説明

光ディスクの記録・再生装置

【課題】 光ディスク用のトレー体を装置本体の開口部に挿通させて収納と突出の位置を取らせる構成のディスクの記録・再生装置において、装置本体内からのノイズの漏れや装置本体内への塵埃の侵入を防ぐようにトレー体の前部に配設の蓋体に前記開口部を間隙が生じないように閉塞させ、スライド中のトレー体に前記蓋体がガタ付きを生じさせず、長い使用に耐えて材料疲労を生じさせず、前記蓋体と前記トレー体の連結のために大きなスペースを必要としないことを目的とする。
【解決手段】 蓋体5を弦巻バネ15によってトレー体4の方向に付勢させてベース板6を介してトレー体4に連結し、蓋体5がトレー体4に対して所定の位置を取るためのガイドの通孔25と突出部材19を、蓋体5が所定の位置で開口部2を閉塞するためのガイドの右ガイド片36と右内側壁35を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばCDプレーヤやDVD記録・再生装置のように、装置本体に開口部が開設され且つその開口部に記録媒体を載置するトレー体が挿通されて、そのトレー体が前記装置本体に対して突出と収納の位置を取り、更に、トレー体の前部に蓋体が配設されて、その蓋体によって前記開口部を閉塞し得る構成の光ディスクの再生・記録装置に関する。
特に、前記トレー体が前記装置本体に収納の位置を取った際に、前記蓋体が前記開口部を所定の位置で閉塞することによって、光ディスクが回転駆動される際に発する騒音等が装置の外部に漏れることを抑え、又、装置本体に塵埃が入り込むことを防ぐことの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクの再生・記録装置において、装置内部で生じる騒音を装置の外部に漏れることを抑えたり装置内部に塵埃が入り込むことを抑えるために、トレー体が装置本体に収納の位置を取った際に、蓋体が開口部の間に間隙が生じないように閉塞する構成の発明として、以下の文献が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−231779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されている光ディスク装置は、要部の構成部品の製作精度及び組み立て精度のバラツキによって生じる装置本体(筐体)に収納時のディスクトレイとディスクトレイを筐体内に挿通させるための開口部の近傍部分の間に生じる間隙をより一層小さく抑えることにより、装置内部からの騒音がユーザー側に聞こえて来ることの防止と筐体内部への防塵性を目的としている。
そして、その目的を達成するために、ディスクトレイの前部に弾性部を介してトレイパネル(蓋体)を配設する構成の光ディスク装置が提案されている。
【0005】
斯かる構成の特許文献1で開示の光ディスク装置は、前記ディスクトレイを前記装置本体に収納した際、前記トレイパネルが弾性的に前記開口部の周縁に当接して前記開口部を閉塞するので、構成部品の製作精度及び組み立て精度のバラツキが多少あっても前記開口部と前記トレイパネルの間に間隙が生じ難く、結果的に、装置内部からの騒音の防止と筐体内への防塵が図られることになる。
しかし、特許文献1で開示の光ディスク装置は、前記トレイパネルが前記弾性部のみで前記ディスクトレイに付設され、しかも、前記トレイパネルは前記ディスクトレイが前記筐体に対して突出の位置を取っている際には前記弾性部のみで保持される構成なので、前記トレイパネルが初期の姿勢のままで継続して前記ディスクトレイに付設するということは難しく、使用と共に前記弾性部に押圧力が加わって材料疲労が生じ、前記ディスクトレイに対して前記トレイパネルは初期の姿勢を保持できなくなって、結果的に、前記トレイパネルが所定通りに前記開口部を閉塞する状態が得られなくなり、よって、前記装置内部からの防音性と筐体内部への防塵性の機能が低下して行くという問題があった。
【0006】
殊に、特許文献1で開示の光ディスク装置は、前記弾性部がU字若しくはV字形状であって、一端が前記ディスクトレイに取り付けられ、他端が前記トレイパネルを持ち上げ支持の状態で保持していることから、前記弾性部は前記トレイパネルの保持、前記開口部と前記トレイパネルとの当接時の緩衝、及び、前記開口部と前記トレイパネルとの間隙を埋めるための変形を担うため、材料疲労は極めて大きいという問題があった。
尚、特許文献1で開示の光ディスク装置における前記弾性部の材料疲労の問題を解決する方法として、厚さを十分にして前記弾性部を形成する方法が考えられる。しかし、前記弾性部の厚さを十分にすると、前記ディスクトレイが筐体内部に収納されるには、厚さの大きい弾性部を収納するためのスペースを前記開口部近傍に確保する必要が生じ、更にはデザイン上で大きな制約を受けるという新たな問題が生じることになる。
【0007】
そこで、特許文献1で開示の光ディスク装置と同様に、トレー体が装置本体に収納の位置を取った際に、材料疲労が生じ難くよって付勢力の機能の低下が生じ難いバネによって前記トレー体にトレイパネルが弾性保持する構成が考えられる。
しかし、付勢力に係る問題が解決しても、特許文献1で示された弾性部のようにトレー体とトレイパネルを連続面で連結しなければ、トレー体がスライドを開始する時、スライドを停止する時などにおいて、トレイパネルはトレー体に対してガタツキを生じさせ、ユーザーにとって見栄えが悪かったりガタツキ音を発するという問題が生じる。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、トレー体を装置本体に対して収納の位置を取らせた際に、開口部との間に間隙が生じないように前記トレー体の前部に配設の蓋体(トレイパネル)が前記開口部を閉塞し、よって、前記装置内部から騒音がユーザー側に漏れ出すこと及び前記装置本体内部に塵埃が入り込むことを防止し、且つ、要部を構成する部材に材料疲労が生じ難いことによって使用回数が進んでも、前記トレー体を装置本体に収納した際には前記蓋体は前記開口部に対して所定の位置で閉塞し、更に、前記トレー体と蓋体を連結するための部材が大きなスペースを必要としないことから、デザイン上の制約を受け難く、加えて、前記トレー体が前記装置本体に対してスライドを開始する際、スライドしている際、スライドを停止する際において、前記蓋体が前記トレー体に対して振動を起こしてガタツキやガタツキ音を生じさせたることのないディスクの記録・再生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、装置本体にトレー体が挿通するための開口部を開設し、その開口部を閉塞し得る蓋体を前記トレー体の前部の側に連結させ、前記蓋体と前記トレー体の間に、前記蓋体が前記トレー体に対して所定の位置を取るようにガイドする手段を、前記蓋体と前記装置本体の間に、前記トレー体が前記装置本体に対して収納の位置を取る際に前記蓋体が所定の位置で前記開口部を閉塞するようにガイドする手段を、それぞれ介在させて構成した光ディスクの再生・記録装置である。
その詳細な構成は、開口部が開設されている装置本体と、再生又は/及び記録の対象である光ディスクを載置し、前記開口部に挿通され、スライドされることによって前記装置本体に対して突出の位置と収納の位置を取り得るトレー体と、そのトレー体の前部に配設され、前記開口部を閉塞するための蓋体を備えて構成され、
前記蓋体の側と前記トレー体の側の間において、前記蓋体が付勢力によって前記トレー体の側に付勢され、且つ、前記蓋体に、前記トレー体に対して所定の位置を取らせるための第一のガイド部が、前記トレー体の側と前記蓋体の側のいずれか一方に、他方に、前記第一のガイド部によってガイドされる第一の被ガイド部がそれぞれ備えられ、更に、前記トレー体が装置本体に収納される際に、前記蓋体に、前記開口部に対して所定の位置で閉塞させるための第二のガイド部が前記蓋体の側と前記装置本体の側のいずれか一方に、他方に前記第二のガイド部によってガイドされる第二の被ガイド部がそれぞれ備えられてなちイドする手段が介在されてなることを特徴とする光ディスクの再生・記録装置である。
【0010】
ここで、前記第一のガイド部は具体的に、前記トレー体の側と前記蓋体の側のいずれか一方に設けられた通孔が挙げられ、且つ、前記第一の被ガイド部は具体的に、他方に配設され、他方の方向に付勢されて前記通孔に挿通され、先端に対して後部の断面積が小さくなるほぼ錐形状若しくはほぼ載頭錐形状の突出部材である場合が挙げられる。
更に具体的には、前記通孔は形状が円形であって、且つ、突出部材の前部形状が載頭円錐形である部材が挙げられる。
尚、突出部材の前部形状がほぼ錐形状であるかほぼ載頭錐形状であるかは、前記通孔に対して挿通してスライドする距離、そのスライドを他の部材が許容する範囲、錐形状の傾斜角等によって決定される。
【0011】
又、第二のガイド部は具体的に、前記開口部の近傍に配設され、前記トレー体の突出方向に対して開口部内側方向にテーパーが切られた凸形状のガイド片が挙げられ、第二の被ガイド部は具体的に前記蓋体の内側壁が挙げられる。
第二のガイド部及び第二の被ガイド部は、開口部に対して互いに対向する二組以上の組み合わせを配設することによって、前記蓋体は前記開口部に対し所定の位置で閉塞を行うことになる。
【0012】
加えて、前記蓋体の前記トレー体の連結は、前記トレー体にベース板が掛け止めによって前記トレー体に一体化され、そのベース体に対して蓋体が弦巻バネによって前記トレー体方向に付勢されて連結される構成が挙げられる。
斯かる構成によって、前記弦巻バネによって、蓋体は常に可及的に前記トレー体に近接するように保持され、且つ、前記第一のガイド部と前記第一の被ガイド部の共働によって、前記蓋体は前記トレー体の側に対して可及的に所定の位置を取ることが保持される。
【0013】
同様に、前記トレー体が前記装置本体に収納される際に、前記蓋体は、前記弦巻バネの付勢力によって収納途上の前記トレー体の方向つまり前記装置本体の側に付勢されているが、その付勢の力によって前記第二のガイド部が前記第二の被ガイド部をガイドすることを促進させる。
尚、前記トレー体が前記装置本体に収納されて前記第二のガイド部が前記第二の被ガイド部をガイドする際は、前記通孔による前記突出部材のガイドは解除させる構成になっている。それは、前記トレー体が前記装置本体に収納される直前では、前記蓋体は前記トレー体の側ではなく前記開口部に対して所定の位置を取って前記開口部を閉塞することが重要だからである。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、装置本体に開設した開口部を閉塞し得る蓋体をトレー体の前部の側に連結させ、前記蓋体と前記トレー体の間に、前記蓋体が前記トレー体に対して所定の位置を取るようにガイドする手段を、前記蓋体と前記装置本体の間に、前記トレー体が前記装置本体に対して収納の位置を取る際に前記蓋体が所定の位置で前記開口部を閉塞するようにガイドする手段を、それぞれ介在させた構成であることにより、前記蓋体は、前記トレー体がスライドしている際は前記トレー体に対して所定の位置に保持され、前記トレー体が前記装置本体に収納される際は前記開口部に対して所定の位置を取るので、前記トレー体がスライドしている際は前記蓋体がガタツキを生じさせるということがなく、前記蓋体が前記開口部を閉塞している際は前記開口部に対して所定の位置で閉塞するので、前記装置本体の内部で機能によって生じるノイズがユーザーの側に漏れることは防がれていると共に塵埃等が前記装置本体の内部に入り込むことも防がれており、又、前記蓋体に付勢力によって所定の位置を取らせているので構成部材を高い精度で作製する必要はなく、更に、前記蓋体に所定の位置を取らせるため前記に装置本体に特別な空間を設けるという必要がなく、加えて、前記蓋体に所定の位置を取ることによって部材が強くストレスを受けるということはないので材料疲労が生じ難く、よって、前記蓋体の所定の位置取りが比較的長い時間保持され得る光ディスクの再生・記録装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明を、以下において、図面と共に発明を実施するための最良の形態に基づき詳述する。しかし、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
光ディスクの再生・記録装置1は、図に示すように、装置本体であって開口部2を有するケーシング3と、トレー体4が備えられている。
加えて、光ディスクの再生・記録装置1は、開口部2に挿通させたトレー体4を、ケーシング3に対して突出の方向である矢印A方向と収納の方向である矢印B方向にスライドさせるスライド手段(図示省略)が備えられている。
【0016】
つまり、トレー体4は、ケーシング3に対して突出の位置と収納の位置を取ることが可能であり、突出の位置を取ることによって光ディスクの載置と取り出しを、収納の位置を取ることによって光ディスクのデータの再生とデータの記録が可能になっている。
尚、光ディスクの再生・記録装置1は、トレー体4に載置された光ディスクからのデータの再生及び光ディスクにデータの記録を行う再生・記録手段(図示省略)が備えられている。
【0017】
光ディスクの再生・記録装置1には、トレー体4がケーシング3の内部に収納された際に開口部2を閉塞して、ケーシング3の内部からの機能による雑音がケーシング3の外部側つまりユーザーの側に聞こえないようにさせ、且つ、塵埃等がケーシング3の内部に入り込むことを防ぐための蓋体5が、ベース板6を介してトレー体4の前部に保持されている。
蓋体5は、より具体的に、トレー体4のスライド方向(矢印A及びB方向)にスライド可能であって、トレー体4と一体化する方向に付勢されてトレー体4に保持されている。
【0018】
つまり、ベース板6の右側には、トレー体4のスライド方向に伸びる二つの通孔7,8が、ベース板6の左側で通孔8とほぼ対称の位置には、トレー体4のスライド方向に伸びる通孔9が、それぞれ開設され、且つ、蓋体5の背面の右側に、通孔7,8に挿通するボス10と段付きボス11が、蓋体5の背面の左側であってボス11とほぼ対称の位置に、通孔9に挿通する段付きボス12がそれぞれ設けられている。
そして、段付きボス11には軸線を共通してメネジ部13が形成されており、通孔8に段付きボス11が段差まで挿通され、弦巻バネ15が押し縮められた状態で段付きボス11に嵌合され、更に、弦巻バネ15の筒状の径よりも頭部の大きいビス16がメネジ部13に螺合されている。
【0019】
他方、段付きボス12には軸線を共通してメネジ部14が形成されており、通孔9に段付きボス11が段差まで挿通され、弦巻バネ17が押し縮められた状態で段付きボス12に嵌合され、更に、弦巻バネ17の筒状の径よりも頭部の大きいビス18がメネジ部14に螺合されている。
又、ベース板6には爪片27,28が備えられ、且つ、トレー体4の前部には被掛止部29,30がそれぞれ形成され、爪片27,28がそれぞれ被掛止部29,30に掛け止めすることでベース板6はトレー体4に保持される構成になっている。
【0020】
従って、ビス16は弦巻バネ15によって、ビス18は弦巻バネ17によって、それぞれトレー体4に対して後方(矢印B方向)に付勢されており、且つ、ビス16はメネジ部13に、ビス18はメネジ部14にそれぞれ螺合され、ベース板6が蓋体5と一体となっていて且つベース板6がトレイ体4に掛け止めされているので、蓋体5はトレー体4の方向に付勢されてトレー体4に保持されていることになる。
尚、蓋体5に設けたボス10をベース板6に開設した通孔7に挿通させることにより、組み立て時にベース板6に対して蓋体5を位置決めすることを容易にさせており、又、ベース板6を蓋体5に一体化する際に蓋体5がベース板6に対して左右に大きく位置ズレすることを防ぐように機能している。
【0021】
更に、光ディスクの再生・記録装置1にはトレー体4が矢印A及びB方向にスライドしている際に、蓋体5がトレー体4に対して所定の位置を保持し蓋体5がトレー体4の前記スライド方向に対して垂直の方向に移動してガタを生じさせることのない手段が備えられている。
つまり、具体的には、被ガイド部であって、先端に対して断面積が小さくなるほぼ載頭円錐形状の突出部材19,20が、それぞれ蓋体5の背部の左右端部であって、弦巻バネ21,22によって後方(矢印B方向)に突出するように付勢されて配設されている。
【0022】
23,24はそれぞれ突出部材19,20を、矢印A及びB方向、つまり、トレー体4のスライド方向にスライド可能に収納保持するホルダー凹部である。
他方、トレー体4の側であるベース板6には、突出部材19,20をそれぞれ挿通されることによって、蓋体5がトレー体4に対して、トレー体4のスライド方向とほぼ直行する方向の移動を規制することでガイドを行うガイド部である挿通孔25,26が開設されている。
【0023】
従って、蓋体5とトレー体4は、その両部材に介在されている突出部材19,20がそれぞれ挿通孔25,26に挿通され、更に、弦巻バネ21,22によって矢印B方向に突出されているので、突出部材19,20を保持する側の蓋体5と挿通孔25,26の側であるトレー体4が互いに矢印B方向と垂直方向の位置を規制し合うことになるので、蓋体5はトレー体4に対して所定の位置を保ち続けることになる。
尚、トレー体4がケーシング3に収納の位置を取った際、つまり、蓋体5がケーシング3の開口部2を閉塞した際には、突出部材19,20の先端面は、ケーシング3の開口部2の内側に開口部2に沿って、且つ、ケーシング3の内側に段状に凹んで形成された段差部31に当接して、ホルダー凹部23,24の内部に後退して収納される。
【0024】
つまり、挿通孔25,26が突出部材19,20をガイドすることを解除されることになる。
さて、ケーシング3のフロント面32には、光ディスクの再生・記録装置1の機能を操作するための操作用スイッチ33及び現行の機能状態を表示する表示部34が配設されている。
【0025】
光ディスクの再生・記録装置1は、更に、ケーシング3の開口部2の内側に段差部31が形成されている。段差部31には、前方(矢印A方向)に突出した形状であって、トレー体4がケーシング3に対してスライドされて収納の位置を取る際に、蓋体5の右内側壁35と係合して蓋体5が開口2に対して所定の閉塞の位置を取るようにガイドする右ガイド片36が配設されている。
ここで、右ガイド片36はガイド部であり、右内側壁35は被ガイド部である。
【0026】
尚、ここで言う蓋体5の右内側壁35と右ガイド片36の係合とは、蓋体5の右内側壁36が矢印B方向と同じ方向に拡がった平面であって且つ右ガイド片36は蓋体5の右内側壁35の先端部を導くように矢印B方向に対して角度が切られており、蓋体5の右内側壁35の先端部が右ガイド片36の対応する面に当接しながらガイドされることを意味する。
段差部31の左側には、右ガイド片36と同様に、蓋体5の左内側壁37と係合して蓋体5が開口2に対して所定の閉塞の位置を取るようにガイドする左ガイド片(図示省略)が配設されている。
【0027】
ここで、前記左ガイド片はガイド部であり、左内側壁37は被ガイド部である。
つまり、上述したように、蓋体5とケーシング3の位置関係において、蓋体5が開口部2を閉塞する際には、右ガイド片36が右内側壁35を、前記左ガイド片が左内側壁37をそれぞれガイドし、蓋体5が開口部2を閉塞する位置を脱した際には、挿通孔25,26がそれぞれ突出部材19,20をガイドする構成になっている。
【0028】
光ディスクの再生・記録装置1は、上述したように構成されている。以下において、光ディスクの再生・記録装置1の要部の機能について説明する。
ユーザーは、操作スイッチ33を操作してメイン電源をONにし、続いて、上記スライド手段を出力させ、ケーシング3に収納状態のトレイ体4をスライドさせて突出の位置にさせる。
【0029】
ここで、ユーザーは、再生を所望するDVD記録媒体(図示省略)をトレイ体4に載置する。
この時、ベース板6は、爪片27,28がそれぞれトレー体4の前部の被掛止部29,30に掛止していることにより、トレー体4に一体化されている。
【0030】
又、蓋体5は、ビス16,18がそれぞれベース板6に開設した通孔8,9を挿通し、且つ、蓋体5に設けたメネジ部13,14に螺合していることにより、ベース板6に一体化されている。
従って、蓋体5は、ベース板6を介してトレー体4に連結されている。そして、この連結部において、弦巻バネ15,17がそれぞれ、ベース板6とビス16,18を離隔するように付勢していることにより、蓋体5はトレイ体4に対して弾性的に矢印A及びB方向にスライド可能に保持し、且つ、トレー体4が蓋体5を可及的に引き込むように近接する位置を取らせている。
【0031】
他方、突出部材19,20はそれぞれ、弦巻バネ21,22から付勢力を受けて、結果的に、トレー体4と一体であるベース板6に開設された通孔25,26を挿通して矢印B方向に突出されている。
従って、蓋体5の側に保持されている突出部材19,20とトレー体4の側である通孔25,26が係合していることにより、蓋体5がトレー体4に対し、矢印A及びB方向に垂直の方向については位置が規制されている。
【0032】
殊に、突出部材19,20はそれぞれ通孔25,26に挿通する部位が載頭円錐形状であって、且つ、弦巻バネ21,22から付勢力を受けていることから、蓋体5のトレー体4に対する前記位置の規制は可及的になっている。
次に、ユーザーが操作スイッチ33を操作して前記スライド手段を出力させ、トレー体4を矢印B方向にスライドさせて行くと、トレー体4は最終的にケーシング3に対して収納の位置を取ることになる。
【0033】
トレー体4が矢印B方向にスライドして行ってケーシング3に対して収納の位置を取る直前において、蓋体5の右内側壁35は右ガイド片36に係合してガイドされ且つ蓋体5の左内側壁37は上記左ガイド片に係合してガイドされ、結果的に、蓋体5は右ガイド片36及び上記左ガイド片が配設されているケーシング3つまり開口部2に対して所定の位置を取るようにガイドされる。
他方、トレー体4がケーシング3に収納の位置を取る直前において、突出部材19,20は先端がケーシング3の段差部31に当接するが、突出部材19,20はそれぞれ弦巻バネ21,22によって付勢されて突出しており、突出部材19,20は相対的に段差部31に押圧されてそれぞれホルダー凹部23,24の内部に後退して収納される。
【0034】
つまり、光ディスクの再生・記録装置1は、トレー体4がスライドされてケーシング3に収納されている位置から突出する位置を取り、更に、トレー体4がスライドされてケーシング3に収納される直前まで、突出部材19,20はそれぞれトレー体4と一体となっているベース板6の通孔25,26に挿通され、蓋体5はトレー体4に対してそのスライド方向と垂直の方向の動きが規制されており、更に、蓋体5はベース板6を介してトレー体4の方向に付勢されてトレー体4に連結されているので、蓋体5はトレー体4に対して所定の位置を保持することになり、スライドの際にトレー体4に対してガタつきが発生するという事態は生じない。
【0035】
他方、光ディスクの再生・記録装置1は、トレー体4がケーシング3に収納される際、蓋体5は、その右内側壁35が右ガイド片36に、蓋体5の左内側壁37が上記左ガイド片にそれぞれ係合しガイドされ、ケーシング3に対しての所定の位置つまり開口部2に対しての所定の位置を取ることになり、開口部2は蓋体5によって所定の位置で閉塞されることとなって間隙が生じないことにより、ケーシング3の内部で上記再生・記録手段が出力の際に雑音を発する場合であってもその雑音はユーザーには聞こえ難くなっている。
同じく、蓋体5が開口部2を所定の位置で閉塞して間隙を生じないことにより、塵埃がケーシング3の内部に入り込み、ケーシング3の内部に配設されている手段や記録媒体に悪い影響を与えるという事態は生じない。
【0036】
又、光ディスクの再生・記録装置1は、上述したように、トレー体4がケーシング3に対していずれの位置においても、蓋体5をトレー体4に対して所定の位置を保持させる手段は、弦巻バネ15,17及び弦巻バネ21,22の付勢力によって可及的に所定の位置を保持するように機能するから、前記所定の位置の保持は各構成部材の精度に大きく依存することはない。つまり、各構成部材を極めて高い精度で製作する必要がない。
更に、光ディスクの再生・記録装置1は、蓋体5とトレー体4の連結が、蓋体5のメネジ部13,14にそれぞれ螺合するビス16,18、ビス16,18に弾性的に取り付けられているベース板6、及び、ベース板6のトレー体4への係止が掛け止めであり、又、蓋体5に所定の位置を可及的に取らせるための部材が弦巻バネ15,17及び弦巻バネ21,22であることにより、機能中に各構成部材に強いストレスが加わることがなく、よって、使用回数が多くなっても各構成部材に材料疲労が生じて破損して使用が不可能になるといった事態は極めて生じ難い。
【0037】
尚、光ディスクの再生・記録装置1は、上述したように、蓋体5とトレー体4を連結するために、殊に、上記材料疲労に耐えられるように構成部材を大型化し、結果的にその大型化した部材を収納するための大きなスペースを設けなければならないという必要は生じない。
光ディスクの再生・記録装置1では、ガイド部である通孔25,26はベース板6つまりトレー体4の側に、被ガイド部である突出部材19,20は蓋体5の側にそれぞれ配設されているが、配設されている部材の位置関係が逆であってもよい。
【0038】
光ディスクの再生・記録装置1では、ガイド部である右ガイド片36,上記左ガイド片はケーシング3の側に、被ガイド部で右内側壁35,左内側壁37は蓋体5の側にそれぞれ配設されているが、配設されている部材の位置関係が逆であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明を実施するための最良の形態の全体構成を説明する斜視図である。
【図2】図1に示す実施するための最良の形態において、要部の構成を説明する前方からの分解斜視図である。
【図3】図1に示す実施するための最良の形態において、要部の構成を説明する後方からの分解斜視図である。
【図4】図1におけるC−C断面図であって、トレー体が装置本体から突出した状態の要部の構成を説明する構成説明である。
【図5】図1におけるC−C断面図であって、トレー体が装置本体に収納された状態の要部の構成を説明する構成説明である。
【符号の説明】
【0040】
1: 光ディスクの再生・記録装置
2: 開口部
3: ケーシング(装置本体)
4: トレー体
5: 蓋体
6: ベース板
15,17: 弦巻バネ
19,20: 突出部材(被ガイド部)
21,22: 弦巻バネ
25,26: 通孔(ガイド部)
35: 右内側壁(被ガイド部)
36: 右ガイド片(ガイド部)
37: 左内側壁(被ガイド部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が開設されている装置本体と、再生又は/及び記録の対象である光ディスクを載置し、前記開口部に挿通され、スライドされることによって前記装置本体に対して突出の位置と収納の位置を取り得るトレー体と、そのトレー体の前部に配設され、前記開口部を閉塞するための蓋体を備えて構成され、
前記蓋体の側と前記トレー体の側の間において、前記蓋体が付勢力によって前記トレー体の側に付勢され、且つ、前記蓋体に、前記トレー体に対して所定の位置を取らせるための第一のガイド部が、前記トレー体の側と前記蓋体の側のいずれか一方に、他方に、前記第一のガイド部によってガイドされる第一の被ガイド部がそれぞれ備えられ、更に、前記トレー体が装置本体に収納される際に、前記蓋体に、前記開口部に対して所定の位置で閉塞させるための第二のガイド部が前記蓋体の側と前記装置本体の側のいずれか一方に、他方に前記第二のガイド部によってガイドされる第二の被ガイド部がそれぞれ備えられてなちイドする手段が介在されてなることを特徴とする光ディスクの再生・記録装置。
【請求項2】
前記第一のガイド部が、前記トレー体の側と前記蓋体の側のいずれか一方に設けられた通孔であって、且つ、前記第一の被ガイド部が、他方に配設され、他方の方向に付勢されて前記通孔に挿通され、先端に対して後部の断面積が小さくなるほぼ錐形状若しくはほぼ載頭錐形状の突出部材である請求項1に記載の光ディスクの再生・記録装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−4051(P2009−4051A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166099(P2007−166099)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】