説明

光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システム

【課題】発行素子と受光素子とを用いて、外乱光の影響を受けずに、物体の有無を検知可能な状態に検知レベルを調整する。
【解決手段】レベル調整制御用LSI6からの制御により任意の電圧レベルに設定可能なDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルと受光素子3から出力されるセンサ出力電圧レベルとを比較器4にて比較した結果として、受光素子3への入射光の有無の判別結果を取得する構成とし、物体がない状態で、発光素子3の消灯時に比較器4の前記判別結果が受光素子3への入射光がないと判別し、発光素子2の点灯時に受光素子3への入射光があると判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを物体検知用の検知レベルとして決定する。一方、発光素子2の消灯時に受光素子3への入射光があると判別した場合、受光素子3への入射光がないと判別されるまで、1ステップずつ徐々に、現在の前記アナログ電圧レベルを増加させる動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
メカトロニクス製品などの分野では光センサ装置により遮光物の存在を検出する仕組みを導入している場合が多い。このような分野で用いる光センサ装置においては、光センサ装置の設置環境により、光センサ装置の受光素子に外乱光が入射してしまい、遮光状態や発光素子の消灯状態を正常に認識することができなくなるという問題が生じる。このため、従来の光センサ装置においては、受光素子の搭載箇所に外乱光を遮蔽する構造物を設けたり、あるいは、特許文献1の特開昭62−115304号公報「継ぎ目検出装置」のように、複数の光センサ装置を配置して各出力の差分を差動増幅する信号処理を実施したりすることにより、受光素子への外乱光の影響を防ぐ対策を施していた。
【特許文献1】特開昭62−115304号公報(第5−6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の光センサ装置では、外乱光の影響を定量的に評価する手段を備えていないため、外乱光の影響を精度良く除去することができず、光センサ装置としての信頼性、精度および安定度の面で問題があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、外乱光の影響を定量的に評価して、その影響を確実に除去した最適な検知レベルに調整することが可能な光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するため、本発明による光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システムは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0006】
(1)光センサ装置の発光素子と受光素子との間に介在する物体の有無を検知するための検知レベルを調整する光センサ装置検知レベル調整方法において、任意の電圧レベルに設定可能なアナログ電圧レベルと前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルとの電圧レベルの大小を比較して、前記受光素子への入射光の有無の判別結果により、前記物体が存在しないかまたは存在するかを検知する検知方法とし、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における前記発光素子の点灯・消灯状態と入射光の有無の前記判別結果とに基づいて、前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整することにより、前記物体の有無を検知するための前記検知レベルを定量的に決定する光センサ装置検知レベル調整方法。
(2)上記(1)の光センサ装置検知レベル調整方法において、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態に設定した場合に、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整方法。
(3)上記(1)の光センサ装置検知レベル調整方法において、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態において、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した際に、前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整方法。
(4)上記(2)または(3)の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態において、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合には、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別されるまで、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別された時点で、前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整方法。
(5)上記(4)の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記発光素子を点灯した状態に切り替えた際に、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別されるまで、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別された時点で、前記発光素子を消灯した状態に切り替えて、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整方法。
(6)上記(1)の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記アナログ電圧レベルを最も低い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態に設定して、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化するまで、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを消灯時アナログ電圧レベルとして取得し、さらに、前記アナログ電圧レベルを最も高い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を点灯した状態に設定して、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化するまで、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを点灯時アナログ電圧レベルとして取得し、取得した前記消灯時アナログ電圧レベルと前記点灯時アナログ電圧レベルとを平均した電圧レベルに設定した前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整方法。
(7)上記(1)の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整する際に、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における、前記受光素子への入射光の有無の前記判別結果を用いる代わりに、前記アナログ電圧レベルと前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルとの電圧レベルの差を用いる光センサ装置検知レベル調整方法。
(8)光センサ装置の発光素子と受光素子との間に介在する物体の有無を検知するための検知レベルを調整する光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、任意の電圧レベルに設定したアナログ電圧レベルを出力することが可能なDAコンバータと、前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルと前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルとの電圧レベルの大小を比較して、前記受光素子への入射光の有無の判別結果として出力する比較手段と、前記比較手段における入射光の有無の判別結果に基づいて、前記DAコンバータから出力する前記アナログ電圧レベルを制御する検知レベル制御手段と、前記発光素子の点灯・消灯を制御するスイッチング手段と、を少なくとも備えて、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果により、前記物体が存在しないかまたは存在するかを検知することとし、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における、前記スイッチング手段による前記発光素子の点灯・消灯状態と前記比較手段の入射光の有無の前記判別結果とに基づいて、前記検知レベル制御手段により前記DAコンバータから出力する前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整することにより、前記物体の有無を検知するための前記検知レベルを定量的に決定する光センサ装置検知レベル調整システム。
(9)上記(8)の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に設定した場合に、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、前記検知レベル制御手段は、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整システム。
(10)上記(8)の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に設定した場合において、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した際に、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合、前記検知レベル制御手段は、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整システム。
(11)上記(9)または(10)の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態において、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合には、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別されるまで、前記DAコンバータに対して、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1増加ステップずつ徐々に増加させ、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別された時点で、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整システム。
(12)上記(11)の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に切り替えた際に、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別されるまで、前記DAコンバータに対して、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1減少ステップずつ徐々に減少させ、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別された時点で、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に切り替えて、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整システム。
(13)上記(8)の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを最も低い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に設定して、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化するまで、前記DAコンバータに対して、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1増加ステップずつ徐々に増加させ、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを消灯時アナログ電圧レベルとして取得し、さらに、前記DAコンバータからのアナログ電圧レベルを最も高い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に設定して、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化するまで、前記DAコンバータに対して、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1減少ステップずつ徐々に減少させ、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを点灯時アナログ電圧レベルとして取得し、取得した前記消灯時アナログ電圧レベルと前記点灯時アナログ電圧レベルとを平均した電圧レベルに設定した前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定する光センサ装置検知レベル調整システム。
(14)上記(8)の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記検知レベル制御手段は、前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整する際に、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における、前記比較手段の入射光の有無の前記判別結果を用いる代わりに、前記アナログ電圧レベルと前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルとの電圧レベルの差を用いる光センサ装置検知レベル調整システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システムによれば、光センサ装置への外乱光による影響の度合いを定量的に評価した結果に応じて、受光素子における「入射光あり/なし」の最適なスレッショルド電圧レベルに、検出物(物体)の有無を検知する検知レベルを調整して運用に供するため、外乱光による光センサ装置の誤認識の発生を低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明による光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システムの好適実施形態例について添付図を参照して説明する。
【0009】
(本発明の主要な特徴)
本発明に係る光センサ装置検知レベル調整方法および光センサ装置検知レベル調整システムは、発光素子と受光素子との組み合せからなる光センサ回路を搭載した光センサ装置において、当該光センサ装置の周囲からの自然光や電灯などの外乱光の影響により、発光素子からの放射光以外の光エネルギーが受光素子に入射してしまい、検出物による遮光状態や発光素子の消灯状態を正常に認識できなくなる問題を回避することができるように、入射光の有無を判別する最適なスレッショルド電圧レベルに、検出物(物体)の有無を検出するための光センサ装置の検知レベルを定量的に調整することを可能としていることに、その主要な特徴がある。
【0010】
すなわち、例えば、光センサ装置に搭載の発光素子と受光素子との間に検出物(物体)が介在していない状態で、発光素子の消灯時における受光素子への入射光を定量化して測定することにより、光センサ装置への外乱光の照度を測定して、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルの調整を行うことに、その特徴がある。
【0011】
従来の技術においては、発光素子の点灯時に受光素子が入射光ありとの反応を示すように調整を行っていたが、発光素子が消灯時における外乱光の検知レベルが分からず、精度が高い調整を行うことができなかった。本発明では、発光素子が消灯時における受光素子での外乱光の受光レベルを定量的に測定し、その受光レベルにおいて受光素子が不感応となるように、光センサ装置のスレッショルド電圧レベルを調整することによって、検出物(物体)の検知を行う最適な検知レベルに調整して、外乱光のために検出物(物体)を誤検出するような誤動作の発生を防止するようにしている。
【0012】
(実施例の構成)
図1は、本発明に係る光センサ装置の検知レベル調整方法の一構成例を説明するための説明図である。図1に示す光センサ装置検知レベル調整システムは、発光素子2と受光素子3とで構成される光センサ装置1において、発光素子2の点灯時/消灯時における受光素子3から出力されるセンサ出力電圧レベルと、入射光の有無を判別するためのスレッショルド電圧レベルを与えるDAコンバータ5から出力されるアナログ電圧レベルとを比較器4に入力し、光センサ装置1における入射光の有無を示す情報として二値化を行うように構成されている。なお、スイッチング素子7は、発光素子2の点灯/消灯を繰り返すパルス点灯制御を行わせるための素子である。
【0013】
ここで、DAコンバータ5から出力されるアナログ電圧レベルは、比較器4の基準電圧部側に入力されるものであり、DAコンバータ5から出力されるアナログ電圧レベルが、通光状態か、もしくは、遮光、消灯状態かのいずれであるかを判断するためのスレッショルド電圧レベル、すなわち、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルとされる。
【0014】
また、レベル調整制御用LSI6は、現在の光センサ装置1の状態が外乱光の影響を受けているか否かを判断し、影響の度合いに応じて、最適なスレッショルド電圧レベルを設定するように、DAコンバータ5のアナログ電圧レベルを制御する制御信号を出力する機能を有する検知レベル制御手段である。すなわち、DAコンバータ5は、レベル調整制御用LSI6からの制御信号に基づいて、任意のアナログ電圧レベルに設定して出力することを可能としており、レベル調整制御用LSI6は、比較器4からの出力結果に基づいて、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルを設定するために、DAコンバータ5から出力すべきアナログ電圧レベル(スレッショルド電圧レベル)を制御するための制御信号を生成して、DAコンバータ5に対して出力している。
【0015】
(実施例の動作の説明)
次に、図1の光センサ装置検知レベル調整システムにおける光センサ装置1の検知レベル調整方法について、DAコンバータ5からのアナログ電圧レベルを1ステップ(1増加ステップまたは1減少ステップ)ずつ更新しながら、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルとして、最適のアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルにまで定量的に調整する動作例を説明する。すなわち、本実施例においては、発光素子2の消灯時において、受光素子3からのセンサ出力電圧レベルが、二値化を行うためのスレッショルド電圧レベル(すなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベル)を越える出力であった場合には、外乱光の影響を受けたことにより、受光素子3へ光が入射しているものと判断して、DAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルを受光素子3からのセンサ出力電圧レベルよりも大きくして、受光素子3に入射される外乱光に感応しなくなるレベルにまで徐々にスレッショルド電圧レベルを調整してから、運用に供するように制御する。かかる制御手順について図2を参照して説明する。図2は、本発明に係る光センサ装置の検知レベル調整方法の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0016】
図2において、まず、発光素子2と受光素子3との間に検出物(物体)が介在していない状態に設定してから、通常の状態にあれば、検出物(物体)の有無を正常に認識することができるデフォルト電圧レベルにDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルを設定し、入射光の有無を示す二値化のためのスレッショルド電圧レベルとする(ステップS1)。しかる後、スイッチング素子7を制御して発光素子2の状態として点灯/消灯を繰り返すパルス点灯制御を行う(ステップS2)。
【0017】
次に、発光素子2の消灯時における受光素子3からのセンサ出力電圧レベルとDAコンバータ5からのアナログ電圧レベル(デフォルト電圧レベル)とを比較器4で比較し、比較器4から出力される二値化した比較結果(すなわち、いずれの電圧レベルが高いかを示す比較結果)を、受光素子3に対する「入射光の有無」を示す情報としてレベル調整制御用LSI6において参照する。
【0018】
ここで、外乱光の影響を受けて受光素子3に光が入射していれば、受光素子3からのセンサ出力電圧レベルはスレッショルド電圧レベルすなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベル(デフォルト電圧レベル)を越えてしまい、比較器4による二値化出力結果は「入射光あり」となり、一方、受光素子3が外乱光の影響を受けていなければ、受光素子3への光の入射はないため、受光素子3からのセンサ出力電圧レベルはスレッショルド電圧すなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベル(デフォルト電圧レベル)を越えることはなく、比較器4による二値化出力結果は「入射光なし」となる(ステップS3)。
【0019】
ステップS3の手順において「入射光なし」となった場合は(ステップS3の「なし」の場合)、外乱光の影響を受けていない正常な状態であるため、レベル調整制御用LSI6からDAコンバータ5への出力レベル変更用の制御信号を出力することなく、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルの状態のままにして、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルの調整処理を終了して、運用に移行する(ステップS4)。なお、実際の運用においては、光センサ装置1にて、発光素子2からの光の遮蔽の有無によって、受光素子3との間に介在する検出物(物体)の有無を検知することになるが、その場合は、発光素子2が点灯状態での比較器4からの二値化出力結果によって、検出物(物体)の有無を判断することになる。
【0020】
一方、ステップS3の手順において「入射光あり」となった場合は(ステップS3の「あり」の場合)、外乱光の影響を受けている異常な状態であるため、その場合は、発光素子2が消灯状態において比較器4による二値化出力結果が「入射光なし」になるまで、スレッショルド電圧レベルすなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルをあらかじめ定めた1増加ステップ分増加させることになる(ステップS5)。
【0021】
1増加ステップ分増加させた結果、発光素子2の消灯時に、比較器4からの出力が「入射光なし」の状態になったか否かを確認し(ステップS6)、「入射光あり」の状態が続く限り(ステップS6の「あり」の場合)、ステップS5に戻って、スレッショルド電圧すなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルを1増加ステップずつ徐々に増加させる動作を繰り返し、「入射光なし」の状態になることによって(ステップS6の「なし」の場合)、最適なスレッショルド電圧レベル(すなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベル)を求める。
【0022】
次に、発光素子2の点灯状態における検知状態を確認するために、ステップS5において求めたスレッショルド電圧すなわちDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルにおいて、発光素子2が点灯時に「入射光あり」の二値化結果になるか否かを確認し(ステップS7)、「入射光あり」の確認が得られれば(ステップS7の「あり」の場合)、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルのままにして、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルの調整処理を終了して、運用に移行する(ステップS8)。
【0023】
しかし、ステップS7において「入射光なし」の二値化結果になった場合は(ステップS7の「なし」の場合)、発光素子2からの入射光を上回る外乱光の強度があったことになり、この場合は、エラーとして、検知レベルの調整処理を中止する(ステップS9)。
【0024】
(本実施例の効果の説明)
以上に説明したように、図1のような光センサ装置検知レベル調整システムによる光センサ装置1の検知レベル調整方法においては、光センサ装置1への外乱光による影響の度合いを定量的に評価した結果に応じて、受光素子3における「入射光あり/なし」の最適なスレッショルド電圧レベルに、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルを調整して運用に供するため、外乱光による光センサ装置1の誤認識の発生を低減することが可能になる。
【0025】
(本発明の他の実施例)
次に、本発明の他の実施例について図3のフローチャートを用いて説明する。本実施例は、先に示した実施例の変形例であり、運用時における検出物の検知レベルのさらなる信頼性、精度および安定度を確保するために、先の実施例における図2の調整方法に対してさらなる追加処理を施すものである。ここに、図3は、本発明に係る光センサ装置の検知レベル調整方法の動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0026】
本実施例における図3のフローチャートは、先の実施例における図2のステップS3とS4との間にステップS11(さらにステップS12〜S16)の処理を追加し、ステップS7とS9との間にステップS18(さらにステップS19〜S22)の処理を追加するものであり、発光素子2の消灯時における外乱光の影響による受光素子3のセンサ出力電圧レベルのみならず、発光素子2の点灯時における受光素子3のセンサ出力電圧レベルについても、スレッショルド電圧レベル(すなわち、DAコンバータ5からのアナログ電圧レベル)を求めて、双方のスレッショルド電圧レベルに基づいて、運用時において検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルを設定するものである。
【0027】
すなわち、図2に示す先の実施例においては、ステップS3において発光素子2が消灯状態にある時に「入射光なし」となった場合に(ステップS3の「なし」の場合)、外乱光の影響を受けていない正常な状態であるとして、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルの状態のままにして、検知レベルの調整処理を終了して、運用に移行していたが(ステップS4)、本実施例においては、図3に示すように、さらに、そのDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルが、発光素子2の点灯時に「入射光あり」の二値化結果になるか否かを確認する処理を追加している(ステップS11)。ステップS11において「入射光あり」の確認が得られれば(ステップS11の「あり」の場合)、その時点ではじめて、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルの状態のままにして、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルの調整処理を終了して、運用に移行する(ステップS4)。
【0028】
しかし、ステップS11において「入射光なし」の二値化結果になった場合は(ステップS11の「なし」の場合)、そのDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルのままでは、光センサ装置1の検知レベルとしては不適当であるものと判断して、現在のDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルがあらかじめ定めた減少限界に達していない限り(ステップS12のNO)、発光素子2が点灯状態において、比較器4による二値化出力結果が「入射光あり」になるまで、DAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルをあらかじめ定めた1減少ステップ分減少させ(ステップS13)、発光素子2の点灯時に、比較器4からの出力が「入射光あり」の状態になったか否かを確認して(ステップS14)、「入射光なし」の状態が続く限り(ステップS14の「なし」の場合)、ステップS12に戻って、同様の動作を繰り返す。
【0029】
また、ステップS14において「入射光あり」の状態になった場合には(ステップS14の「あり」の場合)、次に、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルにおいて、発光素子2の消灯時には、「入射光なし」の状態になっているか否かを確認し(ステップS15)、「入射光なし」の状態になっていた場合には(ステップS15の「なし」の場合)、運用時において、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルとして最適なスレッショルド電圧レベルが求められたものとして、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルの状態で、運用に移行する(ステップS16)。
【0030】
一方、ステップS12において、スレッショルド電圧レベルが減少限界に達してしまった場合(ステップS12のYES)、あるいは、ステップS15において、発光素子2の消灯時に、「入射光あり」の状態になってしまった場合には(ステップS15の「あり」の場合)、光センサ装置1の検知レベルの調整に失敗した場合であり、エラーとして、検知レベルの調整処理を中止する(ステップS17)。
【0031】
また、図2に示す先の実施例においては、ステップS7において発光素子2が点灯状態にある時に「入射光なし」の二値化結果になった場合は(ステップS7の「なし」の場合)、エラーとして処理を中止していたが(ステップS9)、本実施例においては、図3に示すように、現在のDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルがあらかじめ定めた減少限界に達していない限り(ステップS18のNO)、検出物(物体)を検知するための検知レベルとして最適なスレッショルド電圧レベルを探索する処理をさらに継続して実施する。すなわち、DAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルをあらかじめ定めた1減少ステップ分減少させ(ステップS19)、発光素子2の点灯時に、比較器4からの出力が「入射光あり」の状態になったか否かを確認する(ステップS20)。「入射光なし」の状態が続く限り(ステップS20の「なし」の場合)、ステップS18に戻って、同様の動作を繰り返す。
【0032】
ステップS20において「入射光あり」の状態になった場合には(ステップS20の「あり」の場合)、次に、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルにおいて、発光素子2の消灯時には、「入射光なし」の状態になっているか否かを確認し(ステップS21)、「入射光なし」の状態になっていた場合には(ステップS21の「なし」の場合)、運用時において、検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルとして最適なスレッショルド電圧レベルが求められたものとして、その時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルの状態で、運用に移行する(ステップS22)。
【0033】
一方、ステップS18において、スレッショルド電圧レベルが減少限界に達してしまった場合は(ステップS18のYES)、あるいは、ステップS21において、発光素子2の消灯時に、「入射光あり」の状態になってしまった場合には(ステップS21の「あり」の場合)、光センサ装置1の検知レベルの調整に失敗した場合であり、エラーとして、検知レベルの調整処理を中止する(ステップS9)。
【0034】
なお、以上のように、発光素子2の点灯時/消灯時における各状態でのセンサ出力電圧レベルの値を定量的に求める方法として、DAコンバータ5から出力されるアナログ電圧レベルを比較器4の基準電圧部側に入力して、センサ出力電圧レベルとアナログ電圧レベルとの両者の電圧レベルの高低を二値化して、レベル調整制御用LSI6に対して出力しているため、DAコンバータ5から出力されるアナログ電圧レベルを制御するレベル調整制御用LSI6によって、DAコンバータ5のアナログ電圧レベルを1ステップ(1増加ステップまたは1減少ステップ)ずつ徐々に変化させるように制御するようにしている。したがって、比較器4から出力される二値化出力結果が変化した時点におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルが、受光素子3からのセンサ出力電圧レベルと同等であるものと定量的に判断することができる。
【0035】
また、運用時における検出物(物体)の検知レベルとして用いるスレッショルド電圧レベルを算出する方法のさらに異なる例として、前述の場合とは異なり、消灯時と点灯時との各々におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルを別々に求めて、各々で求められたDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルの平均値を、運用時において検出物(物体)の有無を検知するための検知レベルとして最適なスレッショルド電圧レベルとみなす方法を用いても良い。
【0036】
例えば、消灯時と点灯時との各々において、DAコンバータ5からのアナログ電圧レベルを最も低い電圧レベルまたは最も高い電圧レベルから、あらかじめ定めた1増加ステップ分ずつまたは1減少ステップ分ずつ、徐々に、増減させて、比較器4から出力される二値化出力結果が変化した時点、つまり、受光素子3からのセンサ出力電圧レベルとDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルとの高低関係が変化した時点、におけるDAコンバータ5からのアナログ電圧レベルすなわちスレッショルド電圧レベルが4Vおよび2Vの電圧レベルであった場合には、その平均値である3Vを、運用時の検知レベルとしての最適なスレッショルド電圧レベルとするようにしても良い。
【0037】
また、センサ出力電圧レベルとアナログ電圧レベルとの両者の電圧レベルの高低を二値化して出力する比較器4の他に、センサ出力電圧レベルとアナログ電圧レベルとの両者の電圧レベルの差を検出するための加算器または減算器を用いるようにし、レベル調整制御用LSI6において、DAコンバータ5から出力すべきアナログ電圧レベルを1ステップ(1増加ステップまたは1減少ステップ)ずつ変化させる制御信号を生成して、DAコンバータ5に対して出力する代わりに、前記加算器または減算器から出力される両者の電圧レベルの差を参照して、DAコンバータ5から出力すべきアナログ電圧レベルの電圧レベルそのものを指示する制御信号を生成して、DAコンバータ5に対して出力するようにしても良い。
【0038】
(発明の利用が考えられる分野)
本発明は、光センサ装置1を用いて検出物を検知する構造を有する如何なる機器においても適用することができる。特に、メカトロニクス製品への適用が有効であり、外乱光による光センサ装置1の誤認識を低減させ、運用時における信頼性、精度および安定度の向上を期待することができる。
【0039】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る光センサ装置の検知レベル調整方法の一構成例を説明するための説明図である。
【図2】本発明に係る光センサ装置の検知レベル調整方法の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る光センサ装置の検知レベル調整方法の動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1 光センサ装置
2 発光素子
3 受光素子
4 比較器
5 DAコンバータ
6 レベル調整制御用LSI
7 スイッチング素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光センサ装置の発光素子と受光素子との間に介在する物体の有無を検知するための検知レベルを調整する光センサ装置検知レベル調整方法において、任意の電圧レベルに設定可能なアナログ電圧レベルと前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルとの電圧レベルの大小を比較して、前記受光素子への入射光の有無の判別結果により、前記物体が存在しないかまたは存在するかを検知する検知方法とし、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における前記発光素子の点灯・消灯状態と入射光の有無の前記判別結果とに基づいて、前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整することにより、前記物体の有無を検知するための前記検知レベルを定量的に決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光センサ装置検知レベル調整方法において、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態に設定した場合に、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項3】
請求項1に記載の光センサ装置検知レベル調整方法において、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態において、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した際に、前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態において、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合には、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別されるまで、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別された時点で、前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項5】
請求項4に記載の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記発光素子を点灯した状態に切り替えた際に、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別されるまで、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別された時点で、前記発光素子を消灯した状態に切り替えて、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項6】
請求項1に記載の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記アナログ電圧レベルを最も低い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を消灯した状態に設定して、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化するまで、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを消灯時アナログ電圧レベルとして取得し、さらに、前記アナログ電圧レベルを最も高い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記発光素子を点灯した状態に設定して、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化するまで、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させ、入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを点灯時アナログ電圧レベルとして取得し、取得した前記消灯時アナログ電圧レベルと前記点灯時アナログ電圧レベルとを平均した電圧レベルに設定した前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項7】
請求項1に記載の光センサ装置検知レベル調整方法において、前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整する際に、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における、前記受光素子への入射光の有無の前記判別結果を用いる代わりに、前記アナログ電圧レベルと前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルとの電圧レベルの差を用いることを特徴とする光センサ装置検知レベル調整方法。
【請求項8】
光センサ装置の発光素子と受光素子との間に介在する物体の有無を検知するための検知レベルを調整する光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、任意の電圧レベルに設定したアナログ電圧レベルを出力することが可能なDAコンバータと、前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルと前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルとの電圧レベルの大小を比較して、前記受光素子への入射光の有無の判別結果として出力する比較手段と、前記比較手段における入射光の有無の判別結果に基づいて、前記DAコンバータから出力する前記アナログ電圧レベルを制御する検知レベル制御手段と、前記発光素子の点灯・消灯を制御するスイッチング手段と、を少なくとも備えて、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果により、前記物体が存在しないかまたは存在するかを検知することとし、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における、前記スイッチング手段による前記発光素子の点灯・消灯状態と前記比較手段の入射光の有無の前記判別結果とに基づいて、前記検知レベル制御手段により前記DAコンバータから出力する前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整することにより、前記物体の有無を検知するための前記検知レベルを定量的に決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。
【請求項9】
請求項8に記載の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に設定した場合に、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、前記検知レベル制御手段は、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。
【請求項10】
請求項8に記載の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、通常時において正常に前記物体の有無を検知することが可能な前記検知レベルとしてあらかじめ定めた電圧レベルに前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に設定した場合において、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した際に、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合、前記検知レベル制御手段は、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。
【請求項11】
請求項9または10に記載の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態において、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合には、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別されるまで、前記DAコンバータに対して、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1増加ステップずつ徐々に増加させ、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別された時点で、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に切り替えて、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別した場合、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。
【請求項12】
請求項11に記載の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に切り替えた際に、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別されるまで、前記DAコンバータに対して、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1減少ステップずつ徐々に減少させ、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があると判別された時点で、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に切り替えて、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないと判別した場合、前記DAコンバータに現在設定されている前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。
【請求項13】
請求項8に記載の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを最も低い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を消灯した状態に設定して、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化するまで、前記DAコンバータに対して、1増加ステップとしてあらかじめ定めた電圧増加分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを増加させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1増加ステップずつ徐々に増加させ、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光があるとの判別から前記受光素子への入射光がないとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを消灯時アナログ電圧レベルとして取得し、さらに、前記DAコンバータからのアナログ電圧レベルを最も高い電圧レベルに設定するとともに、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態で、かつ、前記スイッチング手段により前記発光素子を点灯した状態に設定して、前記検知レベル制御手段は、前記比較手段における入射光の有無の前記判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化するまで、前記DAコンバータに対して、1減少ステップとしてあらかじめ定めた電圧減少分ずつ、徐々に、現在設定されている前記アナログ電圧レベルを減少させる制御信号を出力して、前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを前記1減少ステップずつ徐々に減少させ、前記比較手段における入射光の有無の判別結果として、前記受光素子への入射光がないとの判別から前記受光素子への入射光があるとの判別に変化した時点における前記アナログ電圧レベルを点灯時アナログ電圧レベルとして取得し、取得した前記消灯時アナログ電圧レベルと前記点灯時アナログ電圧レベルとを平均した電圧レベルに設定した前記DAコンバータからの前記アナログ電圧レベルを、前記物体を検知するための前記検知レベルとして決定することを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。
【請求項14】
請求項8に記載の光センサ装置検知レベル調整システムにおいて、前記検知レベル制御手段は、前記アナログ電圧レベルを可変に制御して調整する際に、前記発光素子と前記受光素子との間に物体を介在させない状態における、前記比較手段の入射光の有無の前記判別結果を用いる代わりに、前記アナログ電圧レベルと前記受光素子から出力されるセンサ出力電圧レベルとの電圧レベルの差を用いることを特徴とする光センサ装置検知レベル調整システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−128936(P2008−128936A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316729(P2006−316729)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】