説明

光アイソレータの放熱構造

【課題】 光アイソレータの機能を損なうことなくファラデー素子の温度上昇を抑制し、安定した光学特性を得る。
【解決手段】 外熱伝導カバー体3内にアイソレータホルダ2を収納し、アイソレータホルダ2内に磁気光学結晶膜12、第1及び第2の熱伝導部6,7,8,9、偏光子15,16及び磁石18をそれぞれ配置し、第2の熱伝導部8,9の一部に屈曲可能な放熱フィン10,11を設け、磁気光学結晶膜12の両面に第1の熱伝導部6,7を装着し、第1の熱伝導部の外側に第2の熱伝導部8,9を配置し、放熱フィン10,11をアイソレータホルダ2のガイド開口部2a,2bを通過させ、外熱伝導カバー体の引き出し開口部3cから外熱伝導カバー体の外部に導き、外端部10a,11aを外部溝4d,5dに接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光アイソレータに用いられているファラデー回転子における光吸収に伴う温度上昇を抑制するための光アイソレータの放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力のレーザーを用いる分析医療その他の技術分野では、光アイソレータのような偏光制御モジュールに対する高パワー対応が要請されている。特に、730nm〜800nmや1000nm〜1200nmでは、偏光を回転させる機能を備えたファラデー回転子にガーネット結晶を用いた場合、ガーネット結晶の光吸収に伴う熱上昇の問題が発生する。この問題を解決するために例えば特開2005−25138号公報及び特開2005−43853号公報に記載の高パワー用光アイソレータ(以下、それぞれ「従来例1」及び「従来例2」という。)が提案されている。
従来例1の高パワー用光アイソレータにおける放熱構造は、ケース内に筒状のマグネットとリング状の放熱板をそれぞれの外周面がケース内周面に接するように収納し、マグネットの内部にはファラデー回転子を配置し、このファラデー回転子の片側面又は両側面に上記放熱板の片面を固定すると共に、放熱板の上記片面を上記マグネットの側面に固定する構成である(公報図2又は図5参照)。そして上記従来例1の高パワー用光アイソレータは、高パワーの入射光がファラデー回転子に入射されると、ファラデー回転子の光信号透過部分で光吸収により発熱し、発生した熱を放熱板を介してマグネットへ放熱して、ファラデー回転子の放熱効率の向上と温度上昇の抑制を図るものである。
従来例2の高パワー用光アイソレータにおける放熱構造は、筒状の外装ホルダ内に設けてある筒状のマグネットの内部にファラデー回転子を配置し、このファラデー回転子の両側面にサファイア結晶からなる伝熱材を接触させ、上記マグネットの内周面と上記ファラデー回転子及び伝熱材の外周面の空隙部に熱伝導性を有する充填材を充填する構成である(公報図5、図6及び図8参照)。そして上記従来例2の高パワー用光アイソレータは、高パワーの入射光がファラデー回転子に入射されると、ファラデー回転子の光信号透過部分で光吸収により発熱し、発生した熱は伝熱材から充填材を介してマグネットへ伝導され、さらにマグネットの外周面からこれに接触している外装ホルダの内周面へ放熱されるものである。
【特許文献1】特開2005−25138号公報
【特許文献2】特開2005−43853号公報
【特許文献3】特開平7−281129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の高パワー用光アイソレータにおいて、従来例1によれば放熱板がマグネットに直接接触されており、また従来例2の充填材はマグネットに直接接触されている。このために、ファラデー回転子の光信号透過部分で光吸収により発生した熱がマグネットに伝導され、特にこの熱が高い場合には、この高温がマグネットによる磁場を減少させ、光アイソレータの機能が損なわれる可能性がある。また光アイソレータ内で発生した熱を光アイソレータ内で放熱処理するために、素子が熱の影響を受け、安定した光学特性を得るための改良を必要としていた。
この発明の目的は、光アイソレータの機能を損なうことなくファラデー素子の温度上昇の抑制を図ると共に、安定した光学特性を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の第1の特徴は、内部に光アイソレータの本体を構成している素子である磁気光学結晶膜、偏光子及び磁石をそれぞれ配置してあるアイソレータホルダと、このアイソレータホルダを被覆している外熱伝導カバー体と、上記アイソレータホルダ内に設けてある第1及び第2の熱伝導部と、この第2の熱伝導部の一部である屈曲可能な放熱フィンとを具備していることにある。上記アイソレータホルダは、上記外熱伝導カバー体に向けて開口している放熱フィン用のガイド開口部を形成してある。上記外熱伝導カバー体は、上記ガイド開口部側に開口している放熱フィン用の引き出し開口部を形成してある。上記第1の熱伝導部は、上記磁気光学結晶膜の少なくとも片面側に設けてある。上記第2の熱伝導部は、上記第1の熱伝導部を挟んで上記磁気光学結晶膜とは反対側に位置しかつ、上記第1の熱伝導部に隣接して設け、光路上に穴を開けてある。上記放熱フィンは、上記磁石内から間隙を空けてその側方に延伸し、上記ガイド開口部から引き出し開口部を経て上記外熱伝導カバー体の外部に導き出されていると共に外端部が上記外部に接触している。
この発明の第2の特徴は、上記第1の特徴を前提として、第1の熱伝導部は磁気光学結晶膜の両面にこれを挟むように設けてあり、第2の熱伝導部は上記各第1の熱伝導部に対応してそれぞれ設けてあり、各第2の熱伝導部における放熱フィンはガイド開口部及び引き出し開口部を経て上記外熱伝導カバー体の外部に導き出されていることにある。
この発明の第3の特徴は、上記第1の特徴又は第2の特徴を前提として、アイソレータホルダは、外熱伝導カバー体内のホルダ収納空間に空隙部をもって収納されていることにある。
この発明の第4の特徴は、上記第1の特徴、第2の特徴又は第3の特徴を前提として、アイソレータホルダ内には、ガイド開口部側が開口され、磁気光学結晶膜、第1の熱伝導部、第2の熱伝導部及び偏光子を保持している素子保持ケースを設けてあることにある。
この発明の第5の特徴は、上記第1乃至第3のいずれかの特徴を前提として、アイソレータホルダ内には、ガイド開口部側が開口され、磁気光学結晶膜、第1の熱伝導部、第2の熱伝導部及び偏光子を保持している素子保持ケースを設けてあり、この素子保持ケースの外周であって磁石の両側にリング状のスペーサを配置してあり、両スペーサには上記ガイド開口部側に開口しかつ放熱フィンが通過可能である開口溝を形成してあることにある。
この発明の第6の特徴は、上記第1乃至第5のいずれかの特徴を前提として、外熱伝導カバー体の外部に引き出し開口部に連続して外部溝を形成し、この外部溝の底面に放熱フィンの外端部が接触されていることにある。
この発明の第7の特徴は、上記第1乃至第6のいずれかの特徴を前提として、第1の熱伝導部の熱伝導率は、磁性ガーネット結晶膜の熱伝導率以上であって、第2の熱伝導部の熱伝導率以下であり、この第2の熱伝導部の熱伝導率は外熱伝導カバー体の熱伝導率以下であることにある。
この発明の第8の特徴は、上記第1乃至第7のいずれかの特徴を前提として、外熱伝導カバー体はいずれもキャップ状の第1の外熱伝導カバー部と第2の外熱伝導カバー部とからなり、互いに対向する第1及び第2の外熱伝導カバー部の開口部側端部に引き出し開口部を形成するための切込み穴部をそれぞれ切り込んであることにある。
この発明の第9の特徴は、上記第1乃至第8のいずれかの特徴を前提として、外熱伝導カバー体の外部には放熱フィンの外端部を押圧するための押え板を設けてあることにある。
この発明の第10の特徴は、内部に光アイソレータの本体を構成している素子である磁気光学結晶膜及び偏光子をそれぞれ保持している断面溝形の素子保持ケースと、この素子保持ケース、筒状の磁石及びこの磁石を挟んで位置しているリング状のスペーサを収納しているパイプ状のアイソレータホルダと、このアイソレータホルダを被覆している外熱伝導カバー体と、上記素子保持ケース内に設けてある第1及び第2の熱伝導部と、この第2の熱伝導部の一部である屈曲可能な放熱フィンとを具備していることにある。上記アイソレータホルダは、上記外熱伝導カバー体に向けて開口している放熱フィン用のガイド開口部を形成してある。上記外熱伝導カバー体は、いずれもキャップ状の第1の外熱伝導カバー部と第2の外熱伝導カバー部とからなり、互いに対向する第1及び第2の外熱伝導カバー部の開口部側端部に放熱フィン用の引き出し開口部を形成するための切込み穴部をそれぞれ切り込んであり、上記引き出し開口部が上記ガイド開口部側に位置している。上記スペーサは素子保持ケースが貫通されており、上記ガイド開口部側が開口され、放熱フィンが通過可能である開口溝を形成してある。上記第1の熱伝導部は、上記磁気光学結晶膜の両面側に設けてあり、上記第2の熱伝導部は、上記両第1の熱伝導部を挟むように配置され、光路上に穴を開けてある。上記放熱フィンは、上記磁石内から間隙を空けてその側方に延伸し、上記開口溝及びガイド開口部から引き出し開口部を経て上記外熱伝導カバー体の外部に導き出されていると共に外端部が上記外部に接触している。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、磁気光学結晶膜から生じる熱を第1の熱伝導部から第2の熱伝導部へ熱伝導させて、さらに第2の熱伝導部の放熱フィンへ熱伝導させ、放熱フィンが外熱伝導カバー体の外部へ放熱させるために、簡単な構成により磁気光学結晶膜からの発熱を外部へ効率的に放熱することができ、温度上昇を抑制することができ、光アイソレータの機能を損なうことを防止することができ、安定した光学特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明の光アイソレータの放熱構造について図面を参照して説明する。
図1〜図5に示す光アイソレータSは、内部に素子保持ケース1を配置してあるアイソレータホルダ2、このアイソレータホルダを被覆している外熱伝導カバー体3、第1の熱伝導部6,7、第2の熱伝導部8,9及び各第2の熱伝導部から伸びている放熱フィン10,11を具備している。
【0007】
素子保持ケース1は、図1、図5〜図9に示すように上端開口である断面溝状に形成され、一端部(図8左端部)が蓋部1aとなっている。素子保持ケース1内には、図1及び図5に示すように、磁気光学結晶膜である磁性ガーネット結晶膜12、第1の熱伝導部である第1の熱伝導板6,7、第2の熱伝導部である第2の熱伝導板8,9、第1及び第2のレンズ13,14、偏光子である第1及び第2の複屈折結晶板15,16を収納し保持している。
光アイソレータSに入射するビームにおけるビームパワー密度は100W/cm以上に設定されている。光アイソレータSにおける各構成素子は、順方向のビームの光路に沿って配置されており、図1では、左側から右側に向けて第1のレンズ13、第1の複屈折結晶板15、一方の第2の熱伝導板8、一方の第1の熱伝導板6、磁性ガーネット結晶膜12、他方の第1の熱伝導板7、他方の第2の熱伝導板9、第2の複屈折結晶板16及び第2のレンズ14の順に配列されている。各構成素子6,7,8,9,12,13,14,15,16は、素子保持ケース1内の両端部に配置している透光性部材からなるストッパ17によって安定的に保持されている。
図1及び図6に示すように、素子保持ケース1の外側の中間部分には、磁性ガーネット結晶膜12を囲むように筒状の磁石18が配置されている。
【0008】
アイソレータホルダ2は、熱伝導率の低い部材、例えばステンレスなどによって図1及び図5〜図7に示すようにパイプ状に形成されている。アイソレータホルダ2は、図4及び図10に示すように上部の2箇所に放熱フィン用のガイド開口部2a,2bが形成されている。各ガイド開口部2a,2bの形状は図4に示す例では円形である。アイソレータホルダ2内には、その中間部分に磁石18を収納してあり、この磁石の両側にスペーサ19を配置してある。両スペーサ19は図11に示すようにリング状に形成され、上部に開口溝19aを設けてある。開口溝19aは各スペーサ19の全長に渡って形成されている割り溝となっている。割り溝19aはスペーサ19の外周面から中心に向けて切り込まれスペーサ19の外観を側面C形としており、後述する放熱フィン10,11が通過可能の溝幅を有している。両スペーサ19は磁石18の位置保持の安定に寄与している。
アイソレータホルダ2は、図1及び図7に示すように外熱伝導カバー体3のホルダ収納空間3aに収納されている。収納状態に関して説明すると、アイソレータホルダ2の外周面は外熱伝導カバー体3の内周面から空隙部20を空けられている。そして、図1に示すように、アイソレータホルダ2の側面側についても、外熱伝導カバー体3に対してアイソレータホルダの各側面の上下の2点で支持される以外は空隙部21が空けられている。このような空隙部20,21を設けることにより、外熱伝導カバー体3の熱がアイソレータホルダ2に伝導することを抑制している。
【0009】
外熱伝導カバー体3は、図1〜図5に示すようにいずれもキャップ状に形成されている第1の外熱伝導カバー部4と第2の外熱伝導カバー部5とを組み合わせたものである。第1及び第2の外熱伝導カバー部4,5には例えば銅、カーボン、アルミニウム、表面にアルマイト処理をしたものなどの熱伝導部材が用いられており、図示の例では銅が使用されている。
図2及び図4の左側に位置している第1の外熱伝導カバー部4の開口部の内周縁部に係合穴部4a(図12)を設け、右側に位置している第2の外熱伝導カバー部5の開口部に上記係合穴部に差込可能であるパイプ状の係合突部5a(図13)を設けてある。第1の外熱伝導カバー部4及び第2の外熱伝導カバー部5の開口部同士を嵌め込みによって結合させて、図1及び図5に示すように外熱伝導カバー体3が組み立てられ、その内部にアイソレータホルダ2全体を覆うホルダ収納空間3aが形成される。第1の外熱伝導カバー部4と第2の外熱伝導カバー部5の結合はボルト22によって固定されている。図2、図4及び図5に示すように第1の外熱伝導カバー部4の両側に雌ねじ付きのボルト挿入孔4bが図5左右方向に貫通され、両ボルト挿入孔に対向して第2の外熱伝導カバー部5の両側にボルト挿入孔5bが図5左右方向に貫通されている。ボルト22は第2の外熱伝導カバー部5のボルト挿入孔5bから挿入され、ボルトの雄ねじ22aが第1の外熱伝導カバー部4のボルト挿入孔4bの雌ねじと噛み合って、第1の外熱伝導カバー部と第2の外熱伝導カバー部との連結を補強している。
外熱伝導カバー体3はその両側中央部分に図1及び図5に示すようにビーム案内孔3bが貫通されており、両ビーム案内孔は外熱伝導カバー体内部のホルダ収納空間3aに達している。
外熱伝導カバー体3は、図1及び図3に示すように上部の中央部分に放熱フィン用の引き出し開口部3cが形成されている。引き出し開口部3cの形状は図3に示す例では長方形である。引き出し開口部3cは、図2、図4、図12及び図13に示す第1の外熱伝導カバー部4の上部に形成してある平面コ字形の切込み穴部4cと、第2の外熱伝導カバー部5の上部であって本体と係合突部5aに切り込んである切込み穴部5cとからなる。
第1の外熱伝導カバー部4及び第2の外熱伝導カバー部5のそれぞれの上部には引き出し開口部3cの端部に連続して浅い外部溝4d,5dが帯状に開口部とは反対側に延びている。
【0010】
図1、図5及び図14に示すように、磁性ガーネット結晶膜12の両側面に第1の熱伝導板6,7をそれぞれ装着してある。
第1の熱伝導板6,7はいずれも下記の熱伝導部材(1)〜(9)から適宜選択される。
(1)ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)
(2)酸化チタン(TiO
(3)サファイア(Al
(4)ポリタイプSIC(3C−SiC)
(5)ポリタイプSIC(4H−SiC)
(6)ポリタイプSIC(6H−SiC)
(7)六方晶窒化アルミニウム(hex.AIN)
(8)六方晶窒化ガリウム(hex.GaN)
(9)ダイヤモンド(C)
一方の第1の熱伝導板6の熱伝導部材として、(1)ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(以下「GGG」という。)を選択した場合には、他方の第1の熱伝導板7の熱伝導部材としては、上記(2)酸化チタン(TiO)〜(9)ダイヤモンド(C)の中からいずれかを選択するのが望ましい。
また一方の第1の熱伝導板6の熱伝導部材として、上記(2)酸化チタン(TiO)〜(9)ダイヤモンド(C)の中からいずれかを選択した場合には、他方の第1の熱伝導板7の熱伝導部材も、上記(1)GGG〜(9)ダイヤモンド(C)の中からいずれかを選択するのが望ましい。
上記それぞれの選択は、図1に示す放熱構造では、磁性ガーネット結晶膜12を挟む第1の熱伝導板6,7がいずれもGGG基板を使用した場合と比較して、熱伝導率はかなり高められ、放熱効率が向上する利点がある。
図示の例では第1の熱伝導板6,7の双方にサファイアを使用している。
第1の熱伝導板6,7は、それぞれ磁性ガーネット結晶膜12との境界面に光吸収のない状態で光学接着、圧着などの装着手段によって貼り付けるものである。
磁性ガーネット結晶膜12と各第1の熱伝導板6,7とは、筒状の磁石18内に配置されており、上記磁性ガーネット結晶膜はファラデー素子である。
第1の熱伝導板6,7と磁石18とが素子放熱部を構成しており、磁性ガーネット結晶膜12を挟んでいる第1の熱伝導板6,7が素子放熱部の本体を構成している。
【0011】
第2の熱伝導部8,9及び放熱フィン10,11について説明する。
図14及び図15に示すように第1の熱伝導板6,7の外側に第2の熱伝導板8,9を設けてある。第2の熱伝導板8,9の熱伝導部材として、銅、銀、金、カーボン、アルミニウムなどから選択される。第2の熱伝導板8,9は、図示の例では銅からなり、第1の熱伝導板6,7の片側に装着されており、中央部にビームの通路である光路上に穴部8a,9aを開けてあり、上部に放熱フィン10,11が延伸されている。
各放熱フィン10,11は第2の熱伝導板8,9の一部としてこれと一体に成形され、かつ屈曲可能である。各放熱フィン10,11はその材質が第2の熱伝導板8,9と同様に図示の例では銅であるために、熱伝導性が良く、加工がしやすくかつ任意の形状に折り曲げかつ変形形状の維持が可能である。各放熱フィン10,11は、図14及び図15に示すように、磁石18内から磁石の内周面に接触することなく、間隙23を空けて外側に水平に折り曲げられて、磁石の側方において磁石側面から離れた位置から次第にさらに離れるように斜め上方に伸びて、その外端部10a,11aがアイソレータホルダ2を被覆している外熱伝導カバー体3の外面に接続されている(図1)。各放熱フィン10,11の外端部10a,11aは、図1、図6及び図7に示すように、第1の外熱伝導カバー部4及び第2の外熱伝導カバー部5のそれぞれの外部溝4d,5dの底面上に配置され、底面に接触されている。接触を確実にするために、熱伝導性の接着剤、溶接などの接触補強手段を用いている。
【0012】
放熱フィン10,11と、第1の熱伝導板6,7、第2の熱伝導板8,9、磁石18、スペーサ19、アイソレータホルダ2及び外熱伝導カバー体3との関係について説明する。
図1及び図7に示すように各放熱フィン10,11と一体である第2の熱伝導板8,9は第1の熱伝導板6,7とそれぞれ接触している。
なお、第1の熱伝導板6,7は磁性ガーネット結晶膜12と接触されている。
各放熱フィン10,11は磁石18に対してこれに接触することなく磁石内から屈曲して側方に延伸されている(図14)。各放熱フィン10,11は、図1及び図7に示すように各スペーサ19に対してこれに接触することなく割り溝19aを通過し上方へ延伸されて、さらにアイソレータホルダ2に対して各ガイド開口部2a,2bを貫通してアイソレータホルダに接触せずにその外周面から上方へ延伸されている(図2)。上方へ延伸されている各放熱フィン10,11の上部は、図1及び図3に示すように外熱伝導カバー体3の内部からこれに接触することなく引き出し開口部3cを通って外熱伝導カバー体3の外方に引き出され、外端部10a,11aが水平に折り曲げられ、外部溝4d,5dの底面に接触されている。
このように、各放熱フィン10,11は磁石18、スペーサ19及びアイソレータホルダ2のいずれにも接触することなく、外熱伝導カバー体3の外部へ引き出されている。このために、磁性ガーネット結晶膜12にて発生した熱は第1の熱伝導板6,7及び第2の熱伝導板8,9を経て放熱フィン10,11に熱伝導されるものの、直接外熱伝導カバー体3の外部溝4d,5dに達して、磁石18及びアイソレータホルダ2に伝導されず、簡単な構成によって外熱伝導カバー体3の外へ放熱することができる。
【0013】
図1に示すように、光アイソレータSにおいて、順方向のビームは第1のレンズ13から入射し、入射光は第1の複屈折結晶板15を経て第2の熱伝導板8の穴部8aを通過して、第1の熱伝導板6、磁性ガーネット結晶膜12、第1の熱伝導板7及び第2の熱伝導板9の穴部9aを通過し、磁性ガーネット結晶膜12は通過する光を吸収する際、発熱し、発生した熱は、第1の熱伝導板6,7を経て第2の熱伝導板8,9へ放散され、さらに熱が放熱フィン10,11を介して外熱伝導カバー体3の外部へ導かれ、しかも各放熱フィンが冷却素子として機能が発揮されるから、効率の良い放熱が可能となる。磁性ガーネット結晶膜12で発生した熱は、第1段階では第1の熱伝導板6,7に伝えられ、第2段階では第2の熱伝導板8,9から放熱フィン10,11へ導かれ、最終的には外熱伝導カバー体3の外部溝4d,5dへ導かれ、熱伝導経路を構成するのは実質的に第1の熱伝導板6,7と第2の熱伝導板8,9(第2の熱伝導板の一部を形成している放熱フィン10,11を含む。)である。このことから、熱伝導経路の単純化により外熱伝導カバー体3の外部への放熱がスムーズに行われる。
図1に示す放熱構造では、磁性ガーネット結晶膜12からの熱を第1の熱伝導板6,7及び第2の熱伝導板8,9を介して放熱を図るために、熱容量と放熱面積を大きく確保することができ、磁石18を回避した放熱構造を採用することが可能となるから、熱による磁石18の機能低下の防止及び放熱を効率的・効果的に行える。
【0014】
磁性ガーネット結晶膜12で発生した熱は、これに接触していないが接近している磁石18に及ぶものの、直接的には第1の熱伝導板6,7を経て第2の熱伝導板8,9へ、さらに放熱フィン10,11によって外熱伝導カバー体3の外部へ導かれる。そして、導かれた熱は、各放熱フィン10,11がアイソレータホルダ2や、第1及び第2の外熱伝導カバー部4,5の外部溝4d,5d以外の本体部分に接触していないので、効率的かつ確実な外部放熱がされることになり、この結果温度上昇が抑制されて、光学特性の劣化・熱破壊の防止に有効である。発熱体である磁性ガーネット結晶膜12から外熱伝導カバー体3の外部溝4d,5dに至る熱伝導経路中には、第1の熱伝導板6,7と第2の熱伝導板8,9(その一部としての放熱フィン10,11を含む。)以外の部材が存在していないので、熱伝導経路が短くかつ単純化され、熱応答性が高い。
アイソレータホルダ2は外熱伝導カバー体のホルダ収納空間3a内に空隙部20,21を置いて収納されると共に、両側面が2点支持され、さらに材質として例えば熱伝導率が低いステンレスを用いることにより、熱からの光アイソレータの光学特性の影響を少なくしている。
【0015】
放熱フィン10,11は屈曲可能であるから、光アイソレータSの組み立ての過程で、必要な方向に必要な箇所を折り曲げることができる。例えば図8に示すように素子保持ケース1から立ち上がっている状態にあっても、一時的に折り曲げることにより組み立ての障害とならない。また放熱フィン10,11は図2に示すようにアイソレータホルダ2から立ち上がっている状態にあっても、第1の外熱伝導カバー部4と第2の外熱伝導カバー部5とを結合させる過程で、折り曲げることにより組み立ての障害とならず、外端部10a,11aの外部溝4d,5dへの位置決めや接触操作が容易となる。
【0016】
素子保持ケース1はガイド開口部2a,2b側(図1上側)が開口されている限り、図1に示すように全長に渡って形成している溝形のものに限られない。素子保持ケース1は各構成素子6,7,8,9,12,13,14,15,16を保持できれば、内部形状が溝形であっても良く、また図示する素子保持ケースの全長に渡る開口を蓋で覆い、この蓋に放熱フィン10,11が通過可能の開口部を設けるものであっても良い。各構成素子6,7,8,9,12,13,14,15,16の全てを素子保持ケース1内に納めているので、組み立て時の取り扱いが容易となるが、必ずしも全ての素子を収納する必要はない。
図2に示す例では、外熱伝導カバー体3はキャップ状の第1の外熱伝導カバー部4と第2の外熱伝導カバー部5とを嵌め込み式に組み合わせているために、光アイソレータSの組み立てが簡易となるが、複数の部材からなるものである必要はなく、単一の管体で構成したものであっても良い。また外部溝4d,5dはこの発明に不可欠な構成ではないが、外部溝を設ければ、放熱フィン10,11の外端部10a,11aの位置き決めがしやすくなると共に、納まりが良くなる利点がある。
第1の熱伝導板6,7にダイヤモンドを用い、そのダイヤモンド薄膜を磁性ガーネット結晶膜12の両側面に蒸着などの方法によって形成しても良い。
第1の熱伝導板6,7にダイヤモンド薄膜を使用するものにあっては、第1の熱伝導板としてGGGなどの結晶材料などを使用しているものと比較して、薄型化及び構造の簡素化が可能となり、また熱上昇が抑制され、安定した光学特性が得られる。
放熱フィン10,11の幅は、第2の熱伝導板8,9と同一幅であっても良い。
各放熱フィン10,11の外端部10a,11aを第1の外熱伝導カバー部4及び第2の外熱伝導カバー部5のそれぞれの外部溝4d,5dの底面に接触させ、この接触状態を確実にするための接触補強手段として、上述した熱伝導性の接着剤、溶接などに限られない。
各放熱フィン10,11の外端部10a,11aは図1に示すように外熱伝導カバー体3の上面から突出されていることを利用して、例えば、次のように板材によって各外端部を押圧するようにしても良い。
図16に示す例では、押え板24で外熱伝導カバー体3の上面から突出している各放熱フィン10,11の外端部10a,11aの上面を押圧し、この押え板をボルト25によって外熱伝導カバー体3に固定している。ボルト25は四角形の外熱伝導カバー体3の四隅に開けてあるボルトねじ孔3dにねじ込む。押え板24は外熱伝導カバー体3の上面全面を覆っている。
押え板24を用いることによって、簡単な構成によって各放熱フィン10,11の外端部10a,11aを外部溝4d,5dの底面に確実かつ強固に接触させることができる。
【0017】
図17〜図19に示す光アイソレータS1において、放熱経路を短縮するために、外熱伝導カバー体103の第1の外熱伝導カバー部104及び第2の外熱伝導カバー部105の中心から上周面に至る距離dを、図1に示す外熱伝導カバー体3の第1の外熱伝導カバー部4及び第2の外熱伝導カバー部5のそれより短く設定するようにしても良い。
光アイソレータS1の構成は、距離dを短くした点を除いて、光アイソレータSとは同一であるので、構成部分を示す符号を光アイソレータSのそれと一致させて対応関係を明確にしている。
【0018】
磁性ガーネット結晶膜12で発生した熱をアイソレータホルダ2へ伝わりにくくするために、各放熱フィン10,11をアイソレータホルダとの接触を回避させているが、さらに熱伝導率の関係を以下に設定するのが望ましい。
第1の熱伝導板6,7の熱伝導率は、磁性ガーネット結晶膜12の熱伝導率以上であって、第2の熱伝導板8,9の熱伝導率以下であり、この第2の熱伝導板8,9(放熱フィン10,11を含む。)の熱伝導率は外熱伝導カバー体3の熱伝導率以下である。
熱伝導部材の配置順として、発熱体である磁性ガーネット結晶膜12からの熱を熱伝導率が次第に高くなるように熱伝導部材を並べ、低い方から高い方へ熱伝導させることによって熱抵抗を少なくすることができる。
図1に示す放熱構造において、磁性ガーネット結晶膜12の熱はこの磁性ガーネット結晶膜の熱伝導率と同じ又は大きい第1の熱伝導板6,7に放熱され、第1の熱伝導板からこの第1の熱伝導板の熱伝導率と同じ又は大きい第2の熱伝導板8,9に放熱され、第2の熱伝導板の一部である各放熱フィン10,11に熱伝導され、各放熱フィンからこの放熱フィンの熱伝導率と同じ又は大きい外熱伝導カバー体3の外部溝4d,5dに放熱される。
【0019】
磁性ガーネット結晶膜12を中心として放熱素子を構成している第1の熱伝導板6,7、第2の熱伝導板8,9及び放熱フィン10,11からなる放熱手段に関して、上記各放熱素子の組合せパターンを図21に示す。
図21の(i)に示すパターンでは、回転角45度の磁性ガーネット結晶膜12を第1の熱伝導板7の片側面に成膜しているものであり、磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板7が一体化されているが、第1の熱伝導板6が独立しており、組み立て時に磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板6を接触させている。
第1の熱伝導板6はサファイア放熱板が使用され、第1の熱伝導板7はGGG基板が使用されて、磁性ガーネット結晶膜12はGGG基板付きのガーネットである。放熱フィン10,11はフレキシブル放熱フィンである。
同図(ii)に示すパターンでは、第1の熱伝導板6及び第1の熱伝導板7が磁性ガーネット結晶膜12に対してそれぞれ独立しているが、組み立て時に磁性ガーネット結晶膜に対向面を接触又は接合させて一体化されている。第1の熱伝導板6,7はサファイア放熱板が使用されている。放熱フィン10,11はフレキシブル放熱フィンである。
本例及び上記(i)に示すパターンは図1に示す放熱構造の主要部のパターンの具体例である。
同図(iii)に示すパターンでは、磁性ガーネット結晶膜として2枚の回転角22.5度の磁性ガーネット結晶膜121,122を用いており、各磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板61,62,71,72を組み合わせている。
すなわち、一方の磁性ガーネット結晶膜121を第1の熱伝導板71の片側面に成膜しているものであり、磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板71が一体化されているが、第1の熱伝導板61が独立しており、組み立て時に磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板61を接触させている。同様に、他方の磁性ガーネット結晶膜122を第1の熱伝導板72の片側面に成膜しているものであり、磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板72が一体化されているが、第1の熱伝導板62が独立しており、組み立て時に磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板62を接触させている。
第1の熱伝導板61は第2の熱伝導板8に、第1の熱伝導板62は第2の熱伝導板9にそれぞれ接触されている。第1の熱伝導板71,72は第3の熱伝導板26にそれぞれ接触されている。
27は第3の熱伝導板26に設けてある放熱フィンである。
第1の熱伝導板61,62はサファイア放熱板が使用され、第1の熱伝導板71,72はGGG基板が使用されて、磁性ガーネット結晶膜121,122はGGG基板付きのガーネットである。放熱フィン10,11,27はフレキシブル放熱フィンである。
同図(iv)に示すパターンでは、磁性ガーネット結晶膜として2枚の回転角22.5度の磁性ガーネット結晶膜121,122を用いており、各磁性ガーネット結晶膜に対して第1の熱伝導板61,62,71,72を組み合わせている。
すなわち、一方の磁性ガーネット結晶膜121に対して第1の熱伝導板61,71が独立されている。組み立て時に第1の熱伝導板61,71は磁性ガーネット結晶膜121と一体化される。他方の磁性ガーネット結晶膜122に対して第1の熱伝導板62,72が独立されている。組み立て時に第1の熱伝導板62,72は磁性ガーネット結晶膜122と一体化される。
第1の熱伝導板61は第2の熱伝導板8に、第1の熱伝導板62は第2の熱伝導板9にそれぞれ接触されている。第1の熱伝導板71,72は第3の熱伝導板26にそれぞれ接触されている。
第1の熱伝導板61,62,71,72はサファイア放熱板が使用され、放熱フィン10,11,27はフレキシブル放熱フィンである。
本例及び上記(iii)に示すパターンは図1に示す放熱構造を基礎にしたパターンの具体例である。
【0020】
スペーサの開口溝は図11に示す例では各スペーサ19の全長に渡って形成されている割り溝となっているが、図20に示すように切り欠き119aとして切り欠き内を放熱フィンが通過できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る光アイソレータの放熱構造を示す正面図であって、外熱伝導カバー体を切欠して内部を示す図である。
【図2】この発明に係る光アイソレータの放熱構造を縮小して示す正面図であって、分解した状態を示す図である。
【図3】この発明に係る光アイソレータの放熱構造を示す平面図である。
【図4】この発明に係る光アイソレータの放熱構造を縮小して示す平面図であって、分解した状態を示す図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】図1のVI−VI線断面図である。
【図7】図1のVII−VII線断面図である。
【図8】この発明に係る構成素子を保持している素子保持ケースを示す正面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】この発明に係る光アイソレータの放熱構造に使用するアイソレータホルダの断面図である。
【図11】この発明に係る光アイソレータの放熱構造に使用するスペーサの斜視図である。
【図12】図2のXII−XII線拡大断面図である。
【図13】図2のXIII−XIII線拡大断面図である。
【図14】第2の熱伝導板の取付け状態を示す一部切欠拡大正面図である。
【図15】図14の左側面図である。
【図16】この発明に係る光アイソレータの放熱構造を示す一部切欠正面図であって、放熱フィンの外端部を押え板で固定している状態を示す図である。
【図17】この発明に係る光アイソレータの放熱構造の他の形態を示す正面図であって、外熱伝導カバー体を切欠して内部を示す図である。
【図18】図17における外熱伝導カバー体の第1の外熱伝導カバー部を示す側面図である。
【図19】図17における外熱伝導カバー体の第2の外熱伝導カバー部を示す側面図である。
【図20】この発明に係る光アイソレータの放熱構造に使用する他のスペーサの斜視図である。
【図21】この発明に係る光アイソレータの放熱構造の主要部を構成している素子の組合せパターンを示す構成図である。
【符号の説明】
【0022】
S,S1 光アイソレータ
1 素子保持ケース
2 アイソレータホルダ
2a,2b ガイド開口部
3,103 外熱伝導カバー体
3a ホルダ収納空間
3c 引き出し開口部
3d ボルトねじ孔
4,104 第1の外熱伝導カバー部
4c 切込み穴部
4d 外部溝
5,105 第2の外熱伝導カバー部
5c 切込み穴部
5d 外部溝
6,7 第1の熱伝導板(第1の熱伝導部)
61,71 第1の熱伝導板(第1の熱伝導部)
62,72 第1の熱伝導板(第1の熱伝導部)
8,9 第2の熱伝導板(第2の熱伝導部)
8a,9a 穴部
10,11 放熱フィン
10a,11a 外端部
12 磁性ガーネット結晶膜(磁気光学結晶膜)
121,122 磁性ガーネット結晶膜(磁気光学結晶膜)
15 第1の複屈折結晶板(偏光子)
16 第2の複屈折結晶板(偏光子)
18 磁石(素子)
19,119 スペーサ
19a 割り溝(開口溝)
119a 切り欠き(開口溝)
20,21 空隙部
22 ボルト
23 間隙
24 押え板
25 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光アイソレータの本体を構成している素子である磁気光学結晶膜、偏光子及び磁石をそれぞれ配置してあるアイソレータホルダと、このアイソレータホルダを被覆している外熱伝導カバー体と、上記アイソレータホルダ内に設けてある第1及び第2の熱伝導部と、この第2の熱伝導部の一部である屈曲可能な放熱フィンとを具備しており、
上記アイソレータホルダは、上記外熱伝導カバー体に向けて開口している放熱フィン用のガイド開口部を形成してあり、
上記外熱伝導カバー体は、上記ガイド開口部側に開口している放熱フィン用の引き出し開口部を形成してあり、
上記第1の熱伝導部は、上記磁気光学結晶膜の少なくとも片面側に設けてあり、
上記第2の熱伝導部は、上記第1の熱伝導部を挟んで上記磁気光学結晶膜とは反対側に位置しかつ、上記第1の熱伝導部に隣接して設け、光路上に穴を開けてあり、
上記放熱フィンは、上記磁石内から間隙を空けてその側方に延伸し、上記ガイド開口部から引き出し開口部を経て上記外熱伝導カバー体の外部に導き出されていると共に外端部が上記外部に接触している
ことを特徴とする光アイソレータの放熱構造。
【請求項2】
第1の熱伝導部は磁気光学結晶膜の両面にこれを挟むように設けてあり、第2の熱伝導部は上記各第1の熱伝導部に対応してそれぞれ設けてあり、各第2の熱伝導部における放熱フィンはガイド開口部及び引き出し開口部を経て上記外熱伝導カバー体の外部に導き出されていることを特徴とする請求項1記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項3】
アイソレータホルダは、外熱伝導カバー体内のホルダ収納空間に空隙部をもって収納されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項4】
アイソレータホルダ内には、ガイド開口部側が開口され、磁気光学結晶膜、第1の熱伝導部、第2の熱伝導部及び偏光子を保持している素子保持ケースを設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項5】
アイソレータホルダ内には、ガイド開口部側が開口され、磁気光学結晶膜、第1の熱伝導部、第2の熱伝導部及び偏光子を保持している素子保持ケースを設けてあり、この素子保持ケースの外周であって磁石の両側にリング状のスペーサを配置してあり、両スペーサには上記ガイド開口部側に開口しかつ放熱フィンが通過可能である開口溝を形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項6】
外熱伝導カバー体の外部に引き出し開口部に連続して外部溝を形成し、この外部溝の底面に放熱フィンの外端部が接触されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項7】
第1の熱伝導部の熱伝導率は、磁性ガーネット結晶膜の熱伝導率以上であって、第2の熱伝導部の熱伝導率以下であり、この第2の熱伝導部の熱伝導率は外熱伝導カバー体の熱伝導率以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項8】
外熱伝導カバー体はいずれもキャップ状の第1の外熱伝導カバー部と第2の外熱伝導カバー部とからなり、互いに対向する第1及び第2の外熱伝導カバー部の開口部側端部に引き出し開口部を形成するための切込み穴部をそれぞれ切り込んであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項9】
外熱伝導カバー体の外部には放熱フィンの外端部を押圧するための押え板を設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の光アイソレータの放熱構造。
【請求項10】
内部に光アイソレータの本体を構成している素子である磁気光学結晶膜及び偏光子をそれぞれ保持しかつ内部断面が溝形となっている素子保持ケースと、この素子保持ケース、筒状の磁石及びこの磁石を挟んで位置しているリング状のスペーサを収納しているパイプ状のアイソレータホルダと、このアイソレータホルダを被覆している外熱伝導カバー体と、上記素子保持ケース内に設けてある第1及び第2の熱伝導部と、この第2の熱伝導部の一部である屈曲可能な放熱フィンとを具備しており、
上記アイソレータホルダは、上記外熱伝導カバー体に向けて開口している放熱フィン用のガイド開口部を形成してあり、
上記外熱伝導カバー体は、いずれもキャップ状の第1の外熱伝導カバー部と第2の外熱伝導カバー部とからなり、互いに対向する第1及び第2の外熱伝導カバー部の開口部側端部に放熱フィン用の引き出し開口部を形成するための切込み穴部をそれぞれ切り込んであり、上記引き出し開口部が上記ガイド開口部側に位置しており、
上記スペーサは素子保持ケースが貫通されており、上記ガイド開口部側が開口され、放熱フィンが通過可能である開口溝を形成してあり、
上記第1の熱伝導部は、上記磁気光学結晶膜の両面側に設けてあり、
上記第2の熱伝導部は、上記両第1の熱伝導部を挟むように配置され、光路上に穴を開けてあり、
上記放熱フィンは、上記磁石内から間隙を空けてその側方に延伸し、上記開口溝及びガイド開口部から引き出し開口部を経て上記外熱伝導カバー体の外部に導き出されていると共に外端部が上記外部に接触している
ことを特徴とする光アイソレータの放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−65289(P2007−65289A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251271(P2005−251271)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(391049530)株式会社信光社 (14)
【Fターム(参考)】