説明

光アンジュレータを使用する高効率単色x線源

エネルギー性の電磁放射を生成する方法が、それぞれの複数の個別の放射間隔中に、その所与の波長の放射に関するラウンドトリップ・トランジットタイム(RTTT)によって特徴付けられる光共振器に所与の波長のレーザ放射を注入するステップを含む。少なくともいくつかの放射間隔が、1つ又は複数の光学的なマクロパルスによって定義され、少なくとも1つの光学的なマクロパルスが、前記光学的なマクロパルス内のそれに続く光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化される関連する循環する光学的なマイクロパルスを誘発し、前記共振器内の任意の所与の位置での前記循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅が前記放射間隔中に最大値に到達する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年6月2日に出願の米国特許出願第60/687,014号の米国特許法119条(e)の利益を主張し、その全体の開示が参照によって組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に、x線やその他のエネルギー性の電磁放射(短波長)の生成に関し、より詳細には、電磁気の短波長放射を生成するために相対論的電子を比較的長い波長を有する電磁放射と相互作用させる技術に関する。
【背景技術】
【0003】
放射の強力な、準単色の、前方ピークのビームを生成するためにアンジュレータを使用する、電磁放射の電子ビームに基づく供給源の特有の能力によって、アンジュレータが第2及び第3世代のシンクロトロン放射源及び自由電子レーザなどの高性能の光源の重要な構成要素になった。したがって、Motz’の先駆的な概念の記述やStanfordでの第1の実演(Motz’1951)に始まり、自由電子レーザの開発(Madey 1971)、ならびに(Brookhaven National Laboratory(Decker 1996)、Lawrence Berkeley Laboratory(Robinson 1991)、the Stanford Linear Accelerator Center(Hettel 2002)、及びArgonne National Laboratory(Galayda 1995)での第2世代のシンクロトロン放射源に関連する多くの刊行された記述の概念まで、文献にはアンジュレータ技術及びアンジュレータの使用の多くの参照がある。
【0004】
今日建設されるそのようなシステムは、ほとんどすべてがローレンツ力ev×Bの磁力成分が磁界全体にわたって移動する電子の動きに周期的な横断方向の加速及び周期的な横断方向の速度の両方を強制する、静的な横断方向の空間的に周期的な磁界を形成するように設計された双極マグネットの直線的な配列として建設されるアンジュレータを使用する。典型的な磁石の周期は、所望の放射の波長及びシステムで使用可能な電子ビームのエネルギーに応じて1cmより幾分小さいものから10cm程度までの範囲にある。放射を高調波に限定しながら放射された出力を最大限にするために、これらのシステムは、一般に0.1と1.0の間の程度の規格化ベクトル・ポテンシャル(normalized vector potential)anで運転される。一般的なアンジュレータの長さは、所望のスペクトルバンド幅を達成するために、必要に応じて1から10メーの範囲にある。1つの例として、3.0GeVの電子エネルギーで1%のスペクトル幅を有する10オングストロームの波長のx線、及び最小の角度発散を有する電子ビームを生成するように設計されたan2=0.2で稼動するアンジュレータは、5.7cmの周期と3メーの長さを有する。
【0005】
稼動のために必要な高エネルギー、高出力の電子ビームを生成する必要があった、そのようなシステムに使用されるアンジュレータの拡張された長さによって、加速器システムの寸法、コスト、複雑さと共に、そのような光源は物理的に大きくかつ高価なものになった。例として、Brookhaven、Lawrence Berkeley Laboratory、Stanford、Argonneのx線源は、それぞれ、54、63、75、350メートルの直径を有し、建設費用は、1億6000万ドルから5億万ドルの範囲であった。
【0006】
関連する物理的現象である逆コンプトン散乱は、シンクロトロン放射源(Ruth 1998、Ruth 2000、Harteman 2004)や自由電子レーザ(Elias 1979)で短波長電磁放射を生成する手段としても研究されてきた。逆コンプトンのメカニズムは、入射する電磁波が1つの電子によって散乱されるコンプトン散乱と、電荷を移動させることによって放出される放射が、動きの方向に沿って周波数が上昇するドップラー・シフトの2つの基本的な物理的効果を結び付ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、文献(Heftier 1960)に記載されたコンプトン散乱の概念は、メカニズムが1つの光子の散乱として説明できる場合のみ適用され、入射する電磁波の電界と磁界が光の速度に接近する横断の速度を誘発するのに十分強い場合、例えばそれらの正規化ベクトル・ポテンシャルが1に近づく場合には、もはや根拠のあるものでない。低い界の振幅にこのような制約があり、放射されたパワーが界の振幅の2乗に依存することを考えると、電子ビームに基づく逆コンプトン光源は、アンジュレータに基づく光源と比肩できることが今日まで簡単に証明されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の1つの態様では、複数の分離された放射間隔のそれぞれの間に、エネルギーの電磁放射を生成する方法は、所与の波長のレーザ放射をその所与の波長の放射に関するラウンドトリップ・トランジットタイム(round-trip transit time:RTTT)によって特徴付けられる光共振器に注入するステップを含む。少なくともいくつかの放射間隔が1つ又は複数の光学的なマクロパルスによって定義され、少なくとも1つの光学的なマクロパルスが、光学的なマクロパルス内のそれに続く光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化され、関連する循環する光学的なマイクロパルスを誘発し、共振器内の任意の所与の位置での循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅が放射間隔中に最大値に達する。
【0009】
レーザは現在(出力の点で)コヒーレントな放射の唯一の供給源であるので、用語「レーザ」が使用される。新規に発見されたコヒーレントの光源が有用であることが分かった場合、用語「レーザ」は、そのような供給源を包含する。
【0010】
この方法では、循環する光学的なマイクロパルスを誘発する少なくとも1つの光学的なマクロパルスが、一連の光学的なマイクロパルスからなり、注入される光学的なマイクロパルスとその光学的なマクロパルスによって誘発された循環する光学的なマイクロパルスとの間に少なくとも50%の間隔的な重複をもたらすように、1つの光学的なマイクロパルスの開始と次のマイクロパルスの開始の間の間隔が所与の波長の放射に関するRTTTのちょうど整数倍(1×を含む)に十分に近く、その光学的なマクロパルスに注入される光学的なマイクロパルスがその光学的なマクロパルスによって誘発された循環する光学的なマイクロパルスと光学的な位相の±45°以内にあることを特徴とする。
【0011】
方法は、循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅がその最大値又はその付近であるとき、循環する光学的なマイクロパルスが、0.1より大きい正規化されたベクトル・ポテンシャルを特徴とする相互作用の領域に光アンジュレータの電界を形成するように、循環するマイクロパルスを共振器内の相互作用領域に合焦させるステップと、一連の電子マイクロパルスを含む電子ビームを共振器の相互作用領域に向けて送るステップをさらに含む。少なくともいくつかの電子マイクロパルスは、共振器内の循環する光学的なマイクロパルスと同期され、電子ビームは、共振器内の相互作用領域に合焦され、それによって少なくとも1つの電子マイクロパルスが相互作用領域で相互作用領域の光アンジュレータの界と相互作用し、レーザ放射の光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成する。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、アンジュレータに基づくシンクロトロン放射源の電流の生成で達成可能な性能に匹敵する性能のレベルでの動作は、光アンジュレータを使用して得ることができ、それは、正規化ベクトル・ポテンシャルが0.1以上の程度に上昇される一連の強力な光パルスであり、この一連のパルスを通って移動する相対論的電子による紫外、x線、ガンマ線放射の放出の値の範囲が最適化される。しかし、この正規化ベクトル・ポテンシャルで稼動する永久磁石アンジュレータとは対照的に、そのような光アンジュレータで単位長さ当たりに放射されるx線出力は、10,000倍程度大きい。
【0013】
同様に重要なのは、そのような供給源の動作に必要な電子エネルギーは、同じ因数の平方根によって約分され、それによって寸法、コスト、運転費がかなり大幅に縮小する。最後に、磁力式のアンジュレータの使用に基づく短波長の放射源とは対照的に、連続的な放射間隔の光アンジュレータを備える光パルス列の波長とフォーマットを変更する能力によって、従来の磁力式のアンジュレータの使用によって達成不可能な用途に必要な単色及び多色のx線パルスの生成においてあるレベルの柔軟性が可能になる。
【0014】
ほぼ同心の光共振器の光学的な特性は、1つ又は複数の低出力ポンプレーザから共振器に注入される光パワーを統合し、その蓄積されたエネルギーを共振器内の真空中の小さな点に合焦することによって本発明の動作に必要な強力な光パルスの生成を可能にする。適切な設計により、共振器の内側表面のピークの光パワー密度とフルエンスは、回折によりそれらの表面のピーク出力の損傷しきい値と調和するレベルに低下される。これらの表面のフルエンスと平均光パワーの入射はさらに、ポンプレーザが光パワーを共振器に注入する間にわたる時間の間隔を制限することによって、統合されたパルスと平均出力の損傷しきい値の下に保つことができる。
【0015】
専門用語の目的で、光共振器に注入又はその中に蓄積される個々の光パルスを光学的なマイクロパルスとノミナル、そのような光学的なマイクロパルスが光共振器に注入される間を置いた間隔を放射間隔と呼ぶことが便利である。したがって、共振器へのレーザ放射の入射は、2つのまったく異なる時間尺度、すなわち放射間隔の時間尺度、及びマイクロパルスの時間尺度を特徴とする階層パルス構造を有する。下記に説明されるように、システム及び方法は、共振器に注入される光学的なマイクロパルスが、共振器内に循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化し、したがって、所与の循環する光学的なマイクロパルスの振幅を増加させるように構成される。
【0016】
この出願では、循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化する注入される光学的なマイクロパルスの文脈で用語「コヒーレントに強化する」は、注入される光学的なマイクロパルス及び循環する光学的なマイクロパルスの振幅を加えることを意味するために使用される。2つが互いにまったく同相である場合にこれが起こるが、用語は0の位相差からある度合いで離れることが可能であることも企図する。同様に、用語は、注入される光学的なマイクロパルスのエンベロープ(幅及び到達時間)と循環する光学的なマイクロパルスの間の100%の重複から離れることが可能であることも企図する。
【0017】
例えば、代表的な実施形態では、注入される光学的なマイクロパルスの位相と循環する光学的なマイクロパルスの位相との間の±20°の位相差でも、比較的効率的に強化される。同様に、循環するマイクロパルス幅の10%で注入されたマイクロパルスのエンベロープの間に重複がないことでも比較的効率的に強化される。
【0018】
したがって、効率的な強化は、注入されたマイクロパルスの位相を循環する蓄積されたマイクロパルスの位相の±20°以内に維持し、注入されたマイクロパルスのエンベロープの時間的な幅及び到達の時間を循環する光学的なマイクロパルスの幅の10%以内に維持することによって達成される。しかし、「コヒーレントな強化」の定義は、それによって注入効率がより低くなり、anの同じ値に対して注入される光学的なマイクロパルスの出力がより高くなっても、位相差を±45°程度の限界、及び光学的なマイクロパルスの継続時間の±5.0%程度の非重複まで含むのに十分な幅がある。
【0019】
循環する光学的なマイクロパルスが注入される光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化されるたびに、その時点の循環する光学的なマイクロパルスの振幅が増加する。しかし、1往復の後に、循環する光学的なマイクロパルスの振幅は共振器損失により低下する。往復の間の共振器損失がコヒーレント強化による上昇よりも少ない限り、循環する光学的なマイクロパルスの振幅が増大し続ける。ミラー損失は、百分率として入射光パワーに比例するので、振幅が大きくなるほど、損失が大きくなる。いくつかの点で、共振器損失は、コヒーレント強化の量に等しくなり、循環する光学的なマイクロパルスの振幅は増大しなくなる。確かに、光学的なマクロパルスが終了した後、循環する光学的なマイクロパルスの振幅は減衰し始める。
【0020】
この出願では、用語「光学的なマクロパルス」は、放射間隔内の一連のマイクロパルスを意味するのに使用され、光共振器の単一のラウンドトリップ・トランジットを作るために、1つの光学的なマイクロパルスの開始と、光学的なマイクロパルスに関する時間間隔の実質的にちょうど整数倍(1×を含む)に等しい次の光学的なマイクロパルスの開始との間の間隔を有することを特徴とする。このラウンドトリップ・トランジットタイムの間隔を「RTTT」と呼ぶ。この定義により、単一の所与の光学的なマクロパルスは、単一の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化する(その他の可能性のある制約に従う)一連の光学的なマイクロパルスからなる。光学的なマイクロパルスは一般に、実質的に等しい継続時間のものである。
【0021】
この定義は、光学的なマクロパルス内のすべての光学的なマイクロパルスが等しく間隔を置いたものである必要がないことに留意されたい。そうではなく、光学的なマクロパルス内の1つの光学的なマイクロパルスは、RTTTの第1の整数倍でその前の光学的なマイクロパルスから間隔を置くことができ、光学的なマクロパルス内の別の光学的なマイクロパルスは、RTTTの第1の整数倍とは異なるRTTTの第2の整数倍でその前の光学的なマイクロパルスから間隔を置くことができる。ほとんどの実施態様は、等しく間隔を置いた光学的なマイクロパルスを有する光学的なマクロパルスを特徴とするが、これは循環する光学的なマイクロパルスのコヒーレントな強化に必要でない。
【0022】
これによって、2つの光学的なマイクロパルスがRTTTの整数倍以外によって分離される場合、それらは異なる光学的なマクロパルスに属する(又は一方もしくは両方が1つの光学的なマクロパルスの部分ではない)ということが推論される。例えば、共振器に注入される光学的なマイクロパルスが1/2ラウンドトリップ・トランジットタイムで分離される場合、これは2つの重複する光学的なマクロパルスを構成しており、そのそれぞれの光学的なマイクロパルスがインターリーブされているとみなされる。これらの2つの光学的なマクロパルスを共振器に注入することは、その他の可能性のある制約を受け、別個の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化する。言い換えれば、光学的なマクロパルスの定義は、光学的なマクロパルス内のすべての光学的なマイクロパルスが同じ循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化する結果となる。2つの重複する光学的なマクロパルスが任意の相対的な時間の遅れを使用してインターリーブされるその他の例が説明できる。
【0023】
何らかの診断的な用途などの、特定のタイミングの制約を満たさず、どのような循環する光学的なマイクロパルスもコヒーレントに強化しない1つ又は複数の光学的なマイクロパルスを注入することが望ましい例がある可能性がある。これらは、1つの光学的なマクロパルスに属さないので孤立した光学的なマイクロパルスと考えることができる。光学的なマクロパルスの継続時間は、放射間隔の継続時間と実質的に同じ、又は放射間隔よりも短くなっていることに留意されたい。光学的なマクロパルスの継続時間が放射間隔よりも短い場合、光学的なマクロパルスの部分ではない別の光学的なマイクロパルスがあることが含意される。そのようなその他の光学的なマイクロパルスは、1つ又は複数のその他の光学的なマイクロパルスに属することができ、又はそのような、離れて孤立した光学的なマイクロパルスであることができる。
【0024】
本発明の実施態様は、光共振器内の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化するために、光共振器へのポンプレーザの光学的なマイクロパルスの入射の能力を活用する。コヒーレントの強化は、注入される光学的なマイクロパルスの時間パターンが1つ又は複数の光学的なマクロパルスを含むことによって達成でき、複数の光学的なマクロパルスのそれぞれは、1つ又は複数の光学的なマイクロパルスを特徴とし、実質的にRTTTのちょうど整数倍m(1×、すなわちm=1を含む)である。光周波数は、実質的に(cを基準にした)RTTTの逆数のちょうど整数倍nであり、したがって光周波数は、nを(mにRTTTをかけたもの)で割ったものである必要がある。上記に示したように、異なる周期又は同じ周期を伴う複数の連続するものをインターリーブできる。
【0025】
それぞれの光学的なマイクロパルスは、共振器に注入された後に、共振器内で循環し、共振器に注入された同じ光学的なマクロパルスのそれに続くそれぞれの光学的なマイクロパルスは、所与の光学的なマクロパルスのより以前の光学的なマイクロパルスから生じた循環するマイクロパルスをコヒーレントに強化する。1つの態様での本発明の動作は、0.1以上の程度の正規化ベクトル・ポテンシャルを有する蓄積された光学的なマイクロパルスを達成するのに適切な出力の数のマイクロパルスの注入を必要とし、一方でマクロパルスの継続期間を制限し、したがって、注入されるマイクロパルスの数を共振器の内側表面に関する統合されたパルスと平均の出力の損傷と調和する値に制限することが分かるであろう。
【0026】
例として、光学的なマイクロパルスの継続時間は一般に、1〜10ps(ピコ秒)程度であり、一方で、光学的なマイクロパルスの繰り返し率は、一般に、(例えば、1GHz(Lバンド)から10ギガヘルツ(Xバンド)、特定の例では2.86ギガヘルツ)のGHz範囲である。放射間隔の継続時間は、1〜10μ秒(マイクロ秒)程度であり、放射間隔の繰り返し率は、10〜100Hz又はそれより低いもしくは高い程度である。これは、0.1〜0.001の範囲のマイクロパルスのデューティ・サイクルと、0.00001〜0.001の範囲の放射間隔のデューティ・サイクルに一致する。したがって、用語「放射間隔」、「マクロパルス」、「マイクロパルス」は相対的な意味で使用される。特定の例では、放射間隔の継続時間と、一般的な光学的なマクロパルスの幅は、マイクロ秒の程度であり、光学的なマイクロパルスの幅は、ピコ秒の程度である。
【0027】
射出間ベースで、レーザ波長及び/又は光学的なマクロパルスのタイミングを射出間で任意で変更するようにプログラムできる単一のポンプレーザ、又は重複又は互いにずれた光学的なマクロパルスを生成するように起動できる複数のポンプレーザを使用することを想定すると、本発明は、異なる、任意に調整可能な波長のx線ビームを変更し、又は同じ放射間隔中、又は個別の放射間隔中、複数の波長のx線ビームを同時に生成するための手段も提供する。
【0028】
これらの能力は、主要なシンクロトロンの放射研究所で現在使用されている永久磁石アンジュレータ供給源などのより従来からあるx線源を使用して画像化されるのに十分長く残存しない可能性のある過渡的な特性を捕らえるため、ミリ秒、マイクロ秒、又はピコ秒の時間尺度でのいくつかの波長で露出を必要とするように、その特性が時間と共に動的に変化するシステム及び構造の分析で決定的に重要なものである可能性がある。
【0029】
n〜0.1以上の程度の正規化ベクトル・ポテンシャルを有するがマイクロメートル程度の空間的な周期を有する光アンジュレータを組み込むことによって、本明細書に記載される本発明は、寸法とコストが劇的に低減したアンジュレータや電子ビーム加速器の両方によって稼動でき、それによってこれまで可能であったコストのわずかな部分で高性能の紫外及びx線光源が構築され、稼動される。
【0030】
多くの実施態様が、循環する光学的なマイクロパルスのうちの1つと相互作用するそれぞれの電子マイクロパルスを有するが、循環する光学的なマイクロパルスがそのそれぞれの通路で電子マイクロパルスと相互作用する必要はまったくない。同様に、それぞれの電子マイクロパルスが共振器内の循環する光学的なマイクロパルスと相互作用する必要はまったくない。実際に、これは単一の電子ビームが複数の光共振器によって共有される場合である。また、孤立した光学的なマイクロパルスは、電子のマイクロパルスと相互作用するようにタイミングをとられることは考えられないことに留意されたい。
【0031】
本明細書に説明された本発明の特定の実施形態は、x線を生成することを対象としているが、その他の実施形態がEUV及びガンマ線などのその他の波長の範囲で電磁放射を生成できる。用語、エネルギー電子放射は、遠UV、極UV(EUV)、x線、ガンマ線を含む100nmより短い波長を有する電子放射を意味するのに使用される。説明の多くはx線によってなされるが、文脈が特に示唆しない限りその他の形式のエネルギー性の電子放射が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
明細書及び図面の残りの部分を参照することによって本発明の性質及び利点のさらなる理解が可能である。
【0033】
基本構成及び動作
手短に言って、本発明の実施形態は、x線やその他のエネルギー性の電磁放射(紫外線及びガンマ線を含む短波長)の生成を可能にする。これらの実施形態は、x線結晶構造解析、医学x線撮影法、x線治療、その他のx線やガンマ線撮像システム、さらに原子及び高エネルギー物理学の調査に必要な、高輝度の、準単色の、高平均出力、高ピーク出力のx線ビームを提供する。
【0034】
図1Aは、本発明の1つの実施形態による代表的なシステム10の主要な要素の高レベルの概略図である。システムの主要な要素は、パルス電子ビーム加速器20などの電子供給源、モードロック・ポンプレーザ25(又は複数のポンプレーザ)などのパルス光源、光学的レゾネータとして稼動される光共振器30を備える。共振器30は、対向する凹型鏡32、35を備えるものとして概略的に示される。手短に言えば、加速器20からの一連の合焦される電子マイクロパルス40を共振器30の相互作用領域45で光アンジュレータの界と相互作用させてエネルギー性の電磁放射を生成する。
【0035】
アンジュレータの界は、レーザ25からの放射50を共振器30に注入して共振器内で1つ又は複数の循環する光学的なマイクロパルス60を確立することによって定められることが好ましい。レーザ放射は、レーザビームと呼ばれることもある。共振器は、循環する光学的なマイクロパルスを相互作用領域45に合焦させるように構成される。下記により詳細に説明されるように、入射する放射内の光学的なマイクロパルスは、循環する光学的なマイクロパルスがそれに続く入射する放射内の光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化されるように間隔を置かれ、同期される。そのような相互作用から生成されるものは、エネルギーの低下した散乱x線(又はその他のエネルギー性電磁放射)マイクロパルス70、電子マイクロパルス75である。
【0036】
図1Bは、図1Aに示されるシステムのより包括的な概略図である。上述のように、システムは、電子加速器20からの電子マイクロパルス40を(凹型鏡32、35として概略的に示される)光共振器30に蓄積された1つ又は複数の強力なコヒーレントな光学的なマイクロパルス60と衝突させることによって、高輝度のコヒーレントな単色のx線(又はその他のエネルギー性の電磁放射)を生成するように稼動する。x線生成は、光学的なマイクロパルスのベクトル・ポテンシャルが〜0.1よりも大きいanの値を維持するように制御される相互作用領域45に局所化される。
【0037】
システムは、制御コンピュータ80に接続された、いくつかの制御要素とフィードバック要素を備える。電子ビーム制御は、電子ビーム伝送光学及び診断素子85a、85b、85cや、ビーム位置監視装置87を備える。電子加速装置20からの電子バンチは、ビーム位置監視装置87の制御下で電子ビーム伝送光学及び診断素子85aから相互作用領域45に送られ、次いで電子ビーム伝送光学及び診断素子85bによって出力ビームから除去され、電子ビーム伝送光学及び診断素子85cによって減速ビームダンプ90に送られる。
【0038】
生成されたx線マイクロパルスは、その間にコリメータ100が配置されるx線ビーム診断素子95a、95bを通って、x線を利用するためのx線試験又はその他の要素に送られる。
【0039】
光学ビーム制御部は、伝送及びモード整合光学素子105、(この特定の共振器の実施形態では傾斜板として示される)球形度補償器110、1つ又は複数の光学診断素子115、一対の放射熱源117、120。ポンプ・レーザ25(又は複数のポンプレーザ)によって生成された光学的なマイクロパルスは、伝送及びモード整合光学素子105を通って光共振器30に送られる。球形度補償器110は、光共振器内でコヒーレント・パルスが積み重なるのと同時に、相互作用領域45内で緊密な焦点を得ることができるのを確実にするために共振器光学素子に組み込まれる。光共振器30内で循環する光学的なマイクロパルスのモードの質と強度は、光学診断素子115によって監視される。放射熱源117、120は、蓄積されたビームの熱効果を補償するために、それぞれのビームスプリッタ122、125を介して共振器の鏡32、35に向けられる。光共振器30の幾何学形状の制御のこのさらなるレベルは、相互作用領域45の必要な光学ベクトル・ポテンシャルanを維持するのを補助する。
【0040】
電子ビーム伝送光学及び診断素子85a、85b、85c、ビーム位置監視装置87、x線ビーム診断素子95a、95b、光学診断素子115からの信号は制御コンピュータ80に送られ、その制御コンピュータ80は、これらの信号を電子ビーム伝送光学及び診断素子85a、85b、85c、伝送及びモード整合光学素子105、球形度補償器110、放射熱源117、120を制御するために使用する。
【0041】
図2Aは、図1A、1Bのシステムの稼動中に所与の循環する光学的なマイクロパルスの場合に関するいくつかのタイミングの関係を概略的に示すタイミング図である。マイクロパルス・タイミングの詳細は下記に論じられるが、この時点では、入射する放射の全体の時間のプロファイルは、一連の間隔を置いた光学的なマクロパルスを含み、そのそれぞれは一連の光学的なマイクロパルスを含む。用語「光学的なマクロパルス」は、この用途で使用されるので、光学的なマクロパルスを構成する光学的なマイクロパルスが1つの循環する光学的なマイクロパルスを誘発する。いくつかの実施形態では、複数の光学的なマクロパルスが複数の対応する循環する光学的なマイクロパルスを誘発するように重畳できる。
【0042】
図2Aの最上部は、一連の光学的なマイクロパルスを含む代表的な光学的なマクロパルスを示す。図2Aの中間部は、入射する(注入される)光学的なマイクロパルスが光共振器内の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化すると、循環する光学的なマイクロパルスの振幅が増大するようすを示す。これは、入射する光学的なマイクロパルスの共振器内での「積み重ね」と呼ぶことができる。図2Aの底部は、注入される電子マイクロパルスが共振器内での蓄積された光パワーの最大又はその付近で光共振器に入るようにタイミングをとられる代表的な電子マクロパルスを示す。
【0043】
図2Bは、代表的な光学及び電子のタイミングを示す。注入される電子マイクロパルスが共振器内での蓄積された光パワーの最大又はその付近で光共振器に入るようにタイミングをとられる。マクロパルス内の注入される光学的なマイクロパルスの数は、共振器への熱に誘発された損傷の促進を制限するように選択される。デューティ・サイクルは、時間平均の損傷と補償されない形状歪みを限度内に抑えるように選択される。
【0044】
図3A、3Bは、光位相のコヒーレンスの概念を概略的に示す。図3Aは、左から共振器の鏡に接近する入射する光学的なマイクロパルス、及び右から共振器の鏡に接近する循環する光学的なマイクロパルスを示す。図3Bは、
(a)入射する光学的なマイクロパルスの部分が共振器の鏡を通って共振器内に伝達され、循環する光学的なマイクロパルスの部分が共振器の鏡によって(反転して)反射される
(b)入射する光学的なマイクロパルスの部分が共振器の鏡によって(反転して)反射され、循環する光学的なマイクロパルスの部分が共振器の鏡を通って伝達される一般的な場合を示す。
【0045】
図示されるように、微視的(光学)位相及び注入される光学的なマイクロパルスのエンベロープが、微視的(光学)位相及び循環する光学的なマイクロパルスのエンベロープと実質的に整合すると、これは、
(a)共振器の鏡によって伝達された入射する光学的なマイクロパルスの一部分の振幅が、共振器の鏡によって反射された循環する光学的なマイクロパルスの一部分にコヒーレントに加わる
(b)共振器の鏡によって反射された入射する光学的なマイクロパルスの部分、共振器の鏡を通って伝達された循環する光学的なマイクロパルスの部分の振幅が、共振器の外側で打ち消しあうよう(すなわち破壊的)に加わることになる。
【0046】
本発明の動作の根本にある物理学
空間的に周期的な横断方向の磁界又は電磁界によって偏向された相対論的電子線は、γ222の積に比例した比率で電磁エネルギーを放射する。ただし、
γはローレンツ因子E/mc2で、
kは、界の空間的な振動の周期λを特定する波数2π/λで、
Aは、rmsベクトル・ポテンシャルである。
正規化ベクトル・ポテンシャルanを定義することも有用である。ただし、cgs単位でan=eA/mc2
【0047】
横断方向の磁界が周期的である場合、(すなわち界が静的である場合、波長(1+an2)λ/(1+βcosθ)γ2で電子の動きの方向に平行な軸)放出される放射は前方方向にピークを形成する。界が移動平面波である場合、放出される放射は、波長(1+an2)λ/2(1+βcosθ)γ2、ただし、θは、光共振器の軸が、電子ビームの前方方向から変位された角度である。このプロセスは、静的な界の場合に、x線結晶構造解析などの用途に関する準単色のx線放射の強力な、高度にコリメートされたビームの生成に向いており、これらの用途の役割を果たすために多数の非常に大きな、高価なアクセラレータに基づいたx線源を建設することになった。
【0048】
静的な及び時間変化の界の両方に関して、これらの供給源内の電子によって放射されたエネルギーは、ベクトル・ポテンシャルの平方として増加する界の強度と共に増加し続ける。さらにより多くのエネルギーが大きな界(an>>1)で放射される間、放射はより長い波長で放出される。高い界(an>>1)で放出される放射は同様に、もはや単色でないが、ほぼ白色光のスペクトラムまで完全に縮退する、増加する数の高調波を含む(Elleaume 2003及びLau 2003)。
【0049】
したがって、正規化ベクトル・ポテンシャルの増加する値を有するアンジュレータの放射のスペクトラムの質的な進展により、これらの原理に基づいて、システムの設計者や使用者が、用途と整合するように設計を最適化する機会が与えられる(Kim 1989)。単色性や少ない高周波成分を強調する用途に関しては、システムは、0.1<an<0.5の範囲のより低い値のanで稼動するように設計でき、一方で、より高い値のベクトル・ポテンシャルで稼動する特徴は、x線リソグラフィなどの用途に関するan>>1(例えば3以上)に対してほぼ連続光の白色光放射に収束する、高調波に関連するより広い範囲の波長を含む、より高い出力と光子フラックスのビームを生成するように有用に活用することができる。
【0050】
放射されるエネルギーが固定された発光波長での波数、ベクトル・ポテンシャル、電子エネルギーに依存することは、放射されるエネルギーが磁界又は電磁界の周期λを低下させることによってのみ増加できることを示す。この結果から、放射される出力を最大にするには、アンジュレータ周期を最小限に抑えることが必要であるという一般的な結論が成立する。本発明の技術により、電子ビームに基づくx線源で現在使用される1〜10cmの範囲から、光学的な領域、例えば4桁ほど小さい、マイクロメートル程度の値までアンジュレータ周期λを低下させることが可能になる。
【0051】
したがって、本発明によって可能になるアンジュレータ周期の低下は、少なくとも4桁ほどアンジュレータの単位長さ当たりに放射されるエネルギーを増加させ、同時に稼動に必要な電子加速器の寸法とコストを低減させ、それによってx線結晶構造解析、医学x線撮影法及びx線治療、高度x線及びガンマ線撮像システム、原子及び高エネルギー物理学の科学的調査に使用する、コンパクトで安価な高性能のx線やガンマ線の光源の建設が可能になる。
【0052】
そのような緊密に焦点を結び、エネルギー性の光学的なパルスを形成し維持するには、共振器の光学的な表面に入射するフルエンスとピーク・パワー密度が、共振器を構築するのに用いられる基材と被覆の損傷率と調和し、共振器の鏡の形状と間隔が稼動に必要な焦点を維持するために制御され、パルス型ポンプ・レーザによって生成された光学的なパルスの間隔と光位相が共振器内で集積された光パルスと正確に同期したままになることが必要になる。
【0053】
光学的なマイクロパルスの特性
まさにこれらの要求する制約を満たすために、本明細書に記載された本発明は、鏡にcm尺度の点の寸法を維持しながら、循環する光学的なマイクロパルスを光学的な波長の程度の焦点に持っていくそのような共振器の能力を活用するために、高い技巧の、球面に近い光共振器の整合モードで1つ又は複数の低い平均出力のパルスレーザから、ピコ秒の、同期された、位相コヒーレントな光パルスを集積することによって形成された、光アンジュレータを利用する。この様式で、共振器の構成要素の表面でのピーク・パワー密度とフルエンスが安定かつ信頼できる運転と調和するように維持しながら、焦点のベクトル・ポテンシャルが均一に近づき、光共振器が構築できる。
【0054】
そのような共振器の光学的な表面でのピーク光パワー密度の低下を可能にしても、光学的な表面での平均光パワー密度はなお、被覆及び/又は基材の材料の溶融、拡散、又は分解による損傷又は劣化、さらには共振器の構成要素の被覆や基材に消散するマクロパルス平均及び/又は時間平均出力による形状歪みを招くおそれがある。したがって、機能上の光アンジュレータは、共振器の幾何学形状だけに依存することができないが、光源の稼動に必要な条件を保ちながら、これらの光学的な損傷のメカニズムを抑制する1つ又は複数の技術も組み込む必要がある。
【0055】
したがって、本発明の実施形態は、共振器の構成要素を損傷から保護しながら、所望の高いベクトル・ポテンシャルをもたらす共振器内で循環する光学的なマイクロパルスに関する時間構造を組み込む。光学的なマイクロパルスのレベルでは、ピコ秒の時間尺度で電子なだれの形成を制限するように、循環する光学的なマイクロパルスは、それらが共振器の構成要素に当たる場合に十分に制限された時間とピーク出力のものである。放射間隔レベルでは、放射間隔内の光学的なマイクロパルスの数は、共振器の光学素子の構成要素の被覆と表面のピーク温度上昇を制限するように制約される。
【0056】
さらに、連続的な放射間隔の繰り返し率は、共振器の構築に使用される光学素子の熱応力と熱変形を管理可能な値に保つために制限される。この文脈では、「管理可能な値」は、発生源の稼動に必要な条件を維持するために、表面温度勾配を調整し、又は鏡間隔、ポンプ・レーザ周波数、ピコ秒のパルスを調整することによって補償できる値を意味する。
【0057】
正規化ベクトル・ポテンシャルan0.1〜1.0の値で稼動できる光学的な界の形成を考えると、強力な、コリメートされた、準単色のx線ビームが、緊密に焦点を結び、バンチの、パルス電子ビームを蓄積された光パルスを通して共振器内のその焦点に送ることによって本発明で生成される。適切な電子ビーム供給源に連結された場合、そのように構築され、稼動される光アンジュレータは、x線パワー出力の特定の値に必要な可能な限り最も低い平均電子電流と電力で現行のアンジュレータ技術を使用して可能なよりも100倍低い電子エネルギーでこの放射を生成することを可能にする。
【0058】
このシステムによって生成されたx線ビームの瞬時のピーク出力は、an2とγによって決定されるような放射されるx線/電子の数、ピーク電子電流とバンチ長さによって決定されるバンチ当たりの電子の平均数、さらにはバンチの間隔によって決定される。本発明によって生成される平均のx線パワーは、光共振器で使用される表面と基材の平均パワー率、及び存在すれば、稼動に必要な電子ビームを提供するために用いられる加速器に関する繰り返し率への制限によってのみ生成される。
【0059】
現在達成可能な光学的な損傷しきい値と、加速器のピーク及び平均電流に関して代表的な値とを想定することにより、cm周期のアンジュレータを使用する供給源に関する最先端技術に匹敵するx線ビーム輝度が生み出され、稼動に必要な加速器とアンジュレータ・システムの寸法が縮小されるため、寸法とコストがはるかに低減する。循環する光学的なマイクロパルスを形成するためにピコ秒のパルス光ビームを使用することにより、鏡の表面で光パワー密度と平均光パワーに関する同じ制約によって制限される連続的な光学ビームを使用して実現可能なよりもはるかに大きな正規化ベクトル・ポテンシャル及び放射x線パワーの値を得ることが可能になることがさらに理解できる。
【0060】
ポンプ・レーザの特徴
本発明の稼動に必要な光学的な放射は、その光学的なマイクロパルスが、共振器内で循環する光パルスのラウンドトリップ・トランジットタイムの整数倍に等しい期間を有する位相と振幅において変化する、1つ又は複数のそれぞれがパルスの、位相コヒーレントなレーザ供給源によって生成される。そのようなレーザは、一般的に光アンジュレータとして使用するのに必要なピーク出力を直接的に得ることが不可能であるが、低い出力の位相コヒーレントなレーザ源から得られる代表的なパルスは、共振器内で少なくとも3桁、レーザ出力パワーを超えるピーク出力を達成するために、適切に設計された低損失の光蓄積共振器内で統合できる。
【0061】
注入されるマイクロパルスの各列の位相の周期性の状態は、原則的に、制限された数のそれぞれの光学的なマイクロパルスでの光学的なサイクルを考えると、稼動への大幅な影響なしに、光蓄積共振器の固有振動数に等しくないレーザ周波数(電界のゼロクロッシングの間の周期の逆数)を使用できるようにする。しかし、CWレーザによって駆動される光蓄積共振器に通常適用可能な周波数同期に関する基準の緩和により、注入されたパルスの光位相が、それらの時間の間隔に同じ周期と同期性があり、共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムの整数倍に等しい必要があるという本発明での要件が変わることはない。
【0062】
これら制約を考えると、蓄積共振器に注入されるパルスの光周波数は、複数の周波数vnm=n/(mτ)の個別のもの、又は組合せに等しく設定される必要がある。ただし、τは共振器に関するラウンドトリップ・トランジットタイム(RTTTと呼ばれることもある)、mはτにおいて注入されるマイクロパルスの間の時間間隔を定義する整数であり、nは1/(mτ)に対する光周波数の比率を定義する整数である。
【0063】
条件が共振器に注入されるマイクロパルスの位相と振幅の周期性によって満たされることを考えると、それぞれの光パルス列が振幅と位相の変化の周期性に関する前述の条件を満たすことのみを条件として、異なるレーザとマイクロパルスの繰り返し周波数、及び互いに対する任意のタイミングの多重の光パルス列によって共振器を同時に励起することが特に可能である。
【0064】
そのような光蓄積共振器に使用することが可能なレーザ供給源には、光通信に使用される広帯域パルス・ダイオードレーザ、パルス光ファイバー・レーザ、位相固定自由電子レーザが含まれる。活性のレーザ媒体を光蓄積共振器の外側に配置することにより、より広い範囲のレーザ媒体を使用すること、及び蓄積共振器内に必ず存在するものよりもほぼ最適な条件の下でこれらのレーザ媒体を稼動させることの両方が可能であり、それによってそれよりもほぼ最適な正規化ベクトル・ポテンシャルを伴う蓄積された光学的なマイクロパルスを生成する。
【0065】
1つ又は複数の自由電子レーザ(FEL)が光共振器を励起するために本発明の一部分として統合される場合、これらのFELは、共通の線形加速器の注入器を使用し、又はFELの稼動、及び本発明の最適化されたアンジュレータx線源の稼動の両方に対して共通の線形加速器の注入器を使用するように設定できる。
【0066】
本発明の実施形態による光アンジュレータの動作に使用されるピコ秒のパルス構造は、パルス位相コヒーレントのポンプ・レーザとマイクロ波、又は無線周波数の電子加速器の両方の能力に一般的に匹敵するが、レーザ周波数とレーザのパルス間隔の同期、及びシステムに使用される加速器によって生成される電子バンチの位相とパルス間隔に関する条件は、加速器とレーザの稼動周波数を光蓄積共振器の寸法と正確に整合する必要がある。
【0067】
パルス・ポンプレーザと共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムによってもたらされる光パルス列の周期性の同期は、トランジットタイムを適切な値に維持するために鏡の長手方向位置を調整し、又は共振器の寸法や焦点パラメータでの変化を追跡するためにポンプ・レーザの光波長とパルス周期を調整することによって設定され維持される。ポンプ・レーザのレーザ周波数とマイクロパルス繰り返し周波数が、稼動中に変えられると、加速器の稼動周波数は、それにしたがって同期を維持するために変更される。光共振器に関するラウンドトリップ・トランジットタイムが、稼動中に一定の値に維持される場合、レーザと加速器の周波数を変更する必要はまったくない。
【0068】
注入されるマイクロパルスの位相のジッターの効果や、エンベロープを光共振器に連結するときのタイミングと光共振器に循環するマイクロパルスの強化の考察によって、効率的な注入を確実にするには、注入されるマイクロパルスの位相は、循環する蓄積されたマイクロパルスの位相の±20°以内に維持されることが好ましく、注入されるマイクロパルスのエンベロープの到達の時の幅と時間は、循環する光学的なマイクロパルスの幅の10%以内に調整されることが好ましいことが示される。
【0069】
注入される光学的なマイクロパルスの位相とタイミングがこれらの限度内に維持できない場合、循環するマイクロパルスのベクトル・ポテンシャルをシステムの動作に必要なレベルに上昇させるために、注入されるマイクロパルスの出力を増加させることが必要である。±45°程度の限界になる位相のジッター、及び/又は光学的なマイクロパルスの継続時間の±50%程度のタイミングのジッターがより大きくなると、このように継続時間が許容されるが、注入効率がより低くなり、同じ値のanに対して注入される光学的なマイクロパルスの出力がより高くなる欠点がある。これらの拡張された範囲での位相ジッター及び/又はタイミング・ジッターを伴う実施形態は、入射する光学的なマイクロパルスによるコヒーレントな強化をなおもたらすと考えられる。
【0070】
時間ドメインでのレーザ、光学的なマイクロパルス、加速器、共振器の周期性での小さな不整合、及びこれらの周期性に影響を与える寸法に対するシステムの極端な感度を考えると、効率的かつ安定的な稼動を確実にするために必要な周波数及び/又は周期性の同期は、ほとんどの実際のシステムで、これらの周期性を測定し比較し、稼動の周波数を調整し、かつ/又は閉ループフィードバック制御の下で必要に応じて調整される要素の稼動の周波数及び/又は寸法を調整するのに必要なセンサと診断部を備えることが必要である。
【0071】
複数のレーザの実施形態
図4は、2つの個別のレーザ25a、25bからの光学的なマイクロパルスがそれぞれの単一の循環する光学的なマイクロパルス60a、60bを確立するのに使用される実施形態を示す概略図である。図示されるように、レーザは、(インターリーブされるマクロパルスを提供するのではなく)単一の光学的なマクロパルスを生成するそれぞれのレーザと調和する、共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムによって分離され、入射する光学的なマイクロパルス50a、50bのそれぞれの列をもたらす。これらのビームは、原則的には2つのレーザビームは、共振器の両側に導入できるが、共振器に導入される前にビーム結合器122で結合される。
【0072】
図面は他方のレーザの光学的なマクロパルスの光学的なマイクロパルスの間に中心を合わせた、一方のレーザの光学的なマクロパルスも示す。パルスの積み重なりを受け入れるために、一方のレーザの光学的なマイクロパルスの他方のレーザの光学的なマイクロパルスに対するタイミングはまったく関係を必要としない。したがって、インターリーブされた組の光学的なマクロパルスの間隔は、周期的であり、間隔のすべてが加速された電子マイクロパルスの間隔の整数倍に一致する限り、1つの組の光学的なマイクロパルスは間隔が密集し、ギャップがそれに続き、別の組の間隔が密集した光学的なマイクロパルスがそれに続く。
【0073】
しかし、共振器が単一の電子マイクロパルスの周期的な列を生成する電子加速器と共に使用される場合、絡み合う光学的なマクロパルスはラウンドトリップ・タイムτを整数で割ったもの(τ/n)によって互いから間隔を置く必要もあり、そうでなければ循環する光学的なマイクロパルスは電子マイクロパルスと衝突しない。ほとんど又はすべての電流電子加速器は、電子マイクロパルス(バンチ)を加速するのに必要な高い電界を生成するいくつかの種類のRF共振を使用するので、本発明のほとんどの実際の実施形態は、電子マイクロパルスが何らかの定義された周波数で周期的に送出されることによって制約される。
【0074】
電子ビームの特性
本発明で使用される電子ビームは、1つ又は複数のRF又はマイクロ波加速器によって提供され、そのそれぞれは、拡張された一連の電子バンチを生成する(それぞれがRF位相で角度を10°以上の範囲を定めず、加速器の稼動周波数又はその整数倍の周期で間隔を空けることが好ましい)。そのようなビームの実現可能な供給源には、RF若しくはマイクロ波線形加速器、マイクロトロン、又は蓄積リングが含まれる。代表的な実施形態は、1つ又は複数の10〜30MeV電子線形加速器を使用し、それぞれが高い平均電流のバンチ電子ビームを生成するために3GHzで稼動する熱イオンマイクロ波ガンを利用する。
【0075】
加速器によって生成された電子ビームは、その電子ビームが光学的な放射と衝突する領域で水平平面と垂直平面の両方のウエストに合焦される。焦点スポットの寸法は、許容可能なx線スペクトル幅を生み出す値への電子の角度広がりを規制しながら、電子ビームの断面を最小限に抑えるように選択される。システムの稼動は、一般に角度広がりのx線スペクトル輝度によって課せられる制約と調和する最も小さいビーム焦点を達成するために可能な限り低い電子ビーム放出を必要とする。
【0076】
光アンジュレータを通る電子の通路をたどって、送出される電子ビームは、それに続く個別の、第1のものと同様の相互作用領域で使用するために再び合焦され、蓄積リング内で再循環され、ビーム・ダンプ又は廃棄部に伝送され、又は熱とイオン放射の代わりにRF又はマイクロ波の出力として消費される電子のエネルギーにちょうど位相を合わされた複数の第2の組の1つ又は複数のRF又はマイクロ波に伝送される。代表的な実施形態では、光アンジュレータに伝送されるビームを生成する加速器と同様の長さの第2の加速器区画は、減速する電子のエネルギーを従来のビーム・ダンプに廃棄するために10MeVより下に低減するために180°位相をずらされる。
【0077】
共振器の特性
単純な2つの鏡の光蓄積共振器の設計及び稼動が、科学文献(Siegman 1996a)に広範に論評され、このタイプの共振器は、高エネルギー物理での調査用のシングルパスの線形衝突型加速器で使用される高エネルギー低放射率電子ビームの断面を測定するための非常に優れた「optical wires」(Sakai 2001)を提供するためにCWレーザ供給源と共に既に使用されている。従来技術は、パルスの積み重ねのためのモードロック・ポンプを使用する場合に蓄積されたパルスの注入の効率と振幅を最適化する固有モードの間隔に整合させるために、モードロック周波数を調整する必要にも対処している(Jones 2001)。
【0078】
しかし、そのような光蓄積共振器は、(パルスポンプ供給源を使用する)パルスの積み重ね、又は(CWポンプ供給源を使用する)強力な狭い焦点スポットを生成する目的で、従来技術で開発され実証されてきたが、効率的なパルスの積み重ねと定められた狭い焦点スポットの両方を単一の蓄積共振器内で同時に得るための能力は、従来技術で説明されていない特別な共振器設計を必要とする。例えば、単一モードを構築するのに使用される共振器では、従来技術のCW「optical wire」は、ラウンドトリップ・トランジットタイムにまったく制約を設けず、したがって単一では、マイクロパルスの繰り返し周波数が効率的なマルチモードの稼動を遂行するこの間隔に正確に整合されるパルスレーザ供給源に使用するのに適していない。
【0079】
従来技術はまた、本発明の一部分として組み込まれる光共振器の構成と稼動に必要な光学素子を実際に製造するために利用可能な手段についてまったく手引きを行っていない。CWと位相コヒーレント・パルスのレーザビームを注入し集積するために設計された共振器の設計と構成が文献(Sakai 2001 and Jones 2001)に詳細に論じられているが、従来技術は、効率的な集積と蓄積に関し、また有用な光アンジュレータの実現に必要な狭い焦点の形成と維持に関してまさに要求される基準を同時に満たすことができる共振器を構築するために利用可能な実際の手段についてまったく手引きを設けていない。
【0080】
本発明が依存する共振器は、湾曲した反射表面の製造に固有の制限を回避することによって、稼動に必要な共振器の固有モードのスペクトラム、共振器のラウンドトリップ・トランジットタイム、共振器損失を維持しながら、同時に循環する光学的なパルスを回折によって可能にされる最も小さい点に合焦させる能力を達成する。対処される中心になる問題は、本発明の蓄積共振器の実際の実施形態で必要な鏡に関する湾曲の中心の位置で数百ミクロンの絶対値の不確定性に対応して、その湾曲の中心が0.1%未満の誤差で規定され、又はその曲率半径も同様に規定されるように鏡表面を研磨し形成することが本質的に不可能であることである。
【0081】
この不確定性は、数ミクロンの程度の不確定性が、効率的なパルスの積み重ねとするための鏡の離隔距離、及びウエストで緊密な焦点を独立に得るための鏡の湾曲の中心の空間的な位置の両方で同時に得られなければならない本出願に対して不十分である。従来技術では、これらの条件のうちの1つ又はもう一方のみを得ることができるが、両方は得ることができない。しかし、本発明の態様は、従来技術で見ることができない能力である、ポンプ・レーザによって注入される光学的なマイクロパルスを集積するのに使用される光共振器の構成と能力を提供する。
【0082】
共振器設計
2つの鏡の共振器では、最小の焦点スポット寸法と特定のラウンドトリップ・トランジットタイムの達成は、鏡の製造での実際に達成可能であるより大きな正確さ、又は許容できないレベルの内部応力を招く可能性もある手順である、その表面を必要な形状に合致させるために鏡を変形させる機構を必要とする。したがって、共振器の2つの主要な鏡の製造で不可避の誤差を補償するために製造し配置できる第3の要素を共振器に加えることが一般に好ましい。したがって、本発明に使用される光蓄積共振器に関する実行可能な設計は、必要な正確さを対応する正確さが製造において達成できる別の光学素子に伝え、動作の際に共振器パラメータを適切に調整する技術を提供することによって、鏡の製造の上記の制限を回避する。少なくとも2つのそのような一般的な3要素の共振器構成が実現できる。
【0083】
第1の共振器の構成
図5は、本発明の実施形態を実施するのに適した光共振器30の第1の構成の概略図である。この構成は、ポンプ・レーザからのp偏光された光に対してブルースター角で、又はほぼブルースター角で向けられた有限の厚さの誘電性のブルースター・プレートとして球形度補償器110を実装する。共振器内のプレートの存在は2つの効果がある。
(i)共振器内のパルスのラウンドトリップ・トランジットタイムをプレートの厚さに正比例する時間の遅れによって増加させる。
(ii)最接近した鏡の湾曲の中心をプレートの厚さに正比例する空間での変位によって光学的に移動させる。(i)及び(ii)での時間的かつ空間的な変位は、プレートの独立の物理的な特性によって決定され、したがってそれらは蓄積共振器の設計で独立に規定することができる。共振器による循環する光学的なマイクロパルスの最適な合焦は、2つの鏡32、35の湾曲の中心が、ビームのウエストに対応する125で示された点と実質的に一致するとき生じる。
【0084】
プレートを共振器の設計に組み込むための提示された方法は、以下のステップのシーケンスに基づいている。
1)誘電プレートに対するノミナル厚さ、入射角、及び共振器内の位置を選択する。プレートのノミナル厚さに関する最適な選択は、下記の段落[0096](翻訳文では0085)に説明される。
2)プレートによって導かれた時間の遅れを含む効率的なパルスの積み重ねに必要な物理的な鏡の離隔距離を計算する。この計算は、プレートの厚さを伴う第1の式を生み出す。
3)プレートによって光学的に導かれた空間的な変位を含むウエストで焦点スポットの所望の半径を得るために必要な2)で決定された間隔を使用して鏡の曲率半径を計算する。この計算は、プレートの厚さを伴う第2の式を生み出す。
4)共振器の鏡を3)で決定された半径に可能な限り近く整合する曲率半径を使用して共振器の鏡を製造する。
5)干渉計又はその他の光学的な技術によって、4)で製造された鏡の実際の曲率半径を測定する。数マイクロメートルの誤差内でこの測定を行うのに必要な方法が従来技術に見ることができる。
6)ステップ2)と3)からのプレートの厚さを伴う2つの独立した式を使用し、ステップ5)からの測定された曲率半径をこれらの式での固定されたパラメータとして使用し2つの新しい未知数に関するこれらの2つの式を解く。i)プレートの新しい厚さ、及びii)新しい物理的な鏡の離隔距離
【0085】
プレートのノミナル厚さに関する元の選択は、鏡の製造可能な曲率半径での不確定性の限界を考えて十分である必要があり(ステップ3)、プレートの新しい厚さは、優れた平坦度を有して製造可能であるように十分に厚く、吸収又は自己収束などの共振器の稼動への不要な光学的な効果を最小限に抑えるように十分に薄い。
【0086】
一般に、傾斜した平行なプレートは、発散又は収束する光ビームに非点収差を導き、本設計で「垂直」及び「水平」(すなわち直交の横断)方向に異なる焦点半径を有する蓄積された光ビームを生じる。しかし、非点収差は、入射するプレートでのプレートの表面の間の小さなくさび角を研削することによって正確に補償でき、くさび角の大きさは、当分野の技術者に知られた光学分析技術によって決定できる。
【0087】
上記の設計手法の利益は、2つの鏡の湾曲の中心を数マイクロメートルの精密さに位置決めする困難さとは対照的に、プレートの厚さが数マイクロメートルの精密さに容易に研削及び研磨できることから生じる。したがって、本発明で必要に応じて(共振器球形度を介して)焦点スポットとパルスの積み重ねを同時に最適化することは、上記の設計で達成できる。
【0088】
湾曲した鏡表面の製造での誤差を補償することに加えて、プルースター・プレートは、稼動中に鏡表面の熱変形を補償するように設計することもでき、その最も重要な効果は、高出力を蓄積した光ビームの間隔的なプロファイルにより湾曲率を変えることである。そのような効果は、原則的に鏡の基材の知られた熱力学的かつ光学的な特性を使用して高い正確さに計算又は測定できる。あるいは、蓄積共振器は、歪みを補償するために、例えば鏡の一方又は両方をバックヒートする可変出力の外部レーザビームを使用して、又は調整可能な機械的応力を後面又は縁部で鏡に加えることによってこの補償を独立にもたらすことができる。図1Bは、1つの特定の実装形態として熱補償に使用される2つの放射熱源117、120を示す。
【0089】
蓄積共振器の実際の実施形態は、実際にはこれらの又はその他の技術によって曲率半径のそのような変化を保証する必要がある。例えば、蓄積共振器のノミナル構成が蓄積されたビームをまったく使用せずに鏡の中心温度を上昇させるために適用される外部熱源を使用する場合、稼動中にその供給源の強度は必要に応じて稼動中のレーザポンプによって誘発された加熱を埋め合わせるために必要に応じて低減できる。同様に、加えられた機械的な応力は、高い出力の蓄積されたビームを使用して動作中に必要な曲率半径を維持するためにその最初の(空〜共振器)値から調整できる。
【0090】
図5は、球形度とモードロックを制御するための追加の位置決め要素も示す。特に、位置決め装置132が凹面鏡32と関連付けられて示され、位置決め装置135が凹面鏡35を備えて示される。例えば、これらの位置決め装置は、生じる可能性のあるいかなる動揺も補償する、急速な応答を行うために機械構成要素と電気構成要素の両方によって実施できる。例えば、鏡は、単一の軸に沿って位置するために、その平行動きが制約される安定した機械的なフレクシャに装着することができ、その場合、動きがフレクシャを押すそれぞれの圧電アクチュエータによって誘発される。
【0091】
図5の基本設計では、鏡を平行移動することは、共振器の長さもわずかに変更し、したがってパルスの積み重ねに影響を与えることに留意されたい。この設計で鏡を平行移動させずにレゾネータの球形度を補償する技術は、図1Bに示されるような(放射熱源117、120)共振器の長さを変更せずに鏡の曲率半径を変更するために、レーザのバックヒーティングを使用することである。原則的に、共振器のラウンドトリップ・タイムと共振周波数で生じる変化がモードロックで周波数ロックのレーザ供給源、及びRF駆動にフィードバックされる場合、球形度を平行移動のみを使用して補償することが可能であり、RF線形加速器FELでもこれができるように変化が全体的に十分に小さくなる。
【0092】
第2の共振器の構成
図6は、本発明の実施形態を実施するのに適した光共振器30の30'で示される第2の構成の概略図である。この構成は、(共振器の球形度を介して)焦点スポットとパルスの積み重ねを独立に最適化することが可能である。この設計は、図示される様式で折り曲げられる線形の共振器軸を生成するために、3つの鏡(2つの湾曲した共振器の鏡140、145と、実質的に平坦な鏡150)を使用する。緊密に合焦するウエストを囲む共振器の領域が湾曲した鏡140、145によって境界を定められる。
【0093】
鏡140は、共振器の一方の端部の鏡を定める実質的に球対称の鏡であり、共振器ビームを垂直の入射で反射する。鏡145は、中間の軸外し放物面鏡であり、共振器のビームを45°等の適切な傾斜した入射角で平坦な鏡150に反射し、その鏡150は共振器の他方の端部の鏡を定める。鏡の基本的な曲率半径は、球面の端部の鏡140と軸外し放物面鏡145との間に蓄積されたビームが収束して155で図示されるウエストで緊密に合焦し、軸外し放物面鏡と平坦な端部の鏡の間の蓄積されたビームが平坦な鏡の位置でウエストによって実質的にコリメートされる(すなわち、波面が平坦な鏡で実質的に平面である)ように設計される。
【0094】
焦点スポットの最適化(共振器の球面度を介する)は、中間の放物面鏡に対する端部の鏡の離隔距離が平坦な鏡に対して独立に調整できるように、球面共振器の端部の鏡を可動ステージ160に配置することによって達成される。緊密な合焦を達成し維持するために共振器の球形度のそのような独立のおそらく動的な最適化を可能にすることによって、これらの鏡の曲率を維持するために外部の熱的又は機械的な変形を加えることがこれ以上必要でなくなる。パルスの積み重ねの最適化は、蓄積されたビームが共振器のこの領域で大きな横断方向の半径によって実質的にコリメートされるので、中間の放物面鏡に対する端部の鏡の離隔距離が球面の端部の鏡に対して独立に調整できるように、平坦な共振器の端部の鏡を可動ステージ165に配置することによって同時に達成され、パルスの積み重ねの調整は共振器の相互作用領域内で合焦されるビームに実質的に影響を与えることなく行うことができる。
【0095】
原則的に、ポンプ・レーザの繰り返し率が十分に広範囲の繰り返し率にわたって連続的に調整可能である場合、共振器の球形度とパルスの積み重ねの独立の最適化の問題は生じないことに留意されたい。そのような場合、蓄積共振器はウエストで緊密に合焦されたビームを提供するように構成でき、ポンプ・レーザの繰り返し率は、パルスの積み重ねの要件を満たすように調整される。蓄積共振器の製造の不備に相当する繰り返し率の十分な調整可能性がないRF線形加速器の自由電子レーザなどのいくつかのポンプ・レーザがあるが、それによって共振器構造はこの最適化を同時に達成する技術のすべてを組み込む必要がある。
【0096】
例えば放射間隔の継続時間、蓄積共振器の長さ、駆動レーザの出力などの一定のシステム・パラメータが指定される特定の実施形態では、鏡の透過率は、放射間隔の終わりの循環する光学的なマイクロパルスの出力、又は放射間隔中に蓄積共振器の相互作用領域を通過する統合された光エネルギーを最大にするように駆動レーザからの十分な出力を共振器内に連結するように選択できる。しかし、蓄積共振器の相互作用領域での所望のベクトル・ポテンシャルを得るために、その他に鏡の反射率の値が必要な可能性がある。
【0097】
例えば、反射率がピークの循環する出力又は統合された循環するエネルギーに関して最適化されるときに、駆動レーザの出力が非常に高いので、ベクトル・ポテンシャルが所望の値を超える場合、所望のベクトル・ポテンシャルを得るために反射率が必要に応じて低下され、それによって同時に、放射間隔中に蓄積共振器内で循環する光パワーのより均一の時間依存性が生み出される。ここで考察されるもののような特定の実際の実施形態では、鏡の吸収損失は無視でき、それによって鏡から反射されないエネルギーは、鏡を通って伝達されたと考えることができる。非ゼロの吸収損失を説明する方法が当分野の技術者によって知られている。
【0098】
連結要素を備えない光学要素の間の反射損失の分布の選択は、所望の連結効率に依存し、総損失に対する連結損失の比率として定義される。連結効率が均一である場合、共振器内で蓄積する最大の出力が得られるが、この場合に生じる反射される出力のレベルは、駆動レーザ内への後方反射を低減させるために、駆動レーザと蓄積共振器の間に分離用の光学部品を必要とする可能性がある。この反射される出力は、(例えば鏡の反射率が等しい2つの鏡の共振器など)損失整合共振器(loss-matched cavity)を設計するによって最小に抑えることができるが、これは、均一の連結効率の場合と比較して共振器内に増大する出力を低減させる。反射される出力と伝達される出力の間の適切なトレードオフを選択するように、連結効率のその他の値が選択できる。
【0099】
システム構成の考察
電子ビームと蓄積された光パルスとの焦点が一致するようにそのような光蓄積共振器を電子ビームの焦点の付近に配置し、注入される光パルス及び/又は加速された電子ビームのタイミングが2つのビームをそれらの共通の焦点で交差させるように制御することによって、加速されたビームのそれぞれのバンチの電子が、強力な、蓄積された光パルスによって生成された強力なアンジュレータの界に光パルスのピーク強度で、又はその付近で曝され、それによって、高い強度の光パルスが光蓄積共振器内で循環して、これらのより小さい電子のバンチの複数の連続的な衝突によって、それぞれの衝突の際にアンジュレータの放射の効率的な生成に必要な条件や、高い平均X線フルエンスと輝度を達成する。
【0100】
システムの稼動を最適にするのに必要な循環する光パルスに関する焦点のパラメータは、電子ビームに関する焦点とは幾分異なる。焦点で電子ビームの水平と垂直の点の寸法を最適化することは一般に、後方散乱するx線の波長の角度依存性によって角度広がりに加わる制限と調和する点の寸法を最小限に抑えることが必要であるに過ぎないが、蓄積された光パルスに関する焦点のパラメータは、光パルスの電子バンチとの重複を最適化するように選択されることが好ましい。
【0101】
最も単純な場合、すなわち同じ軸の反対方向に沿った電子ビームと光パルスの同一直線上の伝播の場合、電子が相互作用する光学的な界のパワー密度が、ポンプ・レーザの設計によって決定される光パルスの長さ、及び回折の法則によって決定される焦点スポットの付近の光ビームの直径と領域の特性依存の両方に依存する時間と位置によって変わる。光学的なスポットの半径w(z)は、一般に焦点スポットの位置に対する軸方向位置zによって以下のように変化する。
w(z)=w0[1+(z/zR21/2
ただし、w0は焦点スポットでの点の半径であり、zRは焦点スポットの「界の深度」を特定するレイリー・パラメータである。
【0102】
電子によって放出されるアンジュレータの放射の強度の光パワー密度への特性依存を考察することによって、連続的に合焦する光ビームを通って移動する電子は、焦点から+/−zrの距離で−から+無限大に移動する際に放出されるエネルギーの半分を放射することを示すことができる。したがって、循環する光学的なマイクロパルスのパルス長は、電子が以下の場合に同じピーク強度の連続的な光ビームと衝突する場合と比較して、後方散乱されたx線光子の数で多くても2倍の損失でレイリー・パラメータzRの2倍程度に低減することができる。
7)焦点スポット領域の光パルスの断面が電子ビームの断面と整合したままになる。
8)電子が、光パルスの質量中心が焦点スポットの前の1つのレイリー・パラメータの点に到達する時間と、パルスの質量中心が焦点スポットに到達する時間との間の間隔中のある時点で対抗して伝播する光パルスに当たる。
9)光パルスが光の速度で割ったレイリー・パラメータの2倍以下にほぼ等しい継続時間を有する。
10)光蓄積共振器に関するレイリー・パラメータが、およそ加速器の駆動装置によってもたらされる電子バンチの長さ以上に設定される。
【0103】
これらの条件が満たされる場合、蓄積共振器内で循環する光パルスを通って移動する電子は、光パワー密度が焦点スポットでの強度の2倍以内の焦点スポットの周りの空間領域での光学的な界に当たり、光蓄積共振器内で循環するパルスのピーク出力に等しい出力を有する連続的な光ビームを通って移動する同じ電子によって生成されるx線ビームの2倍以内のフルエンスと輝度のx線ビームを生成する。
【0104】
共振器の寸法と鏡の反射率の分析
鏡での光強度又は熱出力負荷を適用可能な損傷しきい値の下に制限しながら相互作用領域で所望のベクトル・ポテンシャルを生み出す、レーザ駆動蓄積共振器に関する代表的な設計階層構造が以下に説明される。この設計手順は、例として意図するものであり、排他的又は限定的であることを意図しない。
【0105】
代表的な設計は、ポンプ・レーザ波長λ、レーザ・マイクロパルス継続時間τp、ピーク出力Pinc、マイクロパルス繰り返し率vpから始まり、それらは一般的にすべて利用可能なレーザシステムによって決定される。次いで、共振器の相互作用領域でのTEM00モードの所望の共振器内1/e2強度のビーム半径ω0は、例えば光ビームが整合される電子ビームの放出特性と焦点の幾何学的形状に依存して特定できる。
【0106】
次いで、相互作用領域での軸上の所望の正規化ベクトル・ポテンシャルanが、対象となる用途に応じて特定される。rmsベクトル・ポテンシャルanは、以下の式によってcgs単位でrms光電界
【0107】
【数1】

に関連付けられている。
【0108】
【数2】

ただし、eとmは、電子電荷及び質量であり、λは光波長であり、cは光の速度である。anから軸上の電界
【0109】
【数3】

を決定するとき、cgs単位の軸上の光強度Ipは以下の式から計算できる。
【0110】
【数4】

強度のmks単位への変換がよく知られており、対応する循環するマイクロパルスのピーク出力Pcircが以下の関係式によって軸上の強度から得られる。
【0111】
【数5】

【0112】
共振器の長さに対して完全に位相を合わせ、それによって循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化するピーク出力Pincの注入されるマイクロパルスに関しては、(パス0で空の共振器から始まる)共振器内のパスnの間循環する出力Pcircが以下の式によって表現される。
【0113】
【数6】

ただし、t12は入力鏡での分数の出力連結係数であり、δcは分数のラウンドトリップ・共振器出力損失である。放射間隔中の共振器ミラーのそれぞれに入射する総光エネルギーとして定義できる統合された光エネルギーKcavは、以下の式になるように上記の式の統合によって得られる。
【0114】
【数7】

ただし、
【0115】
【数8】

は放射間隔中の時間平均の入射レーザ出力であり、TΩは放射間隔の継続時間であり、Nは放射間隔中の共振器ラウンドトリップの総数である。
【0116】
共振器内の総数Nのラウンドトリップを有する放射間隔に関しては、放射間隔の終了での循環するピーク出力Pcirc(すなわちパスNでの)は、δcN=2.52を満たす共振器損失δcに関して最大化され、統合された光エネルギーKcavは、δcN=3.78に関して最大化される。これらの2つの場合の間の有用な設計の折衷は、基準δcN=3.056(式1)を使用して得られる。
それに対して
【0117】
【数9】

及び
【0118】
【数10】

であり、
次いで、放射間隔の終了での循環するピーク出力Pcircは、(t12が共振器損失δcに対して圧倒的である共振器設計に関して)以下の式で与えられる。
【0119】
【数11】

【0120】
長さLcの対称的な共振器での共振器の鏡での放射間隔中の周波数FΩ(すなわち軸上の単位面積当たりの統合されたエネルギー)が、以下の式のようなTEM00モードの幾何学的形状から得られる。
【0121】
【数12】

また、放射間隔の時間間隔TΩは、以下の式によって共振器の長さLcに関連付けられる。
【0122】
【数13】

【0123】
式2、1、3は、その他のシステム・パラメータ又は要件を受け入れるために望むように変更できる熱出力負荷を制限する点設計手順に関する基礎を形成する。例えば、自由電子レーザに基づくシステムに関する以下の設計は、上記の手順から直接的に生まれる。
λ=1μm
ω0=10μm(それに関してzR=0.31mm=c(1ps))
τp=1ps
p=2.86GHz
circ=43GW(an=0.1に対応する)
inc=50MW(逆テーパを付けられたFELに対応する)
Ω=60J/cm2(TΩ=1μsに関する保守的なフルエンスの損傷しきい値)
上記のパラメータに関しては、式2がδc=0.285%のランドトリップの共振器損失を特定し、次いで式1が共振器内の全体でN=1073ラウンドトリップを特定し、次いで式3及び後続するものが共に放射間隔に関してTΩ=5.4μsの継続期間を特定する。
【0124】
次いで、共振器の寸法は、上記の設計手順によって得られる特定の共振器パラメータに対して計算できる。この例では、対応する共振器長さは、Lc=0.75mであり、次いでその長さは、共振器内の循環するマイクロパルスの最も近い整数、この例ではLc=0.786mに整合するように必要に応じて増加される。TEM00モードの1/e2強度半径ωmirr=12.5mm、及び共振器の鏡の直径φmirrは、φmirr=60mmになるように保守的に選択できる。
【0125】
損傷メカニズムがピーク光強度(統合された光フルエンスとは異なる)に依存する早急な時間尺度で起こる稼動体制に関しては、選択された設計は対象となるプロセスに関する適応可能な損傷しきい値と両立できる必要がある。長さLcの対称的な共振器での共振器の鏡での放射間隔の終了でのピークの循環するマイクロパルス強度(すなわち軸上の単位面積当たりのピークのマイクロパルスの出力)は、
【0126】
【数14】

である。
【0127】
相互作用領域で所望のベクトル・ポテンシャルanを生み出すように選択される規定のビーム半径ω0及び循環するピークのマイクロパルスの出力Pcircに関しては、対称の光蓄積共振器の長さLcがフルエンスの考慮とは独立に決定される。最終的なシステム設計に関しては、システム・パラメータは、光強度依存、及び統合されたフルエンス依存の損傷メカニズムの両方に関する損傷しきい値と両立する必要がある。
【0128】
同期の制御及び安定化
上述したように、蓄積共振器内の電子マイクロパルス、ポンプ・レーザからの光学的なマイクロパルスと、循環する光学的なマイクロパルスが同期されることが重要である。これを達成するためのいくつかの実行可能な手法がある。概略的には、本発明の実施形態は、以下のもののうちの1つ又は複数を設定及び安定化するためのセンサ及び制御部を設けることができる。
・ 光共振器の焦点スポットパラメータとラウンドトリップ・トランジットタイム
・ ポンプ・レーザのレーザ及び光学的なマイクロパルスの周期性
・ 電子ビーム加速器の周波数
・ 加速器の位相及び電子ビーム・ステアリング
好ましい実施形態は、上記の少なくともいくつか、及び好ましくはすべてのものを安定化させることを目的とする。
【0129】
図7A、7Bは、同期の制御と安定化を行う代表的な制御素子を示す概略図である。図7Aは、図5に示される第1の(ブルースター補償の)共振器構成を使用する実施形態に対応する。図7Bは、図6に示される第2の(折りたたまれた)共振器構成を使用する実施形態に対応する。診断と制御が過渡的な、及び定常状態の蓄積共振器の稼動体制を受け入れるように設計され、そのいくつかの実施形態は、最大の蓄積された循環する光パワー及び統合された光エネルギーをもたらすように、放射間隔の有限の継続時間によって制約できる。そのような最適な共振器は一般に、定常状態の稼動を達成せず、したがって周期駆動レーザと電子ビーム入力の周波数と位相及び循環する光パルスの位相の両方を監視する診断と制御を備える必要がある。
【0130】
光共振器内の循環する光パルスに関する第1の診断は、共振器内のパルスが繰り返されるラウンドトリップによって増大するとその空間的及び時間的な伸展を記録することが可能である、1つ又は複数の2D及び/又は3Dのフォトダイオード・アレイと、高速フォトダイオードを備える。これらの検出装置は、横断方向のモード・プロファイルの形状と位置、及び共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムより早い時間尺度で循環する光強度の時間的な依存を測定するために、1つ又は複数の共振器ポートのところに構成される。
【0131】
入射する電子バンチに対する第1の診断は、相互作用領域付近の1つ又は複数のビーム位置監視装置とRFピックオフ検出装置、及び生成された高エネルギー光子パワー及び/又はフラックスを測定するx線検出装置を備える。駆動レーザシステムからの入射するレーザパルスの周波数と位相に関する診断も含まれる。
【0132】
制御が以下の少なくとも1つ、より好ましくは、いくつか又はすべてに設けられることが好ましい。
・ 光蓄積共振器の鏡の同心度。代表的な制御が光蓄積共振器の鏡の平行移動及び/又はレーザのバックヒーティングを備えることができる。
・ 循環する光パルスのラウンドトリップ・トランジットタイム。代表的な制御が、光パルスのエンベロープの尺度及び感度による鏡の平行移動からなることができる。
・ 光蓄積共振器への駆動レーザの周波数整合。代表的な制御が、光波長の部分の尺度及び空間的な解像度によるレーザ共振器の鏡の平行移動を行うことができる。
・ 駆動レーザシステムのマイクロパルスの繰り返し周波数。
・ RF電子加速器のマイクロバンチの繰り返し周波数。
・ 光蓄積共振器の鏡の横断方向の位置合わせ。
・ 駆動レーザビームの横断方向の位置合わせとタイミング。
・ 駆動レーザビームの長手方向の位置合わせとモード整合。
・ 入射する電子バンチの横断方向の位置合わせとタイミング。
・ 駆動レーザからの光パルスの入射する電子バンチとの同期。
【0133】
駆動レーザの共振器連結係数
駆動レーザ及び蓄積共振器の最適な位置合わせを維持する制御に要求される感度は、駆動レーザの空間モードと蓄積共振器のTEM00モードの重複を決定するシステム・パラメータに依存する。駆動レーザモードそれ自体がTEM00モードの場合、その共振器モードへの連結は、ガウスモード理論から計算される以下の出力連結係数ηによって分析的に決定される(ここでは、駆動レーザ及び共振器モードの完全な空間的な位置合わせが均一の出力連結係数に対応することを想定する)。
1)入射する駆動レーザビームが、共振器軸からの一様な横断方向変位Sを除いて、共振器モードに完全に位置合わせし、モード整合する場合、
【0134】
【数15】

である。
ただし、ω0は、ウエストでのTEM00モードの1/e2強度ビーム半径である。
2)入射する駆動レーザビームが、ウエストでの共振器軸からの角度変位θを除いて、共振器モードに完全に位置合わせし、モード整合する場合、
【0135】
【数16】

である。
ただし、θ0が遠くの界でのTEM00モードの1/e2強度の半発散角である。
3)入射する駆動レーザビームが、共振器軸に沿った長手方向の変位Δzを除いて、共振器モードに完全に位置合わせし、モード整合する場合、
【0136】
【数17】

である。
ただし、ζ≡Δz/zR、zRは、共振器モードのレイリー範囲である。
4)入射する駆動レーザビームが、ウエストでのビーム半径の不整合を除いて、共振器モードに完全に位置合わせし、モード整合する場合、
【0137】
【数18】

である。
ただし、ωbは、ウエストでの駆動レーザモードの1/e2強度ビーム半径である。
【0138】
TEM00共振器モードに連結されない、又は光学要素によって吸収される任意の入射する駆動レーザ出力は、共振器から反射される。
【0139】
独立の(すなわちマスタ)及び依存の(すなわちスレーブ)の制御は、以下のように代表的な実施形態で連結される(実際の実施形態は以下の任意のサブセットを含むことができる)。
【0140】
1.光共振器の位置合わせと合焦
光共振器の位置合わせと合焦は、以下の1つ又は複数のものによって達成できる。
・ 光蓄積共振器の鏡の同心度は、伝達されたTEM00モード・プロファイルの横方向の形状と幅を監視するフォトダイオード・アレイからのフィードバックによって独立に制御される。
・ 光蓄積共振器の鏡の横方向の位置合わせは、伝達されるTEM00モードの横方向の位置を監視するフォトダイオード・アレイからのフィードバックによって独立に制御される。
・ 蓄積共振器内の循環する光パルスのタイミング及び/又は位相は、共振器内のTEM00モードの循環する出力を監視するフォトダイオード・アレイから得られる位相信号によって独立に監視され、共振器内のTEM00モードの循環する出力を最大にするために、入射する駆動レーザパルスに対する調整可能な位相を提供する。
【0141】
2.入射する駆動レーザの位置合わせとタイミング
入射する駆動レーザの位置合わせと合焦は、以下の1つ又は複数のものによって達成できる。
・ 入射する駆動レーザビームの横断方向の位置合わせは、伝達されるTEM00モードの出力を監視するフォトダイオード・アレイからのフィードバックによって独立に制御される。
・ 入射する駆動レーザビームの長手方向の位置合わせと空間のモード整合(Siegman 1986b)が、共振器内のTEM00モードに最適に連結するために独立に調整され、蓄積共振器のポートのうちの2つ以上で記録されるモード・プロファイル情報を使用するフォトダイオード・アレイからのフィードバックによって独立に制御できる。
・ 光蓄積共振器内の循環するパルスへの入射する駆動レーザパルスの周波数整合(又は波頂対波頂の波面整合)がポンド−ドレバー−ホール(PDH)レーザ安定化技術(Drever 1983)によって独立に制御され、その場合PDH誤差信号が光蓄積共振器又は駆動レーザシステムの周波数を(鏡の平行移動を介して)調整するのに使用される。
・ 入射する駆動レーザビームのタイミング及び/又は位相が入射する駆動レーザビームから得られるピックオフ信号によって独立に監視され、独立のフォトダイオード検出器内に送られる。
・ これらの制御は、駆動レーザシステムを形成する駆動レーザの任意の多重度に関して必要に応じて重複できる。
【0142】
3.入射する電子ビームの位置合わせとタイミング
入射する電子ビームの位置合わせとタイミングは、以下の1つ又は複数のものによって達成できる。
・ 入射する電子バンチの横断方向の位置合わせは、相互作用領域の付近の近接ビーム位置監視装置からのフィードバックによって独立に制御され、生成されたx線の強度を最大にするように最適化される。
・ 入射する電子バンチのタイミング及び/又は位相は、駆動レーザからの光パルスを有する入射する電子バンチの同期を最適化し、生成された高エネルギー光子パワー及び/又はフラックスを最大化するための調整可能な位相オフセットを含む、相互作用領域付近のRFピックオフ検出装置から得られる位相信号によって連結され制御される。
・ これらの制御は、電子バンチの供給源を形成する電子加速器の任意の多重度に関して必要に応じて重複できる。
【0143】
4.駆動レーザシステムと電子ビーム加速器のマイクロパルスの繰り返し周波数
駆動レーザシステムと電子ビーム加速器のマイクロパルスの繰り返し周波数は以下の1つ又は複数のものによって制御できる。
・ 蓄積共振器内の循環する光パルスのラウンドトリップ周波数、及び駆動レーザシステムとRF電子加速器のマイクロパルスの繰り返し周波数は、2つのスレーブを有する単一のマスタとして相互に連結される。
・ 代表的な実施形態では、駆動レーザシステムとRF電子加速器のマイクロパルスの繰り返し周波数は、フォトダイオード・アレイから得られる、蓄積共振器内の循環する光パルスのラウンドトリップ周波数、及び/又はTEM00モードの循環する出力を監視する高速フォトダイオードによって連結及び制御される。
・ 別の実施形態では、蓄積共振器の鏡の平行移動によって制御される、駆動レーザシステムのマイクロパルスの繰り返し周波数、及び循環する光パルスのラウンドトリップ周波数は、RF電子加速器のマイクロバンチ繰り返し周波数によって連結され制御される。
・ これらの制御は、駆動レーザと電子加速器の任意の多重度に関して必要に応じて重複できる。
【0144】
補助低出力共振器を使用する制御システム
図8は、駆動レーザと蓄積共振器の周波数を整合する別の制御システムの概略図である。図8と図7A、7Bに示される制御システムとの間の第1の違いは、それぞれの高出力駆動レーザ及び(ブルースター連結され、又は折り曲げられた設計の)光アンジュレータの蓄積共振器に関する機械的に連結された、低出力補助共振器の導入である。これらの補助共振器の主な特徴は、それぞれの対の連結された鏡が互いに同調して平行移動できるように、それらの鏡が高出力の共振器の鏡に対して共通の基部に機械的に、又はその他の方式で堅固に装着されることであり、これらの対の連結された鏡は、図で「連結された鏡アセンブリ」と名称を付けられている。折り曲げられた蓄積共振器に関する補助共振器の鏡は、側方に変位されるものとして概略的に示されるが、折り曲げられた共振器を使用する好ましい実施形態では、補助鏡は、それらのそれぞれの鏡の「上」、すなわち折り曲げられた共振器の平面の外側に配置されることに留意されたい。
【0145】
補助共振器を導入する目的は、ポンド−ドレバー−ホール又はその他の技術を使用して蓄積共振器に高出力の駆動レーザを直接的に安定化させる代わりに、これらの補助共振器は、個別の低出力周波数安定化レーザ170に直接的に安定化し周波数ロックすることができることであり、次いで、連結された鏡アセンブリに組み込まれた安定した機械的な連結は、高出力レーザと蓄積共振器に間接的にこの安定性を送るのに使用できる。補助共振器を安定化させるのに使用される単一モードのcwレーザは、駆動レーザによって送出されるパルスビームとは異なる波長のものであることができる。
【0146】
この代替の技術は、有限の放射間隔を利用する光アンジュレータに関する2つの主な利点を有する。第1に、高出力駆動レーザの代わりに(例えばポンド−ドレバー−ホール「PDH」など)低出力補助共振器にレーザ安定化技術を適用することによって、高出力駆動レーザビームへの光学的な調整(例えば、位相変調と偏光制御)が排除され、高出力蓄積共振器への駆動レーザビームの整合がより容易かつ高い信頼性で実施できる。第2に、補助共振器が安定したcwレーザに連続的にロックされたままになり、したがってその安定性を高出力共振器へ連続的に伝えるので、高出力駆動ビームがない場合に、放射間隔中の時間中でも高出力共振器が互いに「周波数ロックされた」ままになる。
【0147】
図9に示される構成について、稼動に関する代表的な制御階層構造は以下のようなものである。
1)マスタ・クロックは、駆動レーザモード・ロッカーと電子ビームにタイミング信号を供給する。
2)補助共振器が個別のポンド−ドレバー−ホール(「PDH」)システムを使用して安定化された単一モードのレーザに周波数ロックされ、誤差信号が図示されるようにそれぞれの連結された鏡アセンブリにフィードバックされる。
3)高出力駆動レーザの稼動がより低出力補助共振器とは独立に駆動レーザ・チューニング・アクチュエータを調整することによって最適化される。
4)光アンジュレータの蓄積共振器の稼動が、駆動レーザビームを蓄積共振器内へ整合し、低出力補助共振器とは独立に蓄積共振器パルス積み重ねアクチュエータを調整することによってTEM00での稼動に関して最適化される。
5)適切に設計されたシステムで球形の鏡が光軸に位置合わせされたままになるように、2Dフォトダイオード・アレイが蓄積共振器の鏡のステアリングに対する誤差信号を得るために使用され、球形の鏡のステアリングは、周波数の整合及びパルスの積み重ねとは独立に調整できる。
6)2Dフォトダイオード・アレイは、一般にTEM00モード寸法が安定したままになるように蓄積共振器の同心度に関する誤差信号を得るのにも使用され、この補償は、周波数整合に影響を与える全体の共振器長さの変化を導く。しかし、光アンジュレータの蓄積共振器は、低出力補助共振器に機械的に連結されているので、PDHフィードバックシステムは、(計画的に又はその他の方式で)直ちに連続的に共振器長さのいかなる変化も補償し、全体の共振器長さが安定したままになり、駆動レーザへの蓄積共振器の周波数ロックが保たれる。
7)TEM00モードでの蓄積共振器の安定した稼動の下で、蓄積共振器のパルス積み重ねアクチュエータは、それを最大のTEM00モードの出力に対して調整された状態に保つのに使用できる誤差信号を生成するためにわずかに振動できる。
8)TEM00モードの安定した動作が達成されるとき、蓄積された光パルスの電子バンチとの重複を最適にし、それによってx線生成を最大にするために、駆動レーザ/電子ビーム同期ステージをゆっくりと走査できる。
【0148】
安定し蓄積された光ビームを確立及び制御するためのターンオン手順
以下の手順は、高出力稼動とx線の生成のためにシステムを最初にターンオンするための代表的な手順である。排他的であることを意図しない。
【0149】
1)最初の共振器準備
共振器の最初の位置合わせは、制御を作動不能にして「手動」で遂行される。稼動中に駆動レーザと電子加速器のマイクロパルス繰り返し周波数を整合させる必要のある共振器ランドトリップ・タイムは、関連する物理的距離の注意深い測定、又は共振器内の乱されていない循環がフォトダイオード診断を使用して測定できる単一のシード・マイクロパルスの注入によって定めることができる。入力レーザの位置合わせと整合を含む共振器の最初の横断方向の位置合わせは、変形された、注入されるビームのウエストが共振器のウエストと空間的に位置合わせされるように低出力の駆動レーザビームを注入することによって遂行でき、次いで鏡の横断方向の位置合わせが、フォトダイオード・アレイの低出力かつ非コヒーレントの共振器内のビームの対称性と位置を観測することによって調整できる。駆動レーザと共振器の鏡のこの位置合わせは、必要に応じて反復できる。これらの及び同様の手順によって、共振器は動作中の残りの鏡の調整を除いて、注入されるレーザのある程度の最初のコヒーレントな増大を可能にするために実質的に位置合わせされた状態に準備できる。
【0150】
2)低出力安定蓄積ビームの最初の確立
コヒーレントな循環する光ビームの最初の確立は、共振器の調整がコヒーレントなパルスの積み重なりの突然の始まり、及びそれに対応する共振器内の出力の増加を生じる場合に、熱変形が共振器の光学部品に加わらないように、十分に低い駆動レーザ出力で、制御を作動不能にして最もよく遂行される。これらの低いビーム出力では、駆動レーザが共振器に注入され、駆動レーザシステムのマイクロパルス繰り返し周波数が蓄積共振器のラウンドトリップ周波数に整合するように調整される(ラウンドトリップ周波数が同心度とは独立に調整できる共振器構成に関しては、蓄積共振器のラウンドトリップ周波数は、駆動レーザシステムのマイクロパルス繰り返し周波数に整合するように調整できる)。調整が十分に低速な場合、注入される駆動レーザは、共振器内のレゾナンスを励起することが観測され、おそらく最初は散発的に過ぎず、変動の程度は、駆動レーザの共振器内のビームへの連結(すなわちモードロック)の度合いを示す。
【0151】
この点において、蓄積共振器のレゾナンスを励起するために、駆動レーザの光周波数(又は光波長の部分の尺度での共振器の鏡の平行移動)が注意深く調整される。このレゾナンスは、光周波数の調整に敏感な準安定モード・プロファイルとしてフォトダイオード診断に現れる。その結果生じるレゾナンスは、TEM00モードの励起を必ずしも示さず、その他のより高い程度の横断方向モードのうちの1つを示し、したがって周波数調整は、TEM00レゾナンスが共振器内で増大することが観測されるまで継続される必要がある。この確立されたTEM00レゾナンスを基準として使用して、TEM00モードで蓄積された出力を最大にするために、必要であれば周波数と相互作用的に、横断方向の共振器の位置合わせと共振器の同心度を注意深く調整する必要がある。
【0152】
3)制御システムのターンオン
ステップ2の低い駆動レーザ出力で、次いで共振器に関する制御を一度につき1つずつ作動する必要がある。作動のための代表的な順は、以下のものである。(a)フォトダイオード・アレイに蓄積されたビームの中心を合わせるための共振器の鏡の横断方向の位置合わせ。(b)蓄積されたTEM00モードへの連結を最大にするための駆動レーザビームの横断方向と長手方向の位置合わせ。(c)駆動レーザ光周波数をレゾナントTEM00モードの軸方向モードにロックするためのポンド−ドレバー−ホール(PDH)レーザ安定化システムの作動。(d)相互作用領域で所望の焦点スポットパラメータとビーム寸法を得るための蓄積共振器の同心度(共振器長さでの対応する変化がPDH安定化システムによってこの点で補償及び追跡される)。(e)蓄積共振器のラウンドトリップ周波数へのマイクロパルス応答周波数のロック。
【0153】
4)高出力安定蓄積ビームの最終の確立
ステップ3の制御をターンオンした後に、共振器の相互作用領域で所望の正規化ベクトル・ポテンシャルを得るために、駆動レーザ出力はゆっくりと増加する。理想的には、これは共振器内のビーム又は光学部品の動揺なしに進行する。しかし、鏡又は光学部品の歪みがより高い出力で誘発される場合、共振器への第1の影響として共振器の同心度の歪みとTEM00モードの寸法の変化が生じる。制御システムが完全に作動することで、これらの変化は高出力でも補償される。しかし、補償が最終のシステム構成にならない(例えば、制御パラメータのうちの1つが最後にその最適な範囲外になるなどの)場合、位置合わせとターンオン手順は、開始構成を再び初期化するために低い出力で繰り返し、そのようして最適化された高出力の構成が生成される。
【0154】
5)x線の生成
ステップ1から4で光アンジュレータを確立した後に、次いで電子ビームは、相互作用領域内に合焦し、加速器マイクロパルスの繰り返し周波数が駆動レーザと蓄積共振器周波数にロックされ、次いで相互作用領域で電子バンチを蓄積された光パルスと衝突させるように相対的な位相が調整される。この手順に関する第1の診断は、x線検出器に高エネルギー光子を生成することである。次いで、電子ビームの横断方向と長手方向の位置合わせとタイミングは、生成されるx線出力を最適化するように調整できる。
【0155】
複数のアンジュレータの実施形態
上述の議論は単一の共振器で強力なアンジュレータの界に曝される電子ビームを考察したが、電子ビームを複数の光共振器の間で共有し、したがって複数のx線源をもたらすことが可能である。均一に近づく正規化ベクトル・ポテンシャルでもx線放出に関する確率は小さいままになるので、これが可能であり、それによって、5、6回そのような相互作用領域を通過した後でも、ビーム内の電子のほとんどは、その完全に非振動の動き量とエネルギーを有する。複数のx線源の間で電子ビームを共有する能力は、少なくとも電子ビーム設備が高価である理由により重要である。これは、そのようなx線をたんぱく質x線結晶構造解析と複数のx線源から利点を得ることができるその他の用途に使用する研究所にとって価値のある特徴である。
【0156】
図9A、9Bは、単一の電子ビームを複数の光アンジュレータの間で共有する別の手法の概略図である。両方の実施形態で、電子ビームは、四極マグネット200などのよく知られた素子を使用して合焦され、次いで双極マグネット210などのよく知られた要素を使用して偏向される。第1の光共振器30aを通過した後に、次いでビームは下流側の光共振器30bを通過するように偏向され合焦される。図はそのような2つの共振器を示すが、追加の共振器を設けることが可能である。
【0157】
図9Aは、x線ビームがすべて元の電子ビーム方向の一方の側に向けられた構成を示す。この構成を使用することによって、多重の独立のx線ビームを駆動するために、電子ビームを第1の光学蓄積共振器の第1の相互作用領域から下流側の光共振器内の複数の相互作用領域で電子ビームを再合焦することが可能であることに留意されたい。構成は蓄積リングを必要としないが、およそ5〜30度のアークの電子ビームを同時に送り、電子ビームを第2の蓄積共振器の相互作用部で再合焦し、設備で使用される数のビームラインを駆動するために要求される回数のプロセスを繰り返すことができる電子ビーム伝送チャネル(格子)のみを必要とする。使用された電子ビームが「エネルギー回収」線形加速器でのように処分する前に減速されるか、又は単に適切に設計された高エネルギー・ビーム・ダンプで処理されるかにかかわらず、この配置は適切である。
【0158】
複数のx線ビームラインに使用するために蓄積リングを必要としないことについてのコメントは、本発明が電子蓄積リングと共に使用できないことを暗示するように解釈すべきではない。
【0159】
図9Bは、x線ビームが元の電子ビーム方向のそれぞれ異なる側に向けられた構成を示す。図9Aで示された構成に対する唯一の変更は、システムに追加の光共振器ごとに別のレンズ(例えば四極子200)及び別の対の偏向素子(例えば双極子210)を加えたことである。
【0160】
上述のように、本発明の原理に従って構築されたUV、x線、ガンマ線源の効果的な稼動は、相互作用領域での電子ビームの横断方向寸法の電子ビームエネルギーの拡散と放出の影響を最小限に抑える電子ビーム伝送システムを必要とする。したがって、電子ビーム伝送システムは、相互作用領域で実質的に分散0をもたらし、分散を変えることなく垂直面と水平面の両方で電子ビームを鋭利な焦点スポットにする合焦レンズを装着できるようにし、減速及び処分のために相互作用領域で使用し、又は第2の独立に調整可能なUV、x線、又はガンマ線ビームラインを生成するために第2の相互作用領域で使用するのに続いてビームを再合焦するように設計される必要がある。
【0161】
図9A、9Bに示された単純な電子ビーム伝送システムは、その対称性によって、これらの要件を満たすことができ、さらにそれらを関連のない科学的、医療的、又は工業的な用途を援助することに同時に使用するのを促進するために、ビームラインに沿った連続的な相互作用領域で生成されるUV、x線、ガンマ線ビームを空間的に分離する能力をもたらす。この構成は、すべての合焦レンズが0分散の位置に、又はその付近に配置できるようにもして、それによって、電子ビームの下流側の分散にレンズが影響を与えるのを排除する(又は最小限に抑える)。
【0162】
これらの比較的簡単な設計に追加できるいくつかのさらなる機能向上がある。例えば、四極子によって導入されたエネルギー依存性合焦条件の原因である色収差を軽減又は排除するために軸外し双極子の間の六極マグネットが使用できる。これは、六極子によってもたらされる合焦が横断方向位置によって非対称であるからであり、したがって軸外し高エネルギー電子は、軸外し低エネルギー電子よりも強い合焦効果を有する。
【0163】
設計の優先事項
本発明を組み込むシステムでは、共振器の光学的表面に入射するピークパワー密度と平均パワー密度の両方は、共振器の長さ、共振器の鏡の横断方向の半径、鏡の光学的な点寸法を増加させることによって低減でき、そのような長く大きな共振器は、蓄積リング又は超伝導線形加速器のような連続的又はほぼ連続的な電子ビーム源を使用するシステムの動作に有用である。
【0164】
放出プロセスの物理学及び利用可能な光学材料の性質と調和するシステムで使用される各電子によって生成されるx線の数を最大にすることによって、本発明は稼動に必要な電子ビームの生成に必要な電力を低減させ、同時に電子ビームによって生成されたイオン化放射を最低の達成可能なレベルに低減させ、それによって設備と稼動コストを最小に低減させ、一方で供給源によって生成されたx線の強度及び輝度を最大にする。
【0165】
参考文献
以下の参考文献が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0166】
【表1】



【0167】
結論
結論として、本発明の実施形態が準単色のエネルギー性の電磁放射の効率的で調整可能な供給源を紫外、x線、ガンマ線の波長で提供できることが理解できるであろう。そのような供給源は、整合されたほぼ球形の低損失の光共振器内の1つ又は複数のパルスレーザから位相コヒーレントなパルス放射を蓄積することによって形成される光アンジュレータ、及び電子バンチが光学的なマイクロパルスのピーク強度で循環する光学的なマイクロパルスと相互作用するように、上述の光学的なマイクロパルスの周期でバンチされ、上述の光共振器の相互作用(焦点スポット)領域で蓄積される(循環する)光学的なマイクロパルスと合焦及び同期された相対論的電子ビームを使用して構築できる。
【0168】
ポンプ・レーザのピーク出力及び共振器の反射率が、共振器の相互作用(焦点スポット)領域で0.1よりも大きな規格化光ベクトル・ポテンシャルによって循環する光学的なマイクロパルスを生成するように選択される場合に、x線生成の強度と効率が最適化され、平均の放射x線出力を最適にするように形成されたパルス列の繰り返し率を最大にしながら、光共振器の反射表面に入射する光パルスのフルエンスと平均出力がその損傷しきい値内にある状態のままになるのを確実にするように、注入される光パルスと電子バンチの放射間隔の継続時間が鏡での所与のビーム寸法に関して最適化される。
【0169】
本発明の実施形態は、緊密にバンチされた電子ビームによる効率的なx線生成に必要な平均の循環する光パワーを大幅に低減させ、又は連続的なビームでのような同じ平均出力を維持しながらピーク光パワーを大幅に増加する利点ももたらすことができ、それによって実質的に光蓄積共振器の高反射率の鏡に入射する光学的な界のフルエンスと平均出力密度を実質的に制限し、したがって実質的にこれらの鏡への光学的な損傷の危険、熱膨張による形状歪み等を実質的に低減させる。そのような低いデューティ・サイクルのパルスレーザ・ビームを使用することは、明らかにポンプ・レーザによるシステムの稼動に供給される平均出力も実質的に低減する。
【0170】
この規定は最も輝度が高く最も強度の高い実現可能なx線ビームの生成に適しているが、生成されるx線の実際のパルス幅とパルス間隔は、光波長又は光パルスの幅と間隔を変えることによって、光蓄積共振器に関するレイリー・パラメータを変更することによって、あるいは電子エネルギー又は電子が対抗して伝播する光パルスのビームを横切る角度を変更することによって、強度と輝度を下げることと引き換えに変更できる。
【0171】
上記は、本発明の特定の実施形態の完全な説明であるが、上記の説明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1A】循環する光学的なマイクロパルスが共振器の相互作用領域にある、入射する電子マイクロパルス(バンチ)の相互作用を概略的に示す、本発明の1つの実施形態によるシステムの高レベルの概略図である。
【図1B】図1Aに示されるシステムのより包括的な概略図である。
【図2】A:(a)一連の光学的なマイクロパルスを含む代表的な光学的なマクロパルス、(b)入射する光学的なマイクロパルスが光共振器内の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化すると、循環する光学的なマイクロパルスの振幅が増大する様式、(c)注入される電子マイクロパルスが共振器内の蓄積された光パワーの最大又はその付近で光共振器に入るようにタイミングをとられた代表的な電子マクロパルスを示すタイミング図である。 B:放射間隔のデューティ・サイクルが時間平均の損傷及び形状歪みを限度内に抑えるように選択される、代表的な電子ビーム及びレーザビームのマクロパルスのタイミングを示す。
【図3】光位相のコヒーレンスの概念を概略的に示し、図3Aが、左から共振器の鏡に接近する入射する光学的なマイクロパルス、及び右から共振器の鏡に接近する循環する光学的なマイクロパルスを示し、図3Bが、共振器の鏡によって反射され、それを通して伝達される、入射及び循環する光学的なマイクロパルスの部分を示す。
【図4】2つの循環する光学的なマイクロパルスを確立するために使用される2つの個別のレーザからの光学的なマイクロパルスを示す。
【図5】本発明の実施形態を実施するのに適した光共振器の第1の構成の概略図である。
【図6】本発明の実施形態を実施するのに適した光共振器の第2の構成の概略図である。
【図7A】入射する光学的なマイクロパルス、循環する光学的なマイクロパルス、入射する電子マイクロパルスの間の所望のタイミング関係を維持するための代表的な制御要素を示す、それぞれ第1及び第2の共振器構成を使用する実施形態の概略図である。
【図7B】入射する光学的なマイクロパルス、循環する光学的なマイクロパルス、入射する電子マイクロパルスの間の所望のタイミング関係を維持するための代表的な制御要素を示す、それぞれ第1及び第2の共振器構成を使用する実施形態の概略図である。
【図8】補助的な光共振器を使用する制御システムの1つの実施形態の概略図である。
【図9A】複数の光アンジュレータの間で単一の電子ビームを共有するための代替の手法の概略図である。
【図9B】複数の光アンジュレータの間で単一の電子ビームを共有するための代替の手法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー性の電磁放射を生成する方法であって、複数の分離された放射間隔のそれぞれの間に、
所与の波長の放射に関するラウンドトリップ・トランジットタイム(RTTT)によって特徴付けられる前記所与の波長のレーザ放射を光共振器に注入するステップであって、
少なくともいくつかの放射間隔が1つ又は複数の光学的なマクロパルスによって定義され、
少なくとも1つの光学的なマクロパルスが、前記光学的なマクロパルス内で続いて起こる光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化される、関連した循環する光学的なマイクロパルスを誘発し、前記共振器内の任意の所与の位置での前記循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅が、前記放射間隔中に最大値に到達し、
循環する光学的なマイクロパルスを誘発する少なくとも1つの光学的なマクロパルスが一連の光学的なマイクロパルスからなり、
注入される光学的なマイクロパルスと前記光学的なマクロパルスによって誘発された前記循環する光学的なマイクロパルスとの間に少なくとも50%の間隔的な重複をもたらすように、1つの光学的なマイクロパルスの開始と次のマイクロパルスの開始の間の間隔が所与の波長の放射に関するRTTTのちょうど(1×を含む)整数倍に十分に近く、
前記光学的なマクロパルスに前記注入される光学的なマイクロパルスが前記光学的なマクロパルスによって誘発された前記循環する光学的なマイクロパルスと光位相の±45°以内にあることを特徴とする、前記注入するステップと、
前記循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅がその最大値又はその付近であるとき、前記循環する光学的なマイクロパルスが、0.1よりも大きい正規化されたベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる前記相互作用の領域に光アンジュレータの界を形成するように、前記循環するマイクロパルスを前記共振器内の相互作用領域に合焦させるステップと、
一連の電子マイクロパルスを含む電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に向けて送るステップと、
前記電子マイクロパルスのうちの少なくともいくつかが、前記共振器内で前記循環する光学的なマイクロパルスと同期するステップと、
前記電子ビームを前記共振器内の前記相互作用領域に合焦し、それによって少なくとも1つの電子マイクロパルスが相互作用領域の前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記レーザ放射の光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
エネルギー性の電磁放射を生成する方法であって、
レゾナント光共振器内で光アンジュレータの界を生成するステップであって、
前記光アンジュレータの界が、前記共振器内で循環し、相互作用領域で合焦される光学的なマイクロパルスによって前記相互作用領域にもたらされ、
前記光アンジュレータ界が、前記共振器の前記相互作用領域の0.1よりも大きい正規化ベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる、前記生成するステップと、
前記光学的なマイクロパルスが前記相互作用領域を通って移動する方向と反対の方向に沿った成分を有する方向に、電子マイクロパルスの電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に向けて送るステップと、
前記共振器の前記相互作用領域に前記電子ビームを合焦させるステップであって、前記電子マイクロパルスが前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記アンジュレータの界をもたらす前記循環する光学的なマイクロパルスの光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成する、前記合焦させるステップと
を含む方法。
【請求項3】
エネルギー性の電磁放射を生成する方法であって、前記方法が複数の分離された放射間隔のそれぞれの間に、
光共振器にレーザ放射を注入するステップであって、
前記レーザ放射が間隔を置いた光学的なマイクロパルスを含み、
前記光学的なマイクロパルスのうちの少なくともいくつかが、前記共振器で循環する1つ又は複数の光学的なマイクロパルスを誘発し、
少なくともいくつかの注入される光学的なマイクロパルスが、前記共振器の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化するように、前記光学的なマイクロパルスが間隔を置き、位相を合わされ、
前記共振器内の任意の所与の位置に関するそれぞれの循環する光学的なマイクロパルスの前記電界の振幅が、前記放射間隔中に最大値に到達する、前記注入するステップと、
少なくとも1つの循環する光学的なマイクロパルスに関して、前記循環する光学的なマイクロパルスの前記電界の振幅がその最大値又はその付近であるとき、前記循環する光学的なマイクロパルスが、0.1より大きい正規化されたベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる前記相互作用の領域に光アンジュレータの界を形成するように、それぞれの循環する光学的なマイクロパルスを前記共振器内の相互作用領域に合焦させるステップと、
間隔を置いた電子マイクロパルスを有する電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に向かって送るステップと、
前記電子マイクロパルスを、前記1つ又は複数の循環する光学的なマイクロパルスと同期させるステップと、
前記相互作用領域で前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記アンジュレータの界をもたらす前記循環する光学的なマイクロパルスの光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成するように、前記共振器の前記相互作用領域に前記電子ビームを合焦させるステップと
を含む方法。
【請求項4】
エネルギー性の電磁放射を生成する方法であって、有限の放射間隔中に、
1つ又は複数の光学的なマイクロパルスが循環する光共振器にレーザ放射を注入するステップであって、
前記レーザ放射の少なくとも一部分が、少なくとも一連の間隔を置いた光学的なマイクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有し、その少なくとも一連の間隔を置いた光学的なマイクロパルスが、光学的なマイクロパルスの継続時間と、光学的なマイクロパルスの位相と、光学的なマイクロパルスの周期とによって特徴付けられており、
前記光学的なマイクロパルスの周期が、前記光共振器の単一のラウンドトリップ・トランジットを作るために、前記光学的なマイクロパルスに関する前記時間間隔の実質的にちょうど整数倍(1×を含む)になっており、
前記光周波数が、前記マイクロパルスの繰り返し周波数の実質的にちょうど整数倍であり、
前記放射間隔中に、少なくとも1つの循環する光学的なマイクロパルスの前記電界の振幅が、前記注入される光学的なマイクロパルスのうちの少なくともいくつかによってコヒーレントに強化され、前記共振器の任意の所与の位置に関して前記放射間隔中に最大値に達する、前記注入するステップと、
少なくとも1つの循環する光学的なマイクロパルスに関して、前記循環する光学的なマイクロパルスの前記電界の振幅がその最大値又はその付近であるとき、前記循環する光学的なマイクロパルスが、0.1より大きい正規化されたベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる前記相互作用の領域に光アンジュレータの界を形成するように、それぞれの循環する光学的なマイクロパルスを前記共振器内の相互作用領域に合焦させるステップと、
前記共振器の前記相互作用領域に向かって電子ビームを送るステップであって、
前記電子ビームの少なくとも一部分が、電子マイクロパルスの継続時間と、電子マイクロパルスの繰り返し周波数とによって特徴付けられる、間隔を置いた電子マイクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有し、
前記電子マイクロパルスのうちの少なくともいくつかが、前記循環する光学的なマイクロパルスと同期される、前記送るステップと、
前記電子ビームを前記共振器内の前記相互作用領域に合焦し、それによって少なくとも1つの電子マイクロパルスが前記相互作用領域の前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記レーザ放射の光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成するステップと
を含む方法。
【請求項5】
前記光学的なマクロパルスの前記注入される光学的なマイクロパルスが、前記光学的なマクロパルスによって誘発された前記循環する光学的なマイクロパルスに対して光学的な位相で±20°以内にある、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項6】
注入される光学的なマイクロパルスと、前記光学的なマクロパルスによって誘発された前記循環する光学的なマイクロパルスとの間に少なくとも90%の間隔的な重複をもたらすように、1つの光学的なマイクロパルスの開始と次のマイクロパルスの開始の間の間隔が、実質的に所与の波長の放射に関する前記RTTTのちょうど(1×を含む)整数倍に十分に近くなっている、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項7】
生成される前記電磁放射が高度に単色性であるように、前記正規化ベクトル・ポテンシャルでの前記光アンジュレータの界が0.1〜0.5の範囲にある、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項8】
生成される前記電磁放射が比較的広帯域であるように、前記相互作用領域での前記光アンジュレータの界が1.0〜2.5の範囲の正規化ベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項9】
前記放射間隔の少なくとも大部分に関して、前記放射が、等しい間隔の光学的なマイクロパルスを有する単一の光学的なマクロパルスからなる、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項10】
前記光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスのすべてが、前記RTTTの同じ整数倍で間隔を置いている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスのうちの少なくともいくつかが、前記RTTTの異なる整数倍で間隔を置いている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実質的にすべての前記光学的なマイクロパルスが1つ又は複数の放射間隔中に等しく間隔を置いている、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザ放射が追加の一連の光学的なマクロパルスを含み、
それぞれの追加のマクロパルスが、追加の循環する光学的なマイクロパルスを誘発し、
前記追加の一連の中のそれぞれの光学的なマクロパルスが、注入される光学的なマイクロパルスと前記光学的なマクロパルスによって誘発された前記循環する光学的なマイクロパルスとの間に少なくとも50%の間隔的な重複をもたらすように、1つの光学的なマイクロパルスの開始と次のマイクロパルスの開始の間の間隔が所与の波長の放射に関するRTTTのちょうど(1×を含む)整数倍に十分に近いことによって特徴付けられる一連の光学的なマイクロパルスを含み、
前記追加の光学的なマクロパルスの光学的なマイクロパルスが、前記第1に示した一連の光学的なマクロパルスの前記光学的なマイクロパルスにインターリーブされる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1に示した光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスが、等しい間隔であり、
前記追加の光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスが、前記第1に示した光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスと同じく等しい間隔を有し、
前記光学的なマクロパルスのうちの一方の中の2つの連続する光学的なマイクロパルスの間にある前記光学的なマクロパルスのうちの他方の中のそれぞれの光学的なマイクロパルスが、前記2つの連続する光学的なマイクロパルスの間に等しく間隔を置くように、前記マクロパルスがインターリーブされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1に示した光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスが、等しい間隔であり、
前記追加の光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスが、前記第1に示した光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスと同じく等しい間隔を有し、
前記光学的なマクロパルスのうちの一方の中の2つの連続する光学的なマイクロパルスの間にある前記光学的なマクロパルスのうちの他方の中のそれぞれの光学的なマイクロパルスが、前記2つの連続する光学的なマイクロパルスの間で不均等になるように、前記マクロパルスがインターリーブされる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1に示した光学的なマクロパルス及び前記追加の光学的なマクロパルスが異なる波長によって特徴付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザ放射が第1と第2の個別のレーザによって生成され、
前記第1に示した光学的なマクロパルス、及び前記追加の光学的なマクロパルスが前記第1と第2のレーザによってそれぞれ生成される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
それぞれの放射間隔が、単一の一連の等しい間隔である光学的なマイクロパルスによって特徴付けられる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項19】
複数の循環する光学的なマイクロパルスがあり、
それぞれの循環する光学的なマイクロパルスが、前記共振器に入射する等しい間隔の個別の一連の光学的なマイクロパルスによって生成される、請求項2、3、又は4に記載の方法。
【請求項20】
前記異なる個別の一連からの前記光学的なマイクロパルスが、前記共振器に入射する前記光学的なマイクロパルスが等しい間隔でインターリーブされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記異なる個別の一連からの前記光学的なマイクロパルスが、前記共振器に入射する前記光学的なマイクロパルスが不均等となるようにインターリーブされる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記放射が複数の光学的なマクロパルスを備え、そのそれぞれが、前記共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムの実質的にちょうど整数倍(1×を含む)であるそれぞれの光学的なマイクロパルス周期によって特徴付けられるそれぞれの一連の等しい間隔である複数の光学的なマイクロパルスを含み、
前記光学的なマクロパルスの光学的なマイクロパルスが、それぞれのマクロパルスがそれぞれの循環する光学的なマイクロパルスを誘発するようにインターリーブされる、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の光学的なマクロパルスの前記光学的なマイクロパルスが、前記光学的なマイクロパルスが等しい間隔でインターリーブされている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の光学的なマクロパルスの前記光学的なマイクロパルスが、前記光学的なマイクロパルスが等しい間隔とならないようにインターリーブされている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
それぞれの光学的なマクロパルスが、単一の一連の等しい間隔である光学的なマイクロパルスを含む、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項26】
前記光学的なマイクロパルスのピーク出力、フルエンス、デューティ・サイクルが、前記循環する光学的なマイクロパルスが前記共振器の構成要素を急速な非線形の現象によって損傷しないようになっており、
所与の放射間隔にわたって平均化された前記出力とフルエンスが、共振器の構成要素に局所的な熱損傷を生じないように十分に低くなっており、
少なくとも100の放射間隔の範囲の時間間隔にわたって平均化された十共振器の構成要素に全体的な熱損傷を生じないように分に低くなっている、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記電子ビームのマイクロパルスと、前記循環する光学的なマイクロパルスとが、前記相互作用領域内で実質的に等しい横断方向の寸法を有する、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項28】
循環する光学的なマイクロパルスが実質的に前記相互作用領域内に収容される間、所与の電子マイクロパルスが所与の循環する光学的なマイクロパルスと相互作用する、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項29】
前記電子ビームが、1〜10%のマイクロパルスのデューティ・サイクルを有する、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項30】
前記電子ビームがマイクロ波加速器によってもたらされるバンチビームであり、
前記電子ビームがさらに、電子マクロパルスの継続時間と、電子マクロパルスの繰り返し周波数とによって特徴付けられる間隔を置いた電子マクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有し、
それぞれの電子マクロパルスが、一連の間隔を置いた電子マイクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有する、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項31】
前記電子バンチがRF位相において10°以下に限定する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記電子ビームが、蓄積リングによって供給される、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項33】
前記共振器が1つ又は複数の鏡を備え、
例えば、前記共振器の平行移動及び/又はレーザ・バックヒーティングによるなどの少なくとも1つの共振器の鏡の同心度、
少なくとも1つの共振器の鏡の前記横断方向の位置合わせ、
及び/又は、例えば前記光学的なマイクロパルスの前記尺度及び感度による鏡の平行移動によるなどの前記循環する光学的なマイクロパルスの前記ラウンドトリップ・トランジットタイム、
及び/又は、例えば前記光波長の部分の前記尺度及び感度による鏡の平行移動によるなどの前記レーザの前記光共振器に対する周波数整合、
のうちの少なくとも1つを制御する1つ又は複数の要素をさらに備える、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項34】
前記レーザの変調周波数、
及び/又は前記電子ビーム生成装置の前記レーザの変調周波数、
及び/又は前記レーザ放射の位置合わせとタイミング、
及び/又は前記レーザ放射の長手方向の位置合わせとモード整合、
及び/又は前記入射する電子マイクロパルスの横断方向の位置合わせとタイミング、
前記電子ビーム生成装置からの前記入射する電子マイクロパルスによる前記レーザからの前記光学的なマイクロパルスの同期
のうちの少なくとも1つを制御するステップをさらに含む、請求項1、2、3、又は4に記載の方法。
【請求項35】
間隔を置いた湾曲した鏡を有する光共振器と介在する誘導体プレートとを設計し、製造する方法であって、前記共振器は焦点半径によって特徴付けられるビームウエストに合焦されたビームを供給するように稼動するものであり、
前記プレートに関するノミナルパラメータを選択するステップであって、前記パラメータが厚さ、入射角、及び前記共振器の位置を含む、前記選択するステップと、
前記プレートに関する前記ノミナルパラメータを使用して、特定の所望の度合いのパルスの積み重ねをもたらす物理的な鏡の離隔距離を計算するステップであって、それによって前記プレートの前記厚さに依存する第1の式を生み出す、前記計算するステップと、
前記計算された鏡の離隔距離を使用して、所望の焦点半径をもたらす前記湾曲した鏡に関するカウンター・パラメータを計算し、それによって前記プレートの前記厚さに依存する第2の式を生み出すステップと、
前記計算されたカウンター・パラメータに整合するカウンター・パラメータを有する湾曲した鏡を製造するステップと、
前記湾曲した鏡の実際のカウンター・パラメータの値を測定するステップと、
前記第1と第2の式を使用するステップであって、前記第1と第2の式での固定値として前記カウンター・パラメータの前記測定された値と共に、前記プレートの前記厚さと前記鏡の離隔距離とに関する新しい値を解き、前記新しい値が、前記実際のカウンター・パラメータの前記値と前記計算された輪郭のパラメータとの間の違いに依存する様式で、前記プレートの前記ノミナル厚さ、及び前記計算された鏡の離隔距離から離れている、前記使用するステップと、
前記新しい厚さの値によって特徴付けられるプレートを製造するステップと、
前記製造された湾曲した鏡及び前記製造されたプレートによって前記新しい離隔距離で前記共振器を構築するステップと
を含む方法。
【請求項36】
前記鏡の前記製造可能なカウンター・パラメータでの不確定性の前記限界を考えて、前記プレートの前記ノミナル厚さが十分であり、前記プレートの前記新しい厚さが優れた平坦度を有して製造可能であるように十分に厚く、共振器の稼動への不要な光学的な影響を回避するように十分に薄くなっている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記プレートが、ノミナル入射角からの非ゼロ角度によって生じる発散又は収束する光ビームでの非点収差を補償するように小さなくさび角を有して形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
光共振器に入射する少なくともいくつかの光パルスが、前記共振器内で循環する1つ又は複数の光パルスをコヒーレントに強化するように光共振器を制御する方法であって、前記共振器が少なくとも第1と第2の湾曲した鏡を有し、前記湾曲した鏡のそれぞれが焦点によって特徴付けられ、前記焦点から発散し、前記鏡に衝突する放射が前記焦点に合焦され、
前記共振器に入射する所与の波長の少なくともいくつかの光パルスが、前記所与の波長の放射に関する前記共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムの整数倍(1×を含む)に実質的に等しいパルス繰り返し周期を有するようにするために、光パルスの繰り返し周期と共振器の光学的な長さのうちの少なくとも1つを制御するステップと、
その光パルスの繰り返し周期と共振器の光学的な長さのうちの少なくとも1つの制御するステップから独立して、前記第1と第2の湾曲した鏡の前記焦点が実質的に一致しするように前記湾曲した鏡のうちの少なくとも1つの焦点を制御するステップとを含み、
その結果、少なくともいくつかの入射する光パルスが、前記1つ又は複数の循環する光パルスをコヒーレントに強化し、前記1つ又は複数の循環する光パルスが前記共通の焦点で合焦される方法。
【請求項39】
前記焦点を制御するステップが、
前記湾曲した鏡と前記湾曲した鏡の焦点との間に前記光共振器内の透明なプレートを提供するステップと、
前記湾曲した鏡の焦点の位置が前記傾斜角によって変位できるように前記透明なプレートの傾斜角を制御するステップとを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記焦点を制御するステップが、
前記湾曲した鏡のうちの1つをその湾曲を変更するために変形させる機構を設けるステップと、
前記湾曲した鏡の焦点の位置が歪み度によって変位できるように前記機構を制御するステップとを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
エネルギー性の電磁放射を生成する方法であって、前記方法が、
所与の波長の放射を光共振器に注入するステップであって、レーザ放射が一連の間隔を置いた放射間隔中に行われ、それぞれの放射間隔が、1つ又は複数のそれぞれの循環する光学的なマイクロパルスを誘発する1つ又は複数の間隔を置いた光学的なマイクロパルスの列を含む、前記注入するステップと、
前記循環する光学的なマイクロパルスが共振器の構成要素に当たる前に前記相互作用領域から離れて発散することができるようにしながら、前記共振器の相互作用領域にそれぞれの循環する光学的なマイクロパルスを合焦させるステップであって、
前記放射間隔が放射間隔の継続時間及び放射間隔の繰り返し周波数によって特徴付けられ、
複数の放射間隔にわたる前記放射間隔に関する平均出力が、前記共振器の構成要素の修正不可能な熱変形を生じないように、十分に低くなっており、
それぞれの放射間隔中のフルエンスが、共振器の構成要素に局所的な熱損傷を生じないように十分に低くなっており、
光学的なマイクロパルスのそれぞれの列が光学的なマイクロパルスの継続時間及び光学的なマイクロパルスの周期によって特徴付けられ、
それぞれの循環する光学的なマクロパルスが、光学的なマクロパルスの列の中のそれに続く光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化され、前記共振器内の任意の所与の位置での前記循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅が前記放射間隔中に最大値に到達し、
前記循環する光学的なマイクロパルスの前記電界の振幅が、その最大値又はその付近であるとき、前記循環する光学的なマイクロパルスが、0.1より上の正規化ベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる所望の振幅を有する前記相互作用の領域に光アンジュレータの界を形成し、
前記循環する光学的なマイクロパルスに対する発散角及び前記相互作用領域から前記最も近い共振器の構成要素への距離が十分に大きく、それによって任意の所与の共振器構成要素での前記マイクロパルス強度及び統合されたフルエンスが、熱又は急速な非線形現象によって前記共振器の構成要素に許容できないレベルの可逆又は不可逆の劣化を生じない、前記合焦するステップと、
一連の電子マイクロパルスを含む電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に向けて送るステップと、
前記電子マイクロパルスを前記共振器内の少なくとも1つの循環する光学的なマイクロパルスに同期させるステップと、
前記電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に合焦し、それによって前記相互作用領域の前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記レーザ放射の光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成するステップと
を含む方法。
【請求項42】
生成される前記電磁放射が高度に単色性であるように、前記アンジュレータの界が、0.1から0.5の範囲の正規化ベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
生成される前記電磁放射が比較的広帯域であるように、前記アンジュレータの界が、0.1から0.5の範囲の正規化ベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
光学的なマイクロパルスの前記列によって前記循環する光学的なマイクロパルスの前記コヒーレントな強化を促進させるために、前記共振器に注入される光学的なマイクロパルスの前記列が、前記循環する光学的なマイクロパルスの前記位相の20度以内に維持される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
光学的なマイクロパルスの前記列によって前記循環する光学的なマイクロパルスの前記コヒーレントな強化を促進させるために、前記共振器に注入される光学的なマイクロパルスの前記列が、所与の波長の放射に関する前記共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムの整数倍(1×を含む)として前記循環する光学的なマイクロパルス継続期間の10%以内に維持される光学的なマイクロパルスの繰り返し周期を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
エネルギー性の電磁放射を生成する装置であって、
前記共振器に注入された放射がその中で循環し、相互作用領域で合焦されるように間隔を置いた少なくとも2つの凹形の反射器を有する光共振器であって、所与の波長の放射に関するラウンドトリップ・トランジットタイム(RTTT)によって特徴付けられる、前記光共振器と、
複数の個別の放射間隔のそれぞれの間に所与の波長のレーザ放射を前記共振器内に送るレーザシステムであって、少なくとも1つの放射間隔に関して、
前記レーザ放射が1つ又は複数の光学的なマクロパルスを含み、
少なくとも1つの光学的なマクロパルスが、1つの光学的なマイクロパルスの開始と次のマイクロパルスの開始の間の間隔が所与の波長の放射に関するRTTTのちょうど(1×を含む)整数倍に十分に近いことを特徴とする一連の光学的なマイクロパルスを含み、それによって前記共振器の任意の所与の位置での前記循環する光学的なマイクロパルスの前記振幅が前記放射間隔中に最大値に達するように、少なくとも1つの光学的なマクロパルスが前記光学的なマクロパルスのそれに続く光学的なマイクロパルスによってコヒーレントに強化された循環する光学的なマイクロパルスを誘発し、
前記循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅がその最大値又はその付近であるとき、前記循環する光学的なマイクロパルスが、0.1より大きい正規化されたベクトル・ポテンシャルを特徴とする前記相互作用の領域に光アンジュレータの界を形成するように、それぞれの循環するマイクロパルスが前記共振器内の前記相互作用領域に合焦される、前記レーザシステムと、
前記共振器の前記相互作用領域に向けられた電子ビームを提供する電子ビーム生成装置であって、
前記電子ビームが、間隔を置いた電子マクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有し、
前記電子マイクロパルスが、少なくとも1つの循環する光学的なマイクロパルスと同期され、
前記電子ビーム生成装置が、前記電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に合焦し、それによって前記相互作用領域の前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記レーザ放射の光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成する電子ビームとを備える、前記電子ビーム生成装置と
を備える装置。
【請求項47】
エネルギー性の電磁放射を生成する装置であって、前記装置が
相互作用領域を有するレゾナント光共振器と、
一連の間隔を置いた放射間隔中に、前記共振器内で循環し前記相互作用領域に合焦される1つ又は複数の光学的なマイクロパルスを確立することによって前記相互作用領域に光アンジュレータの界を生成する手段であって、前記光アンジュレータ界が、前記共振器の前記相互作用領域での0.1よりも大きな正規化ベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる、前記生成する手段と、
電子マイクロパルスの電子ビームを供給し、前記1つ又は複数の光学的なマイクロパルスが前記相互作用領域を通って移動する方向と反対の方向に沿った成分を有する方向に、前記電子マイクロパルスを前記共振器の前記相互作用領域に向かって送る手段と、
前記共振器の前記相互作用領域に前記電子ビームを合焦させる手段であって、前記電子マイクロパルスが前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記アンジュレータの界をもたらす前記循環する光学的なマイクロパルスの光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成する手段と
を備える装置。
【請求項48】
レーザ放射を供給するレーザシステムと、
それぞれの放射間隔中マイクロパルスが共振器に注入され、その中で循環するように前記レーザ放射の経路に配置された光共振器と、
前記光共振器の相互作用領域に向けられた電子ビームを提供する電子ビーム生成装置とを備えたエネルギー性の電磁放射を生成する装置であって、
前記レーザシステムが、
前記レーザ放射が、放射間隔の継続時間及び放射間隔の繰り返し周波数によって特徴付けられる一連の間隔を置いた放射間隔を含み、
それぞれの放射間隔が1つ又は複数の一連の間隔を置いた光学的なマイクロパルスを含み、
前記光共振器が、
前記共振器がそれぞれの注入される光学的なマイクロパルスが前記共振器の循環する光学的なマイクロパルスをコヒーレントに強化する光学的な長さを有し、それによってそれぞれの放射間隔中に、それぞれの循環する光学的なマイクロパルスの電界の振幅が前記共振器内で最大出力に到達し、
前記光学的なマイクロパルスの電界の振幅がその最大値又はその付近であるとき、その循環する光学的なマイクロパルスが、0.1より大きい正規化されたベクトル・ポテンシャルによって特徴付けられる前記相互作用の領域に光アンジュレータの界を形成するように、前記共振器が、それぞれの循環するマイクロパルスを前記共振器内の前記相互作用領域に合焦し、
前記電子ビーム生成装置が、
前記電子ビームが、間隔を置いた電子マクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有し、
前記電子マイクロパルスのうちの少なくともいくつかが、前記循環する光学的なマイクロパルスと同期され、
前記電子ビーム生成装置が、前記電子ビームを前記共振器の前記相互作用領域に合焦し、それによって前記電子マイクロパルスのうちの少なくともいくつかが前記相互作用領域の前記光アンジュレータの界と相互作用し、前記レーザ放射の光周波数よりも高い光周波数で電磁放射を生成する
前記エネルギー性の電磁放射を生成する装置。
【請求項49】
それぞれの追加のマクロパルスが、追加の循環する光学的なマイクロパルスを誘発し、
前記レーザ放射が追加の一連の光学的なマクロパルスを含み、そのそれぞれが、少なくとも50%の空間的な重複をもたらすために、1つの追加の光学的なマイクロパルス周期の開始と次の光学的なマイクロパルスの周期の開始の間の間隔が所与の波長の放射に関するRTTTのちょうど(1×を含む)整数倍に十分に近く、循環する光学的なマイクロパルスが前記光学的なマクロパルスによって誘発されることを特徴とする一連の間隔を置いた光学的なマイクロパルスを含み、
前記追加の光学的なマクロパルスの光学的なマイクロパルスが、前記第1に示した一連の光学的なマクロパルスの前記光学的なマイクロパルスにインターリーブされる、請求項46に記載の装置。
【請求項50】
前記第1に示した光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスが、等しい間隔であり、
前記追加の光学的なマイクロパルスが等しい間隔であり、
前記光学的なマクロパルスのうちの一方の中の2つの連続する光学的なマイクロパルスの間にある前記光学的なマクロパルスのうちの他方の中のそれぞれの光学的なマイクロパルスが、前記2つの連続する光学的なマイクロパルスの間に等しく間隔を置くように、前記マクロパルスがインターリーブされる、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記第1に示した光学的なマクロパルス内の前記光学的なマイクロパルスが、等しい間隔であり、
前記追加の光学的なマイクロパルスが等しい間隔であり、
前記光学的なマクロパルスのうちの一方の中の2つの連続する光学的なマイクロパルスの間にある前記光学的なマクロパルスのうちの他方の中のそれぞれの光学的なマイクロパルスが、前記2つの連続する光学的なマイクロパルスの間に等しく間隔を置くように、前記マクロパルスがインターリーブされる請求項49に記載の装置。
【請求項52】
前記第1に示した光学的なマクロパルス及び前記追加の光学的なマクロパルスが異なる波長によって特徴付けられる、請求項49に記載の装置。
【請求項53】
前記レーザシステムが、第1と第2の個別のレーザを含み、
前記第1に示した光学的なマクロパルスと、前記追加の光学的なマクロパルスとが前記第1と第2のレーザによってそれぞれ生成される、請求項49に記載の装置。
【請求項54】
前記レーザ放射が複数の光学的なマクロパルスを備え、そのそれぞれが、前記共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムの実質的にちょうど整数倍(1×を含む)であるそれぞれの光学的なマイクロパルス周期によって特徴付けられるそれぞれの一連の等しい間隔である光学的なマイクロパルスを含み、それぞれのマクロパルスがそれぞれの循環する光学的なマイクロパルスを誘発するように、前記光学的なマクロパルスの光学的なマイクロパルスがインターリーブされる、請求項46に記載の装置。
【請求項55】
前記複数の光学的なマクロパルスの前記光学的なマイクロパルスが、前記光学的なマイクロパルスが等しい間隔でインターリーブされている、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記複数の光学的なマクロパルスの前記光学的なマイクロパルスが、前記光学的なマイクロパルスが等しい間隔とならないようにインターリーブされている、請求項54に記載の装置。
【請求項57】
前記共振器が1つ又は複数の鏡を備え、
例えば、前記共振器の鏡の平行移動及び/又はレーザ・バックヒーティングによるなどの少なくとも1つの共振器の鏡の同心度、
及び/又は少なくとも1つの共振器の鏡の前記横断方向の位置合わせ、
及び/又は、例えば、前記光学的なマイクロパルスの前記尺度及び感度による鏡の平行移動によるなどの前記循環する光学的なマイクロパルスの前記ラウンドトリップ・トランジットタイム、
及び/又は、例えば、前記光波長の部分の前記尺度及び感度による鏡の平行移動によるなどの前記レーザの前記光共振器に対する前記周波数整合
のうちの少なくとも1つを制御する1つ又は複数の要素をさらに備える、請求項46、47、又は48に記載の装置。
【請求項58】
前記レーザの前記光学的なマイクロパルスの繰り返し周波数、
及び/又は前記レーザの前記光学的なマイクロパルスの繰り返し周波数、
及び/又は前記レーザ放射の横断方向の位置合わせとタイミング、
及び/又は前記レーザ放射の長手方向の位置合わせとモード整合、
及び/又は前記入射する電子マイクロパルスの横断方向の位置合わせとタイミング、
前記電子ビーム生成装置からの前記入射する電子マイクロパルスによる前記レーザからの前記光学的なマイクロパルスの同期
のうちの少なくとも1つを制御する1つ又は複数の要素をさらに備える、請求項46、47、又は48に記載の装置。
【請求項59】
それぞれの放射間隔が、単一の一連の等しい間隔である光学的なマイクロパルスからなり、それによってその放射間隔中に単一の循環する光学的なマイクロパルスを誘発する、請求項47又は48に記載の装置。
【請求項60】
それぞれの放射間隔が、複数の一連の等しい間隔である光学的なマイクロパルスを含み、
それぞれの一連の光学的なマイクロパルスが、前記共振器のラウンドトリップ・トランジットタイムの実質的にちょうど整数倍(1×を含む)になっている光学的なマイクロパルスの周期によって特徴付けられ、
それぞれの光学的なマイクロパルスが、それぞれの単一の循環する光学的なマイクロパルスを誘発する、請求項47又は48に記載の装置。
【請求項61】
前記光学的なマイクロパルスのピーク・パワー、フルエンス、デューティ・サイクルが、前記循環する光学的なマイクロパルスが前記共振器の構成要素を急速な非線形の現象によって損傷しないようになっており、
共振器の構成要素に局所的な熱損傷を生じないように、所与の放射間隔にわたって平均化された前記出力とフルエンスが十分に低くなっており、
少なくとも100の放射間隔の範囲の時間間隔にわたって平均化された前記出力とフルエンスが共振器の構成要素に全体的な熱損傷を生じないように分に低くなっている、請求項46、47又は48に記載の装置。
【請求項62】
前記電子ビームのマイクロパルス、及び前記循環する光学的なマイクロパルスが、前記相互作用領域内で実質的に等しい横断方向の寸法を有する、請求項46、47、又は48に記載の装置。
【請求項63】
前記循環する光学的なマイクロパルスが実質的に前記相互作用領域内に収容される間、所与の電子マイクロパルスが所与の循環する光学的なマイクロパルスと相互作用する、請求項46、47、又は48に記載の装置。
【請求項64】
前記電子ビームが、1〜10%のマイクロパルスのデューティ・サイクルを有する、請求項46、47、又は48に記載の装置。
【請求項65】
前記電子ビームがマイクロ波加速器によってもたらされるバンチビームであり、
前記電子ビームがさらに、電子マクロパルスの継続時間、及び電子マクロパルスの繰り返し周波数によって特徴付けられる間隔を置いた電子マクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有し、
それぞれの電子マクロパルスが、一連の間隔を置いた電子マイクロパルスによって特徴付けられる時間依存を有する、請求項46、47、又は48に記載の装置。
【請求項66】
前記電子バンチがRF位相において10°以下に限定する、請求項30に記載の装置。
【請求項67】
前記電子ビームが、蓄積リングによって供給される、請求46、47、又は48に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2008−546152(P2008−546152A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514926(P2008−514926)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/021562
【国際公開番号】WO2006/130856
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507396862)
【Fターム(参考)】