に6〜12個の炭素原子を含んでいる)又は多環式アルキル基(2つ以上の縮合環を有し、各環は独立に5〜12個の炭素原子を含む)であり、これらはジオキセタン4員環とスピロ結合により結合し、例としてはクロロアダマンチル基若しくはアダマンチル基があり、最も好ましくはクロロアダマンチルであり;
Yは蛍光発色団であり(即ち、Yはエネルギーを吸収して励起した、即ちより高いエネルギーの状態を形成することができる基であり、その状態から光を放出して元のエネルギー状態に戻る);
Xは水素、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はヘテロアルキル基(1〜7個の炭素原子を含み、例えばメトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシエチル、トリフルオロエトキシ又はヒドロキシプロピル)、アリール基(少なくとも1つの環を有し、例えばフェニル)、ヘテロアリール基(少なくとも1つの環を有し、例えばピロリル又はピラゾリル)、ヘテロアルキル基(環に2〜7個の炭素原子を含み、例えばジオキサン)、アラルキル基(少なくとも1つの環を有し、例えばベンジル)、アルカリル基(少なくとも1つの環を有し、例えばトリル)、或いは酵素切断が可能な基、即ち、酵素によって切断されてジオキセタンに結合した電子に富む基、例えばリン酸を生成することができる部分を有する基であり、リン−酸素結合は酵素、例えば酸性ホスファターゼ又はアルカリホスファターゼによって切断されてジオキセタン又はORに結合した負荷電の酸素を生成することができ;
Zは水素、ヒドロキシル又は酵素切断可能な基であり、但しX又はZの少なくとも1つは酵素切断可能な基で、酵素は前記酵素切断可能な基を切断してジオキセタンに結合した負荷電の基(例えば酸素アニオン)を形成し、前記負荷電の基はジオキセタンが分解して基Yを含む発光物質(即ち、光の形のエネルギーを発する物質)を形成するようにする]
発光シグナルは、酵素活性の指標として検出される。発光の強度を測定することにより酵素活性を測定することができる。
【0059】
化学発光反応のための活性基質は式XVIのXがORのとき生成され、基Rは炭素原子数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、アリール、シクロアルキル又はアリールアルキルである。Rは1つ又は2つのヘテロ原子を含んでもよく、これらはP、N、S又はOでよい。置換基Rはハロゲン化される。ハロゲン化の程度は、アダマンチル基、アリール基上の選択された置換基、及び想定されている特定の用途の所望の酵素反応速度論によって異なる。最も好ましくはRはトリハロアルキル基である。好ましい基としてはトリハロ低級アルキルがあり、これにはトリフルオロエチル、トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロブチロール、ヘキサフルオロ−2−プロピル、a−トリフルオロメチルベンジル、a−トリフルオロメチルエチル及びジフルオロクロロブチル基が含まれる。置換基Rの炭素原子は、ハロゲンで部分的又は完全に置換されてもよい。Rがアリールである場合、好ましい基としては1つ若しくは複数のクロロ、フルオロ又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル環、例えば2,5−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル又は3−トリフルオロメチルフェニルを挙げることができる。フッ素及び塩素は特に好ましい置換基であるが、臭素及びヨウ素は特別な状況で使用することができる。
【0060】
基Yは酵素切断が可能な基Zに結合した蛍光発色団又は蛍光団である。Yはジオキセタンが分解すると発光性となるが、それはリポーター酵素が基Zを切断し、それによりジオキセタンを不安定にする電子に富む部分が生成してジオキセタン分解の原因となる場合である。分解により2つの個々のカルボニル化合物が生成し、その1つは基Tを含み、他は基X及び基Yを含む。ジオキセタン分解から遊離するエネルギーは、X及びY基を含む化合物に発光を起こさせる(基Xが水素の場合、アルデヒドが生じる)。Yは好ましくはフェニル又はアリールである。アリール部分は式XVIのように基Zを有し、更に米国特許第5582980号に記載されているように1〜3個の電子活性基、例えば塩素又はメトキシを有する。
【0061】
いかなる発色団でもYとして使用することができる。一般に、感度を向上させるために量子収率を最大にする発色団を使うことが望ましい。したがって、Yは通常芳香族の基を含む。適当な発色団の例は、米国特許第4978614号で更に詳述されている。
【0062】
発色団Yに結合した基Zは、酵素切断が可能な基である。酵素と接触すると、酵素切断が可能な基は切断されて発色団Yに結合した電子に富む基を生じる;この基は、2つの個々のカルボニル含有化合物、例えばケトン又はエステル、また基Xが水素の場合はアルデヒドへのジオキセタンの分解を開始する。電子に富む基の例としては、酸素、硫黄及びアミン又はアミノアニオンがある。最も好ましい基は、酸素アニオンである。適当なZ基及びこれらの基に特異的な酵素の例は、米国特許第4978614号の表1に記載されている。そのような酵素としては、アルカリ及び酸のホスファターゼ、エステラーゼ、デカルボキシラーゼ、ホスホリパーゼD、β−キシロシダーゼ、β−D−フコシダーゼ、チオグルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、α−D−ガラクトシダーゼ、α−D−グルコシダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−グルクロニダーゼ、α−D−マンノシダーゼ、β−D−マンノシダーゼ、β−D−フラクトフラノシダーゼ、β−D−グルコシドウロナーゼ並びにトリプシンが含まれる。
【0063】
ジオキセタン類似体は、T、Y及びXのいずれかと結合した1つ又は複数の可溶化置換基、即ち、水溶液中で類似体の溶解性を強化する置換基を含むことができる。可溶化置換基の例としてはカルボン酸、例えば酢酸;スルホン酸、例えばメタンスルホン酸;及び、第4級アミノ塩、例えば臭化アンモニウムが含まれ;最も好ましい可溶化置換基は、メタン又はエタンスルホン酸である。それから本発明の実施に役立つジオキセタン類似体を調製することができる他のジオキセタンは、米国特許第5089630号;米国特許第5112960号;米国特許第5538847号及び米国特許第5582980号に記載されている。
【0064】
一の実施形態では、第1の酵素媒介発光反応のための基質類似体は甲虫ルシフェラーゼのための基質類似体ではなく、例えば、この基質類似体はデヒドロルシフェリン、ATP、ベンゾチアゾール、1−(4−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール及び2(O−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールではない。
【0065】
一の実施形態では、好ましい基質類似体は天然基質の不可逆的競合阻害剤である。
【0066】
好ましい隔離剤としては、界面活性剤(surfactants and detergents)、例えば有効量では基質をその対応する酵素から物理的に分離して、好ましくは酵素反応が起こらないようにするもの、並びに基質又は酵素の抗体又は他のリガンドが含まれる。好ましい隔離剤としては、第1の酵素の基質の少なくとも一部、例えば35%以上、例えば50%、60%、70%、80%、90%以上を例えばミセル内に隔離するが、異なる第2の酵素及びその対応する基質は隔離しない剤、又は第2の異なる基質及びその対応する酵素の溶解性は変化させないが第1の基質若しくは第1の酵素の溶解性を変化させて発光をもたらす第1の基質と第1の酵素間の相互作用を、例えば少なくとも35%以上、例えば50%、60%、70%、80%、90%以上抑制する剤が含まれる。好ましい隔離剤としては、それらには限定されないが、アニオン性、非イオン性、両性又はカチオン性界面活性剤(detergents or surfactants)、例えば図5に示したものがある。一実施形態では、好ましい隔離剤としては、それらには限定されないが、クラウンエーテル、エトキシル化Tomah、例えばTomah E(登録商標)、アザクラウンエーテル、シクロデキストラン、トゥイーン(登録商標)20(ポリ(オキシエチレン)x−ソルビタン−モノラウレート)、トゥイーン80、Big Chaps、CHAPS、DTAB、トリトン(登録商標)X−100(アルキルポリエーテルアルコール;[C1626)、並びにTergitol(登録商標)、例えばTergitol(登録商標)Np−9、ポリビニルピロリドン及びグリコール、例えばポリエチレングリコール、例えば400又は600が含まれる。このように、例えば、基質、例えば大部分の基質を対応する酵素から物理的に分離する剤を添加すると、前記基質(例えばセレンテラジン)をミセル内に隔離し、前記酵素、例えばRenillaルシフェラーゼを溶液の水性部分に残すことができる。より詳細には、第1の発光反応の好ましい隔離剤は、発光反応を媒介する第1の酵素の基質の少なくとも大部分を酵素から物理的に分離し、第2の異なる酵素媒介発光反応からの光を実質的には消光しない剤である。一実施形態では、第1の花虫綱ルシフェラーゼ媒介反応の隔離剤は、例えば第2の酵素媒介発光反応がPpe2などの蛍ルシフェラーゼによって媒介される場合は、荷電界面活性剤、例えば約0.05%、0.1%、1.0%、2%(v/v)以上のCHAPSでよい(国際出願第01/20002号)。他の実施形態では、第1の花虫綱ルシフェラーゼ媒介反応の隔離剤は、例えば第2の酵素媒介発光反応がLuc+によって媒介される場合は、Triton X−100又はTergitol(登録商標)NP−9、例えば0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1.0%、2%以上のTriton X−100又はTergitol(登録商標)NP−9でよい(米国特許第5670356号)。
【0067】
一実施形態では、好ましい着色化合物は青、緑又は赤の光を消光する化合物である。化合物は目視又は吸収スペクトルによりスクリーニングして青、緑又は赤の光を消光する化合物候補を識別することができる(特別に参照により本明細書に組み込まれた「染色剤、色素及び指示薬のSigma−Aldrichハンドブック(The Sigma−Aldrich Handbook of Stains,Dyes and Indicaters)」、Green編、Aldrich Chemical Company、ミルウォーキー、WI、1990を参照)。
【0068】
本明細書で使用される赤色光には、約590nmより長く約730nm未満の波長、例えば610nmから650nmの波長の光が含まれる。本明細書で使用される黄緑色の光には、約490nmから約590nm、好ましくは約520nmから約570nmの波長の光が含まれる。本明細書で使用される黄色光には、560nmより長く約590nmまでの波長の光が含まれる。本明細書で使用される緑色光には、490nmより長く約560nmまでの波長の光が含まれる。本明細書で使用される青色光には、400nmより長く約490nmまでの波長の光が含まれる。
【0069】
例えば、赤色光は4.29×1014Hzの周波数又は1.77eVである700nmの波長、並びに4.62×1014Hzの周波数又は1.91eVである650nmの波長と一致してもよい。黄色光は5.16×1014Hzの周波数又は2.14eVのエネルギーである580nmの波長と一致してもよい。緑色光は5.45×1014Hzの周波数又は2.25eVのエネルギーである550nmの波長と一致してもよい。青色光は6.66×1014Hzの周波数又は2.75eVのエネルギーである450nmの波長と一致し、紫色光は7.50×1014Hzの周波数又は3.10eVのエネルギーである400nmの波長と一致してもよい。
【0070】
例えば、黄色の化合物は青色光、例えばRenillaルシフェラーゼ及びワサビペルオキシダーゼの媒介による反応から発生する光を消光するのに役立つ。更に、黄色の化合物は一部の甲虫ルシフェラーゼによって発生する黄緑光を消光しないので、Renillaルシフェラーゼ/蛍ルシフェラーゼアッセイなどの二重アッセイで消光するために用いることができる。好ましい黄色化合物としては、それらには限定されないが、水溶液で溶解すると560〜590nmから75nm以内にピーク吸光度を有する化合物、例えばジピリダモール及びベルベリンヘミサルフェートがある。Renillaルシフェラーゼによって発生する光を消光するために好ましい化合物としては、それらには限定されないが、青色光を吸収し、一実施形態では黄緑色光を透過させる化合物、例えば、それらには限定されないが、アクリジンオレンジ、塩基オレンジ21号、塩酸4−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)ベンゼンアルソン酸(benzenenearsonic acid)、5−アミノフルオロセイン、ビス[N,N−ビス(カルボキシメチル)アミノメチル]フルオレセイン、2,4−ジアミノ−5−(2−ヒドロキシ−5−ニトロフェニルアゾ)ベンゼンスルホン酸、ヌビアンイエローTB、アシッドオレンジ10号、アウリン、及び溶媒黄色14号がある。
【0071】
他の実施形態において、好ましい化合物としては、赤色光を消光する化合物、例えば溶液ではシアン又は青色を呈する化合物、例えばアズールBテトラフルオロホウ酸塩、アシッドブルー93、5,5’,7−インジゴトリスルフィン酸三カリウム塩、クレジルバイオレットアセテート、トリプタンブルー、トウォート染色剤及びリサミングリーンBがある。好ましい青色化合物としては、水溶液で溶解すると400〜490nmから75nm以内にピーク吸光度を有する化合物がある。
【0072】
赤色光又は黄色光を消光するが青色光は消光しない青色の化合物としては、それらには限定されないが、青色クロム酸塩色素、イソスルファンブルー、メチレンブルー、クーマシーブルー、アシッドブルー、オルセイン、ペルシャンブルー、インジゴトリスルホン酸カリウム、α−ナフトフタレイン、アズールII、オイルブルーN、パテントブルーVF、パラローアニリン塩基(pararoaniline)、ロダニルブルー、テトラブロモフェノールブルー、トルイジンブルーO、ビクトリアピュアブルーBO、ビクトリアブルーB、アルカリブルー6B、アルファアズリンA及びシアニン染料などがある。
【0073】
他の実施形態において、好ましい化合物としては、緑色光を消光する化合物、例えば溶液ではマゼンタ又は赤色を呈し、一実施形態では赤色光を透過させる化合物、例えばそれらには限定されないが、アシッドブルー、アシッドバイオレット19、アミドナフトールレッド6B、及び塩基レッド9がある。好ましい一実施形態において、緑色光を消光して青色光を透過させる化合物としては、アシッドバイオレット17、インディゴブルー、塩化ピナシアノール、ローダミン6G過塩素酸塩、ロダニルブルー、パラローザニリン塩基、ローズベンガルビス(トリエチルアンモニウム)塩及び3,3’−ジメチルフェノールフタレインがある。好ましい化合物は、水溶液で溶解すると590〜730nmから75nm以内にピーク吸光度を有する化合物である。
【0074】
一の実施形態では、化学発光反応の消光試薬として有効な適当な化合物としては有機化合物(即ち1つ又は複数の炭素原子を含む化合物)があり、例えば参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第09/590884号に開示されているものなどがある。適当な有機化合物は炭素−硫黄結合又は炭素−セレニウム結合を含むことができ、例えば、適当な有機化合物は炭素−硫黄二重結合(C=S)、炭素セレニウム二重結合(C=Se)、炭素−硫黄単結合(C−S)又は炭素−セレニウム単結合(C−Se)を含むことができる。適当な有機化合物は、炭素と結合したメルカプト基(C−SH)又は2つの炭素原子と結合した硫黄原子(C−S−C)も含むことができる。好ましい化合物は親油性である。
【0075】
炭素硫黄二重結合又は炭素セレニウム二重結合を含む適当な化合物としては、例えば式(XVII)の化合物:
【化9】


[式中、XはS又はSeであり;R及びRは、各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシ、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はNRであり;或いはそれらが結合する炭素と共にR及びRは炭素及び任意選択にオキシ(−O−)、チオ(−S−)又は窒素(−NR)−から選択される1つ、2つ又は3つのヘテロ原子を含む5、6、7又は8員環の飽和又は不飽和の環を形成し、前記環は任意選択に1つ、2つ又は3つのハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール又はヘテロアリールで置換され;R、R及びRは各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、ヘテロアリールであり;R、R、R、R及びRのいずれかの(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシ、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、又は(C〜C20)アルキニルは、1つ又は複数(例えば1つ、2つ、3つ又は4つ)のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール又はヘテロアリールで任意選択に置換され;アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数(1つ、2つ、3つ、又は4つ)のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される]
又はその塩が含まれる。
【0076】
本明細書で使われる用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0077】
用語「アルキル」、「アルコキシ」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、本明細書で使われるように、分岐及び非分岐の基を意味する;しかし、「プロピル」のような個々の基に言及する場合は、直鎖で非分岐鎖の基のみを含み、「イソプロピル」のような分枝鎖異性体は特別に呼ばれる。
【0078】
本明細書で使われるように、用語「アリール」は6〜30個の原子を含み少なくとも1つの環が芳香環である、単環式又は多環式炭化水素基を意味する。好ましくは、アリールはフェニル基又は約9〜10個の環原子を有し少なくとも1つの環が芳香環であるオルト縮合二環式炭素環基を意味する。「ヘテロアリール」は、炭素と非ペルオキシド酸素、硫黄及びN(X)からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子からなる5個又は6個の環原子を含む単環式芳香環の基を含み、Xは無であるか、H、O、(C〜C)アルキル、フェニル又はベンジルであり、並びにそこから誘導される8〜30個の原子を含む多環式環の基を含む。好ましくは、ヘテロアリールは、炭素と非ペルオキシド酸素、硫黄及びN(X)からなる群からそれぞれ選択される1〜4個のヘテロ原子からなる5個又は6個の環原子を含む単環式芳香環の環炭素を介して結合した基を含み、Xは無であるか、H、O、(C〜C)アルキル、フェニル又はベンジルであり、並びにそこから誘導された約8〜10個の環原子のオルト縮合二環式複素環の基、特にベンズ誘導体又はプロピレン、トリメチレン若しくはテトラメチレンジ基をそこへ縮合することによって誘導したものを含む。
【0079】
メルカプト基を含む適当な化合物としては、例えば式RSHの化合物又はその塩が含まれ、但し、式中:Rは、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;Rの(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、又は(C〜C20)アルキニルのいずれかは、1つ又は複数(例えば1つ、2つ、3つ又は4つ)のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール又はNRで任意選択に置換され;R及びRは各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)、アルキニル(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール又はヘテロアリールであり;アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数(1つ、2つ、3つ、又は4つ)のハロゲン、メルカプト、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される。
【0080】
他の適当な化合物としては、例えば式RNCSの化合物又はその塩が含まれ、但し、式中、Rは(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;Rの(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、又は(C〜C20)アルキニルのいずれかは1つ又は複数(1つ、2つ、3つ、又は4つ)のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール又はNRで任意選択に置換され;R及びRは各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール又はヘテロアリールであり;アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数(1つ、2つ、3つ、又は4つ)のハロゲン、メルカプト、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される。
【0081】
炭素−セレン単結合又は炭素硫黄単結合を含む他の適当な化合物としては、式R−X−Rの化合物
[式中:
Xは−S−又は−Se−であり;
は(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;Rは水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;
又は、R及びRはXと共にヘテロアリールを形成し;
又はRの(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、又は(C〜C20)アルキニルのいずれかは、1つ又は複数(例えば1つ、2つ、3つ又は4つ)のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール又はNRで任意選択に置換され;
及びRは各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール又はヘテロアリールであり;
アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数(1つ、2つ、3つ、又は4つ)のハロゲン、メルカプト、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される]
又はその塩が含まれる。
【0082】
下記に示す基、置換基及び範囲の具体的な好ましい値は説明のためだけにすぎず、それらは、基及び置換基についての他の定義値や定義範囲の他の値を排除するものではない。
【0083】
具体的には、(C〜C20)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチル又はヘキシルでよく;(C〜C)シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルでよく;(C〜C20)アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシ又はヘキシルオキシでよく;(C〜C20)アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル又は5−ヘキセニルでよく;(C〜C20)アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル又は5−ヘキシニルでよく;(C〜C20)アルカノイルは、アセチル、プロパノイル又はブタノイルでよく;(C〜C20)アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル又はヘキシロキシカルボニルでよく;(C〜C20)アルカノイロキシは、アセトキシ、プロパノイロキシ、ブタノイロキシ、イソブタノイロキシ、ペンタノイロキシ又はヘキサノイロキシでよく;アリールは、フェニル、インデニル又はナフチルでよく;ヘテロアリールはフリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(又はそのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(又はそのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(又はそのN−オキシド)或いはキノリル(又はそのN−オキシド)でよい。
【0084】
具体的には、R及びRはそれぞれ独立に水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はNRであり;R及びRは各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、又はヘテロアリールであり;R、R、R及びRの(C−C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシ、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、又は(C〜C20)アルキニルのいずれかは、1つか2つのハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール又はヘテロアリールで任意選択に置換され;アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される。
【0085】
具体的には、R及びRは各々独立して水素、(C〜C10)アルキル、(C〜C10)アルケニル、(C〜C10)アルキニル、アリール又はNRでよい。
【0086】
具体的には、それらが結合する炭素と共にR及びRは炭素及び任意選択にオキシ(−O−)、チオ(−S−)又は窒素(−NR)−から選択される1つ又は2つのヘテロ原子を含む5又は6員環の飽和又は不飽和の環を形成することができ、前記環は任意選択に1つ、2つ又は3つのハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール又はヘテロアリールで置換され;Rは水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、ヘテロアリールであり;R、R、及びRのいずれかの(C〜C20)アルキル、(C〜C20)シクロアルキル、(C〜C20)アルコキシ、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、又は(C〜C20)アルキニルは、1つ又は複数のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール又はヘテロアリールで任意選択に置換され;アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される。
【0087】
具体的には、R及びRは各々独立してNRでよく;R及びRは各々独立して水素、(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、ヘテロアリールであり;(C−C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、又は(C〜C20)アルキニルのいずれかは、1つ又は複数のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、アリール又はヘテロアリールで任意選択に置換され;アリール又はヘテロアリールのいずれかは1つ又は複数のハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換される。
【0088】
具体的には、R及びRは各々独立してアミノ、(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アルキルアミノ、アリルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、フェニルアミノ又は4−チアゾイルアミノでよい。
【0089】
具体的には、R及びRは各々独立してアミノ、メチル、アリルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、フェニルアミノ又は4−チアゾイルアミノでよい。
【0090】
の具体的な値は、1つ又は複数のハロゲン、メルカプト、オキソ、チオキソ、カルボキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール又はNRで任意選択に置換された(C〜C20)アルキルである。
【0091】
の具体的な値は、2−アミノエチル、2−アミノ−2−カルボキシエチル又は2−アシルアミノ−2−カルボキシエチルである。
【0092】
の具体的な値は、1つ又は複数のハロゲン、メルカプトヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C〜C20)アルカノイル、(C〜C20)アルカノイロキシ、スルホ、又は(C〜C20)アルコキシカルボニルで任意選択に置換されたアリールである。
【0093】
具体的には、Rは(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アルケニル、(C〜C10)アルキニル、アリール又はヘテロアリールであり;Rは水素、(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アルケニル、(C〜C10)アルキニル、アリール又はヘテロアリールである。
【0094】
具体的には、R及びRはXと共にヘテロアリールを形成する。
【0095】
好ましい有機化合物からは、1つ又は複数のメルカプト(C−SH)基を含むポリペプチド及びタンパク質は排除される。
【0096】
好ましい有機化合物からは、1つ又は複数のメルカプト(C−SH)基を含む化合物は除外される。
【0097】
一実施形態では、好ましくは消光試薬はヨウ化物、ヨウ素、硫酸塩、硝酸塩、イソプロパノール、2−(4−アミノフェニル)−6−メチルベンゾチアゾール(APBNH)、酸化ジメチルデシルホスフィン、ピロリン酸、ベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、n−ブタノール、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)、(2−(6’−ヒドロキシ−2’−ベンゾチアゾリル)−チアゾール−4−カルボン酸、エチレンジアミンテトラエチレンジアミン四酢酸、2(o−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール、アデノシン5’−三リン酸、酸化2’,3−非環式ジアルコール過ヨウ素酸塩、還元ホウ化水素、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、クエン酸、トゥイーン(登録商標)20及びトリトン(登録商標)X−100ではない。他の実施形態において、消光試薬を含む組成物は、クエン酸、n−ブタノール、イソプロパノール、エチルアルコール、ヨウ化物、ヨウ素、トゥイーン(登録商標)20、トリトン(登録商標)X−100、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド及びそのいかなる組合せも含まない。他の実施形態では、消光試薬はチオールではない。他の実施形態では、消光試薬は甲虫ルシフェラーゼの選択的消光試薬ではない。
【0098】
本発明は、1つ又は複数の選択的消光試薬を含む、単一リポーター及び二重リポーターのアッセイキットも含む。単一リポーターキットは、酵素媒介発光反応からの光子発光を消光することができる少なくとも1つの選択的消光試薬組成物を含む。前記少なくとも1つの選択的消光試薬組成物は、適当な第1の容器内に入れられる。酵素媒介発光反応の少なくとも1つの機能的酵素基質が、前記少なくとも1つの機能的酵素基質が置かれる適当な第2の容器と共に任意選択にキットに含まれる。キットは、使用説明書も含む。
【0099】
一実施形態では、2つ以上の選択的消光試薬が本発明の方法、組成物及びキットで使用され、好ましくは、消光に及ぼすその複合効果は相加作用以上である。
【0100】
二重リポーターキットは、少なくとも1つの酵素媒介発光反応からの光子発光を消光させることができるが、少なくとも1つの第2の異なる酵素媒介発光反応を実質的に消光させることのできない少なくとも1つの選択的消光試薬を含む。或いは、又は少なくとも1つの選択的消光試薬に加えて、キットは、少なくとも1つの酵素媒介発光反応からの光子発光を選択的に消光させることができるが、第2の異なる酵素媒介発光反応からの光子発光を実質的に消光させることのできない少なくとも1つの第1の消光試薬を含む消光及び活性化組成物を含む。前記少なくとも1つの選択的消光試薬組成物、又は消光及び活性化組成物は、適当な第1の容器内に置かれる。第1の酵素媒介発光反応のための少なくとも1つの機能的酵素基質が、適当な第2の容器内に置かれる。任意選択に、二重リポーターキットは、適当な第3の容器内に置かれた第2の酵素媒介発光反応のための少なくとも1つの機能的酵素基質を含む。この二重リポーターキットは、使用説明書も含む。また、任意選択に、この二重リポーターキットは適当な第3の容器内に置かれた、前記第1の選択的消光試薬とは異なる少なくとも1つの第2の消光試薬も含むことができる。選択的な消光試薬であってもよい第2の消光試薬は、第2の異なる酵素媒介発光反応を消光させることができる。
【0101】
本発明は、本発明の方法を実施するためのアッセイキットも含む。そのようなキットは、1つ又は複数の容器内に、通常アッセイでの使用を容易にするように便利に梱包されて、前記方法を実施するための様々な組成物を大量に含む。このように、甲虫ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ基質又はATPのアッセイキットには、以下の1つ又は複数或いはそのいかなる組合せも含むことができる組成物が含まれる:マグネシウムイオン、ATP、甲虫ルシフェラーゼ、ルシフェリン及び/又はチオール試薬。一実施形態では、そのような組成物は、CoA及びCoA以外のチオール試薬、例えばジチオトレイトール(DTT)を含んでもよく、他の成分、例えばタンパク質のルシフェラーゼ活性エンハンサー(例えば、精製酵素製剤中のウシ血清アルブミン又はグリコール)、EDTA若しくはCDTA、リン酸塩若しくは2−アミノエタノール、或いは甲虫ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応が適当な速度で進行するpH及びイオン強度の溶液を提供するための緩衝を含んでもよい。
【0102】
そのようなキット及び組成物の1成分は、カチオン、例えばマグネシウム、カルシウム、マンガンなどでよい。
【0103】
本発明の方法及び組成物で使用されるチオール試薬は、CoA又はCoA以外のチオール試薬である。CoA以外のチオール試薬は、反応が起こる温度、pH、イオン強度、化学組成などの条件下で空気飽和した水溶液内で還元剤として有効な遊離のスルフヒドリル基を有する試薬である。これらの試薬の中で好ましいものはDTTである。使用することができる他のものとしては、β−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール(いずれかがエナンチオマーであるか両方共いかなる組合せのエナンチオマーである)、3−メルカプトプロパノール、2,3−ジチオプロパノール及びグルタチオンがある。
【0104】
Renillaルシフェラーゼなどの花虫綱ルシフェラーゼの反応をアッセイするためのキットでは、組成物は例えばpH5の試薬緩衝、約0.5M KCl又はNaClなどの高濃度塩、セレンテラジン又はセレンテラジンhhなどの基質を含み、また他の成分を含んでもよい。
【0105】
アッセイキットは、1つ又は複数の基質、例えば第1の反応のための基質及び第2の反応のための基質、例えば発光反応の基質である生成物を生成する酵素の基質を含んでもよい。基質は、合成により調製してもよい。例えば、セレンテラジン又は他のルシフェリンの修飾された形態、「保護された」形態は、本明細書で記載するように本発明のキット及び方法で使用してもよい。保護されたセレンテラジンのような保護されたルシフェリンとしては、もはやルシフェラーゼと相互作用して発光を起こすことはないルシフェリンの修飾形態がある。一実施形態では、この修飾はルシフェリンへのいかなる酵素脱離可能な基の付加であり、この保護されたルシフェリンと適当な酵素との相互作用により発光が可能な活性ルシフェリンが生成する。保護されたルシフェリンを活性ルシフェリンに変換する酵素は、好ましくは非発光性の酵素である。参照によって本明細書に組み込まれている国際出願第03/040100号に開示されているセレンテラジンの全ては、保護されたセレンテラジンに変換することができる。
【0106】
上述の様々な成分は、例えば溶液又は凍結乾燥混合物中で、単一の容器又は複数の容器で様々な組合せ(個々も含む)で組み合わせることができる。酵素、コファクター又は基質が存在してもよい細胞内で酵素媒介発光反応により酵素、基質又はコファクターをアッセイするための好ましいキットには、細胞内に活性型又は活性化することができる形態で存在するかもしれない酵素、基質又はコファクターを(細胞溶解の間に放出される様々な酵素の作用に対して)保存しつつ、細胞を溶解するのに役立つ溶液(又は溶液を調製するための成分)が含まれる。
【0107】
当業者は、本明細書で記載されているものなど、及び本明細書で記載されているもの以外の組成物が、いかなるアッセイ反応混合物、したがって本発明のキットに、例えば酵素活性を維持又は強化するために、或いはアッセイ対象のサンプルの一定量を得るために使用される処置の結果として存在してもよいことは周知である。このように、一般には緩衝剤、例えばトリシン、HEPPS、HEPES、MOPS、トリス、グリシルグリシン、リン酸塩のようなものがpH及びイオン強度を維持するために存在する;酵素活性を高めるタンパク質物質、例えば哺乳類の血清アルブミン(好ましくはウシ血清アルブミン)又はラクトアルブミン又はオバルブミンが存在してもよい;EDTA又はCDTA(シクロヘキシレンジアミン四酢酸)のようなものは、アッセイするリポーターが抽出される系(例えば細胞)に存在するかもしれなく、また、リポーター又は他の反応成分に悪影響を与えるかもしれない含金属プロテアーゼ又はホスファターゼの活性を抑えるために存在してもよい。酵素を安定させるグリセリン又はエチレングリコールが存在してもよい。
【0108】
例えば、マグネシウムなどのカチオンへの対イオンが存在してもよい。当業者が理解するように、これらの対イオンの化学同一性及び濃度は、マグネシウムイオンを供給するために使用されるマグネシウム塩、使用する緩衝、溶液のpH、pH調節物質(酸又は塩基)並びにマグネシウム塩、緩衝及びpH調節用酸若しくは塩基以外のソースに由来する溶液中アニオンによって大きく異なる。一実施形態では、マグネシウムイオンは、所望のマグネシウムイオン濃度を提供するために、用いる緩衝(例えばトリシン)を含む溶液に溶かした炭酸塩として供給することができ、次に緩衝溶液のpHは硫酸などの強酸の添加によって調節することができ、その結果大部分の炭酸塩(及び重炭酸塩)は二酸化炭素として消失し、またこれらのアニオンは硫酸イオン、重硫酸イオン、トリシンアニオン及び恐らく他の種類のアニオン(アニオンを供給し溶液に存在するかもしれない他の物質(例えばリン酸塩)に依存する)によって置換される。アッセイ法が実施される溶液の空気からの酸素飽和は、ルシフェラーゼ反応で必要な分子状酸素を供給するのに十分である。いずれにせよ、アッセイ反応混合物中のルシフェラーゼの活性に有効な様々な成分、例えばこの方法に関する上の説明で具体的に列挙した成分の濃度を確かめることは、当業者には容易である。
【0109】
当業者に周知のように、キットを使用して実施するアッセイの信頼性及び精度を確保するため、またキットのアナライト(例えば酵素、基質、コファクターなど)についてのサンプルの定量分析を可能にするために、本発明の検査キットは様々な対照及び標準、例えば既知の酵素、基質又はコファクター、例えばATP、濃度の溶液、例えば酵素なし、基質なし、若しくはコファクターなし(例えば、蛍ルシフェラーゼ陰性対照のためのATPがない)の溶液を含むこともできる。
【0110】
本発明の方法に従ってアッセイすることができるサンプルの種類としては、とりわけ遺伝子リポーターとしての発光リポーター、細胞分子のリポーター又はその分子のモジュレーターとしての発光リポーター、イムノアッセイにおけるリポーター或いは核酸プローブハイブリダイゼーションアッセイにおけるリポーターを含むサンプルがある。イムノアッセイ及び核酸プローブ技術で理解されているように、本発明に従ってアッセイされる酵素は、それらの技術分野で公知の多数の方法のいずれかにより、イムノアッセイ又は核酸プローブハイブリダイゼーションアッセイでアナライトを検出する際に使用されるそれぞれ抗体若しくはその断片、又は核酸プローブと物理的、例えば化学的に又は組換えにより結合する。その後、同様に公知の方法に従い、リポーター標識抗体又は核酸プローブは分析するサンプルと合わされて検出対象の、サンプルに存在するかもしれない分子(例えば、イムノアッセイの場合は抗原若しくは抗抗原抗体、又は核酸プローブハイブリダイゼーションアッセイの場合は標的核酸)と結合し、次にアナライトと結合しなかったリポーター標識抗体又は核酸プローブは、もしあるとすれば結合したものから分離される。リポーターは本発明に従ってリポーターのアッセイの間、物理的に標識抗体又はプローブと結合を維持することができるか、或いは再び公知の方法により、本発明に従ってリポーターのアッセイの前に抗体又は核酸プローブから分離することができる。発光反応の媒介となる酵素をリポーター又は標識として使用することができるイムノアッセイ及び核酸プローブハイブリダイゼーションアッセイは、生物学、バイオテクノロジー及び医学の分野で多くの実用上の、また研究上の用途、例えば病原体の検出、遺伝子欠損の検出、疾患診断などを有する。
【0111】
本発明の方法に従ってリポーターの存在につきアッセイすることができる他の種類のサンプルは、リポーターの発現がプロモーター、又はリポーターをコードするDNAセグメントと結合した他の転写調節因子による転写の活性化に応じて、或いはリポーターをコードしているRNAの翻訳の結果として起こる細胞の抽出物である。そのような細胞において、発光リポーターは、他の酵素、例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが転写又は転写の調節などの遺伝的事象をモニターするために用いられる方法と同様に使用される。そのような発光リポーターの使用は分子生物学及び生物医学で有益なものであり、例えば特定のプロモーター又は他の転写調節因子における転写活性化又は転写抑制活性に基づく治療活性について化合物をスクリーニングする際に使用することができる。
【0112】
例えば、二重アッセイでは、2つの異なる酵素、例えば蛍ルシフェラーゼ及びRenillaルシフェラーゼを含むサンプル、又は異なる酵素媒介発光反応によって検出することができる異なる分子のいかなる組合せ、例えばプロテアーゼとATPを含むサンプルがアッセイされる。サンプルとしては、非細胞性サンプル、例えば精製酵素を有するサンプル、in vitro翻訳反応又はin vitro転写/翻訳反応、細胞性(無傷の)サンプル、原核又は真核サンプル、或いは細胞溶解物がある。第1に、前記2つの酵素媒介反応の1つのための活性化(開始)剤をマルチウェルプレートウェルのウェルなどの容器に入ったサンプルに加え、得られた発光を測定する。特定の消光及び活性化試薬を次にウェルに加えて第1の酵素媒介反応を選択的に消光し、同時に第2の酵素媒介反応を活性化する。代わりに、選択的な消光試薬及び第2の酵素媒介発光反応に特異的な第2の光活性化試薬を、サンプルに順番に加えることができる。第2の反応からの発光を次に第1のものと同様にして測定する。任意選択に、サンプルからの発光は次に第2の消光試薬、例えば非選択的消光試薬又は第2の酵素媒介反応のための選択的消光試薬を加えることによって消光してもよい。このように、本発明は単一のサンプル内で2つの異なるパラメータを測定することができる多重発光アッセイを提供する。上記の如く、酵素媒介反応の1つは内部標準の働きをし、他の酵素媒介反応は遺伝マーカー又は他の実験変数として機能することができ、或いは、各々の反応では異なる実験変数を測定することができる。更に、当業者が理解するように、アッセイ法である本発明の方法は、通常適当な対照又は標準を用いて実施され(例えば、分析するサンプルは酵素を含まない溶液及び既知の濃度の酵素を含む溶液と並行して分析される)、適当な標準を使用した場合、この方法は測定用サンプル(即ち、分析サンプル)内の検出対象の分子の濃度を定量するように調整することができる。
【0113】
例えば、甲虫(Wood、1991)及びRenilla(Mathews他、1977)のルシフェラーゼの活性を定量化するために従来使用されているアッセイ化学は不適合であった。本発明はRenillaルシフェラーゼアッセイと蛍又はコメツキムシルシフェラーゼ反応のそれとを混合した革新的な化学処方を具現化することにより、新規二重ルシフェラーゼリポーターアッセイを作出する。
【0114】
水溶液である本発明の組成物、例えば本発明の方法で使用される組成物では、基質は一般的に約0.01μMから約2mMの濃度で存在する。蛍ルシフェラーゼでは、ルシフェリンは最大の光アウトプットのために最適化された試薬中では約0.47mMで、また安定したシグナルのために最適化された試薬中では約1mMで飽和する。Renillaルシフェラーゼでは、セレンテラジンは最大の光アウトプットのために最適化された試薬中では約2μMで、また安定したシグナルのために最適化された試薬中では約60から100μMで飽和する。ATPが存在する組成物中では、ATP濃度は約0.01mMから約5mMまで変動し、好ましくは約0.5mMである。そのような水溶液組成物中にCoAが存在する場合は、CoAの濃度は約0.001mMから約5mMまで変動し、好ましくは約0.2mMから1mMである。同様に、存在するDTTの濃度は約20mMから約200mMであり、好ましくは約20から40mMである。
【0115】
連続的なRenillaルシフェラーゼ及び甲虫ルシフェラーゼアッセイでは、リポーターNo.1、つまりRenillaルシフェラーゼ媒介発光反応の100%制御値は、消光試薬の添加前の反応からの発光を定量化することによって測定される。リポーターNo.2、例えば蛍ルシフェラーゼ媒介発光反応の100%制御値は、消光試薬及びリポーターNo.1の基質を含まない反応からの発光を定量化することによって測定される。
【0116】
表1〜2及び図4は、Renillaルシフェラーゼ媒介反応又はワサビペルオキシダーゼ媒介反応(リポーターNo.1)を定量化し、次に試薬の添加によって消光する状況に適用した本発明を示す。より詳細には、表1は、Renillaルシフェラーゼ媒介反応(リポーターNo.1)が定量化され、次に基質類似体、例えばセレンテラジンhhメチルエーテル、隔離剤、例えばTergitol(登録商標)、黄色化合物、例えばベルベリンヘミサルフェート、又はその組合せを含む組成物の添加によって選択的に消光する状況に適用された本発明を示す。それらの同じ試薬は、蛍ルシフェラーゼ(リポーターNo.2、図1〜3を参照)の発光反応に影響を及ぼさない。これらの例は、二重発光リポーターアッセイのユニークな、統合した性質を納得させるものである。両方の発光リポーター酵素の活性は、同じ機器を使用して単一の試験管に入った同じサンプル内から迅速に定量化することができる(表1)。このように、二重アッセイの統合された化学により、個々の発光シグナルを単一のサンプル内で発現した2つの異なる発光リポーター酵素の反応と区別する能力が提供される。
【0117】
本明細書で同じく記載されているように、白いルミノメータープレート及び発光酵素を含まない発光反応混合物に存在する1つ又は複数のアナライトはバックグラウンドリン光をもたらす。このリン光を消光するために、その存在下で発光反応によって生じた光が透過し、即ち検出され、しかし、リン光によって生じた光は透過しないように着色化合物が選択される。このように、赤色コメツキムシルシフェラーゼによって生じた赤色光のためには、少なくとも1つの赤色化合物が使用される。緑色コメツキムシルシフェラーゼによって生じた緑色光のためには、少なくとも1つの緑色化合物が、またRenillaルシフェラーゼによって生じた青色光のためには少なくとも1つの青色化合物が使用される。前記1つ又は複数の着色化合物は、発光反応を媒介する酵素を有するかそのことが疑われるサンプルの添加の前に反応混合物に加えてもよく、反応混合物へのサンプルの添加の前にサンプルに加えてもよく、又は反応混合物とサンプルを合わせるときに加えてもよい。
【0118】
本発明を、以下の非限定的な実施例により更に説明する。
【実施例1】
【0119】
Renillaルシフェラーゼの選択的消光
Renillaルシフェラーゼ発光反応を、選択的に消光されるその能力に関して評価した。3つのクラスの化合物、Renillaルシフェラーゼの基質類似体、例えばセレンテラジンhhメチルエーテル、隔離剤、例えばTergitol NP−9などの界面活性剤、及び/又は黄色い着色化合物、例えばベルベリンヘミサルフェートを試験した。
【0120】
物質及び方法
ホタルルシフェラーゼ発光反応に対する、セレンテラジンhhメチルエーテルの影響を試験するために、ルシフェラーゼ試薬(270μMの補酵素A(Pharmacia)、530μMのATP(Pharmacia)、20mMのトリシンpH7.8(Fisher)、1mMの炭酸マグネシウム(Sigma)、0.1mMのETDA(Sigma)、2.7mMの硫酸マグネシウム(Sigma)、及び33mMのジチオスレイトール(Sigma))を、さまざまな濃度の甲虫ルシフェリン(Promega)を用いて、シフェラーゼ飽和に必要とされる濃度(940μM、470μM、235μM及び117.5μM、飽和は約470μMで起こる)より上及び下で調製した。セレンテラジンhhメチルエーテル(Promega Biosciences)をDMSOに溶かし、0μM、20μM、50μM及び100μMで、異なるルシフェラーゼ試薬に加えた。ホタルルシフェラーゼからの発光を、20μlのホタルルシフェラーゼ(5×10−14モル/反応)(Promega Corp.)を、1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)を含む1×細胞培養物溶解試薬(Promega Corporation)に溶かしたものを、100μlのルシフェラーゼ試薬に加えることによって測定した。セレンテラジンhhメチルエーテルの不在下で統一した値に、発光を標準化した。
【0121】
ホタルルシフェラーゼ発光反応に対する、Tergitol(登録商標)NP−9の影響を試験するために、ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega Corporation)を、製造者の指示書に従い調製した。Tergitol NP−9(Sigma)を試薬に滴定した。20μlのホタルルシフェラーゼ(2.5×10−14モル/反応)を、150mMのHEPES pH7.4及び1mg/mlゼラチンに溶かしたものを、100μlの試薬に加えた後に、発光を統一した。界面活性剤なしで統一した値に、発光を標準化した。
【0122】
ホタルルシフェラーゼ発光反応に対する、ベルベリンヘミサルフェートの影響を試験するために、Steady−Glo(登録商標)試薬(Promega Corporation)を、製造者の指示書に従い調製した。ベルベリンヘミサルフェートをDMSOに溶かし、さまざまな濃度の試薬に滴定した。1mg/mlのBSA(Fisher)を含むF12培地(Life Technologies)に、約2.2×10−15モル/反応に、ホタルルシフェラーゼを希釈した。100μlのSteady−Glo(登録商標)試薬と100μlの希釈酵素を組み合わせることによって、発光反応を開始させた。界面活性剤なしで統一した値に、発光を標準化した。
【0123】
Renillaルシフェラーゼ発光反応に対する、セレンテラジンhhメチルエーテル、Tergitol(登録商標)NP−9及び/又はベルベリンヘミサルフェートの影響を試験するために、Renillaルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega Corporation)を、製造者の指示書に従い調製した。ルシフェラーゼアッセイバッファー(pt.E152、Promega Corporation)は、1%のTergitol NP−9、200μMのセレンテラジンhhメチルエーテル、1mMのベルベリンヘミサルフェート、又はこの3つの組合せと組み合わせた。それぞれのバッファーを、ルシフェラーゼアッセイ基質(pt.E151、Promega Corporation)のバイアルに加えて、ルシフェラーゼアッセイ試薬(LAR)及び消光剤を作製した。Renillaルシフェラーゼ(5×10−14モル/反応)を、150mMのHEPES(pH7.471)及び1mg/mlゼラチン中で調製した。20μlの酵素溶液を100μlのRenillaルシフェラーゼアッセイ試薬に加えることによって、発光を開始させ、測定した。100μlのルシフェラーゼアッセイ試薬を後に加えることによって、Renilla発光を停止させ、残りの発光を測定することができた。残りのRenillaルシフェラーゼ発光で最初のRenillaルシフェラーゼ発光を割った商として、消光の倍数を計算した。
【0124】
結果
それぞれの試験した選択的消光試薬は、ホタルルシフェラーゼ発光反応に対して、ほとんど有害な影響が無いことが示された(図1〜図3)。これらの同じ試薬を、Renillaルシフェラーゼ仲介型発光を停止させるそれらの能力に関して、次いで試験した(表1)。高濃度のセレンテラジンhhメチルエーテルに関しては、いくつかの物質、例えばTergitol NP−9(Sigma)などの隔離剤を加えることが、溶解度を維持し且つ/或いは増大させるために必要であった。さらに、セレンテラジンhhメチルエーテルによる消光は、隔離剤の存在によって増大した。
【0125】
黄色い色素を、ホタル反応からの光の生成に影響を与えずに、Renillaルシフェラーゼ発光反応からの青い光を吸収する、それらの傾向に関して調べた。試験した黄色い色素の中で、ジピリダモール(データ示さず)及びベルベリンヘミサルフェートは、Renillaルシフェラーゼ発光反応の、選択的消光試薬であることが示された(例えば、表1及び図3を参照)。例えば、1mMにおいてジピリダモールは、約35倍Renillaルシフェラーゼ発光反応を停止させることが見出され、1mMにおいてベルベリンヘミサルフェートは、約46倍〜89倍反応を停止させることが見出された。
【0126】
選択的消光物質が、ホタルルシフェラーゼ発光反応に有害に影響を与えることはなかったが、Renillaルシフェラーゼ発光反応に対する、これらの個別の影響又は組合せの影響は劇的であった。
【表1】

【実施例2】
【0127】
連続的なルシフェラーゼ測定用の、選択的消光試薬の使用
物質及び方法
Renillaルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega Corporation)を、製造者の指示書に従い調製した。ルシフェラーゼアッセイバッファー(pt.E152、Promega Corporation)は、1%のTergitol NP−9、200μMのセレンテラジンhhメチルエーテル、及び1mMのベルベリンヘミサルフェートと組み合わせた。ルシフェラーゼアッセイバッファーを、ルシフェラーゼアッセイ基質(pt.E151、Promega Corporation)に加えて、ルシフェラーゼアッセイ試薬及び消光剤を作製した。アッセイ用の酵素ストックを、150mMのHEPES(pH7.471)及び1mg/mlゼラチン中で調製した(酵素安定化用)。それぞれ約5×10−12及び5×10−14モル/反応の最終濃度で、Renillaルシフェラーゼ及びホタルルシフェラーゼのストック、並びに前述のRenillaルシフェラーゼとホタルルシフェラーゼのストックの50:50混合物を調製した。20μlのそれぞれの酵素ストックを100μlのRenillaルシフェラーゼアッセイ試薬に加え、発光を統一することによって、発光を生成させた。100μlのルシフェラーゼアッセイ試薬を後に加えることによって、Renilla発光を停止させ、ホタル発光を測定することができた。次いでホタルルシフェラーゼ発光又は残りのRenillaルシフェラーゼ発光を、それぞれの酵素サンプルに関して測定した。ホタルルシフェラーゼとRenillaルシフェラーゼの50:50混合物を含む酵素サンプルについての発光値を2倍にして、酵素濃度を標準化した。
【表2】

【0128】
結果
表2中のデータから、第二の酵素、ホタルルシフェラーゼが、3つの消光試薬の組合せを使用して、第一の酵素反応、Renillaルシフェラーゼ反応の後に、確実に測定することができることが示される。したがって、改変型ルシフェラーゼアッセイ試薬を使用して、Renilla発光反応を停止させることによって、Renilla及びホタル酵素を同じサンプルから正確に測定することができる。
【実施例3】
【0129】
着色化合物とホースラディシュペルオキシダーゼの発光反応からの光の消光
物質及び方法
KPO、pH6.5中で調製した、0.044mg/mlホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)の20μlを、50mMのNaHCO、2μMのH+/−100μMのベルベリンヘミサルフェートの100μlに加えた。対照反応物は、ベルベリンヘミサルフェートを含んでいなかった。100μlの10mMのLuminol(Sigma)を55mMのNaOHに溶かしたものを次いで加えて、化学発光反応を開始させ、発光はルミノメーターで測定した。反応開始後のさまざまな時間で、発光を捉えた。
【0130】
結果
表1において明らかであるように、ベルベリンヘミサルフェート(黄色い化合物)を使用して、(青い発光を放射する)Renillaルシフェラーゼからの、光の発生を停止させることができる。HRP仲介型反応も、青い光を発生させることができる。図4は、黄色い化合物を使用して、HRP系のレポーター系からの光を停止させることができることを示す。例えば、ベルベリンヘミサルフェートは、500倍を超えてホースラディシュペルオキシダーゼ依存性の化学発光を停止させた。したがって、多数のレポータータンパク質の一連の発光の測定値は、レポーターの1つがHRPである同じウェルから測定することができる。
【実施例4】
【0131】
プレート又はアナライトからのリン光の停止
発光反応用の白色ルミノメータープレートを使用すると、バックグラウンドリン光が生じることが多い。リン光では、原子又は分子によって放射される光が、励起源を除去した後で持続する。リン光は蛍光と類似しているが、種がそこから初期状態に移行することはできない準安定状態へと励起される。熱エネルギーにより電子がそこから下方遷移することができる状態になると、放射が起こり、目に見えるバンドにおいて経時的なそのエネルギーの段階的放出がもたらされる。したがって、リン光は温度依存性である。このリン光を停止させ、そうすることによりシグナル/バックグラウンド比を増大させるために、特定のルシフェラーゼによって生成する光が効果的に伝播するが、リン光からの光は伝播しないように、着色化合物を選択した。
【0132】
物質及び方法
アマランス及びベンゾプルプリン4Bは赤い化合物であり、赤いコメツキムシのルシフェラーゼは赤い光を放射する。蛍光増白剤28は黄色い化合物であり、ホタルルシフェラーゼは黄緑色の光を放射する。
【0133】
アマランス(Aldrich、120561)、ベンゾプルプリン4B(Aldrich番号22882)、及び蛍光増白剤28(Aldrich475300)のストックを、100μMでDMSO(Sigma)中において調製した。ルミノメータープレート(96ウェル)は、Dynex Technologiesから購入した。Promega Corporationから購入した1種のルミノメーターチューブ(直径12mm)に適合するように、ルミノメータープレートを粉々にした。正常な蛍光下において研究室内で、すべての実験を行った。
【0134】
この実験は、着色化合物又はDMSOを加える前後に、シグナル/バックグラウンド比を測定した。発光の測定値を、それぞれの実験で空の発光チューブから得て、バックグラウンド比を定量化した。白色ルミノメータープレートの破片、製造者(Promega Corporation)の指示書に従い調製した100μlのBright−Glo(商標)試薬、及び100μlのGlo溶解バッファー(Prornega Corporation)を発光チューブ中に置き、発光を再度測定した。この測定によって、市販のホタルルシフェラーゼ試薬中において、ルミノメータープレートから放射されたリン光を捉えた。2μlのDMSO、又はDMSO中の色素の1つを次いでチューブに加え、サンプルを混合し、発光を3回測定した。この測定は、現時点で着色されていた試薬又はDMSO担体を含む試薬によって、放射された発光の量を捉えた。最後に、2μlのルシフェラーゼをチューブに加え、サンプルを混合し、発光を最後に測定した。すべての発光測定値は、2秒の遅延後の10秒間の統一値であった。
【0135】
ホタルルシフェラーゼは、1mg/mlのブタゼラチン(Sigma Chemical)を含むGlo溶解バッファー中に1.4×10−5mg/mlの濃度の、Promega CorporationからのQuantiLum(登録商標)ルシフェラーゼであった。赤いコメツキムシのルシフェラーゼは、Glo溶解バッファーを用いて作製した細胞溶解物から、赤いコメツキムシのルシフェラーゼで一過的にトランスフェクトしたCHO細胞から得た。このサンプル中の絶対的なルシフェラーゼ濃度は知られていないが、シグナル/バックグラウンドの改善は、バックグラウンドを超える発光を発生する任意の量のルシフェラーゼで評価することができる。
【0136】
ルシフェラーゼサンプルからのバックグラウンドを引いた発光を、試薬+プレート破片サンプルのバックグラウンドを引いた発光で割って、リン光のシグナル/バックグラウンド比を計算した。ルシフェラーゼサンプルからのバックグラウンドを引いた発光を、DMSO−又は色素を加えたサンプルのバックグラウンドを引いた発光で割って、DMSO又は色素サンプルのシグナル/バックグラウンド比を計算した。したがってシグナル/バックグラウンドの改善値は、リン光の比で割ったDMSO又は色素の存在下での比であり、次いで1を引き、パーセントとして表す。
【表3】

【0137】
結果
表3中に示すように、赤いコメツキムシのルシフェラーゼ仲介反応の赤い化合物、及びホタルルシフェラーゼ仲介反応の黄色い化合物などの、着色化合物は、それぞれの反応に加えると、シグナル/バックグラウンド比を改善した。
【0138】
表3中の負の数は、色素を含むサンプルが、チューブ単独で測定したバックグラウンドより、低い発光を有することを示す。したがって、シグナル/バックグラウンドの改善は、これらのサンプルに関しては計算することができない。何故なら、その値は無限だからである。
【0139】
したがって着色化合物は、均質な系中では、発光を測定する前に、細胞に加える試薬中に存在する可能性がある。不均質な系に関しては、着色化合物は、細胞に加える溶解試薬中に存在する可能性があり、その後反応用の試薬を加え、次いで発光を測定する。或いは、溶解試薬を細胞に加えることができ、その後、着色化合物を含む反応用の試薬を加え、次いで発光を測定する。
【0140】
参照文献
Annaert他、Pharmaceut.Res.、14,492(1997)。
Blaise他、「バイオ技法(BioTechniques)」、16、932(1994)。
Bronstein他、Anal−Biochem.、219、169(1994)。
Bronstein他、「生物発光及び化学発光:現状(Bioluminescence and Chemiluminescence:Current Status.)」(eds.P.E.Stanley及びL.J.Kricka)John Wiley & Sons、Inc.pp.73〜82(1991)。
Denburg他、「生物化学及び生物物理学の古文書(Archives of Biochemistry and Biophysics)」、134、381(1969)。
Denburg他、「生物化学及び生物物理学の古文書(Archives of Biochemistry and Biophysics)」、141、668(1970)。
Flanagan他、J.Virology、65、769(1991)。
Inoue他、Tetrahedron Letters、31、2685(1977)。
Jain他、BioTechniques、12、681(1992)。
Kobatake他、「生物発光及び化学発光(Bioluminescence and Chemiluminescence)」(ed.A.A.Szalay他])John Wiley & Sons、Chichester、pp.337〜341(1993)。
Kondepudi他、「サンフランシスコ、カリフォルニアで1994年12月10〜14日に、アメリカ細胞生物学者学会の年次総会で発表された、ポスター概要番号725(Poster abstract#725、presented at annual meeting of the American Society of Cell Biologist、Dec.10〜14、1994、San Francisco、Calif。
Leckie他、「バイオ技法(BioTechniques)」、17、52(1994)。
Lee他、「生物化学及び生物物理学の古文書(Archives of Biochemistry and Biophysics)」、141、38〜52(1970)。
Mathews他、「生物化学(Biochemistry)」、16、85(1977)。
Redden他、Int.J.Pharm.、180、151(1999)。
Schaap他、「臨床化学(Clinical Chemistry)」、35、1863(1989)。
Schram、「生物発光及び化学発光:現状(Bioluminescence and Chemiluminescence:Current Status.)」(eds.P.E.Stanley及びL.J.Kricka)John Wiley & Sons、Inc.、pp.407〜412(1991)。
Thompson他、「遺伝子(Gene)」、103、171(1991)。
Thorp他、「酵素学における方法(Methods in Enzymology)」、133、331(1986)。
Tsien、「ネイチャー(Nature)」、290、527(1981)。
米国特許出願5,831,102号。
Ward、「化学及び生物発光(Chemi−and Bioluminescence)」(ed.John Burr)Marcel Dekker、Inc.、New York、pp.321〜355(1985)。
Wood、Curr.Op.Biotech.、6、50(1995)。
Wood、「生物発光及び化学発光:現状中(in Bioluminescence & Chemiluminescence:Current Status.(eds.Stanley、P.E.、及びKricka、J.)John Wiley & Sons、Chichester.pp.543〜546(1991)。
【0141】
すべての刊行物、特許及び特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。前述の本明細書中において、そのいくつかの好ましい実施形態に関して本発明を説明し、多くの詳細を例示の目的で述べてきたが、本発明には他の実施形態が可能であり、本発明の基本原則から逸脱せずに、本明細書に記載した詳細のいくつかを相当に変えることができることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】蛍ルシフェラーゼ発光がRenillaルシフェラーゼの基質類似体、例えばセレンテラジンhhメチルエーテルに影響を受けないことを示す図である。
【図2】蛍ルシフェラーゼ発光が本発明の隔離剤の存在下で増加することを示す図である。
【図3】蛍ルシフェラーゼ発光が黄色化合物、例えばベルベリンヘミサルフェートに影響を受けないことを示す図である。
【図4】黄色化合物、色素ベルベリンヘミサルフェートがワサビペルオキシダーゼの化学発光を消失させることを示す図である。
【図5A】選択した界面活性剤の性質を示す図である。
【図5B】選択した界面活性剤の性質を示す図である。
【図5C】選択した界面活性剤の性質を示す図である。
【図5D】選択した界面活性剤の性質を示す図である。
【図5E】選択した界面活性剤の性質を示す図である。
【図5F】選択した界面活性剤の性質を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの甲虫ルシフェラーゼ媒介反応以外の第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと、
(b)前記第1の酵素媒介発光反応を選択的に消光し、前記第1の酵素媒介発光反応とは別の第2の酵素媒介発光反応を開始することができる組成物であって、前記第1の酵素媒介発光反応のための少なくとも1つの選択的消光試薬を含む組成物を導入するステップと、
(c)前記第2の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと
を含む、酵素媒介発光反応のアッセイ方法。
【請求項2】
(a)少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと、
(b)前記発光反応に選択的消光試薬である着色化合物を含む組成物を導入することによって前記第1の酵素媒介発光反応からの光子放出を消失させるステップと
を含む、酵素媒介発光反応のアッセイ方法。
【請求項3】
(a)少なくとも1つの甲虫ルシフェラーゼ媒介反応以外の第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと、
(b)前記発光反応に少なくとも1つの選択的消光試薬を含む組成物を導入することによって前記第1の酵素媒介発光反応からの光子放出を消失させるステップと、
(c)前記第1の酵素媒介発光反応とは異なる第2の酵素媒介発光反応を開始することができる組成物を導入するステップと、
(d)前記第2の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと
を含む、酵素媒介発光反応のアッセイ方法。
【請求項4】
前記組成物が前記第1の酵素媒介発光反応とは異なる第2の酵素媒介発光反応を開始することができる試薬を更に含み、
(c)前記第2の酵素媒介発光反応によって発生する発光エネルギーを検出又は測定する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの選択的消光試薬が前記第1の酵素の基質類似体阻害剤である、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの選択的消光試薬が隔離剤である、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記隔離剤は、第1の酵素の基質を隔離し、第2の酵素の基質を隔離しない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記隔離剤は非イオン性界面活性剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記隔離剤はクラウンエーテル、グリコール又はシクロデキストランである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの選択的消光試薬は着色化合物である、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項11】
前記着色化合物は、青色光、緑色光又は赤色光を消光する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)において、ルシフェラーゼ媒介発光反応が検出又は測定される、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項13】
前記ルシフェラーゼ媒介発光反応は、花虫綱ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(b)において、前記第1の酵素媒介反応は、トリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤、保護されたセレンテラジンである基質類似体阻害剤、黄色の化合物又はその組合せにより消光する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ルシフェラーゼ媒介発光反応は、Renilla reniformis(ウミシイタケ)ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記着色化合物は、青色光、緑色光又は赤色光を消光する、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(a)においてルシフェラーゼ媒介発光反応が検出又は測定される、請求項2又は4に記載の方法。
【請求項18】
前記ルシフェラーゼ媒介発光反応は、花虫綱ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ルシフェラーゼ媒介発光反応は、Renilla reniformis(ウミシイタケ)ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の酵素媒介発光反応は花虫綱ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の酵素媒介発光反応は、Renilla reniformis(ウミシイタケ)ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の酵素媒介発光反応はルシフェラーゼによって媒介される、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の酵素媒介発光反応はPhotinus pyralis(北米の蛍)ルシフェラーゼ、Pyrophorous plagiophthalamusルシフェラーゼ又はそれらの機能同等物によって媒介される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記酵素媒介発光反応の1つは、基質、酵素又はコファクターの存在又は量を検出する、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(a)において、ペルオキシダーゼ媒介発光反応が検出又は測定される、請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項26】
ワサビペルオキシダーゼ媒介発光反応が検出又は測定される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ステップ(a)においてホスファターゼ媒介発光反応が検出又は測定される、請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項28】
アルカリホスファターゼ媒介発光反応が検出又は測定される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の酵素媒介発光反応はペルオキシダーゼ媒介発光反応である、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の酵素媒介発光反応はワサビペルオキシダーゼ媒介発光反応である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の酵素媒介発光反応はホスファターゼ媒介発光反応である、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の酵素媒介発光反応はアルカリホスファターゼ媒介発光反応である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(a)において、第1のルシフェラーゼ媒介発光反応が検出又は測定され、前記第2の酵素媒介発光反応は第2の異なるルシフェラーゼ媒介発光反応である、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(a)において、前記第1の酵素媒介発光反応は花虫綱ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介され、前記第2の酵素媒介発光反応は甲虫ルシフェラーゼ又はその機能同等物によって媒介される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の酵素媒介発光反応はPhotinus pyralis又はPyrophorus plagiophthalamusのルシフェラーゼによって媒介される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)において、前記第1の酵素媒介発光反応はRenilla reniformisルシフェラーゼによって媒介される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記反応は、基質、酵素又はコファクターの存在又は量を検出する、請求項2に記載の方法。
【請求項38】
更に、
前記第2の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定した後に、前記第2の酵素媒介発光反応を消光させることができる少なくとも1つの第2の消光試薬を含む組成物を導入することによって前記第2の酵素媒介発光反応を消光させるステップを含む、請求項1、3又は4に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの第2の消光試薬は前記第2の酵素媒介反応を選択的に消光させることができる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記選択的消光試薬は前記第1の酵素媒介発光反応を少なくとも35倍消光する、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物に2つ以上の選択的消光試薬が存在する、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項42】
前記選択的消光試薬は、前記第1の酵素媒介発光反応を少なくとも100倍消光する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
酵素媒介発光反応で検出する分子のための少なくとも1つの機能的酵素基質であって、甲虫ルシフェラーゼの基質以外の基質と、
前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器と、
前記発光反応の媒介となる酵素の基質類似体阻害剤である少なくとも1つの選択的な消光試薬、着色化合物、又はトリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤を含む組成物と、
前記組成物がその中に入っている適当な第2の容器と、
取扱説明書と
を含む酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項44】
酵素媒介発光反応で検出する分子のための少なくとも1つの機能的酵素基質と、
前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器と、
花虫綱ルシフェラーゼに対する少なくとも1つの選択的消光試薬を含む組成物と、
前記組成物がその中に入っている適当な第2の容器と、
取扱説明書と
を含む酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項45】
前記選択的消光試薬は保護されたセレンテラジンである基質類似体阻害剤である、請求項43又は44に記載のキット。
【請求項46】
前記選択的消光試薬はクラウンエーテル、グリコール又はシクロデキストランである、請求項43又は44に記載のキット。
【請求項47】
前記選択的消光試薬はトリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤である、請求項44に記載のキット。
【請求項48】
前記選択的消光試薬は黄色化合物である、請求項43又は44に記載のキット。
【請求項49】
第1の酵素媒介発光反応で検出する分子のための第1の機能的酵素基質と、
前記第1の機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器と、
前記第1の発光反応を媒介する酵素の少なくとも1つの選択的消光試薬及び第2の異なる酵素媒介発光反応に対応する第2の異なる機能的酵素基質を含み、前記第1の発光反応を媒介する酵素は甲虫ルシフェラーゼではない消光及び活性化組成物と、
前記消光及び活性化組成物がその中に入っている適当な第2の容器と、
取扱説明書と
含む二重リポーター酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項50】
第1の酵素媒介発光反応で検出する分子のための第1の機能的酵素基質であって、甲虫ルシフェラーゼの基質以外の基質と、
前記第1の機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器と、
少なくとも1つの選択的消光試薬及び第2の異なる酵素媒介発光反応に対応する第2の異なる機能的酵素基質を含む消光及び活性化組成物と、
前記消光及び活性化組成物がその中に入っている適当な第2の容器と、
取扱説明書と
を含む二重リポーター酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項51】
前記第1の機能的酵素基質及び前記第2の異なる機能的酵素基質はルシフェラーゼ基質である、請求項49又は50に記載のキット。
【請求項52】
前記第1の酵素媒介反応は、トリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤、保護されたセレンテラジンである基質類似体阻害剤、黄色の化合物又はその組合せを含む、請求項49又は50に記載のキット。
【請求項53】
前記隔離剤はクラウンエーテル、グリコール又はシクロデキストランである、請求項49又は50に記載のキット。
【請求項54】
更に:
前記第2の異なる酵素媒介反応からの光子放出を消光させることができる第2の消光試薬;及び
前記第2の消光試薬がその中に入っている適当な第3の容器を含む、請求項49又は50に記載のキット。
【請求項55】
(a)少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと、
(b)前記発光反応に、トリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤、花虫綱ルシフェラーゼの基質類似体阻害剤、黄色の化合物又はその組合せを含む、少なくとも1つの消光試薬を導入することにより、前記第1の酵素媒介反応からの光子放出を消光するステップと、
を含む、酵素媒介発光反応のアッセイ方法。
【請求項56】
(a)少なくとも1つの第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと、
(b)前記発光反応に、トリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤、花虫綱ルシフェラーゼの基質類似体阻害剤、着色化合物又はその組合せを含む少なくとも1つの消光試薬を含む組成物を導入することにより、前記第1の酵素媒介発光反応を消光するステップとステップと
を含む、酵素媒介発光反応のアッセイ方法。
【請求項57】
酵素媒介発光反応でのアナライト非依存性又はアナライト依存性のリン光を減少抑制するための方法において、
(a)発光反応を媒介する酵素を含むサンプルと、着色化合物を含む前記酵素のための反応混合物であって、前記酵素を含まず前記化合物の色が前記発光反応で発生する光と実質的に同じ反応である混合物とを接触させるステップと、
(b)発光エネルギーを検出又は測定するステップと
を含む、方法。
【請求項58】
酵素媒介発光反応でのアナライト非依存性又はアナライト依存性のリン光を減少若しくは抑制するための方法において、
(a)発光反応を媒介する酵素及びその化合物の色が前記発光反応で発生する光と実質的に同じ着色化合物を含むサンプルを、前記酵素の反応混合物と接触させるステップと、
(b)発光エネルギーを検出又は測定するステップと
を含む、方法。
【請求項59】
前記反応混合物の発光エネルギーを前記サンプルと前記混合物を接触させる前に検出又は測定するステップを更に含む、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物は赤色、黄色、青色又は緑色の化合物である、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項61】
前記酵素は花虫綱ルシフェラーゼである、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項62】
前記酵素は甲虫ルシフェラーゼである、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項63】
酵素媒介発光反応で検出する分子のための少なくとも1つの機能的酵素基質と、
前記少なくとも1つの機能的酵素基質がその中に入っている適当な第1の容器と、
少なくとも1つの着色化合物と、
前記少なくとも1つの着色化合物がその中に入っている適当な第2の容器と、
取扱説明書とを含み、
前記少なくとも1つの化合物の色が前記酵素媒介発光反応によって発生する光と実質的に同じである
酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項64】
少なくとも1つの着色化合物及び酵素媒介発光反応で検出する分子のための少なくとも1つの機能的酵素基質と、
前記少なくとも1つの着色化合物及び前記少なくとも1つの機能的酵素基質が入っている適当な第1の容器と、
取扱説明書とを含み、
前記少なくとも1つの化合物の色は前記酵素媒介発光反応によって発生する光と実質的に同じである
酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項65】
発光反応を媒介する酵素の少なくとも1つの選択的消光試薬及び第2の異なる酵素媒介発光反応により検出する分子のための機能的酵素基質を含み、前記第1の発光反応を媒介する酵素は甲虫ルシフェラーゼではない消光及び活性化組成物と、
前記消光及び活性化組成物がその中に入っている適当な容器と、
取扱説明書と
を含む酵素媒介発光反応アッセイキット。
【請求項66】
前記第2の酵素媒介発光反応は甲虫ルシフェラーゼ媒介発光反応である、請求項65に記載のキット。
【請求項67】
前記第1の酵素媒介発光反応は花虫綱ルシフェラーゼ媒介発光反応である、請求項65に記載のキット。
【請求項68】
前記選択的消光試薬は、トリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤、花虫綱ルシフェラーゼの基質類似体阻害剤、着色化合物又はその組合せである、請求項65に記載のキット。
【請求項69】
(a)少なくとも1つの甲虫ルシフェラーゼ媒介反応以外の第1の酵素媒介発光反応によって発生した発光エネルギーを検出又は測定するステップと、
(b)前記第1の酵素媒介発光反応を選択的に消光し、前記第1の酵素媒介発光反応とは別の第2の酵素媒介発光反応を開始することができる組成物であって、前記第1の酵素のための基質類似体阻害剤である少なくとも1つの選択的消光試薬、トリトン(登録商標)X−100及びトゥイーン(登録商標)20以外の非イオン性界面活性剤、又は着色化合物を含む組成物を導入するステップと、
(c)前記第2の酵素媒介発光反応によって発生する発光エネルギーを検出又は測定するステップと
を含む、酵素媒介発光反応のアッセイ方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate


【公表番号】特表2006−517413(P2006−517413A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503513(P2006−503513)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/004075
【国際公開番号】WO2004/072299
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】