光コネクタ清掃工具
【課題】清掃体の繰り出しおよび引き取りを円滑に行い得る光コネクタ清掃工具を提供する。
【解決手段】清掃体2の供給および引取りを行う送り機構3を有する光コネクタ清掃工具。送り機構3は、清掃体2を供給する供給リール30と、清掃体2を巻取る巻取リールと、これらが回転可能に装着される支持部35とを備えている。支持部35には、送り側の清掃体2(2a)が通過する送り側通過部46Aと、巻取り側の清掃体2(2b)が通過する巻取り側通過部46Bとを隔てるガイド体50が形成されている。ガイド体50は、送り側の清掃体2(2a)が巻取り側通過部46Bへ移動するのを規制し、かつ巻取り側の清掃体2(2b)が送り側通過部46Aに移動するのを規制する。
【解決手段】清掃体2の供給および引取りを行う送り機構3を有する光コネクタ清掃工具。送り機構3は、清掃体2を供給する供給リール30と、清掃体2を巻取る巻取リールと、これらが回転可能に装着される支持部35とを備えている。支持部35には、送り側の清掃体2(2a)が通過する送り側通過部46Aと、巻取り側の清掃体2(2b)が通過する巻取り側通過部46Bとを隔てるガイド体50が形成されている。ガイド体50は、送り側の清掃体2(2a)が巻取り側通過部46Bへ移動するのを規制し、かつ巻取り側の清掃体2(2b)が送り側通過部46Aに移動するのを規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの接合端面を、清掃体によって清掃するための光コネクタ清掃工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光コネクタを突合せ接続する際にその接合端面に汚れや異物が付着していれば、着脱時の損傷や伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先だって、接合端面を清掃しておく必要がある。
光コネクタの接合端面の清掃には、接合端面に清掃体を接触させて汚れ等を拭き取る光コネクタ清掃工具が、従来から用いられている。
この種の光コネクタ清掃工具としては、その先端部分(ヘッド部)において、清掃体の一部を露出させ、その露出した清掃体を移動させつつ光コネクタの接合端面に接触させる(押し当てる)方式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような方式を採用した光コネクタ清掃工具では、清掃体を工具先端部分に向けて繰り出すための供給リールと、工具先端部分から清掃体を引き取る巻取リールとを備えた送り機構を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/108278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の光コネクタ清掃工具においては、工具先端部分に向けて繰り出される清掃体と、工具先端部分から引き取られる清掃体とが工具内部で絡まり、繰り出しおよび引き取りが円滑に行われなくなってしまう事態が生じることがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、清掃体の繰り出しおよび引き取りを円滑に行い得る光コネクタ清掃工具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光コネクタ清掃工具は、連続材からなる清掃体を移動させながら、その一部を光コネクタの接合端面に押し当てて、光コネクタの接合端面を拭き取り清掃するための光コネクタ清掃工具において、工具本体と、前記工具本体から延出する延出部とを備え、前記工具本体は、前記清掃体の供給および引取りを行う送り機構と、駆動体と、これらを収容する収容体とを有し、前記延出部は、前記収容体から延出する延出筒体と、前記延出筒体の先端において前記清掃体を前記接合端面に押し当てるヘッド部材とを有し、前記送り機構が、前記清掃体を前記ヘッド部材に供給する供給リールと、前記ヘッド部材を経た前記清掃体を巻取る巻取リールと、これらが回転可能に装着される支持部とを有し、前記収容体は、前記延出部および前記送り機構に対し前記延出方向前方および後方に相対移動可能であり、前記駆動体は、前記収容体の前方移動によって前記巻取リールを巻取り方向に回転駆動させることにより前記清掃体を送り移動させることができ、前記送り機構は、前記供給リールから前記ヘッド部材に向かう送り側の清掃体が通過する送り側通過部と、前記ヘッド部材から前記巻取リールに向かう巻取り側の清掃体が通過する巻取り側通過部とを隔てるガイド体を備え、このガイド体は、前記送り側の清掃体が前記巻取り側通過部へ移動するのを規制し、かつ巻取り側の清掃体が前記送り側通過部に移動するのを規制するように形成されている。
前記ガイド体は、前記支持部から延出する棒状体であることが好ましい。
前記送り機構は、前記支持部の後方に設けられて前記支持部を前方に付勢する付勢手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、送り機構がガイド体を備えているため、送り側の清掃体は巻取り側通過部への移動が規制され、巻取り側の清掃体は送り側通過部への移動が規制される。
従って、送り側の清掃体と巻取り側の清掃体との干渉が生じにくく、清掃体の送り移動はスムーズに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る光コネクタ清掃工具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光コネクタ清掃工具の要部を拡大した斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、それぞれ図1に示す光コネクタ清掃工具の前面図、背面図、側面図、および正面図である。
【図4】図1に示す光コネクタ清掃工具の分解斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は、図1に示す光コネクタ清掃工具の回転機構の駆動体を示すもので、それぞれ正面図、側面図、背面図である。
【図6】図1に示す光コネクタ清掃工具の駆動体の斜視図である。
【図7】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転機構の回転シャフトを示す斜視図である。
【図8】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトの要部を拡大した斜視図である。
【図9】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を一方側から見た斜視図である。
【図10】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を他方側から見た斜視図である。
【図11】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトおよびその先端に取り付けられたヘッド部材を示す一部断面図である。
【図12】図1に示す光コネクタ清掃工具の送り機構を示す斜視図である。
【図13】送り機構の要部を示す斜視図である。
【図14】送り機構の要部を示す平面図である。
【図15】図1に示す光コネクタ清掃工具の挿入筒体の筒体基部を示す斜視図である。
【図16】図1に示す光コネクタ清掃工具の挿入筒体の筒体先端部を示す斜視図である。
【図17】図1に示す光コネクタ清掃工具の使用方法を示す工程図である。
【図18】前図に続く工程図である。
【図19】前図に続く工程図である。
【図20】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図21】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図22】図1に示す光コネクタ清掃工具の動作を説明する一部断面図である。
【図23】ガイド体の他の例の斜視図である。
【図24】ヘッド部材の他の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した光コネクタ清掃工具(以下、単に清掃工具ということがある)を、図面を参照して説明する。
清掃工具1の説明に先だって、まず、清掃工具1が適用される光コネクタプラグ60(光コネクタ。以下、単に光プラグともいう)と、光コネクタアダプタ70(コネクタ用位置決めハウジング。以下、単に光アダプタともいう)を説明する。
図22は、清掃工具1が適用される光コネクタプラグ60(光コネクタ。以下、単に光プラグともいう)と、光コネクタアダプタ70(コネクタ用位置決めハウジング。以下、単に光アダプタともいう)を示す図である。
【0009】
光プラグ60は、フェルール61をスリーブ状のハウジング62の先端部に収容した構成の光コネクタプラグである。
フェルール61の接合端面61aの中央部には、光ファイバ穴61b(微細孔)が開口している。光ファイバ穴61bには、光ファイバ63が挿通しており、光ファイバ63の先端は接合端面61aに露出している。
光ファイバ63は、例えば光ファイバ心線の先端部の被覆樹脂を除去した光ファイバ裸線であり、光ファイバ63は、これにより他の光コネクタと突き合わせ接続可能に成端されている。ここでは、円筒状のフェルール61を例示する。フェルールとしては、周知の単心光フェルール、例えばSC型フェルールなどが使用できる。
【0010】
光アダプタ70は、コネクタ収容穴72を有するスリーブ状に形成されており、コネクタ挿入口71から光プラグ60を挿入することにより、コネクタ収容穴72内に収容することができるようになっている。
光プラグ60は、光アダプタ70のコネクタ挿入口71から挿入されると、挿入方向からずれた方向への変位を規制されつつ、コネクタ収容穴72に収容される。
光アダプタ70は、両端から2つの光プラグ60が挿入されると、フェルール61同士が突き合わされ、光ファイバ63同士が光接続されるように構成されている。
図22に示す符号73は、光アダプタで一般的に用いられている位置決め用の割りスリーブを示す。
【0011】
以下、清掃工具1の構造を説明する。
図1は、本発明の光コネクタ清掃工具(以下、単に「清掃工具」ともいう)の一実施形態である清掃工具1の斜視図である。図2は、清掃工具1の要部を拡大した斜視図である。図3(a)〜(d)は、それぞれ清掃工具1の前面図、背面図、側面図、および正面図である。図4は、清掃工具1の分解斜視図である。図5(a)〜(c)は、駆動体51を示すもので、それぞれ正面図、側面図、背面図である。図6は、駆動体51の斜視図である。図7は、回転機構5の回転シャフト52を示す斜視図である。図8は、回転シャフト52の要部を拡大した斜視図である。図9は、ヘッド部材23を一方側から見た斜視図である。図10は、ヘッド部材23を他方側から見た斜視図である。図11は、回転シャフト52およびその先端に取り付けられたヘッド部材23を示す一部断面図である。図12は、送り機構3を示す分解斜視図である。図13は、送り機構3の要部を示す斜視図である。図14は、送り機構3の要部を示す平面図である。図15は、挿入筒体21の筒体基部22を示す斜視図である。図16は、挿入筒体21の筒体先端部29を示す斜視図である。
【0012】
図1〜図4に示すように、清掃工具1は、工具本体10と、この工具本体10から突出した挿入部20とを備えている。なお、以下の説明において、図1に示すように、挿入部20の先端方向(挿入方向)を前方といい、その反対方向を後方ということがある。
【0013】
工具本体10は、駆動体51と、清掃体2の供給及び巻取りを行う送り機構3と、ヘッド部材23を回転させる回転機構5と、これらを収容する収容体11とを備えている。
収容体11は、断面略矩形の筒状に形成され、ひとつの側板部11aの後部には、後述する位置決め凸部57が挿入される位置決め開口部12が形成されている。
位置決め開口部12は、前後方向に沿うスリット状に形成されている。位置決め開口部12の前部には位置決め凸部57が嵌合する第1嵌合凹部13が形成され、位置決め開口部12の後端には、位置決め凸部57が嵌合する第2嵌合凹部14が形成されている。
図1および図3に示す状態では、位置決め凸部57が第2嵌合凹部14に嵌合することによって、送り機構3および回転機構5が位置決めされている。
収容体11の前端には、挿入部20が挿通する挿通口11cが形成されている。
【0014】
図4〜図6に示すように、駆動体51は、前後方向に沿う長板状の基板53と、基板53の内面53aから突出して形成された挿入凸部54と、基板53の両側縁部から内面53a側に突出して形成された側板55と、一方の側板55に形成された鋸歯状のギア受け部56と、基板53の外面53bに設けられた位置決め凸部57と、基板53の後端縁部から内面53a側に延出して形成された後端板58と、後端板58の前面58aに前方に突出して形成された保持凸部59とを備えている。
【0015】
図5(b)および図6に示すように、側板55は、基板53からの突出高さがほぼ一定の側板基部67と、側板基部67の後方に設けられ、側板基部67に比べ高く突出した側板突出部68とからなる。
図5(c)および図6に示すように、ギア受け部56は、一方の側板部55の内面側、詳しくは側板基部67の内面側に、他方の側板55に向けて突出して形成された複数の受け歯部56aからなる。受け歯部56aは、駆動体51の長さ方向(前後方向)に配列されている。
挿入凸部54は、略円筒状に形成されている。挿入凸部54の突出高さおよび外径は、回転筒部82のカム溝85に嵌合可能となるように設定されている。
【0016】
図5(a)に示すように、基板53の後部には、開口部64が形成されている。開口部64内には、開口部64の前端64aから後方に向けて板状の弾性片65が延出して形成されている。
図5(b)に示すように、弾性片65は、延出方向に向かって図中上方に傾斜して形成すると、基板53と収容体11との距離を十分に確保でき、しかも位置決め凸部57を嵌合凹部13、14に確実に係止させることができるため好ましい。
上述の位置決め凸部57は、弾性片65の後端部の上面(外面)から上方に突出して形成されている。
弾性片65は、弾性的な曲げ変形により後端部が上下動できるように構成することによって、位置決め凸部57を嵌合凹部13、14に対し係脱可能とすることができる。
【0017】
図4、図7および図8に示すように、回転機構5は、駆動体51に対し軸回りに回転可能な回転シャフト52を備えている。
回転シャフト52は、ガイド筒部81と、ガイド筒部81の後端に設けられた回転筒部82とを備えている。
回転シャフト52内には、清掃体2が挿通する挿通孔83が形成されている。挿通孔83はガイド筒部81の前端から回転筒部82の後端にわたって形成されている。
ガイド筒部81は略円筒状に形成され、前端部において、挿通孔83にヘッド部材23の挿入部91が挿入されるようになっている。ガイド筒部81の前端部の内面には、内面が平坦に形成された回転止部84が形成されている。
【0018】
回転筒部82は略円筒状に形成され、その外面には、駆動体51の挿入凸部54が挿入されるカム溝85が形成されている。
カム溝85は、前後方向にわたって、少なくとも一部が回転筒部82の軸方向に対し傾斜して形成されている。このため、後述するように、回転シャフト52が前後方向に移動すると、回転筒部82がカム溝85に沿って移動することによって、回転シャフト52は軸回りに回転する。図示例では、カム溝85は螺旋状に形成されている。
【0019】
図9および図10に示すように、ヘッド部材23は、ガイド筒部81の挿通孔83に挿通される挿入部91と、挿入部91の前端に形成されたフランジ部92と、フランジ部92の前面から前方に延出する略円筒状の先端部28とを備えている。
先端部28の先端面は、清掃体2を接合端面61aに押し当てる押当て面24である。
【0020】
図10に示すように、押当て面24には、清掃体2が挿通する開口部であるガイド口部25A、25Bが形成されている。
これらのうち一方のガイド口部25Aは、送り機構3からの清掃体2を押当て面24に導くものであって、図示例では断面略矩形に形成されている。他方のガイド口部25Bは、押当て面24を通過した清掃体2を送り機構3に導くものであって、図示例では断面略矩形に形成されている。
ガイド口部25A、25Bを形成することによって、清掃体2の脱落を確実に防止できる。
【0021】
先端部28の側面には、清掃体2の送り移動をガイドするガイド溝26A、26Bを形成するのが好ましい。先端部28は、先端部が先端筒部21bから突出するように形成されている。ガイド溝26A、26Bはフランジ部92および挿入部91の側面にも形成されている。
ガイド溝26A、26Bは、それぞれガイド口部25A、25Bに即した位置に形成される。
挿入部91には、ガイド筒部81に形成された回転止部84に即した形状の平坦部93が形成されており、平坦部93が回転止部84に係止することで、ヘッド部材23がガイド筒部81に対して回転しないようになっている。
【0022】
図2、図4、図10および図11に示すように、ヘッド部材23には、供給リール30から引き出された清掃体2が巻き回されている。
図示例では、清掃体2は、工具本体10内の供給リール30から回転シャフト52の挿通孔83内を通り、ヘッド部材23のガイド溝26A、ガイド口部25Aを通って押当て面24に至り、ガイド口部25B、ガイド溝26Bを経て再び挿通孔83内を通り、巻取リール31に達している。
【0023】
清掃体2は、特に限定されるものではなく、連続的に繰り出し可能な程度に軟質で一方向に連続する連続材であれば、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)をテープ状や、断面略円形の紐状に加工したものを採用することができる。清掃体2としては、例えばポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で構成されたものが例示できる。
【0024】
図11における符号94は、ガイド筒部81の前端とフランジ部92との間に設けられた付勢手段(例えばコイルスプリング)である。付勢手段94は、ヘッド部材23を接合端面61aに押し当てたときにヘッド部材23を前方に付勢するものである。
【0025】
図12示すように、送り機構3は、清掃体2を巻装した供給リール30と、使用後の清掃体2を巻取って回収する巻取リール31と、これらが回転可能に装着される支持部35と、巻取リール31に装着されるギア38と、支持部35に形成された保持筒部39と、保持筒部39に装着された付勢手段40(例えばコイルスプリング)と、押さえ部34とを備えている。
【0026】
支持部35は、前後方向に沿う長板状の基板41と、基板41の内面41aに設けられて供給リール30が回転可能に装着される供給リール支持軸32と、巻取リール31が回転可能に装着される巻取リール支持軸33と、基板41の長さ方向中間部から内面41a側に延出して形成された仕切板42と、基板41の後端部から内面41a側に延出して形成された後端板43と、基板41の両側縁部から内面41a側に延出する側板44、44とを備えている。
【0027】
基板41には、リール30、31の径方向に対し垂直に延出する2つの延出板45、45が形成され、延出板45、45の先端には、それぞれリール30、31に向けて突出する係止爪45a、45aが形成されている。延出板45は弾性的に曲げ変形可能であり、延出板45の曲げ変形によって、係止爪45aはリール30、31に対し接近および離間する方向に移動可能である。
基板41の前端には、筒体基部22の挿通筒部96が嵌合する切欠41bが形成されている。
保持筒部39は円筒状に形成され、後端板43の後面から後方に延出して形成されている。
【0028】
付勢手段40は、支持部35の後方に設けられている。付勢手段40は、前端が後端板43に当接し、後端が駆動体51の保持凸部59に嵌合した状態で後端板部58に当接しており、後端板部58に反力をとって支持部35を前方に付勢する。
【0029】
押さえ部34は、リール30、31およびギア38の脱落を防ぐためのもので、前後方向に延出する長板状の本体部34aの前端および後端に、リール支持軸32、33に嵌合可能な嵌合部34b、34cが形成されている。
押さえ部34によって、リール30、31が清掃体2に引っ張られて傾いたり支持軸32、33から外れるのを防止できる。
【0030】
図13および図14に示すように、仕切板42は、支持部35内の空間を前後に区画するもので、前記空間は、筒体基部収容部36と、これより後方でリール30、31を収容するリール収容部37とに区画される。
筒体基部収容部36は、筒体基部22の保持枠部97を収容できる。仕切板42は、保持枠部97およびこれに収容された回転筒部82の後方移動を規制する。
仕切板42には、供給リール30から繰り出されて挿通孔83に向かう清掃体2(送り側の清掃体2)、および挿通孔83から出て巻取リール31に向かう清掃体2(巻取り側の清掃体2)が通過する通過部46が形成されている。
【0031】
通過部46は、仕切板42の幅方向中央部に下端から上端にかけてスリット状に形成されている。なお、幅方向とは、前後方向に対し直交し、かつ基板41に沿う方向であり、図14における上下方向である。
仕切板42は、通過部46によって第1仕切板42Aと第2仕切板42Bとに分割されている。
【0032】
基板41には、通過部46を通過する送り側の清掃体2と巻取り側の清掃体2とを隔てるガイド体50が形成されている。
ガイド体50は、基板41の内面41aから、内面41aに対し垂直に延出する棒状体であり、その延出長さは送り側と巻取り側の清掃体2の移動を規制できるよう設定される。ガイド体50の断面形状はとくに限定されないが、例えば断面略円形、断面多角形等とすることができる。図示例の先端に向かって徐々に径が小さくなる円柱形(または円錐台形)とされている。
ガイド体50の幅方向の位置は、通過部46の幅方向の略中央に相当する位置とすることができる。
第1仕切板42Aの内縁42Aaとガイド体50の間は、送り側の清掃体2が通過する送り側通過部46Aであり、第2仕切板42Bの内縁42Baとガイド体50の間は、巻取り側の清掃体2が通過する巻取り側通過部46Bである。すなわち、送り側通過部46Aと巻取り側通過部46Bはガイド体50によって隔てられている。
【0033】
供給リール30から繰り出された送り側の清掃体2(図14に符号2aで示す)は、ガイド体50の一方側の送り側通過部46Aを通り、挿通孔83に入ってヘッド部材23に向かい、巻取り側の清掃体2(図14に符号2bで示す)は挿通孔83を通り、挿通孔83の後端開口からガイド体50の他方側の巻取り側通過部46Bを通過して巻取リール31に向かう。
【0034】
供給リール支持軸32および巻取リール支持軸33は、リール収容部37に形成されている。
供給リール30および巻取リール31は、清掃体2が巻き付けられる胴部47と、胴部47の一端に設けられた第1端板48と、胴部47の他端に設けられた第2端板49とを備えている。
第1端板48の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凹部(図示略)が形成されており、延出板45の係止爪45aが前記係止凹部に係合することにより、リール30、31の逆方向回転が阻止される。第2端板49の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凸部49aが形成されている。
リール30、31は、胴部47に支持軸32、33を挿通させることによって支持部35に装着される。
【0035】
ギア38は、円板状の基板87と、基板87の一方の面に形成された歯車部88とを有する。基板87の他方の面には、巻取リール31の係止凸部49aに係止する係止突起87aが形成されている。
歯車部88は、周方向に沿って配列された複数の歯部88aを有し、これら歯部88aは、駆動体51のギア受け部56の受け歯部56aに噛み合うように形成されている。
ギア38は、巻取リール31の第2端板49に重ねて設置される。基板87の係止突起87aは第2端板49の係止凸部49aに係止するため、ギア38の回転に従って巻取リール31も回転する。
係止突起87aは、ギア38が巻取り方向とは逆の方向に回転する場合には、係止凸部49aには係止しないように形成されている。
【0036】
図4、図15および図16に示すように、挿入部20は、挿入筒体21と、挿入筒体21に挿通するヘッド部材23とを備えている。
挿入筒体21は、筒体基部22と、その先端に設けられた筒体先端部29とを備えている。
図15に示すように、筒体基部22は、挿通筒部96と、挿通筒部96の後端に設けられた保持枠部97とを備えている。
挿通筒部96は、略円筒状に形成され、回転シャフト52のガイド筒部81が挿通可能な挿通孔98が形成されている。
保持枠部97は、断面矩形の筒状に形成され、その内部に回転シャフト52の回転筒部82を収容できる。保持枠部97を構成する4つの側板99のうちひとつである側板99aには、前後方向に沿って、駆動体51の挿入凸部54が挿入されるスリット100が形成されている。
保持枠部97は、送り機構3の仕切板42の前面に当接可能となるよう形成される。
【0037】
図16に示すように、筒体先端部29は、フランジ部21aの後面側に設けられた嵌合筒部21cと、フランジ部21aの前面側から前方に延びる円筒状の先端筒部21bとを有する。
嵌合筒部21cは筒体基部22の先端の挿通孔98に着脱自在に嵌合するように形成するのが好ましい。嵌合筒部21cを筒体基部22の挿通孔98に嵌合するように形成することによって、筒体先端部29の構造を簡略化し、金型作製に必要なコストを抑制することができる。
また、筒体先端部29を筒体基部22に着脱自在とすることによって、光アダプタ70の仕様に合わせて筒体先端部29を選択使用することができるため、複数のタイプの光アダプタ70に適用可能となる。
先端筒部21bには、回転シャフト52のガイド筒部81およびヘッド部材23が挿通する挿通孔21dが形成されている。
先端筒部21bは、コネクタ収容穴72に挿入したときに挿入方向からずれた方向の変位が規制されるように形成するのが好ましい。
挿入部20は、挿入筒体21が収容体11の挿通口11cに挿通して、収容体11から前方に突出している。
【0038】
図1に示すように、挿入部20は、工具本体10に対して、前後方向(伸縮方向)に移動可能である。
図1および図3に示す状態では、駆動体51の位置決め凸部57が、収容体11の位置決め開口部12の後端に形成された第2嵌合凹部14に嵌合しているため、送り機構3および回転機構5は、収容体11内の比較的後方に位置決めされている。この位置を後方位置という。
【0039】
位置決め凸部57を押圧して第2嵌合凹部14に対する嵌合を解除し、位置決め開口部12に沿って前方に移動させ、第1嵌合凹部13に嵌合させることによって、送り機構3および回転機構5を前記後方位置よりも前方に位置決めすることができる。この位置を前方位置という。
送り機構3および回転機構5を前方位置に配置することによって、挿入部20も前方に配置される。
挿入部20が前方位置にある状態では、工具本体10から延出する部分の挿入部20を長くできるため、対象となる光アダプタ70に近接する他の光アダプタ70に影響を与えないように清掃作業を行うのが容易となる。
【0040】
図3および図4に示すように、挿入部20の先端には、キャップ102を装着できる。キャップ102は、略スリーブ状(筒状)に形成されたガイド本体103と、ガイド本体103の一端にヒンジ105によって連結された蓋104とを有する。
ガイド本体103の蓋104側の一端には、光プラグ60が挿入されるコネクタ挿入口106(プラグ挿入口)が開口しており、ここに光プラグ60を挿入することにより、光プラグ60の接合端面61aを、清掃体2によって拭き取り清掃できる。
蓋104は、保持紐部107を介して収容体11に接続されているため、蓋104の紛失を防ぐことができる。
【0041】
次に、清掃工具1の使用方法の一例を説明する。
図17、図18および図22に示すように、挿入部20の挿入筒体21を光アダプタ70のコネクタ挿入口71から挿入すると、挿入筒体21は、外面が光アダプタ70の内壁70aにより位置決めされながらコネクタ収容穴72に進入する。
これによって、押当て面24上の清掃体2は、光プラグ60の接合端面61aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴61bとその周辺)に当接する。
【0042】
図19に示すように、工具本体10をさらに挿入方向に押圧すると、工具本体10はこの方向に移動する。この際、挿入部20の先端は、フェルール61や光アダプタ70内の壁部に押され、挿入部20は工具本体10に対して相対的に後方(すなわち短縮方向)に移動する。
図20および図21に示すように、工具本体10の移動によって、駆動体51は回転シャフト52に対し前方移動する。これによって、回転筒部82はカム溝85に沿って周方向に移動し、回転シャフト52は軸回りに回転する。
図22に示すように、回転シャフト52の回転によって、ヘッド部材23が軸回りに回転するため、清掃体2は接合端面61aに当接した状態のままヘッド部材23の軸回りに回転し、接合端面61aが拭き取り清掃される。
【0043】
図4、図6および図12に示すように、駆動体51が送り機構3に対し前方移動するため、ギア受け部56によって、ギア38の歯車部88に回転方向の力が与えられる。ギア38の回転によって、巻取リール31も回転するため、清掃体2が巻取られる。
これに伴って、清掃体2が供給リール30から引き出され、ヘッド部材23の押当て面24を通って送り移動される。1回の工具本体10の移動による清掃体2の巻取り長さは一定量となる。ヘッド部材23にはガイド口部25A、25Bが形成されているので、清掃体2が押当て面24から外れるのを防ぐことができる。
【0044】
図13および図14に示すように、供給リール30から繰り出された送り側の清掃体2(2a)は、ガイド体50の一方側の送り側通過部46Aを通り、挿通孔83に入ってヘッド部材23に向かい、巻取り側の清掃体2(2b)は挿通孔83を通り、挿通孔83の後端開口からガイド体50の他方側の巻取り側通過部46Bを通過して巻取リール31に向かう。
送り側の清掃体2(2a)は、ガイド体50によって巻取り側通過部46Bへの移動が規制され、巻取り側の清掃体2(2b)は、ガイド体50によって送り側通過部46Aへの移動が規制されるため、送り側の清掃体2と巻取り側の清掃体2との干渉が生じにくく、清掃体2の送り移動はスムーズに行われる。
【0045】
清掃体2の送り移動によって、接合端面61aに付着しているゴミや埃、油分などの汚れが確実に拭き取られる。
挿入部20を光アダプタ70から引き抜く際には、挿入部20は、付勢手段40の弾性力によって工具本体10に対して相対的に前方(すなわち伸長方向)に移動し、図18等に示す通常位置に戻る。
【0046】
本発明は、種々のタイプの光ファイバコネクタに適用することができ、例えば、JIS C 5973に制定されるSC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)、JIS C 5983に制定されるMU形光コネクタ(MU:MiniatureーUnit coupling optical fiber connector)、LC形光コネクタ(ルーセント社商標)、SC2形光コネクタ等の単心光コネクタに適用することができる。SC2形光コネクタとは、SC形光コネクタから、ハウジングの外側に装着されるつまみを省略したものである。
【0047】
図14に示すガイド体50は断面円形の棒状体であるが、ガイド体50の形状はこれに限定されず、例えば、図23に示すように、前後方向に沿う板状(または壁状)としてもよい。
【0048】
次に、ヘッド部材の他の例について説明する。以下の説明において、上述のヘッド部材23との共通部分については同じ符号を付してその説明を省略する。
図24は、ヘッド部材の他の例を示すもので、ここに示すヘッド部材123は、図9および図10に示すヘッド部材23に比べ、先端部28が細く形成されている。図示例では、先端部28の外径は挿入部91の幅より小さくされている。この外径は例えば1.25mmである。
【0049】
図示例では、光アダプタ70および光プラグ60を対象としたが、本発明の清掃工具の対象はこれに限定されず、光コネクタレセプタクル(詳細には、レセプタクルハウジング)を、コネクタ用位置決めハウジングとして機能させた構成も採用可能である。
この場合には、スリーブ状のレセプタクルハウジング内に組み込まれたフェルールが本発明に係る光コネクタとして機能する。レセプタクルハウジングの内側空間であるコネクタ収容穴に、清掃工具の挿入部を挿入することで、フェルールの接合端面を清掃できる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・光コネクタ清掃工具、2・・・清掃体、3・・・送り機構、10・・・工具本体、11・・・収容体、20・・・延出部、21・・・延出筒体、23・・・ヘッド部材、30・・・供給リール、31・・・巻取リール、35・・・支持部、40・・・付勢手段、61・・・フェルール、61a・・・接合端面、46A・・・送り側通過部、46B・・・巻取り側通過部、50・・・ガイド体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの接合端面を、清掃体によって清掃するための光コネクタ清掃工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光コネクタを突合せ接続する際にその接合端面に汚れや異物が付着していれば、着脱時の損傷や伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先だって、接合端面を清掃しておく必要がある。
光コネクタの接合端面の清掃には、接合端面に清掃体を接触させて汚れ等を拭き取る光コネクタ清掃工具が、従来から用いられている。
この種の光コネクタ清掃工具としては、その先端部分(ヘッド部)において、清掃体の一部を露出させ、その露出した清掃体を移動させつつ光コネクタの接合端面に接触させる(押し当てる)方式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような方式を採用した光コネクタ清掃工具では、清掃体を工具先端部分に向けて繰り出すための供給リールと、工具先端部分から清掃体を引き取る巻取リールとを備えた送り機構を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/108278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の光コネクタ清掃工具においては、工具先端部分に向けて繰り出される清掃体と、工具先端部分から引き取られる清掃体とが工具内部で絡まり、繰り出しおよび引き取りが円滑に行われなくなってしまう事態が生じることがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、清掃体の繰り出しおよび引き取りを円滑に行い得る光コネクタ清掃工具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光コネクタ清掃工具は、連続材からなる清掃体を移動させながら、その一部を光コネクタの接合端面に押し当てて、光コネクタの接合端面を拭き取り清掃するための光コネクタ清掃工具において、工具本体と、前記工具本体から延出する延出部とを備え、前記工具本体は、前記清掃体の供給および引取りを行う送り機構と、駆動体と、これらを収容する収容体とを有し、前記延出部は、前記収容体から延出する延出筒体と、前記延出筒体の先端において前記清掃体を前記接合端面に押し当てるヘッド部材とを有し、前記送り機構が、前記清掃体を前記ヘッド部材に供給する供給リールと、前記ヘッド部材を経た前記清掃体を巻取る巻取リールと、これらが回転可能に装着される支持部とを有し、前記収容体は、前記延出部および前記送り機構に対し前記延出方向前方および後方に相対移動可能であり、前記駆動体は、前記収容体の前方移動によって前記巻取リールを巻取り方向に回転駆動させることにより前記清掃体を送り移動させることができ、前記送り機構は、前記供給リールから前記ヘッド部材に向かう送り側の清掃体が通過する送り側通過部と、前記ヘッド部材から前記巻取リールに向かう巻取り側の清掃体が通過する巻取り側通過部とを隔てるガイド体を備え、このガイド体は、前記送り側の清掃体が前記巻取り側通過部へ移動するのを規制し、かつ巻取り側の清掃体が前記送り側通過部に移動するのを規制するように形成されている。
前記ガイド体は、前記支持部から延出する棒状体であることが好ましい。
前記送り機構は、前記支持部の後方に設けられて前記支持部を前方に付勢する付勢手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、送り機構がガイド体を備えているため、送り側の清掃体は巻取り側通過部への移動が規制され、巻取り側の清掃体は送り側通過部への移動が規制される。
従って、送り側の清掃体と巻取り側の清掃体との干渉が生じにくく、清掃体の送り移動はスムーズに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る光コネクタ清掃工具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光コネクタ清掃工具の要部を拡大した斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、それぞれ図1に示す光コネクタ清掃工具の前面図、背面図、側面図、および正面図である。
【図4】図1に示す光コネクタ清掃工具の分解斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は、図1に示す光コネクタ清掃工具の回転機構の駆動体を示すもので、それぞれ正面図、側面図、背面図である。
【図6】図1に示す光コネクタ清掃工具の駆動体の斜視図である。
【図7】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転機構の回転シャフトを示す斜視図である。
【図8】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトの要部を拡大した斜視図である。
【図9】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を一方側から見た斜視図である。
【図10】図1に示す光コネクタ清掃工具のヘッド部材を他方側から見た斜視図である。
【図11】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトおよびその先端に取り付けられたヘッド部材を示す一部断面図である。
【図12】図1に示す光コネクタ清掃工具の送り機構を示す斜視図である。
【図13】送り機構の要部を示す斜視図である。
【図14】送り機構の要部を示す平面図である。
【図15】図1に示す光コネクタ清掃工具の挿入筒体の筒体基部を示す斜視図である。
【図16】図1に示す光コネクタ清掃工具の挿入筒体の筒体先端部を示す斜視図である。
【図17】図1に示す光コネクタ清掃工具の使用方法を示す工程図である。
【図18】前図に続く工程図である。
【図19】前図に続く工程図である。
【図20】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図21】図1に示す光コネクタ清掃工具の回転シャフトの動作を示す説明図である。
【図22】図1に示す光コネクタ清掃工具の動作を説明する一部断面図である。
【図23】ガイド体の他の例の斜視図である。
【図24】ヘッド部材の他の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施した光コネクタ清掃工具(以下、単に清掃工具ということがある)を、図面を参照して説明する。
清掃工具1の説明に先だって、まず、清掃工具1が適用される光コネクタプラグ60(光コネクタ。以下、単に光プラグともいう)と、光コネクタアダプタ70(コネクタ用位置決めハウジング。以下、単に光アダプタともいう)を説明する。
図22は、清掃工具1が適用される光コネクタプラグ60(光コネクタ。以下、単に光プラグともいう)と、光コネクタアダプタ70(コネクタ用位置決めハウジング。以下、単に光アダプタともいう)を示す図である。
【0009】
光プラグ60は、フェルール61をスリーブ状のハウジング62の先端部に収容した構成の光コネクタプラグである。
フェルール61の接合端面61aの中央部には、光ファイバ穴61b(微細孔)が開口している。光ファイバ穴61bには、光ファイバ63が挿通しており、光ファイバ63の先端は接合端面61aに露出している。
光ファイバ63は、例えば光ファイバ心線の先端部の被覆樹脂を除去した光ファイバ裸線であり、光ファイバ63は、これにより他の光コネクタと突き合わせ接続可能に成端されている。ここでは、円筒状のフェルール61を例示する。フェルールとしては、周知の単心光フェルール、例えばSC型フェルールなどが使用できる。
【0010】
光アダプタ70は、コネクタ収容穴72を有するスリーブ状に形成されており、コネクタ挿入口71から光プラグ60を挿入することにより、コネクタ収容穴72内に収容することができるようになっている。
光プラグ60は、光アダプタ70のコネクタ挿入口71から挿入されると、挿入方向からずれた方向への変位を規制されつつ、コネクタ収容穴72に収容される。
光アダプタ70は、両端から2つの光プラグ60が挿入されると、フェルール61同士が突き合わされ、光ファイバ63同士が光接続されるように構成されている。
図22に示す符号73は、光アダプタで一般的に用いられている位置決め用の割りスリーブを示す。
【0011】
以下、清掃工具1の構造を説明する。
図1は、本発明の光コネクタ清掃工具(以下、単に「清掃工具」ともいう)の一実施形態である清掃工具1の斜視図である。図2は、清掃工具1の要部を拡大した斜視図である。図3(a)〜(d)は、それぞれ清掃工具1の前面図、背面図、側面図、および正面図である。図4は、清掃工具1の分解斜視図である。図5(a)〜(c)は、駆動体51を示すもので、それぞれ正面図、側面図、背面図である。図6は、駆動体51の斜視図である。図7は、回転機構5の回転シャフト52を示す斜視図である。図8は、回転シャフト52の要部を拡大した斜視図である。図9は、ヘッド部材23を一方側から見た斜視図である。図10は、ヘッド部材23を他方側から見た斜視図である。図11は、回転シャフト52およびその先端に取り付けられたヘッド部材23を示す一部断面図である。図12は、送り機構3を示す分解斜視図である。図13は、送り機構3の要部を示す斜視図である。図14は、送り機構3の要部を示す平面図である。図15は、挿入筒体21の筒体基部22を示す斜視図である。図16は、挿入筒体21の筒体先端部29を示す斜視図である。
【0012】
図1〜図4に示すように、清掃工具1は、工具本体10と、この工具本体10から突出した挿入部20とを備えている。なお、以下の説明において、図1に示すように、挿入部20の先端方向(挿入方向)を前方といい、その反対方向を後方ということがある。
【0013】
工具本体10は、駆動体51と、清掃体2の供給及び巻取りを行う送り機構3と、ヘッド部材23を回転させる回転機構5と、これらを収容する収容体11とを備えている。
収容体11は、断面略矩形の筒状に形成され、ひとつの側板部11aの後部には、後述する位置決め凸部57が挿入される位置決め開口部12が形成されている。
位置決め開口部12は、前後方向に沿うスリット状に形成されている。位置決め開口部12の前部には位置決め凸部57が嵌合する第1嵌合凹部13が形成され、位置決め開口部12の後端には、位置決め凸部57が嵌合する第2嵌合凹部14が形成されている。
図1および図3に示す状態では、位置決め凸部57が第2嵌合凹部14に嵌合することによって、送り機構3および回転機構5が位置決めされている。
収容体11の前端には、挿入部20が挿通する挿通口11cが形成されている。
【0014】
図4〜図6に示すように、駆動体51は、前後方向に沿う長板状の基板53と、基板53の内面53aから突出して形成された挿入凸部54と、基板53の両側縁部から内面53a側に突出して形成された側板55と、一方の側板55に形成された鋸歯状のギア受け部56と、基板53の外面53bに設けられた位置決め凸部57と、基板53の後端縁部から内面53a側に延出して形成された後端板58と、後端板58の前面58aに前方に突出して形成された保持凸部59とを備えている。
【0015】
図5(b)および図6に示すように、側板55は、基板53からの突出高さがほぼ一定の側板基部67と、側板基部67の後方に設けられ、側板基部67に比べ高く突出した側板突出部68とからなる。
図5(c)および図6に示すように、ギア受け部56は、一方の側板部55の内面側、詳しくは側板基部67の内面側に、他方の側板55に向けて突出して形成された複数の受け歯部56aからなる。受け歯部56aは、駆動体51の長さ方向(前後方向)に配列されている。
挿入凸部54は、略円筒状に形成されている。挿入凸部54の突出高さおよび外径は、回転筒部82のカム溝85に嵌合可能となるように設定されている。
【0016】
図5(a)に示すように、基板53の後部には、開口部64が形成されている。開口部64内には、開口部64の前端64aから後方に向けて板状の弾性片65が延出して形成されている。
図5(b)に示すように、弾性片65は、延出方向に向かって図中上方に傾斜して形成すると、基板53と収容体11との距離を十分に確保でき、しかも位置決め凸部57を嵌合凹部13、14に確実に係止させることができるため好ましい。
上述の位置決め凸部57は、弾性片65の後端部の上面(外面)から上方に突出して形成されている。
弾性片65は、弾性的な曲げ変形により後端部が上下動できるように構成することによって、位置決め凸部57を嵌合凹部13、14に対し係脱可能とすることができる。
【0017】
図4、図7および図8に示すように、回転機構5は、駆動体51に対し軸回りに回転可能な回転シャフト52を備えている。
回転シャフト52は、ガイド筒部81と、ガイド筒部81の後端に設けられた回転筒部82とを備えている。
回転シャフト52内には、清掃体2が挿通する挿通孔83が形成されている。挿通孔83はガイド筒部81の前端から回転筒部82の後端にわたって形成されている。
ガイド筒部81は略円筒状に形成され、前端部において、挿通孔83にヘッド部材23の挿入部91が挿入されるようになっている。ガイド筒部81の前端部の内面には、内面が平坦に形成された回転止部84が形成されている。
【0018】
回転筒部82は略円筒状に形成され、その外面には、駆動体51の挿入凸部54が挿入されるカム溝85が形成されている。
カム溝85は、前後方向にわたって、少なくとも一部が回転筒部82の軸方向に対し傾斜して形成されている。このため、後述するように、回転シャフト52が前後方向に移動すると、回転筒部82がカム溝85に沿って移動することによって、回転シャフト52は軸回りに回転する。図示例では、カム溝85は螺旋状に形成されている。
【0019】
図9および図10に示すように、ヘッド部材23は、ガイド筒部81の挿通孔83に挿通される挿入部91と、挿入部91の前端に形成されたフランジ部92と、フランジ部92の前面から前方に延出する略円筒状の先端部28とを備えている。
先端部28の先端面は、清掃体2を接合端面61aに押し当てる押当て面24である。
【0020】
図10に示すように、押当て面24には、清掃体2が挿通する開口部であるガイド口部25A、25Bが形成されている。
これらのうち一方のガイド口部25Aは、送り機構3からの清掃体2を押当て面24に導くものであって、図示例では断面略矩形に形成されている。他方のガイド口部25Bは、押当て面24を通過した清掃体2を送り機構3に導くものであって、図示例では断面略矩形に形成されている。
ガイド口部25A、25Bを形成することによって、清掃体2の脱落を確実に防止できる。
【0021】
先端部28の側面には、清掃体2の送り移動をガイドするガイド溝26A、26Bを形成するのが好ましい。先端部28は、先端部が先端筒部21bから突出するように形成されている。ガイド溝26A、26Bはフランジ部92および挿入部91の側面にも形成されている。
ガイド溝26A、26Bは、それぞれガイド口部25A、25Bに即した位置に形成される。
挿入部91には、ガイド筒部81に形成された回転止部84に即した形状の平坦部93が形成されており、平坦部93が回転止部84に係止することで、ヘッド部材23がガイド筒部81に対して回転しないようになっている。
【0022】
図2、図4、図10および図11に示すように、ヘッド部材23には、供給リール30から引き出された清掃体2が巻き回されている。
図示例では、清掃体2は、工具本体10内の供給リール30から回転シャフト52の挿通孔83内を通り、ヘッド部材23のガイド溝26A、ガイド口部25Aを通って押当て面24に至り、ガイド口部25B、ガイド溝26Bを経て再び挿通孔83内を通り、巻取リール31に達している。
【0023】
清掃体2は、特に限定されるものではなく、連続的に繰り出し可能な程度に軟質で一方向に連続する連続材であれば、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)をテープ状や、断面略円形の紐状に加工したものを採用することができる。清掃体2としては、例えばポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で構成されたものが例示できる。
【0024】
図11における符号94は、ガイド筒部81の前端とフランジ部92との間に設けられた付勢手段(例えばコイルスプリング)である。付勢手段94は、ヘッド部材23を接合端面61aに押し当てたときにヘッド部材23を前方に付勢するものである。
【0025】
図12示すように、送り機構3は、清掃体2を巻装した供給リール30と、使用後の清掃体2を巻取って回収する巻取リール31と、これらが回転可能に装着される支持部35と、巻取リール31に装着されるギア38と、支持部35に形成された保持筒部39と、保持筒部39に装着された付勢手段40(例えばコイルスプリング)と、押さえ部34とを備えている。
【0026】
支持部35は、前後方向に沿う長板状の基板41と、基板41の内面41aに設けられて供給リール30が回転可能に装着される供給リール支持軸32と、巻取リール31が回転可能に装着される巻取リール支持軸33と、基板41の長さ方向中間部から内面41a側に延出して形成された仕切板42と、基板41の後端部から内面41a側に延出して形成された後端板43と、基板41の両側縁部から内面41a側に延出する側板44、44とを備えている。
【0027】
基板41には、リール30、31の径方向に対し垂直に延出する2つの延出板45、45が形成され、延出板45、45の先端には、それぞれリール30、31に向けて突出する係止爪45a、45aが形成されている。延出板45は弾性的に曲げ変形可能であり、延出板45の曲げ変形によって、係止爪45aはリール30、31に対し接近および離間する方向に移動可能である。
基板41の前端には、筒体基部22の挿通筒部96が嵌合する切欠41bが形成されている。
保持筒部39は円筒状に形成され、後端板43の後面から後方に延出して形成されている。
【0028】
付勢手段40は、支持部35の後方に設けられている。付勢手段40は、前端が後端板43に当接し、後端が駆動体51の保持凸部59に嵌合した状態で後端板部58に当接しており、後端板部58に反力をとって支持部35を前方に付勢する。
【0029】
押さえ部34は、リール30、31およびギア38の脱落を防ぐためのもので、前後方向に延出する長板状の本体部34aの前端および後端に、リール支持軸32、33に嵌合可能な嵌合部34b、34cが形成されている。
押さえ部34によって、リール30、31が清掃体2に引っ張られて傾いたり支持軸32、33から外れるのを防止できる。
【0030】
図13および図14に示すように、仕切板42は、支持部35内の空間を前後に区画するもので、前記空間は、筒体基部収容部36と、これより後方でリール30、31を収容するリール収容部37とに区画される。
筒体基部収容部36は、筒体基部22の保持枠部97を収容できる。仕切板42は、保持枠部97およびこれに収容された回転筒部82の後方移動を規制する。
仕切板42には、供給リール30から繰り出されて挿通孔83に向かう清掃体2(送り側の清掃体2)、および挿通孔83から出て巻取リール31に向かう清掃体2(巻取り側の清掃体2)が通過する通過部46が形成されている。
【0031】
通過部46は、仕切板42の幅方向中央部に下端から上端にかけてスリット状に形成されている。なお、幅方向とは、前後方向に対し直交し、かつ基板41に沿う方向であり、図14における上下方向である。
仕切板42は、通過部46によって第1仕切板42Aと第2仕切板42Bとに分割されている。
【0032】
基板41には、通過部46を通過する送り側の清掃体2と巻取り側の清掃体2とを隔てるガイド体50が形成されている。
ガイド体50は、基板41の内面41aから、内面41aに対し垂直に延出する棒状体であり、その延出長さは送り側と巻取り側の清掃体2の移動を規制できるよう設定される。ガイド体50の断面形状はとくに限定されないが、例えば断面略円形、断面多角形等とすることができる。図示例の先端に向かって徐々に径が小さくなる円柱形(または円錐台形)とされている。
ガイド体50の幅方向の位置は、通過部46の幅方向の略中央に相当する位置とすることができる。
第1仕切板42Aの内縁42Aaとガイド体50の間は、送り側の清掃体2が通過する送り側通過部46Aであり、第2仕切板42Bの内縁42Baとガイド体50の間は、巻取り側の清掃体2が通過する巻取り側通過部46Bである。すなわち、送り側通過部46Aと巻取り側通過部46Bはガイド体50によって隔てられている。
【0033】
供給リール30から繰り出された送り側の清掃体2(図14に符号2aで示す)は、ガイド体50の一方側の送り側通過部46Aを通り、挿通孔83に入ってヘッド部材23に向かい、巻取り側の清掃体2(図14に符号2bで示す)は挿通孔83を通り、挿通孔83の後端開口からガイド体50の他方側の巻取り側通過部46Bを通過して巻取リール31に向かう。
【0034】
供給リール支持軸32および巻取リール支持軸33は、リール収容部37に形成されている。
供給リール30および巻取リール31は、清掃体2が巻き付けられる胴部47と、胴部47の一端に設けられた第1端板48と、胴部47の他端に設けられた第2端板49とを備えている。
第1端板48の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凹部(図示略)が形成されており、延出板45の係止爪45aが前記係止凹部に係合することにより、リール30、31の逆方向回転が阻止される。第2端板49の外面には、周方向に沿って配列された複数の係止凸部49aが形成されている。
リール30、31は、胴部47に支持軸32、33を挿通させることによって支持部35に装着される。
【0035】
ギア38は、円板状の基板87と、基板87の一方の面に形成された歯車部88とを有する。基板87の他方の面には、巻取リール31の係止凸部49aに係止する係止突起87aが形成されている。
歯車部88は、周方向に沿って配列された複数の歯部88aを有し、これら歯部88aは、駆動体51のギア受け部56の受け歯部56aに噛み合うように形成されている。
ギア38は、巻取リール31の第2端板49に重ねて設置される。基板87の係止突起87aは第2端板49の係止凸部49aに係止するため、ギア38の回転に従って巻取リール31も回転する。
係止突起87aは、ギア38が巻取り方向とは逆の方向に回転する場合には、係止凸部49aには係止しないように形成されている。
【0036】
図4、図15および図16に示すように、挿入部20は、挿入筒体21と、挿入筒体21に挿通するヘッド部材23とを備えている。
挿入筒体21は、筒体基部22と、その先端に設けられた筒体先端部29とを備えている。
図15に示すように、筒体基部22は、挿通筒部96と、挿通筒部96の後端に設けられた保持枠部97とを備えている。
挿通筒部96は、略円筒状に形成され、回転シャフト52のガイド筒部81が挿通可能な挿通孔98が形成されている。
保持枠部97は、断面矩形の筒状に形成され、その内部に回転シャフト52の回転筒部82を収容できる。保持枠部97を構成する4つの側板99のうちひとつである側板99aには、前後方向に沿って、駆動体51の挿入凸部54が挿入されるスリット100が形成されている。
保持枠部97は、送り機構3の仕切板42の前面に当接可能となるよう形成される。
【0037】
図16に示すように、筒体先端部29は、フランジ部21aの後面側に設けられた嵌合筒部21cと、フランジ部21aの前面側から前方に延びる円筒状の先端筒部21bとを有する。
嵌合筒部21cは筒体基部22の先端の挿通孔98に着脱自在に嵌合するように形成するのが好ましい。嵌合筒部21cを筒体基部22の挿通孔98に嵌合するように形成することによって、筒体先端部29の構造を簡略化し、金型作製に必要なコストを抑制することができる。
また、筒体先端部29を筒体基部22に着脱自在とすることによって、光アダプタ70の仕様に合わせて筒体先端部29を選択使用することができるため、複数のタイプの光アダプタ70に適用可能となる。
先端筒部21bには、回転シャフト52のガイド筒部81およびヘッド部材23が挿通する挿通孔21dが形成されている。
先端筒部21bは、コネクタ収容穴72に挿入したときに挿入方向からずれた方向の変位が規制されるように形成するのが好ましい。
挿入部20は、挿入筒体21が収容体11の挿通口11cに挿通して、収容体11から前方に突出している。
【0038】
図1に示すように、挿入部20は、工具本体10に対して、前後方向(伸縮方向)に移動可能である。
図1および図3に示す状態では、駆動体51の位置決め凸部57が、収容体11の位置決め開口部12の後端に形成された第2嵌合凹部14に嵌合しているため、送り機構3および回転機構5は、収容体11内の比較的後方に位置決めされている。この位置を後方位置という。
【0039】
位置決め凸部57を押圧して第2嵌合凹部14に対する嵌合を解除し、位置決め開口部12に沿って前方に移動させ、第1嵌合凹部13に嵌合させることによって、送り機構3および回転機構5を前記後方位置よりも前方に位置決めすることができる。この位置を前方位置という。
送り機構3および回転機構5を前方位置に配置することによって、挿入部20も前方に配置される。
挿入部20が前方位置にある状態では、工具本体10から延出する部分の挿入部20を長くできるため、対象となる光アダプタ70に近接する他の光アダプタ70に影響を与えないように清掃作業を行うのが容易となる。
【0040】
図3および図4に示すように、挿入部20の先端には、キャップ102を装着できる。キャップ102は、略スリーブ状(筒状)に形成されたガイド本体103と、ガイド本体103の一端にヒンジ105によって連結された蓋104とを有する。
ガイド本体103の蓋104側の一端には、光プラグ60が挿入されるコネクタ挿入口106(プラグ挿入口)が開口しており、ここに光プラグ60を挿入することにより、光プラグ60の接合端面61aを、清掃体2によって拭き取り清掃できる。
蓋104は、保持紐部107を介して収容体11に接続されているため、蓋104の紛失を防ぐことができる。
【0041】
次に、清掃工具1の使用方法の一例を説明する。
図17、図18および図22に示すように、挿入部20の挿入筒体21を光アダプタ70のコネクタ挿入口71から挿入すると、挿入筒体21は、外面が光アダプタ70の内壁70aにより位置決めされながらコネクタ収容穴72に進入する。
これによって、押当て面24上の清掃体2は、光プラグ60の接合端面61aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴61bとその周辺)に当接する。
【0042】
図19に示すように、工具本体10をさらに挿入方向に押圧すると、工具本体10はこの方向に移動する。この際、挿入部20の先端は、フェルール61や光アダプタ70内の壁部に押され、挿入部20は工具本体10に対して相対的に後方(すなわち短縮方向)に移動する。
図20および図21に示すように、工具本体10の移動によって、駆動体51は回転シャフト52に対し前方移動する。これによって、回転筒部82はカム溝85に沿って周方向に移動し、回転シャフト52は軸回りに回転する。
図22に示すように、回転シャフト52の回転によって、ヘッド部材23が軸回りに回転するため、清掃体2は接合端面61aに当接した状態のままヘッド部材23の軸回りに回転し、接合端面61aが拭き取り清掃される。
【0043】
図4、図6および図12に示すように、駆動体51が送り機構3に対し前方移動するため、ギア受け部56によって、ギア38の歯車部88に回転方向の力が与えられる。ギア38の回転によって、巻取リール31も回転するため、清掃体2が巻取られる。
これに伴って、清掃体2が供給リール30から引き出され、ヘッド部材23の押当て面24を通って送り移動される。1回の工具本体10の移動による清掃体2の巻取り長さは一定量となる。ヘッド部材23にはガイド口部25A、25Bが形成されているので、清掃体2が押当て面24から外れるのを防ぐことができる。
【0044】
図13および図14に示すように、供給リール30から繰り出された送り側の清掃体2(2a)は、ガイド体50の一方側の送り側通過部46Aを通り、挿通孔83に入ってヘッド部材23に向かい、巻取り側の清掃体2(2b)は挿通孔83を通り、挿通孔83の後端開口からガイド体50の他方側の巻取り側通過部46Bを通過して巻取リール31に向かう。
送り側の清掃体2(2a)は、ガイド体50によって巻取り側通過部46Bへの移動が規制され、巻取り側の清掃体2(2b)は、ガイド体50によって送り側通過部46Aへの移動が規制されるため、送り側の清掃体2と巻取り側の清掃体2との干渉が生じにくく、清掃体2の送り移動はスムーズに行われる。
【0045】
清掃体2の送り移動によって、接合端面61aに付着しているゴミや埃、油分などの汚れが確実に拭き取られる。
挿入部20を光アダプタ70から引き抜く際には、挿入部20は、付勢手段40の弾性力によって工具本体10に対して相対的に前方(すなわち伸長方向)に移動し、図18等に示す通常位置に戻る。
【0046】
本発明は、種々のタイプの光ファイバコネクタに適用することができ、例えば、JIS C 5973に制定されるSC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)、JIS C 5983に制定されるMU形光コネクタ(MU:MiniatureーUnit coupling optical fiber connector)、LC形光コネクタ(ルーセント社商標)、SC2形光コネクタ等の単心光コネクタに適用することができる。SC2形光コネクタとは、SC形光コネクタから、ハウジングの外側に装着されるつまみを省略したものである。
【0047】
図14に示すガイド体50は断面円形の棒状体であるが、ガイド体50の形状はこれに限定されず、例えば、図23に示すように、前後方向に沿う板状(または壁状)としてもよい。
【0048】
次に、ヘッド部材の他の例について説明する。以下の説明において、上述のヘッド部材23との共通部分については同じ符号を付してその説明を省略する。
図24は、ヘッド部材の他の例を示すもので、ここに示すヘッド部材123は、図9および図10に示すヘッド部材23に比べ、先端部28が細く形成されている。図示例では、先端部28の外径は挿入部91の幅より小さくされている。この外径は例えば1.25mmである。
【0049】
図示例では、光アダプタ70および光プラグ60を対象としたが、本発明の清掃工具の対象はこれに限定されず、光コネクタレセプタクル(詳細には、レセプタクルハウジング)を、コネクタ用位置決めハウジングとして機能させた構成も採用可能である。
この場合には、スリーブ状のレセプタクルハウジング内に組み込まれたフェルールが本発明に係る光コネクタとして機能する。レセプタクルハウジングの内側空間であるコネクタ収容穴に、清掃工具の挿入部を挿入することで、フェルールの接合端面を清掃できる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・光コネクタ清掃工具、2・・・清掃体、3・・・送り機構、10・・・工具本体、11・・・収容体、20・・・延出部、21・・・延出筒体、23・・・ヘッド部材、30・・・供給リール、31・・・巻取リール、35・・・支持部、40・・・付勢手段、61・・・フェルール、61a・・・接合端面、46A・・・送り側通過部、46B・・・巻取り側通過部、50・・・ガイド体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続材からなる清掃体を移動させながら、その一部を光コネクタの接合端面に押し当てて、光コネクタの接合端面を拭き取り清掃するための光コネクタ清掃工具において、
工具本体と、前記工具本体から延出する延出部とを備え、
前記工具本体は、前記清掃体の供給および引取りを行う送り機構と、駆動体と、これらを収容する収容体とを有し、
前記延出部は、前記収容体から延出する延出筒体と、前記延出筒体の先端において前記清掃体を前記接合端面に押し当てるヘッド部材とを有し、
前記送り機構が、前記清掃体を前記ヘッド部材に供給する供給リールと、前記ヘッド部材を経た前記清掃体を巻取る巻取リールと、これらが回転可能に装着される支持部とを有し、
前記収容体は、前記延出部および前記送り機構に対し前記延出方向前方および後方に相対移動可能であり、
前記駆動体は、前記収容体の前方移動によって前記巻取リールを巻取り方向に回転駆動させることにより前記清掃体を送り移動させることができ、
前記送り機構は、前記供給リールから前記ヘッド部材に向かう送り側の清掃体が通過する送り側通過部と、前記ヘッド部材から前記巻取リールに向かう巻取り側の清掃体が通過する巻取り側通過部とを隔てるガイド体を備え、
このガイド体は、前記送り側の清掃体が前記巻取り側通過部へ移動するのを規制し、かつ巻取り側の清掃体が前記送り側通過部に移動するのを規制するように形成されていることを特徴とする光コネクタ清掃工具。
【請求項2】
前記ガイド体は、前記支持部から延出する棒状体であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項3】
前記送り機構は、前記支持部の後方に設けられて前記支持部を前方に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項1】
連続材からなる清掃体を移動させながら、その一部を光コネクタの接合端面に押し当てて、光コネクタの接合端面を拭き取り清掃するための光コネクタ清掃工具において、
工具本体と、前記工具本体から延出する延出部とを備え、
前記工具本体は、前記清掃体の供給および引取りを行う送り機構と、駆動体と、これらを収容する収容体とを有し、
前記延出部は、前記収容体から延出する延出筒体と、前記延出筒体の先端において前記清掃体を前記接合端面に押し当てるヘッド部材とを有し、
前記送り機構が、前記清掃体を前記ヘッド部材に供給する供給リールと、前記ヘッド部材を経た前記清掃体を巻取る巻取リールと、これらが回転可能に装着される支持部とを有し、
前記収容体は、前記延出部および前記送り機構に対し前記延出方向前方および後方に相対移動可能であり、
前記駆動体は、前記収容体の前方移動によって前記巻取リールを巻取り方向に回転駆動させることにより前記清掃体を送り移動させることができ、
前記送り機構は、前記供給リールから前記ヘッド部材に向かう送り側の清掃体が通過する送り側通過部と、前記ヘッド部材から前記巻取リールに向かう巻取り側の清掃体が通過する巻取り側通過部とを隔てるガイド体を備え、
このガイド体は、前記送り側の清掃体が前記巻取り側通過部へ移動するのを規制し、かつ巻取り側の清掃体が前記送り側通過部に移動するのを規制するように形成されていることを特徴とする光コネクタ清掃工具。
【請求項2】
前記ガイド体は、前記支持部から延出する棒状体であることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。
【請求項3】
前記送り機構は、前記支持部の後方に設けられて前記支持部を前方に付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ清掃工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−63506(P2012−63506A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206613(P2010−206613)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]